ひつじ さん プロフィール

  •  
ひつじさん: 羊と猫とわたし
ハンドル名ひつじ さん
ブログタイトル羊と猫とわたし
ブログURLhttp://hitujitone.exblog.jp/
サイト紹介文ドラマの感想を中心に書いています。 舞台の感想や、心に触れた言葉もメモしています。
自由文ドラマを柔らかい頭で観ていきたい思っている私は、けっこう真面目に偏って観てしまっているからかもしれません。
ブログに記すことで、ちょっと柔らかく…客観的な目で観られたらいいなと思っています。
羊年に羊年の私が始めることにした ブログ。
毎日どうやって充実して生きていこうか、迷える私は子羊かもしれません
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供33回 / 365日(平均0.6回/週) - 参加 2015/03/02 22:49

ひつじ さんのブログ記事

  • 新聞小説を読む 「国宝」 第十二章 6  吉田修一 
  • 281話【羊の要約】   歌舞伎と新派は違う。新派では形式よりも写実、型の美よりも心情の生生しさが求められる。だが歌舞伎への復帰が絶望的なまま、主演としての客演で新派の舞台に立つうち、に喜久雄に初舞台の恍惚感や舞台の香りが蘇ってきていた。 喜久雄は三十半ばとなっていて、どこか陰のある、生来の悪の香りも漂う男の色気が増し、スキャンダルでの悪役ぶりもむしろ魅力となり、新派の喜久雄への熱狂... [続きを読む]
  • 新聞小説を読む 「国宝」 第十二章 5  吉田修一 
  • 280話【羊の要約】  千五郎の逆鱗に触れたあと、自分を見失いながら、次の一手を考えていた喜久雄のもとへやってきた徳次が、まさかの卑怯な立身を考えている喜久雄を知り、情けなく、そんな気持ちなら役者なんかやめてしまえと、顔だろうが体だろうが容赦なく殴りつけた。その拳を心で受け止めた喜久雄は、彰子に全てを打ち明けた。「中途半端なことしないでよ! 騙すんだったら、最後の最後まで騙してよ!」と... [続きを読む]
  • 新聞小説を読む 「国宝」 第十二章 4  吉田修一 
  • 279話【羊の要約】   新派公演『本朝廿四孝』の製作発表が行われた。  フラッシュを浴びているのは、新派の大看板、曽根松子と、一年まえ正式に新派へ移籍した喜久雄だ。 「先日、歌舞伎座のほうの八重垣姫にもインタビューしたのですが、『演舞場の八重垣姫の胸を借りるつもりで、一生懸命勤めたいと思います』とのことでした。三代目のほうからも歌舞伎座の姫に何か一言ございませんか?」 という記... [続きを読む]
  • 新聞小説を読む 「国宝」第十二章 3  吉田修一  
  • 278話【羊の要約】源吉によると、俊介は歌舞伎座で『本朝廿四孝』、同じ演目を新派の三代目としての喜久雄が、目と鼻の先の新橋演舞場で演じることになったという。すべて三友の竹野の目論見らしいが、喜久雄が新派に転じるようになった経緯は後に語る。 この八重垣姫というのは、高貴な気品を醸しつつも、うちに秘めた恋心を表現しなければならず、その上後半には人形振りという型が取り入れられている。これは文... [続きを読む]
  • 新聞小説を読む 「国宝」第十二章 2  吉田修一 
  •  277話【羊の要約】 男は松野で、源吉が面倒くさそうに対応すると「なんか、御用ないですか?」と尋ねてくる。 松のは還暦ということだた、痩せこけ、その顔には深い皺が目立っている。 何も頼むことはない、とけんもほろろの春江だが、俊介は自分たちの弁当を差し出してやった。 大事そうに弁当を持って去る松野は、ふいに現れたあの夜以来、出入りするようになり、そのまま丹波屋に居ついてしまった。 ... [続きを読む]
  • 新聞小説を読む 「国宝」十二 反魂香の章 1  吉田修一 
