さらん さん プロフィール

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さらんさん: 信義(シンイ)二次創作物
ハンドル名さらん さん
ブログタイトル信義(シンイ)二次創作物
ブログURLhttps://ameblo.jp/1987sarang/
サイト紹介文ドはまりした韓国フュージョン史劇、信義(シンイ)の二次創作物の部屋
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供408回 / 365日(平均7.8回/週) - 参加 2014/07/29 07:53

さらん さんのブログ記事

  • 2016再開祭 | 胸の蝶・参
  • 酒楼を離れ、さすがの地獄耳の女主にも声が届かなくなってから、秋霖の中で向かい合う。 ヨンは雲の流れを確かめるよう重苦しい空を見上げ、再び俺へと眸を向けた。 「暫し続く」空からの細かな雨を手甲の掌に受ける。強くはないが、間断なく落つる冷たい滴。 同意と頷くと、ヨンの眉間も薄く曇る。 「このまま行くのか」「顔を繋いだのは俺だ。少なくとも他の奴より早く探せよう。遍照と面識のない女、それだけか。他に条件 [続きを読む]
  • 2016再開祭 | 胸の蝶・弐
  • 「・・・ヒド。まさかと思うが」 その黒い眸で此方を睨むと、奴は地を這うような声で低く唸る。「俺ではないぞ!」 「・・・それなら良い。お主はもう少し話せ。言葉が足りぬ」 ヒョンに言われたくない。 奴はそっぽを向きながら、口の中で呟いた。 それでも話が続かんと気を取り直したか姿勢を正し、ようやく振り向いたヨンは改めて言った。 「言ったろ。仁徳宮の件だ。女が欲しい」「何故」「遍照が欲しいと」 あの男、女人に毒 [続きを読む]
  • 2016再開祭 | 胸の蝶・壱
  • 【 胸の蝶 】 秋霖の軒の雨宿り、互いの間に二尋の距離。 俺の為に生きる事などない。 俺があの弟以外の誰の為にも生きぬように。 俺に気を配る必要などない。 俺が二尋の向こうの気配を気にせぬように。 違う親に生まれ違う土地に育ち、違う世を見て生きて来た。互いの間は二尋の距離、共に語りあう思い出すらない。 「ヒド兄様」 オラボニと呼ばれる覚えもなければ価値もない。それでも灰色の景色の中で耳を打つ声は [続きを読む]
  • 2016再開祭 | 桔梗・廿(終)
  • 研究室のドアが軽い音でノックされる。 こちらからの返事を待つ間も惜しいのか、すぐにそれが開き 「教授」今となっては親しみすら感じる顔が、その隙間から覗いた。 「どうぞ、ユン刑事」 もうだいぶ慣れて来た。この男はそういうタイプなのだろう。 常に鮫のように泳いでいないと死んでしまうのかもしれない。 私の声にユン刑事は臆する事もなく、堂々と研究室へ入り込む。ソン・ジウさんが彼に笑い掛けると、デスクから立 [続きを読む]
  • 2016再開祭 | 桔梗・拾玖
  • 「もしかしたら高麗時代にハングルが見つかったってニュースになるかもしれない。そうすればオンマかアッパが気付いてくれるかもしれない。私だって、あのサインで。そこにあなたの名前があれば。だから李 成桂に書かせた。すべて可能性の問題よ。それでも何もしないよりましだわ。李 成桂が天界の文字を手に入れれば、粗末に扱うとは思えないから。モンゴルで書いた私のノートを、キチョルが後生大事に持ってたみたいに」 今 [続きを読む]
  • 2016再開祭 | 桔梗・拾捌
