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花より男子の二次小説 総×つくメイン ちょい暗総二郎とエロ門さんがいます あき×つく・類×つくもあり

花男にはまって幾星霜… いつまで経っても、自分の中の花男Loveが治まりません。 コミックは類派! 二次は総二郎派!(笑) 総×つくメインですが、総×つくメインですが、類×つく、あき×つくも、ちょっとずつUPしています!

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2014/04/23

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  • 春の訪れ

    あたしが変わらなければいいだけなんだ・・・と、ずっと自分に言い聞かせてた。あいつに忘れられて。それでもあたしは忘れられなくて。いつか、何かの拍子に記憶が戻ったら、あいつはあたしのところに帰って来てくれる筈。だって言ってたもん。NYには帰らないって。家を出るって。正気に戻ったら、絶対に有言実行しちゃうよ。あいつはそういうヤツだもん。だから、あたしはその時まで変わらなければいい。いつも通りに暮らして。自...

  • 指先の魔法 -side つくし-

    試験期間直前の週末。レポート採点の科目は締切が迫るし、試験勉強はしなきゃいけないしで、あたしはバイトを休んで勉学に勤しんでいる。この土日はF3が入れ替わりで得意科目を教えてくれるというので、美作さんちのライブラリーに通わせてもらっていた。お天気のいい日曜日。青空の下をお散歩でもしたら気持ちいいだろうに、あたしは勉強に次ぐ勉強だ。でも美作さんちって勉強捗るの。ライブラリーは落ち着いた雰囲気で、双子ちゃ...

  • 何はなくとも

    今日は牧野の誕生日。分かっちゃいたけど、年末年始はどうにも忙しくて。やっと牧野の部屋に辿り着いた時には日付が変わる直前。牧野は俺が来るなんて思ってもなかったんだろう。独りぐうすか眠ってた。薄暗い部屋の中、微かな寝息を吐きながら、牧野がぎゅうっと抱きついているのは俺・・・じゃなくて、俺が普段使っている枕だ!何だよ?もーのすごく虚しい。まるでこれじゃ俺なんかいなくても枕さえありゃいいみたいじゃね?と思...

  • my happiness ~sequel of 独り占め~

    このお話は「fake」の後日譚「独り占め」の更にその後…の2人です。とっくに書き終わったお話でしたが、あのソファで2人はどんな風に過ごしてるのかな?とぼんやり考えていたのです。お誕生日SSとしてお納め下さい。♡┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈♡お早う。頂きます。ご馳走様。行ってきます。ただいま。お休み。そんな日常の挨拶にいちいち律儀に応えてくれる。お早う。召し上がれ。お粗末様でした。行ってらっしゃい。お帰りなさい。お休みなさ...

  • 現在チャットルームを開放しています!

    皆様、今晩は。hortensiaです。開店休業状態、スミマセン。安定のギリギリ告知ですが。明日12月3日は我らが総二郎のお誕生日です。なので例年通り「お誕生日おめでとー!」を😱チャット会開催します。今回もLINEのオープンチャット機能を使ってのチャットルームです。(LINEされていない方、申し訳ないです・・・)既に開放中ですが、管理人はいつでもINしている訳ではないので、チャット会まではしーんとしているかもしれません。...

  • Best friend or sweetheart ?

    牧野の部屋で何をするともなく過ごしてる夕べ。10月も今日で終わり。日が暮れるのは早くなり、外の空気はかなり肌寒くなったけれど、この牧野の部屋はまだ暖房器具は使わないのだそうだ。そんなタイミングではないらしい。郷に入っては郷に従え。我儘は言わない事にしている。畳の床で脚を投げ出し、ぼうっとテレビの画面を見ていたら、不意にブランケットが目の前に降ってきた。「類、それ掛けてるとあったかいよ!肌触りもいいの...

  • 粉雪舞い降りる君の肩先 18

    「なあ、牧野・・・俺、今から物凄く格好悪い事言うよ。」間近にある牧野の濡れたように耀く瞳に、俺だけが映っている。それはとても嬉しい事なのに、俺の中に隠されている後ろ暗い思いを何も知らないからこんなに無垢なのだと思うと、自分の中に罪悪感が芽生える。そして胸のどこかがじくじくと疼く。引っ越して欲しいだなんて、単なる俺の我儘でしかない。俺の独占欲からこんな事を言い出してる。なあ、牧野。頼むから、司をずっ...

  • 粉雪舞い降りる君の肩先 17

    美作さんの腕の中はドキドキする。ただドキドキするだけじゃなくて、優しく護られている安心感もある。なのに同時に、足元を何かに掬われそうな心許ない気持ちも湧いてきて、広く温かな胸に触れてしまった緊張で身体をカチコチにさせながら、自分の中の様々な感情の波に揺られて混乱していた。頭の上から「はぁ・・・」という溜息が小さく聞こえてくる。その意味に思いを巡らす前に、美作さんが「ヤバい。」と呟いた。え?何がヤバ...

  • 粉雪舞い降りる君の肩先 16

    牧野と手を携えて歩いていくと決めた。そしてそれを牧野も受け入れてくれた。だけど、その次に何をしていいか見えなかった。牧野がずっと抱えてきた痛みや、俺と一緒にいる事で新たに抱えてしまった不安を和らげる為に、どうするべきなのか?そして、牧野との距離感も分からない。ずっと手を繋いできた。時々ハグもした。だけど、それ以上の事をするのはどうしても躊躇われた。牧野はそんな事を求めてないんじゃないかと思ったから...

  • 粉雪舞い降りる君の肩先 15

    想いを告げた日から1週間。今日は牧野のアパートに招かれている。俺の誕生日をうっかり忘れていた牧野による、仕切り直しの祝いの食事をご馳走してくれる約束だった。12時丁度。牧野が指定してきた時間にドアをノックすると、「はあい!」と朗らかな声が聞こえてきて、そしてドアが開いた。俺の顔を見た途端、ぱっと明るく輝くような笑顔になった牧野が現れる。「流石美作さん。時間ぴったり!」「今日はお招きありがとう、牧野。...

  • 君の願い、俺の願い

    梅雨はどこに行ったのか?と思う程に蒸し暑い東京の7月が始まった。そこかしこで鮮やかに咲いていた紫陽花は色が淡くなり、それと反比例して街路樹の葉の緑とその下に落ちる影は濃くなった。それらも本格的な夏の始まりを告げているようだ。それでも陽が傾くと空気は急に涼しくなる。今夜はいつものメンバーで食事する事になっている。店を予約したのは俺で、邸から店に行く途中に牧野のバイト先があるから、ピックアップするのも...

  • 現在チャットルームを開放しています!

    皆様、今晩は。hortensiaです。またもやギリギリ告知でございますが。本日7月7日、七夕ですね。夏は誰のお誕生日もないので、七夕にかこつけてチャット会しようかな・・・と思います!今回もLINEのオープンチャット機能を使ってのチャットルームです。(LINEされていない方、申し訳ないです・・・)既に開放中ですが、管理人はいつでもINしている訳ではないので、チャット会まではしーんとしているかもしれません。もし事前に覗か...

