後藤ゆり さん プロフィール

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後藤ゆりさん: BLやさい室
ハンドル名後藤ゆり さん
ブログタイトルBLやさい室
ブログURLhttp://gotoyuri.blog.fc2.com/
サイト紹介文ハピエン完結編多数。(連載中) 廃部寸前の甲子園常連校の応援団。夢、恋、BLな青春群像劇!
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供230回 / 365日(平均4.4回/週) - 参加 2015/03/11 16:01

後藤ゆり さんのブログ記事

  • 羽のために空はある (20) BL②
  • 塁の目覚まし時計は、毎朝六時にセットしてある。四月中は自力で起きていた塁だったが、ゴールデンウィークを挟んで腑抜けたのか、五月に入ってからは、三日に一度は、 母の「起ぉきぃろぉぉぉ。」 という地獄からの使者の如き低い声で起こされている。 母も、どうせなら時間に余裕をもって起こしてくれればいいものを、家を出るリミットの十五分前に 「起ぉきぃろぉぉぉ。」 と言うものだから、塁は家中をバタバタと走り回る羽目 [続きを読む]
  • 羽のために空はある (19) BL①
  • 昼休みには、机を二つくっつけて、塁、浩太、勇気で弁当を広げるのが常だった。 春季大会準決勝翌日の月曜も、三人はそうやって昼食をとっていた。いつもは、塁と浩太が他愛もない会話で笑い合い、勇気は彼らの笑い声を無視してマンガ本を読みながら黙々と弁当を食すのだが・・・。「・・・今日の塁と浩太、何か、変だよ。」勇気が、マンガ本のページをめくる手を止めて言った。 小首をちょこんっと傾げている。 アイドル顔の勇 [続きを読む]
  • 羽のために空はある (18) 叫ぶ⑤
  • 桜ヶ丘応援団の人々が、整然と、肩を落としながら階段を下り球場を去って行く。 チアたちは、ベンチの下に転がったペットボトルやゴミを拾ったり、落し物がないか見回っている。 吹奏楽部員は、無言で楽器を片付けていた。何か、切ない・・・。 浩太は、負け試合の後の応援席の虚無感に引き摺られ座り込みそうになるのを堪え、立っていた。 塁が、立っていたから。 塁の頬にはもう涙はないが、茫然とグラウンドを見据えている [続きを読む]
  • 羽のために空はある (17) 叫ぶ④
  • 八回裏も、桜ヶ丘の投手は熊谷だった。熊谷がその右腕から鋭い速球を放つ度、塁は息を止め、心の中で 「打つなっ。」 とバッターに呪いをかけた。 キャッチャーミットにボールがズバッと収まると、ふぅっと安堵の息を吐いた。塁の中で、熊谷に、ビデオで繰り返し繰り返し何度も見た三十年前の甲子園での父の姿が重なる。 桜ヶ丘のユニフォームは三十年前と変わっていない。 白無地に、胸に学園カラーの臙脂で 「桜ヶ丘学園」 の [続きを読む]
  • 羽のために空はある (16) 叫ぶ③
  • 吹奏楽部の軽快な 『フライングゲット』 から、八回表の桜ヶ丘の攻撃ははじまった。バッターボックスに立ったのは一番バッターの関。 一点を追う場面で、まるで、ここからが試合開始であるかのような打順だ。塁は思い出していた。 自分が野球を意識してからの十年の間で、テレビで、間近で、今までに見てきた逆転試合の数々を。一点など、すぐにドローに出来る点差だ。 一点どころか、勢いづけば二点三点とすぐに重ねることが出 [続きを読む]
  • 羽のために空はある (15) 叫ぶ②
