砂凪 さん プロフィール

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砂凪さん: ゜*.。aquarium。.*゜
ハンドル名砂凪 さん
ブログタイトル゜*.。aquarium。.*゜
ブログURLhttp://suisuitokotoko2nd.blog.fc2.com/
サイト紹介文一般小説「いつか、ひかりへ辿り着く」連載中。生きているかぎり、命はむごい喪失を乗り越えられるはずで。
自由文『ありえない設定』⇒『影遺失者』と『保護監視官』、『廃園設計士』や『対町対話士』(coming soon!)など。…ですが、現在は日常ものを書いております。ご足労いただけるとうれしいです。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供39回 / 365日(平均0.7回/週) - 参加 2014/08/13 19:28

砂凪 さんのブログ記事

  • 【SS】:うちへかえろう
  • はじめに後ろ姿をみたとき。夕焼けだ、とおもった。鮮やかな橙色のジャケット、濃い紫のスリムジーンズ、濃紺のスニーカー。いかにも着こなしに難儀しそうないでたちで学生課のまえで張り紙をとっくりと眺めていた後ろ姿を、僕はじろじろ見すぎたのだろうか。自転車にまたがったままでその場からうごかない闖入者をふりかえった視線が僕をとらえた。「どうかした?」「服」「服が?」「枕草子みたい」なんだそれ、と黄昏の空をまと [続きを読む]
  • ごめんね。
  • とくに何があったわけでもなく。なにかを無くした、だれかを亡くした、ようなこともなく。それなのにまいにちが地獄です。ネガティブではじまる朝を必死にニュートラルにもっていき、フラットにいちにちを終え、かえってくる。ただ、それだけのことが、地獄で受ける苦行のようです。かんたんに終わればいいのに。終わらせてほしい。もう充分。かなしいは許されない。くるしいも許してはもらえない。まいにちをつづけなくてはいけな [続きを読む]
  • 【SS】:This world with you
  • 知水(ともみ)がベランダで外をみている。ときどき身を乗り出して、すっと手で空を斜めに切る。ぱりんと糸の張りつめたような、頬の切れそうな冬の朝。永依(えい)はまどろみのなかで、恋人になったばかりの人の背中をみていたが、外界(つまりは布団の外)の温度に思い至り、ぎょっとして飛び起きた。なにをやってるんだ?つめたい朝とゆうべ抱きついた背中の取り合わせは、ひどくアンバランスにみえた。フローリングの床が冷え [続きを読む]
  • 【SS】:結び目
  • リボンを、ちょうちょのかたちに結わえるのが苦手だ。緒里(おり)のむすぶちょうちょはいつもいびつで、シューレースであれ荷造りであれ、満足に結べたためしがない。結果、緒里はよく転び、修学旅行のナップサックを背負うのはいつもクラスでいちばん最後になり、その集大成としてなんだか自分の人生は全体的に己のちょうちょ結びのようだ、と30歳になろうとする夜、ふと思ったりする。対人関係を結ぶことも苦手な緒里のサース [続きを読む]
  • 【SS】:僕と僕ではない影の
  • 物心ついたときから一緒だった。たとえば予防接種の会場に、ざりがに釣りでごった返すあぜ道に、光を反射させるあかるいプールに、僕は彼をいつもみつけた。そのたびに訊ねた。まわりの大人に、遊んでいた子に、先生に。「あの子は、いれてやらなくていいの?」だれもなにもいわない。『あの子』がみえないのだ、彼らには。いつだったか気がついた。それと同時に母さんの手が僕の目が彼をとらえるたびにわなないていたことに気がつ [続きを読む]
  • 後手後手にまわる。
  • 雪。あれ?溶けてる、いつ溶けたの?桜。もう散ったの?いつ咲いたの?かろうじてゴールデンウィークにつつじが咲いていてそれを認識できた自分に泣きそうです……お元気ですか、砂凪です。6月と10月にがんばれるできごとがあるのでとりあえず大丈夫です。あ、こないだ職場の面談で「さなさんは大丈夫がNGワードね」っていわれた。大丈夫、じゃないのかもしれない。けどそうそう簡単に「もうだめー!」っていえないじゃないです [続きを読む]
  • 片隅
  • 気にはなっているんです。心の片隅で、気がかりなことのひとつではあるのです。ずーーーっとこのブログを、更新していないこと。でも。なのに。それなのに。なぜ、わたしはこんなにも忙しいのでしょう……片隅で『気がかり』はいう。そろっとあたらしい連載をはじめる頃合いだと。春だし?新年度ももうすぐだし?うん、時は満ちている。満ちていないのはわたしで。くりかえしの日常にごりごりすり減っていく気分です。雨の月曜日な [続きを読む]
  • うごうごうご(生きてます…)
  • こんばんは、おひさしぶりです。砂凪です。ここを覗いてくださっている方がいるのか謎ですが、ばたばたと生きてます……(「生きてる!?」というLINEを現実でもらいました)いろいろまわりで動いています。忙しくてスマホをみる時間もほとんどない平日、疲れ果てて眠りおきたら休日のおわり。そして始まるウィークデー……。いったいどうしろと!それでも。でも、望んで手に入れた環境なのです。夢みて、描いて、ほしかったものな [続きを読む]
  • ☆キリ番30000hit目前です!
