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  • 「被害者・大谷」なのに愚劣な発信が多すぎた情報化社会

    情報もなく思い込みを垂れ流し2024年4月13日米メジャー・リーグで活躍するスーパースター、大谷選手の通訳を巡る事件で、米連邦捜査局は12日、水原一平を銀行詐欺容疑で訴追しました。連邦検事は「大谷氏は被害者とみなされる」と明言、私はほっとしました。3月末に事件が明るみになって以来、思い込み、伝聞、想像などに基づく情報、発言、コメントが飛び交いました。米国での事件、スポーツ賭博、法律問題などが絡み、知識が不十分な日本のファンは「一体、何が真相なのか」と、翻弄されました。捜査中の事件で、大谷選手は反論をできない立場にあるため、無責任な発言、コメントを乱発、乱造しやすかったのです。事実関係の検証もせずに気軽に発信できるネット社会の断面をみました。新聞・テレビなどのメディアもいかにも「訳あり」との印象を与える情報...「被害者・大谷」なのに愚劣な発信が多すぎた情報化社会

  • 就職人気でまたニトリが1位、新聞・テレビは全滅

    学生が読まない、見ない2024年4月9日学生の就職人気ランキングの文系総合で、家具・インテリアのニトリが昨年に続き第1位を維持しました。日経新聞と就職情報大手・マイナビが来年3月卒予定の大学生を対象にした調査の結果(3・9万人回答)です。メガバンク、大手商社、著名メーカーを抑えて、北海道発のニトリがトップに2年連続で躍り出たことは驚きです。国内690店舗、海外100店舗の大企業に成長し、さらに「IT(情報技術)コース」も備え、「製造物流IT小売業」というビジネスモデルを築き上げました(日経)。在学中に学生に職場体験を積んでもらうインターンシップも本格的に実施し、学生に親近感を与えているようです。私の居住地に近い立川駅前の高島屋はデパート業をやめて、フロアを貸す賃貸業に転換したのか、ニトリが入居しました。ニ...就職人気でまたニトリが1位、新聞・テレビは全滅

  • 自民党の資金疑惑の「本丸」に遠吠えする新聞

    解散・総選挙は遠のく24年4月5日自民党は派閥の裏金事件を巡り、安倍派、二階派の計39人の処分を決めました。新聞各紙をみると、表現にかなりの違いがあり、新聞社のスタンスが反映されています。朝日は「自民裏金」、毎日は「裏金事件」と表現したのに対し、読売は「不記載」としています。読売は関連記事でも「自民党派閥の政治資金規正法違反事件」という表記です。意図して「裏金」という表現を避けたのでしょう。自民党自体が「裏金」という言い方を避けているのは、「裏金」と言えば、犯罪に相当すると考えているからです。読売は、遠慮深すぎる。迷ったのは日経でしょう。1面4段の地味な扱いで、見出しは「39人処分決定」とし、文中にも「裏金」は出てきません。社説の見出しでやっと「党の処分で裏金問題の幕引きは許されず」と書きました。各紙の対...自民党の資金疑惑の「本丸」に遠吠えする新聞

  • 安倍派が自民党離脱・新党結成というエイプリルフール

    安倍派追放の屈辱で居直り2024年4月1日毎年4月1日は嘘をついていい「4月馬鹿」の日です。新聞をみていたら、やはりそれらしきニュースが見つかりました。「政治資金問題を巡る安倍派幹部の離党処分などを不満として、旧安倍派の最大100人が自民党を離脱し、新党を結成する」というのです。安倍元首相が死去し、後継の会長が決まらないうちに、政治資金の裏金疑惑が発覚し、安倍派が最も悪質ということで、座長、事務総長ら4人が離党勧告、他にも党員資格の停止、選挙における非公認などを合わせ40人に重い処分が今週、決まります。岸田首相が政権支持率のあまりの低さ(20%台)に危機感を強め、じわじわと安倍派追放を選択せざるを得なくなってきた。旧安倍派は離党勧告・非公認という屈辱を味わうくらいなら、自民党を飛び出し新党を結成する。この...安倍派が自民党離脱・新党結成というエイプリルフール

  • 円安投機を招いているのは政府・日銀の不用意な言動

    市場は疑心暗鬼の状態がよい2024年3月28日日銀が異次元金融緩和の枠組みを転換したのを、あざ笑うかのように円相場は27日、1㌦=152円目前まで下落(28日は寄り付き151円30銭)し、34年ぶりの円安水準を記録しました。鈴木財務相は「行き過ぎた動きにはあらゆる手段を排除せずに断固たる措置をとる」と発言し、政府関係者も「投機的な動きがある」と指摘しています。投機筋を敵に回し、けん制しているつもりでしょう。私は「政府・日銀の言動が円安投機を招いている。そこをもっと意識すべきだ」と、思います。円安の原因はかれらの言動によるところは大きく、投機筋のせいにするのは本末転倒です。最近、「日銀は市場との対話を重視し、市場に対する丁寧な説明、コミュニケーションが必要である」が決まり文句になっています。そんなことを続け...円安投機を招いているのは政府・日銀の不用意な言動

  • 神話と伝説にすがる皇位継承は女性軽視で安定を損なう

    時代の流れを取り込みたい23年3月24日連日のように能登大震災、政治資金の裏金疑惑の報道が溢れている中で、先日、「皇族数確保の具体策を検討/自民懇談会」という地味な扱いのニュースを見つけました。とくに適齢期の秋篠宮佳子様が結婚するようなことがあれば、若い皇族は秋篠宮悠仁様くらいしかおられなくなります。両陛下の長女愛子様も大学を卒業され、いつかご結婚される。小泉首相の20年前から、皇位継承対策は急を要するとされてきたのに、旧勢力の発言力が大きく、議論は進みませんでした。「日本の伝統」を強調する旧勢力の抵抗が強く、自民党を支えている部分が大きい。記事を読むと、「結婚後の皇族女子を皇室に残す」、「旧皇族の男系男子を養子縁組で皇籍に復帰させる」、「皇位の安定的継承を掲げ、皇室典範の改正を図る」の方向で議論をまとめ...神話と伝説にすがる皇位継承は女性軽視で安定を損なう

  • 異次元金融緩和策の本当の出口は2、30年先か

    たどり着いたのは出口の入り口2024年3月20日日銀は、2013年から始めた大規模金融緩和政策の骨格を修正しました。植田総裁は「大規模な金融緩和は役割を果たした」としつつ、「緩和的な環境は維持する」と、矛盾するような発言をしました。アベノミクス、黒田・前総裁の金融政策の遺産があまりにも大きく、一気に正常化できない。そう言いたかったのです。「自分がやる金融政策は、黒田氏の継続ではない。区切りをつける」という意味です。とにかく異次元金融緩和(大規模金融緩和)を転換し、出口には向う。私は「異常な金融財政状態を正常化する出口には差し掛かったものの、その出口は途方もなく長い。出終えるのに20年ー30年はかかる。数十年かかるという意見もある」と思います。何をもって正常化というのでしょうか。「人為的な異常な低金利はやめ...異次元金融緩和策の本当の出口は2、30年先か

  • アカデミー賞司会者の「トランプ氏に一撃」にみる日米格差

    政治権力批判に及び腰の日本2024年3月17日米ハリウッドで10日に行われたアカデミー賞受賞式で、著名な司会者のキンメル氏がトランプ前大統領を痛烈に皮肉る一撃を放ちました。「そこまで言っていいんかい」「そこまで言うのが米国メディアか」と思いました。同時に、米国の政治、社会環境、メディア環境は日本と大きく違い、比較は難しいにしても、「日本のメディアは政治権力に対して及び腰でありすぎる」というのが私の感想です。キンメル氏は米国の人気のテレビ司会者、コメディアン、プロデューサーーです。ABC放送の「ジミー・キンメル・ライブ」の司会者で、様々なゲストを招き、トークショーをしていると紹介されています。恐らく大統領選を始めとする政治を含め、自由で辛辣な発言も多いのでしょう。トランプ氏はアカデミー賞については、「政治的...アカデミー賞司会者の「トランプ氏に一撃」にみる日米格差

  • 米国のシンボル・USスチール買収は日鉄経営陣の浅慮

    政治リスクの懸念を軽視2024年3月15日日本鉄鋼メーカー、日鉄による米国のシンボルともいえるUSスチールの買収は案の定、トランプ、バイデン両氏の反対で暗礁に乗り上げました。日鉄の経営陣が政治問題化のリスクを甘くみた結果でしょう。日鉄が2兆円という巨費を投入するというので驚きました。今の流れからすると、すでに政治問題化しており、買収が成功するか否か、大統領選の影響を受け、かなり危うい状況でしょう。政治的リスクに対する経営感覚が甘かったと思います。日鉄経営陣はまず、買収を発表したタイミング(昨年12月)の悪さを反省すると同時に、少なくとも「大統領選の期間中は買収交渉を中断する」という決定を早期にし、公表すべきでしょう。円安で買収金額が膨大になりましたから、政治的側面はクリアしているのかなと想像しましたら、そ...米国のシンボル・USスチール買収は日鉄経営陣の浅慮

  • 日米とも深刻な政治危機の中で株価は最高値の怪

    政治不安がマネーばらまく2024年3月8日泥沼状態にはまった米大統領選、岸田政権の支持率の急落といい、日米ともに深刻な政治危機に陥っています。その中で株価は両国とも史上最高値を更新しました。政治的安定がマネー市場の安定に欠かせないという常識がもう通用しないようです。政治不安から財政金融の膨張策が長く続き、大量のマネーが市場に供給された結果なのでしょうか。金価格まで史上最高値を更新しています。今年の実質経済成長率は米国2・1%、日本1%(OECD見通し)と低調です。経済のファンダメンタル(基礎的条件)と比べてマネー市場が肥大化する一方、それが必ずしも実体経済に流れていかない。各国政府、中央銀行は一度、立ち止まり、世界的規模のマネー休戦(金融軍縮)に踏み込めないものなのでしょうか。日本の株価は4日、4万円台に...日米とも深刻な政治危機の中で株価は最高値の怪

  • 野党は政治刷新戦線を組み自民党に圧力をかけよ

    稀にみる政治改革の好機到来3月2日自民党派閥の裏金事件を巡り、2日間わたる政治倫理審査会が行われ、日本が政治を刷新する好機がきたのに、虚しく時間を空費しています。新聞、テレビも説教調の報道を続けていれば、自民党が自ら改革に動きだすとでも思っているようです。岸田政権支持率も自民党支持率も20%台に低下し、「支持政党なし」は50%台まで上昇しています。こんな時でもないと、自民党は本当の危機感を覚えません。自民党改革、政治改革の滅多にないチャンスがきたはずです。自民党は守勢に回り、野党は攻勢にでられる絶好の機会です。目先の自民党追及ではなく、日本に政治改革をもたらす戦略を描いてみるべきです。私は野党が政治改革戦線を組み、選挙に臨むよう期待します。各種の政策の違いを捨て、今回は政治改革という一点で連立を組んだらど...野党は政治刷新戦線を組み自民党に圧力をかけよ

  • 本当の姿が見えにくい「史上最高値の株価」の虚実

    筆頭株主が日銀という奇形な市場2024年2月23日株価が3万9000円台をつけ、34年ぶりに最高値を更新しました。4万円超えの強気論も浮上しています。全国紙はどこも1面トップの扱いで、日経新聞の1面は紙面のほぼ全部を占める「全段ぶち抜き」、関連記事に何ページも割く力の入れようです。日経は「ついに天井を突き抜けた。もはや『バブル後』ではない。株価は上がらないものというマインドセット(思考様式)に変化を迫るに違いない」(1面解説)と、相当盛り上っています。34年ぶりの高値更新ですから、大きな節目ではあります。肯定的に評価する一方で、「34年もかかったのはなぜ」、「この間、米国株は10倍以上、EU株(ユーロストック指数)は4倍以上も値上がりしている。日本は1倍に過ぎない」と、「最高値」といっても実感が沸いてこな...本当の姿が見えにくい「史上最高値の株価」の虚実