  • 愛しさの塊

    久しぶりに会えるという日の夜。折角「ご飯作って待ってるね。」と言ってくれていたのに、俺が牧野の部屋に辿り着いたのは、飯の時間どころか、日付が変わってしまった午前1時過ぎ。怒って寝てしまっているだろうか?と思いつつ、そうっとドアを開けた先に見えたのは、テーブルの上に並べられたラップのかかった皿と、待ちくたびれてその狭間に突っ伏して眠っている牧野の姿だった。俺と一緒に食べようと思って、料理に手を付けず...

  • 拙blogの文字サイズについて

    いつもお運び有り難うございます。hortensiaです。コメントへのお返事、溜め込みまくってて、ホント申し訳ないです。もうちょっと落ち着いたら、少しずつでもお返事していきたいと思っております。この度、拙blogの「小さい字が読みにくい」とのご意見を頂きました。ナルホド、ほかにも同じように思われている方もいらっしゃるかもしれない…と思って、記事にてご回答させて頂く事にしました。...

  • I just want to…

    ああ、そろそろ夏なんだな・・・と思ったのは、あいつが自分の半袖Tシャツの右袖で目元を拭っているのを見つけた時だ。講義が終わった広い教室に一人ぽつんと座ったまま、あいつは声もたてずにひっそりと泣いていた。俺がそれを見てしまったのなんか、まるっきり気付いていない。手元の携帯の画面を見詰め、ぽろりと涙を流し、そしてそれをそっと拭ってから、目を瞑って大きく深呼吸した。携帯で何を見たのか、聞かなくても分かる...

  • Sparkle!

    「あたし、雨上がりの夜って好き!」そう言って、腕に掛けた傘をぶらぶら揺らしつつ笑う牧野の横顔が、街灯に照らされて淡く浮かび上がる。「色んな物に雨粒がくっ付いてるからキラキラして見えて。空気がしっとりしてて、ほら、深呼吸するといつもより酸素が濃いような気までしてくるでしょ。」立ち止まって軽く目を閉じて、本当に深く息を吸い込んでいる。ばーか、雨上がりに急に空気中の酸素濃度が上がったりする訳ないだろうが...

  • 雨の夜明け

    空が薄らと白み始めた明け方。しとしとと降る雨の音が、細く開けられた窓から冷気と共に流れ込んでくる。気に入っていると言っていた柔らかなブランケットに無造作に包まって、カーテンの狭間から窓の外を見ている牧野がいた。こんな朝早くに何してんだ?窓開けてて寒くないか?雨音聞いてんのか?それとも・・・ 雨の日に別れた男を思い出してる?どれもこれも口には出さないまま、半分ブランケットで隠れている後ろ姿をじっと見...

  • 雨の夜明け

    空が薄らと白み始めた明け方。しとしとと降る雨の音が、細く開けられた窓から冷気と共に流れ込んでくる。気に入っていると言っていた柔らかなブランケットに無造作に包まって、カーテンの狭間から窓の外を見ている牧野がいた。こんな朝早くに何してんだ?窓開けてて寒くないか?雨音聞いてんのか?それとも・・・ 雨の日に別れた男を思い出してる?思い付いた言葉はどれもこれも口には出さないまま、半分ブランケットで隠れている...

  • ご連絡をお願いします

    プレゼント企画に5月1日にご応募頂いた、和田様メールをお送りしたいので、下の問い合わせフォームからご連絡をお願いします。[FC2メールフォーム]...

  • 9周年プレゼント企画のお知らせ🎵

    祝・Blog開設9周年!先日、拙宅はなんと10年目に突入しました。こんなに続けられるとは、始めた時は思っていなかったです。いつもお読み頂き、応援してくださって有り難うございます!去年の総二郎のお誕生日の時にプレゼント企画をさせて頂きましたが、色んな方から喜んで頂けたり、楽しいやり取りをさせて頂いた事に、管理人、味をしめまして笑9周年のお祝い企画してとして、また考えてみました。良かったらご参加下さいませ。...

  • Full of smiles 《Akira’s view》

    「あいつ、綺麗だな。」隣で司がそんな事を呟くから、つい横顔をじっと見詰めてしまった。司の視線は真っ直ぐに牧野に向かってる。「ホントに綺麗だ。」言葉の響きは、とびきり優しく、司の想いが滲んでいて、俺まで切なくなってしまった。だけどそれきり口を結んだ司の横顔は、少しだけ口角が上がっているように見える。俺ももう一度2人の方へと顔を向けると、そこには今まで見てきた中で一番眩しく輝いている牧野の笑顔と、こん...

  • Midnight call

    深夜に掛けた電話。何度目かの呼び出し音の後、牧野の寝惚けた声がする。「ん・・・、西門さん?」「わりぃ、寝てたか?」「んー、ソファで転寝しちゃってたから、起こしてくれて丁度よかった。こんな遅くまでお仕事だったの?」「まあな。酒の席だったから。」「そっか。お疲れ様ー。結構飲まされちゃった?」「多少は。でもご存知の通り、俺うわばみだから。つくしちゃんと違ってそうそう簡単には酔わねえの。」「それ、いいんだ...

  • I’m just loving you

    ♪性別も 年齢も 家柄も 国籍も 外見も 年収も 過去も何もかも全部関係ないのが恋だろ 乗り越えられんのが恋だろ♪こんな事を歌っている奴は、実際にはそれら全部を乗り越えた事ないんじゃねえか?気持ちさえあればあれもこれも乗り越えられると信じてるなら、それは夢物語だ。リアルはそんな優しい世界じゃねえ。現に俺は四苦八苦してる。牧野じゃ駄目だと言われる事は最初から承知の上。それでも俺には牧野しかいないんだと分から...

  • 君のための指輪

    このところずっと海外に行く度に、宝飾店に足を運んでしまう。いや、海外だけじゃない。日本でだって、どこでも目に付いた店があったら入ってしまう。探しているものはただ一つ。牧野の薬指を彩る為の指輪。だけど、どこでどんな指輪を見ても、これだ!というものに巡り会えない。大きな石の綺羅びやかなもの、小さな石の可愛らしいもの、石のグレードが高いもの、デザインが優れているもの・・・。美しい指輪は沢山ショーケースの...

  • 現在チャットルームを開放しています!

    ちょっとご無沙汰してます、hortensiaです。今晩は。まあ、色々ありまして…春は花粉とか、花粉とか、花粉とか(´༎ຶོρ༎ຶོ`)いや、それ以外にも色々とございまして、頑張れないでおりました。そしていつも通り、ギリギリ告知でスミマセン。明日、30日は類のお誕生日なのです。なので、平日ですが今夜チャット会開催します。また0時になったら皆様で「おめでとー!」と叫べたら嬉しいです。今回もLINEのオープンチャット機能を使っての...

