八朔みかん さん プロフィール

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八朔みかんさん: Nikki Drop
ハンドル名八朔みかん さん
ブログタイトルNikki Drop
ブログURLhttp://nikkidrops.blog.fc2.com/
サイト紹介文オリジナルBL小説ブログ。医師×看護師 / 調理師×専門学校生 / 薬剤師×薬剤師 ※別サイトあり〼
自由文『非常階段の恋人』を連載中
健気な専門学校生とぶっきらぼうな調理師の恋模様を描いています
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供48回 / 365日(平均0.9回/週) - 参加 2014/04/14 08:47

八朔みかん さんのブログ記事

  • 非常階段の恋人 55
  • 「ジムに通ってるんですか?」『まあね』「週に何回?」『ほぼ毎日』と返ってきたのち、花井がある提案をしてきた。『今から電話してもいい?』 礼音が承諾すると、すぐに着信音が鳴った。そして、電話に出た礼音にこう説明した。『LINEとかメールの類が苦手なんだ。言葉を文章にするのがまどろっこしいし、ニュアンスが伝わりにくいし』「確かにそうですね」『直接声を聞きたいっていうのもあるしね』 そう言われて礼音の頬が熱 [続きを読む]
  • 非常階段の恋人 54
  •  礼音と花井が付き合い始めて数週間経ったが、二人の間にこれといった変化はなかった。厨房では忙しさに忙殺されるか他のスタッフがいるため話しができず、今も続くモーニングコールでは『もう起きる……』の一言で終了。で、夜を期待しても音沙汰がなくて『もしかして、後悔している?』と不安にかられたりもしたが、以前彼が話してくれたことを思い出して自分を納得させた。その言葉というのは―――『付き合ってもマメじゃない [続きを読む]
  • 非常階段の恋人 53
  •  花井への想いを吐露した口で言われても腑に落ちない礼音は、施設長の瞳をじっと見つめた。しかし、施設長の言葉はなおも続いた。 「アイツにマンションへ行くことを話さなければ君をものに出来たのにな」 悪びれもせずに飄々と語る施設長に、礼音は花井から一蹴された言葉をぶつけたい衝動にかられた。「高校生の時、チーフの奥さんと付き合ったのも同じ理由からなんでしょう?」 施設長は片眉をピクリと動かしたが、何食わぬ [続きを読む]
  • 非常階段の恋人 52
  •  施設長宅での一件があった数日後、礼音の携帯にメールがあった。施設長からで、予期していたとはいえ礼音の胸は大きく高鳴った。 彼は『このあいだは悪かったね』と謝った後『話したいことがあるので近いうちに会ってくれないか?』と言った。その声音があまりにも無機質だったので、心中を察した礼音は出来るだけ早い日にちを指定した。そして、どこにするのか? と尋ねると施設長は『いつもの居酒屋』と答え、その後こう付け [続きを読む]
  • 非常階段の恋人 51
  •  そして、会話が一段落した頃、礼音は胸の中に燻っていた疑問を恐る恐る尋ねてみた。「施設長さんのことを『目的の為なら性別も問わない』と言ったでしょう? あれ、どういう意味なんですか?」 この問いに花井は無言になった。そして、しばらくしてから意外な言葉を口にした。「そんなこと言ったっけ?」「覚えてないんですか?」「あの時は興奮していたから忘れた」 いつもと違って曖昧な返事をする姿を訝しく思った礼音は、 [続きを読む]
  • 非常階段の恋人 50
  •  玄関を出てエレベーターに乗り込んだ礼音は、階数ボタンの前に佇む花井を見上げながら我が身に起こった出来事を思い返していた。 今から数時間前、彼は施設長のマンションに押しかけて自分に告白をし、こうして奪還された。それは真夏に降る雪、もしくは空を泳ぐ魚くらいありえないこと―― と、端正な横顔を見つめながら感慨に耽っていたら、視線に気づいた花井と目が合った。慌てて視線を逸らすと、今度は長い腕が伸びてきて [続きを読む]
  • 非常階段の恋人 49
  • 「彼女がね、離婚したあとも施設で働いていることを不思議がっていた」「俺が引き留めているからな」「『早く軌道修正して欲しい』と言われたよ」「お前もそうしたいんだろう?」「でも、いざ辞めるとなると心残りがあって躊躇してるんだ」「心残り?」「お前が抱いている施設への思いと一緒。『人生の終盤を迎えた人たちが残りの時間を豊かに過ごすための手助けをしたい』とでも言うのかな。食(しょく)って健康を支える重要な役 [続きを読む]
  • 非常階段の恋人 48