  • インフレ率を加味した「史上最高値の株価」は5万7千円のはず

    3万8900円の実質価値は2万700円2024年2月16日日本の株価が34年前につけた史上最高値3万8915円の圏内にまで高騰しました。過去34年間の平均インフレ率0・6%を加味すると、実質的な最高値は5万7000円になるはずです。チャットGTPに質問しましたら、そういう回答でした。そこまで高騰しないと、通貨価値が同等にならない。株価は景気動向、インフレ率、企業決算、内外金利差、為替レート、国際情勢など、様々な要因で決まります。遊びのつもりで、株価がインフレ率にスライドして変動すると仮定して、チャットGTPに聞いてみたのです。逆に最高値の3万8915円がインフレ率にスライドして目減りしていると仮定すると、実質価値は2万700円だそうです。大雑把な計算ですし、株価の名目価値と実質価値を比べることにどの程度の...インフレ率を加味した「史上最高値の株価」は5万7千円のはず

  • 文春砲「五輪汚職・高橋被告の激白」が暴露する政治家の狡猾

    罪は民間人に押し付ける2024年2月9日週刊文春は「五輪汚職、高橋被告が独占7時間」というインタビュー記事(2月15日号)を掲載し、五輪組織委員会に高橋被告を理事として招き入れた安倍、森元首相に憤懣をぶちまけています。「なぜ俺が全ての罪を被るのだ。政治家はどうなのだ」との怒りを文春砲は伝えています。スポンサー契約を巡り、約2億円の賄賂を受け取ったとする事件で、高橋被告は無罪を主張し、一方の贈賄側は罪を認めて有罪が確定したという奇妙な展開になっています。ですから高橋被告が自分に不利な情報を語るはずはなく、インタビュー記事を鵜呑みにできません。鵜呑みにしていいのは安倍、森両元首相への憤懣で、それは事実だと想像します。政治家の狡猾さにいいように利用されたとの思いでしょう。民間人、民間企業の責任をきっちり追及する...文春砲「五輪汚職・高橋被告の激白」が暴露する政治家の狡猾

  • 日経「私の履歴書」で知る財務省OB「日銀・黒田と五輪・武藤」の優劣

    2人の高官の去り際のドラマ2024年2月1日日経新聞で定期的な購読者が最も多いと思われる連載コラム、著名人による「私の履歴書」(1か月)に異変がありました。昨年11月に財務省財務官OBで日銀総裁を務めた黒田東彦氏、今年の1月には事務次官OBで東京五輪組織委員会の事務総長だった武藤敏郎氏が登場したからです。黒田氏(1944年生まれ)は国際金融、武藤氏(1943年生まれ)は国内財政の事務方のトップで同世代、財務省OBの二人が間を置かずに紙面をにぎわすとは、異例のまた異例のことです。どういうことだろうか。そう思った読者が多いに違いない。準備期間も必要ですから、執筆の依頼は相当早くするのでしょう。退任後、1年半の武藤氏の登場は順当としても、黒田氏の場合は昨年4月にお辞めになってからわずか半年です。黒田批判、異次元...日経「私の履歴書」で知る財務省OB「日銀・黒田と五輪・武藤」の優劣

  • 大きな政治論を欠いた資金疑惑の追及の虚しさ

    小さな政治論の各論が優先2024年1月29日連日、自民党の派閥の解消、裏金事件の追及が新聞、テレビ、ネットでにぎわっています。この1、2か月、同じようなニュース、コメントばかり溢れ、もう飽き飽きしている人が多いでしょう。私もそうです。「派閥とカネの悪弊を今度こそ断ち切れ」(日経社説、1/26日)、「規正法の罰則強化も欠かせない」(読売社説、同)、「政治資金の流れをガラス張りにする制度改正の実現が不可欠だ」(朝日社説、1/27日)と、各紙は論陣を張っています。政治資金の流れを透明化し、派閥主導の人事もなくしていくことは必要です。異論はないでしょう。「政治とカネ」の歪んだ関係を正常化することは、それそのものが目的ではない。正常化を前提にどのような政治をするかが最終的な目的のはずです。その議論がなかなか聞かれな...大きな政治論を欠いた資金疑惑の追及の虚しさ

  • 派閥解消を引き金に自民党の世代交代を進めたい

    時代の中核的世代が政治を担え2024年1月20日政治資金の還流疑惑事件で、東京地検特捜部は安倍、二階、岸田派を立件したものの、会計責任者らだけを起訴し、幹部議員は見送りという尻切れトンボの幕引きになりました。検察も自民党も正体を見せたのです。予想された通りの結末になる一方で、安倍派(96人)、二階派(38人)、岸田派(46人)の3派が派閥解消を決めるという予想外の決定が飛び出しました。政治の流れとしては、こちらのほうがはるかに大きな重みを持つことになるかもしれません。「派閥は解消しない」と言っている麻生派(56人)、茂木派(53人)はいつまでもちますか。そういう態度を取ってくれたいたほうが問題の根深さを理解するのに役立ちます。「どうせ派閥は復活してくるさ」かもしれません。私は、今回の展開は政界の激震の始ま...派閥解消を引き金に自民党の世代交代を進めたい

  • そこまで書くのか日経新聞の「相場あおり運転」を憂う

    証券業界紙的な体質の修正を2024年1月11日日本の株価が9日に33年ぶりの高値、終値は3万3763円をつけました。11日も3万5000円の高値でした。年内には1989年12月のバブル期の史上最高値3万8915円を更新すると、はやす声も聞かれます。能登の大地震災害、羽田空港の航空機衝突事故、国会議員の相次ぐ逮捕と、暗いスタートを切った2024年にとって、株高は明るい話でしょう。一方、株高の背景は単純ではなく、手放しで喜べる話ではない。株価の見通しは証券専門家に任せるとして、私は新聞報道のあり方、特に日経新聞の報道姿勢を論じてみたいのです。10日付の1面トップの記事を読んで、「まるで相場の煽り運転みたいな記事ではないか。経済専門紙というより、業界紙のような体質だ」だと、感じました。しかも筆者には『本社コメン...そこまで書くのか日経新聞の「相場あおり運転」を憂う

  • 異次元緩和をめぐる「中公新書」対「岩波新書」の優劣

    ドキュメントと経済理論の対決2024年1月4日植田・日銀総裁の下で異次元金融緩和からの転換が始まろうとしています。タイミングよく中公新書から「財政・金融政策の転換点」(飯田泰之・明大教授)、岩波新書から「ドキュメン異次元緩和」(西野智彦・元TBS報道局長)が出版されました。筆者も主張も好対照です。ジャーナリストの手による岩波新書では、安倍・元首相が主導した異次元金融緩和政策の意思決定の舞台裏が活写されています。ドキュメントであっても、筆者の論評が随所に挿入されている。マクロ経済理論を駆使している中公新書では、財政金融政策の理論的な考察に努めています。優劣をつけるとすれば、岩波新書の筆者が優れており、中公新書の筆者は学説にとらわれすぎ、敗色濃厚のリフレ派に分類されるという印象を受けます。リフレ派の安倍氏自身...異次元緩和をめぐる「中公新書」対「岩波新書」の優劣

  • 「歴史をご破算に願いまして」の逆回転が世界で多発

    資金疑惑が集中する安倍派の再評価2023年12月29日21世紀に入り、特にこの10-20年、世界的に多次元の分野で歴史の歯車の逆回転が加速しています。世界も日本も、外交、政治、経済、社会もそうです。大きな問題から身近な暮らしの問題まで、われわれは「歴史をご破算に願いまして」の時代にほんろうされている。これが今年1年の総括です。既存の枠組みが無残に崩壊し続けています。まずメディアが連日、報道している自民党安倍派の醜悪な政治資金規正法違反事件です。東京地検特捜部の捜査対象を安倍派に絞っています。「安倍晋三回顧録」(中央公論新社)が出版されたのは23年2月です。「未公開インタビューの全記録」と本のカバーに書かれ、聞き手が「日本憲政史上最長の政権を徹底分析する。記憶が生々しいうちにより真実に近づくことを考えた」と...「歴史をご破算に願いまして」の逆回転が世界で多発

  • 世界的規模の高負担時代における国家予算のあり方

    何もかも政府頼みだから危機が来る2023年12月23日政府は総額112兆円もの来年度予算案を決めました。2年連続で110兆円台を超え、6年連続で100兆円を超えることになりました。異次元金融緩和はやっと「出口の入り口」にたどり着いたようです。予算編成を見ていると、財政は先進国最悪の状態からの「脱出」、「出口」はまだまだ先です。いつ起きても不思議ではない大震災が実際に起きたら、日本の金融財政の脆弱性が世界のマネー市場で一気に警戒され、危機に発展するに違いない。政界も政治資金疑惑で大混乱し、何も決められない状態です。政治危機と経済危機が重ならないよう祈るのみです。世界的規模で様々な分野で高負担に時代に入っている。それに加え、特に日本の場合は、なにもかも政府頼みですから、税収に見合わない歳出が増え、それに伴い財...世界的規模の高負担時代における国家予算のあり方

  • 大規模金融緩和を修正しても経済停滞は止まらない

    アベノミクスでぬるま湯に浸かった23年12月17日日銀は18、19日に金融政策決定会合を開き、10年以上続く大規模金融緩和(異次元緩和)政策の方向転換をさらにどう進めるか議論します。植田総裁が「年末から来年にかけて一段とチャレンジングになる」と発言(12月7日)した直後の会合です。「本当に本気なの」と注目されています。安倍派の裏金疑惑で政局が大混乱しているので、金融政策も様子をみることになるのかどうか。逆に政府は日銀に圧力をかけるどころではなくなっているので、日銀の独立性を取り戻す機会がきたと思うべきです。安倍氏が故人になってから、旧統一教会と自民党との因縁に満ちた関係、安倍派の政治資金の還流疑惑(息を吹き返した地検特捜部)が明るみになり、さらに修正に向った大規模金融緩和など、潮目が大きく変わり始めていま...大規模金融緩和を修正しても経済停滞は止まらない

  • マネーロンダリングもどきの派閥の政治資金の還流

    政界版の資金洗浄に相当か23年12月9日自民党最大派閥の安倍派で中枢幹部6人がパーティー券収入から多額のキックバック(還流)を受けていた疑いで、東京地検特捜部が捜査しています。捜査対象はもっと大勢の議員です。次々に情報がリークされ、更迭は松野官房長官にとどまらず、岸田内閣は空中分解するでしょう。空席となった閣僚ポストを受ける議員は、岸田内閣という泥船に乗ることになり、人選が難しい。内閣総辞職に踏み切り、新しい首相による新内閣で出直さないと、局面を打開できそうにありません。様々な視点からの情報、論評が飛び交う中で、私が思うのは「政治資金の不透明な流れは、やばい人たちや犯罪組織が使うマネーロンダリング(資金洗浄)の手口に通じるところがある」という点です。マネーロンダリングは、犯罪などによって得た収益を、その出...マネーロンダリングもどきの派閥の政治資金の還流

  • 異次元緩和の出口を黙殺した黒田・前総裁の「私の履歴書」に失望

    日本経済の国際的地位の低下も無視2023年12月1日黒田東彦・日銀前総裁が11月、日経新聞の人気コラム「私の履歴書」に登場し、驚かされました。「退任後、1年も経たないのに登場したのは異例すぎる」、「巨額の国債発行を日銀のファイナンス(大量購入)で助長したつけは大きい」、「円の通貨価値(ドル建て)が円安で下落し、日本経済の国際的な地位の低下を招いた」など、論点はたくさんありました。11月末に黒田氏(元財務官僚)の「私の履歴書」は終りました。私の感想は「失望」の一語に尽きます。ご自分の仕事ぶりを丹念に説明した「私の職歴書」という印象です。「都合の悪い問題には触れない。自分の誤りも認めない」という多くの官僚に共通するスタイルを守り切りました。1か月の連載の冒頭で、「誰かがデフレを止めなければならない。総裁指名を...異次元緩和の出口を黙殺した黒田・前総裁の「私の履歴書」に失望

  • 池田大作氏は宗教家というより稀代の大衆運動家

    宗教家の枠での評価には限界23年11月20日11月18日の新聞朝刊を開きましたら、創価学会の全段1㌻のカラー印刷の広告が掲載され、驚きました。「かつての発射口はいま、平和へ向けられている。人を信じ、世界と進む。創価学会」とあります。「米軍統治下の沖縄には1300発もの核兵器が置かれていた。核ミサイル発射台跡が残っている創価学会沖縄研修道場。核があった場所は、『世界平和の碑』として平和を発信する地へ生まれ変わった」と、写真も添えてありました。1㌻を使った突然の広告に、いったい何だろうかと。「創価学会にとって最も重要な日は、学会の創立(1930)記念日『11月18日』」と聞かされたことがあったような気がします。それかな。さらに驚いたのは、広告が掲載された日の昼、「池田大作氏死去」とテレビが速報しました。「そう...池田大作氏は宗教家というより稀代の大衆運動家

