Holeout角 さん プロフィール

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Holeout角さん: 人生は短く、読むべき本は多い
ハンドル名Holeout角 さん
ブログタイトル人生は短く、読むべき本は多い
ブログURLhttp://holeout88.blog.fc2.com/
サイト紹介文小説中心の「語りかける書評」
自由文小説のジャンルを制限していません♪
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供69回 / 365日(平均1.3回/週) - 参加 2014/12/25 22:50

Holeout角 さんのブログ記事

  • 313 パオロ・バチガルピ 「ねじまき少女」
  • 架空のバンコクを舞台にしたSFであり、アクション・ハードボイルドだ。原題は「THE WINDUP GIRL」。 3年ほど前の書評で設定(と受賞歴)を至極気に入って買って、なかなか読み終えられなかったけれど、11月のオーロラ旅行の長〜いフライトでじっくり楽しむ事ができた♪のっけから申し訳ないが、このブログで度々「近未来」という言葉を使って来たが、ちょっと安易だったと気づいて反省した。読者が「自分が生きているうちに、こん [続きを読む]
  • 312 松家仁之 「光の犬」
  • 枝留町という北海道の架空の町を舞台に、一族三代の姿を描いている。大河調のドラマはなく、幾つかのエピソードを、それも時代順でもなく切り取って示しているのだが、読後に不思議な感覚が残っている。一方、題名にも使われた「(その家で飼われた代々の)犬」は、私にとっては強い印象や余韻を残さなかった。お話は一族何人かの視点で語られていくが、まずは三代目の長女の添島歩だ。枝留で高校まで過ごし、国立大学の理学部から [続きを読む]
  • 311 ミヒャエル・エンデ 「モモ」
  • これだから児童書の読み返しは止められない。ある町に住みついた孤児のモモが、時間どろぼうたちと繰り広げるアドベンチャー。これくらいに覚えていたのだが、今読んでみるとこの「時間どろぼう」の設定が、今の我々にもぐっさりと刺さってくる(1973年と30年以上前に書かれている)。最も強く啓発されたのは、「自分の時間」というものを情景として、美しく清らかで、またとても大きく広く描いている、そのシーンだ。自分の時間が [続きを読む]
  • 310 帚木蓬生 「守教」
  • ペドロ岐部神父が予言したとおり、磔刑に処せられた筑後今村の庄屋平田道蔵の墓の上に、藁屋根木造の今村教会が建立されたのは、明治14年(1881年)である。そしてまたたく間に木造の教会は手狭になり、第三代の本田保神父がドイツのカトリック布教雑誌に寄付を募る手紙をラテン語で寄稿し、その浄財により今村天主堂が大正2年(1913年)に建てられた。現在天主堂は重要文化財に指定されている。フランシスコ・ザビエル来訪の頃から明 [続きを読む]
  • 309 いがらしみきお 「ぼのぼの 42」
  • 気のせいか、42巻のいがらしみきおはエモーショナルになっている。いがらしみきおが、情緒的なところに敏感なのは勿論のことなのだが、普段はそれを見せた後に我々が想像だにしない圧倒的な視点から冷や水をぶっかけて目を覚まさせる。そこが何とも気持ちが良いんだ。軽い解脱感といってもいいだろう♪(私はこれを「神の視点」と呼んでいる)本巻にはそれが余りなく、どこまでも温かいというか生ぬるい画面が続いているように感じ [続きを読む]
  • 308 長岡弘樹  「教場0: 刑事指導官・風間公親」
  • 風間教官シリーズの第三弾。主人公を変えた短編が6つ。「教場」「教場2」とは少し違った形をとったことにより、残念ながら良いところが薄れてしまったかもしれないと感じた。(一つひとつをチェックはしていないのだが、前2作の短編よりページ数が足りないような気がした)なぜ三冊目なのに「0」かというと、「教場」「教場2」の暫く前、風間がまだ警察学校の教官になる前の時代のエピソードであるから。時系列にするとこれが一番 [続きを読む]
  • 307 落合博満  「落合博満 アドバイス―指導者に明かす野球の本質」
  • 落合博満が都市対抗を目標にしている社会人野球の指導者をターゲットにした、戦略・戦術書。大きく小さく「はっ」と気が付く事が少なくない。一方、この人に死ぬまで付いていけるか、という点では納得できなかった。まず少し驚いたのが、平易ながら端的な文章で、優良なビジネス書を読んでいるようだった(さして沢山のビジネス書は読んでいないのだが)。例えるなら「デキる、キレる重役の訓示を聞いている」感じかもしれない。拘 [続きを読む]
  • 306 村上龍 「69 sixty nine」