  • 「文字を、作る」 「そう。ハングルっていうのは、象形文字やなんかで自然発生した文字と根本から違うの。そもそも字を知らない人に教えるために、音を表す記号を組み合わせながら作った文字なのよ。私たちはこうしてお互いに話すことは出来るけど、今の二人の話を書き写すとすれば漢字しかないでしょ?」 「・・・はい」 ところどころの天界語の意味は判らんが、おっしゃる事の筋は読み取れる。頷く俺にこの方はさらに諭すよう [続きを読む]
  • 2016再開祭 | 桔梗・拾柒
  • 背を見送る親子の姿が遠く離れるまで、二人並んで無言で歩く。 李 子春の宅を辞した帰途。 秋の陽の一番高い刻。吹き始めた緩やかな風が、長く垂らした亜麻色の髪を揺らして抜ける。 後を尾ける家人のない事を確かめ、この方を伴って開京の雑踏に紛れ込む。 「どういう事ですか」そうして初めて横を添うこの方に尋ねると、無垢を装ったその瞳が久々に本物の三日月に笑んだ。 「・・・はあぁぁ、緊張した」そう言ってこの腕を [続きを読む]
  • 2016再開祭 | 桔梗・拾陸
  • 二度と泣かせたくない、苦しめたくないと思いながら、再びの邂逅の機会を持たざるを得なかった元凶。 それは俺自身の言葉にある。 生かせと頼んだからこの方は治療した。成桂を救う為ではなくただ俺を救う為に。 こうして形式上の顔合わせは済んだ。互いの面目も立った。これ以上の長居は不要と腰を上げる機会を待つ俺は、ふと正面の成桂の視線に気付き、改めてその顔を確かめる。 気のせいだろうか。 若いその男の視線は正面 [続きを読む]
  • 2016再開祭 | 桔梗・拾伍
  • 双城総管府の千戸、そして小府尹を務める高官にしては、邸は予想よりも控えめなものだった。 訪いを告げる俺とこの方の前、すぐにその門が開かれる。 「誰のお屋敷なの?」 まだ何も知らぬこの方は開いた門に目を向け、次の瞬間そこに佇む男の顔に息を呑んだ。 どうやら李 成桂は俺達の訪いを今か今かと待っていたらしい。 家人が門を開くと同時に、門内でわざわざ出迎えの頭を下げて嬉し気な声で言った。「大護軍、医仙様 [続きを読む]
  • 2016再開祭 | 桔梗・拾肆
  • 「あの子です。あの子の字なんです。あの子に最初の字を教えたのは私達です。テストも、手紙も、今まで数え切れないほど見てきました。絶対にあの子が書いたものです!!」 「落ち着きなさい、お前」 涙を流しながら興奮する女性に、父親らしき男性は手を差し出してどうにか床から立ち上がらせようとする。 けれど女性は抵抗するように首を振り、そのケースの向こうに触れようとするかのように表面を撫で続ける。 「ウンス、 [続きを読む]
  • 2016再開祭 | 桔梗・拾参
  • 無言で研究所の廊下を歩く私の横、ユン刑事は興味深そうに廊下の左右に並ぶドアを眺めている。 「・・・勝手な人だな」 怒りのあまりぞんざいな言葉遣いになった事を咎めるでもなく、ユン刑事はお義理のように頭を下げてみせた。 「申し訳ありません。ユご夫妻がいらっしゃると返事を頂けたのが昨夜遅い時間で、教授にご連絡する事が出来ずに」 「それを言ってるんじゃない。誘拐の被害者家族に必要のないショックを与えるのが [続きを読む]
  • 2016再開祭 | 桔梗・拾弐
  • 秋の散策にはうってつけの快晴の日。 風はなく、澄み渡る空から降る陽は眩しい。 開京の市中、すれ違う民らは皆一様に笑いながら頭を下げる。 「大護軍様」 「大護軍様、奥方様、お揃いでお出掛けですか」 そしてこの方は声に一々足を止め、顔見知りの民らと立ち話に興じ、顔色の悪い者や怪我を負った者はないかと案ずるように様子を確かめる。 まだ話せぬような幼子が咳をしていればその額に手を当て、優しく口を開かせて咽 [続きを読む]
