真晴猴彦 さん プロフィール

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真晴猴彦さん: 真晴猿彦のブログ
ハンドル名真晴猴彦 さん
ブログタイトル真晴猿彦のブログ
ブログURLhttps://blogs.yahoo.co.jp/mahalesaruhiko
サイト紹介文猿が見た街、昔の街や今の時代のあれこれを書きます。KINDLE本を出してます。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供170回 / 365日(平均3.3回/週) - 参加 2014/02/18 10:49

真晴猴彦 さんのブログ記事

  • 小説「陽だまりの場所」連載第十回
  • 小説「陽だまりの場所」連載第十回 「ああ、聞いたよ。でかい音だったから、あの辺のヤツはみんな聞いているはずだよ。何台も居た。十時半か十一時頃だったかな。あんな事するの、鵜方だとその時思ったよ。」 「刑事に言ったのか。」 「ああ、言った。それで刑事はどう言ってたんだ。」 「鵜方は若宮公園には入らなかったんだとさ。バイク仲間が証言した。」 「そんなこと・・・本当かどうか分かりゃしない。」 「お前、鵜方 [続きを読む]
  • 小説「陽だまりの場所」連載第九回
  • 小説「陽だまりの場所」連載第九回 年嵩の刑事、長瀬が頷いた。洋平は「じゃあ。」と言って改札に向かった。 「悪いね。今日も予備校だったのかい。」 まさか、殺人事件の捜査をしている刑事が、万引き犯など捕まえ来ない。 「いえ、家に帰ります。」 「ちょっと聞きたいことがあってさ、いいかな。」 そう言って二人は歩き始めた。晃一は後から付いて行った。刑事二人は踏み切りを越えて駅向こうの児童遊園に入った。ベンチ [続きを読む]
  • 小説「陽だまりの場所」連載第八回
  • 小説「陽だまりの場所」連載第八回 結局そんな堂々巡りを続けながら終了のチャイムを聞いた。時計を覗く。午後九時。洋平や一成と一緒にならないように少し時間をずらした。予備校の門を出た時は周囲に学生の姿はなかった。晃一の後ろで扉の鍵が掛かり、振り返ると電気が消えた。晃一は横浜駅に向かって歩き始めた。夕方に比べれば人通りは少ないが、オフィスビルにはまだ煌煌と明かりが点いている。業績のよい優良企業の証。晃一 [続きを読む]
  • 小説「陽だまりの場所」連載第七回
  • 小説「陽だまりの場所」連載第七回「優等生なんだろ、キミは。受験勉強で忙しいんじゃないのか。」「まあ、そうです。」「堀田明美と仲が良かったんだったよな。どうだ、キスくらいはしたのか。それとも、もっとか。」「いえ・・・」「いえ・・なんだ。」「そんなことはしてません。」「早く犯人が捕まって欲しい、そう思ってここに来たんだよな。」刑事はまた晃一の肩を叩いた。「はい・・そうです・・・」「そう怖がらなくてもい [続きを読む]
  • 小説「陽だまりの場所」連載第六回
  • 小説「陽だまりの場所」連載第六回背の高い迷路のような棚の間を逃げ回る。後ろを振り向く。誰も追っては来なかった。あの女も、レコード店の店員も。気が付いたら菓子売り場に居た。目の前にチョコレートの箱が並んでいた。手を伸ばし、その一つを手に取る。中学の時、明美からチョコレートを貰った事があった。お返しは、まだしていない。予感。視線を感じた。振向くと、やはりあの女が居た。晃一の方を凝視している。何だ、まだ [続きを読む]
  • 小説「陽だまりの場所」連載第五回
  • 小説「陽だまりの場所」連載第五回 少し食料品を買って帰ろうと地下へ降りた。肉と果物を買い、もうすぐ子供たちが学校から帰ってくると思って菓子売り場に回った。そこにあの男の子が居た。加代子はびっくりして足を止めた。その行動が男の子の注意を引いた。男の子はチョコレートの箱を手に持っていた。チョコレートを手にしたまま加代子に視線を向けた。レコード店で会った女、だと認めたようだ。男の子はチョコレートの箱を棚 [続きを読む]
  • 小説「陽だまりの場所」連載第四回
  • 小説「陽だまりの場所」連載第四回 まさか、あの女の子のように。 どう言うわけか最近、加代子の思考はいつもそこに落ち込んで行ってしまう。 家に戻って食事を作ることが面倒だった。自分ひとりの食事。作るにしてもごく僅かな量。何処かで食事、して行こうか。ショッピングセンターの最上階。喫茶店に入った。まだ昼前で客は少なかった。窓際の席が空いていた。紅茶とサンドウィッチを頼む。造成地に広がる整備された住宅街と [続きを読む]
  • 小説「陽だまりの場所」連載第三回
