天竺堂 さん プロフィール

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天竺堂さん: 天竺堂の本棚
ハンドル名天竺堂 さん
ブログタイトル天竺堂の本棚
ブログURLhttp://tenjikudo.com/book/
サイト紹介文読書は娯楽の最高峰。楽しい読書体験をつづります♪
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供49回 / 365日(平均0.9回/週) - 参加 2014/01/30 14:48

天竺堂 さんのブログ記事

  • スーパースター級の武人 『楽毅』(1〜4)
  •  古代中国の戦国時代、燕の武将として活躍した楽毅の一代記。 漢の高祖(劉邦)も、蜀の諸葛亮も、楽毅をリスペクトしてたという、武人としてはスーパースター級。原泰久『キングダム』でもレジェンド扱いだぞ。 弱小だった中山国に生まれ、遊学して孫子の兵法を習得。隣国・趙の猛攻を、知略を駆使して幾度もしのぎ、中山国が滅亡するまで抗戦した。その後、有名な故事「隗より始めよ」でもって燕王にスカウトされ、大国・斉を [続きを読む]
  • 凄腕を感じさせないたたたずまい 『用心棒』
  •  主人公のジョーは、ニューヨークにあるストリップクラブの用心棒。 痩せぎすで、ややムサい風貌。胸に「SECURITY」とプリントされたTシャツを着てる。ハーバード大学を中退し、陸軍特殊部隊にいたという、風変わりな経歴。ヒマな時はドストエフスキーとか読んでる。 店で暴れるアメフト選手を瞬時に制圧してのける腕前と、酔いが冷めてショゲかえる選手をなぐさめてやる優しさの持ち主。ストリッパーたちの信頼も篤い。 著者 [続きを読む]
  • 物欲について考えさせる 『宝石 欲望と錯覚の世界史』
  •  宝石とニンゲンの関係を、さまざまな切り口から語ってる本。 著者は宝飾業界での豊富なキャリアを持ちながら、古代史や物理学の研究者でもあるらしい。 宝石に魅入られた王侯貴族たちが歴史を動かしてきた話とか、日本産の養殖真珠が世界を席巻していく話とか、女性の装身具として生まれた腕時計を軍隊が採用することになった話など、宝石自体に無関心な者(私みたいな)にも興味深いぞ。 個人的に面白かったのは、ダイヤモン [続きを読む]
  • 遠未来の仏教説話 『光の王』
  •  ロジャー・ゼラズニイの代表作とされる、名高いSF。 遠未来の植民惑星が舞台。その星ではヒンズー教の神々が民衆を支配する、古代インドっぽい世界が実現してる。 最初の植民者たちは、未来の科学技術を駆使し、強大な“魔力”を獲得。彼らはシヴァ神やアグニ神などを演じ、後から到着した植民者たちを支配して、農耕レベルの文明に何世代も留め置いてた。 ある時、科学技術を解放して自由な社会にしようと、1人の神(サム [続きを読む]
  • 力強い叱咤が伝わってくる 『橋を渡る』
  •  ネットや新聞、テレビなどで、私たちは日々、世界中のさまざまな出来事を知る。マスメディアが報じるのは、戦争やテロリズムや人権問題や環境破壊や自然災害などなど。 そんな大ごとの前には、自分のささやかな行動なんか無意味、個々人の決意や努力なんか無力で無駄…そう思えてしまう。 本書は4章からなるオムニバス風の長編小説。 1〜3章は現代日本が舞台で、ビール会社の営業マン、都議会議員の妻、テレビ局の報道ディ [続きを読む]
  • シビアすぎて身も蓋もない 『脱常識の社会学』
  •  約束や宗教や政治や犯罪や結婚などなど、私たちが日常的に関与してるさまざまなモノゴトについての“常識”を、社会学でもってバラバラに解体してる本。 例えば宗教。 神社で柏手を打つとか、教会で十字を切るとか、そんな非日常的で不合理な行為が求められるのは、儀礼そのものに宗教の本質があるから。 儀礼に頼らない宗教なんて確かに無理っぽいので、実は宗教にとって神様の有無なんか大した問題じゃないのかも知れない。 [続きを読む]
  • 毎晩でもかよいたい 『古本屋台』