  • 任命責任を問うどころではない日本政治の質的低下

    トップにも中堅にも人材が不在2023年11月14日9月の内閣改造後、政務三役の更迭は3人目となりました。NHKの世論調査でも内閣支持率は29%(7ポイント下落)で瀬戸際の30%を割ってしまいました。普段は高目の支持率が出るNHKでさえこの有様ですから、今後、さらに支持率の下落は続くでしょう。最近、はやりの「持続可能な開発目標」(SDGs)にちなんで言えば、「持続可能な民主的統治」を考えてみる必要があります。SustainableDemocraticGovernace(SDG)ですか。将来、閣僚にでもなって、日本の民主主義政治を支えるはずの中堅レベルにもまともな人材が少ない。岸田首相が狙っていた解散・総選挙を強行していたら、自民党は大量の落選者がでて、首相への痛撃になったに違いない。だからほっとしているので...任命責任を問うどころではない日本政治の質的低下

  • 解散断念の「首相の誤算」は有権者にとっては朗報

    世論調査は6割が反対2023年11月11日岸田首相は年内の衆院解散を見送ることにしました。主要新聞は「首相の誤算」とか「支持率低迷で追い込まれた」などと書いています。首相にとっては誤算であっても、物価高対策としては無益な定額減税、選挙目当ての浪費とみて、6割が解散に反対(世論調査)していた有権者にとっては「勝利であり、朗報」であると思います。日本の政治ジャーナリズムは、権力者の政治戦略、舞台裏の駆け引きなどの「政局記事」で多くが占められ、有権者の目からみたら「進行中の政治がどのような意味を持つのか」は二の次になっている。そのこともあって読者は新聞からどんどん離れていっている。目覚めてほしい。各紙とも世論調査を定期的、精力的に行っているのに、それを政治記事のあり方に生かしていない。解散見送りは「世論の勝利、...解散断念の「首相の誤算」は有権者にとっては朗報

  • 財政金融の共同作業なくして異次元緩和の出口なし

    反対方向を向いている政府と日銀2023年11月3日日銀が金融政策決定会合で、長期金利の1・0%超えを容認することを決めました。7月に続く長短金利操作(YCC)の修正で、市場関係者は「徐々に異次元金融緩和の出口に向かう」とみています。朝日新聞に1面トップのそで見出しが「また緩和修正」でした。まづいことをしているような印象を与える。よくない見出しです。「修正」の繰り返しつつ日銀は出口に近づこうとしているというのが正しい解釈です。植田日銀総裁の発言の歯切れの悪さは今回も同様で、異次元緩和の段階的な軌道修正の意味を分かりにくくしています。アベノミクスによる大量国債の発行、それを可能にした日銀の異次元金融緩和の後始末が容易でなく、曖昧な言い方しかできないのでしょう。同情はします。金融の正常化は「日銀の単独ではできな...財政金融の共同作業なくして異次元緩和の出口なし

  • 中東危機再来なのに経産省が石油部をなくしていた拙速

    エネルギー政策の主柱が脱炭素化では2023年10月27日イスラエルとイスラム組織ハマスが激突し、中東危機で世界が激震に襲われています。今年は第4次中東戦争を契機(1973年10月)とする第1次石油危機からちょうど50年あたりにます。石油危機が再現し、物価高騰、経済停滞が再来するのかが懸念されています。第1次石油危機の時は、通産省(現経産省)はタイミングよくその直前の7月に、組織改革を行い、資源エネルギー庁を新設していました。鉱山石炭局を公益事業局を統合して資源エネルギー庁に改組し、石油部、石炭部などを新設しました。この組織改正が的中し、原油の輸入削減、トイレットペーパー騒ぎもあったオイルショックを乗り越え、それを機に日本は省エネルギー構造に大転換し、高度経済成長へと進みました。今回の危機勃発で、当時の花形...中東危機再来なのに経産省が石油部をなくしていた拙速

  • 円安・物価高にはまったのは安部・黒田氏の失政による

    日本窮乏化の為替政策との酷評23年10月21日岸田首相の経済政策が酷評を浴びています。内閣支持率が政権発足以来の最低を続け、衆参の補欠選挙(長崎、徳島・高知)の情勢も厳しく、焦った挙句、1年限りらしい所得減税(対象者は同じ金額の減税)をすることを表明しました。経済理論的にも矛盾だらけです。物価上昇が続いている時に減税すれば、需要が刺激され、物価が上がる要因になる。財政が赤字の時は、税収増を国債減額に充てるべきなのに、減税に回してしまったらいつまでも財政状態は改善しない。物価対策減税をするのなら、本当に困っている対象者を絞ってやるべきです。景気が悪ければ、財政の出番だといって財源として国債を発行する。景気が好転し税収が増えれば、国債減額に回さず、使ってしまう。20年も30年もそんなことを続けてきた結果が今日...円安・物価高にはまったのは安部・黒田氏の失政による

  • 官僚と記者の合作「石油危機50年の回顧録」完成の日に中東危機再発

    危機は姿を変えて来襲2023年10月13日50年前の1973年10月、第4次中東戦争を契機とした世界的な石油危機が勃発しました。当時、通産省・資源エネルギー庁の担当官僚は連日連夜、情報収集、危機対応に追われ、それを伝える記者らも寝食を忘れる日々でした。記者クラブに在籍していた私もその1人でした。戦後最大の経済危機と闘っているという意識から、危機対応の官僚と記者の間に連帯感が生まれていきました。石油危機が収束した後、担当官僚と記者は「お互いは戦友みたいな間柄。これからも有意義な対話を続けていこう」ということになり、以後、年1回、会合を持ちました。OPEC湾岸6か国は73年10月16日、「石油価格を70%引き上げる。石油生産量を前月比で5%削減する。イスラエル軍がアラブの占領地から全面撤退し、パレスチナ人の合...官僚と記者の合作「石油危機50年の回顧録」完成の日に中東危機再発

  • 札幌冬季五輪の断念にみる優柔不断による大誤算

    国も自治体も動きだしたら止められない2023年10月6日札幌市は2030年冬季五輪の招致を断念しました。東京五輪における増収賄事件で「平和の祭典」というイメージに泥を塗り、さらに国、自治体に大型プロジェクトを運営する能力がない。予算総額も発表当初は小さく見せかけ、最終的には2倍程度に膨れ上がり、「済みませんでした」と謝る手口が国民に通用しなくなったのです。市は2034年以降の誘致を目指すといいます。30年はストックホルム(スウェーデン)、34年にはソルトレークシティー(米国)が最有力候補と言われています。34年以降もあきらめないというのは、そうした素振りが政治的に必要で、招致派の市長の面子を保つためのポーズです。東京五輪を巡り大手広告会社の電通を軸とする贈収賄、入札談合事件が発覚すると、「札幌五輪にも悪影...札幌冬季五輪の断念にみる優柔不断による大誤算

  • 「コストカット型からの歴史的転換を」の首相発言は乱暴

    企業経営の基本を否定したも同然2023年9月28日岸田首相は26日、10月にまとめる経済対策の策定を閣議で指示しました。首相官邸で記者団に「物価高に苦しむ国民に成長の成果を還元し、コストカット型経済からの歴史的転換を図る」と述べました。記者説明では「コストカット型の経済から30年ぶりに転換」と書いたパネルを持ち出しましたから、言葉の上滑りからでた発言ではなく、首相、官邸官僚が練りに練ったスローガンで、本気でそう思っているのでしょう。首相の経済思想を考えるうえで、これは重大な問題です。それを各紙、各社の社説が取り上げ、問題視しているようには見えません。新聞はいったい、どうなってしまったのでしょうか。「歴史的な転換」といっているのですから、メディアはものをいうべきです。コストには金融費用(金利)もあります。政...「コストカット型からの歴史的転換を」の首相発言は乱暴

  • ジャニーズ事件で警察・検察を叩かぬメディアや識者ら

    司法の怠慢を問わない内ゲバ論争2023年9月23日ジャニー喜多川元社長による性加害事件を巡り、ネット、ワイドショーばかりでなく、街のうわさ話でも連日、大論争が続いています。広告スポンサー企業の社長、財界人まで巻き込み、ピント外れの意見、叩きやすいところを叩く類の主張もあふれ、とどまるところを知りません。ジャニーズ騒動で最も欠けているのが4、50年近くにわたって広く知られ、数百人の未成年の被害者がおり、告発本も複数出版され、04年には最高裁が被害者に対する賠償金の支払いを認める判決を下したのに、動きがなかったことに対する批判です。警察、検察は捜査に乗りださなかった。今年7月に施行された改正刑法でやっと、未成年男子を含め、性加害に対する処罰が厳しくなりました。早く措置しておけば、被害をもっと少なくすることがで...ジャニーズ事件で警察・検察を叩かぬメディアや識者ら

  • 世襲議員の再生産で政界がたどる縮小均衡を示す内閣改造

    民間企業なら倒産している別世界2023年9月15日岸田首相が内閣改造と自民党役員人事を行いました。「女性抜擢、刷新感アピール」(朝日新聞1面)、「女性登用、首相が転換。支持率上げ衆院解散」(同3面)、「年内でも衆院解散できるよう狙う」と、朝日新聞までが岸田内閣の広報担当紙の印象です。世論調査をみると、内閣改造は評価されていません。読売新聞(15日)は「支持する35%、指示しない50%」(読売新聞、15日)で横ばいです。日経新聞は「支持する45%、支持しない51%」で、「支持する」は横ばい、「支持しない」は1㌽の上昇です。岸田首相が「政権浮揚効果」を狙ったのは明らかでも、朝日の見立ては外れました。「年内解散」はこのままでは、無理でしょう。「女性抜擢5人」のうち、3人は世襲議員だったことが不評を買った。土屋復...世襲議員の再生産で政界がたどる縮小均衡を示す内閣改造

  • 50年ぶりの円安と40年ぶりの物価高によるインフレ税

    異次元緩和策の「目的外使用」2023年9月9日円の実力(実質実効為替レート)は「50年ぶりの低水準」、円安と海外資源高で消費者物価は「40年ぶりの高騰」です。歴史的な異変と言えましょう。物価は11か月連続で3%超(政策支援をなくすと4%台)です。ガソリン価格まで円安で1㍑=180-190円で「15年ぶりの高値」です。円安阻止のために、政策金利を上げていくべきなのに、それができない。植田総裁は読売新聞との単独インタビュー(9日朝刊)で、「マイナス金利の解除後も、物価目標の達成が安定的に可能ならば、(解除を)やる」と述べました。つまり、「いずれはやるにせよ、まだマイナス金利は解除する時ではない」と、市場に宣言したのに等しい。また円安が進みそうです。どうも政府、日銀は大規模金融緩和の「目的外使用」に足を踏み入れ...50年ぶりの円安と40年ぶりの物価高によるインフレ税

  • 政治家にこそ「学び直し・リスキリング」を課すべきだ

    民間にばかり要求する無責任2023年9月2日成長分野への円滑な労働力の移動などを促すための「学び直し(リスキリング)」を岸田政権は重要政策と位置づけ、5年間で1兆円を投入するという。衰退産業から成長産業への人材移動が必要なことは間違いない。日経新聞が「リスキリングサミット2023」を開き、岸田首相、茂木自民党幹事長がメッセージを寄せています。二人の発言を聞いて、「学び直しは政治家にも求められていることを自覚していない」と失望しました。日本経済が2、30年も停滞しているのは、適切な財政・金融政策を取らず、ポピュリズムの政策を連発してきた政治の責任も大きい。政治家の政策判断の間違い、政治倫理の軽視、政治家そのものの人的な劣化が目に余ります。一般企業は様々な研修の機会を設けているのに、政治家にはそうした場がまず...政治家にこそ「学び直し・リスキリング」を課すべきだ

  • あらゆる分野で秩序と規範の崩壊が進行する世紀

    何が真実かを問う意味も失う23年8月27日この7、8月ほど歴史の実相が集中的に姿を現した年も珍しいと思います。あらゆる分野でこれまでの行動規範が急激に変わり始め、何を信じてよいのか、何が真実なのかを問うことが虚しくなる夏になりました。これから列挙するのはほどんどがこの夏の出来事です。「規範」とは何か。「判断、評価、行為などが依拠する規則、基準である。法規範、社会規範がその典型であり、道徳、倫理も規範の一種である。人間の社会集団におけるルール、慣習も一つでもある」との説明、解釈が一般的なようです。学校教育では「人は正直でありなさい。正しいことをやりなさい」と、教えます。そんな教育がバカバカく感じられる時代になってしまいました。むしろ「見破られない嘘のつき方」、「嘘をついてでも人との論争に負けない弁論術」を教...あらゆる分野で秩序と規範の崩壊が進行する世紀

