Aquioux さん プロフィール

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Aquiouxさん: いにしえ実録怪談
ハンドル名Aquioux さん
ブログタイトルいにしえ実録怪談
ブログURLhttp://oldkwaidan.tumblr.com/
サイト紹介文江戸時代など古い怪異譚を現代の実録怪談風に翻案します。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供190回 / 365日(平均3.6回/週) - 参加 2014/11/28 21:31

Aquioux さんのブログ記事

  • 火車が来る(二)
  •  俳人・椋梨一雪(むくなしいっせつ)の親が雇っていた使用人に西京出身の女がいた。 その下女の伯父の話であるという。 長いこと、床に臥せっていた伯父が、おかしなことを喚き始めた。「お、お、恐ろしい…… あ、赤や青の、お、鬼が来るぅっ!」 昼夜なく、ずっと泣き叫び、ガタガタ震え続ける。 毎日毎日、鬼が来る、と胡乱な言葉を発していたが、泣き叫んだり喚いたりする気力は少しずつ失せ、だんだんと呟きに変わって [続きを読む]
  • 火車が来る(一)
  •  武蔵国の騎西に近い妙願寺村でのことである。「うわぁっ!」 あるとき、悲鳴が響き渡った。 驚いた人々が外に出ると、酒屋の安兵衛が店から転がり出てきた。「か、火車が来るぅっ!!」 安兵衛は道の真ん中でこう叫ぶや、そのままバッタリ倒れてしまった。 慌てて駆け寄ってきた家族や店員が安兵衛を抱き起こす。 彼は白目をむいて気を失っていた。 急いで安兵衛を家に担ぎ込み、布団を敷いて寝かせた。 彼はそのまま患い [続きを読む]
  • 天狗の道
  •  丹波の山中には「天狗の道」と呼ばれる場所があちこちにある。 そこに家を建てると祟りがあると言われ、夜中にガタガタ家鳴りがしたりするそうだ。 それゆえ、たとえどんなに良い土地でも空き地にしておくという。 丹波は伊藤仁斎の門人が多い土地である。 あるとき、その中の一人が言った。「天狗など恐れるに足らん」 そして、天狗の道だといわれている土地に家を建てた。 完成した家に入った当日の夜から、門人は家鳴り [続きを読む]
  • 毛が生えている
  •  蒲生下野守の家来が、わけあって切腹することになった 切腹に臨み、行水を終えた家来は、見届けの役人・検使に申し出た。「私は湯を上がってすぐに寝る癖があります。この世の思い出に、今、寝ることをお許しいただきたい」 検使が承知したので、家来は横になって目をつぶった。 しばらくガァガァ高鼾をかいていたが、やがてパッと目を開いた。 起き上がって、検使に言う。「度胸のある者の肝には毛が生えると昔からいいます [続きを読む]
  • 腰巻目隠し
  •  京都の東洞院通だかでの話だと聞いた。 通りを牛車が進んでいると、向こうから三十歳ほどの女が歩いてきた。 牛は女を見ると歩みを止めた。 黒い瞳で女をジーっと見つめている。視線を離さずに見つめ続ける。 一方、女の方も歩みを止めていた。 別に牛が怖いというわけではない。だが、竦んで動けないのだという。 牛飼いはかねてから、このようなときの対処法を心得ていた。 女の腰巻で牛に目隠しをすれば、牛は動き出す [続きを読む]
  • 教わる猫
  •  高橋司から聞いた話。 天保七年七月十四日の夜、厠で用を足していたときのこと。 目の前にある窓から、何の気なしに外の景色を見ていた。 そこには荒れた畑が広がっている。 やがて猫が一匹やって来た。続いて狐も一匹やって来た。 しばらく二匹は並んでいたが、ふいに狐が後肢で立ち上がった。 前肢を折り曲げて、胸、人間だと乳のあたりに爪先をつける。 そして、背筋を伸ばすと、チョコチョコ小股で歩き始めた。 狐の [続きを読む]
  • スッポンの骨
  •  伊東老人が話してくれた。 薩摩藩の留守居役の人から聞いた話だという。 薩摩藩にとにかくスッポンが大好物の侍がいた。 スッポンが好き過ぎて、肉は言うに及ばず、甲羅ももちろんのこと、細かい骨の欠片に至るまで、残らず食い尽くしていたらしい。 あるとき、その侍の目の下が不自然に膨らんできた。 やがて、体内から押し出されるように、何か硬い尖ったものが、皮膚を突き破って、外に出てきた。 引き抜いてみるとスッ [続きを読む]
  • 餓鬼憑き