  •  誰が呼んだか「古本屋台」。 リヤカー式の木製屋台で、おでんやラーメンを出しそうな風情だけど、赤ちょうちんには「古本」の2文字が。 内側は書棚になっており、マニアのツボをグイグイ刺激するオタカラが詰まってる。文学系やサブカル系、マンガも絵本も洋書もあるぞ。 店主は無愛想な初老のオヤジ。うるさい客は「帰んな」と追い出すことも。 飲酒は芋焼酎「白波」のお湯割りのみ、1人1杯まで。 古本屋台の渋い魅力に [続きを読む]
  • “占いの書”であり“哲学の書”でもある 『易経』(陽の巻・陰の巻)
  •  易経は古代中国「四書五経」のひとつ。 邦訳や解説書などを何冊か読んで、“占いの書”であり“哲学の書”でもあるらしいと分かった。 後者をふくらませたのが本書。小中学生向けに平易に、でも結構しっかりと書いてある。 人生のさまざまな様相を64種類に大別してるのが易経で、その中の「乾為天」と「坤為地」を解説。 乾為天についての「陽の巻」では、合唱団で指揮者に抜擢された主人公を通して、抱いた夢を実現させたい [続きを読む]
  • 異様な迫力と重厚感 『北京から来た男』(上・下)
  •  ヘニング・マンケルの社会派ミステリ。 スウェーデンの寒村で起きた大量虐殺事件が、中国の近・現代史につながっていくという、壮大なスケール。 なんだけど、事件をめぐるサスペンスよりも、改革開放路線を猛進する中国の“得体の知れない不気味さ”に軸足が置かれ、かなりイビツな印象も。 おそらく著者は、中国人のメンタリティへの理解に苦しみ、それでも自分なりの納得が欲しかったんじゃないかと思う。 物語の前半に挿 [続きを読む]
  • “命”とか“魂”って…? 『機巧のイヴ』
  •  ニコニコ笑ってるように見えて、内心は激怒してたり。深く考えてるように見えて、実は何も考えてなかったり。 自分がそうだから、他人も似たようなものだろう。人間がそうだから、機械も似たようなものだろう。 犬や猫などのペットロボットが見せるカワイイ仕草は、機械の作動でしかない。 しかし、ひょっとしたら内部のどこかに、愛情とか忠誠心みたいなものが生じてるのかも知れない。 詰まるところ、相手が人間だろうと機 [続きを読む]
  • 偏見や蔑視に気付かせる 『ロートレック荘事件』
  •  筒井康隆のミステリ。 ロートレック蒐集家の別荘で起きた連続殺人事件を描く。 ロートレックと同様、主人公は身体障害による低身長の男性として設定されてる。 主人公の存在によって、物語に奇妙な違和感が漂っており、これが事件の真相を浮き彫りにしていく。 障害のある人たちへ、世間はしばしば身勝手な毀誉褒貶をもたらす。「障害者だから○○」と非難したり、「障害者にしては○○」と賞賛したり。 そんな、良くも悪く [続きを読む]
  • ゆるキャラの“偉人伝” 『くまモン』
  •  小学館が出した、オドロキの“偉人伝”(偉熊伝?)。 「地域振興と災害復興にかけまわる次世代のリーダー」として、熊本県を代表する人気ゆるキャラの“半生”をマンガで紹介。 キャラクター誕生の経緯などはきちんと説明されてるけど、主役は県職員などではなく、くまモンそのもの。子供に理解させやすくするためか、ゆるキャラを1匹の“生物”みたいに扱ってる。 県職員のお姉さんとコンビを組んだくまモンは、知事に命じ [続きを読む]
  • 「三島屋」という舞台はそのままに 『あやかし草子』
  •  宮部みゆきの人気シリーズ第5巻。 シリーズに大きな変化が到来、これまでの主人公というか狂言回し役が“引退”してしまい、次巻からは別の人物が主役を務める模様。 そこに至る過程が少々唐突にも思えるけど、ここまで付き合ってきた読者であれば納得はできるはず。 サブタイトルが「三島屋変調百物語」だから、さまざまな怪異が語られる小間物屋「三島屋」という舞台はそのままに、これからも主役が何度か交代するのかも知 [続きを読む]
  • ホノボノなりに攻めてる 『バーナード嬢曰く。』(4)
  •  読書好きな男女4人が織りなす、読書好きのための、“読書あるある”なギャグマンガ。 のはずなんだけど、人気を集めて4巻にまで至ると、もはやギャグだけにどどまらない、何とも深い内容に。 「どうして私たちは読書をするのか?」「本に親しんで得られるものは何?」なんて、改めて考えてみたらなかなかに難しそうなことを、4人は語り合い、日常の中で模索し続ける。 加えて本作は、かなりニッチな“読書あるある”を取り [続きを読む]
