熊野まゆ さん プロフィール

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熊野まゆさん: くまの恋愛官能小説
ハンドル名熊野まゆ さん
ブログタイトルくまの恋愛官能小説
ブログURLhttp://kumano-novel.sblo.jp/
サイト紹介文糖度高めの恋愛官能小説ブログ
自由文つたない作品ばかりですがよろしくお願いします。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供127回 / 365日(平均2.4回/週) - 参加 2014/04/10 11:18

熊野まゆ さんのブログ記事

  • 甘い香りと蜜の味27
  •  何とかしてキャリーケースのそばにたどりついた美樹が腕を伸ばす。すると、その手をぐいっと引っ張られた。「ひゃっ……!」 ベッドに引き込まれた美樹はあれよあれよという間に拓人に組み敷かれる。「だめだよ、そんな恰好で出てきちゃ」 苦しげな顔で、ひとりごとのようにつぶやいて拓人は美樹に顔を寄せる。 重なった唇は温かいような、冷たいような――よくわからない。「んん」 口づけは深くならなかった。拓人の唇はす [続きを読む]
  • 甘い香りと蜜の味26
  •  拓人は二人分のキャリーケースを部屋の隅に置いてから言う。「疲れたでしょ。シャワー、浴びておいで」「た、拓人さんお先にどうぞっ」「……そう?」 未夢はこくこくとうなずくしかできない。 すると拓人は「じゃあお言葉に甘えて」と言ってキャリーケースのなかから着替えを取り出して浴室のほうへ歩いていった。その途中、くるりと振り返って、「あ、一緒に入る?」 と言うものだから、今度はぶんぶんと首を横に振るしかな [続きを読む]
  • 甘い香りと蜜の味25
  •  土曜日。ショコラ・デ・マノークが開店して間もなくのことだった。「紗耶香さん! お久しぶりですーっ!」「久しぶりね。うん、元気そうでよかった」 にっこりとほほえんでいる紗耶香に向かって美樹は「はいっ、元気です」と答える。「今日はどうされたんですか?」「ウェディングケーキの打ち合わせに来たの。ああ、そうそう……聞いたわよ」 紗耶香はニヤリ、といった具合に口の端を吊り上げて、「拓人さんと付き合ってるん [続きを読む]
  • 甘い香りと蜜の味24
  •  ゾクッと瞬時に総毛立った。彼の指先は絶妙な加減で乳頭に触れない。触れたのは、甘い香りのクリームだけ。 薄桃色の上に飾りつけられたホイップクリームを、拓人は仕上がりの良し悪しを見るようにじいっと凝視する。 クリームに覆われたそこを隠すに隠せず、両手をさまよわせる。 彼がこのあとどうするつもりなのか予想はつくものの、だからといって「はいどうぞ」と胸を差し出すのもどうかと思う。(拓人さん、もしかして… [続きを読む]
  • 甘い香りと蜜の味23
  • 「んんっ、美味しいーっ!」 ショコラ・デ・マノークが閉店したあと、拓人が試作した低カロリーケーキを食べた美樹は厨房で満面の笑みになっていた。(最近はずっと甘いものを控えてたから……) それでよけいに美味しく感じるのかもしれないが、そうでなくても絶品だと思う。 美樹はぺろりと舌なめずりをしてケーキを食べ進める。そんな彼女の口もとを、拓人はじいっと見つめる。「俺も味見していい?」 そう尋ねられた美樹は [続きを読む]
  • 甘い香りと蜜の味22
  •  拓人はティーカップの紅茶をすべて飲み干してからあらためて美樹と向かい合う。「髪の毛、もっとちゃんと拭かないと。ほら、タオル持ってここにおいで」「はい」 少しあわてたようすで美樹は立ち上がり、クローゼットから小ぶりのバスタオルを取り出してトコトコとやってきた。「じゃ、俺の膝の上に」 そう言って膝の上を叩くと、美樹はタオルを持ったまましばし固まった。「え、えっ!?」 頬を赤らめて棒立ちになっている美樹 [続きを読む]
  • 甘い香りと蜜の味21
  •  しかしそうしたあとで、扉は開けっ放しのほうがよかっただろうかと思った。(まあ、美樹ちゃんは気にしてないようだし……このままでいいか) 一度、閉めたドアをまた開けるのも不自然だろう。拓人はもとの場所に座り、彼女に話しかける。「ランニングから帰ってきたばかりだよね? ごめんね」「いえ、平気です」 美樹はシャワーを浴びて間もないらしく?が紅潮していた。髪もところどころ濡れていて、色っぽい。(これはまた [続きを読む]
  • 甘い香りと蜜の味20