  • 解散などするな、多すぎる国政選挙は民主主義を破壊する

    政策を乱造し財政が悪化2023年8月18日岸田内閣の支持率が政権発足以来の最低を更新しています。世論調査では毎日新聞が28%、時事通信が26%、読売新聞が35%など、目を覆うばかりです。もう解散できる政治的状況ではないし、頻繁に総選挙をやるべきではないのです。解散できないし、やるべきでもない。それにもかかわらず、政治ジャーナリズムは「支持率下落で年内の解散は困難」とか、逆に「野党の準備が整う前の秋解散を推す声も」とか、政界の目先の動きを追っています。そんな記事を書いているから、新聞は売れなくなる。もっと本質的な問題点に絡めて報道したらどうなのでしょう。書くべきは「岸田政権が望んだ解散はほどんど無理になった。日本の将来のことを考えると、衆院選、参院選、地方統一選挙が毎年のように繰りかえされることは有害だ。支...解散などするな、多すぎる国政選挙は民主主義を破壊する

  • オイルショック50年、揺れた原発政策に対する一記者の回想(下)

    原発回帰に立ちふさがる難題2023年8月10日(下)(2)防潮堤を甘くみた報い、福島原発事故で全て台無しオイルショック当時は、官僚が力を発揮できた時代で、通産省、資源エネルギー庁の活躍で、日本の省エネルギーの経済構造への転換に成功し、経済成長率が高まっていく時代でした。それがオイルショックからざっと40年後の2011年3月、福島第一原発の事故で全てが台無しになりました。事故に至る過程には多くの原因が混ざりあっているでしょう。私は、防潮堤の高さを内部で指摘があった「最大の津波み備えて15・7㍍」にしておけば、こんな大惨事にならなかったと、信じています。押し寄せた津波の高さは14,15㍍でしたから、かろうじて全電源喪失、原子炉の冷却不能という事態を防げたに違いない。東北電力の女川原発は海面から14・7㍍の高さ...オイルショック50年、揺れた原発政策に対する一記者の回想(下)

  • オイルショック50年、揺れた原発政策に対する一記者の回想(中)

    原発回帰に立ちふさがる難題2023年8月9日(中)便乗値上げ分析の産業連関表をスクープ当時の新聞の縮刷版をみると、「ついに石油割り当て立法」、「石油耐乏生活スタート、緊急対策決まる。暖房温度20度、テレビ、車自粛」、「灯油1缶288円。モノ不足、物価加速」などという見出しの記事が連日、第1面に載っています。年が明けて1月、山下英明・事務次官が記者会見で「便乗値上げが目に余る。製品コストにしめる石油、電気のコストを計算して、便乗値上げの実態を明らかにしたい。原油は2倍(最終的には1年で4倍)になっていても、製品の製造コストにしめるエネルギーコストは6-7%程度のものも少なくない。それをはるかに上回る率の値上が行わている」と、発言しました。ゼネラル石油で「石油危機は千載一遇のチャンス(便乗値上げでボロ儲けでき...オイルショック50年、揺れた原発政策に対する一記者の回想(中)

  • オイルショック50年、揺れた原発政策に対する一記者の回想(上)

    原発回帰に立ちふさがる難問2023年8月8日(上)(1)官僚の力、新聞の力があった頃の石油危機(2)防潮堤を甘くみた報いから原発事故起こす(3)脱炭素政策で原発回帰を目指すも課題山積今年の10月は、第4次中東戦争を契機とする第1次オイルショック(1973年)から50年になります。私は当時、通産省の記者クラブに在籍し、石油危機に揺れる激動の時代を取材記者として経験しました。OPECのペルシャ湾岸6か国が10月16日に原油を1バレル3・01㌦から5・12㌦に引き上げ、翌17日には原油生産の段階的削減を決定、12月23日には価格をさらに11・65㌦に引き上げると通告してきました。1974年の物価上昇率は23%になり、狂乱物価と言われる年になりました。未体験の経済危機に官僚も記者も翻弄され、経済界、民間企業も右往...オイルショック50年、揺れた原発政策に対する一記者の回想(上)

  • 市場の声でなく世論の声・社会の声に押された利上げ

    物価高で国民の悲鳴が聞こえる23年7月29日日銀は28日、長期金利の上限を「0・5%」から「1・0%」に事実上、引き上げることを決めました。植田総裁は市場機能の低下という副作用を減らすための「金融政策の柔軟化」が狙いだと、記者会見で表現しました。日銀関係者にしか意味が分からない悪文の典型です。新聞の社説は「これまで以上に丁寧な説明が求められる」(朝日)、「市場が混乱しないよう、丁寧な情報発信に努めてもらいたい」(読売)、「市場との対話を尽くしてもらいたい」(日経)と、どこも同じような要求です。日銀が財政金融政策の正体(財政ファイナンスと円安誘導)を隠しておきたいから、こういう悪文を乱発しているに違いない。私は「円安・物価高に国民は悲鳴を上げており、金融市場の声より、世論調査に見られる国民や社会の声に押され...市場の声でなく世論の声・社会の声に押された利上げ

  • 中国の経済減速を本気で懸念する日経新聞の時代錯誤

    民生より軍拡優先を批判すべきだ2023年7月20日中国の4-6月のGDP(国内総生産)が前年同期比6・3%にとどまり、中国経済の回復が鈍い。日本の新聞も大きく報道し、「世界経済の成長にも波及」と懸念しています。懸念すべきことなのでしょうか。軍拡路線と対外的な膨張政策を続け、米国との覇権争いに勝とうとしている中国の経済が減速し、経済力の面から軍拡にブレーキがかかるようになれば歓迎すべきことなのです。日本を含む西側諸国、軍事的支配が及んでいる途上国にとっても、憂慮するすべきことではないと思います。米国に次ぐ世界2位の規模の中国経済の動向に注視することは必要です。2013年ー21年の世界全体の経済成長に対する寄与度は39%で、日米を含むG7(主要7か国)の合計を上回る(読売新聞)そうです。事実は事実として、報道...中国の経済減速を本気で懸念する日経新聞の時代錯誤

  • 日銀は副総裁を使って金融緩和の転換を示唆したとみる

    日経のインタビューに登場した背景2023年7月8日日経新聞の一面に7日、内田・日銀副総裁が応じた不思議なインタビュー記事が載りました。10年以上にわたる長期の異次元金融緩和の修正(出口)を示唆したと受け取るしかない発言内容です。日銀総裁のインタビューならともかく、単独インタビューとはいえ、副総裁の発言が一面で目立つように扱われ、さらに中面で紙面の半分以上を使って日経は解説を載せました。新聞編集の常識から推測すると、このような破格の扱いは明らかに意図がある時です。しかも解説記事の第一行目は「日銀は10年間続けてきた異次元緩和の出口が近づきつつある」との書き出しでした。これは何かが裏にある。総裁ならともかく、副総裁のインタビューの解説で、ここまで踏み込むのは、日経側には、日銀の意図を知って確信するものがあった...日銀は副総裁を使って金融緩和の転換を示唆したとみる

  • タイタニック号潜水艇事故にみる巨大リスクを恐れぬ欧米人

    ひたすらゼロリスクの日本人2023年7月2日西大西洋で沈没したタイタニック号の見学ツアーに向った米オーシャン・ゲート社の潜水艇「タイタン」が深海で水圧につぶされ、5人全員が死亡しました。米当局が「水圧で破壊。主要部分の破片を発見」と発表すると、「なぜ大金をはたいて、危険なツアーに参加するのだろう」と、多くの日本人は息をのんだことでしょう。このツアーには、潜水艇の運営会社のCEO、英航空業の大物で冒険家の経営者、パキスタンの実業家親子(英国在住)、タイタニック号探査の専門家が参加していたと言います。これまでの成功で巨額の富か資産を築いた人たちです。知人の会社経営者と話題にしたところ、「安全が保てるかどうか分からないこのような深海ツアーには絶対に参加しない。大きなリスクがあり、一瞬にしてこれまでの蓄積を失うか...タイタニック号潜水艇事故にみる巨大リスクを恐れぬ欧米人

  • 異次元緩和の狙いは二転三転し国民の暮らしに重圧

    円安と物価高で税収増を図る2023年6月26日円が1㌦=143円(26日現在)まで下落し、為替安もあり、5月の消費者物価は3・2%まで上がりました。9か月連続で3%を超え、政策効果(物価抑制の補助金政策)がなければ実質4・3%というインフレ状態です。引き締めを続けている米国の4%を上回ります。それなのに日銀は動きません。メーカーは商品の容量を減らし、見かけの価格上昇を抑えていますから、単位容量当たりの価格動向で考えると、実質4・3%を超えるでしょう。第2次石油危機(1981年)以来、41年ぶりのインフレ到来です。物価高はまだ進み、高止まりし長期化するとの指摘が聞かれます。そうなる前に緩和縮小・利上げに動き、経済が失速するようなら、金融緩和に戻せばいいのです。金融政策は本来短期的で、柔軟性があるべきです。そ...異次元緩和の狙いは二転三転し国民の暮らしに重圧

  • 解散見送りでよかったと言わぬ朝日新聞のやせ我慢

    頻繁な国政選挙は財政悪化の元凶23年6月20日岸田首相が今国会での解散見送りを表明したと思ったら、メディアはまた自民党のペースに乗せられて「首相は解散カードを温存し、10月に衆院議員の任期の折り返し(2年)迎えることから、解散に踏み切りやすい」などと、解散風をもう書き始めています。日本の政治ジャーナリズムを担うはずの新聞、テレビの政治部は、もっぱら目先の政界の動きを「政局部」にすぎないと、批判されています。読者も踊らされる。解散総選挙の本質な問題をもっと掘り下げてほしい。報道機関にとって、特に衆院選は政界の動き、解散時期の特定、立候補者の事前調査、票読み、世論調査の実施などに周到な準備が必要です。多額の選挙広告も得られますから、「政局部」が必死になるのも当然です。そのことと、本来あるべき選挙報道の展開には...解散見送りでよかったと言わぬ朝日新聞のやせ我慢

  • 株価のバブルは日銀の保有株を売却する絶好のチャンス

    動かない植田総裁に催促の声2023年6月13日東京株式市場で週明けの13日、株価はさらに上昇し、終値は580円高で3万3000円台でした。3万円を超えた頃から、外人投資家が主導するバブル発生との見方もあり、高値警戒感が急速に強まってきました。それにもかかわらず、株価は3万1000円台、3万2000円台と上昇し、32年ぶりの高値を記録しました。年初から17%も上がり、さすがに3万3000円台は無理だろうとの予想が強まっていたのに、警戒線を突破しました。知人の元財務省高官は「日銀が保有する巨額のETF(上場投資信託)を売り、売却益を国家予算に回す絶好のチャンスだ。膨張を続けるバブルを冷やす効果もある。日銀はなぜ動かない」のかとの説を聞きました。現在の3万3000円という水準はバブルではないという見方もありまし...株価のバブルは日銀の保有株を売却する絶好のチャンス

  • 池上彰氏もChatGPTも著作権侵害を気にしない点で似る

    規制しようにもグレーゾンが多い2023年6月11日人間が作ったような文章、画像を作成する生成AI(人工知能)フィーバーが起きています。AIは人々の暮らしに浸透し、技術、社会、経済、政治を含め、時代を変える「100年に一度の衝撃」になるかもしれないそうです。雑誌「プレジデント」や「ダイヤモンド」が「ChatGPT仕事術大全」、「ChatGPT完全攻略」という大特集を組んでいます。ざっと目を通していましたら、10日午後8時の「池上彰のニュースワイド」(テレビ朝日)で「話題の生成AIの仕組み」という番組を放映していました。池上彰氏はどんな問題でも消化し、分かりやすく解説するのが特技です。テレビ、新聞、出版、教育など多くの分野にでて、なんでもこなす。この番組を見ながら感じたのは、「著作権侵害に鈍感な点では、池上氏...池上彰氏もChatGPTも著作権侵害を気にしない点で似る

