Holeout角 さん プロフィール

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Holeout角さん: 人生は短く、読むべき本は多い
ハンドル名Holeout角 さん
ブログタイトル人生は短く、読むべき本は多い
ブログURLhttp://holeout88.blog.fc2.com/
サイト紹介文小説中心の「語りかける書評」
自由文小説のジャンルを制限していません♪
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供65回 / 365日(平均1.2回/週) - 参加 2014/12/25 22:50

Holeout角 さんのブログ記事

  • 360 下川裕治 「旅がグンと楽になる7つの極意」
  • 下川裕治がこんな題名で新刊を出したと知って、一も二もなく飛びついてみた。「12万円で世界を歩く(1990)」を2-3年後に手にして「あと5年早く書いて欲しかった(さすれば学生の俺はもっと・・・)」と地団駄を踏んだ人だし、デジタル朝日新聞の「クリップ・ディープ旅」も毎回楽しみに読んでいる(阿部カメラマンの写真もいいっ!)。さてさて一体どんな極意を漏らしてくれるのだろう。と構えた私を「まえがき」が、いい具合に脱 [続きを読む]
  • 359 エドワード・ブルワー=リットン 「来るべき種族」
  • 1871年(明治4年)に書かれたSFの古典。地底にあるユートピアを覗いてくる話。ユートピアかどうか、は読者の考えに委ねられるかもしれない。「ポンペイ最後の日」の著者であり、「ペンは剣よりも強し」と言ったのが、この初代リットンである(探検隊は三代目の所業)。親が裕福な「私」は、海外放浪中に知り合いになった技師の招待を受けて鉱山の奥底を訪れる。新しい裂け目に降りた技師の様子がおかしいので問いかけてみると、「 [続きを読む]
  • 357 山川健一 「ライダーズ・ハイ」
  • バイクを頻繁に登場させている短編集。ただ「バイクが登場人物」とまでは言えない。歳を取っても面白いかなと読み返してみたけれど、ちょっと「無茶が過ぎる」印象が強く残って、余り楽しむ事はできなかった。歳かなぁ(^-^;前述343 片岡義男「彼のオートバイ・彼女の島」を楽しめたので、「次はコレ」と取り上げてみた。各々の編と登場バイクを書き出してみよう。同じ登場人物が違う編に出て来たり、二人の視点を逆にした編もある [続きを読む]
  • 357 立川談志 「江戸の風」
  • 2011年11月21日に永眠した立川談志の、その年の1-2月の仕事を活字化したもの。最後のその一つ前の高座、インタビュー2つ、そして入院先でも楽しみに書いていた「日めくりのつもり」百選から成る。あとがきは本著を企画した長男の松岡慎太郎。最後の高座は同年3月6日「立川談志一門会」での「蜘蛛駕籠」。談志はその月のうちに手術して声を失った。一つ前、1月18日紀伊国屋ホール「立川談志の会」が記録として残っていて、本著に落 [続きを読む]
  • 356 士郎正宗 「攻殻機動隊」
  • 27年前に書かれたとは到底思えない、刺激的なSFアクションコミック。Netflixで引っ掛かってきて、あっという間にアニメも映画も全部見てしまった。詳しいだろうなと踏んだ同級生に「面白かったよ」と話したら、原作の第一巻を貸してくれた。「ゴーストが囁くのよ」という名セリフを添えてね♪舞台設定は2029年の日本の人工都市新浜、パラレルワールド。首都は福岡で、東京は先の大戦で核に汚染されて使えなくなっている。アニメで [続きを読む]
  • 355 佐藤正午 「月の満ち欠け」
  • 「生まれ変わり」をツールにした、ファンタジーミステリー。ミステリーとしての出来は凄く良いとは思うんだけれど・・・第157回直木賞だから随分と待たされた。もう3つ前の受賞だ。小山内堅がはやぶさで上京して、東京駅ステーションホテルの喫茶店に入る。17歳で亡くなった娘瑠璃の友人、女優の緑坂ゆいと小学生の娘るりが小山内を待っている。「どらやき、嫌いじゃないもんね。あたし、見たことあるし」初対面のるりが小山内に語 [続きを読む]
  • 354 倉田タカシ 「うなぎばか」
  • うなぎが絶滅した世界、を舞台にした短編集。「うなぎ」という食べ物に対する、一種独特の執着というか願望は、色々な形で表せると分かった。「うなぎばか」 帰省した正路が、鰻店を畳み菜食レストランで修業している父の企みに巻き込まれるドタバタ劇。 駅に着いた途端、同級生のマキから皆の近況をやつぎ早に聞かされ、 親父からは「あのな、やっぱりたれはおまえに渡すことにした」との電話が入る。 「うなぎ文化保存会」の [続きを読む]
  • 353 宮部みゆき 「この世の春」