  • 端正にして不穏な気配が 『十三の物語』
  •  初めて読んだスティーヴン・ミルハウザー。 全13話の短編集。「オープニング漫画」と題する開幕編と、「消滅芸」「ありえない建築」「異端の歴史」の3部各4編で構成されてる。 屋根裏部屋の暗闇にひそむ少女に恋をし、見えないまま逢瀬を重ねる少年の物語とか。どこかの王様に仕える細密細工士が、微細を究めんとするあまり、誰にも視認できないミニチュア作りに没頭してしまう物語とか。映画が誕生した裏で、カンバスから絵 [続きを読む]
  • 毀誉褒貶を味わい尽くした者同士 『一発屋芸人列伝』
  •  お笑いコンビ「髭男爵」のツッコミ役・山田ルイ53世が、世間に“一発屋”として認知されてる芸人たちを取材したルポルタージュ。 著者自身が一発屋だけに、毀誉褒貶を味わい尽くした者同士だからこそ訊けること、書けることが期待されてるはずで、そこを意識してキッチリ押さえてる印象。 とは言え、相手と馴れ合いにならないよう努めてる姿勢がうかがえ、ドライな視点と距離感でもって、一発屋の悲哀ばかりか、個々人の弱さや [続きを読む]
  • 長い長い冬を前に… 『辺境の惑星』
  •  アーシュラ・K・ル=グウィンによる初期の長編SF。 舞台となる竜座第3惑星は、人類文明から忘れ去られた辺境。公転周期が地球時間で80年あり、冬は5000日も続く。 この地では長年、現住民「ヒルフ」と、異星からの植民者「ファーボーン」が共存。ところが、長く厳しい冬の到来を前に、ヒルフの野蛮な部族が、他部族へ侵略を始める。 切迫した状況の中、ヒルフの温和な部族の娘と、ファーボーンを率いる青年が、偶然出会っ [続きを読む]
  • 勤労精神を批判 『怠惰への讃歌』
  •  バートランド・ラッセルの随筆集。 書かれたのは1928〜1932年だけど、今読んでもなかなかに刺激的。特に労働についての記述が興味深い。 著者は「幸福と繁栄に到る道は、組織的に仕事を減らしていくにある」として、一日の労働を4時間にしようと提言。これによって、多くの人びとが余暇を享受でき、失業者はいなくなる…今で言うワークシェアリングかな。科学技術が進歩して社会の生産性が上がってるから、みんなで短時間労働 [続きを読む]
  • 『易経』を読んでみたくなる 『高い城の男』
  •  学校給食にパンと牛乳が出る。宇宙戦艦ヤマトがデスラー総統をやっつける。「UCLA」のトレーナーが流行する。英語はできないのにカタカナ言葉は使いたがる。…かつての敗戦の影響が、日本社会のいろんなところにいろんな形で表れてる。 敗戦から何十年も経った社会に生きる私たちには、どれもが当たり前で、無自覚に受け入れてたりする。 半面、当たり前とは認めたくないことも厳然とあって、それらは私たちの深くて軟らか [続きを読む]
  • これから過酷な消耗戦が? 『工作艦間宮の戦争』
  •  谷甲州によるSF「航空宇宙軍史」の新シリーズ2作目。 第二次外惑星動乱の勃発までを描いた『コロンビア・ゼロ』の続編。 秘密裏に技術革新を進めてた外惑星連合の新造艦が、航空宇宙軍の根拠地への奇襲攻撃を成功させたところまでが前作。 なんだけど、その新造艦は続編に出てこないし、航空宇宙軍が盛り返しかけてるようにも見える。 主力艦の多くを失ったはずの航空宇宙軍と、軍事技術で大きくリードしてたはずの外惑星 [続きを読む]
  • “昭和”な小ネタがふんだんに 『錆びた太陽』
  •  恩田陸の近未来SF。 舞台となる日本は、原発事故によって国土の2割が居住不能になり、ゾンビみたいな連中が徘徊してる。 広大な汚染区域を監視するアンドロイドたちの前に、国税庁から派遣されてきたという元気な女性職員が現れ、謎めいた目的を持って危険地帯へ踏み込んでいく。 サスペンスフルなはずの物語に、「太陽にほえろ!」とか「サンダーバード」とか「トラック野郎」とか、何故か“昭和”な小ネタがふんだんに盛 [続きを読む]