  • 「藤井七冠」も喜べない主催社・朝日新聞の経営状態の悩み

    紙面は踊れど進む空洞化2023年6月2日将棋の藤井聡太竜王(20)が20歳10か月でが渡辺明名人(39)を破り、名人位を獲得、史上最年少で七冠を制覇しました。20歳の青年がこのような偉業を成し遂げられることに多くの国民が喝采しました。名人戦の主催者は朝日新聞、毎日新聞で、朝日新聞は1面トップ、紙面の大半を使いました。第2面も「進化した将棋AIが盤上の技術を変革した。人工知能による技術革新が社会を変え始める中で新名人は台頭した」などと、全ページを使って大展開しました。時代を変えるAI技術が将棋も変える。社会面でも「泰然20歳」と様子を伝え、「こどもの頃からのあこがれ。名人になっても、終わりでなく、先がずっとある」との談話を紹介しました。主催者でありますから力の入れようがよく分かります。読売は1面準トップの3...「藤井七冠」も喜べない主催社・朝日新聞の経営状態の悩み

  • 国債発行額の上限を法律で定める米国を日本は見習おう

    財政再建は財務省の謀略とみた安倍氏との違い2023年5月29日米国の国債発行額の法定上限を引き上げることで、バイデン大統領と野党・民主党が基本合意に達しました。日本のメディアは交渉が決裂すれば、米国債が債務不履行(デフォルト)に陥り、マネー市場が大混乱に陥るため、大々的に報道してきました。市場は交渉結果を好感し、日本の株も29日、500円高の3万1400円で寄り付きました。メディアは「またも土壇場の合意」、「デフォルト回避へ」と報じています。この問題は米議会では政治的駆け引きの材料にも使われ、与野党が「痛み分け」で終幕することが繰り返されてきました。米国債の発行残高の法定上限(31・4兆㌦)を超えることを25年までの時限措置として認めることになりました。この法定上限が野放図な財政悪化に対する一つの歯止めに...国債発行額の上限を法律で定める米国を日本は見習おう

  • チャットGPTの衝撃を直視しない日本の新聞は衰退する

    大新聞から個新聞への転換2023年5月21日人と会話しているような文書を生成する対話型AI(人工知能)サービス「チャットGPT」などに対して、議論が沸騰しています。なかでも紙の新聞に頼っている新聞界の危機感にはただならぬものがあります。生成AIの技術を駆使すれば、個人の志向、嗜好に合わせた新聞を個人ごとに編集することさえできるようになるに違いない。「大新聞」ではなく、「個新聞」です。読者の傾向が分かる「個新聞」なら広告もとれる。記者の手作業を減らし、AIを駆使するデータジャーナリズムを重視する。人材を他業界からも集め、大変革期を迎えた新聞作りに向け、組織改革し、予算、人材を重点的に投入する。失敗すれば、新聞社の序列も一気に変わるでしょう。新聞各紙の中で、大々的にキャンペーンを張っているのが最大手の読売新聞...チャットGPTの衝撃を直視しない日本の新聞は衰退する

  • 異次元金融緩和策を続ける日銀には隠し事が多い

    「見えるか化」で緩和の代償を示せ2023年5月13日植田・日銀新総裁は過去25年間の金融政策について多角的なレビュー(検証)をすると明言しました。大いに期待するとして、それにしても異次元金融緩和の結果や効果はもちろん、その裏側に隠れているコスト、代償について隠し事があまりにも多かったように思います。一種のカモフラージュでしょう。国民が知りたい本当のところを説明しないのです。民主主義国家の中央銀行がこんなことをしてはいけない。日経新聞の人気コラム「大機小機」が「量的緩和の出口における損失の『見える化』を」(5月10日)と主張していました。「英中央銀行(イングランド銀行)は金融緩和の出口で被る損失の将来推計を四半期ごとに公表している」とし、日銀も見習えといわんばかりの批判です。全く同感です。黒田・前総裁は「出...異次元金融緩和策を続ける日銀には隠し事が多い

  • 「子どもの日の社説」は子どもに読んでもらう工夫が必要

    旧態依然とした社説のスタイルを破ろう2023年5月5日私は「子どもの日」(5月5日)を取り上げる社説を書くのなら、子どもが読める工夫をして欲しいと願ってきました。やさしい文章で、子どもが音読できるように、ふり仮名もふってくれるといいと、思ってきました。新聞の発行部数がどんどん減り、若い世代ほど新聞を読まなくなりました。新聞社は「民主主義を守る社会の公器」と自称しても、残念ながら1日当たりの購読時間は10-20分の読者が半分近いのです。「社会の公器」はデジタル化媒体に移りつつあります。中高年が新聞の主な読者のようで、大学生を含め、若い読者はほどんど読みません。せめて「子どもの日」がテーマの日くらいは、漢字も減らし、身近なエピソードを交えて書いてみる工夫が必要です。早速、今日の新聞をチェックしてみましたら、毎...「子どもの日の社説」は子どもに読んでもらう工夫が必要

  • 植田新総裁にはマネタリズム否認の政策検証を求めたい

    物価上昇は金融政策の成果ではない2023年4月29日植田新総裁を迎えた日銀は大規模金融緩和を維持しつつ、1999年以来、25年間続いている緩和策の検討を決めました。植田氏は98年から2005年まで日銀審議委員を務め、ゼロ金利政策のスタート(99年)に関与していたので、2013年からの異次元緩和(アベノミクス)に先行する期間を外すわけにはいかなかったのでしょう。日銀が行う政策検証は、緻密で専門的になるでしょう。植田総裁に望みたいのは骨太の検証です。異次元金融緩和の理論的根拠となったマネタリズム、短期であるべき金融政策が異常に長期化した場合の弊害、金融緩和と財政膨張の関係、政府からの日銀の独立・中立性、政治側がほとんど無視する金融政策のコストの問題などを対象にすべきです。日本ほど長期間、大規模金融緩和を行い、...植田新総裁にはマネタリズム否認の政策検証を求めたい

  • バフェット氏に便乗した日経新聞の相場操縦術の是非

    金融不安対策で大展開の紙面23年4月24日「米著名投資家」、「投資の神様」と様々な尊称を欲しいままにしているウォーレン・バフェット氏が11日に12年ぶりに来日しました。日経新聞は1面トップで単独インタビュー記事を掲載し、「日本株投資を拡大」、「金融不安は買いの好機」の見出しで大展開しました。同氏の投資会社バークシャー・ハザウェイは、円建てでこれまで1兆円を超える資金調達しているそうです(日経)。つまり超低金利の日本のカネで巨額の利益を得ている。異次元金融緩和策が同氏らにとって、絶好の利益の源泉になっている。複雑な思いがしてきます。複雑な思いをするくらいなら、「日本人もやってみればいいじゃないか」というということが正解なのでしょう。実際にそうしている投資家はいる。そうできない人が歯ぎしりしている。本題に戻る...バフェット氏に便乗した日経新聞の相場操縦術の是非

  • 就職人気で新聞・民放テレビが全滅、ニトリ1位の驚き

    学生の関心事の如実な推移2023年4月15日日経新聞とマイナビ(就職情報)が24年3月卒業予定の大卒者を対象にした就職希望調査をしたところ、ニトリ(家具、インテリア)が第1位に躍りでました。上位の常連だった生損保、メガバンク、商社を抑えてのトップです。ニトリは前年も3位でしたから、実力でしょう(以下、文系男女総合)。4位にはユニクロ(衣料品)が昨年の13位から順位を上げ、トップ10に入りました。高齢世代には聞きなれないPLAN・DO・SEE(ホテル、レストラン、宴会の運営企画)が昨年の12位から10位に上がりました。若い世代がやりたい仕事が明らかに変化している。人気企業の変遷に驚かされます。創業はニトリが1972年、ユニクロが1974年と企業年齢が若く、PLAN・DO・SEEは1993年です。日本にも若い...就職人気で新聞・民放テレビが全滅、ニトリ1位の驚き

  • 黒田日銀総裁は不都合な事実は無視して退任

    再び先進国の最下位の経済成長率2023年4月8日黒田日銀総裁の退任は異例づくめになりました。先進国最長の異次元金融緩和、10年という在任期間の長さ、実質経済成長率の先進国最下位転落、他国に例をみない桁違いの国債保有残高、出口政策に背を向けた去り際といい、これほど議論を呼んだ総裁は日銀初でしょう。花束を手に日銀本店を去る映像を拝見していますと、手を振り、満面の笑みを浮かべています。タイタニック号の氷山激突に例えた財務次官がいたほど、安倍首相と組んだ異次元金融緩和の負の遺産は巨大です。この先、日本はどうするのか。この底抜けに明るい表情は何なのでしょうか。黒田氏の記者会見の報道を読んでみますと、不都合な事実への言及を避けていると感じました。もっとも大きな違和感は「異次元緩和の成果を国際的な視野で見つめ、比べてみ...黒田日銀総裁は不都合な事実は無視して退任

  • 政治的介入の有無の検証なき放送法の議論は不毛

    核心を外した国会審議と新聞社説2023年4月4日総務省が2014-15年に作成した放送法に関する行政文書を巡り、政治的公平性の解釈が変更されたのか、政治的圧力がかかったのか、文書は捏造だったのかなどが曖昧のまま、国会は後半に入りました。岸田首相や総務省が「解釈の変更ではなく、補充的な説明だ」というのも、妙な表現です。放送法第4条の運用が変わり、放送局に対する新たな圧力となっているのかどうかが問題なのです。「変更か補充か」という言葉が問題なのではない。総務省がいう「文書は総務省が作成した行政文書である」の意味が「捏造文書。不正確な文書」(高市・元総務相)に対する否定なのかどうかも、分からない表現です。問題の核心から外れた無駄な論戦です。国会は不毛な議論に時間を浪費する場であることが立証された以外、得るものが...政治的介入の有無の検証なき放送法の議論は不毛

  • 出版物にもインフレが波及し新書は続々1000円を突破

    返品率の改善で価格を抑制せよ2023年3月30日世界インフレが日本にも波及し、2月の食料品は7・8%上昇し、1978年以来、46年ぶりの伸びとなりました。知識の食品である出版物も相当な値上がりで、1000円を超す新書が急増しています。新聞、テレビは出版社が関連会社にあるのでしょうか、出版物のインフレにはまず触れず、食品やエネルギーなどのことばかり書いています。そんなことをしても、出版広告に載る書籍、雑誌の価格を見れば、インフレがここまで及んできたかと、気が付くはずです。書籍のうち、内容や頁数にばらつきがある単行本や文庫より、毎月、各出版社が4、5点、定期的にだす新書の価格を調べれば、比較しやすい。徐々に値上がりしてきた新書は4月に向け、新たな段階に入ったようです。3月の書籍広告をみて驚きました。岩波新書は...出版物にもインフレが波及し新書は続々1000円を突破

  • 日銀OBが新刊で異次元緩和の恐ろしい結末を警告

    緻密な分析で黒田氏を痛烈に批判23年3月24日黒田日銀総裁の退任に向けて、10年に及んだ異次元金融緩和を総括する出版物、解説やインタビュー記事が多数、発表されています。黒田氏自身、日銀自身が「本当のところはどうなっているのか」の検証をし、日銀もその公表に取り組んでこなかったからでしょう。異次元緩和や、これを軸にしたアベノミクスに「一定の成果」があったとする擁護派もいることはいます。一方、批判派の声があちこちで上がり、「このままでは末恐ろしい結末を迎える」という警告が聞かれます。植田新総裁は批判派の声をよく聞き、予想される恐ろしい近未来に対応し、本当のことを国民と市場に向けて語ってほしいと、私は思います。日銀OBで、シンクタンクのエコノミストである河村小百合氏が「日本銀行・我が国に迫る危機」(講談社現代新書...日銀OBが新刊で異次元緩和の恐ろしい結末を警告

  • 新聞・テレビは政治的公平性における圧力の有無を検証せよ

    本質的な問題の議論が必要2023年3月16日放送法の政治的公平性(第4条)の解釈と政治的な経緯を巡り、安倍政権時代に作られた総務省文書が波紋を広げています。与野党が対立し、高市氏の議員辞職要求、首相官邸からの圧力の有無、総務省文書の真偽、杜撰な文書管理などに争点が拡散し、本質的な問題が霞んでしまっています。結論から言えば、「当事者である放送局側がこの問題をどう考えているのか」、「政治的圧力が実際にかかり、番組編成を変更したことがあるのか」、「圧力がなくても、政権の意向を忖度する結果、番組編成が委縮してしまっているのか」、「政治的公平の当事者である政権与党が政治的公平を要求する資格があるのか」、「政治的公平をどう定義するのか」などです。報道ステーションなどで、断片的にキャスターらが「一つの番組ではなく、番組...新聞・テレビは政治的公平性における圧力の有無を検証せよ

