Holeout角 さん プロフィール

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Holeout角さん: 人生は短く、読むべき本は多い
ハンドル名Holeout角 さん
ブログタイトル人生は短く、読むべき本は多い
ブログURLhttp://holeout88.blog.fc2.com/
サイト紹介文小説中心の「語りかける書評」
自由文小説のジャンルを制限していません♪
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供61回 / 365日(平均1.2回/週) - 参加 2014/12/25 22:50

Holeout角 さんのブログ記事

  • 340 穂村弘 「はじめての短歌」
  • 読者の新聞投稿を題材にして、穂村弘が短歌の「世界観」を懇切に説明している。だいじなところは歌を変えて、違う角度から見せてくれるのでとても分かりやすい。また、短歌を「(生きた時代も詠んだ歳も性別も色々違う人が)共感する為の道具」であると表しているところはお見事だ。穂村弘が繰り返す、短歌に必要なポイントを3つに括ってみた。【①具体的に書かない】 仕事や学校で求められる5W1H的なものを揃え(過ぎ)ない。 我 [続きを読む]
  • 339 藤岡陽子 「手のひらの音符」
  • 45歳をむかえた水樹のお話。若い頃はがむしゃらに走ってきてけど、歳をとってきて「本当に大事なもの」が見えてきたりする。そのとても良い例が表されている。国内服飾メーカーのデザイナーの水樹は、会社から半年後に服飾部門を畳むことを知らされる。転職活動をしていくのだが、高校同級生の憲吾から卒業以来の連絡を貰う。担任の遠子先生が体調を崩しているので、会いに来て欲しいという。お見舞いに行き、憲吾と話していく中で [続きを読む]
  • 338 古川日出男 「ミライミライ」
  • 「むかしむかし」の出だしに倣った、「みらいみらい」のお話。だがここには今、2016年の刺激的な「日本」が描かれている。ひとつ具体的に例えるなら、打海文三「応化戦争シリーズ」「ハルビン・カフェ」や村上龍「五分後の世界」「ヒュウガ・ウィルス」に興奮した人には当たるだろうし、後で記している作家さんの「あの本」にハマった人にもいけそうだ。古川日出男はもう十年近く「読むべきリスト」に載ったままだった、「アラビア [続きを読む]
  • 337 吉本ばなな 「吹上奇譚 第一話 ミミとこだち」
  • 吉本ばななにしては、珍しいファンタジー。第一話だし、あとがきには「シリーズ」「次作はどんぶり」ともあり、続いていくようだ。吉本ばななが作った世界は、まだ本著だけでは全貌には至らないのだが、彼女特有の「死者との繋がり」といったものが色濃く出ていて独特のものだ。この世界でこの先どんな物語が続いていくのか、大変興味が残る読後になった。海と山に囲まれた孤島のような吹上の街で、早速お話はテンポを上げてくる。 [続きを読む]
  • 336 原りょう 「それまでの明日」
  • 探偵沢崎が14年振りに帰って来た。何も変わらない沢崎を確かめてみたり、ちょっと変わったかもしれないと見つけたり、原りょうの設定に思うところが出て来たり、読んでる自分の変わったところに気づいてみたりと、楽しい読書だった。原りょうの2作目、1989年の「私が殺した少女」は、我々冒険小説好きでは「黒船」扱いだった。チャンドラー張りのガチガチのハードボイルド探偵を、それも西新宿を舞台に定着させてしまったから。ま [続きを読む]
  • 335 石川宗生 「半分世界」
  • またもや「バカSF」の中編が4つ。でも侮ってはいけないよ、ゾッとするような示唆を隠していたり、作者の「本当の意図」は、物語を読みなぞるところでは終わっていそうもないからね。飛浩隆の書評だったか推薦文で読む事にした、下の写真でも彼は「諸君、脱帽の用意を」と帯に記している。その飛浩隆もブログを読み返したら、穂村弘の「彼は怪物だ。私が神なら生かしてはおかない」のコピーで手にしたことを思い出した。新しい作家 [続きを読む]
  • 334 いとうせいこう 「小説禁止令に賛同する」
  • 獄中の小説家が書いた随筆の形をとった寓話。寓話だから何かを諭しているはずなのだが、そこのところは今一つモヤモヤした。「わたし」の今の自分の記述からお話は始まる。どうやら牢屋のようで、とても寒く冷えて足が悪くなっている。75歳の自分には堪えると。ところどころ文字が ■ で塗りつぶされている。どうやら「日」「本」の二文字のようだと分かる。カタカナも一切使われておらず外人の表記も、馬丁・路徳(マルティン・ル [続きを読む]