  • 牧野を腕の中に閉じ込める。どこにも行かないように。他の誰かが牧野の目に入らないように。そう、俺の腕は柔らかな檻なんだ。牧野を捕らえて逃さないようにする為の檻。素直に抱き留められているこいつは、俺を見上げて、ふんわりと笑う。そしてふっくらとした頬を俺の胸に添わせて、「こうしていると安心する。」と呟いた。俺はちっとも安心なんか出来やしない。こんな時間はいつこの手から零れ落ちてしまうか分からない。檻の格...

  • 粉雪舞い降りる君の肩先 14

    昨日もとい今朝牧野の部屋を出てから半日ぶりに顔を合わせた。牧野はどこか気恥ずかしそうだ。あまり俺と目を合わせてくれない。昨夜いっぱい泣いてしまったことや、うっかり寝入ってしまったのを気にしているんだろうか。そんなの、気にしなくていいのに。そう思いながら車に乗せた。「今日はどこに行くの、美作さん?」「うーん、どこ行こうか?昨日遠出したから、今日は近場がいいかな。牧野はまた明日からはバイトなんだろうし...

  • unlock my heart

    眠りに落ちていく寸前の牧野がすこぶる可愛い。これがデレるってやつなんだろうか?今も俺の肩先にこめかみの辺りを擦り寄せてる。ぱっちり目が覚めてる時の牧野なら絶対しないであろう、ダイレクトに甘えてくる仕草に自然と頬が緩んでしまう。想いが溢れてしまって、そっと額にキスをすると、擽ったかったのか牧野がほんの一瞬だけ目を開けた。「悪い、起こしたか?」「みま・・・さか、さん・・・?」「うん?」「ぎゅ・・・」そ...

  • 現在チャットルームを開放しています!

    今日はー、hortensiaです。ギリギリでスミマセン。気付いたら、もう明日があきらのお誕生日でした。忘れてない、忘れてないよ!例年通り、今夜チャット会開催します。0時になったら皆で「おめでとー!」と叫びましょう♪今回もLINEのオープンチャット機能を使ってのチャットルームです。(LINEされていない方、申し訳ないです・・・)既に開放中ですが、管理人はいつでもINしている訳ではないので、チャット会まではしーんとしてい...

  • 粉雪舞い降りる君の肩先 13

    目が覚めたら電気を点けっぱなしのまま、炬燵で眠ってしまっていたのに気が付いた。眩しくて、脚がちょっと暑くて、喉がカラカラだ。ああ、あたしってばまたやっちゃった・・・ホント炬燵ってぬくぬくあったかくて抜けられないんだよねぇ。そう思ったけれど、何だかいつもとちょっとだけ違う。息をするとふわりと優しい香りが鼻をくすぐる。もう一度目を瞑って、その香りを胸いっぱい吸い込んだ。うーん、これって何だっけ?何か美...

  • 粉雪舞い降りる君の肩先 12

    涙を流している牧野を背中から抱き締めながら、頭の何処かで司の事を考えていた。あの時『あきら、牧野を頼む。』と言った司の事を。牧野を護る為に、自分を犠牲にすると決めた司の想いを。俺はそれを踏み台にして、今牧野を手にした。牧野をこの腕に抱き締めて、この世の誰よりも幸せになった筈だというのに、胸には鈍い痛みが走っている。牧野と共に生きていくという事は、この身に幸せを浴びるように受ける・・・という事ではな...

  • Call my name 41

    牧野の手の怪我の事を知った翌朝、俺が独りダイニングで朝食を食べているところにお袋が入ってきた。いつも俺とは同じテーブルについたりしないから、この時間にこの空間で姿を見るだけで違和感を覚える。「お早う、総二郎さん。」「・・・お早うございます。」「少しお話ししたい事があるのですけれど。お食事が終わったら、私の部屋までお願いします。」なんなんだ、朝っぱらから。こんなの良いニュースの訳がない。一気に気分が...

  • Happy new email

    新年明けましておめでとうございます。今年も拙宅を宜しくお願いします。年明けて、戯れに思い付いたものを書き留めてみました。_________ふうー。つい溜息吐いてた。いけない、いけない。幸せ逃げてっちゃう、こんなの。しっかりするのよ、つくし!お正月はさ、会えないの。忙しいんだよね、あの人。お家の事、色々あるらしい。特に年越しの時間は、ご家族でお茶室に籠ってやる、何か儀式的なものがあるんだって。へえー...

  • I swear…

    クリスマス。クリスマスってなんだろう?何で世間がこんな盛り上がってるのか、ちっとも分からない。だって、2000年以上前に生まれた誰かの誕生日だって言われても、全然その人を祝いたい気持ちにならないし。赤い服に白い髭のお爺さんがプレゼント配る夜って伝説もぴんと来ない。だけど牧野はすごく楽しそうなんだ。部屋の中に小さなツリーを飾って、「クリスマスディナーは何にしよう?」とか、「ケーキは小さいのを買おっか?」...

  • distance -on the ice-

    クリスマスSSの総二郎は、ご要望が多かった、「distance」の続編です。_________寒い。とても寒い。そして数多の人でごった返している。分かっていながらクリスマス・イヴに屋外スケートリンクなんて所に来たのは、牧野が雑誌のページを捲りながら、「わぁ、素敵ー。こんなとこ行ってみたーい!」と瞳をキラキラさせながら言ってたのを盗み見てたからで。その願いを叶えてやりたい!と思ってしまうのは不可抗力ってもんだ...

  • Silent night -後編-

    天気予報の通り、ちらちらと雪が降り始めた。このまま東京にとって返すと思っている牧野を次に連れて行くのはうちの別荘だ。こんな雪の夜でも寒くないように、今頃暖炉には火が入って、管理人が俺達が着くのを今か今かと待っているだろう。「はー、美味しかったぁ。でも美作さん、あたしの分のお食事代払わせてくれないんだもん。あたし、ただ車に乗ってるだけで、高速料金だってガソリン代だって幾らくらいか全然分かんないし・・...

  • Silent night -中編-

    12月23日、金曜日の朝。何気なく点けていたテレビの天気予報で、お天気キャスターが言った言葉につい手を止めて画面を観た。「今夜から、冬型の気圧配置が強まり、上空には強い寒気が流れ込む見込みです。日本列島の広い範囲で雪が降るでしょう。最も積雪が多いのは東北の日本海側と北陸で、予想降雪量は、明日18時までの24時間に多い所で50cmとなっています。また、関東甲信越、東海の山間部でも雪が降る恐れがあります。お出掛け...

  • Silent night -前編-

    4人で会うのは久しぶりだった。タイミングが合えば総二郎と2人で飲んだり。偶に牧野が邸に遊びに来て、絵夢と芽夢を交えて食事をしたりはしていたけれど。牧野を俺達3人で囲んでいるのは本当に久々だ。総二郎が誕生日だったから・・・とか、ちょっと早い牧野の誕生祝いと忘年会を兼ねて・・・とか、無理に理由をつけないと、4人の都合を合わせて会う・・・なんて気軽に出来なくなったのは、全員が社会人になった証とも言えた。俺達...