  • 悔しさをにじませた黒田日銀総裁10年の去り際

    副作用どころでない構造変容を招く2023年3月11日植田和男氏を日銀総裁とする人事案が国会で同意されました。一方、2期10年間、総裁を務めた黒田東彦氏は、最後となる定例の金融政策決定会合後、記者会見に臨み、「金融緩和政策は成功だった」と語りました。去り行く総裁は通常なら、記者からも労いの言葉をかけられ、「力が十分、及ばないところはあった」というようなやり取りで、幕を閉じるのです。今回は全く違いました。去り行く黒田氏が随所で悔しさをにじませ、論理的とは言えない発言を何度も発しました。記者会見の要旨を読んで真っ先に感じたのは、黒田氏が政策会合での決定(大規模緩和、長短金利操作=YCCの維持)について冒頭で「全員一致で決めた」と発言したという点です。異論なく決まったといいたかったのです。ほとんどの政策会合で「全...悔しさをにじませた黒田日銀総裁10年の去り際

  • 白川前総裁が再三の異次元緩和批判、日銀史上初の異変

    「回顧録」は歴史の検証に不可欠2023年3月5日白川方明・前日銀総裁が国際通貨基金(IMF)の季刊誌で、10年も続いた黒田総裁による異次元金融緩和政策に対し、「効果は控えめ。長期の緩和は生産性向上へ悪影響をもたらす」と批判しました。「効果は控えめ」という表現にとどめたのは、古巣への遠慮でしょう。また、白川氏自身が政治の圧力に押し切られ、大規模緩和への道筋を開いてしまったことへの反省があるからでしょう。本音は異常な長期間にわたる異次元緩和政策への強い批判、政治的圧力への批判です。白川氏の異次元緩和批判は再三に及びます。総裁退任後の回顧録(18年)、英貴族院の「量的緩和に関する公聴会」での証言、そして今回のIMF季刊誌への寄稿です。回顧録、英議会での証言、IMF季刊誌への寄稿と並べると、「回顧録」「回顧」の形...白川前総裁が再三の異次元緩和批判、日銀史上初の異変

  • 政治主導の財政膨張を警告する独立機関の設立を望む

    異次元金融緩和の修正と両輪に2023年2月27日植田和男日銀総裁の就任によって、異常な金融政策は徐々に修正されていくだろうと期待します。そこに立ちはだかるのが政治サイドで、財政膨張しか念頭にないらしく、金融正常化をストップさせようとする圧力をかけてくるに違いない。日本の23年度の一般会計は総額114兆円で、11年連続で最大を更新しています。普通国債残高は1005兆円、政府短期証券や借入金を合わせると、1256兆円です。異常な規模の金融緩和とセットになった財政膨張はとどまるところを知りません。こんなに財政常態が悪い主要国は日本だけです。主要国では例をみない日本の財政膨張は、政治的な動機、時代的な背景、金融政策からの支援がセットになっています。植田新総裁に期待がかかるにしても、政治サイドが財政正常化に目覚めな...政治主導の財政膨張を警告する独立機関の設立を望む

  • 「安倍晋三回顧録」で語らなかった日本経済の国際的地位の下落

    袋小路にはまったアベノミクス2023年2月21日「安倍晋三回顧録」が発売1週間で15万部というベストセラーになっています。「憲政史上、最長政権はこうして作られた」、「36時間にわたる未公開インビューの全記録」と本の帯にあります。安倍氏は強固な保守・右派勢力の支持を受け、死後も安倍神話にすがって政治勢力を維持したい政治家、勢力は歓迎する本でしょう。右翼雑誌が安倍礼賛に近い特集を組むとよく売れる。もちろん一般の読者も多いでしょう。聞き手の記者は「安倍政治への賛否、好き嫌いはどうあれ、日本の政治に何が起きたのかを多角的に知る。歴史にはいくつもの解釈がありうる。回顧録には濃淡の違いはあれ、自己正当化が付きまとう」と、注意深い読まれ方を望んでいます。その通りだと思います。ですから、「政治家にとって必読の書」などと持...「安倍晋三回顧録」で語らなかった日本経済の国際的地位の下落

  • 「カルロス・ゴーンを歓迎したい」と言った豊田章一郎氏の経営思想

    「ライバルがいないと社員は緊張しない」2023年2月18日トヨタ自動車の社長を10年務め、米国進出を成功させ、経団連会長にも就任した豊田章一郎氏が97歳で亡くなった。私の現役時代、何度か懇談する機会があり、豊田氏の率直な経営思想に2度、驚かされました。その2度というのは、世間一般の感覚、常識とは全く違うので、鮮明に記憶に残っております。私は経済記者として、官庁のほか財界や自動車業界を担当したこともあり、お会いする機会に恵まれました。豊田氏は1982年から社長、92年から会長、94年からは98年まで経団連会長を務めました。トヨタが世界に大きく開花した時期です。その一方、日産自動車の経営停滞は深刻さを増していた。そこで仏ルノーと99年に資本提携を結び、経営危機を打開することになりました。ルノーの上席副社長のカ...「カルロス・ゴーンを歓迎したい」と言った豊田章一郎氏の経営思想

  • 日経は「日銀総裁人事の誤報」の検証記事の掲載を

    昨年末には消えていた「雨宮総裁」23年2月14日政府は14日、植田和男氏ら3人の正副総裁案を国会に提示しました。直前になって日経が「日銀総裁、雨宮氏(日銀副総裁)に打診。政府は与党と最終調整」(6日)と、スクープ風の記事を掲載しました。新聞が「最終調整」と書く時は「これで決まり」と確信した時に限ることが多い。異次元緩和政策が転換点に差し掛かっている時の総裁人事ですから、ニュース価値は稀にみるほど、圧倒的に大きい。日経はこれで決まると考えた末の記事なのでしょう。それに対し「そんな事実はない」、「観測気球でしょう」などと岸田首相、官房副長官が語りました。人事で当局者が嘘をつくことはしばしばある。と思っていましたら「総裁に植田和男氏(元東大教授)」を10日、政府筋がリークし、日経を含め各紙、1面トップの扱いです...日経は「日銀総裁人事の誤報」の検証記事の掲載を

  • 日銀総裁人事でまた大誤報をやった日経の焦り

    再三「雨宮副総裁の昇格」の失態2023年2月11日異次元緩和政策の転換がかかった日銀新総裁に植田和男氏(元・東大教授)が就任することが決まりました。事前の予想に全く挙がっていなかった金融政策の代表的学者で、サプライズ人事となりました。岸田政権として、アベノミクス・異次元金融緩和に区切りをつけていく姿勢を暗示するには、いい人選になりました。日銀審議委員を7年やり、実務にも通じており、金融論と政策論を踏まえた仕事をすることでしょう。有力視された雨宮副総裁の昇格では、政策転換のニュアンスを示唆できなし、財務省OBからの人選も避けた。植田氏は記者団に囲まれて「現在の日銀の政策は適切である」と、総裁人事に過敏になっている市場に配慮する発言をするなど、バランス感覚はあることを示しました。もう一つのサプライズは、経済専...日銀総裁人事でまた大誤報をやった日経の焦り

  • 総理秘書官の更迭にみる官僚たちの荒涼たる風景

    絶句する質の劣化が次々と噴出2023年2月5日首相を支えるべき荒井勝喜・秘書官が差別発言をして、更迭されました。機微に触れる差別問題に対するあまりにも無神経な表現といい、政権の中枢にいながら、「言っていいことと、言ってはいけないこと」の区別ができない。この官邸官僚の思慮のなさに驚きます。このよう人物に支えられる日本の政府、政治は大丈夫なのだろうかとも思います。岸田首相も絶句したに違いない。「隣に住んでいるのも嫌だ」、「同性婚を認めたら国を捨てる人がでてくる」。差別主義者だって公の席では、こんな品性を失った表現はまあしないでしょう。事務次官候補との評価だったそうです。自分のようなエリート以外の存在は認めたくないといった口ぶりです。難関の国家公務員試験をパスして主要官庁に採用されて出世し、総理秘書官にまで就い...総理秘書官の更迭にみる官僚たちの荒涼たる風景

  • 異次元緩和の修正を迫る「異次元」の日銀包囲網

    黒田総裁にとってのサプライズ2023年1月31日これほど次々に異次元金融緩和政策の転換を迫る声に包囲されるとは、黒田日銀総裁は予想していなかったに違いありません。市場に数々の「サプライズ」を与えてきた黒田氏にとって、今回の流れはご自身にとっての「サプライズ」でしょう。日銀の歴史においても異例です。令和国民会議(令和臨調)は30日、「異次元金融緩和が過度な財政支出や規制緩和の遅れを招いた」、「超低金利で財政のばらまき、ぬるま湯的な環境が生まれ、リスクに挑む企業が少なくなった。そのため日本の生産性は13年の1・1%から最近では0・5%に低下した」と、鋭い声明を発表しました。26日には、国際通貨基金(IMF)が日本の金融緩和の修正案を盛り込んだ声明(対日経済審査)を発表したばかりです。「0・5%に抑えている長期...異次元緩和の修正を迫る「異次元」の日銀包囲網

  • 何から何まで手を出す首相の施政方針は間違い

    財源が不足なのに手を広げすぎ2023年1月25日そんなに何から何まで、国ができるのだろうか。そんなにたくさんの政策を背負いこむ財源はあるのだろうか。国でできないことも多いのに、できると錯覚する。国でできることがあっても、財源が足りない。岸田首相の施政方針演説を読んで、多くの人がそう感じたのではないでしょうか。岸田氏に限らず、歴代首相の多くに感じてきたことです。「金融の大規模緩和で物価を2%引き上げられる」と信じた黒田日銀総裁の異次元緩和も、でいないことをできると錯覚した典型的な実例でしょう。首相は「われわれは再び歴史の分岐点に立っている」として、明治維新、アジア太平洋戦争の終戦(敗戦のこと)に続き、現在が大きな転換点だ」と、姿勢方針演説で強調しました。確かに何から何までが音をたてて、変わり始めています。ロ...何から何まで手を出す首相の施政方針は間違い

  • 中国の経済減速を心配する日本メディアに落胆する

    中国報道に必要な総合的視点2023年1月18日「中国人口減61年ぶり」、「経済成長率は2・9%に失速」など中国経済の不振をメディアは大々的に報道しています。私は中国経済の減速、人口減少は歓迎すべき変化と考えているのに、メディアは「経済回復に不安」、「構造改革が急務」とか、懸念ばかりしているのです。中国経済に対する日本メディアの報道にいつも、違和感を覚えています。中国経済への依存度が高い日本への影響は大きいから、そう受け止めるのでしょう。中国経済の減速は軍事的膨張にブレーキをかける一因になる。国際情勢、安全保障・軍事、地球環境問題などを総合的に考える視点が中国経済の報道から欠落していると思います。恐らく中国経済の担当記者は、中国の現地新聞、テレビなどの報道に常時、接して記事を書いているため、中国の共産党政権...中国の経済減速を心配する日本メディアに落胆する

  • 新聞・テレビ報道がつまらなくなってきたのには訳がある

    ニュースの発掘力が低下2022年1月16日新型コロナの感染が始まってから丸3年になり、第8波が進行しています。感染拡大に反比例するかのように、マスメディアの報道、特に新聞報道がこの3年で急につまらなくなってきたように思います。以前から指摘されていたマスメディアの基礎疾患に新型コロナによる疾患が重なり、経営上、編集上の病が重症化してきているのです。部数減と広告収入減で経営が悪化し、十分な人材と資金を投入し、強力な取材体制を組めない。玉石混交があってもネットの情報量、広告量に圧倒される。コロナ感染が障害になって取材源を制限される。政府権力がメディアの囲い込みを強めている。都市のマンション化が進み、販売拡張のための訪問ができない。見かけの部数を維持するために、コンビニ、ホテルなどに売れる見込みがないのに新聞を送...新聞・テレビ報道がつまらなくなってきたのには訳がある

