シャボン玉の詩 さん プロフィール

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シャボン玉の詩さん: シャボン玉の詩
ハンドル名シャボン玉の詩 さん
ブログタイトルシャボン玉の詩
ブログURLhttps://blog.goo.ne.jp/getanooto
サイト紹介文残り少ない道のりになりましたが、 気持ちをこめて! ありのままを!
自由文大きな病気を三つ抱えてておりますが、自伝小説や詩を書いたり、ネット囲碁、ゴルフなどたまにやったりして日々を過ごしております。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供68回 / 365日(平均1.3回/週) - 参加 2014/09/27 14:37

シャボン玉の詩 さんのブログ記事

  • (10N)霧の彼方(2003小品集より)
  • 白衣を着た看護師さん達が担架を運ぶ。佳子も一緒について歩いていたが、「集中治療室」と書いたドアのところで彼とは離れ離れになった。「ここでお待ちください」と看護師さんの一人が言う。腕時計を覗いてみたらもう11時を過ぎている。あっという間の4時間である。まだ何の音沙汰もなく連絡もない。余程治療が長引いているのだなと思いながら、佳子は祈るような気持ちでひたすら待つ。まさか私のことを忘れてやしないだろうかと [続きを読む]
  • (9N)霧の彼方(2003小品集より)
  • 最初に問いかけた隊員が携帯電話を取り出し話し始めた。「とに角全体がおかしいようです。脈が相当速く、恐らく200を超えているでしょう。それから発声が難しくなっているように思われます。認識は出来ます」「某医科大学病院ですね、分りました。すぐに出発します」担架が用意され、車中に収められる。その間に佳子は新しい毛布を掛け直し玄関の錠を掛け、続いて車に乗り込む。まさに着のみ着のままだ。車は再びサイレンの音を [続きを読む]
  • アホな奴よ
  • 厭な空模様だな。雲はとりとめもなくどたっと垂れ下がり、色も悪い。空気が重く酸素が肺に届きにくい。時折風がびゅんと吹き、窓がガタガタと音を立る。体中がずっしりと押さえつけられているようで気分が悪い。何だろうね、これって。身体の内も一寸変じゃないのかな。内臓ってあばらの骨にくっついてぶら下がっているのかな。何だか行き所を失ったようにふらふらしているぞ。そうか、僕の胃には傷があるんだ。あの傷が塩酸みたい [続きを読む]
  • (8N)霧の彼方(2003小品集)
  • 佳子は外でひとこと、ふたこと話して、それから隊員の2人がどどっと入って来る。佳子はじっと傍で邪魔にならないように見守っている。こうなったらじたばたしてもしょうがない、全てはお任せで成り行きに任せるしかない。何とか良い先生に診て貰って欲しいと願うばかりである。雅夫はぐったりしたままであるが状況はしっかりと読み取れている。この心臓が漸く完治するかもしれないと思いながら開き直っている。してやったりの気持 [続きを読む]
  • (7N)霧の彼方(2003小品集)
  • 少し緩めにマッサージを続けながら、「大丈夫ですか」と声を掛ける。雅夫の心臓異変には慣れっこになっているから割合冷静なのである。しかし今日のような症状は初めてである。心配の本気度は相当高い。もう一度声を掛ける。が、返事が返ってこない。半分口を開けて何かを言いたそうにしているが、どうもよくわからない。佳子はこれは大変だと直感した。「救急車を呼びます、いいですね」と耳元で大きな声を掛け受話器の下へ走る。 [続きを読む]
  • (6N)霧の彼方(2003.小品集より)
  • 一方雅夫は先程から再び胸が苦しくなって困っている。佳子との話が終わる寸前から心臓落ち着かず、どうしたものかと思案している。もう1度ブランデーをやってみるかと思うのであるが、佳子がきっと心配するだろうと思って躊躇しているのである。でも仕方ないか、と意を決しかけたところで、来た。強烈な「ドン」である。たちまち呼吸が苦しくなり喘ぐように肩で息をしながらベッドを降りようとする。結局ブランデーを求めたのであ [続きを読む]
  • いよいよ参ったか
  • 遂に終局が近付いたかな、年貢の納め時が来たのかな。そうだな、打つところがなくなってきたものね。だがじっくり見て見ろよ。ひとつだけダメが開いているが、気が付かないのですか。それすら気が付かないようでは駄目ですな。参りましたと頭を下げることだね。いや、頭を下げる気にはなれない。僕はそんなに悪いことしたのかな。そんな覚えはないぞ。自分がそう思っているだけで、実際は大変なワルだったぞ。分らんだろうな、本人 [続きを読む]
  • (12)霧の彼方(2003小品集より)