  •  施設長がワインを手酌していると、花井が両手に皿を抱えてやってきた。「おいおい、ピッチ速すぎ」と眉をしかめつつ、それらを二人の前にそっと置く。【無花果とブルーチーズのアントレ・フロワード】と説明されたアミューズブッシュは十字に切った部分にブルーチーズと生ハムが挟まれていて、口に入れると無花果の甘さにチーズの酸味、ハムの塩気が絶妙に溶け合って礼音を驚かせた。「酸いも甘いも嚙み分けた大人の味がする…… [続きを読む]
  • 非常階段の恋人 47
  •  施設長との関係が気まずい礼音は、花井が料理をしている間どう関わればいいのか悩んだが、それは杞憂に終わった。何事もなかったように涼しい顔をした彼は、来月施設で行われる秋祭りの話をし始めたのである。「会場はレストランホールでね、射的とか的入れとか輪投げとか昔懐かしのゲームをする予定で、毎年厨房にも参加してもらってるんだよ」「楽しそうですね」「でね、何かいいメニューがないか考えてくれないかな?」 突然 [続きを読む]
  • 非常階段の恋人 46
  •  いつもなら、下手な嘘より正直に話すほうを選ぶ礼音だが、今はさすがに無理だった。なぜなら、施設長によろめいた罪悪感が半端なかったから……「ど、どうしてそんなことを言うんです?」「そうじゃないかと思って」「俺、男ですよ」「アイツならやりかねん」「施設長さんってそっちもOKなんですか?」「貪欲だから気に入った相手に性別は問わないだろうよ。で、口説かれたの? どっち?」 花井らしからぬ しつこさに白旗を上げ [続きを読む]
  • 非常階段の恋人 45
  •  花井の登場で正気に戻った礼音は、己の無節操さに恥じ入った。数日前、『施設長よりチーフがいい』とか「好きな気持ちは今でも変わらない」と言ったくせに、舌の根も乾かぬうちに口説き落とされそうになったのだ。――― チーフに合わせる顔がない 立っているのも辛くなった彼は、ソファーに腰掛け呆然となった。視界の隅にはTVモニターの前で立ち尽くす施設長の姿があり、先ほどの苛立った様子とは異なっていた。血の気を失っ [続きを読む]
  • 非常階段の恋人 44
  • 「僕の気持ちに気づいてる?」「ええっと……」「迷惑?」「迷惑だなんて……」「じゃあ、しばらくこうさせて」 そう言うと、施設長は腕の力を一層強めて首筋に顔を埋めてきた。鼻孔をくすぐる彼の体臭は柑橘系で、唯一知っている男の臭い――― すなわち倫太郎のそれとは違って洗練されたものだったが性的興奮は得られなかった。なぜなら、そこにフェロモンを感じることはなかったから…… 遊びに来ただけなのに予想だにしなか [続きを読む]
  • 非常階段の恋人 43
  • 「そんなことより、あれを見て」 我に返って施設長の指差すほうを見やれば、ウォッカがザリガニと戯れていた。いつの間にかジンも姿をあらわし物欲しそうに見つめている。「君からのプレゼント、気に入ったみたいだ」「良かった、喜んでくれて」「贈り物を選ぶのが上手いんだな、人にも猫にも」「実はペットショップの店員さんに選んでもらったんです。マタタビ入りらしいですよ」「なるほど、どうりで」 次第に二匹の動きが激し [続きを読む]
  • 非常階段の恋人 42
  •  そんな礼音の憶測を露ほども知らない施設長は、礼音をソファーに案内しリモコンを渡してこう言った。「テレビでもつけて くつろいでね」 施設長がケトルを火にかけ電動ミルにコーヒー豆を入れている間、礼音は言われた通りに電源を押したが、土産のことを思い出して立ち上がる。「これ、良かったらどうぞ」「気を使わせて悪いね。でも、嬉しいな。何が入っているんだろう?」「ラスクです。店の前がすごい行列で『どんなもんか [続きを読む]
  • 非常階段の恋人 41
  •  人の気配を感じて振り返ると、施設長がフロアの陰から現れ片手を上げていた。休日の彼は白のバンドカラーシャツに8分丈のパンツというラフないでたちで、スーツ姿しか知らない礼音はそのギャップに見入ってしまう。「迷わずに来れた?」「地下鉄の傍だったんで、すぐ分かりました」「今日は来てくれて嬉しいな。明日は休み?」「はい」「ならゆっくり出来るね。あれだったら泊まっていけばいい」『泊まりだって?!』と心の中で [続きを読む]
  • 非常階段の恋人 40
  •  それってどういう意味? と、言葉の続きを知りたかった礼音は慌てて振り返るが、肝心の花井は大きな背中を揺らしながら遅番のスタッフの方へ歩いているところ。「チーフったら、まだ居たんですか?」「中原君と話してた」「えっ、中原君?」と、厨房を覗き込む瞳と目が合った礼音は皿洗いの手を動かしながら会釈した。「すみません。もう帰ります」「二人で居残りなんて珍しい」「何を話をしていたの?」とニヤニヤされて言葉に [続きを読む]
