みのりおん さん プロフィール

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みのりおんさん: 台湾ちんほうちゃ日記
ハンドル名みのりおん さん
ブログタイトル台湾ちんほうちゃ日記
ブログURLhttp://chinhoucha.net/
サイト紹介文台湾の街とか田舎とか飯屋をウロウロと歩き回っていた日々をなけなしの写真と駄文でヒタスラ綴っています。
自由文台湾はちんほうちゃな食べ物であふれている。でもそこで出会ったのは、食べ物ばかりでなく、美しいシゼン、よく眠るイヌ、そしてとても優しいニンゲンだった。そのどれもが、明るくて、のんきで、楽しくて。そんな「ちんほうちゃ」な出来事を、とりためた写真の隅っこから、いつもニヤニヤしながら思い出しているんです。※ちんほうちゃ=台湾語でとても美味しいの意味。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供51回 / 365日(平均1.0回/週) - 参加 2014/07/09 14:34

みのりおん さんのブログ記事

  • 溶けていった日々
  •  内湾から新竹にもどってその足で阿忠冰店にきた。最初それとは気が付かなかったけれど、入り口に立ってみてはじめてその店だと分かった。それだけ来ていないということだから記憶もほとんどなくなりかけていたわけで、あのころの、6年まえの風景がいっきによみがえってきたんである。 入り口もおなじ、注文するところもおなじ、メニューもいたっておなじ、椅子も壁も床も、きっとすべてがあのころのままだ。 前に食べたものと [続きを読む]
  • ふたつめの均衡
  •  内湾駅からふた駅目の合興駅でおりた。ここには何があるんだい?わからないままに友人に聞いてみたら、なんでも、愛がある、という話だった。 ホームから無人の改札をぬけてすぐ目にとび込んできたのは、古いむかしの車両で、青い車両のなかは今ふうのファンシーなカフェになっていた。 カフェを横目にしばらく歩いていくともうひとつ駅舎があらわれた。木造の建屋で白の板壁に合興車站とかいてある。きっとこっちが旧駅舎なん [続きを読む]
  • ゆるい空、ながれるもの
  •  南投の集集線、新北の平渓線ときて、今日は新竹の内湾線にのって内湾にきている。これらの路線はなんでも台湾三大ローカル線といわれているだけあって、車窓の風景や駅舎のたたずまいや列車の待ち時間といったそんないろいろなものが、ゆったりとした空気につつまれているようだった。 そのどれもに共通していえるのが、暑い、ということだった。なにせ僕は7月や8月といったいちばん暑い時期に集中して台湾にきているので、そ [続きを読む]
  • 過ぎし日、映えれば
  •  建物がたくさんあつまった通りのかどにひときわ古そうな木造の建物があったので、僕は、ブンちゃんとハイさんにつづいてなかに入っていっていった。見上げる建物のかべには内湾戲院とかいてあった。 なかは食堂になっていて、しかも昼飯の時間帯だったためか、たくさんある円卓はどこも人でいっぱいだった。円卓の向こうは赤い垂れ幕のついたステージがひろがり、奥のスクリーンには古そうな映画が上映されていた。  ブンちゃ [続きを読む]
  • 救世主クチビルゲ
  •  内湾駅舎の階段を下りてなだらかに傾斜する通りを人びとながれに合わせてゆっくり下っていった。内湾老街には、土産物を売る店、アイスクリーム屋台、ドリンクスタンドといった店が道の左右につらなり、絵にかいたような休日が、目の前いっぱいに、いやがおうにも熱いかがやきを照射してくるのであった。 途中の一軒に雑貨屋然とした店があったので、ブンちゃんとハイさんと私は、ただ見物のため暑さ逃避のため寄ってみることに [続きを読む]
  • 内湾線内湾往き
  •  「台北から来ました、ハイといいます。新竹はわたしの実家があります」 ブンちゃんの背中で、ハイさんははにかむように、すこし控えめな感じの日本語でいった。 「あの、はい。そうですか。なるほど」 ふいに、私は日本語でかえしてしまった。 ハイさんは台北の日系企業に勤めているという。そうして、日本語を話した。それにしても私は、台湾に来るときはいつも台湾人のみんなに日本語をしゃべらせているな、と思った。 そ [続きを読む]
  • 朝の混迷
  •  7月15日。枕元のけたたましいタイマー音で唐突に眼が覚めた。時刻は7:30。体はいつになく重い。 そうして、5分おきに復活するスヌーズと闘っているうちに8:00になった。半身を起こすも関節のうごきは棒のように鈍い。喉の奥には寒天のような痰がつまっていた。「あああ」とためしに発声してみるが果たして濁音であった。回復するどころか昨日よりも悪化していた。 海老のように体を曲げてベッドの上で悶絶した苦し [続きを読む]
