真晴猴彦 さん プロフィール

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真晴猴彦さん: 真晴猿彦のブログ
ハンドル名真晴猴彦 さん
ブログタイトル真晴猿彦のブログ
ブログURLhttps://blogs.yahoo.co.jp/mahalesaruhiko
サイト紹介文猿が見た街、昔の街や今の時代のあれこれを書きます。KINDLE本を出してます。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供144回 / 365日(平均2.8回/週) - 参加 2014/02/18 10:49

真晴猴彦 さんのブログ記事

  • 小説「陽だまりの場所」連載第三十九回
  • 小説「陽だまりの場所」連載第三十九回 「そんなこと、あるかよ。自分が浮気することは気にならないが、奥さんに浮気されたら気になる、そんな男だよ、アイツは。お前、騙されているんだ。」 「何をどう、騙されているって言うのよ。私たちはヤルだけ。キモチよければそれでいいの。」 「それじゃあ、何で僕とあの人のことを気にするんだ。それこそ、どうでもいいじゃないか。」 「誰も。なんにも気になんかしてない。兄貴が可 [続きを読む]
  • 小説「陽だまりの場所」連載第三十八回
  • 小説「陽だまりの場所」連載第三十八回 「私のことは・・・何か・・・」 「奥さんのこと。いえ。奥さんは佐渡谷と何か、関係がおありですか。」 「いえ、ありません・・・・あの・・・それで、殺人事件との関わりは。」 「どうして、そんなことを。やはり奥さんも、佐渡谷が事件に何か関係していると思っていらっしゃる分けですね。こんなことを言っては何ですが、ご主人とのこと、心中お察し致しますよ。」 「え。」最初は、 [続きを読む]
  • 小説「陽だまりの場所」連載第三十七回
  • 小説「陽だまりの場所」連載第三十七回 渕瀬川の上流に向かう草深い道に踏み込んだ。ニュータウンに越してきて初めて。子供たちと何度も来た公園だが、公園の外に出たことは無かった。公園になる前の毛無山。合戦もあり人も死んだ。人が人を殺すことなど、この辺りではごく当たり前のこと。ニュータウンはそう言う土地にある。加代子にはそれが見えなかっただけだ。大きな岩を回り込むとそこにあったのは沼。霧に隠され、葦に覆わ [続きを読む]
  • 小説「陽だまりの場所」連載第三十六回
  • 小説「陽だまりの場所」連載第三十六回 そんなこと、あるはずが無い。晃一は真面目で穢れを知らない純粋な子。妹の非行をあんなに心配している。加代子の父親も母親も、娘のことをどれだけ気に掛けていてくれたろう。考えていたのは、周囲にどう見られるか、それだけ。たった一人の兄も、加代子のことなど何も気にしてはいなかった。晃一は違う。本当に妹の更正を願っている。真実妹を愛している。自分もあの子のように純粋に愛さ [続きを読む]
  • 小説「陽だまりの場所」連載第三十五回
  • 小説「陽だまりの場所」連載第三十五回 「なあに。」 紙袋の中を見る勇気が無かった。もし、あの深緑色のワンピースがそこに入っていたら。「どうしたの、この服。」と聞かないわけには行かない。里香に英俊との関係を聞くのか。「パパと何をやっているの。」そう聞くとでも言うのか。出来なかった。 「何でもないわ。」 里香は階段を上がっていった。短いスカートから伸びる白く瑞々しい太腿。里香は笑っていた。笑顔の意味は [続きを読む]
  • 小説「陽だまりの場所」連載第三十四回
  • 小説「陽だまりの場所」連載第三十四回 加代子の脇を通り抜けた近藤刑事は、そのままレコード店に入って行き、棚を探す晃一の背後に立った。顔を近づけ何事か囁く。びっくりしたように振り向く晃一。近藤刑事は腕を伸ばして、長瀬と一緒に居る加代子を指差した。また、何事か囁いた。怪訝そうな晃一の表情。少し眉根を寄せて加代子を見た。 「何を・・・・おっしゃったんでしょか。」 「気になりますか。」 「いえ。」 肩を近 [続きを読む]
  • 小説「陽だまりの場所」連載第三十三回
  • 小説「陽だまりの場所」連載第三十三回 変わった子、そう言われたのはいつが最初だろう。言ったのは、幼稚園の先生か、近所の小母さんか、それとも母親か父親のどちらかだったろうか。記憶のずっと奥まで辿って行っても、加代子は常に変わった子だった。理由は、いつも一人で遊んでいる、友達と遊ぼうとしない、きちんと挨拶ができない。確かそんなことだった。母親は知能が人より劣っている所為だと考えた。変わっている子供より [続きを読む]
  • 小説「陽だまりの場所」連載第三十二回