  • 333 ロバート・ムーア 「トレイルズ (「道」と歩くことの哲学)」
  • 原題は「On Trails An Exploration」 「トレイルに接した探求」とでも訳してみよう。あらゆる生物の「道」をそこへ赴いて研究・論評しながら、歴史や宗教をも踏まえ、仮説を普遍的な「理(ことわり)」に落とし込もうとしている。夢枕獏の帯にあるように、この本が運んでくれるところには「思想」「哲学」というものがあるだろう。この本じたいが「道を題材に使った、おおいなる思索の路」といってもいいかもしれない。著者の聡 [続きを読む]
  • 332 伊兼源太郎 「地検のS」
  • 湊川地検の総務課長、伊勢を中心に据えた、連作短編ミステリー。各編の視点たる主人公は全て違うのだが、緊迫した難事を提供するに留まらず、連作を通じて最後にはキーマン伊勢の秘密が解き明かされる仕組みになっている。なかなかニクイ構成だ♪《置きみやげ》地検を担当して6年、東洋新聞の沢村は次の異動で本社政治部を希望していたが、決裁まであとわずかという時にライバルの報日新聞にスクープを抜かれてしまう。デスクから [続きを読む]
  • 330 宮内悠介 「超動く家にて」
  • 宮内悠介の、バカSF短編集。16編各々に特色があるが、パンチが効いたのは半分位、でもそれで十分。幾つかは柔らかい発想で、膨らまして長編にしても良かったのに、と感じた。宮内悠介は前述289「あとは野となれ大和撫子」しか読んでおらず、元がSF作家とは不勉強にも知らなかった。調べたていら、史上初めて芥川賞、直木賞、三島賞、山本賞全ての候補作に挙がった、とあり驚いた。本の帯(下に画像あり)が笑った。====「深刻 [続きを読む]
  • 329 寺山修司 「暴力としての言語 詩論まで時速100キロ」
  • 詩に関する論説でありエッセイ。論説の方よりエッセイとして楽しんだ。前述306村上龍「69」で、村上龍本人であるところの主人公ケンが仕切った学園祭のキャッチコピーは「想像力が権力を奪う」おやっ、どこかで聞いたことがあるような、と調べてみたら1968年のパリ五月革命の際の壁の落書きの一つであり(当時壁の落書きは著名政治家ですら書くほど「注目される主張の場」だったようだ)、それを引用したのが寺山修司の本著とあり [続きを読む]
  • 328 しんくわ 「しんくわ」
  • 超新鋭歌人、しんくわの初の歌集。短歌というより、加藤治郎の解説にある「短詩型文学」といった方がいいかもしれない。57577の枠組みを意識しているものの、そりゃぁ自由に飛び回っているから。新聞に新進気鋭の歌人として紹介され、引用されていた歌にぶんなぐられた。(以降彼の短歌を『 』で示します、ホントに『 』は短歌なの? という質問はナシでね・・) 『花見山という名前のせいで登っちゃう僕らを待ち受ける藪、荊 [続きを読む]
  • 326 飛浩隆 「象られた力 kaleidscape」
  • 1980‐90年代の中編集。相変わらず五感に訴えてくる、というか我々が普段気が付かず使っていない五感の部分に、ぞわぞわと触手を伸ばしてくる感じだ。前述270「自生の夢」でエキサイティングな時間を過ごせた。私は初めて読んだ本が良かった場合、時々ブログに書評をあげた「後」に、同じ本の書評を漁る事がある。そこにはその作家を私よりも何年も前から気に入っていた人が、その本の解説感想とともに作家の「これは」というお気 [続きを読む]
  • 325 大沢在昌 「覆面作家」
  • これは紛れもなく、大沢在昌(初?)のショートショートだ。大沢在昌を手に取るのは随分久しぶり、「新宿鮫」シリーズが出ないとお目にかからなくなっていた。新聞書評で「作家を、ひょっとすると本人をモデルにしたお話」とあって、おぉそれならと取りかかってみた。主人公はそこそこに売れているミステリー作家。遊んでいて大学を中退して、何とか新人賞を取って作家になったのだが、なかなか作家を続けるのも大変。今でもクラブ [続きを読む]
  • 324 佐々木譲 「英龍伝」