  • 非常階段の恋人 39
  •  礼音は花井が封印していた過去を話してくれたことに嬉しさを覚える反面、胸を締め付けられるような痛みも感じていた。 彼の人生は紆余曲折であった。高校時代はバスケットボールの選手として将来を有望視されていたのに事故でその夢が潰え、その後恩人ともいえる伴侶と巡り合ったけれど不妊という壁を越えられずに離婚。『フランス料理の修行を断念する』という代償を払ったにもかかわらずである。 それを思うと涙が滲んできた [続きを読む]
  • 非常階段の恋人 38
  •  そう思った時には口に出していた。「本当は、奥さんが来るから行きたくなかったりして……」 この言葉に花井の片方の眉がピクリと動くのを見た礼音は、『余計なことを言った』と臍を噛んだのだが―――「彼女は来ない」「え?」「同窓会のハガキが届いたあと連絡があって。『出席する』と答えたら『自分は遠慮しておく』と言っていた」「そうなんだ……」「同窓会で元旦那と顔を合わせられるほど図太かないさ」「あのう、奥さん [続きを読む]
  • 非常階段の恋人 37
  • 「す、すいません……」「なんで謝るの?」「それは……」「気を使わなくていいよ」「そんなつもりじゃ……」「あいつんち、マンションの最上階でモデルルームみたいに綺麗だよ」「そうなんですか……」「花火大会の日に行った時、リビングの窓ガラス一面に大輪の花火が映って見事だったな」「施設長さんの家には よく行くんですか?」「全然。その一度きり」「意外ですね」「会うのはもっぱら例の居酒屋さ。まあ、大学進学で上京 [続きを読む]
  • 非常階段の恋人 36
  •  その日の夜、ベッドに横になった礼音はクリーム色の天井を眺めながら呟いた。「抱きしめるってことは…… 俺に気があるのかな?」 いやいや、あり得ない…… と首を振ると、理由をあげつらっていった。 まず、あれは自分を励ます行為で愛情表現とは違うだろう。以前花井にされたのと同じで、あの世代は こういった場合ハグするものなのかもしれない。 そして、自分に好意を持つ理由が皆目見当がつかない。あれほどの男が何 [続きを読む]
  • 非常階段の恋人 35
  • 「彼は、ええっと…… 同性愛者だったの?」「いいえ」「じゃあ、昔からの知り合い?」「ぜんぜん」「それなのに よく思い切ったことをしたな、成り行きとはいえ」「俺、無謀なんです。こう見えて」「ある意味、男らしいというか……」「施設長さんだったらしませんよね、こんなバカなこと」 苦笑いする施設長を尻目に、礼音は質問を投げかけてみた。彼がゲイであるという確信はなかったけれど、これまで抱えていた疑問や悩みに [続きを読む]
  • 非常階段の恋人 34
  •  花井に振られ、倫太郎と恋人関係を解消してから、礼音は今まで味わったことのない空虚感を覚えるようになった。学校にいる時やバイト中、友人たちと遊ぶときは気分が紛れたが、誰もいない部屋に帰って来ると それに孤独感が加わり、寝る時も明かりを灯し、テレビもつけっぱなしになった。――― 花井に告白したのも、倫太郎との関係を見直したのも自分の意思でやったことなのに 【後悔】と言う二文字が脳裏によぎる度に頭を振 [続きを読む]
  • 非常階段の恋人 33
  •  父親の葬儀後、倫太郎はしばらく実家にいた。その間、礼音の携帯に葬儀参列のお礼の電話があり、気遣いの言葉と喪主をやり遂げたことへの感嘆の弁を述べると『長男として当たり前のことをしただけ。でも、法要や相続、役所や保険の手続きとか分からないことばかりで頭を抱えている。しばらくは実家と学校を行き来しそうだ』 と言い、受話口の向こうで苦笑いをしていた。 また連絡する――― そう言い残して電話が切れた後、ぷ [続きを読む]
  • 非常階段の恋人 32
  •  倫太郎からの電話に礼音の鼓動は早鐘のように打ち始め、もたつく指先でタップした。「倫ちゃん、大丈夫なの?」 唇から出たのは、幼馴染をいたわる言葉。バスの車内にもかかわらず声が大きくなったが、興奮を抑えることが出来ない。「丁度、倫ちゃんにメールしてたところだったんだ。おじさん、大変なことになったね」『知っていたのか?』「母さんから電話があって。俺、なんて言ったらいいのか……」 諦めていた倫太郎からの [続きを読む]
  • 近況報告
  • おひさしぶりです、八朔みかんです。変な広告が出始めたのでここいらで近況報告を……ツイッターでも書いたんですが、一ケ月前に転職してから怒涛の日々を送っています。体も頭も四苦八苦していて小説を書く余裕がないので、話の続きはもう少しあとになりそうです。今しばらくお待ちくださいませ。 [続きを読む]