  • 一回表、桜ヶ丘の攻撃。吹奏楽部が高らかに応援開始の旋律を吹き鳴らす。 三三七拍子だ。 野球部員、クラスメイト、保護者などから成る桜ヶ丘応援団の手拍子を煽るように、応援部の四人が腕を振り上げる。”三三” に合わせ、拳を左、右、左・・・と前へ突き出し、”七” で右膝を曲げ蹴り上げると同時に右腕を背面から前方に回して左を向き、最後の二拍で左右の拳を交互に突く。 左向きのまま再び ”三三” で拳を突き、 ”七 [続きを読む]
  • 羽のために空はある (14) 叫ぶ①
  • 神宮第二球場三塁側スタンドに陣取った桜ヶ丘学園高校応援団。観覧席の最前列、三脚に、桜ヶ丘学園高校の臙脂色の学園旗が据えられた。 風はほぼなく、学園旗に銀糸で刺繍された荊の冠と十字架を模した校章は形を成さず垂れ下がっていたが、それでも、威風堂々と、桜ヶ丘学園高校応援団の象徴としてそこにある。試合開始、十五分前。ベンチに入れなかったニ、三年生と新一年生は、既に気合十分、選手たちに声援を送っている。 吹 [続きを読む]
  • 羽のために空はある (13) 春の虫⑤
  • 圭悟が三階ではなく二階のトイレを選んだのは、万が一、自慰の最中に同じ目的でやって来た和宏と鉢合わせてはまずいという理性が残っていたからだ。圭悟は、凪彦の痴態を思いながら激しくペニスを扱き、便器の中の水溜まりに向けて精を発した。射精した後、ペニスを仕舞い便器に座り、ジャケットの内ポケットから煙草とライターを取り出し火を点けた。 深く吸い込んでから吐き出した煙が、見上げた天井に霞のように広がった。「俺 [続きを読む]
  • 羽のために空はある (12) 春の虫④ R18
  • 八時半、圭悟は「学園前」で路線バスを降りた。圭悟は野球部の応援に行く気などさらさらなかった。 それでも、わざわざ日曜の朝早くに学園に来たのは、屋上の部室での凪彦と和宏の情事を期待してのことだ。「”のぞき” 目的とか、終わってるよな。」しかも、のぞきの対象は、”男にフェラチオされて喘ぐ男” だ。一週間前、偶然に盗み見てしまった凪彦と和宏の行為。 彼等にとってあれが常習的な行為なのか初めてのことだったの [続きを読む]
  • 羽のために空はある (11) 春の虫③
  • 四月の第四日曜日、春季東京都高等学校野球大会 兼 関東地区高等学校野球大会出場校決定戦の準決勝は、明治神宮外苑の第二球場で行われる。 桜ヶ丘学園高校のプレーボールは午後一時、第二試合。 ベンチに入れなかった野球部員、吹奏楽部とチアリーディング部の精鋭、そして凪彦率いる応援部、総勢七十名強から成る応援団は、大型バス二台に乗り合い十時に学園を出発する予定だ。応援部は、九時半に屋上集合。塁は、前夜に七時に [続きを読む]
  • 羽のために空はある (10) 春の虫②
  • 青空の下、白Tに制服のズボンという中途半端な格好の男四人がダンス部さながらに激しく四肢を動かす。塁には凪彦、浩太には和宏、マンツーマンでの指導だ。一時間ほど練習しての小休止。 塁と浩太は息を切らしその場にしゃがみこんだが、先輩の二人は息ひとつ乱れていない。「精度は別として、塁も浩太も、第一と第三、三三七拍子と学園歌はいけそうだな。」和宏は満足そうだ。「うん、明後日はこの四つの演舞だけで構成しよう。 [続きを読む]
  • 羽のために空はある (09) 春の虫①
  • 部紹介の後、金曜までの一週間は一年生の体験入部期間だ。 気になった部を覗き、活動に触れることが出来る。 どの部に所属しようか迷っている生徒は、日替わりで部を渡り歩く。が、塁と浩太と勇気には迷いはなく、それぞれ一つの部に通い詰めて金曜に至っていた。勇気は趣味を貫き、漫画研究会に入った。 授業の合間の休憩時間、勇気は、「応援部に入った友達がいるって言ったら漫研の先輩が貸してくれたの!」 と、嬉々として [続きを読む]
