はなゆめ爺や さん プロフィール

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はなゆめ爺やさん: はなとゆめ+猫の本棚
ハンドル名はなゆめ爺や さん
ブログタイトルはなとゆめ+猫の本棚
ブログURLhttp://hanayume5.blog50.fc2.com/
サイト紹介文本さえあればシアワセな爺さんの読書日記
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供517回 / 365日(平均9.9回/週) - 参加 2013/11/22 21:19

はなゆめ爺や さんのブログ記事

  • 高村薫    「四人組がいた。」(文春文庫)
  •  市町村合併で完全に取り残された山奥の寒村。そこの郵便局兼集会所にやってくる元村長、元助役、郵便局長、キクばあさんが巻き起こす騒動を強烈なユーモアで描く連作小説集。 完全にノックアウトされたのが「四人組 村史を語る」。 その昔は、村はキャベツ村といわれ、暮らしはキャベツを栽培することでなしていた。しかし、キャベツは価格が安い。それで、売値がキャベツの10倍もする西洋野菜ケールを耕作地の半分を使い栽培 [続きを読む]
  • 桜木紫乃     「霧」(小学館文庫)
  •  私が今住んでいる地方都市、長い間国会議員を輩出。その議員が引退して、別の議員が引き継ぎ彼も長い間国会議員を務めていた。 最初の国会議員は、彼の功績を称えて、市役所前に銅像まで建っている。 国会議員にもそれなりに力はあったのかもしれないが、市を牛耳り、利権を全部わが物にしていた一族がいた。 市長をはじめ、主な市関連団体のトップはその一族が占めていた。更に、その一族は建設土建業と輸送業を持ち、すべて [続きを読む]
  • 山田詠美 「明日死ぬかもしれない自分、そしてあなたたち」
  • 爺やの感想はこちら。あとがきで「山田詠美が書いたサザエさん」と長島有氏が評しています。「禁じられた遊び」や「ある愛の詩」を見て泣く女性や、「人と人はちゃんと会って話さないと駄目だ」と語る男を、語り手にしている。三兄弟にそれぞれ相手を用意し、最終章で恋がどうなったかをまとめる。村山由佳・宮本輝・宮下奈津・橋本紡・角田光代などなど「こういう設定、こういう展開、覚えがあるな」と他作者の作品をぼんやり思い [続きを読む]
  • 有栖川有栖     「幻坂」(角川文庫)
  • 大阪は近代以前は「大坂」と呼ばれ坂の多い街といわれた。大坂は蓮如上人が坂が名所としておさかと呼んだところから大阪となったそうだ。 その中でも、天王寺の上町台地にある生玉寺町と台地の西麓に広がる下寺町をつなぐ7つの坂が最もたくさんの史跡があり「天王寺七坂」として有名である。浪速の小説家、織田作之助が描き、谷崎潤一郎が「春琴抄」で扱っている。 有栖川はこの七坂を題材として、7編の短編集に仕上げている。  [続きを読む]
  • 有栖川有栖   「真夜中の探偵」(講談社文庫)
  • この作品での現在の日本。第二次大戦でアメリカに負けたのだが、1945年8月15日に敗戦になったのではなく、戦争はまだ続く。 結果、北海道は独立。日の本共和国となり社会主義国家で、日本と戦争状態にある。1945年9月には京都にもアメリカの原子爆弾が落とされる。 日本と日の本共和国は対立状態にあるのだが、実は裏で秘密協定でつながっているのではと作品では語られる。それはブラキストン・コンフィデンシャル(BC)と言わ [続きを読む]
  • 高村薫     「冷血」(下)(新潮文庫)