  • 1969年、高校二年生の村上龍を主人公にした小説。とびっきり明るい。若いころに「何かを一生懸命やった」「突っ走った」という、手応えを持っている男には圧倒的に面白いはずだ。また若いころに一度読んだなら、その後勝負の前に本著にもう一度目を通しても良いだろう。「走りきればいいんだ」「失敗なんぞなんら恐れるものではない」という、大事な事を再確認させてくれるし、そうしている奴が輝いている様を見せてくれる。ただ主 [続きを読む]
  • 305 桜木紫乃 「砂上」
  • 「砂上」という処女小説を、2年をかけて書き上げていくまでの話。桜木紫乃にしては切れ味が鈍い気がしたが、ストーリーとは全く違うところで緊張感を保つ事ができた。ちょっと創作のペースが上がりすぎてきたかな、桜木紫乃。江別に住む柊令央(れお)は、夫と別れ友人のビストロで働きながら文学賞やエッセイに応募を続けている。大きくない出版社の編集者小川乙三(おとみ)からエッセイ入選の連絡があり会う事になる。令央の過 [続きを読む]
  • 304 ケン・リュウ 「母の記憶に」
  • ケン・リュウの本邦2冊目の短編集。長めも含めて16編も読める♪彼が持ってくる世界は「エッ?」と少し驚くものはあれど、「ウヒャー、凄ぇ!」というものは余りない。それでも次が出たらまた読む!、と我々を強く引っ張ってくる力がある。その引力とはいったいどのようなものなのか、それが今回少し分かったかもしれない。「ループの中で」が一番印象に残った。仕事がない戦争中にカイラが得たのは、兵器ドローンに代わるロボット [続きを読む]
  • 303 戌井昭人 「ゼンマイ」
  • 良質な「寓話」だと思う。この物語には作者が伝えたいこと、読者に想って貰いたいことがあって、さして複雑ではないストーリーと奇抜な出来事の裏に、それらが隠れてつぶやいているようだった。小説の魅力には、綿密な取材によるリアリティであったり、魅力的なキャラクターに出会いたい「観劇系」もあれば、カラクリの妙や組み立ての鮮やかさだったりと、いろいろあるんだけれど、それらを「単なる技術的な巧者」とでも置き去りに [続きを読む]
  • 302 塩田武士 「罪の声」
  • 1984〜85年の「グリコ・森永事件」の一つの解。綿密な取材で、読んでいてもフィクションとは思えず次へ次へとページを捲っていった。また切り口の着眼が素晴らしく、あたかも自分の身に降りかかってきたように、あっと驚いて、気付いたら物語の中に一緒に居るのではないかな。亡くなった父のテーラーを継いでいる俊也は、入院した母から荷物を頼まれて、普段は開けない電話代を漁っていてカセットテープと黒革のノートを見つける。 [続きを読む]
  • 301 野沢直子 「笑うお葬式」
  • あの野沢直子が、父の死にあたって認めたエッセイ。小説だと思っていたらエッセイで、直ぐに投げようかと思ったていたら、180ページなのであっという間に読み終わっていた。野沢直子にまだ興味が残っている人にはアリだ、そうでない人は放っておいていいよ。若いころの野沢直子やと片岡鶴太郎が、先輩やベテランから無理難題を吹っ掛けらて実行させられるまでの「絶望する顔」を、毎回引き込まれるように観ては、ゲラゲラと毎回飽 [続きを読む]
  • 300 井上靖 「しろばんば」
  • 井上靖の自伝的小説。洪作の小学生の数年間をじっくりと、舞台である伊豆の温かい日差しのように表している。少年が青年の入り口に着くところまで、というところだろうか。この歳で初読なのだが(あすなろ物語は読んだよ)、洪作少年の時代がまだ生々しく記憶に残っている中学卒業までに、ぜひとも読んでみたかったと思ったよ。しろばんば」とはアブラムシの一種の成虫の俗称で、腹の周りに白い綿のような毛を纏い、その姿から白い [続きを読む]
  • 299 車谷長吉 「赤目四十八瀧心中未遂」
  • 広告代理店のサラリーマンからくずれて、関西に逃れた男の尼崎での2‐3年を書いている。覚悟して読まないといけないよ。尼崎語で書かれた、日本版の「どん底」かもしれないからね(^^)/車谷長吉も本書も、1998年の直木賞でオンタイムに知ったんだと思う。当時コタキナバルに居て、まだアマゾンも海外発送もない時代で、3ヶ月毎に出れるシンガポールの紀伊国屋で2時間かけて本を漁っていた頃だ。紀伊国屋の値札は、単行本が日本の2倍 [続きを読む]
  • 298 いがらし みきお 「花火の音だけ聞きながら」
  • 鬼才いがらしみきおの初のエッセイ。 憧れていた天才のエッセイに触れて、ガクッ。。。_| ̄|○ てなことはなくて、おーそうか、それも大変だなぁ、うーんやっぱり凄いなぁ・・・と普通に読めた。大学生になって時間が余って直ぐに「根暗トピア」に衝撃を受けた。竹書房の何だったか、4コマ漫画しか載せない月刊誌か隔週誌だったと思う。なぜそんな漫画誌を手に取ったかというと、竹書房は「近代麻雀」シリーズの漫画誌を揃えていて [続きを読む]
  • 297 宮下奈都 「羊と鋼の森」