  • 幕末ペリーの来訪の際に、幕府の前面に立った江川太郎左衛門英龍の話。伊豆の韮山代官の次男坊英龍の、まっしぐらな一生だ。でも私にはちょっと一直線すぎたのか、さっぱり読み終わった感じだ。前述174「武陽伝」が強烈で、その続編と詠われた本著を迷いなく手にしてみた。佐々木譲の幕末三部作の最後と言われているそうで、第一弾「くろふね」は未読で楽しみだ。韮山に生まれたが、長男が跡を継ぐ事がきまっていて、江戸に修行に [続きを読む]
  • 323 中原一歩 「私が死んでもレシピは残る 小林カツ代伝」
  • 料理研究家小林カツ代を、二十年の付き合いの中原一歩が表した評伝。小林カツ代が、料理研究家という道を切り開いていく様子が生き生きと描かれている。また料理をする人、料理が好きな人には、ハウトゥーは殆ど無いにも関わらず、いつもの料理の時の考え方の引出しが増えるはずで、興味深い読書になるだろう。前述318「虎の牙」をツィッターで自ら見つけてくれた、作者の武田佑さんをフォローし始めたら、料理研究家の評伝を読み [続きを読む]
  • 322 エルモア・レナード  「オンブレ」
  • 原題は「HOMBRE」と「THREE-TEN TO YUMA」前者が長編、後者が短編の2作を、村上春樹が訳したと目に付いて読んでみた。「オンブレ」は、ハードボイルド色が強すぎる感じで最後までお話に入ったり、引いて傍観者として眺めたり、という2つしかない私の楽しみ方のどちらも不調だった・・「三時十分発ユマ行き」は見事な短編で、お話の田舎町のメインストリート、そのも端っこの扉のそのまた影から、チラチラと恐がりながら眺める楽し [続きを読む]
  • 321 アーシュラ・K. ル=グウィン  「影との戦い―ゲド戦記1」
  • 原題は「A WIZARD OF EARTHSEA」。EARTHSEAの世界での、魔法使いゲドの成長と冒険。2018年1月の訃報に接して、ネット記事を探していた中でル=グウィンの印象的なスピーチを見つける事ができ、追悼再読となった。2014年全米図書賞の受賞スピーチ。いやぁそのとおりだなぁ、と少し震えた。====Hard times are coming, when we’ll be wanting the voices of writers who can see alternatives to how we live now, can see thro [続きを読む]
  • 320 コルソン・ホワイトヘッド 「地下鉄道」
  • 原題は「UNDERGROUND RAILROAD」。奴隷の娘コーラの逃亡譚。実話を基調としているが、随所に作者の「もし」が加えられていて、ダイナミックで示唆に富んだ物語だ。地下鉄道(ちかてつどう、英: Underground Railroad)は、19世紀アメリカの黒人奴隷たちが、奴隷制が認められていた南部諸州から、奴隷制の廃止されていた北部諸州、ときにはカナダまで亡命することを手助けした奴隷制廃止論者や北部諸州の市民たちの組織。また、その [続きを読む]
  • 319 古谷田奈月 「望むのは」
  • 主人公小春の、15歳から16歳までの1年間のお話。一言でこの話のコピーを書くのは難しいが、「大人の前の最後の1年の」「異性がはっきりと対象になってしまう1年の」お話、とでもしてみようか。叔父さんのところに居たんだけど、4月から一緒の高校に通うのよ、と隣で仲良しの秋子奥さんに息子の歩を紹介される。秋子さんに子供が居たなんて、それも人間の子供だなんて・・・と小春は信じられない。なぜなら、秋子さんはゴリラだから [続きを読む]
  • 318 武川佑 「虎の牙」
  • 武田信直(後の信虎)と、彼に仕えた二人の男の活劇。 前述185 長浦京「リボルバー・リリー」以来の興奮だったかな♪神仏とかろうじてやりとりができている世界と、信虎が突っ走ったあの時代、そして三人三様の生きざまを鮮やかに根付かせている。武川佑は処女作だそうだが、この人の次も読まないと♪下総の本佐倉城で、原清胤が切腹を免れ追放の命を受けている。かつての合戦で父と一騎打ちをして勝つも「あたら命を散らし召さ [続きを読む]
  • 317 今野敏 「武士マチムラ」
  • 沖縄の唐手家松茂良興作(まちむらこうさく)のお話。空手に覚えがある人は、沖縄唐手独特の修行方法など楽しめるだろう。今野敏は空手師範でもあり、その「沖縄唐手シリーズ」第4弾だそうだ。第2弾「武士猿」を読んでなかなか面白かったこと、また読書友達に空手師範が居て本著に手が伸びた。「手」(沖縄では空手の事を唐手なり手と呼んでいた)の練習を那覇まで見に行くことを楽しみにしている興作に、父親が声を掛けて一緒に那 [続きを読む]