  • 羽のために空はある (08) はじまりの日⑦
  • 浩太が桜ヶ丘学園高校を受験したのは、学ランを着たかったからだ。浩太は、学ランが中等部の制服であって高校はブレザーであることを、合格通知を受け取り入学案内の冊子が届くまで、知らなかった。浩太の家は、桜ヶ丘学園のあるJR渕上駅から二つ先で新宿行きの私鉄に乗り換え急行で四つ目、世田谷区内の学園都市にある。中学生の浩太は、同じ都内とはいえ、桜ヶ丘学園の名すら知らなかった。高校受験を前に、渕上に住む祖母が入 [続きを読む]
  • 羽のために空はある (07) はじまりの日⑥
  • 入学式から十日目、 新入生の 乾 浩太 は、桜ヶ丘学園での高校生活をそれなりに楽しんでいた。友人が出来た。 絵に描いたような ”青春” を夢見ている元野球少年・現応援部志望の 海老原 塁 と、マンガ大好きオタクメガネの 福井 勇気 だ。 共通項はないが、一緒にいて飽きない奴らだ。女子にもモテた。 ”モテる” ということは、浩太の自尊心を満たしてくれた。けれど浩太は、ただ一つ、どうしても我慢できないもののせい [続きを読む]
  • 羽のために空はある (06) はじまりの日⑤
  • 東棟の屋上にある応援部の部室は、陸の孤島だ。 屋上の入口の鍵は、警備室に一本、名ばかりの顧問教師が一本保有している他は、応援部員しか持っていない。 ドアに鍵を掛けてしまえば、そこで何をしても、誰にも見つからない。 「全く、便利な鍵だよな。」昼休み、屋上に出た 楢崎 圭悟 は、コンクリートの上に寝転んで空を見上げた。 空は、薄い膜のような雲に覆われ白く霞んでいた。「後二年・・・か。」二年生になったばか [続きを読む]
  • 羽のために空はある (05) はじまりの日④ R18
  • 月曜日、午後から第一体育館で部紹介が行われる日。塁は、母の手弁当の半分を残してしまう程、緊張していた。黒岩 凪彦 は、母の手弁当の卵焼きをひと口食んだだけで箸を置くくらい、緊張していた。大きく息を吐き、心の中で母に 「ごめん。」 と謝って、弁当箱の蓋を閉めた。「ナギ・・・大丈夫か?」応援部の部室内、壁際のベンチに凪彦と並んで昼食をとっていたクラスメイトの 三島 和宏 は、凪彦の肩に手を置き、優しく声を [続きを読む]
  • 羽のために空はある (04) はじまりの日③
  • 嘘だ・・・。応援部がもうない、なんて。 牧田の嘘に決まっている。しかし、牧田が、嘘をついてまで自分を野球部に引き入れたい理由がない。 野球部には、全国から集まった、甲子園を目指すに相応しい球児たちがひしめいているのだから。応援部の現状を知りたかったが、塁には、情報源となってくれる先輩がいない。 悶々と数日を過ごした。入学式から一週間経ち、内部生と受験組が入り混じって新たなグループが出来上がっていた [続きを読む]
  • 羽のために空はある (03) はじまりの日②
  • 入学式の後、チャペルから高校の校舎に移動。 生徒は各教室でホームルーム、付き添いの親たちはPTAの説明会のため第二体育館に集まった。 塁のF組の教室は、昇降口を入って左に曲がった西棟の、一階の突き当たりだった。黒板に席次表が貼られていた。 男女が左右に分けられ、男子が廊下側、女子が窓側。 アルファベット順らしく、海老原の ”E” より前の生徒はなく、塁は、廊下に面した列の一番前に座った。 担任教師は [続きを読む]
  • 羽のために空はある (02) はじまりの日①