  • Call my name 40

    時折頭の中を黒い陰が過ぎる。大きな翼を持った真っ黒な鳥が、音もたてずにすうっと飛んでいくみたいに。その時は嫌な感じがして胸がざわりと騒ぐけれど、直ぐにどこかに消えていくから、忘れた振りをしてやり過ごしていた。だけど、不意に襲って来る黒い陰は現れる間隔が段々と短くなっていく。ほんの時たまだったのが、ひと月に一度になり、二度になり。1週間に一度になり。気付けば毎日の様に現れるようになっていた。自室で独...

  • 総二郎Birthday Present 企画のお知らせ♪

    長年、拙Blogを愛でて頂き有り難うございます!Blog開設から9年目・・・一度も思い浮かんだ事すら無かったんですけど^^;この前、不意に思い付きました!総二郎のお誕生日だけど、いつも読みに来て下さってる皆様に総二郎からご恩返しをさせようじゃないか!と。管理人の趣味に物凄く偏った企画ですが、お楽しみ頂けたらと思います。...

  • 照れ屋×照れ屋の恋模様

    俺が眠り込んでいると思ってる時の牧野が可愛くて、いつもついつい狸寝入りをしてしまう。夜中、ふと目を覚ましたらしい牧野が、こっそりとベッドを降りて、部屋着を着ていたり。冷蔵庫を開けて飲み物を飲んでいたり。牧野がベッドから抜け出そうとゴソゴソし始めた時に俺も目が覚めてるんだけど、目を瞑ったまま耳を欹てて、牧野の動きをトレースしてる。やりたい事をし終えたら、忍び足でベッドに戻ってくる気配がする。そろりそ...

  • distance -後編-

    色々自分の中で決めてる事がある。その1、なるべく2人きりにならない事!その2、常に1m以上の距離を保つ事!その3、目をしっかりとは合わせない事!その4、真面に話を取り合わない事!その5、一緒に歩く時は隣を歩かない事!2人きりになると、あたしテンパって変なこと口走るかもしれないから。細心の注意を払って、2人きりにならないようにしてた筈なのに。どうしてか、今はカフェで向かい合ってる・・・。何でこんな事になっちゃ...

  • distance-前編-

    21cm。それは俺と牧野の身長差。丁度俺の顎の位置と牧野の頭の天辺が同じ高さなんだ。このまま抱き締めたら、あのつやつやさらさらとした黒髪が唇に触れるんだろうな・・・とか。バックハグして、俺の顎をあの頭の天辺に載せて、牧野をすっぽりと俺に取り込んでしまいたい・・・とか。エスカレーターの蹴上げ1段分が丁度同じ目線になる高さだから、上りエスカレーターで牧野が前に乗って、くるりと俺の方に振り向くと、間近で顔を...

  • 現在チャットルームを開放しています!

    今日はー、hortensiaです。ギリギリでスミマセン。もう明日が総二郎のお誕生日です!例年通り、今夜チャット会しましょう!0時になったら皆で「おめでとー!」と叫びましょう♪今回もLINEのオープンチャット機能を使ってのチャットルームです。(LINEされていない方、申し訳ないです・・・)既に開放中ですが、管理人はいつでもINしている訳ではないので、チャット会まではしーんとしているかもしれません。もし事前に覗かれたら、...

  • Call my name 39

    その日見た夢には音がなかった。まるでサイレント映画のようだった。牧野が弾けるように笑ってる。眩しくて見詰めるのに目を細めずにいられない程に。キラキラと光の欠片を振り撒くように笑顔を溢して俺を魅了する。いつもの泣き笑いじゃない。空気に溶けて消えていきそうな儚い微笑みじゃない。かつての、事故の前の牧野のように、顔中に喜びだとか、幸せだとか楽しさを滲み出させた大きな向日葵の花のような笑い顔。そんな牧野に...

  • 秋色片想い〈sideつくし〉-後編-

    え?え?え? 今のって・・・自分の頬っぺたを指先で辿って、さっきの微かな感触を反芻する。そうっと首を回して隣の人を窺うと、いつもと変わらない涼しい顔をして、窓の外の景色を見ていた。「何したの、今?」「ん? 別に何も?」「嘘。だって何か・・・」ふっと小さく笑って、ちらっとあたしの方に視線を流し、「ほら、お待ちかねのケーキがくるぞ。」なんて言う。本当にウェイトレスさんが来たから、頬っぺたの感触の事はうや...

  • 秋色片想い〈sideつくし〉-中編-

    美作さんとは大学に行けば顔を合わせてしまう。逃げ帰ったあたしは気不味い思いを抱えているのに、あたしに会っても美作さんはいつもとちっとも変わらない態度だった。 「この前はごめんなさい、急にお暇しちゃって。」「ああ、別に気にするなよ。バイトの時間忘れてたなんて、牧野はうっかりだなぁ。」美作さんはそう言ってにこやかに笑っている。「うん、ごめん。絵夢ちゃん、芽夢ちゃんにもごめんねって言っておいてね。」「大...

  • 秋色片想い〈sideつくし〉-前編-

    「俺には好きな人がいるんだ。どこかのマダムとかじゃなくて。本当に心の底から好きな人がいる。だけどその人にはずっと想ってる相手がいて。その男を心から愛しているから。俺が胸に秘めてる想いになんか気付きもしないけど。俺はその人の事だけを想ってるんだ。」遊園地からの帰り道、車の中でそんな秘密の恋心を漏らした美作さん。その時のあたしは、ちょっと引き攣っていたかもしれないけれど、一所懸命に作り笑いをしながら「...

  • 秋色片想い -後編-

    そのまま双子やお袋と一緒に車に乗って帰ろうとしたら、お袋が「つくしちゃん、子供達のお姉さん役、本当にありがとう。小さな子と一緒じゃ、遊園地満喫出来なかったでしょう?今からもう少しあきらくんと回ってきたら?」と言って俺達に車から降りるように促した。それは俺も気になっていたところで。折角ここまで来たのだから、牧野が乗りたいだろうアトラクションに乗せてやりたかった。「え・・・? どうする、美作さん?」「...

  • 秋色片想い -中編-

    10月になって、急に街の中にはオレンジ色の南瓜や蝙蝠のディスプレイが目立つようになり、それに影響されたのか、テレビで何かを観たのか、それとも絵本でも読んだのか、双子がハロウィンデコレーションが施された遊園地にコスプレして行きたいと言い出した。この家でそういう我儘を聞いてやるのは俺の役目なのが常。1人で双子を連れて行くよりも、牧野と一緒に行けたら楽しくなるな・・・と思って声を掛けてみると、「バイトが休...