  • この夜を越えたら
  •  まだ観光らしいことをほとんどしていないのに、台湾についたそばから風邪をひいてしまったことを思うと、今回の旅は苦難に満ちたものになりそうだという予感に包まれ、私はひどく落ち込んだ。 雨は降りはじめるものの肝心のバスがまだ来ないので、近くのコンビニでペットボトルの水を買いがてら何気に雨宿りでもしようと自動扉の前に立った。ガラスの向こうに薄茶の犬が一匹寝そべっている。 扉が開き足を一歩踏み入れたとき犬 [続きを読む]
  • 旅は静かに減速する
  •  新竹東門城から斜めに延びる中正路に入った。信号待ちの人に新竹南寮漁港往きのバス停の場所を聞いて新竹駅にほど近い太平洋SOGOまで歩く。念のためだからとバスを待つ人にも港に往くことを確かめてその列の最後にならんだ。 どこの都市でもそうであるように街の中心部から離れるに従いバスを降りる人が増え車内は閑散としてきた。夕暮れも終わり窓の外はだいぶ暗くなった。 30分ほどして南寮の停留所に到着した。バスから降 [続きを読む]
  • 記憶のかいてん
  •  新竹に行こうと決めたのは、けっこう前に行ったことがあったけれどそれほど行ってないかもしれないからまあこのへんでちょっと行ってみようかなあ、といった、いつもの無頓着思考にもとづく気まぐれ理由からだった。 6年ぶりの新竹は前に来たときと比べてあまり変わっていないように思った。とはいっても何年も前の記憶なんてきっと大部分がうわ書きされ消失しているはずで、そんなフワフワな過去の記憶と現在とを比較している [続きを読む]
  • 陽の傾く方向に
  •  台北バスステーションの新竹往きバスが到着するフロアまで来るとひとの数はぐんと減り、太陽光の届かない待ちあいベンチには金曜日の午後の疲労をほんのり含んだ週末への期待に向けたおだやかな落ち着きがあった。 台北と新竹を結ぶバスはたいてい5分おき、ないしは10分おきに発着しているらしく、僕らは、待ってました、という実感もないまま、早々と目の前に停車していたバスのステップを駆け上った。 乗客は僕ら2人を含 [続きを読む]
  • せんぷうきはまわりだした
  •  ピーコーピーコー  ピキキキキキキキキキッ  あかぬけない鳥のなき声のような電気音がなりやんでから台北MRTのドアがゆっくりと閉まりはじめた。冷気のあたる銀の手すりにもたれかけて、果てしなく落ち着ききった正午すぎの車内を、もっさりしたバックパックを背負ったまま眺めていた。 「ふへぇー、淡水信義線ってなんだ?こんな路線あったかい?」 「ははは、新しく信義線ができて淡水線から淡水信義線に名前が変わりま [続きを読む]
  • いつもここから
  •  ならんだ入国ゲートの列の進みかたが他の列よりもちょっと遅かったから、もどかしくって、それでも、到着ロビーの自動扉がウインとひらかれれば、まぶたいっぱいまんべんなく光がとびこんで、鼻孔がゆるんで、ニオイが、あのニオイが、食べ物からでるような、あまい感じの気体が、ふわふわふわふわって、体の空気といれかわる。 あの頃から、変わってない。 「おいおい、ちっとも進歩ないんじゃあないか、まったくよう」って。 [続きを読む]
  • いつも待っててくれるから
  •  初鹿牧場を発ったバスは5分もしないうちに原生応用植物園の停留所で停まった。かなり大型の観光バスだったけど、乗っていたのは僕ひとりで、降りたのもやっぱり僕ひとりだった。 台東の山岳地帯はむかし薬草の名産地だったと何かの本で読んだことがある。その名残なのか山線總站と鹿野高台をむすぶ縱谷鹿野線バスルートの真ん中へんにけっこう立派な植物園があった、というわけだ。それでも、ひとり見学というのはさみしいもん [続きを読む]
  • ピーマン
  •  墾丁から高雄にもどってきた。今日は朝はやくから台北から高雄に来て、そこから墾丁まで行ってきたもんだから、ただただ新幹線と車で自動運送されただけの空気体だったにもかかわらず、なんかもう疲れてしまった。 高雄と墾丁の往復5時間あまりをずっと運転しっぱなしだったコテイちゃんは、僕らとちがって疲れた顔ひとつ見せないまま、青年夜市の駐車場に車を停めた。 「青年夜市だと!それじゃあきっと中年夜市とかもあって [続きを読む]
  • 泰雅酔酔録
  •  天送埤を出た車は10分も経たないうちに田媽媽泰雅風味館という看板の料理店の駐車場に停まった。ここがミツル君の言っていたお父さんの友達が経営しているお店なんだな。 中に入るもののお客さんは一人もいない。すると奥から日に焼けたいかにも腕っ節の強そうなおとっつあんが現れた。おとっつあんは僕らを入口ちかくのテーブルに座らせるとガッハッハと威勢よく笑いミツル君のお父さんに何か言った。 ミツル君の翻訳によると [続きを読む]