  • 小説「陽だまりの場所」連載第三回 不良が不良を刺した。多分そういったことなのだ。つい最近も同じような事件があった。特に驚くようなことではないのかも知れない。そう言えば、昨日の深夜、車やバイクが集団で走り回る音を聞いた。ニュータウン内で湧き上がった爆音は、坂を下って国道二四六方面に消えていった。あの音は、事件とは関係ないのだろうか。午後十時よりは遅く、確か午前零時よりは早かったような気がする。 翌日 [続きを読む]
  • 小説「陽だまりの場所」連載第二回
  • 小説「陽だまりの場所」連載第二回 パトカーの群れは家の前を通過した。普段はおおらかな里香までが、加代子に不安そうな表情を見せた。どうやら、家のすぐ近くで何か悪いことが起きたらしい。加代子のこれまでの人生は、変事とは無縁だった。地震も津波も大水も、火事、強盗、引っ手繰り、学校での虐めさえ加代子の身近で起きたことは無かった。それらはすべて、新聞やテレビの中の出来事。淡々とした生活の中で唯一の変化と言え [続きを読む]
  • 小説「陽だまりの場所」連載第一回
  • 小説「陽だまりの場所」連載第一回        第一章 川は渕瀬川と言った。中世の城跡を水源として鶴見川にそそぐ二級河川。城は扇谷上杉氏の部将朽木氏が築いた。江戸時代に大山道として知られた街道を、扼するような台地の隅にあったと言われている。台地の名前は毛無山。台地と台地の狭に葦に覆われた小さな沼がある。そこが城の水の手で、渕瀬川の水源。城の名前は萱場城、沼は萱場沼といった。沼を出た水は関東ローム層 [続きを読む]
  • 小説「ウェザーニューズ」連載第八十一回
  • 小説「ウェザーニューズ」連載第八十一回 「いや、わからない。」 「そうでしょ。でも当たってる。なんとなく寮には居づらいのよね、翔子もいなくなっちゃったし、周りの目がね。」 薫子の家に行って寮を出るというと、もったいないわね、と言った。 「でも、安いところに住みますから。」 「それはダメよ、吉川さん。戸締まりのしっかりしてるとこじゃなきゃ。お金じゃないわ。例のほら、強盗殺人犯、あれだってまだ捕まって [続きを読む]
  • 小説「ウェザーニューズ」連載第八十回
  • 小説「ウェザーニューズ」連載第八十回 「だからさあ、さっきも言ったでしょ、そんなの気にしてちゃやってらんないよ、だよ。」 「鳥越さんはいいですね、気楽で。」 「気楽にしてたから離婚されちゃったんでしょ、キミも気を付けた方がいいと思うよ。」 「結婚する前から離婚心配してどうするんですか。」 「おっと、そこ右。」 「えっ、ここですか、現場って。」 「そう、ここ。ここはさ、昔はすごかったんだよね、真昼間 [続きを読む]
  • 小説「ウェザーニューズ」連載第七十九回
  • 小説「ウェザーニューズ」連載第七十九回 九時を十五分ほど過ぎて鳥越が事務所に入って来た。 「おはようございます、本郷社長。」いつもの言葉。 「ああ、おはよう、悪いねトリさん。」 「いえいえ、何でも言って下されば。じゃあ行こうか、野城くん。」 鳥越と一緒に事務所を出て駐車場に行き営業車に乗り込んだ。運転は僕だ。 「現場はどこなんですか。」 「あれっ、聞いてないの。」 「ええ、僕はてっきり鳥越さんのお [続きを読む]
  • 小説「ウェザーニューズ」連載第七十八回
  • 小説「ウェザーニューズ」連載第七十八回 「本当にそうだな。この店は俺が最初に来て、それから水野さん、立川さんと来るようになった。寺田さんが来始めたのと女性陣二人が来るようになったのはほぼ同じ時期だったかな、ね、そうでしょマスター。」 「うん、そうだね、そうだったかも知れない。」 「何か情報入ってます。」 上山は首を振って、二人とももうこの街にはいないようですよ、と言った。 「葉山さんもいなくなる、 [続きを読む]
  • 小説「ウェザーニューズ」連載第七十七回
  • 小説「ウェザーニューズ」連載第七十七回 「いえ、そうじゃなく、ちょっとびっくりして、」 「桐生さんから言われたんです。野城さんはそういうことにはのんびり屋みたいだから、もしお付き合いしてもいいと思うんならあなたから言わなきゃダメって。」 「そんな風に思われてたんだ、」 「違ってますか。」 「違ってないんでしょうね、たぶん。桐生さんがそう言うならきっとそうなんですよ。でも僕だってたまにははっきり言う [続きを読む]
  • 小説「ウェザーニューズ」連載第七十六回
  • 小説「ウェザーニューズ」連載第七十六回 「家内安全商売繁盛でも不幸なら仕方がないし、家内危険商売破産でも幸せならそれはそれでいい。」 「へえっ、吉川さんってそう言う人だったんだ。」 「ふふふっ、あたしも今気づいたところ。」 「立川さんのこと聞きましたか。」 「聞いた。ついてないって言うか、何て言ったらいいか分からないわ。」 「明日は我が身でない保障なんてなにもない。」 「会社辞めてアパートも引き払 [続きを読む]
  • 小説「ウェザーニューズ」連載第七十五回