  • 『だから、ええと……あと三十分後くらいでしたら、大丈夫だと思います』「ん、わかった。ランニング、気をつけてね」 電話を切り、「ふう」とため息をつく。 彼女はスポーツが得意だっただろうか。美樹が幼いころから毎年、運動会を見に行っていたが、かけっこではいつも三番か四番あたりだったし、中学になってからもそんなふうだった。(まあ、人の趣味にとやかく言えない。そういう俺は無趣味もいいところだ) 仕事ばかりで [続きを読む]
  • 甘い香りと蜜の味19
  •  閉店後のショコラ・デ・マノークで、廣瀬 拓人は真っ白なホイップクリームの上に真っ赤なイチゴを飾り付けていた。「お疲れ様です」 販売エリアのほうから厨房へやってきた美樹に「お疲れ様」と言葉を返し、いましがた完成したばかりの試作品を小皿に載せ、彼女に差し向ける。「ねえ、これちょっと味見してみて」「……や、私はけっこうです」 ――まただ。 試食を断られたのは今日で何度目だろう。以前なら、「わぁ、いただ [続きを読む]
  • 甘い香りと蜜の味18
  • 「ひゃ、あぁッ……!」 バクバクと胸が高鳴り、手足の先が甘さを伴ってしびれる。足の指先を丸め込んで、体を強張らせると、拓人は「じゅうっ」と音が立ちそうな勢いでさらに強く花芽を吸った。「や、やぁあっ、だめ……!!」 あまりの快感で体が震えてくる。両脚が小刻みに揺れるのを止められない。 拓人は美樹の言葉に耳を貸さず、両手を上へ伸ばした。あらわになったままだった両の乳房の先をそれぞれ人差し指で押し上げ、上 [続きを読む]
  • 甘い香りと蜜の味17
  •  恥ずかしいという思いはあるものの、そこは一応ショーツに覆われているので、羞恥心はだいぶん軽減されている。 拓人は美樹の呼吸に合わせて指先を小刻みに動かす。 彼の指が裂け目に沈み込むのがたまらなかった。たまらなく気持ちがよくて、「ふぁ、あ」と自分のものとは思えない声が漏れ出る。 しだいに淫靡になっていく美樹を愉しむように拓人は目を細め、彼女の秘所に顔を寄せる。「ひゃっ!?」 まさかそんなところに顔を [続きを読む]
  • 甘い香りと蜜の味16
  •  美樹がすぐに拒んだものだから、拓人は不満そうだった。いつになく子どもっぽく唇が尖っている。「じゃあ、こっちは……? 触ってもいい?」「……っ!!」 紺色のスカートの上から脚の付け根をさすられる。 先ほどすぐに「だめ」だと言ってしまった手前、拒絶しづらい。「直接じゃ、なければ……」 彼の顔を見ながら言うことはできなかった。 美樹はあらぬほうを向いて瞳を潤ませる。そこに、直接ではないにしろ触れられるの [続きを読む]
  • 甘い香りと蜜の味15
  • 「ひとまず、深呼吸してみる?」 絵本でも読み聞かせるような調子で穏やかに言われ、美樹はそのとおりに大きく息を吸い、静かに吐き出した。彼につかまれたままの胸がゆっくりと上下する。「もう一回」 言われるまま、何度か深呼吸をした。 そうして大きく息を吸い込んだとき、ふたつの薄桃色を指でつんっと押し上げられる。「ふぁっ!」 息を吐き出すのと同時に、つい大きな声が出てしまった。「嫌だった?」「い、嫌では…… [続きを読む]
  • 甘い香りと蜜の味14
  •  美樹がすべて言い終わっていないにもかかわらず拓人は「いやだ」と言って彼女の要望を突っぱねた。「店の制服、似合ってるよ」 唐突にも思える言葉には続きがある。「だからこそ、この服が乱れてるところもよく見たい」 視線が痛いと感じたのは初めてだった。 間近から、射るように注がれる拓人の視線。顔や胸もとを舐めるように見まわされている。 心臓だけでなく、どうしてか下半身までもがドクドクと強く脈を打ち始めた。 [続きを読む]
  • 甘い香りと蜜の味13
  • 「でも、俺……このままじゃ、その」 彼の視線が泳ぐ。頬がほんのりと赤い。初めて見る表情だった。 五歳年上で、いつも余裕たっぷりで。何だってそつなくこなす彼が、頬を赤くしてうろたえている。「あ……。い、いい、ですよ……?」 ついそんなふうに言ってしまったあとで、すごく大胆な発言をしてしまったのでは、と後悔する。なぜなら、彼の表情が一変したからだ。「意味、わかって言ってる?」 真剣な表情。からかいのな [続きを読む]
  • 甘い香りと蜜の味12
  •  どくどくどく。自分の心臓の音で、彼の声が聞こえなくなってしまうのではないかと心配になった。 昨夜、お風呂のなかで何度も思い浮かんでは自分自身で打ち消してきた言葉を、拓人が紡ぐ。「ずっと好きだった」 引っ込んでいた涙が、ふたたびあふれて?を伝う。すると拓人は少しあわてたようすで美樹の涙を拭った。「ごめん、驚いたよね。いきなりこんなこと言って……困らせて、ごめん」「こ、困ってなんか、ないです」 涙で [続きを読む]
  • 甘い香りと蜜の味11
