さらん さん プロフィール

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さらんさん: 信義(シンイ)二次創作物
ハンドル名さらん さん
ブログタイトル信義(シンイ)二次創作物
ブログURLhttps://ameblo.jp/1987sarang/
サイト紹介文ドはまりした韓国フュージョン史劇、信義(シンイ)の二次創作物の部屋
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供540回 / 365日(平均10.4回/週) - 参加 2014/07/29 07:53

さらん さんのブログ記事

  • 2016 再開祭 | 気魂合競・廿伍
  • 先刻まで大騒ぎだった人垣が、水を打ったように静まり返る。 アン・ジェの力量は若い頃から知っている。内功遣いでない故に赤月隊には入隊しなかったが、隊長が親交を持つほどの父上の許、奴も若い頃から鍛錬には励んでいた。 先の上官らが犬猿の仲だった鷹揚隊と互いの代で歩み寄って以来、それぞれの隊員の交流もあり、意思の疎通もうまく行っていた。近頃は奴と共に戦場に立つ事も幾度かあった。 共にこなした鍛錬や戦場で [続きを読む]
  • 2016 再開祭 | 気魂合競・廿肆
  • 「気が付かなかった。あのままじゃ、チュンソクが倒れてしまう。何か拵えて来るべきだった」 姫様は独り言のようにそうおっしゃいながら、私の手を掴んだまま人波を進んで行く。「急ごう、ハナ」 突然この手を引いた姫様が私を連れて行ったのは、先刻までお邪魔していた酒楼の前の出店だった。店番をしていた恰幅の良い主の女人は、姫様と私の顔を覚えていて下さったのだろう。急いで駆け付けた姫様に「どうしたね。取組を見 [続きを読む]
  • 2016 再開祭 | 気魂合競・廿参
  • 大護軍とほぼ同じヒド殿の身の丈、体つきを目で測る。幾度か顔を合わせる機会はあったが、こうして組合うとは思っていなかった分、初めて相対する男のように冷静に。 腕の長さ、足の長さ、届く範囲は大護軍とほぼ同じだろう。体の重みも同じ程度なら、担ぎ上げて投げるのは厳しい。妥当に足元を攻め、その重みを利用して態勢を崩し上に乗るか。それとも。 そう考え様子を見ながら地面に白い砂埃を立てて擦り足で前に出、組み [続きを読む]
  • 2016再開祭 | 気魂合競・廿弐
  • いずれ当たると覚悟はしていた。遅かれ早かれそうなるだろう、互いに勝ち進んだからにはと。大護軍といつ当たるかだけが問題と思っていたが、伏兵は意外とあちらこちらにいた。 先刻の元からの戦士という男も、コム殿が三戦目に惜敗を喫したという、まだ見ぬ皮胴着皮長履の男も。そして今、この目の前にいる人と、まさかここでぶつかるとは。 照りつける真夏のような陽射しの中でも涼し気に見える黒尽くしの装束のヒド殿が、 [続きを読む]
  • 2016 再開祭 | 気魂合競・廿壱
  • あの方の治療を受けた男は一礼を残し、酒楼を出て行った。 何れにせよあの男と共に参加した奴らの誰かとこの後ぶつかる。取組全て終わるまで、互いに余計な事は知らぬ方が良い。後になって何方かが手心を加えたのではと痛くもない腹を探られれば不愉快だ。そう考え、敢えて引き留めはしなかった。 直に四戦目が始まるというのに、愚図愚図と酒楼の庭の隅で考えに耽る。見上げた晴れ渡る空が、あの頃の草原の上に広がった蒼穹 [続きを読む]
  • 2016 再開祭 | 気魂合競・廿