  • 真新しいブレザーは肩が凝る。 おろしたての革靴は足に馴染まず擦れる。しかし、肩の張りもくるぶしの違和感も、これからの高校生活の期待に満ち満ちている十五歳の 海老原 塁 にとっては、はじまりの象徴の清々しい痛みであった。四月七日、桜ヶ丘学園高校入学式。雲ひとつない水色の空を見上げ、塁の胸は昂っていた。横浜市西区の自宅から東京都の南西の端にある桜ヶ丘学園までは、電車を乗り継ぎ約一時間。 横浜までの京急の [続きを読む]
  • 羽のために空はある (01) プロローグ
  • 「俺たち三年生の夢は、西東京予選三回戦で潰えた。 だが、あいつらにはまだ来夏がある!」黒岩 秀彦 は、必死だった。泣き落としでも脅しでも何でもいい、土下座してもいい。 あいつらのために、目の前に座っているこの男の首を縦に振らせなければならない。「生徒会長、頼む! うちの応援部を廃部にしないでくれ!」秀彦は会長席の机に勢いよく両掌を突き、大仰に頭を下げた。 ゴツっと額が机にぶつかった。「だ、大丈夫で [続きを読む]
  • 独壇場Baby (その後) そうちゃんとあぁちゃん③
  • 俺と彬が寝泊まりしてるのは2階の和室で、じいちゃん達の寝室の真上だ。下に響くからダメって彬に言われて、ここに来てからずっとお預け喰らってた俺のソコは、1週間の我慢と、初恋のあぁちゃんが彬だった感動で、ギンギンだった。押し入れから布団を出し、性急に整える。 エアコンをONにして、スーツケースからローションとゴムを取り出し枕元に置いた。「・・・持って来てたんだ?」当たり前だろ。「多田・・・や、やっぱ止 [続きを読む]
  • 独壇場Baby (その後) そうちゃんとあぁちゃん②
  • ≪ 多田 颯介 ≫品川での会社説明会は、2時間弱のあっさりとしたものだった。炎天下、ハンカチで汗を拭きながら駅へ急ぎ、改札の手前でちょっと悩んで、新幹線の切符を買った。 品川から湯河原までは東海道本線で1本、約1時間40分の道程だけど、小田原まで新幹線使えば1時間以内で帰れる。 料金は倍、仕方ない、早く彬に会いてぇんだもん。ちょうど昼時だったから、駅弁買って ”こだま” に乗り込んだ。湯河原はやたら [続きを読む]
  • 独壇場Baby (その後) そうちゃんとあぁちゃん①
  • ≪ 七浦 彬 ≫夏休みに入り、俺は、都内から電車で2時間程度の湯河原温泉に来ていた。旅行ではない、仕事だ。約1ヶ月、こじんまりとした老舗旅館での住み込みのアルバイト。 仕事内容は、皿洗いや掃除、草むしりなど。1ヶ月の住み込みとなれば就活に支障が出るのではと危惧したが、予定がある日は好きに休んでいいとのことで、問題ない。 日給3,000円と薄給だが、眼前が相模湾でリゾート気分を味わえるし、温泉付きだ [続きを読む]
  • 独壇場Baby (おまけ②) 諒太のお仕置き②
  • ライブではしゃぎ過ぎたのか、体がフラフラしてた。そう言えば、昨夜はろくに眠ってなかったし、時差ボケだし、最後のご飯は機内の朝食のクロワッサンとポーチドエッグだけだったし。雅先輩がやたらニヤけてるから、 「何ですか?」 って訊いたら、「今夜の諒太は乱れてくれる予感がする。」だって! こんなに体力減退してるのに、Hなんてするわけないじゃんっ!!・・・・・・って、実は俺も、したいけど。1年間離れてた恋人が [続きを読む]
  • 独壇場Baby (おまけ②) 諒太のお仕置き①
  • ≪ 向坂 諒太 ≫雅先輩の、バカっ。バカバカバカバカっ!。バカに100を掛けても1000を掛けても足りない。ヒースロー空港発羽田行きの機内。 ふわふわと真っ白い雲が穏やかに広がる空の上、俺の胸の中だけ、真っ黒な嫉妬の雲で覆われていた。一週間くらい前、チェリー寮で隣室だった瀬谷からメールが届いた。『雅先輩、国際の七浦といい仲だって噂。 向坂、帰国したら、戦う覚悟した方がいいかも。』何が 『戦う覚悟』 [続きを読む]