  •  私が伊勢から伊賀へ越える道を歩いていたときの話である。 後ろから声をかけられたので振り返ると、ヨロヨロ歩く男がいた。「わ、私は大阪の者ですが、はぁはぁ、道中、が、が餓鬼に取り憑かれました。く、空腹で歩くこともままならず、はぁはぁ、とても、こ、困っております」 男は息を切らしながら奇矯なことを言い始めた。「何か、た、食べるものをお持ちでしたら、少しで、け、けっこうです。いただけませんでしょうか」  [続きを読む]
  • 狸の腹鼓
  •  かつて筑紫に行ったときに、寺に泊めてもらったことがある。 その夜、住職が私の部屋にやってきて、こう言った。「ほら、聞こえるでしょう」 耳を澄ますと、何かを打ち続ける音が遠くから響いてくる。「今夜は良い月夜だから、狸が集まって腹鼓を打っているのです」「あれは砧を打つ音ではないのですか?」「いやいや。音は向かいの岡からしてますでしょう」「そのようですね」「あそこには藪があるだけで、人家などはありませ [続きを読む]
  • 鼻血に効果
  •  京都東山に清閑寺という寺がある。山号を歌中山という。 寺周辺の地名もまた歌中山といい、その中に小径がある。 小径の入り口には、誰のものとも知れない古い塚が一つある。 鼻血が出たときは、この塚に祈ると効果があるらしい。 まず、どんな花でも好いので、塚に捧げる。 それから、鼻の左の穴から血が出たときは右の陰嚢を握る。 右の穴からのときは左の陰嚢を握る。 ギューっと握りながら祈ると、たちまち鼻血は止ま [続きを読む]
  • 図星を指された
  •  石川という人から聞いた話。 彼の親戚に、ずいぶん長生きの猫を飼っている人がいた。 あるとき、親戚の家に来客があった。 歓談の場には当の飼猫もおり、自然、それの話題となった。「この猫はもうずいぶん長いこと生きていましてなぁ」 飼猫を見ながら、主人が続ける。「猫は閉めてある襖を自分で開けて、部屋から出ていきます」「話には聞きますが実際にしますか、そんなこと」 そんな客の質問に、主人が答える。「ええ、 [続きを読む]
  • 一足鳥
  •  肥後八代から球磨川を八里ほど遡った所に神瀬(こうのせ)の岩戸という鍾乳洞がある。 地元の庄屋である大島喜左衛門が、私がそこに行きたい、という話を聞きつけたとかで、彼の地まで案内してくれた。 岩戸は神域で岩戸熊野坐神社という神社が建っている。 神社では神主である緒方靱負と、その子の大膳が、我らを待っていた。 鍾乳洞までは二人が案内してくれた。 目的の岩戸は球磨川の北側にあって、細い山道を進んでいく [続きを読む]
  • 日向飫肥の山女
  •  日向国飫肥(おび)藩領内の山中での話であるという。 このあたりの猟師は菟道弓(うじゆみ)というもので獣を狩る。 菟道とは獣道のことをいう。 猟師は獣道の脇に弓を仕掛け、獣が歩く道の部分に糸を張る。獣が糸を踏むと、矢が発射され、獣が貫かれる。そんな仕掛けであるそうだ。 狼、猪などの大型獣も、これで狩るという。 最近のことだ。 ある猟師が、この菟道弓で奇妙な獲物を仕留めたらしい。 それは女の姿をして [続きを読む]
  • 食べるくらい可愛い
  •  上野国厩橋から二里ほど離れた場所に大胡村というのがある。 そこの名主・大塚七之助の母は七十歳ほどであった。 三歳になる孫を嫁から取り上げ、昼夜なく抱き、頬ずりをする。 実によく可愛がっていた。 ある晩、その老母が七之助の前に来た。 珍しく孫を抱いておらず、独りきりである。 彼女は、何だか嬉しそうに息子に、こう報告した。「あのね、私ね。孫をね。食べちゃったの」 彼女は胸の前で閉じていた両手を開いた [続きを読む]
  • 豆腐まみれの町
  •  薩摩国の今和泉という町で起きた奇妙な現象について、体験者から話を聞いた。 ある朝、彼は外に出て驚いた。 門前の道に豆腐が何丁も落ちていたのである。「誰がこんなイタズラをしたんだ」 自分の家の前だけのことかと思っていたが、やがて、あちらの十字路こちらの門前と、町中各所で起きている現象であることが判ってきた。 街道では、十丁、二十丁と堆く積んであった場所もあったそうだ。 その豆腐の数、全部合わせると [続きを読む]
  • 一寸坊蛇
  •  肥後国球磨郡を領する人吉藩の城下にある五日町に、知足庵という小さな庵がある。 庵のすぐ裏は球磨川で、川端には大きな榎の木が生えている。 榎は地上から三、四間ほどの高さの所で二股に分かれており、そこに虚がある。 虚の中には昔から大蛇が棲んでいて、ときどき、木の股の部分にいるのを、城下の人々が多く目撃しているという。 その蛇は全身が白い。太さは胴回り二、三尺もあるにも関わらず、その長さはわずか三尺あ [続きを読む]
  • 死ぬ前に来る人々