  • 276話【羊の要約】 源吉におぶわれて楽屋に到着した一豊は小学一年生。早速化粧を始めるが俊介が政岡を演じる『伽羅先代萩』に、幼君鶴千代として立っている舞台もすでに中日となり、自分の入りや出の流れも頭に入っている。 そこへ俊介が駆けつけて、学校の様子を聞いていると、春江もやってきたので一豊は、自分が行かれない遠足のプリントを渡す。「あのー、旦那さーん、女将さーん」 楽屋の外から、遠慮がち... [続きを読む]
  • 新聞小説を読む 「国宝」第十一章 25 吉田修一 
  •  275話【羊の要約】 おまえは騙されているんだ、利用されているんだ、と渾身で彰子に訴える千五郎。「……なんでパパのこと信じてくれねえんだよ。おまえは達夫さんと一緒になるのが幸せなんだよ。間違いねえんだよ。役者の、それもこんな奴と一緒になって、おまえが幸せになれるわけねえんだよ。苦労ばっかりなんだよ。朝から晩まで、こいつは舞台のことしか頭にねえんだよ。おまえが病気したって、いくら苦しく... [続きを読む]
  • 新聞小説を読む 「国宝」第十一章 24 吉田修一 
  • 274話【羊の要約】  聞こえてくるのは、苛立ったクラクションの音。狭い道に路駐した喜久雄の車で、身動きとれなくなったトラックのクラクションだ。 その喜久雄は吾妻千五郎の足元で、土下座しながら罵倒され、蹴られている。「な、何言ってやがんだ、てめえは! チキショー、な、何が娘さんを下さいだ! ふ、ふざけんじゃねえ!」「てめえ、俺の娘に何しやがった!」「その目ぇ見りゃ分かるんだよ! て... [続きを読む]
  • 新聞小説を読む 「国宝」第十一章 23 吉田修一
  •   273話【羊の要約】 彰子からの電話を切った喜久雄は洗面所の鏡に映る自分の顔をまじまじと睨みつけた。「自分で決めたことだろ。やれよ!」 俊介の評判は衰えないどころか、万菊に引き立てられ、次々と大きな役で舞台に立っている。 一方の自分は相変わらずの端役。鶴若は、ワイドショーのネタの役者では観客がしらける、とさらに追い詰める。 役者の居場所は舞台だと、これまで以上に懸命に勤めているもの... [続きを読む]
  • 新聞小説を読む 「国宝」第十一章 22 吉田修一
  •    272話【羊の要約】  彰子からの電話を抱えて台所へ行き水を飲む喜久雄に、その姿が見えているかのように彰子が花にも水をあげてくれ、ジョーロは冷蔵庫の横にかけてあるから、とテキパキ指図する。鉢植えは彰子が揃えたのだ。 彰子は声を落として言う。「このまえの話なんだけど、やっぱり一日でも早いほうがいいと思う。今朝もちょっと達夫さんの話になって」「俺はもう覚悟決めてるよ。もし富士見屋... [続きを読む]
  • 新聞小説を読む 「国宝」 第十一章 21 吉田修一
  • 【羊の要約】  両親の会話から逃れるように彰子は家を出た。 「結婚するなら堅気の男」「役者なんかにゃやらねえ」と聞かされてきた彰子が久住達夫と見合いをしたのは一年ほど前。その温厚な性格に彰子が好感を持ち、東大で経済学を学んだというその経歴に、千五郎が心底惚れ込んだことで、トントン拍子に話が進んだ。 彰子に切実な結婚願望はなかったが、同級生たちからはちらほらと縁談話も聞こえ、久住家といえば憧れ... [続きを読む]
  • 新聞小説を読む 「国宝」第十一章 悪の華 20 (2017/10/4)
  • 270話【ひつじの要約】  バスに間に合わない、と母の桂子が階下から叫ぶ。吾妻千五郎の娘の彰子は髪を整え終えて階段を駆け下りる。牛乳を飲んでいけ、と桂子はおせっかいを焼き、逆さのグラスに注いでこぼしたりして一人大騒ぎしている。庭でにいた千五郎が、呆れて顔を出したついでに、彰子に聞く。「最近、達夫さんとは会ってんのかい?」 あいまいな返事の彰子を千五郎がとがめると、婚約したのだから、もう先... [続きを読む]
  • 新聞小説を読む 「国宝」 11章 悪の華  19 吉田修一
  • 269話【ひつじの要約】   若奥さん、松野さんいう方がお見えですけど……と取り次ぐお勢に、春江が動揺を隠したのが幸子に伝わった。 お勢は幸子に、なんや、しょぼくれたおじいちゃん、だと説明する。 これまで幸子が生きて来た世界では接点のなかったタイプの老人に、「二人が家出しとった間に知り合った人」と直感が働き、裏口を出て春江の様子を伺った。「…急に来られても迷惑やわ」押し殺したような... [続きを読む]