  • 時代物ミステリーに多重人格を掛けるなんて、宮部みゆきにしかできない。でもそれだけじゃない、いいテーマを取り上げている。北見藩で作事方を務めた後に隠居し、今はその覚書を纏めている父各務数右衛門とともに、出戻りの多紀は静かに暮らしている。母の佐恵は随分前に病死しており、作事方は兄の総一郎が継いでいる。ある時女が子供を連れてきて、この子を逃がして欲しいと数右衛門へ訴える。子一之助の父は御用心頭の伊東成孝 [続きを読む]
  • 352 内田洋子 「モンテレッジォ 小さな村の旅する本屋の物語」
  • ヴェネチアを何度か訪れるうちに、内田洋子は路地の奥にある古書店が気になって寄り始める。長くミラノに住み、時事報道の仕事柄各地の取材旅行も多く、ヴェネチアでも抜け道を使うようになって初めて気が付いた書店だ。「うちの本はすべてヴェネチア関連か美術ものです」と中年の店主が穏やかに話しかけてくる。何年か経ち、内田はヴェネチアに居を移し、古書店に頻繁に出入りするようになる。平日は既知の店主が、週末はその父と [続きを読む]
  • 351 レイラ・スリマニ 「ヌヌ 完璧なベビーシッター」
  • 赤ん坊は死んだ。という一文で始まる。パリのヌヌ(ベビーシッターの愛称)を主人公にしたサスペンス。 赤ん坊と幼児が殺され、その場で自分の喉を切ったヌヌのルイーズが搬送されていく。新聞書評で再々見るし、ホラーの色も見えて、2016年ゴンクール賞(フランスで最も権威がある文学賞だそうだ)とあり、夏にはぴったりかなと読む事に決めた。お話はポールとミリアムの夫婦が初めてヌヌを探し雇い始めるところへ巻き戻り、この [続きを読む]
  • 349 木内昇 「火影に咲く」
  • 幕末の京都を舞台に、志士と女の儚い恋、夢を取り上げた短編集。木内昇は「人を書く」というよりも、「人を通じて時代を浮き上がらせる」作家だと思ってきたが、新選組や幕末の志士たちには、随分と心を奪われているようだ。木内昇を沢山読んできたが、何故から初期の新選組ものには食指が動いてこなかった。元より新選組に特段の興味を、私が覚えてこなかったからなのだが、本著は「志士たちの恋」との切り口だそうで、関心が上が [続きを読む]
  • 348 高橋源一郎 「ゆっくりおやすみ、樹の下で」
  • 小学校五年生のミレイちゃんの、夏休みのお話。高橋源一郎が「子どもたちこそ、最も手ごわい読者ですから、満を持して調べ書いた児童文学」と言ういうだけはある構成力だ。そして何といっても、テーマが良い。2017年の夏休みに小学生朝日新聞に連載された。お話は1日1話の連作形式で、視点はミレイちゃんではないが「夏休みの日記」を想いだす。冒頭から暫くはミレイちゃんのこと、ミレイちゃんが赤ちゃんの頃からはなさない熊のぬ [続きを読む]
  • 347 帚木蓬生(作) 小泉るみ子(絵) 「わらいじぞう」
  • 七歳のかなと、時折わらうお地蔵様のお話。帚木蓬生が絵本作家と組んで民話の絵本を出した、と聞き早速頼んでみた。驚いたのはアンテナが高い我が文京区立図書館が、出版して暫くしてもノーマークであった事。それもそのはず、Amazonでも表紙の画像すらない。「女子パウロ会」というカトリック系の会が出版しており、広告を行っていないのだろう。2年位前から小説家が「童話」「児童書」に乗り出してくる事に、とても興味が湧いて [続きを読む]
  • 346 いがらしみきお 「ぼのぼの 43」
  • 42巻で初めて出てきた「ぼのぼののお母さん」の形見にまつわるお話、その他だ。比較的安定した冊なのだが、必ずどこかに「はっとして目から鱗が落ちる画」があるから、いがらしみきおは止められない。ぼのぼのがお父さんに呼ばれ言われる。「おかあさんの形見をなくしてしまったんだ(汗)」「その貝をお父さんに投げつけて」「そこで『バカヤロー!』って言って」冒頭からこの展開だ♪ (そこで、とリクエストするところがお父さん [続きを読む]
  • 345 瀬尾まいこ 「そして、バトンは渡された」
  • 優子がもの心ついたころから、結婚するまでのお話だ。題名の「バトン」が綺麗に渡されたかどうかは読者次第だが、走者たちが紛いなく懸命に走っていた事は、きっと全読者が頷くだろう。恐らく本著も、木曜夕刊で北上次郎の★4つからだろう。(数ヶ月前から★4つの採点が辛くなっている感触。よしよし、そうでなくちゃ)優子の生い立ちは、常人には真似ができない。 17歳の優子には、父が三人、母が二人居る。家族の形態は七回変わ [続きを読む]
  • 344 角幡唯介 「新・冒険論」