  • レールの先は天送埤
  •  宜蘭駅を離れた車は田園が開けた道にはいった。遠くには山々が緑濃く連なって、台風が過ぎたばかりの空にはところどころに黒い雲が渦巻いていた。暗い外の景色とは一転して、車内はいつも明るかった。 車はミツル君のお父さんが運転して、助手席にはミツル君のおとうと君と後ろの席にミツル君のお姉さんとミツル君と僕が座った。今日のこと、ミツル君と約束していたわけではなかったんだけれど、いったいどういう風の吹き回しか [続きを読む]
  • ふりこの振幅
  •  扉を開けると、隣の個室からあふれでる水は、正面の小便器ちかくにまで広がって大きな水溜りになっていた。その勢いはちっとも衰える様子はなく、行き着くところにまで、ただその領域を広げるばかりに見えた。 台北松山空港国際線の搭乗ゲートにいるので、事情を知らない外国人旅行客が誤って紙をトイレに流してしまったに違いなかった。東京行の便がすぐ後に控えていることからも日本人旅行客である可能性はかなり濃厚で、それ [続きを読む]
  • 立つ鳥、跡を濁しますので
  •  台湾に来る数が多くなればなるほどそれだけ帰る数も多くなるということであって、僕なんてとくに台湾に住んでいるわけではないので、きっとそういうことだ。 しかし帰る段になると、決まって、何かをやりきったという充実感とホッと安堵する気持ちのほかに、どうも腹のずっと下あたりにぽっかりと空洞ができてすきま風が通り過ぎている、というような、妙に孤独でどこか寂しい想いが残るのであった。 だから、というわけでもな [続きを読む]
  • うしろのボツボツ
  •  そうしてブンちゃんが注文してくれたマンゴーかき氷がテーブルに運ばれた。かき氷とはいってみたもののよく見ると氷の部分があきらかに黄色く、いかにもマンゴーのあまい汁が混ざっているんだぞうという感じがどうも確信犯的だ。そうきたらマンゴーかき氷というよりもむしろマンゴーアイスといったほうが正しいのかもしれない。 さっそく真ん中あたりをスプーンでこわして、だいだい色の果肉といっしょに口にいれてみた。アイス [続きを読む]
  • さいころ型の優先事項
  •  よく外国に行くとカラダの成分や物事の考え方がそっちのものに入れ替わってしまうというけれど、台南に来て一晩明けてみたら、自分にもそんな兆候がじわじわと顕著に現れてきたようで、なんでも台湾人のブンちゃんが話す言葉がぜんぶ日本語に聞こえてきた。と思ってみたけれど、そもそもブンちゃんは日本語の先生でもちろん日本語はペラペラなので、結局のところどうもそれは僕の勘違いらしいということがわかった。 そんなブン [続きを読む]
  • セキカンロウに月がでて
  •  ホテルに帰ってスマホを見ていたらテンと音が鳴ってメッセージが入ってきた。少しのあいだ仕事を抜け出せるので会いましょうといった内容で、台南の民權路二段ちかくで美容院を経営している陽さんからの伝言だった。 夜に入りたての空はまだまだ暑くて、信号待ちしているそばからオーブンのような熱風が体全体にまとわりつき、ここがもう東京でないことが極めてはっきりとした変化になって、自身の内面に今まで沈殿していた負の [続きを読む]
  • 愛河に風が吹いたとき
  •  「夏は枝豆だな」  リブヲは東京にいるときと寸分ちがわない顔で言った。 「まあ定番だけどな」 おれたちはフライパンで炒めた?胡椒炒毛豆という台湾版枝豆をねっしんに口に運んだ。 リブヲは高雄人であるが普段は仕事で東京に住んでいるので、おれたちは暇さえあればお互いの中間地点にあたる五反田あたりでよく酒を飲んだ。今日リブヲは高雄に里帰りし、おれは高雄に観光で来たに過ぎない。だからいつも東京あたりでやっ [続きを読む]
  • 路頭の猫
  •  ...苗栗とかいてミャオリーという...ん?ミャオリーってなんだ...ミャオリー...ミャオー...ミャオミャオ...なんか猫のなきごえみたいだ...そういやむかし苗栗の地名は猫の里...じゃあなくて貓裡とかいってたっけなあ... とぎれとぎれだった車窓の風景の断片がしだいに一つの連続した形になって頭のなかではっきりしてきた。そのあいだ苗栗がミャオリーで猫になっていくヘンな夢もみた。どうやら苗栗に向かうバスのなかで眠りこ [続きを読む]
  • よろこび ねむたい 朝がきた
  •  朝になって目を覚ましたら、いつもとちがう部屋のいつもとちがう朝の光に、ここが東京ではなく台北であることをあらためて思い出した。カーテンを開けたら、窓のずっととおくに入道雲ひとつ浮いているだけのおそろしいほどの快晴がひろがっている。そして僕はといえばきょうもおそろしいほどの快便だ。 起きがけにまずいっぽん糞をする。シャワーを浴びたあとで二本目が出る。服を着おわったら出がけの最終“便”だ。朝の30分 [続きを読む]