  • ああ神様、どうぞお助け下さい。この人の命を取らないで。お願いです。この人は未だ55歳なのです。いくらなんで早すぎるじゃありませんか。それにこの人常々言っておりました。70歳までは絶対に死なないぞ。70歳とそれ以下では月とスッポン雲泥の差だ。第一響きが違う。70を超えていたのか、なら悔いはないなと言われて逝きたいものだ。最近ではまるでお経を唱えるかのように何度も言っておりました。だから神様、どうかこ [続きを読む]
  • (11)霧の彼方(2003.小品集より)
  • 6時間後、佳子は別室に呼ばれ、先生から説明を受けた。「虚血性心疾患と脳梗塞が同時的に発症したようです。取り敢えずの処置は終わりましたが、かなり重篤な状況です。この数日を乗り越えられれば安定な方向に移行するかもしれません。然しながら親族の方々には連絡を取っておいた方がよいと思います」来るべき時が来た、佳子は自分でも驚くぐらい冷静に受け止めた。詳しい説明も求めなかった。こうなっては先生にお任せするしか [続きを読む]
  • (10)霧の彼方(2003小品集より)
  • 「山本さん、山本さん」何やら盛んに自分の名を呼んでいる。そのことに気付いて目を開けたのは多分しばらく経ってからであったと思われる。白衣の先生に目を向け、感謝の意を込めて僅かに頷いた。「あなた、あなた、頑張ったわね」佳子が耳元で呼び続けている。漸く事の成り行きが思い出されてきた。佳子の目をじっと見つめながら何かを喋ろうとしたがそれが難しそうであることである事が容易に理解できた。酸素マスクがすっぽりと [続きを読む]
  • (9)霧の彼方(2003小品集より)
  • 死ぬ間際になるとこのようにやたらと感謝の念に駆られるものなのであろうか。きっとそれは生きることに対する命の究極の尊さを現しているような気がする。そんなことを考えながら人生の最期は美しくありたいと彼は願っている。それやこれやと思いは果てしなく続く。確かに自分は幸せであった。然し佳子はどうであったろうと思う。彼が真に願望していたことは佳子が「私も幸せですよ」とひと言言ってくれることであった。が、振り返 [続きを読む]
  • (8)霧の彼方(2003 小品集より)
  • ――――これはひょっとしたら、これでお陀仏ってことになるかもしれないな。どうしよう。何とも言いようのない恐怖心が彼の脳のどこかに棲みつき始めている。死とはこのようにある日突然何かの事態に遭遇して、あれよあれよという間に死の淵に辿り着くものであろうか、と思い始めている。そうかもしれないな、生から死への移行の、所謂間際の時間とはこのように音もなく消えるように流れ去るかもしれないな、と思うのである。ひと [続きを読む]
  • (7)霧の彼方(2003小品集より)
  • やがてけたたましいサイレンの音がして、我が家の前でそれは鳴りやんだ。来たのだな、と雅夫は身構える。何しろ救急車に乗るなんてことは思いもしなかったし初めてのことである。佳子が外で何やら話していると思っていたら、ずかずかと2人が入って来た。佳子はじっと傍で邪魔にならないように見守っている。――――こうなったらじたばたしても仕方ない、全てをお任せだ。彼は開き直っている。同時に良い病院に行ってほしいなと思 [続きを読む]
  • (6)霧の彼方(2003小品集より)
  • 何となく不安に駆られながら目を閉じていたら、突然心臓が「ドン」と唸り、それからやり場のない不快な気分に襲われ、同時に呼吸も苦しくなり、細々と喘ぐように息をしながらベッドから降りようとした。ブランデーを求めたのである。しかしその身体を動かすという行為すら躊躇されるほど酷い不安を感じ、一歩を踏み出せないまま半分ベッドに腰を掛けるようにして動けなくなった。下手に動くと心臓が止まりはしないかと思うほどその [続きを読む]
  • (5)霧の彼方(2003小品集より)
  • 「ところで佳子、今我が家には何もかも一切合切出してどのくらいお金ある?」「何も計算することないわよ。せいぜいこれだけよ」佳子は指一本立てて手を上げて見せる。「それだけか、そうだろうな、僕の働きが悪いから、大変だな」「気にしない、気にしない。家持って子供二人育て上げたんだからお金かかったんです。でも上等なのです。私はこれ以上のことを望みませんよ。あなたさえ健康でいてくれたらそれで十分幸せです」「君が [続きを読む]
  • (4)霧の彼方(2003小品集より)
  • 「あのポケット瓶で? ところで、あの中味はブランデーですか」「いや、ブランデー半量と君が作った梅酒半量を混ぜて作った特製のものだ」「へえ、驚いた、それであんな甘酸っぱいにおいがするのね」「そうだよ、秘伝の薬だ、これさえ持っていれば鬼に金棒さ」「まるでアル中患者の見本みたい」「まさか、そんなに飲むわけじゃないぞ。調子がおかしくなったら1口、2口飲むだけだよ。不思議な事に数秒もしたら効いてくる、ふわふ [続きを読む]