  •  私は日本諸国を巡って、たくさんの奇怪な話を聞いたが、こと幽霊に関しては出羽国秋田の城下で最も多く聞いた。 彼の地では人の死後、魂が姿を現すだけではない。 大病、長患い、老衰などで死期が迫った人の魂も姿を現し、あちらこちら彷徨うらしい。それを目撃した人も数多くいる。 地元の人は、死が近くなれば誰であろうと、その魂は外に出てくる、と考えており、特に奇怪なことだとは思ってもみない。 よく聞いたのは以下 [続きを読む]
  • 龍避けの臭い
  •  かつて、皆川淇園先生の『有斐斎剳記』を読んでいたら、このような記載に出くわした。 ある人が江戸から船便で上京していたときのことだという。 東海道の沖を船が進んでいると、一叢の黒雲がはるか上空から船に向かってグングン降りてきた。 それを見た船頭は驚いて叫んだ。「あの黒雲は龍です。この船を巻き上げるつもりです。皆さん急いで髪を切ってすぐに焼いてください」 船にいた人々は一人残らず髪を切ると火にくべた [続きを読む]
  • 釘付けの蛇
  •  源翔(みなもとのかける)から聞いた話である。 摂津国の渡辺に古い堂がある。彼ら摂津渡辺党の氏寺で薬師堂という。 翔の父・源番(みなもとのつがう)が馬允(うまのじょう)の職に就いていたとき、その堂の修理をした。 こけら葺きの屋根がすっかり朽ち果てていたので、葺き替えのために剥ぎ取ると、その下に大きな蛇がいた。 蛇は釘で打ち付けられおり、身動きできずにいる。 この堂は、建立以降まったく手を入れていな [続きを読む]
  • 釘付けの守宮
  •  宝暦十二年の春、遠江国金谷宿の横山という人の家での話。 彼の家の壁には雨よけの板がある。 二十五年ほど前に修繕したきりで、その後、全く手を入れていない。 そのため、今ではすっかり朽ち果て、役に立たなくなっていたので、取り替えることにした。 作業中、一人の大工が、撤去した板の裏面に奇妙なものを見つけた。 胴体の真ん中を釘で貫かれ、守宮が板に打ち付けられていたのだ。 状況から見て、守宮は二十五年前の [続きを読む]
  • 釘付けの蜈蚣
  •  とある家が全面改築されることになり、まず門の撤去工事に入った。 門には、家内安全や護摩供養の札など、たくさんの札が釘で打ち付けてある。 それらを一枚一枚取り除いていくと、とある札の下から長さ一尺ほどの蜈蚣が出てきた。 蜈蚣は白日の下に晒されたのに逃げようとしない。 妙だなと思ってよく見ると、札を打ち付けていた釘が、蜈蚣の胴体の真ん中を貫いていた。 どうやら蜈蚣は札と一緒に、釘で門に打ち付けられて [続きを読む]
  • 床下からの山彦
  •  越前国鯖江の近くにある新庄村の、とある農夫の家でのことである。 あるとき、家の床下から声がするようになった。 まるで山彦のように、家内の人の言葉が少し遅れて返ってくるのだ。 家の人々は非常に驚いて、床板を外して縁の下を覗き込んだが、特に怪しいものは見つからない。 とりあえず床板は元に戻したが、それ以降も、家内の人が何か言葉を発するたび、床下から同じ言葉が返ってきた。 この話は町中に広がり、若者た [続きを読む]
  • 四五六谷の奥
  •  四五六谷(しごろくだに)は、越中・飛騨・信濃の三国にまたがった谷である。 富山湾に流れこむ神通川、及びその支流に沿って遡って行くと、その谷に辿り着くが、谷の奥まで踏破した人は誰もいない。 最近、飛騨の舟津の人が二人、奥を見極めようと、川沿いに谷に踏み入ったそうだ。 用意した食料は三日分あったが、それも底をついたので、魚を釣って食べながら、なおも数日、谷に留まっていた。 そんなあるとき、一人が釣り [続きを読む]
  • 宮薗鸞鳳軒の最期
  •  京都の柳馬場松原に宮薗(みやぞの)鸞鳳軒(らんぽうけん)という浄瑠璃太夫がいた。 浄瑠璃の一派である宮薗節の大成者である。 天明五年五月二日のこと。 鸞鳳軒は檀那寺の住職を自宅に招き、言った。「来る九日はわしが死ぬ日です。ついては十一日あたりに葬儀をお願いしたい」 いきなり、こんな話を切りだされて住職は驚いた。「わしには弟子が数百人はおりますので、それ相応の規模の葬式をお願い致しましたぞ」「もし [続きを読む]
  • 連れ去る山伏
  •  信濃国高遠に山辺八郎兵衛という子だくさんの人がいた。 あるとき、子どもの一人が病気に罹った。 病気はどんどんひどくなり、明日をも知れぬ状態となったその夜、八郎兵衛は夢うつつに妙な体験をした。 どこからともなく山伏がやって来て、病気の子を連れ去ろうとする。 そうはさせじと八郎兵衛も子の腕を掴む。 山伏と八郎兵衛は子の腕を引き合っていたが、八郎兵衛は引き負けて、山伏に子どもを連れ去られてしまった。  [続きを読む]