  • 新聞小説を読む「国宝」九章〜
  • 伽羅枕(きゃらまくら) 1 201話  (2017/7/26) 窓の向こうには夏日を浴びた隅田川が広がっているが、風はなく、真下を走る首都高向島線の騒音だけが伝わってくる。 髪のあいだからひっきりなしに垂れる汗を手ぬぐいで拭いながら、「あっこに見える橋渡ったところが蔵前国技館ですわ」 指差しているのは喜久雄で、横では荒風の年老いた両親が、「本当だごど。わんつか屋根見えるなあ」 と爪先立... [続きを読む]
  • 新聞小説を読む「国宝」朝日新聞 1章〜8章
  • 2017年1月から始まった連載新聞小説(朝日新聞)の要約をしています。1章〜8章 要約第一章 料亭花丸の場 1 (2017/1/1) その年の正月、長崎は珍しく大雪、ボタ雪。丸山町の老舗料亭「花丸」に、次々と黒塗りの車。車寄せから正門へ延びる石畳の通路には、立花組の若衆が居並び、黒紋付の正装で車から降りる親分衆を「ご苦労さまです」と白い息も揃わせて恭しく迎える。車が途切れても若... [続きを読む]
  • 新聞小説を読む「国宝」吉田修一 11章 悪の華
  • 第十一章 悪の華 1  251話 (2017/9/15)  *小説は編集しています。  大阪の故花井白虎の屋敷内に低く響いているのは、幸子が心酔する西方信教の、人は土に還ってどうたらこうたら、先祖の罪や汚れを土で洗うてうんたらかんたら、のお題目。この日の昼すぎ、まるで我が家のようにずかずかと上がり込んできた幸田たち信者が数人、幸子を伴って奥の稽古場に引きこもっているのだ。 台所で柿を... [続きを読む]
  • 新聞小説を読む「国宝」吉田修一 第十章 朝日新聞
  • 第十章 怪猫 1 226話 (2017/8/20)*注 以下の文章は、ブログ主によって編集されています。作者はこだわった文体と表現をしていますが、そこを省いて要約しています。 雑然とした店内には、酔客たちと水なす、たこやき、するめの天ぷらと、壁にずらりと貼られたメニュー。 狭い店内に笑い声やら注文やら怒鳴り声がわんわんと響くなか、その誰よりも大きな声で、「おじさん! このオンボロ扇風機... [続きを読む]
  • 新聞小説を読む 朝日新聞 「国宝」5章スタア誕生 101~125
  • 第五章 スタア 誕生 1 101 (2017/4/14)*朝日新聞より画像お借りしています 花井半二郎を大看板として西回りの巡業の真っ最中だ。二日酔いの醜態を晒して楽屋に来た俊介に、あきれているのは「二人道成寺」の白拍子花子になりかけの喜久雄で、羽二重に白塗り、眉の下に薄く紅が入り、金ぱく入りの黒地に枝垂桜の大振袖を着ている。俊介を甘やかす源吉だが喜久雄は、まだ酔っている俊介の頭... [続きを読む]
  • 新聞小説を読む 朝日新聞「国宝」4章大阪二段目 (76~100)
  • 第四章 大阪二段目 1 76 (2017/3/19)*デジタル朝日さんより画像お借りしています  万博の5年前の1965年(昭和四十年)の大阪は、都会とも地方とも呼べるような、なんとも生々しい場所だった。 なかでも大阪駅前はその最たる場所で、日夜、地方から都会を夢見る若者たちが続々と到着していた。 少女が騒然とした駅前の風景に面食らっている。あまりにも目を引くものが多く、どこを... [続きを読む]
  • 新聞小説を読む「国宝」朝日新聞 3章 大阪初段(51~)
  • 第三章 大阪初段 1 (2017/2/22)  どしゃ降りのなか、タクシーから大慌てで長崎駅に降り立った喜久雄とマツは、トランクから大きな旅行鞄を引っ張り出すと、そのまま改札へ向かって駆けた。「大阪の半二郎さんのお宅に着いたら、ちゃんと挨拶するとよ!」 二人のタクシーのあとに着いた車からは、立花組の組員たちが四人、喜久雄を見送ろうと追いかけてくる。 喜久雄が改札を抜け、続けて見送りに抜けよ... [続きを読む]