  • 小説「陽だまりの場所」連載第三十二回 里香は一人で地下鉄に乗っていた。周囲には誰もいない。何処に行くのだろう。見知らぬ里香。果たして本当に自分の子供なのか。健一だけでなく里香までも。自分の子供が見知らぬ他人のように見える。どうして、こうなってしまった。自分の何がいけなかったのか。すべて。きっと加代子のすべてが、いけなかったのだ。加代子は視界がぼやけていることに気付いた。頬が涙でぬれていた。周囲の客 [続きを読む]
  • 小説「陽だまりの場所」連載第三十一回
  • 小説「陽だまりの場所」連載第三十一回 お前、何故、こんな所に。健一にどんな用事がある。まさか、恐喝。とても信じられない。何かの間違い。洋平なら恐喝なんてことは・・・それなら、何でこんな夜中に、中学生を公園に呼び出す。何をやっている。洋平と健一、何で知り合いなんだ。 加代子は言えなかった。午後九時過ぎに車の戻ってくる音がした。窓から覗いてみた。英俊が車をガレージに入れていた。動悸が激しかった。自分が [続きを読む]
  • 小説「陽だまりの場所」連載第三十回
  • 小説「陽だまりの場所」連載第三十回 能見家のガレージには薄青色の高級車が入っていた。加代子の乗っていた軽自動車はガレージの奥に押し込められていた。一階のリビングルームの窓に明かり。晃一は音を探した。英俊の怒鳴り声、それに続く加代子の殴られる音、許しを請う悲鳴。何も聞こえなかった。静かなだけの街路。何処からか小さくテレビの音。どうするつもりだったのか。晃一には何の作戦も無かった。不倫の相手と名指しさ [続きを読む]
  • 小説「陽だまりの場所」連載第二十九回
  • 小説「陽だまりの場所」連載第二十九回 「まさか、そんなタイプじゃないわ、アイツ。自信過剰でちょっと冷たい。自分は女にモテると思ってる。バカみたいだけどね。誰があんなヤツ。あんな男と結婚した方が悪いのよ。金持ちじゃなかったら、誰が付き合うかっての、変態だし。でも、人殺しをするとは思えないな。」 「自信を傷つけられたら。自分が馬鹿だと思ってる女に、その変態趣味を馬鹿にされたらどうだ。あるいは、誰かに言 [続きを読む]
  • 小説「陽だまりの場所」連載第二十八回
  • 小説「陽だまりの場所」連載第二十八回 「どこの制服だよ、それ。」 「どこのでも無い。どお、似合う。それより兄貴、私知ってるよ。」 「何を。」 「山下公園に居たでしょ。綺麗な女と一緒に。」 「見たのか。」 「兄貴も私のこと、見張ってた。手帳、黙って見たんでしょ。」 愛は馬鹿じゃない。 「あの男とどう言う関係なんだ、お前。」思い切って聞いた。 「兄貴の想像通りよ。」 「付き合っていたのは、鵜方じゃない [続きを読む]
  • 小説「陽だまりの場所」連載第二十七回
  • 小説「陽だまりの場所」連載第二十七回 晃一は加代子に背を向けて歩き出した。振り返らなかった。加代子が道に立って晃一を見送っていることは、振り返らないでも分かった。同時に、加代子がどうしたらいいのか、それを晃一が命令することを望んでいることも分かった。加代子は混乱している。多分生まれて始めての経験。良い家のお嬢さんだった。苦労したことも、嫌な思いをしたことも、これまで無かった。難しい決断はすべて両親 [続きを読む]
  • 小説「陽だまりの場所」連載第二十六回
  • 小説「陽だまりの場所」連載第二十六回 薄青い高級車は雨に煙る川を渡って、右手の細い道に入った。加代子はその道の入り口でブレーキを踏んだ。それ以上は行こうとしない。晃一も強いなかった。愛を乗せた英俊の車。テールが遠ざかっていく。道の両側にはラブホテル。手前の一軒から女が出てきた。それを追うようにして男。女に追いつき、肩に腕を回す。加代子は頬を赤らめた。晃一は不思議なものを見たような気がした。結婚し、 [続きを読む]
  • 小説「陽だまりの場所」連載第二十五回
  • 小説「陽だまりの場所」連載第二十五回 晃一は腹が立った。何事も無かったかのような平静な声に。夫の浮気を知りながら、知らない振りをしつづけた嘘に。万引きを告げ口したにも関わらず、自分だけが晃一の味方のように振舞った。しかも、明美を殺したかもしれない女。あの人を虐めてやりたい。 「僕です。」 「誰。」 僕が分からないのか。さっき話をしたばかりじゃないか。「佐渡谷晃一。」 「あら・・・・」 「来週の土曜 [続きを読む]
  • 小説「陽だまりの場所」連載第二十四回
  • 小説「陽だまりの場所」連載第二十四回 「ただ、何となく。誰にも会わなかったし、散歩していたと言っても誰も証明してくれない。それなら家にずっと居たと言ったって、何も変わらない。どうせ、僕が何をしていたのか知っている人は居ないんだ。」 「人を殺したとしても、誰も知らない。そう言いたいのかな。まあ、いい。もう帰ってもいいよ。警察に何か聞かれたら嘘をつくんじゃない。それを覚えて置くことだ。それと、キミのや [続きを読む]
  • 小説「陽だまりの場所」連載第二十三回