  • 海上自衛隊司令官だった海将が明かす日本防衛の弱点

    戦うつもりなどなかった自衛隊2023年1月9日毎年5兆円だった防衛予算が来年度、一気に6・8兆円(26%増)に増え、さらに5年間で43兆円を計上、単年度ではGDP比2%まで引き上げることになりました。安全保障面の国際情勢が急速に悪化しているためです。メディアは「自衛隊が装備を購入し、訓練するだけでなく『働く時代に』に入った」とか、「危機発生時には『戦える自衛隊』にすることを目指すものだ」(読売新聞、昨年12/22)などと解説しています。「なにそれ。毎年5兆円もかけながら、これまでは戦える自衛隊ではなかったの」と絶句します。どうもそうらしい。安倍・元首相も「機関銃の弾からミサイルにいたるまで継戦能力はない」と語っていました。ミサイルは必要量の6割、戦時になったら弾薬もすぐ底をつく。海上自衛隊の現場トップだっ...海上自衛隊司令官だった海将が明かす日本防衛の弱点

  • 新刊「アベノミクス論」が示す岩波新書の質的低下

    経済理論を欠くドキュメンタリー2023年1月3日今年最も重要な経済政策は、アベノミクスの主軸であった異次元、大規模金融緩和からの転換です。それを担う日銀の新総裁(4月就任)の人選を岸田政権は年明けから急ぎます。出口に至る複雑な方程式を解き、市場の混乱を避けながら転換を担える人物の選任は容易ではありません。候補に挙げられても「困難極まる仕事で、私にはとても無理」と辞退する人物もでてくるに違いない。経済ジャーナリストとして売り出している軽部謙介氏(時事通信社OB)が執筆した「アフター・アベノミクス/異形の経済政策はいかに変質したか」が岩波新書から昨年12月に出版されました。岩波新書の重点的な著書で、軽部氏としては3点目のアベノミクス論です。俗称「朝日岩波文化人」の進歩的文化人らの著書が岩波新書から数多く出版さ...新刊「アベノミクス論」が示す岩波新書の質的低下

  • 「首相の任命責任」を問う朝日新聞に具体案なし

    メディアも識者もわめくだけ2022年12月29日秋葉復興相が公職選挙法違反などの疑惑を指摘され、岸田首相に辞表を提出、更迭されました。閣僚の辞任は10月以降、4人目で、首相が任命した閣僚19人中4人を数えます。民間会社なら役員が4人も続けて辞任すれば、経営トップの首も危ういのに、政治ではそうにはならないようです。新聞・テレビなどのメディアや識者らが「首相の任命責任を問う」と、叫んでいます。「首相の任命責任」という言葉ほど、実態があいまいなものはない。首相に「任命責任」をどういう形でとらせるのか明言しない。言葉をもて遊んでいる空疎な政治ゲームなのです。公選法違反という法的疑惑(政治資金で身内に多額の賃貸料の支払い)、反社会活動を糾弾されている旧統一教会との関わり、語るに落ちる発言(法相は死刑のハンコを押す地...「首相の任命責任」を問う朝日新聞に具体案なし

  • 財政危機なのに日本政治の根拠なき楽観論

    財政監視の独立機関の設置が必要2022年12月24日政府が決めた来年度予算案は総額114・3兆円、11年連続で過去最大を更新しました。財政赤字がこれも過去最大を更新、そんなことにはおかまいなしに、財政膨張策をとり続けているのは信じ難いことです。自民党政治は「根拠なき楽観論」に基づき、予算案にいくつもの偽装を施しています。日本を除く主要国は財政監視の独立機関を設け、財政規律が守られているかをチェックしています。日本も独立機関の設置を多くの識者が主張しているのに、その気運が盛り上がりません。新聞社説が「将来世代に対して無責任である」(日経)、「この大きな過ちの是正は国民の代表である国会の責務である」(朝日)、「長期的な財政再建の道筋について描き直し、早期に国民に提示する必要がある」(読売)との叫びは空しく聞こ...財政危機なのに日本政治の根拠なき楽観論

  • 日銀総裁がどう弁解しても異次元緩和は転換点

    黒田氏の起用が誤りの始まり2022年12月22日日銀は20日、事実上の金利引き上げ(長期金利の上限幅を0・5%に変更)に迫られました。黒田総裁は不可解な説明を繰り返しています。今回も「市場機能の改善が目的で、利上げではない」というではありませんか。苦し紛れの弁解を言い続けるのはやめたほうがよい。「市場機能の改善に焦点をあてたもので、金融引き締めではない」などと、総裁は記者会見で言い切りました。そんな意味不明の表現ではなく、「利上げ見込した投機筋の国債空売りが殺到し、それに対抗せざるを得なかった」と、分かりやすく述べるべきでした。これほど論争の的になった日銀総裁の存在は前代未聞です。貨幣数量説を妄信し「2年、通貨供給量2倍、物価上昇2%」を自信たっぷりに掲げてきた黒田氏という人選が間違いだったのです。ばくち...日銀総裁がどう弁解しても異次元緩和は転換点

  • 米中経済の逆転阻止にドル高・元安も効果がある

    ドル高容認の背景に対中政策もある2022年12月16日日銀ウオチャーの加藤出氏(東短リサーチ)が最近書いたの記事の中で、2090年代のルービン米財務長官の「強いドルは米国の国益にかなう」との政策理念を想起しています。「強い通貨」は「対外的な購買力を高め、インフレ率を低下させる。良質な投資資金も流入する」との政策理念です。加藤氏は「日本の通貨安は逆の悪循環を生む」と、日銀の金利政策を批判しています。OECDのデータでは、主要国の中で日本の名目賃金だけが過去30年間も横ばいです。米英加豪などはこの間2、3倍になっています。日本だけが世界経済の孤児になっている。異次元金融緩和、財政膨張の長期化に甘えて新陳代謝のなくなった経済構造がその要因になっている。黒田日銀総裁は「異次元金融緩和の目的はデフレ脱却であり、円安...米中経済の逆転阻止にドル高・元安も効果がある

  • ジャーナリズムと無縁の会長が6代続くNHK人事は異常

    報道をコントロールしたい政治的思惑2022年12月6日NHKの経営委員会が日銀元理事の稲葉延雄氏(72)を次期会長に任命(23年1月就任)することを決めました。企業経営者だった外部人材がこれで6人連続で会長に就任するのは異常です。政権側も認めざるをえない内部人材が育っていないとは情けない。ビール、鉄道、商社、銀行、そして今回は日銀からとなり、いずれもジャーナリズムとは無縁の人物です。中には就任挨拶で「政府が右というものをNHKが左というわけにはいかない」、「従軍慰安婦は戦時下には他国にも存在した」と発言して、視聴者を唖然とさせた人物もいました。1989年から2008年までは、生え抜きの島、川口、海老沢、橋本氏が4代続けて会長職に座りました。出身は報道局系、文化・芸能系、技術系と多様ではあっても「ジャーナリ...ジャーナリズムと無縁の会長が6代続くNHK人事は異常

  • 日経新聞に溢れる企業広告は読者無視で紙の浪費

    紙離れを自ら招く新聞経営の暴走2022年11月30日30日(水曜日)の日経新聞が分厚く、どっしりと48頁もありました。ページをめくっていくと、「ひどい。なんだこれで新聞といえるのか」と絶句に次ぐ絶句です。企業から広告費、協賛金、参加費、会費などを集めて作った企業広告、イベント広告、シンポジウム広告で膨れ上がっています。この種の企業広告の乱用、乱発には、私の周辺にいる日経読者の多くが怒っています。30日付の48頁のうち、約半分地近くが企業広告関連なのです。コロナ危機で3年ほど前から急増しています。さらに5頁相当が株価などの相場表で、一般的な読者は読んでもせいぜい数行でしょう。こんなものはネットで簡単に検索できます。相場紙面を含めると、日経は読みたい頁は半分にもなりません。他の全国紙には、こんなにひどくありま...日経新聞に溢れる企業広告は読者無視で紙の浪費

  • 汚職に続く「官製談合」で札幌冬季五輪はもう絶望的

    電通と組織委の機能停止で準備不能2022年11月27日東京五輪の贈収賄汚職で区切りがつくかと思っていたら、大会事業の受注を巡る入札談合が発覚し、大会組織委員会までが関与した官製談合事件の疑いが浮上しています。来年に決める冬季五輪開催地(2030年)が札幌になることはもはや絶望的でしょう。東京地検特捜部が増収賄事件の捜査に乗り出し、全容がほぼ明かになった段階で、私は2本のブログを書き、札幌冬季五輪を早期断念を決断するよう主張しました。関係者はなにをもたもたしているのだろうと思う。「五輪汚職の拡大で札幌冬季大会は早期の断念が賢明」(9月18日)、「五輪汚職を反省し、札幌冬季大会の誘致を断念せよ」(11月10日)です。様子を伺ってばかりいて、大きな決断をできないのが日本の特徴です。国も自治体もJOCも大局を見ず...汚職に続く「官製談合」で札幌冬季五輪はもう絶望的

  • 閣僚のドミノ辞任は異常事態でなく「常態化事態」

    政治ジャーナリズムの覚醒を求める2022年11月23日1か月で3人の閣僚が辞任し、後任の総務相にも「政治とカネ」の問題が指摘され、さらに岸田首相には「宛名のない領収書」疑惑が浮上しています。こうしたドミノ倒し現象は、自民党政治の異常事態ではなく、新常態(ニューノーマル)なのでしょう。「新常態(ニューノーマル)」というより、以前から自民党政治で恐らく常態化していたのでしょう。そういう意味では、異常事態ではなく、「常態化事態」、つまり「常態事態」といってもよい。1人ずつ単発で問題が表面化すれば、釈明し、不備を詫びれば幕引きできたのかもしれません。それが次々に不祥事、不手際が連続すると、自民党政治の構造、体質の問題に拡大し、一つ一つを切り離せなくなる。一気に「常態化した自民党政治の病巣」への対応が必要になったと...閣僚のドミノ辞任は異常事態でなく「常態化事態」

  • NHK岩田明子記者による「安倍晋三秘録」に注文する

    陰陽を書かず陽ばかり強調2022年11月18日安倍首相に食い込んだNHKのエース記者で、数々のスクープを報道した岩田明子記者(編集委員)の「安倍晋三秘録」(月刊文春)は興味深い。まだ3回目で、最終的には10回以上の連載となるはずです。いづれ出版されるでしょう。安倍氏がよくここまでジャーナリストに話したものだと思います。間違いなく安倍研究の必読の書になる一方、安倍氏の陽の部分が多く、陰の部分が欠落していると思います。安倍首相が何を考え、どう行動しようとしていたかの肉声を、詳細にレポートしています。憲政史最長の在任8年余に及んだ安倍氏を官房副長官(小泉政権)時代を含め20年、フォローしました。電話でのやり取りが多い時は一日、複数回のこともあったといいますから驚きます。時間帯は夜10時半から深夜までだったそうで...NHK岩田明子記者による「安倍晋三秘録」に注文する

  • 東大卒議員と世襲制が日本政治と日本を滅ぼす

    新しい新本主義より新しい政治を2022年11月13日葉梨康弘法相が「死刑のハンコ」発言、「法相は票とお金に縁がない」発言で、辞任に追い込まれました。失言ではなく、本音、暴言でしょう。山際経済再生相に次ぐ2人目の辞任です。「閣僚辞任ドミノ」で岸田政権の前途には暗雲が漂ってきました。岸田政権の看板である「新しい資本主義」どころではありません。それより「新しい政治」を目指してほしい。劣化した日本の政治家を中枢に据える政権が経済政策の旗を振る続けるようでは、「新しい資本主義」が成功するはずはない。政治メディアも「次に誰が辞任するかしないか」、「岸田政権の閣僚人事でまた後手」、「首相迷走、求心力低下」など、政局情報ばかり報道しないでほしい。どこに本質的、構造的な問題があるのか分析すべきです。辞任した葉梨氏は東大法卒...東大卒議員と世襲制が日本政治と日本を滅ぼす

  • 五輪汚職を反省し札幌冬季大会の誘致を断念せよ

    事件の検証に後ろ向きのJOC・都2022年11月10日東京地検特捜部は東京五輪を巡る汚職事件の捜査を事実上終結しました。今後、法廷での裁きに舞台が移るにしても、JOC(日本オリンピック委員会)、東京都は汚職を生んだ五輪の運営体制、組織の総点検を捜査当局とは別の観点から独自に検証、反省する必要があります。どうもその気配がないようです。札幌市、JOCは2030年の冬季大会の誘致に向け、活動を続けています。札幌市は大真面目で「世界が驚く、冬にしよう」とのスローガンを10月に決めました。JOC理事だった高橋治之・元電通専務一人にかき回され、収賄額は5ルートで約2億円、逮捕者15人という醜悪な結果になりました。平和の祭典の裏で、単純な犯罪をやすやすと許したことに「日本中が驚いた」のです。このタイミングで札幌市、JO...五輪汚職を反省し札幌冬季大会の誘致を断念せよ