  • 2016再開祭 | 桔梗・拾壱
  • 明るい月光が照らす、今年の鈴虫の声も終わった秋の庭。 静けさの中この耳はあなたの声の一つ息の一つまで拾う。 「もちろん!どこに行くの?」 弾む嬉しさを隠そうともせぬそれに、未だに心を決められぬまま首を振る。「イムジャ」 そんな深閑とした庭だから、あなたの耳も拾ったのだろう。 この呼び声の響きの中、隠そうとしても滲む苦さを。 膝の上の小さな体が途端に緊張で固くなるのが判る。 余りに軽く柔らかな塊は、 [続きを読む]
  • 2016再開祭 | 桔梗・拾
  • 向かい合った李 子春の為人など知らん。 それでも秋の透明な陽の下、清冽な青紅葉の枝の下に立つ姿は何処か不釣り合いだ。 そう考えながら陽射しの中、眩しい振りで眸を眇める。 思い込みは危険に繋がる。王様にさえ誠心誠意尽くせば良い。 そう判りながらもその勘こそが、忠臣と奸臣を嗅ぎ分ける最初の手だとも思う。 この手の勘は外れる事がない。そして厭な勘程よく当たる。 李 子春は胡散臭いのだ。簡単に言ってしまえば [続きを読む]
  • 2016再開祭 | 桔梗・玖
  • 久方振りの朝寝の床で、鼻先を擽るこそばゆさに起こされる。 薄目を開いて確かめると、其処にあるのは亜麻色の長い髪。 風に誘われ揺れる柔らかなそれが絡まぬように指で跳ね除け、その項に沿って緩やかに梳かしつける。 こうして眠るだけなのに、髪の先まで賑やかな方だ。 その指の動きにつられるように、腕の中のあなたが身動ぐ。 背を向けられぬように先に抱き締め、その動きを封じ込む。 厭々と顔を振り胸を押して逃れ [続きを読む]
  • 2016再開祭 | 桔梗・捌
  • 「あの白いスーツの女性はユ・ウンスっていうんですね?!」 「ソン・ジウさん、落ち着いて」 「られるわけないじゃないですか、教授!」 この人は何故冷静でいられるの?許されるならその頭の中を覗いてみたいくらいだ。 高麗末期の鎧を着た男。被害者の名前はユ・ウンス。 まさか、あれは何かのメッセージ?誘拐犯の手がかりを教えるのに、ユ・ウンスがわざと高麗時代の紙を手に入れたとか? ドクターならお金もあるだろ [続きを読む]
  • 2016再開祭 | 桔梗・柒
  • 二人の姿が消えたその後数秒の、無人の映像。 石仏の台座は何事もないように、でもやっぱりいつもより白く光っているように見えた。 そしてそのモニターがもう一度全て消えた。ただし今回はユン刑事が意識的に、手元の装置で画面を切ったらしい。そこから立ち上がって教授の方に向き直ると、困ったように笑って。 「映像はこれで全てです。どうお考えですか」 「・・・トリック画像の類ですか?」 教授は苦虫を噛み潰したよう [続きを読む]
  • 2016再開祭 | 桔梗・陸
  • 女性が何か叫ぶように大きく口を動かした後、モニター内が突然慌ただしい動きを見せる。 さっきまで女性と話していた男性が周囲のブースから何かをかき集め、そして女性はその手にゴム手袋らしきものをはめ、 男性の首を切った張本人の鎧の男は、被害者の男性をベッドらしき台に寝かせる。 モニター内で、女性はどうやら被害者のケガの治療をしているらしい。 その横でしゃがみ込んでいたスーツ姿の男性が立ち上がると、 慌 [続きを読む]
  • 2016再開祭 | 桔梗・伍