  • 小説「陽だまりの場所」連載第二十三回 「いえ・・・そう言いました。」 「ところが、キミを堀田明美の家の前で見た言う人物があらわれた。しかも、一度や二度じゃないと言うんだよな。」 「誰ですか、そんなこと言ったのは。」 「その人物が誰かはこの際問題ではないんだ。事実かね、その人物の言うことは。」 「ええ、まあ・・・事実です。」 「何故、そのことを、この間質問したときに話さなかった。」 「明美に会わなか [続きを読む]
  • 小説「陽だまりの場所」連載第二十二回
  • 小説「陽だまりの場所」連載第二十二回 「奥さんも、ご存知なんですか。」 「それを、キミに教えてもらおうと思ってさ。」 「それなら、あの人は、知りませんでした。」 「夫の浮気をキミから知らされて、奥さん怒り狂っただろ。」 「いえ。」 「ほう。それじゃあ、なんて言ったんだ。」 「証拠が有るのかって。それと、もし間違えていたら離婚になるって。あの・・奥さん・・・容疑者なんでしょうか。」 「どう思う。」  [続きを読む]
  • 小説「陽だまりの場所」連載第二十一回
  • 小説「陽だまりの場所」連載第二十一回 警察署は歩いても僅かの距離だった。ショッピングセンターの前の大通りを二四六号線とは反対側に十分ほど歩く。県や市の公共施設が並ぶ一角がある。郵便局があり消防署があり、その隣が警察署だった。明るく快適そうな、まだ新しい建物。陰惨な場所である証拠は窓に嵌っている太い鉄格子以外には見出せない。晃一は大通りを二人の刑事に挟まれて歩いた。人が見たらどう思うだろう。まさか優 [続きを読む]
  • 小説「陽だまりの場所」連載第二十回
  • 小説「陽だまりの場所」連載第二十回 あの人のご主人。能見英俊。あの男も悪い。妻を裏切り、家族を裏切っている。家庭が崩壊しても構わない、と思っているのか。それとも、崩壊することなど有り得ないとでも。愛と変わらない。そんな男。鵜方の言うことが本当なら、英俊は明美の援交の相手だった。明美と愛。それだけじゃないのかもしれない。それを知らないあの人。家族。哀れだ。横浜で見たあの男。颯爽としていた。背が高く肩 [続きを読む]
  • 小説「陽だまりの場所」連載第十九回
  • 小説「陽だまりの場所」連載第十九回 「鵜方と言います。中学のときの同級生です。妹と付き合っているらしい。」 「それじゃあ、主人とは。」 「鵜方に言われて妹があなたのご主人と付き合っているのかと思って。それを確かめようとしたんです。鵜方は知らなかった。妹があなたのご主人と付き合って居ることを。本当は悪いのは妹の方なんです。それは、分かっています。ご主人にはあなたと言う人が居るし、お子さんも二人居る。 [続きを読む]
  • 小説「陽だまりの場所」連載第十八回
  • 小説「陽だまりの場所」連載第十八回 怖れていた時がやってきた。次の日曜日だった。英俊は仕事で居なかった。健一はどこかへ出かけた。どこへ行くとも言わなかった。里香は昼食を済ますと遊びに行った。「若宮公園には行かないでね。」とつい口に出た。殺人犯がいつまでも公園をうろついていることなどない。普通に考えれば分かることだ。それに、どうやら犯人は、ただの通り魔と言うことではなさそうだった。噂話。誰が誰から聞 [続きを読む]
  • 小説「陽だまりの場所」連載第十七回
  • 小説「陽だまりの場所」連載第十七回 子供たちの夕食をダイニングテーブルに残して、英俊と連れ立って出かけた。気持ちが浮き立つことが悲しかった。英俊は真っ白なシャツを着ていた。見たことのない、黒の、よく見れば細かい柄のあるジャケットを着ていた。加代子は英俊に買ってもらった薄い桃色のワンピースを着た。これだけではない。すべての服が英俊に買ってもらったもの。引き千切り、脱ぎ捨てたい。 「どうしたんだ。何か [続きを読む]
  • 小説「陽だまりの場所」連載第十六回
  • 小説「陽だまりの場所」連載第十六回 「それで、その時、何か気付いたことは無かったかな。いつもと違う、何か。」 「いえ、特に。」 「なかったか。」 「はい。」 「まあ、いいか。」籾山は長瀬の顔を見た。何かを了解。「何か思い出したことがあったら、隠さずにすぐに教えてくれるかな。」 「はい。」 「奥さん、ご協力、感謝します。息子さんの話、よく聞いて上げてください。」 長瀬はそう言うと、他の二人を促して帰 [続きを読む]
  • 小説「陽だまりの場所」連載第十五回
  • 小説「陽だまりの場所」連載第十五回 子供らしい部屋。小さな頃買ってやった玩具がそのまま。ベッドには縫ぐるみのクマ。健一はそのベッドに座っていた。まだ着替えをしていない。不安そうな目が加代子を見上げた。胸を衝かれた。この子は苦しんでいる。どうしてそれが分からなかったのか。母親としては失格だ。そんなこと、言うまでもない。何を今更。 「ねえ、健一。今日刑事さんが来たの。何かお前に聞きたい事があるんだって [続きを読む]