  • テマンの問いに東屋の一同の目がその男へと注がれる。 トギは手にした擂鉢を卓へ戻し、脇のあの方へとにじり寄る。チュンソクとトクマンは無言で席を立ち、男と己の距離を測る。タウンがさりげなくあの方へ距離を詰めるよう、叔母上の脇から進み出る。 そして男もどうやらテマンが元の言葉を解すと判ったか、俺から目を離さぬまま、声だけテマンへ投げる。「もしあなたがチェ・ヨンなら、渡したいものがあると」 テマンはその [続きを読む]
  • 2016 再開祭 | 気魂合競・拾玖
  • 甲高い指笛の音は、立つ鳥の残す鳴声にも似ている。残した囀りが辺りに響く頃にはその影は既に空高くへ舞い上がり小さな点になっている。 春の野のそんな景色なら風情もあるが、この人だかりの中で聞くには注意を惹き過ぎる。 その音に振り返ると奴は人々の頭の先で埋もれそうになりながら大きく飛び跳ね両腕を振り回した。 気付いて足を止めた俺の許に人波を掻き分けながら近づくテマン、その横にはシウルとチホの姿。 よう [続きを読む]
  • 2016 再開祭 | 気魂合競・拾捌
  • 東屋への階を上がると其処に居たチュンソクとトクマン、そしてテマンが椅子から腰を上げて頭を下げた。 居合わせた女人らは突然現れた俺に目を丸くし、立ち上がる機を逸して此方を見ている。そして唯一叔母上だけは端から立ち上がる気などないのだろう、俺を見るとふと微笑みに似た表情を浮かべる。 「ようやく本気になったか」「一人判った男がいる」不機嫌な声だけを残しそのまま今上がって来た階を下りる背後に、チュンソ [続きを読む]
  • 2016 再開祭 | 気魂合競・拾柒
  • 「・・・て、大護軍」目前の男は目を丸くして呟いたきり黙り込む。 眸を移せば人垣の中、タウンと叔母上に左右を守られたあの方と横に並んだトギが、同じように無言で立ち尽くしている。その左右を守る二人も、何と声を掛ければ良いか判らぬのだろう。四人は黙ったまま、人垣の輪の中央に立つ俺達を凝視している。 それは人垣の見物人らが上げる大きな歓声とは正反対だった。「大護軍様だ!!」「大護軍!」「大護軍さま!」「勝 [続きを読む]
  • 2016再開祭 | 気魂合競・拾陸
  • 「お」向かい合う二戦目の取組相手が、そう言って笑った。 「見た事があるな。チェ・ヨンの知人か」「旦那を知ってるのか」 もう太陽は真上近くまで上がってる。俺の影も相手の影も、乾いた地面にべったり張り付くように短く濃くなっていた。 こう暑くなると、早々に負けを決めたチホが羨ましいぜ。夏みたいな光の中で相手の顔を見ようと、目を細めてみる。知らない顔だ。少なくとも覚えてない。でも俺が知ってる顔なんて、旦 [続きを読む]
  • ご無事でありますように 〜 皆さまへ
  • 先日の西日本の地震の後の今回の豪雨、皆さまと皆さまの大切な方々がご無事でありますように。 現地ではないとどうしても被害の実感に乏しく、実情の報道が届くまでに時間もかかり、もどかしい思いです。 どうかお気を付けて。空を見ながら、祈っています。 さらん [続きを読む]
  • 2016 再開祭 | 気魂合競・拾伍
  • 「医仙、隊長。ちょ、ちょっと、いっしょに」 チュンソク隊長たちと立ち話をしてた私たちの方にまっすぐ駆けて来ると、珍しくトギにあいさつもしないでテマンは言った。その顔がこわばってるのが分かったんだろう。チュンソク隊長はそれ以上何を聞くわけでもなく「チェ尚宮殿」とだけ叔母様に頭を下げる。 叔母様はテマンとチュンソク隊長を素早く見比べた後に「敬姫さまはこちらに。そなたは行け。医仙を頼む」とだけおっし [続きを読む]