  • 井上克美の裏求人サイトにアクセスして、犯罪コンビとなった戸田。ATM強奪に失敗して、その後無計画にコンビニ強盗を2軒で行い、12万円ほどの金を奪取。それから、思い付きで一軒家を襲おうと思いが一致。現金を置いていそうもない歯科医一家に押し入る。 お金を盗むのなら必要のない歯科医の親を井上がいつも持っていた「根切り」で、父母を殴り殺す。ここからが全くおかしいのだが、戸田が子どもの殺害は自分がやると宣言、 [続きを読む]
  • 高村薫     「冷血」(上)(新潮文庫)
  • カポーティの傑作「冷血」は実際にカンサス州で起こった、農場主一家4人の殺害事件を捜査関係者や加害者2人を含め事件関係者に綿密に取材し、事件に至る過程から、加害者が死刑に至るまでを描いている。 このカポーティの作品を深く読み込んで、高村は、同じように歯科医家族4人の殺害、加害者も2人の事件を創造して、綿密に事件に至るまでの過程、捜査、裁判、死刑に至るまでの過程を描く。カポーティの作品を参照しているとはい [続きを読む]
  • 村山由佳   「ワンダフル・ワールド」(新潮文庫)
  •  五感の中で、最も表現するのが難しいのが匂い。村山さんはこの匂いに挑戦して見事に表現で成功している。更にいつも思うのだが、セックスに対しての表現が実にうまいこと。淫靡にならず、欲情的にならず、それでも的確に読者に向かって紡ぎ出す。 この作品集のなかでは「サンサーラ」がよくできていると感じた。 主人公の香奈は、朝の電車での出勤途上、心臓が突然暴れ出し、呼吸が苦しくなり、出勤できなくなる。それから、そ [続きを読む]
  • 篠田節子    「蒼猫のいる家」(新潮文庫)
  •  動物と関わるときの、人間のあほらしさ、愚かさを描きだす作品を中心にした短編集。 ペットブームなのだろう。最近テレビで動物を中心に据えた番組をよくみる。その際、ペットに溺愛して、ペットは今こう思っている、こんなことをしたがっていると、ペットを擬人化して演出しているシーンを多々見る。 私の家では犬、猫ともに二匹ずついる。どのペットも可愛い。しかし、ペットが人間のように、あるいはそれ以上に考え、気持ち [続きを読む]
  • 井伏鱒二    「七つの街道」(中公文庫)
  • 昭和31年、文芸春秋の依頼により、7つの街道を回る。そのときの旅行記。 最高に面白かったのは、芭蕉の「奥の細道」紀行に従って、芭蕉が廻った東北の道をたどったときのエピソード。 本当は、もう少し長いのだけど、井伏が以下のことを紙に書いて、行く先々でその土地の方言に変えてもらったところ。 「あれは何という山ですか。あそこの丘の上にのぞいているあの山。大変いいじゃないですかね。昔、ここに芭蕉が来たそうです [続きを読む]
  • 高山文彦    「麻原彰晃の誕生」(新潮文庫)
  •  オウム真理教教祖、先に死刑執行をされた麻原彰晃、本名松本智津夫の生い立ちから、地下鉄サリン事件を起こすまでの遍歴を綴ったノンフィクション。 悪の教祖と誰もが見ている。驚いたのは、彼の周辺をあたると、隠す素振りは無く、関わりあった人は彼についてよくしゃべる。しかし、大事件を起こした人だから、どうしても超変人としてみんなが語る。確かに、変人ではあるが、そのことが大事件を起こすことの背景にあったのかは [続きを読む]
  • 有栖川有栖    「火村英生に捧げる犯罪」(文春文庫)
  • 臨床犯罪学者の火村准教授と推理作家有栖川コンビが活躍するミステリー小説集。どれも面白いのだが、掌編である「鸚鵡返し」が印象に残る。 京都中京区のマンションで男が殺される。30歳くらい、現金など金目の物は残されていた。窃盗目的ではなく怨恨が殺害の原因と思われる。 犯行現場の一人住まいの部屋には鸚鵡が飼われていた。その鸚鵡がしゃべる。「ハンニンハタカウラ」と何回も。 犯人は高浦か。被害者の周囲を捜索する [続きを読む]
  • 有栖川有栖    「スイス時計の謎」(講談社文庫)