  • 現役冒険家の角幡唯介が、幾つかの参考書と自らの経験から「冒険はシステムの外側に飛び出すこと」と説いている。第1章では角幡が若い頃に感銘を受けた本多勝一を挙げて、冒険というものへの希求が高まっていったことを書いている。本多の冒険の定義はこうだ。①明らかに生命への危険を含んでいること②主体的に始められた行為であることまた本多は「パイオニアワーク論」として「いつの世にも非常識なもので、それが常識になった [続きを読む]
  • 337 片岡義男 「彼のオートバイ、彼女の島」
  • 若い頃に読んだ時には「恰好つけてるかな」位だったが、今読み返してみると、アメリカ文学を随分意識した文章を作っていたのだと分かった。2年半前に久々に少しだけお金に余裕ができた。バイク好きの馴染みコーヒー屋の社長に「(90?カブから)125?かな?、大型免許かな?」って相談したら、「そんなの大型免許に決まってますよ、角田さんあと5年もしたら、教習所でも大型取れないかも(笑)」って煽られて免許にした。で、免許を取 [続きを読む]
  • 342 山白朝子 「私の頭が正常であったなら」
  • 山白朝子(乙一)ならではの哀しい短編集。哀しいだけではなく「切なさ」が湧いてくるところが、山白朝子ならではだ。そこが忘れられず、たまに書評で彼の哀しい小説が出たと目にすると、どうも読みたくなる。もう一つ、乙一にたまに会いたくなるのは、そのトリックや着想の独創性。独創性はスティーブン・キング並みだ。何でこんなことを思いつくのだろう♪  ってね。切なさと、驚くべき着想。これら二つを兼ね備えた作家を、私 [続きを読む]
  • 341 古川日出男 「ベルカ、吠えないのか?」
  • 犬たちを主人公にした大河ドラマであり、彼らを通じて時代・世界をえぐり書いている。古川日出男ならではの着想、構成、展開だ。味がある。一方、犬に対して強く入り込めない人には、このパンチは余り効かないかもしれない。第二次大戦後期に、アリューシャン列島のキスカ島を日本軍が制圧する。カムチャッカ半島とアラスカ半島のちょうど真ん中あたりの小島。20世紀において唯一アメリカ合衆国の領土が他国に侵略されたのは、この [続きを読む]
  • 340 穂村弘 「はじめての短歌」
  • 読者の新聞投稿を題材にして、穂村弘が短歌の「世界観」を懇切に説明している。だいじなところは歌を変えて、違う角度から見せてくれるのでとても分かりやすい。また、短歌を「(生きた時代も詠んだ歳も性別も色々違う人が)共感する為の道具」であると表しているところはお見事だ。穂村弘が繰り返す、短歌に必要なポイントを3つに括ってみた。【①具体的に書かない】 仕事や学校で求められる5W1H的なものを揃え(過ぎ)ない。 我 [続きを読む]
  • 339 藤岡陽子 「手のひらの音符」
  • 45歳をむかえた水樹のお話。若い頃はがむしゃらに走ってきてけど、歳をとってきて「本当に大事なもの」が見えてきたりする。そのとても良い例が表されている。国内服飾メーカーのデザイナーの水樹は、会社から半年後に服飾部門を畳むことを知らされる。転職活動をしていくのだが、高校同級生の憲吾から卒業以来の連絡を貰う。担任の遠子先生が体調を崩しているので、会いに来て欲しいという。お見舞いに行き、憲吾と話していく中で [続きを読む]
  • 338 古川日出男 「ミライミライ」
  • 「むかしむかし」の出だしに倣った、「みらいみらい」のお話。だがここには今、2016年の刺激的な「日本」が描かれている。ひとつ具体的に例えるなら、打海文三「応化戦争シリーズ」「ハルビン・カフェ」や村上龍「五分後の世界」「ヒュウガ・ウィルス」に興奮した人には当たるだろうし、後で記している作家さんの「あの本」にハマった人にもいけそうだ。古川日出男はもう十年近く「読むべきリスト」に載ったままだった、「アラビア [続きを読む]
  • 337 吉本ばなな 「吹上奇譚 第一話 ミミとこだち」
  • 吉本ばななにしては、珍しいファンタジー。第一話だし、あとがきには「シリーズ」「次作はどんぶり」ともあり、続いていくようだ。吉本ばななが作った世界は、まだ本著だけでは全貌には至らないのだが、彼女特有の「死者との繋がり」といったものが色濃く出ていて独特のものだ。この世界でこの先どんな物語が続いていくのか、大変興味が残る読後になった。海と山に囲まれた孤島のような吹上の街で、早速お話はテンポを上げてくる。 [続きを読む]
  • 336 原りょう 「それまでの明日」
  • 探偵沢崎が14年振りに帰って来た。何も変わらない沢崎を確かめてみたり、ちょっと変わったかもしれないと見つけたり、原りょうの設定に思うところが出て来たり、読んでる自分の変わったところに気づいてみたりと、楽しい読書だった。原りょうの2作目、1989年の「私が殺した少女」は、我々冒険小説好きでは「黒船」扱いだった。チャンドラー張りのガチガチのハードボイルド探偵を、それも西新宿を舞台に定着させてしまったから。ま [続きを読む]