  • 2016 再開祭 | 気魂合競・拾肆
  • 今回の角力大会の本当の目的が新人さんの発掘だってことも、秘密って言われてハイって言った以上くわしい内容は伝えられない。 あの人はきっと本当に私が賞品になったと思って、一生懸命戦ってくれるに違いない。最後にバレたら、その分もっと怒るとは思うけど。 あの人に秘密なくらいだから、もちろんチュンソク隊長やテマンやトクマン君、コムさんにバレるのもまずい。だからキョンヒさまにもハナさんにも、トギにもタウン [続きを読む]
  • 2016再開祭 | 気魂合競・拾参
  • 「始め!」 大きなその声と同時に、目の前の男がこっちをにらむ。やりにくいな。その男はどう見ても、俺が隊長に拾われた年頃と大差ないような、まだがきって呼べるような若いやつだった。 勝たなきゃいけない。それは分かってるんだ。隊長、いや大護軍が少しでも疲れず決勝まで上がれるように。だけど。 「にいちゃん、かってー!」「まけるな!」「兄ちゃん、がんばれ!!」 向かい合う俺達を囲むまわりの人垣の一番前から [続きを読む]
  • 2016再開祭 | 気魂合競・拾弐
  • 「チュンソク!」 飛び込んだ人垣の隙間に辛うじて、明るい青色の絹の色がちらちら光る。 その光も色もが滅多に見る事の叶わん南方の、明るい夏の海の色によく似ている。 夏の海の色を目印に、その人波を掻き分ける。やっとの事で手を伸ばすと、その青い衣からも白く柔らかな指がこちらに向けて思い切り伸びて来る。「チュンソクー」 その指先をどうにか捕まえて己の方へ引き寄せる。キョンヒ様と、横を守るハナ殿が額に汗を [続きを読む]
  • 2016 再開祭 | 気魂合競・拾壱
  • 「始め!」その声と共に周囲から一斉に囃し声が沸き上がる。 掛け声に腰を落としたのは、己ではなく相手に怪我を負わせぬ為。相手は上背のある、その分粘り腰のなさそうなひょろりと長い男だった。 上背のある相手との取組みは、大護軍やトクマンで慣れている。懐へ潜り込み腰を抱え、腕力で引き付けてそのまま掬い上げる。 地に倒す時にはその体の重みを胸で受け、相手が衝撃で地面に背を打ち付けんように注意して。 「決ま [続きを読む]
  • 2016 再開祭 | 気魂合競・拾
  • 「いらっしゃるのか」門内へ投げた俺の眸にマンボは肩を竦めると「安心しな」居るとも居らぬとも告げず、それだけ頷いた。安心しなということは、居るという事なのだろう。 「手裏房からは誰が来る」「うちからはシウルとチホ、それにヒドが出る。他にも出る奴はいるだろうが、そこまでは知らないね。奴らに気を取られるよりあんたの方こそ。どうだい調子は」「ああ」 長くは答えず頷き返すとその返答にマンボは鼻頭に皺を寄 [続きを読む]
  • 2016 再開祭 | 気魂合競・玖
  • 叔母様の低い声に、私は思い切って昨夜の推測をぶつけてみる。 「景品だって言ったのは、あの人を大会に出すためですか?」「ええ。しかしそれは目的の半分。此度の大会の真意は、優れた市井の人材を探し出す事です。二軍六衛でいちいち募集をかけ、あの厳しい大護軍の入隊試技を受けさせてはきりがありません。真剣勝負を挑み力を認めれば、入隊も考慮するでしょう」「だけどもう軍人はいっぱいいるんじゃ・・・」 皇宮だけでも [続きを読む]
  • 2016 再開祭 | 気魂合競・捌