  • 「見て下さい、ユン刑事」 教授は今撮影し終わったばかりの赤外線カメラの画面データをユン刑事の目の前に次々と見せていく。 「赤外線カメラで見れば判る。内部に空洞はない。石ですから外気の影響を受けにくい。全て均一に青色でしょう。中に空洞があればその部分は必ず温度変化がある。このように均一な熱伝導はしません」 「こうしてみると判りやすいですね」 「基礎中の基礎です。もっと正確で詳細な分析をご希望なら [続きを読む]
  • 2016再開祭 | 桔梗・肆
  • 「教授」 窓を開けた車の助手席で膝に赤外線カメラを抱いて声を掛けると、教授は平坦な声で言った。 「何でしょう、ソン・ジウさん」 「本当に済みませんでした。おけがはないですか」 「ああ、顎ですか」 「・・・はい」 「問題ありません。あなたの頭こそ大丈夫ですか」 「私は問題ないですけど」 開けた窓から漢江の川風が入って来る。 髪が乱れないように片手でまとめ、バッグの中から取り出したクリップで止めると、運転 [続きを読む]
  • 2016再開祭 | 桔梗・参
  • ユ・ウンス 유은수 Daum、NAVER、Google、一通りの検索エンジンで検索を掛ける。 並んだ検索結果に手掛かりになりそうなものはない。 ユ・ウンス+高麗 유은수+고려 それではただ一気に検索結果の数が減るだけだった。 力尽きて、庁内の与えられたデスクの上にばたりと突っ伏す。 頭を抱えて呻きたくなる。どうして配属早々こんな目に。 文化財庁に就職が決まった時はラッキー!と叫んだのに、その最初の仕事がこんな [続きを読む]
  • 2016再開祭 | 桔梗・弐
  • 「・・・おいしい?」 私の声に、テーブル向こうのあなたは複雑そうな顔で苦笑い。 もうそろそろ、今年のトラジの季節も終わり。 確かに大きくなってはいても、夏の初めより固いし筋っぽい。 向かい合う居間の食卓、開け放った窓外の庭はもうすっかり秋の景色。 陽射しに真夏の力強さはない。毎日どんどん透き通って来る。 夏の間は時間帯によっては止まった風が、今は一日中気持ち良く厨に抜けていく。 これから栗や柿、秋の [続きを読む]
  • 2016再開祭 | 桔梗・壱
  • 「これは間違いなく高麗時代後期、1350年代から1380年代にかけ書かれた物です。恭愍王時代以降から後廃王時代に。そして李氏朝鮮太祖、李 成桂の廟から発見されている」 さあ、聞きたかった結果ではないのか。 先に君達が尋ねたのだ。1608年なら問題なし。1395年なら大問題だと言ったじゃないか。 新入研究員を前に話をする度に、部屋に不思議な気配が満ちる。 だから時を経た物は恐ろしい。文化財の研究員として、言うべき [続きを読む]
  • 2016再開祭 | 桔梗・序
  • 【 桔梗 】 「馬鹿な」 「あり得ない。時期の間違いじゃ・・・」 「どういうことですか、教授」 研究室に新しく加わった数名の新入研究員達は、計算し尽された間接照明の中で、そのケースを覗き込んで顔色を変える。 室内に響く声にすら怯えるように小声で言った後、落ち着かない視線で私達以外誰もいない室内を見回した。 先輩として同じ轍を踏むわけにはいかないと、敢えて大きな声で応える。 「真偽の程は判らない。い [続きを読む]
  • 2016再開祭 | 秋茜・拾玖(終)
  • 「どうしよう」 秋の夕陽の縁側で、膝に抱くあなたの声。 細い背越しの声を聞き、横顔を盗み見る。 俺に言った訳ではない。透ける薄茶の瞳は、燃え上がる柑子色の雲の中の金灯実のような夕陽だけを見ていた。 後ろから回した両腕に細い両腕を掛け確かめるように引き寄せて、小さな両掌でこの掌を包み互いの指を絡ませて。 秋が深くなっていると、あなたの指の温みが教える。冷たい筈などあるまいに、あなたはこの両掌を持ち [続きを読む]