  • 秋色片想い -前編-

    秋分を過ぎてもなお、汗ばむ暑い日が続くな・・・と思っていたのに、数日しとしとと雨が降る日が訪れて、その雨は急に秋を呼び寄せた。少しひんやりとした空気の中にはオスマンサスの香りが甘く漂っている。講義終わりにばったり顔を合わせた牧野は、衣替えが間に合っていないのか、お気に入りだと言って夏の盛りに愛用していた半袖のブラウスの上に薄いカーディガン、更にその上に薄手のパーカーを羽織っていた。「あたし、今日バ...

  • 魔法使いにはなれないけれど

    8月も半ばを過ぎ、やっともぎ取った短い夏季休暇。夏と言えば海だ!海と言ったら水着姿の牧野だ!いや、あいつは凹凸はねえよ?それでも水辺ではしゃぐ姿を見てえじゃねえか!だから電話を掛けたんだ。「なあ、つくしちゃん、海行こうぜ!」「えー? お盆過ぎたら海月が出るから海は入らないものなんだよ。西門さん、そんな事も知らないの?それにこの間、カツオノエボシも大発生ってニュース見たもん。見た目綺麗だけど、刺された...

  • I’m addicted to you !

    初めて本当に人を好きになったんだ。自分よりも大切だって思える存在に巡り会ったんだ。目に入れても痛くないとか、食べちゃいたい位に可愛いとか、そういう気持ちって、いつか子供や孫を授かった時や、ペットを飼ったら理解出来るのかも知れない・・・と漠然と思っていたけれど、沸き起こる想いはちょっとそれに近い。どんな表情も、どんな仕草も可愛くて、いつだって触れていたくて、キスしていたくて。何ならふっくら柔らかな頬...

  • 搭乗3分前

    またリハビリ的に短いのから書いていきます^^;_________空港の出発ロビー。俺はゲートの前で、搭乗案内のアナウンスを聞いている。機上ではWi-Fiは使えても、携帯電話での通話は出来ないから、声を聞くなら今が最後のタイミングだ。愛しの彼女はたった2コールで電話に出てくれた。「もしもし、牧野?」「美作さん!?もうすぐ飛行機出発の時間じゃないの?」「うん、もう乗らないと。」「早く!早くしないと乗り遅れちゃ...

  • le temps doux

    牧野への気持ちを言葉にしようとしても全然上手くいかない。いくら考えても、この胸の中に湧いて来る想いを言葉にするには、この世のどんな言語を以てしても足りないんだ。牧野に真っ直ぐ想いを届けられなくて、もどかしくて。そんな時、自分はとても不器用で、不完全な人間なんだって思い知らされる。牧野の声が聴こえるだけで、心が騒ぐ。耳から入った声は身体中を駆け巡り、途端に俺に生気を与えてく。声がした方に顔を向ければ...

  • 只今チャットルームを開放しています!

    ギリギリで申し訳ありません^^;明日、3月30日は類のお誕生日!という事で、現在LINEのオープンチャットのチャットルームを開放しています。 リンクはコチラ!↓↓↓↓↓ オープンチャット「花沢類生誕祭2022」 QRコード↓↓↓↓↓LINEのオープンチャットを検索から探す時は、LINEのホーム画面から「サービス」を選んで頂き、下にスクロールしていくと、「エンターテイメント」の中に「オープンチャット」がありますので、これを選択。検索バ...

  • sweet sweet my lover ー中編ー

    美作さんがこんな仕草するなんて、初めての事だと思う。そもそもいつもあたしが一方的に甘やかされていて、美作さんがあたしに甘えてくる・・・なんてシチュエーションになった事がない。だから、お酒が入ってるとはいえ、こんないつもと違う美作さんが現れて、なんとも言えない気持ちが湧いてきた。ちょっと嬉しくて、どこか気恥ずかしくもある。いつものドキドキとはちょっと種類の違う胸の高鳴りが生まれてくるような気がする。...

  • sweet sweet my lover ー前編ー

    えっと、あの・・・、なんて言うか・・・今夜の美作さん、色気の蛇口がぶっ壊れてます!だだ漏れなんてもんじゃない。ジャージャー全開で流れ出てるとでも言いましょうか。とにかく、ヤバいの!ヤバいんですぅ!夜ちょっと遅くなってからあたしの部屋へとやって来た美作さんは、最初からいつもと様子が違ってた。ちょっと気怠そうで、纏う雰囲気がとても甘い。「ごめん、遅くなった・・・。」ドアを開けたあたしを、そう言いながら...

  • 只今チャットルームを開放しています!

    今日は。バレンタイン以来身を潜めておりましたhortensiaでございます。リアル拙宅で色々ありまして・・・お話を書く時間を取れないでおりました。気がついたらあきらのお誕生日前日でした!何のおもてなしも出来ませんが、とりあえず『おめでとう!』を叫ぶ場だけでも・・・と、いつも通りチャットルームをご用意させて頂きました。LINEのオープンチャット機能を使ってのチャットルームです。(LINEされていない方、申し訳ないで...

  • White Valentine’s Day

    「西門さんっ!ねえ、見て見て見て、窓の外!」「んー、何だ?」「外! 雪降ってる!」いつも掛かってるレースのカーテンを開けて、窓ガラスの曇りを掌できゅっきゅと拭いて、牧野はそこから外を見てる。どんより曇っていた冬空から、白い小さな雪の礫が降り始めていた。東京に雪が降る事自体珍しいけれど。こんな粉雪がちらついた程度でテンション上がるなんて単純だな・・・と思ったが、それを言うと睨まれそうだから、テキトー...

  • ずっとこの時を待っていた -後編-

    一部少々下品な表現があります(*/∀\*)先にお知らせしておきます(苦笑)*・。*・。*・。*・。*・。*・。*・。*・。1人トイレの中で考え込んでいたら、ドアが控えめな音でこんこんこんとノックされる。「つくしちゃん、大丈夫か?具合悪くなったりしてないか?」具合は悪くないけれど、訳が分からなくなっている。ドアを開けたらすぐそこに西門さんが立っていた。「お前、顔色悪いぞ。」そう言われてほっぺたを掌で包まれるけど、そ...

  • ずっとこの時を待っていた -中編-

    次に気が付いた時には、西門さんはもう買い物から帰って来ていた。あたしがソファを占領してしまっているから、ソファとコーヒーテーブルの隙間に座っているのだろう。すぐ目の前に広い背中と後頭部が見える。「帰ってきたなら起こしてくれていいのに。」そう声を掛けると、振り返ってあたしのおでこにそっと柔らかな唇を押し当ててる。おでこへのキスって好き。そこにキスされると、とってもあたしの事大事に思ってくれてる・・・...

  • ずっとこの時を待っていた -前編-

    疲れてる!あたし、疲れてる!とっても疲れてるんだよー!何だか最近体調があんまり良くない。ずーっと仕事忙しくて残業多かったから、肩凝り酷くてそのせいで頭痛もするし。疲れが溜まってるせいで身体もずーんと重い。部屋に帰って来てソファに身体を委ねてぐったりしてると、ぐらっと揺れている感覚に襲われる時がある。「あれ? 地震かな?」と思って辺りを見回すけれど、窓辺の観葉植物の葉っぱも揺れてないし、食器棚の中か...