  • 「角力とは」「あの、角力でございますか」 久々に伺ったキョンヒさまのお部屋で、向かい合うキョンヒさまが首を傾げて、私のそのまた後ろ、扉の横に控えているハナさんの方を伸び上がって見た。普段は私たちの会話の間にめったに口を開かないハナさんも、思いがけないキーワードに不思議そうな声を上げる。 「そうです。大会をするんですって。だから迂達赤はみんなハード・・・えーっと、すっっごくきつい訓練の真最中で」「だ [続きを読む]
  • 2016 再開祭 | 気魂合競・柒
  • こんなかんかん照りで、まだ梅雨だなんて信じられない。 雨は多すぎても少なすぎても苦労する。山も川も、森も田も、もちろんそこにいるみんなや動物たちも。 熱い空気の中にもっと熱い息を吐き出して頭を振ると、砂と一緒に汗に混じった土ぼこりが泥になって飛び散った。 あの夜チェ尚宮さまに医仙を人質に取られた時は、どうしようかと心配になったけど。 隊長に言われたとおり俺は一人でも多くぶっ倒さなきゃいけない。大 [続きを読む]
  • 2016 再開祭 | 気魂合競・陸
  • 朝の迂達赤私室には、昨夜東屋に集ったばかりの男が四人。 今日も変わらず空は青く、朝の風は肌を撫でて過ぎる。梅雨時の湿りを含んで纏わりつくようなものとは違う。 これは本格的に雨乞いが必要かもしれんと、その窓外の空を見る。雨が降らぬ限り、最優先事項は鍛錬。その合間に書雲観に顔を出し、司天供奉に話を聞く事にもなろう。 角力大会で雨を呼ぶという話は信じない。民の息抜きは必要だろうから文句を言う筋合いはな [続きを読む]
  • 2016 再開祭 | 気魂合競・伍
  • 静かな縁側の膝の上で、突然この方が小さな声で笑い出す。黒い庭を眺めていた俺は我に返り、膝の中を確かめる。 「如何しました」「ねえねえ、どうすると思う?」 問いに問い返されても困る。何事かと首を傾げ、居間から洩れる光の中で楽し気に瞠られたその瞳を覗き込むと「タウンさん。ヨンアとコムさんが戦う時、やっぱり応援するのはコムさんよねぇ」「当然でしょう」 そんな事でよく暢気に笑えるものだ。問題は何一つ片付 [続きを読む]
  • 2016 再開祭 | 気魂合競・肆
  • 「この方は物ではない!」俺の声に叔母上とマンボは涼しい顔で頷いた。「物扱いなどしておらぬ」「景品と言ったろうが」「ヨンア、ちょっと待って。座ろう、ね?」「・・・帰りましょう。聞く価値もない」「待ってってば。まず話を聞こう?それからでも」「御免蒙る!」 どれ程腹に据え兼ねるとはいえ、相手は年長者。実の叔母と、長年世話になっている手裏房の女頭。これ以上の罵詈雑言が飛び出さぬよう奥歯を噛んで唸ると、こ [続きを読む]
  • 2016 再開祭 | 気魂合競・参
  • 「旦那だ!」「みんな一緒だったのかぁ」 酒楼の門を超え東屋へと続く庭を進む俺達に気付いたチホが大声で叫び、シウルが立ち上がって手を振る。少し離れて石段の影に腰を下ろしていたヒドが、黒染衣の袖越しに頭を預けた膝の上から流し目で此方を確かめた。 「おやおや、勢ぞろいでお出ましかい」俺達五人が東屋に踏み入った途端、厨から出て来たマンボが相好を崩した。 俺達に会えて嬉しいなどという殊勝な心掛けのはずがな [続きを読む]
  • 2016 再開祭 | 気魂合競・弐
  • 回廊を無言で突き進む俺に、今日の歩哨としてその端に沿って立つ迂達赤の奴らが順に頭を下げる。平時であればそのうちの一人を掴まえて、王様のご様子を確かめるなり、異常がないかを尋ねるくらいの事はする。それすらせずに前だけを睨む俺に、勝手知ったる男らも敢えてこの行く手を遮る声を掛ける事はなかった。 「王様。チェ・ヨン、参りました」康安殿の私室前での名乗りに返った「入りなさい」の御声と共に、室内の内官の [続きを読む]