  • 「美樹ちゃん、あれから大丈夫だった? ごめんね、もっと早く帰ってくるつもりだったんだけど」 拓人はジャケットを脱ぎ、ネクタイを外して近くの椅子の背に掛けた。うかがわしげな視線を投げかけられる。「ありがとうございます、何とか大丈夫でした」「そっか……」 安心したようすで拓人は息をつく。「ねえ、俺の部屋でケーキでもどう? あまりもので悪いけど」「えっ、いいんですか?」「先に部屋に行って待ってて」 美樹 [続きを読む]
  • 甘い香りと蜜の味10
  • 「どうぞごゆっくりご覧になってください」 落ち着いた声で、はっきりと。心臓はバクバクと鳴り響いてうるさいくらいだけれど、毅然として言った。 ショコラ・デ・マノークの店員は使えないやつだ、などと吹聴されたくなかった。そして、 私自身少しは成長したのだと、元同僚に認められたかった。 前の会社では、いつも慌ててばかりで――人の顔を見て話をすることすらままならなかったから。 ふたりはショーケースのなかのケ [続きを読む]
  • 甘い香りと蜜の味09
  •  ――ネームプレートにくっついていた『研修中』の文字が消え、真新しい制服を着て店に出たその日に、美樹は出端《でばな》をくじかれた。「あーっ、やっぱりここだ! 熊子《くまこ》のブログに載ってたお店!」 土曜日。開店してすぐのことだ。 店の外からだというのに、はっきりと聞き取れるほどの声量だった。天井まである大窓から外を見やれば、二人組の女性がスマートフォンを店にかざしていた。写真を撮っているようだっ [続きを読む]
  • 甘い香りと蜜の味08
  • (拓人さんのとなりを、しかも手をつないで歩いてるなんて……夢みたい) 足取りはふわふわとしていて軽い。酔いはさめたと思ったが、泥酔しているときのように夢心地だ。 二十三年、過ごしている見知った街だから、あと数十メートルで自宅に着くというのがわかる。(拓人さんと、もうちょっと一緒にいたけど……寄り道しようなんて言ったら、また子ども扱いされるんだろうな) そう思ってなにも言わなかった。そうして自宅前ま [続きを読む]
  • 甘い香りと蜜の味07
  • 「――紗耶香さん、なにからなにまで本当にありがとうございました」 飲み始めて二時間ほどが経ったころ。 向かいにいる拓人は飲んでも飲んでも顔色が変わらないし、ななめ向かいに座る拓真は食べても食べてもいっこうに満腹にならないようだった。 そんなふたりを尻目に、チューハイ一杯ですっかり酔っぱらい、顔を赤くした美樹は涙まじりに紗耶香に言う。「うっ、うぅ……紗耶香さんが、遠くに行っちゃうなんて……さ、寂しい [続きを読む]
  • 甘い香りと蜜の味06
  •  ニヤニヤと口もとをゆがめながら、拓真は小首を傾げてあごに手を当てる。「じゃあ、『教えてください、拓真様』って言ってくれたら、いいよ」「ええっ?」「その一言でコツがつかめるんだから、安いもんだろ」「う――」 癪だが、いまよりも上手になれるのなら、そのくらい安いものだ。「……教えてください、拓真様」「ん、よろしい」 満面の笑みになって、拓真がとなりに立つ。コツンと肩がぶつかったが、ふたりとも気にしな [続きを読む]
  • 甘い香りと蜜の味05
  • 「あの、私……包装紙を買ってきます……」「ええ、気をつけて。大丈夫よ、私も最初は全然だめだったから。数をこなせば何とかなるわ。あ、領収証を忘れないようにもらってきてね」「はい。行ってきます――」 その日の夜、美樹は店のぶんとは別に包装紙を買って自室で梱包の練習を繰り返した。 一枚の紙を擦り切れるまで使って、その上で三十枚は消費したころに、ようやく、何とか見られる形になってきた。 部屋に散乱する失敗 [続きを読む]
  • 甘い香りと蜜の味04
  •  翌日、美樹はさっそくスイーツショップ『ショコラ・デ・マノーク』に出勤した。制服はまだないので、白いワイシャツに赤いエプロンをつけ、ネームプレートには『研修中』がくっついている。「きっ、今日からどうぞよろしくお願いしますっ!」 店の奥にある事務室で美樹は紗耶香に向かって深々と頭を下げた。これから一ヶ月弱、彼女に販売業務を教わることになる。拓真はいま大学で講義を受けているので、不在だ。「ふふ、そんな [続きを読む]
  • 甘い香りと蜜の味03
  • 「ああ、そうだ。南さんが結婚退職するから、ちょうど販売員の募集をかけようと思っていたところなんだ。次の職が見つかるまでのつなぎでもいいから……美樹ちゃん、どう?」「えっ……。わ、私でいいんですか?」「もちろん。僕らの店のケーキをこんなにたくさん食べて愛してくれてる美樹ちゃんなら、むしろ大歓迎だよ」 ――ああ、どうしてこの男性《ひと》はこう、乙女心をくすぐるようなことばかり言うのだろう。 これだから [続きを読む]