  • 小説「ウェザーニューズ」連載第七十五回 「そうでもないんですけどね。」 「あたしのこと気遣ってるんでしょうけど、でもあたしは結構歩ける人なんですよ。」 ケーブルカーを下り駅舎を出て山上の遊歩道を歩く。たくさんの登山客が同じ方向に流れていく。子供たちが大声を上げて走り出す。それを追う若い父親と母親。 「こんなにたくさんいるんですね。」 「葉山さんはなんて言ったんです、吉川さんが帰らないって言ったら。 [続きを読む]
  • 小説「ウェザーニューズ」連載第七十四回
  • 小説「ウェザーニューズ」連載第七十四回 日曜日は晴れた。三月中旬のきれいに晴れた青空。わだかまっていた寒さも今日はない。天気予報によれば昼には十五度を超えるそうだ。リュックがないので小さな肩掛けバッグを持って部屋を出る。駅に行くと恵子が先に来て待っていた。 「いい天気でよかった。」 「ほんとにそう。」 「どこ行くか決めましたか。海か、山か。」 「山にした。海に行っても砂浜に座ってるくらいしかできな [続きを読む]
  • 小説「ウェザーニューズ」連載第七十三回
  • 小説「ウェザーニューズ」連載第七十三回 「まだよく分からん、親しく付き合ったことなんてないんだからさ。」 「ねえ、野城さん、あたしから言わせていただきますけど、いくら親しくたって彼女のことなんて分からない、そんなものよ。」 「そうだ、その通り。」 「あなたは言わなくていいの。今度はねえ、野城さんとその彼女誘うから、その時は断らないでね。」 「ええ、はい、そうします、ご馳走になりに行きますよ。」 「 [続きを読む]
  • 小説「ウェザーニューズ」連載第七十二回
  • 小説「ウェザーニューズ」連載第七十二回 「そうよ、あなたよ。東京へ出てきたときの湧き立つような気持、まだあるの。」 「でもそれは幻想だって気づいたから。」 「本当にそうかしら。」 「どう言うことです。」 「本当に幻想だったって言いきれるの。戦後のあたしと同じように、どうせこんなものって、決め込んでなあい。」 「会社はもう辞めたんですか。」 「いえ、まだだけど。」恵子は強い目で僕を睨んで「それがなに [続きを読む]
  • 小説「ウェザーニューズ」連載第七十一回
  • 小説「ウェザーニューズ」連載第七十一回 「その時は悲しかった。だってこの先ずっと一緒に暮らすつもりにしていた人だったのですもの。でもね、時が経つうち、と言うよりそれほど経たないうちに、どんどんと悲しみが薄れていくの。私は、その時は戦争のせいだと思ったわ。だってどんどんと生活が不自由になっていくし、回りからも戦死したと言う話がたくさん聞こえて来るようになったから。でもすぐにそうではないと気づいた。そ [続きを読む]
  • 小説「ウェザーニューズ」連載第七十回
  • 小説「ウェザーニューズ」連載第七十回 乾杯、三人はワインを一口飲み、前菜を口に運んだ。 「おいしいわ。」 そう言われた薫子はにっこりと微笑んだ。 「あれはね、昭和十二年のことだった。年で言っても分からないわよね、年なんてただの数字ですもの。盧溝橋事件の起こった年って言えば、なんとなくイメージ出来るのかしら。でもね、今の人は暗い時代って思うかもしれないけれど、この年十八だったあたしにしてみれば暗い時 [続きを読む]
  • 小説「ウェザーニューズ」連載第六十九回
  • 小説「ウェザーニューズ」連載第六十九回 「帰るんですか、やっぱり。」 「先週ね、夜ウチに来て、会社辞めて実家へ帰ろうと思ってるんだけどどうかって聞かれたの。」 「そうですか、」 「止めるんなら今よ。」 「えっ、」 「吉川さんどうしてウチに来たんだと思う。」 「えっ。それは、意見を聞こうと思って、じゃないんですか。」 「あたしの意見聞いてどうするのよ。じゃああたしがやめた方がいいって言ったら、やめる [続きを読む]
  • 小説「ウェザーニューズ」連載第六十八回
  • 小説「ウェザーニューズ」連載第六十八回 三月に入ると空気は淀み温まりそこに花粉と花の香りが混ざる。どこかの野で咲いた花が花粉を飛ばし風に乗って街までやって来る。二月とは明らかに空気の成分が違っている。寒い日もあるが、寒くても二月のそれとは明らかに違っている。少し我慢すれば、もう暖かさは手の届くところまで来ている。三寒四温。冬にはくっきり見えていた富士山が空気中の浮遊物のせいで今日はぼやけている。  [続きを読む]
  • 小説「ウェザーニューズ」連載第六十七回
  • 小説「ウェザーニューズ」連載第六十七回 「そうよ、意外な生活よ、だって野城さんと加藤さんだってそうでしょ。」 「そうですね、加藤と一緒に遊んだことなんて、高校時代が最後かもしれない。」 「そんなものよ。祥子はね、たぶん渋谷かどこかで遊んで、寮の門限十一時だからそれに間に合うように帰って来た。そこで事件に巻き込まれたの。」 「やはりついてない。」 「そうね。」 「桐生さんの家に来るのいつも吉川さんだ [続きを読む]