  • Sweet sweet strawberry

    「ねえねえ、見て見て、西門さん!こーんなにおっきな苺! すごくない?」そう言いながらキッチンからリビングへとやって来た牧野。両手にやたらと大粒で真っ赤に色付いて艶々している苺を持ちながら、目をキラキラ輝かせてる。どうしてこいつは食べ物にこんなに心を動かされてしまうのか・・・。俺を見てこういう顔すりゃいいのに。あーあ、こいつにとって俺って苺以下の男なのか?敗北感がひたひたと忍び寄って来るのを無理矢理...

  • pretend -epilogue-

    総二郎と2人で酒を酌み交わすのは久しぶりだった。社会に出て互いの仕事が忙しくなってからは、個人的に会うのも間遠になっていたし、総二郎が結婚して以来、俺の中に勝手な蟠りがあって気楽に誘えないでいた。でも心のどこかには総二郎としっかり話したいという思いもあり・・・今夜、2人でかつて行っていたバーで飲む事になったのだった。「どうだ、結婚生活は?檻にでも入れられた気分か?」そう聞いたら、総二郎は口元を拳で押...

  • pretend «side総二郎» -epilogue-

    あの日から1年、そして俺が結婚して半年が過ぎた頃、桜子が手掛けたというレストランのオープニングパーティーに招待された。どうやら桜子は、いい金蔓もとい出資者を見付けたらしい。店の名は『La mer d'azur』。紺碧の海・・・とは、桜子らしからぬ爽やかな名だ。イタリアンとフレンチの折衷のような料理を出す『地中海料理レストラン』と銘打っていて、レストランウェディングも出来る造りに拘ったという店は、テラスからは海が...

  • pretend «side総二郎» -後編-

    牧野と会えなくなって、何もかも投げやりになった。周囲は意に染まない縁談が決まって、着々と準備が進んでいくのが気に入らない故の態度なのだろうと思っているようだったが、俺は自分を取り巻く全ての事がもうどうでも良かった。ここ西門においては俺の感情なんて一つも関係ない。ただただ誰かの決めた通りに事は運ばれていくだけだ。考える事を放棄して、抜け殻のようになっていた俺が人間らしい痛みを覚えたのは、突然訪ねてき...

  • pretend ーside総二郎ー 中編

    類に俺と牧野の間柄が露見したのは、そうやって常に2人で部屋に籠っていたからだった。気紛れに牧野の部屋を訪れた類に、馬鹿正直な牧野が慌てた対応をして、訝しがられた。玄関先で類を追い返す・・・なんて上手く出来なかった牧野。隠れてもしょうがない・・・と、腹を括った俺と類はリビングで顔を合わせた。「何でここに総二郎がいるの?」類の視線が俺に突き刺さる。後ろめたい事をしている自覚はあっても、その視線をちゃん...

  • pretend ーside総二郎ー 前編

    「もうここに来たら駄目だよ。今日でお終い。」牧野はそう言って静かに微笑んだ。「・・・何でだよ?」「そんなの・・・、当たり前じゃん。結婚決まったんでしょ?最初から『どちらかにホントに好きな人が出来るまで』って約束だったもん。」「・・・俺が結婚するのは、好きな女なんかじゃねえ。」「そんな屁理屈・・・。」、そこまで言って牧野は盛大な溜息を吐いた。呆れた・・・と言わんばかりの表情を浮かべて。そして俺を諭す...

  • pretend ー後編ー

    そっと唇を重ねても尚、牧野は俺を突き飛ばしはしなかった。それならば・・・と、淡く触れ合うキスを繰り返すうちに、溢れる吐息が、牧野に触れている掌が、どんどん熱くなるのを自覚する。啄むようなキスから、次第に唇ごと貪るようなキスに変わってくのを止められない。もっともっと・・・と欲しくなり、ごくりごくりと喉が鳴る。俺ってこんなに貪欲だったっけ・・・?女との逢瀬はいつも、ほどほどに楽しくて、少し刺激的な駆け...

  • pretend ー中編ー

    「ねえ、どう? こんなでいいの?」「・・・ああ、上出来。」牧野の声で我に返る。さっきまでの泣き笑いみたいな笑顔はもう消えて、いつもの屈託のない牧野に戻っていた。「そうやって気になる男に笑い掛けたら、コロっと落ちるぞ。」「そんな、達人の美作さんみたいに上手くいく訳ないよ。そもそも気になる人がいないって言ってるでしょ。」ふふふと笑って肩を小さく揺らし、グラスに残っていたカクテルをこくり・・・と飲み干す...

  • pretend ー前編ー

    総二郎が結婚した。西門と古くから付き合いのあった旧家の一人娘だという、整った容姿の女と。旧友の披露宴だというのに、司と類は現れなかった。来られない程の仕事を抱えているのか、遥か彼方で足止めされているのか、俺には何の連絡もない。新郎友人のテーブルは、俺と牧野と桜子と、後は顔見知りではあるけれど挨拶を交わす程度の付き合いしかない同年代の男女で埋められていた。そんな中でも牧野は異色だった。かつて英徳の中...

  • 聖なる夜の三つ巴の戦い! ー後編ー

    食事が始まった時にはアルコールを口にしていなかった牧野は、雰囲気に流されてあきらの作る軽いカクテルを2杯、3杯と飲んで、ちょっと頬が色付いている。食後のデザートを食べ終えたら、毎年恒例の、俺らから牧野へ、牧野から俺らへのプレゼント交換タイムになった。「メリークリスマス、牧野。俺からはこれ。」あきらがさり気なさを装いつつポケットから取り出した小さな包みの中は、凝ったデザインのバレッタ。「うわあ、キレー...

  • 聖なる夜の三つ巴の戦い! ー中編ー

    鈍感に効く薬があるなら飲ませたい。今飲んでいるマーマレード入りの紅茶にそんな効能があったらいいのに。切実にそう思いながら横顔を見てるけど、そんな事がある筈も無く。牧野の鈍感が改善される事はきっとこの先もないのだろう・・・と、諦めの溜息をこっそり吐き出した。俺、類、あきらが三角形を作っていて、その中心に牧野がいる。牧野と司が別れてから暫くは、傷心の牧野が立ち直って前を向いて歩ける迄、それぞれのやり方...

  • 聖なる夜の三つ巴の戦い! ー前編ー

    くるくるくる。紅茶の中に甘ーい甘ーいジャムをふた匙入れて、そうっと紅茶に溶けるまでかき混ぜたら、美味しいジャムティーの出来上がり。毎年クリスマスパーティーをするのは美作さんちと決まってる。何故なら、そこより素敵なパーティー会場が他に無いからだ。西門さんちや類のお家では、クリスマスパーティーなんてとてもとても場違いだし。あたしのアパートの部屋なんてもっと無理。どこかのお店で・・・は可能なんだろうけれ...

