天竺堂 さん プロフィール

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天竺堂さん: 天竺堂の本棚
ハンドル名天竺堂 さん
ブログタイトル天竺堂の本棚
ブログURLhttp://tenjikudo.com/book/
サイト紹介文読書は娯楽の最高峰。楽しい読書体験をつづります♪
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供76回 / 365日(平均1.5回/週) - 参加 2014/01/30 14:48

天竺堂 さんのブログ記事

  • トンガったディストピア小説 『華氏451度』〔新訳版〕
  •  ブラッドベリの有名なディストピア小説。 どことなく、映画『ファイト・クラブ』にも通じる、スカッとした過激さが感じられる。 窮屈な社会に対し、主人公が果敢に反逆する、そこらへんが似てるからかな?(反逆の“趣旨”は真逆だろうけどw) 初出は創刊したての『プレイボーイ』誌だったそうで、ちょっと意外だけど分かる気もする、なかなかにトンガった物語です♪華氏451度〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫SF)posted with ヨメレ [続きを読む]
  • 挑戦的にして挑発的 『あそどっぐの寝た集』
  •  寝たきりのお笑い芸人・あそどっぐの写真集。 脊髄性筋萎縮症のため、顔と左手の親指しか動かせず、いつもストレッチャーに乗ってる。 自分の障害をネタにする芸風そのままに、ラッコの姿で湖に浮かんだり、女装したり、顔にヘビをはわせたり、砂にまみれたり、スクランブル交差点で置き去りにされたり…。 そんな写真に併せて「子ども用プールで溺れます」「スターダムの階段を駆け上がろうと思ったら、スロープがない」など [続きを読む]
  • ダウン症の兄を観察 『ヒロのちつじょ』
  •  ダウン症の実兄“ヒロ”の日常を、妹の視点で紹介した、風変わりなイラスト集。美大での卒業制作を書籍化したそうな。 平日は入所施設で暮らし、週末を実家で過ごす兄の姿を、デザインを学ぶ妹が、シンプルな描線で巧みに捉えてる。 ユーモラスな仕草も、やや奇異な行動も、ちょっと距離を置いたところから、愛おしむでも嘲るでもなく、クールに見つめてるところが、障害者と共に育ってきた“きょうだい児”ならでは。 ヒロの [続きを読む]
  • 尻込みする気持ちもホンモノ 『ソラリス』
  •  少年時代、私は祖母と同居していました。内孫の長男である私の大成を、祖母は強く望んでいたようです。 しかし、私はボンクラだったため、高校受験に失敗。祖母は私以上に落胆し、その年の夏、病気で他界したのでした。 …というエピソードを、何年か後、私は伯母に語ったことがあります。 「バアちゃんをガッカリさせたまま死なせてしまった。できることなら、会って謝りたいよ」と私が言うと、驚いたことに伯母は「そんなら [続きを読む]
  • 特捜部の“謎”に直面 『機龍警察 狼眼殺手』
  •  シリーズ5作目。新たな展開が待ってます。 この物語には、初めから「他国に優る先端テクノロジーを搭載する機甲兵装が、どうして警視庁特捜部に配備されてるの?」という根本的な“謎”がある。 次世代通信事業に絡んで連続殺人や汚職事件が起き、複雑化する事態に右往左往する特捜部の面々は、いつしか自分たちの組織の謎に直面することに。 多くのページが、官僚や統治機構の暗闘に割かれてるんだけど、これが面白い。会議 [続きを読む]
  • “交換日記”で盛り上げる 『カツカレーの日』(1・2)
  •  恋愛と結婚に揺れるアラサー女子が主人公。たまたま入ったカフェの落書きノートを通して、謎の人物との交流が始まり…という物語。 このSNS全盛の時代に、“交換日記”でドラマを盛り上げてるところが、実に巧い。 と感心しつつも、「東京ってそんなに狭い?」みたいな不自然さを覚えたり。フィクションならではです。 主要な登場人物たち、みんなそれぞれに前向きな決着を迎える、そこがイチバン良かった。 それにしても [続きを読む]
  • 変わらない、変われない、私たちの姿 『火星年代記(新版)』
  •  名高いSF短編集を、ブラッドベリ自身が改訂した“決定版”みたいな本。 人類の火星進出に絡んだ短編が時系列に並んでるんだけど、旧版よりも時代設定が未来へずれ、いくつかの話が追加・削除してある。訳文も新しくなってる模様。 それでも、寓話的で風刺的で、素朴にしてノスタルジックな世界観は変わらない。 ただ、何十年も前に読んだ時には、登場人物たちの多くが、猜疑心が強く、やたらと頑固で、思い込みや迷いにとら [続きを読む]