  • 推理作家有栖川有栖と、犯罪社会学者で、名探偵でもある火村英生のコンビによる4作の中編ミステリー小説集。 三隅和樹、村越啓、倉木龍記、神坂映一、野毛耕司、高山不二雄の6人は、高校の同学年で、高校の中でも成績がよく優秀な生徒たちだった。6人は、高校時代「社会問題研究会」というサークルを立ち上げた。しかし、中身は何もなく、排他的で、周りの人間とはちがう気取ったサロンのような集まりで、しゃべりあったり、すこ [続きを読む]
  • 有栖川有栖    「作家小説」(幻冬舎文庫)
  • 作家になるには、お金は殆どいらない。パソコンとプリンターだけがあれば良い。しかも、中央の大きな文学賞をとると、それで、家が一軒もてるほどの収入がある。本をあれこれ読んでいると、編集者の接待で、銀座の高級クラブや高級レストランでしょっちゅう飲食ができるし取材と称して、国内、国外のあちこちに顎足つきで旅行ができることを知る。 生活は時間や決まった業務にしばられることなく、寝起き時間も自由。全く羨望して [続きを読む]
  • 有栖川有栖   「朱色の研究」(角川文庫)
  • 臨床犯罪学者の火村英生が、教え子の貴島朱美から2年前の未解決殺人事件の調査依頼を受けた部屋は、夕焼けで真っ赤に染まった火村の研究室。そして、火村が、差出人不明の手紙をもらい、その手紙に従い殺害死体を発見したマンションが幽霊マンションとよばれるオランジェ夕陽が丘。この白亜のマンションが最も美しく見えるのは、夕焼けを浴び、オレンジにマンションが染まるとき。 更に、2年前の未解決殺人事件が起きたのは、南 [続きを読む]
  • 渡辺淳一ほか    「本屋でぼくの本を見た」(角川文庫)
  • 作家たち61人の、最初の作品が本になったときの、初々しいエピソードを綴ったエッセイ集。 私が学生のとき、若さを発散した女優が登場した。目がぱっちりで可愛らしく、少し広いおでこが聡明さを表していた。映画「旅の重さ」でデビューした高橋洋子である。 この溌剌女優がしばらくすると、本を出版し、それが中央公論新人賞を受賞した。「雨が好き」である。すぐ買って読んだ。 文章は完結でしゃれていたが、内容はドロっとし [続きを読む]
  • アンソロジー    「見知らぬ私」(角川ホラー文庫)
  • 一流作家による、ホラー作品のアンソロジー。 35歳で亡くなった、大ファンの鷺沢萌の作品が収録されていて、亡くなって15年もたつのに、鷺沢の未読作品に出合い、感動しうれしかった。 鷺沢の作品も素晴らしかったが、圧倒的によかったのが清水義範の「トンネル」。 主人公の岸和田啓二は48歳のサラリーマン。すこしくたびれている。 岸和田は都心のターミナル駅から2時間もかかる田舎にマイホームを作った。そこは都心のベッ [続きを読む]
  • 有栖川有栖   「菩提樹荘の殺人」(文春文庫)
  •   推理作家有栖川有栖と英都大学犯罪社会学准教授火村英生コンビによるミステリー4作品を収録。  今年のハロウィーン。ここ数年、突出したキャラクターが登場していないせいか、子供たちが集まったハロウィーンでは、ウォーリーやキティ、カボチャなど定番の仮装が殆どになってしまった。 2年前には、ピコ太郎が大ブレーク。たくさんの仮装ピコ太郎が登場して「パイナップーアッポーペン」と舞台で踊り、喝さいを浴びた。テレ [続きを読む]
  • 恩田陸    「八月は冷たい城」(講談社タイガー)
  •  今からずっと先の未来、地球は「緑色感冒」という病気が世界的パンデミックになる。治療の手立てがなく、コロニー、自治体単位に数百人、数千人と死んでゆく。 食料生産者が少なくなり、食料不足が極端になる。そうなると緑色感冒者は、死んだ緑色感冒者を食料にして生き延びる。 パンデミックが収まり、流行が終息に向かう。各コロニーは数人となってくる。しかしコロニーは緑色感冒者によって支配されている。この支配者を「 [続きを読む]