  • デートだと思っているのは俺ばかり ー後編ー

    ストーリーが進むにつれて、どんどんシリアスな場面が増えていき、主人公の男は緊迫した状況に追い込まれていく。牧野は映画の世界にすっかり飲み込まれて、息を詰めながら観ているから、俺はそんな一所懸命な牧野をチラチラ見ては面白く思っていた。だけど、主人公が殺られるかも?というピンチの場面で、牧野がびくっと飛び上がり、俺の肘に縋ってきたから、面白がってる場合じゃなくなった!おいおいおい!牧野からこんな事して...

  • デートだと思っているのは俺ばかり ー中編ー

    今日は12月最初の金曜日。毎週金曜日は家庭教師のバイトが入っているんだけど、今日はお休み。生徒さんが修学旅行でいないのだ。ぽっかり空いた講義後の時間、何しようかなー?と考えていた。皆でご飯でも行かない?と提案してみたけれど、桜子も美作さんも金曜日の夜は先約があるそうで。類は忙しいからなのか、逆に暇だからなのか、今日は登校していなかった。じゃあ独りで映画でも・・・と思ったら、何故か西門さんがくっ付いて...

  • デートだと思っているのは俺ばかり ー前編ー

    いつもなら忙しがっている金曜の夕方だというのに、何故か今日はバイトが無くて暇だという牧野と、映画を観る事になるだなんて。唐突過ぎて、どうにも落ち着かない。「これこれ。これ観たかったんだー!」映画館に向かう通りに並ぶ掲示板。牧野が指を指したのは話題のハリウッド映画のミステリーもので、赤と黒とで彩られた怪しげな雰囲気が漂うポスターになっていた。主演の俳優はオスカーにノミネートされた事もある実力派。「ふ...

  • あなたがいるだけで

    会いたいな・・・と思ったら、胸がぎゅうっと苦しくなって。「会いたいな・・・」って口に出してしまったら、目からぽろりと涙が零れ落ちた。そんな事言ったって仕方ないのに・・・と思いながら指先と掌でぐいぐい顔を拭って、何も無かった事にしようとするけど、なかなか上手くいかない。涙腺は一度弛むとすぐに涙を止めるのは難しいみたいで、拭っても拭ってもまたぽろぽろと水の珠が落ちてきた。誰に見られている訳でもない。自...

  • I’m just a simple man

    2人で眠る時、牧野を腕枕するのが好きだ。もう半分夢の中へと引き込まれてうとうとしている牧野の頭を、左腕に載せて寄り添う至福のひととき。無意識なんだろうけれど、牧野が寝心地のいい場所を探って、俺の腕の上で頭を微かに揺らしてる様が妙に愛おしいんだ。それだけ俺が一緒にいる事に慣れて来たんだなあ・・・とか。俺の隣でリラックスしてるんだよな、これって・・・とか。そうやって安心しきって眠ろうとしてる牧野を見て...

  • 現在チャットルームを開放しています!

    ひっそりと今晩は。体調不良によりご無沙汰してしまっております、hortensiaです。総二郎のお誕生日なんだよー!分かっちゃいるけど、身体が動かないんだよう。・゚(´□`)゚・。とジタバタしてました。もう明日がお誕生日当日ですー。何のおもてなしも出来ませんが、例年通りチャット会だけでも・・・と思いまして、今回も「おめでとー!」と叫ぶ場をご用意させて頂きました。LINEのオープンチャット機能を使ってのチャットルームです。...

  • sweet nothings

    またリハビリ的に短いのから書いていきます^_^;________________10日程仕事で京都に行っていた。メインは大きな献茶式。タイトルに『若宗匠奉仕』とか付けられてる、仰々しいものだ。何と家元夫人ことお袋まで帯同してきた。肩が凝る行事だけど、『若宗匠』としては涼しい顔して完璧にやり通さないといけない訳で。そういうのって体力より精神力がごっそり削られる。側にあいつがいてくれたら・・・なんて思ってし...

  • この部屋、ペット禁止です! 21

    朝日を受けてピカピカ光っている車に乗せられ、木々の間から光の粒が降り注ぐ道を抜けて連れて行かれたのは、キラキラと水面が輝いている相模湖が一望出来るカフェだった。何だか朝から目がチカチカする。空いているお好きな席にどうぞ・・・と言われ、ひとつ残っていた窓側のテーブルにペットと向かい合わせで着くと、すぐにお冷のグラスが運ばれて来た。モーニングを2人前、それにコーヒーとミルクティーを頼む。「このお店もお...

  • Call my name -monologue by Tsukushi 2-

    『明日世界は終わるんだって』ふと耳に飛び込んできた女の子の鈴を鳴らすような歌声。どきりとするような歌詞なのに、悲壮感は全くなく、軽やかな響きで歌は続いていく。本当に明日私を取り巻く世界が終わる訳じゃない。『歌の中の世界』の話だ。それは分かっているけれど、つい想像してしまった。もし明日世界が終わるなら・・・私は物凄くほっとするに違いない。もう何も怖がらなくて済むから。いつ頭痛が襲ってくるか分からない...

  • Call my name -monologue by Sojiro 2-

    「Call my name」の総二郎で、短いモノローグをひとつ。________________明日でこの世が滅亡すると知ったなら、人々はどんなパニックに陥るのだろう?嘆き悲しむのか、恐怖に慄くのか・・・諦めて普段と同じように過ごすのか、それとも無気力に何もしないままにその瞬間を迎えるのか・・・SF映画で観たような光景が繰り広げられるんだろうか?でも俺は、そんな事が起こるなら、嬉しくなってしまうのだと思う。明日...

  • 凪の海、涙雨

    「あたし達、出逢わなければ良かったね・・・」ついそんな言葉が溢れ出た。窓の外には海が見える、落ち着いた雰囲気のカフェレストラン。晴れていたら素敵な景色が広がるんだろうけれど、しとしとと雨が降り注ぐ今日は、海はどこまでも薄鈍色で、空との境目も分からなかった。穏やかな表情を浮かべていた西門さんが途端に険しい顔になる。無言でただあたしをじっと見つめてきた。鋭い視線を和らげたくて、小さく笑いかけたけど、何...

  • Believe it or not, I love you!

    「他の女の人に触れてきた手であたしに触らないで。」待ち合わせ場所で俺の顔を見て睨み付けてきた牧野。ほんの少々時間に遅れた事を怒ってるのかと思って、腰を抱き寄せようと伸ばした俺の手を、ぴしゃっと振り払いながらこう言った。「何したってあたしは赦す筈だって思ってるの?ふざけないで。あたしにだってちゃんと感情はあるの。あなたの前でいつもにっこり笑ってる人形じゃない。」そんな事知ってる。それに俺の前でだって...