  • 「宇宙的殺人者」が絡む怪事件 『ジャック・グラス伝』
  •  著者によると「“黄金期”のSF小説と“黄金期”の推理小説を合体させてみたい」との意向で書かれたそうな。 太陽系に拡がった人類が、封建的な階級社会を築いてる未来世界を舞台に、「宇宙的殺人者」と称されるジャック・グラスが絡む怪事件を描く、3中編の連作。 1話目は、小惑星に幽閉された囚人7人の生存闘争と、極限状況からの脱出。2話目は、ミステリマニアの令嬢が、召使いの殺害事件に挑戦。3話目は、虚空に浮か [続きを読む]
  • 経済成長を前提にしない次元で 『里山資本主義』
  •  人口減少社会に向けての具体的な対応策を示してる、日本総研の研究員と、NHK広島取材班の共著。 地元の資源を活かしてモノやエネルギーを地域内で循環させる仕組みを創出し、住民たちの協力関係を基盤とした充足社会を目指そうというのが「里山資本主義」。 衰退してた林業に着目し、製材時の木クズを使った木質バイオマス発電によるエネルギーの地産地消に取り組む、岡山県内の事例とか。スローライフにあこがれて都市圏か [続きを読む]
  • 小惑星探査の謎に挑む 『ここから先は何もない』
  •  日本が打ち上げた小惑星探査機が、予定されていなかった未知の小惑星に着陸し、常識的には存在するはずのない資料を回収してきた。 資料は米軍が横取りし、沖縄の離島に秘匿してしまう。これを密かに奪回すべく、天才ハッカーや法医学者らの混成チームが組織され、宇宙規模の謎に挑むことになる。 前半は冒険小説やクライムアクション、後半は思弁的なハードSFっぽく、全体としてはミステリ仕立て。 騙したり騙されたりなノ [続きを読む]
  • 健気な“家族”の群像劇 『昭和元禄落語心中』(1〜10)
  •  雲田はるこの落語マンガ。 刑務所を出たばかりの元ヤクザの主人公が、名人と呼ばれる落語家に弟子入りし、芸を磨いていく。 “鬼コーチにしごかれて才能が開花”系かと思ったら、中盤で物語は戦前へ。後に名人となる若き落語家たちのドラマと共に、落語界の盛衰が物語られる。 奥行きが出てきたところで舞台は現代に戻り、主人公が落語界を盛り立てるべく奮闘。 いろんな葛藤を抱える者たちが寄り集まり、健気に助け合う、“ [続きを読む]
  • “現実”って結構あやふや 『フォマルハウトの三つの燭台〈倭篇〉』
  •  神林長平のユーモア(?)SF。 生活家電にまで人工知能(AI)が普及してる近未来を舞台(長野県内)に、引きこもりの中年男が、真実を照らすという古代の燭台と出合い、“この世の実相”に迫るという。 いろんなものにAIが搭載されてるせいで、電器製品たちが勝手にケンカしたり、“自殺”してしまったりもする、AIに囲まれた日常が面白い。 中編3話の連作で、2話まではトボけた事件を素直に楽しめるんだけど、3話 [続きを読む]
  • これから激変していく社会 『誰が日本の労働力を支えるのか?』
  •  野村総研の研究者らによる、2030年の日本を予見したリポート。 少子高齢化の進行で今後700万人以上の労働力が失われてしまうことは確定的で、それは高齢者や女性や障害者らをフル活用できたとしても埋まらない。 対策として挙げられるのは、外国人労働者の受け入れと、人工知能(AI)やロボットの導入。 ただし前者は、言語習得の困難さや、賃金水準の低さなどから、日本が職場として魅力に欠けるので、必要な人材を集めら [続きを読む]
  • 日本ではなく、時代劇でもないような 『ブラッド・スクーパ』
  •  若き侍・ゼンの彷徨を描く、『ヴォイド・シェイパ』に続くシリーズ2作目。 不老不死をもたらすという「竹の石」をめぐり、ゼンが盗賊団と対決する。 日本でありながら日本でないような、時代劇でありながら時代劇でないような、独特の雰囲気は前作同様。“強さ”や“人生”について、延々悩み続けるゼンも前作同様。短かい時間での緊迫感を、詩のように表現する剣戟描写も前作同様。 それでも、人々と交わることでゼンの内面 [続きを読む]
  • 戸惑ったり揺れ動いたり 『ナガオカケンメイの考え』
  •  グラフィックデザイナーによる、2000年3月から2005年11月までの雑記集。 デザイン業界、デザイナーという仕事、プロとしての姿勢、会社経営、生き方…などなど、その時々に考えたり思ったりしたことがボツボツとつづられてる。 えらくアグレッシブな時もあれば、妙にヘコんでる時もある。言葉遣いが丁寧な時もあれば、やや無骨な時もある。長々と熱く語ってる時もあれば、思い付きをメモっただけみたいな時もある。主張に一貫 [続きを読む]