  • 音楽教室の演奏から著作権使用料を取る粗雑な議論

    実態を踏まえず新たな標的に2022年11月6日私は音楽教室に通い、週一回(30分)のピアノのレッスンを受けています。年間50回ほどで、月謝は1万円強です。都内、近郊に40教室を持ち、ヤマハピアノとも提携している中堅の教室です。もう数年になります。数年前から、「音楽教室の練習も作曲家の著作権使用の対象になる。収益(売上)の2・5%を徴収する」と、日本音楽著作権協会(JASRAC)が要求し、音楽教室側(事業者数は全国で約250)が猛反対し、民事訴訟を起していました。東京地裁、知財高裁、最高裁まで巻き込んだ問題に発展しました。ピアノ受講生の私は「著作権問題がここまで及んできたのか。カラオケから使用料をとるのと同じ論理か」と驚くとともに、「音楽教室の実態を踏まえず、法理論ばかりが先行した紛争だ」と思ってきました。...音楽教室の演奏から著作権使用料を取る粗雑な議論

  • 消えた新聞広告「尋ね人」、増える「ペット探し」にみる世相

    人よりペットとの絆が大切2022年11月3日新聞広告「尋ね人」は世相を映す鏡でした。「太郎、連絡を待つ。父」、「花子、心配するな、すぐ帰れ。母」、「次郎、父病気、会いたし。兄」など、社会面の片隅にほんの一行載る広告には、社会の歪み、悩みが反映されていました。いわゆる「3行広告」の一つで、求人、求職を3行で載せる広告を読むと、景気のよしあし、失業者の思いなど社会の実相がうかがえました。「尋ね人」広告は多くが1行でした。スペースを取らず、格安でしたから「3行広告」に分類されていました。その「尋ね人」広告がほとんど姿を消しました。それに代わって目立つのがペット探しの貼り紙です。私の家の周辺でも店の外壁に「猫を探しています。推定5、6歳の茶トラの男の子です。名前はガブリエル。保護された方、見かけた方は下記(電話番...消えた新聞広告「尋ね人」、増える「ペット探し」にみる世相

  • 財務官の先輩、後輩に酷評される黒田日銀総裁の破綻

    「新しい資本主義」より「新しい政治」が必要2022年10月29日政府は29日、物価高対策、円安対策などを盛り込んだん一般会計で約29兆円の総合経済対策を決めました。日銀も同じ日に大規模金融緩和を維持することを決め、巨額の赤字国債の発行を支える態勢を続けます。ほとんどの国が金利を引き上げ、財政支出を引き締める方向に転換しているのに、日本だけが世界の大勢に逆行しています。経済常識に反する政策をいつまで続けるのか、財政金融の破綻という結末が待っているのか、世界は注目しているに違いありません。中央銀行としての独立性を失ったばかりか、率先してゼロ金利の死守、際限のない国債買い上げを修正しない日銀は、批判の集中砲火を浴びています。財務省財務官だった黒田氏の先輩、後輩らも黒田批判の声を上げ始めています。こんな展開はこれ...財務官の先輩、後輩に酷評される黒田日銀総裁の破綻

  • 高齢者向けピアノ教室の発表会に出演した体験記

    五感を使いボケ防止に絶好2022年10月27日ピアノなどの音楽教室は少子化による経営難を乗りきる対策として、高齢者の受講生を歓迎しています。ピアノ教室は子供向けだったのが、おとな歓迎の路線に力を入れるようになってきました。私も思い切って沿線のピアノ教室を訪ねたところ歓迎され、もう数年、週一回のレッスンを受けています。ぼさぼさの髪の高齢者が杖を突きながら通ってくる、指を一本づつ使って曲をたどたどしく弾く。様々です。私が通っている教室の掲示板に、「おとなの晴れ舞台」というタイトルで、演奏レベルが高くない高齢者がでる発表会のお知らせが貼りだされておりました。「恥を忍んで出てみるか」と思い、1万円ほどの参加費を払い、申し込みをしました。音楽教室とっても、何か所かのセンター、支店を持ち、それぞれに個室の教室がたくさ...高齢者向けピアノ教室の発表会に出演した体験記

  • 週刊誌は小室・眞子さま夫妻の報道を検証すべき時だ

    識者にも合理的良識を求める2022年10月24日小室圭さんが米ニューヨーク州司法試験に3度目の受験で合格しました。ほっとした人が多いでしょう。民間人になっているのだし、これで生活が成り立っていくのでしょうから、もうそっとしておいてあげるべきです。年収は3000万円、現在はロークラークだから600万円とか。円安が急激に進んでいますから、ドルベースでないと、比較できません。とにかく「東京の弁護士事務所の所長に『今回は合格しました。本当にうれしいです』と連絡してきた」の報道に圭さんの気持ちこもっている。逆にがっくりきている人もいることでしょう。「文春砲」の異名で勢いがある週刊文春は合格発表の直前の記事で「小室さん不合格でも、安泰の証拠写真。そして佳子様が動いた」と報道しました。そのライバル誌の週刊新潮は「小室さ...週刊誌は小室・眞子さま夫妻の報道を検証すべき時だ

  • 新聞週間の自画自賛の新聞論は世論調査の歪曲

    社説は不要か、羅針盤機能を失う2022年10月13日秋の新聞週間を迎え、各紙は自画自賛の大きな編集特集を組んでいます。「新聞報道は正確、信頼できる」(読売)、「揺れる時代の羅針盤、確かな情報に重大な責務」(日経)と、新聞の評価、役割を強調しています。新聞には他のメディアに比べると、そうした特徴を備え、重要な社会存在であるといえます。それにもかかわらず販売部数の減少に歯止めがかかっていません。「社会にとって不可欠な存在」であっても、「読者にとって不可欠な存在」なくなりつつあるのでしょうか。一日当たりの接触時間の多いメディアの首位が初めて「テレビ」から「携帯電話・スマートフォン」に交代し、新聞・ラジオなどの伝統的メディアとの接触時間も減少しました(博報堂調査)。それに対し、各紙の世論調査の紹介記事を読むと、新...新聞週間の自画自賛の新聞論は世論調査の歪曲

  • 官邸機能の地下シェルター化を考えない防衛力増強は愚策

    首相の私邸住まいも禁止に2022年10月11日北朝鮮が9日、弾道ミサイル2発を発射し、今年は25回、9月下旬以降では7回計12発という高頻度に達しています。9日は青森上空を通過し、太平洋に落下しました。精度が上がっており、その気になれば、日本を核攻撃できる能力を持ったと考えておくべきです。政府は全国瞬時警報システム「Jアラート」を通じて、警戒と避難を呼びかけました。内閣官房の国民保護ポータルサイトには「弾道ミサイル落下時の行動について」の呼びかけが載っております。「地下か建物に中に避難して下さい」、「危険物には近寄らないで」などです。北が発射してから10秒程度で日本に落下、つまり瞬時のできごとですから間に合いますか。そもそも退避できる地下施設があるのかどうか。全国で9・4万か所が退避施設に指定されています...官邸機能の地下シェルター化を考えない防衛力増強は愚策

  • 新聞・テレビが報道しない本の凄まじい値上がり

    1000円を超す新書が続々2022年10月6日読書の秋です。資源高、円安でこの秋は値上げラッシュです。主な食品、飲料メーカー105社では、6500品目が平均で16%値上げされるとのことです。企業間物価は10%も上がり、消費者物価に波及してきます。出版物はどうなのか。値上げラッシュなのに、出版物の値上げの報道にはなかなかお目にかかりません。主要な新聞社は出版部門を持っていますし、テレビは新聞社の系列会社ですし、週刊誌を持つ出版社は自社のことですから、値上げに触れません。発表もしません。他業界のことばかり報道しています。書店の店頭に行ってごらんください。最も分かりやすいのは新書の値段です。手軽に買ってもらえるように、出版社は1000円以下(税込み)の価格帯に抑えてきました。それがどうでしょう。1000円を超す...新聞・テレビが報道しない本の凄まじい値上がり

  • 有識者に欠ける防衛力強化会議の委員構成は不思議

    増税キャンペーンが狙いか2022年9月29日政府は防衛力の抜本的強化に向けて自衛隊装備、予算・財源を議論する有識者会議を設け、30日に初会合を開きます。発表されたメンバー10人の顔ぶれをみて、防衛力強化の専門家があまりにも少ないことに驚きました。10人のうち新聞関係者が3人、金融関係者が2人、技術系の学者2人でした。防衛問の専門家と言えるのは元防衛次官(三井住友海上火災保険顧問)、元駐米大使(日本国際問題研究所理事長)の2人くらいでしょうか。国際情勢を語れる中西寛・京大教授を加えても3人です。政府からは岸田首相、松野官房長官、林外相、鈴木財務相、浜田防衛相が参加し、総力をあげて「防衛費をGDP比でNATO(北大西洋条約機構)基準・目標の2%」に引き上げる体制を組みました。メンバー表を見て、10人中3人が新...有識者に欠ける防衛力強化会議の委員構成は不思議

  • 世界の実験台にされている日本の円安と金融・為替政策

    長期戦略なき小手際の対応ばかり2022年9月23日大規模金融緩和の継続と利上げ回避を日銀総裁が記者会見で発表中に、円は1㌦=146円を突破し、慌てた政府は24年ぶりの円買い介入を実施しました。140円台前半まで円は反落したものの、介入の効果は限定的のようです。鈴木蔵相、黒田日銀総裁の会見を見ていると、異次元金融緩和と財政拡張政策を10年近く続けたため、身動きがとれなくなっており、口先だけの空威張りとの印象を受けます。一斉に利上げに動いている米欧主要国とは正反対に、「孤高のゼロ金利を続ける日本の結末はどのようなものになるか」と興味深く見つめていることでしょう。「成功するのか惨敗するのか」の実験台として日本を見ているのです。結論から申しますと、国債残高の半分を日銀が保有するという異常な状況、1000兆円を超え...世界の実験台にされている日本の円安と金融・為替政策

  • 英女王国葬は大英帝国の残像、安倍国葬は戦後政治史の一断面

    比較することの意味と無意味さ2022年9月20日エリザベス英国王の葬儀が19日、ロンドンのウエストミンスター寺院で行われ、日本からも天皇、皇后両陛下が参列しました。来週の27日に非業の死を遂げた安倍・元首相の国葬が行われます。二つとも国葬(statefuneral)と呼んでいますから、二つを比較してみたくもなります。比較することには意味はあるし、無意味でもある。国による国葬の違いを学ぶことには意味があります。一方、歴史、伝統、葬儀の位置づけがまるで違うし、英国は国家元首(国王)、日本は政治家(首相)で異次元の儀式ですから、比較することに意味がありません。それでも比べたくなるのは、英女王の国葬がまるで映画でも見るかのように人々の関心を大きく引くつけるからです。これが結論の一つです。もう一つの結論は、エリザベ...英女王国葬は大英帝国の残像、安倍国葬は戦後政治史の一断面

  • 五輪汚職の拡大で札幌冬季大会は早期の断念が賢明

    IOCの却下も不可避か2022年9月18日東京五輪を舞台にした贈収賄汚職は底知れぬ広がり見せ、竹田恒和・前JOC(日本オリンピック委員会)会長、森喜朗・元首相(組織委会長)を参考人として東京地検特捜部が事情聴取しました。このトップの二人は、逮捕された中心人物の高橋治之・組織委理事(元電通専務)の職務、就任の経緯などを聞くためとされています。それにしても、竹田氏は東京大会の招致を巡る不正疑惑でフランス司法当局の捜査対象になりました。森氏はAOKIが200万円の見舞金を贈るなど、灰色であることは間違いありません。30年の冬季五輪の開催地は、来年秋にインドで開催されるIOC総会で決まります。札幌市は開催を希望しており、招致活動を始めています。開催地は札幌市であっても、JOCや政府が絡んで招致活動、大会運営に深く...五輪汚職の拡大で札幌冬季大会は早期の断念が賢明

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