  • Makino-holic

    またちょっと蔵出しで(^_^;)________________つい先頃まで無茶苦茶に暑い日が続き、ほんの少しでも外を歩くのが嫌だったのに。しとしと雨が降る日が2~3日続き、それが明けたら急に秋がやって来た。すっかり空気が入れ替わって、蒸し暑さは何処かへ消えていた。爽やかな秋の風が吹き抜け、空の色も心なしか淡くなっている。エアコン漬けだった身体を少し秋の爽やかな空気の下に解放してやりたくて、「飯奢ってやる...

  • 壁掛け時計

    カチコチカチコチ、時計の針の音がする。図書館の自習室の壁に掛けられた、大きくてクラシックな壁掛け時計。卒業生か、その保護者からかの寄贈品なんだろう。誰かの名前が入ったゴールドのプレートが添えられている。その音がよく聞こえるのは、この部屋が静かな証拠だ。何故か今日は外の喧騒も聞こえて来ない。いつもは外の遊歩道を歩いていく人の話し声や足音だって聞こえてくるのに。今は綺麗に手入れされた並木の葉が風にそよ...

  • 通り雨に紛れて

    蔵出しです。ちょっと黒い・・・かな?________________2人きりの車の中。黙りこくって助手席に座っている牧野と俺の間には、何とも言えない重たい空気が漂っている。牧野の部屋の近くまで送ってきたが、突然のゲリラ豪雨に見舞われて、停めた車から降りられない牧野を見ていたら、口が勝手に動いていた。「なあ、牧野。俺と取引しようぜ。」不意に何を言い出しているんだ、この男は?という風情で俺をまじまじと...

  • wishes ー後編ー

    「あ、また流れた!」牧野の言う通り、画面の中を星が尾を引いて流れて、そして直ぐに消えていく。「見てると夢中になっちゃって、願い事言うのなんか忘れちゃうんだよねー。」幸せそうに笑いながら俺の方に顔を向けてそう言うから、笑顔の牧野と対峙する事になった。笑っているが故に少し細められた瞳の中に俺が映り込んでる。いつだってこの眼差しを独占したいのに、なかなか上手くいかないのは何故なんだろう。「・・・願い事な...

  • wishes ー前編ー

    晩飯の片付けの後から、牧野は1人で小さなダイニングテーブルのいつもの位置で微動だにしない。飲み物が入ってるマグカップに立て掛けたスマホの画面に釘付けだ。何だってそんなもんばかり見てるのか・・・と、俺は気になって仕方ない。「なあ、つくしちゃん。さっきから熱心に何見てるんだよ?」「え? あのね、今日流れ星が良く見える日なんだって!ここは生憎雨降りだけど・・・このハワイの望遠鏡のライブ映像、凄いんだよ!も...

  • この部屋、ペット禁止です! 20

    無意味に放出されたフェロモンに心臓のペースを大いに狂わされ。何とか気を取り直さねば・・・と、あたしはテレビから流れて来た曲に合わせて歌って、その場を誤魔化すことにした。こんな大きな画面にミュージックビデオが映し出されるのは、街頭ビジョン以外で見たことがない。まるでライブ会場の最前列にいるみたいだ。知ってる歌はノリノリで歌い、知らない歌の時はする事ないから歌に聞き入ってる振りをして映像を見詰める。隣...

  • この部屋、ペット禁止です! 19

    今日はペットにペースを乱されっぱなしだ。てっきりそこらを散歩するんだと思っていたのに、車に乗せられて遠くに連れ出され。食事をしたら帰るんだと思ってたのに、何故か他人様のセカンドハウスにお泊りだって。今夜泊る部屋だと案内されたのは、まるでホテルのベッドルームのような素敵なゲストルーム。だけど大きなベッドがドーンと鎮座しているのを見ていたら、胸がドギマギしてくる。あれ? こんなに大きなベッドって事は・...

  • この部屋、ペット禁止です! 18

    牧野が選んだのはとあるラブコメ。1組の男女がすれ違いやら、ちょっとした行き違いで、なかなか距離が近付かず・・・ラストでやっと想いが通じあう・・・という、よくある展開の話。それを目をキラキラさせながら食い入るように観ている。この兄貴ご自慢のオーディオ設備は、もっと重低音が響くような映画の方が効果が分かるんだけど、牧野はそんな事ちっとも気にならないようだ。ソファーに置かれていたクッションをひとつ、ぬい...

  • この部屋、ペット禁止です! 17

    「ステキ!」を連発しながらリビングの中でキョロキョロしている牧野を2階のゲストルームに連れて行った。「ほら、ここが今日のお前の部屋。」リビングと同じテイストのインテリア。まるでホテルの一室のように整えられた部屋に、牧野はまた驚いてる。「あたし、泊まる支度なんてしてきてないんだけど・・・。」「多分何でも揃ってると思うぜ、パジャマもアメニティも。クローゼット開けてみれば?」「・・・いいの?」「ここ、ゲ...

  • この部屋、ペット禁止です! 16

    牧野を西門に馴染ませる為の第一歩として、この居候生活の礼代わりに茶の稽古を付けてやる・・・と言ってみた。忙しいから・・・と本人はあまり乗り気ではないけれど。このまま全くの素人のままじゃ、西門が牧野を受け入れてくれる筈もないし。次期家元直々に個人的に稽古を付けるという、特別感を周囲に見せ付けることが何より大事なのだ。それに牧野って女は、実は茶道に向いていると思う。季節の移ろいだとか、草花の美しさだと...

  • この部屋、ペット禁止です! 15

    古民家を改築したという風情あるお店で頂くお蕎麦はとても美味しかった。二八蕎麦の鴨せいろも。ちょっと太めに切られた十割蕎麦を塩で頂くのも。デザートの蕎麦がきのぜんざいまで!掘り炬燵風の個室は、なんとなくお茶室みたいな雰囲気で、雪見障子の向こう側には坪庭が見える。石灯籠には火が入れられ、温かな光が溢れているのも目に優しくて癒された。「流石西門さん。素敵なお店知ってるね。」「まあな。蕎麦は抜群に美味いし...

  • この部屋、ペット禁止です! 14

    金曜日がやって来た!何だか色々あった今週・・・今日の仕事が終われば週末はのんびり・・・出来るのかな?リビングにはいつもだらけたペットがいるんだけど。何なら置いて出掛けちゃえばいいや!土日、どこ行って何しようー?観たい映画もあったし。お天気いいなら景色のいい所とかゆったり歩いて、疲れたらカフェでお茶して・・・なんてのもいい。ちょっと計画立てよーっと!そんな事をちらっと思い浮かべながら仕事して。お昼休...

  • この部屋、ペット禁止です! 13

    ちょっとーーー!!!鼻ーーー!色気ダダ漏れのペットに鼻を舐められたよーーー!こんなのってアリ???もしホントにペットの犬ならさ、顔をペロペロしてくるとかフツーにあるとは思うんだけど。アレは一応人間よ!それもこの世の女の敵・西門総二郎だよ!まあ、あたしに対して、失礼な事は言ったりやったりはしても、不埒な事はしてこないんだけど・・・こんな狭いマンションの部屋に何日か泊めていても、何もされてない。あたし...

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