  • (3)霧の彼方(2003小品集より)
  • 佳子は玄関を開けるなりブランデーのほのかな匂いを感じ取り、そのまま彼の寝室に向かう。「お酒を飲んだのですね。また心臓の具合が悪くなったの」雅夫は微かに頷く。[今度のは酷い症状だったんですね……あれっ、まああなた、吐いたのですね]佳子は手際よく彼の頭を持ち上げて枕を取り換え、洗面用具を持ってきて、それから丁寧に雅夫の頬や口の辺りを拭く。とてもそれでは間に合わないので洗面所へ何度も走り、水とタオルを取り [続きを読む]
  • (2)霧の彼方(2003小品集より)
  • 突然何かが起こった。――心臓の発作か…何という事だ、アルコールが効いていないじゃないか。大慌てでニトロ舌下錠を取り出し、包みを開けようとしたが気ばかり焦って手がガタガタ震え、上手く取りだせない。落ち着け、落ち着けと言い聞かせ漸く封を切り裂いたものの、肝心の錠剤を床に落としてしまった。――しまった、この馬鹿が、畜生。心臓は高鳴る一方である。それにしても今回の発作は、これは一寸ただ事ではない。過去に似 [続きを読む]
  • (1)霧の彼方(2003小品集より)
  • 「一寸買い物に行ってきますからね」そう言って彼女は開いている窓をバタバタと閉め始めた。今にも降りだしそうな灰色の雲がちらっと見えて、そして消えた。「うん……」まどろみの中でまだ朦朧としているいるが、心臓の具合は依然としてけだるく、2日酔いも相まって気持ち悪いことこの上なしである。――発作が来るかもしれない彼は枕元の小箱の引き出しを開けて、舌下錠を確認した。念のためである。やがて玄関の戸が閉まる音が [続きを読む]
  • 散策
  • 「散策」と言う言葉、何と心地よく響きの良い言葉であることか。その日の生活に追われるというわけでもなく、特別に何をしようというわけでもなく、何を観察するというわけでもなく、ただひたすらにのんびりとぶらりぶらりと歩く。山の麓であれ、田舎の田んぼのあぜ道であれ、海辺であれ、川辺であれ、それは何処であろうと良いのである。静かな自然の中に身を置きながら時を忘れて歩く。ふと我に返ったら孫の顔を思い出していた、 [続きを読む]
  • 未だ投了の局面にあらず
  • 散歩には出たものの、冷たい空気が次第に身体の奥深く染み込んでくる。まるで真冬のようだ。ずっしりと重い雲がのしかかり、一筋の光さえ受け付けない妙に暗い昼前である。思わず手をコートのポケットに入れ、片道30分の最長のコースを歩き始める。心配していた胃痛が少しは緩んできたかなと思って、冒険だ。今は間欠跛行の辛さより胃痛の方が大変なのである。何とか空腹感が出て来て胃が良くならないかと気をもんでいる。それに [続きを読む]
  • 禁煙録(思い出の日記より)
  • 煙草を止めたらその内きっといいことがある。何しろ40年間、40本も吸い続けてきたじゃないか、きっと体が見違えるように元気になる。そう思って思い切って決断した。15年前のことである。きっかけはある。仕事上で親しかった友人が「退職して退屈だからタバコを止めたよ」と電話してきた。これには仰天し、それなら俺もという気になった。何しろ2人は酒も煙草も群を抜いての豪酒家、ヘビースモーカーであった。煙をもうもう [続きを読む]
  • 子供は神様だ
  • 方向音痴、よく聞く言葉である。かなりの確率でそのような人がいるに違いないと推察している。が、僕のそれは多分群を抜いて、突出しているのではないかと思っている。スーパーや百貨店、病院等でトイレを使うことがままある。探し当ててて行くのは容易いが、出口が分らなくなり一瞬どぎまぎすることがある。中の構造が直線的になっていない場合は間違いなくそうなる。旅館やゴルフ場のお風呂を使うときだって気を付けなければなら [続きを読む]
  • 勝負手
  • 決して大袈裟に言うつもりはないが、今日のゴルフプレーは勝負手みたいなものだ。この胃痛がより悪化すればその時はその時、もしも良くなれば大いに結構。半ばやけくその決断である。2度目のこの胃潰瘍は今までの数多い病気の中でもダメ押し的に感じる。 色々の病気を持ち、ただでさえ食には神経を使っているのに未だこの上に配慮が必要とは。この頃少々疲れを感じてきているのである。歳食えば忍耐力や闘病力を失ってくるのであ [続きを読む]
  • 夢見る紅葉
  • いよいよ待ちに待った紅葉の季節が来た。去年は動脈硬化性閉塞症とかの病を発症し、歩けなくなり断念している。今年こそは、と祈るような思いであった。紅葉は山や里の景色の変化の中で最も美しい光景である。山の上から順に木の葉が総天然色で変わっていく。何という見事な季節の到来、圧倒される景観に心奪われるときなのです。あの山は、森は、林は何故こうも美しく変化し私達を魅了するのでしょうか。人間だけが全ての色を見分 [続きを読む]