  • こんばんは、砂凪です。きょうの更新をすっかり忘れていてすみませんでした。(厳密にいうと、『きょうのぶんまでしか予約投稿してなかったのをすっかり忘れていて、申し訳ないです!』)まもなく。まもなく、まもなく。地球上でただひとり、わたしだけが待ち焦がれた30000hitが目前です。キリ番ふんじゃったかた、ほんとうに気の毒なのですが、なにかリクエストを飛ばしてください!鍵コメも拍手鍵コメも使えます!さいわいなこと [続きを読む]
  • いつか、ひかりへ辿り着く #30
  • 「平気……、息ができないとか、じゃない」「そう?」「うん。ちょっと、情けない」「あづみくん」え?と顔をあげるのと、繭子の顔が気まずそうになるのが同時だった。「ご、ごめんね。いきなり名前で呼んで、あの、名前で呼んじゃうとか不気味だよね」手首に力を込めた。「そんなことない。びっくりしただけで、別に、全然」「加科くん、優しいね」そう言ったときの、繭子の横顔がとてもきれいだと思った。好きだと思った。呼び方 [続きを読む]
  • いつか、ひかりへ辿り着く #29
  • 立ち止まったあづみを振り返った繭子の目が丸く見開かれた。傘をたたんでかけよってくる。「具合が悪いの?」ちぐさがいなくなってから、こんなふうに泣いたことはない。記憶を湛えた湖が大きく揺れる。そこからせり上がってくる嗚咽を必死に噛み殺し、震えているあづみの背中に手をやって、少女は訊ねた。「どうしたの?」背中を、やわらかい手が撫ぜた。ぼたぼたとアスファルトに涙が落ちる。次々に干上がっていく水滴を眺めなが [続きを読む]
  • いつか、ひかりへ辿り着く #28
  • ひとりで行けば?と言うほど非情ではないので「いいよ」と言った。完全にちぐさの気配がない場所なら、どこでもよかった。駅ビルまでの道を繭子と並んで歩いた。灰色の日傘を差した彼女は、学校で見るより少しきれいに見える。「夏休み、どこか行った?」とか「面白いことあった?」とか、楽しそうに訊いてくる。「どこにも」とか「なんにも」とか、一言二言返すのが精いっぱいだった。だって、と思う。繭子が自分を見る目が、まど [続きを読む]
  • いつか、ひかりへ辿り着く #27
  • 市立図書館に出かけた。あまり、ちぐさとの思い出にない場所。書架の間を、海藻をくぐる魚のように、これからどうしようと考えながら、ぐるぐる回っていると背中を声が叩いた。「加科くん?」振り返ると、同級の尾賀繭子がハードカバーの本を3冊ほど抱えて立っていた。「あ、やっぱり」深海から急にまばゆい光の世界に迷い込んだような気がして、あづみが口にしたのは「どうして」だった。「どうして、って?」「どうして、僕だっ [続きを読む]
  • いつか、ひかりへ辿り着く #26
  • 兄を失い、静かになったあづみを、『急に大人びた』という親戚もいれば『お兄ちゃんが亡くなってショックを受けて』という先生もいた。その声にすら、あづみは耳を塞いだ。記憶に無関係な『だれか』なんて、いないのとおなじだ。なにもしらない『だれか』の、なにもしらないことばなんて、ないのとおなじだ。そして。ふしぎと兄が死ぬ原因になった女性を責める気にはなれなかった。自分と同等の、そして多分それ以上の何かを負って [続きを読む]
  • いつか、ひかりへ辿り着く #25
  • 充分におこがましいとわかっていながら。思う、思わずにいられない。兄は、と思うのだ。ちぐさは、なんのために生まれてきたんだろう。心のなかがひとりきりのまま、まどかちゃんとふたりになれる日を望んだまま、手も声も「さよなら」も届かない所へ行ってしまった。ひとりで。永遠に、ひとりきりのまま。せめて、覚えていたいと思う。ちぐさがあづみのためにしていてくれたことを、ただ優しいだけでもその思い出を、思い出とも呼 [続きを読む]
  • いつか、ひかりへ辿り着く #24
  • 《2006年8月》つらかっただろう、苦しかっただろう、どれだけ生きていたかっただろう。7回忌の終わったあとの夏休み、あづみは散漫にちぐさのことを思い出すことが増えた。死ぬことが負極で生きることが正極、あるいはその反対なら仕方ないことだ、とあづみは思う。そのたびに、胸は痛む。痛ければ痛いほどいい。死者に繋がっていられる、傍にいるのとおなじことになる。だってあんなに傍にいたのだ。別れはあまりにも唐突過 [続きを読む]
  • いつか、ひかりへ辿り着く #23