  • 読むと発狂してしまう? 『女學生奇譚』
  •  読んだ者が発狂や失踪してるという古書『女學生奇譚』。 どこかの屋敷に監禁されてたらしい女学生の手記(古書の内容)と、その謎を主人公のフリーライターが追っていく様子が、交互に物語られ、緊張感をジワジワ盛り上げていきます。 この主人公、恐怖が感じられない特異体質で、しかも双子の弟は殺人狂で服役中という、やたらと“濃い”キャラ。 本書には、同様に“濃い”登場人物が多く、1冊で退場させるにはもったいない [続きを読む]
  • 小説家や詩人を“収蔵”する図書館 『書架の探偵』
  • ジーン・ウルフの奇想が炸裂してるSF。 小説家や詩人の複製人間たちが図書館に“蔵者”として収蔵され、ユーザーが面会したり借り出したりできる未来世界が舞台。 主人公はミステリ作家(故人)から複製された蔵者で、大富豪の邸宅で起きた殺人事件に、かつての“自分”の著書が絡んでることから、美しい富豪令嬢に借り出される。 蔵者たちに人権はなく、階層住宅みたいな図書館の“棚”で暮らし、貸し出しが少なければ焼却処 [続きを読む]
  • “ちょっと変わった過去”みたいな 『カルト村で生まれました。』
  •  原始共産主義っぽいカルト集団が運営する“村”での実体験を紹介した、ユニークなマンガ。 書名のとおり、作者はカルト村で出生、高校時代まで過ごしたそうな。 村内では“争いを生む”として個人所有や通貨が否定され、成人と子供は別々に起居し、農作業などに従事しながら自給自足で生活。そこでは“男らしく、女らしく、子供らしく”との価値観が支配、子供への体罰が日常的に行なわれてたらしい。 それでも、子供たちは暮 [続きを読む]
  • 何が浮き彫りになったのか 『妄信 相模原障害者殺傷事件』
  •  2016年7月に起きた相模原障害者殺傷事件での、朝日新聞取材班による報道などがまとめられた本。 この凶行が社会にどんな影響を及ぼしたのか、何が浮き彫りになったのか、いろんな方面に取材してあって興味深い。 福祉施設の厳しい労働環境。障害者を“無益”と断じる優生思想の風潮。事件現場の施設の大規模な建替計画と、郊外の大型入所施設を「時代錯誤」とする反対論。被告に措置入院歴があったことから、再発防止策として [続きを読む]
  • アメリカン・ゴッズ(上・下)
  • ニール・ゲイマンのファンタジー巨編。舞台は現代アメリカ。さまざまな民族・人種が集まるこの国には、移民たちが連れてきた世界各地の神々も存在する。ところが、信者が減少したり、科学や金融の価値が高まるにつれ、神々は力を失い、庶民に紛れて暮らすように。これに危機感を抱いた北欧出身の旧神が、全米の同類たちに檄を飛ばし、インターネットやクレジットカードなど新興の神族に戦いを挑む…という物語。「人間たちが心の拠 [続きを読む]
  • 「普通がいい」という病
  • 精神科医による“生き方指南”みたいな本。講話スタイルで書かれていて読みやすい。私たちは日常的に、「みんな仲良く」「怠惰はダメ」みたいな合理的思考や社会的規範でもって、自然に振る舞いたい“本当の自分”を制御しようとしており、ここに無理が生じると、精神障害を招いてしまうことも。こんな人間の特性を理解した上で、周りの常識や道徳を疑い、自ら考え・感じることによって“自分”を取り戻そうと訴えてる。心の問題を [続きを読む]
  • 自然に振る舞いたい“本当の自分” 『「普通がいい」という病』
  •  精神科医による“生き方指南”みたいな本。講話スタイルで書かれていて読みやすい。 私たちは日常的に、「みんな仲良く」「怠惰はダメ」みたいな合理的思考や社会的規範でもって、自然に振る舞いたい“本当の自分”を制御しようとしており、ここに無理が生じると、精神障害を招いてしまうことも。 こんな人間の特性を理解した上で、周りの常識や道徳を疑い、自ら考え・感じることによって“自分”を取り戻そうと訴えてる。 心 [続きを読む]
  • 囚人たちの読書会 『プリズン・ブック・クラブ』
  •  カナダの刑務所で行なわれてる囚人たちの読書会に、女性ジャーナリストがボランティアとして加わった、1年間の記録。 いくつか読みどころがあって面白い。 まず、囚人向けに選ばれ、囚人たちの多様なコメントが付いた、ユニークなブックガイドとして読める。また、著者は強盗に襲われた経験があり、囚人たちと接するうちにトラウマを克服していく、犯罪被害者の体験記としても読める。あと、読書を通して囚人たちが個々に内省 [続きを読む]