  • 「明るく静かに澄んで懐かしい文体、少し甘えているようでありながら、きびしく深いものを湛えている文体、 夢のように美しいが現実のようにたしかな文体」====一人の青年がピアノの調律師になりたいと決めて歩き始める。その様子を題材に使って、二つのことを提示していると感じられた。いいぞ(^^)/ひとつは「「自分に大事なこと」を見つけられたなら、それは大変貴重である」もひとつは「音の世界、音楽の世界というものは [続きを読む]
  • 296 伊坂幸太郎 「ホワイトラビット」
  • 物語の中と外で、伊坂幸太郎が立てこもりの「白兎事件」を使って、騙し続けている。アレッ、と物事がずれていく度に、ずれた魔法が解明されいく。読者とのコンゲームであり、お話はメタフィクションでもある。面白い♪物語の中では、犯人が、いや犯人の黒幕が、警察と犯人の親玉を手玉にとっている。物語の外では、我々読者が「転がされる役」を仰せつかっている。こんな説明では、なんのことだかさっぱりだと思うが、ここを説明し [続きを読む]
  • 295 R・D・ウィングフィールド 「フロスト始末」
  • 「お下劣なコロンボ」(私の命名)ことフロスト警部が、今回も次から次へと湧き出てくる事件を、ドタバタの間一髪で解決していく。本作では特に「フロストの良い面」がダイナミックに出ていて興奮できた。遺作になってしまったのだが、我がフロスト警部は不滅です(;´Д`)ロンドン郊外にあるデントン署に、もうずいぶん長いことフロストは勤めている。本人には全くその気はなかったのだが、ある事件で重傷を負いつつ犯人を捕まえた [続きを読む]
  • 294 滝口悠生 「茄子の輝き」
  • 離婚から数年間の市瀬を、連作短編の形にしている。大きな事件はなく、出てくるエピソードも捉えようがない時があるし、時間も飛び飛びで前後する。描写も急に細かくなったりするし、少し落ち着かなかった。けど待てよ・・・それってまさに私たちが「記憶を辿る」ときに起こっている現象だ。市瀬の行動に強い能動性は感じられず、大志も少志もなく生きているようにも見える。だが、自分でもこのような意味のない(情けない)行動を [続きを読む]
  • 293 佐々木譲 「真夏の雷管」
  • 2004年「うたう警官」(後に「笑う警官」に改題)から8作目となった、道警シリーズ最新作。今回はミステリーというよりも、サスペンスの要素が強く、序盤でほぼ割れてしまう犯人と、彼に懐いて付いて行っている小学生の大樹がどうなるんだろう、と手に汗を握った。もちろん佐伯を始め、小島百合、新宮、津久井、長生寺らの常連が顔を出してくれて、懐かしい面々と再会する気分も味わえる。佐伯と百合の視点で、序盤のお話は長距離 [続きを読む]
  • 292 川上弘美 「どこから行っても遠い町」
  • 西武線だったかどの私鉄だったか、ターミナル駅から20分ほど電車に乗った町の商店街を中心にした連作集。確かにこの町は「どこから行っても遠い」ようなのだが、実は「とても近いところにあるけど、気付かないと果てしなく遠い」のような気がしてならなかった。「自分の夢の中にある町」なのかもしれないと思った。11編の主人公は皆が別々だ。【小屋のある屋上】 妙子が行きつけの魚屋「魚春」の平蔵大将と、同居人の現さんの関係 [続きを読む]
  • 291 月村了衛 「機龍警察」
  • 傑作「機龍警察 自爆条項」の前作、ここから物語は始まっている。余りに「自爆条項」が良かったので、普通ならその前には遡らないんだけれど(旅行もあるし)持って行ってみた。正解♪♪日本冒険小説協会出身としては、この手のアドベンチャーに最近手が伸びないのが不安だったけれど、大丈夫。まだシリーズはあと4作もある??Wikiで調べてみて気づいた事があった。このシリーズの名前は・・・・機龍警察・自爆条項・暗黒市場・未 [続きを読む]
  • 290 三崎亜記 「チェーン・ピープル」
  • 相変わらず人を喰った設定の短編集なのだが、それだけのSFでない事は明らかだ。「あり得ない」舞台をフフフと笑いながら読み進むうちに、「自分はこの世界でどう振舞っているだろう」と考えていたり、「この世界になっていかない為に、何かできることはないかな」と思い巡らしていたりする。そうした「気付き」の起爆剤を潜ませているのが、三崎亜紀が放ってくるストーリーだ。ブログでも、もう2つあげているのに、三崎亜紀の新刊 [続きを読む]
  • 289 宮内悠介 「あとは野となれ大和撫子」
  • 西アジアの架空の国「アラルスタン」での、大統領暗殺と国家危機を題材にした、群像エンターテイメント。新政府の要職を、図らずも若き乙女達が行っていかざるを得ない設定や、テンポ良い展開が魅力的だ。内線(初期)の状況がカラッと美しく描かれ過ぎているきらいがあったが、作者が出したいポイントがそこではないという事だろう。多民族国家ゆえの、「個々の人(民族)が抱えてきた痛みの違いや、その違いによる悲哀」は、軽め [続きを読む]