  • なにもいらない、ほしくない。けれど、なにかを選ばなければいつか後悔するだろう。ちぐさと自分とを結ぶものが、死者につながる扉が、もうなにもない、と。たとえ、それがただの物体に過ぎずとも。兄が欠片になって、細胞レベルにそっと分割されていく。そんな気がした。その細胞をひとつ、分けてもらうことは罪じゃないだろう。結局、ちぐさがよく身につけていた深緑の石が繋がったブレスレットを選びだした。いわれは知らない。 [続きを読む]
  • いつか、ひかりへ辿り着く #22
  • あの日、あの夏の日。兄の命は海に流された。一緒に海にきていた女の子が溺れたのを助けて、自分が死んだ。どれだけの力が、どれだけの容赦のない凄惨が、その身の上に働いたのかあづみにはまだわからない。ちぐさがどれだけ苦しかったか、痛かったか。ちぐさ。呼ぶたびに、あづみは砂になりそうになる。あの日、足の裏にまとわりついていた砂。年上の女性が怖くてしがみついていた兄の手。あの手を、もっとしっかり握って放さなけ [続きを読む]
  • ☆おまたせしている連載のこと。
  • こんばんは、砂凪です。ずいぶんご無沙汰しております。年末年始のご挨拶もせず、クリスマス企画も立てていたのに実行せず(風里先生にわたしが会いたくなったのでざっくり書いてはいました!)せずせず三昧で申し訳ありませんでした。短編をあげるかたわらで『いつか、ひかりへ辿り着く』を(またもや)手直ししていました。なんとかかたちになったので、あしたからまた、随時更新します。かたちになった、というかいまのわたしに [続きを読む]
  • 【SS】:かみさま
  • 「赦されたい」人生に残された音声という音声を掻き集めて作ったような声で彼は言った。ぼんやりと暮れていく夕空を見ていた。茜色のグラデーション。ほら、夕焼けがきれいだよ、と僕は言った。でも聞こえない。届かない。彼には見えていないから。とりどりのオレンジも、どれもこれも、僕のことも。なにもかもを見ているような眼には、なにも映っていない。3日ぶりに口をきいた、とほっとした次の瞬間、その呟きの落ちた場所の途 [続きを読む]
  • 【SS】:晩餐
  • 葬儀から帰宅すると、遺影のなかに収まっていたはずの恋人が夕飯をつくりにきていた。「砂生(さお)」僕が、おずおずと呼びかけると彼はふりかえってわらった。何事もなかったかのように。いつも通りに。「優葉(ゆうは)、疲れたろ?座って待ってて。いまできる」いつもの背中。いつもの光景。いつもの夕餉。いつもの。思考がぶれて、揺れ、焦点を結ばなくなる。なにも、なかったのかもしれない。あんな事故は起きていなかったの [続きを読む]
  • 【SS】:なにもかも、みな
  • うつくしきもの、と心地よい声が流れる。午後の、古典の授業。昼休みのまえの授業がバレーボールだったので、ノートをとる手が痙攣するようにわずかにふるえている。どうしてだろう、といつも思う。思うだけだ、べつにわかりたいともわかろうともしていない。斜め前の席で遠木は、うりにかきたるちごのかお、と読み上げている。内職をするもの、沈没している頭、携帯をいじっている俯いた髪。だれも、きれいな朗読に気づかない。教 [続きを読む]
  • 【SS】:じぐざぐ
  • 「やっぱり誤作動だったんだって」君はいつもの、唐突に切り出すやりかたをした。ぼんやりとその手のカップから立ち昇る湯気をみながら、その言葉が湯気のように消えてしまえばいい、とおもった。「どうする?……どうしよっか?」人が心に抱く情動が、最新鋭の通信波によって誤作動するケースがあるというニュースが世間を騒がせてから1カ月。君はその心が、僕にむかう恋が、『まちがい』ではないことを確かめにクリニックを受診 [続きを読む]
  • お話、ときどき日常【20】:なんでもいいから、だから。
  • 完全にうつっぽい愚痴なので、パワーのない方は回れ右をおすすめします。では、いきます。自分がいなくても完成したパズルをただ眺めている気分だ。泣きも笑いも嘆きもよろこびも、できない。どれもむだだって、いい加減わかってる。だから。ドアを開けるのがこわい。そのむこうのあたたかな空間には、わたしがいらないってわかってるから。もしかしたら、悪口が聞こえるかもしれないから。傷つくだけだから。わたしに居場所はない [続きを読む]
  • お話、ときどき日常【17】:いっそがしーーーい!!!
  • みなさん(とは誰でしょう…)、すこしご無沙汰しています。ひと言叫ばせてください。いっそがしーーーい!!!だれだよ、すこししたら時間つくれる云々言ってたのは!(えらいひとだよ!)そんな時にかぎって、携帯を水没させてやわらか銀行で2時間待機しなきゃいけなくなり、ソファでわたしも沈没してました。ストレスで魂と髪の毛が抜け、前者はいいとして後者をかえせ!と叫びたいです。(円形脱毛症って労災には当てはまりま [続きを読む]