星鼠 さん プロフィール

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星鼠さん: 星砂糖
ハンドル名星鼠 さん
ブログタイトル星砂糖
ブログURLhttp://sirukyway.blog.fc2.com/
サイト紹介文BL小説ブログです。長編。新連載はショタ・近親相姦など18禁入りますが、ストーリー重視です。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供99回 / 365日(平均1.9回/週) - 参加 2015/05/18 11:11

星鼠 さんのブログ記事

  • 箱庭の少年たち 11
  • 廊下がざわつく。夕食の時刻だった。モトジがそう口に出して言った。誰も促さなかったが、ツバサは立ち上がった。ずっと蹲っていたのだろう、一歩よろめく。しかしその後はしっかりした足取りで廊下を行き、食堂に入った。テーブルに着き、周囲と会話を始めるのを見て、「よかったね」と広海は吉峰に囁いた。「吉峰の説得のおかげだ」吉峰は苦い顔をして「そんな簡単にはいかない」と言った。「俺の説教の内容が奴を動かしたんじゃ [続きを読む]
  • 箱庭 10
  • 小学校の始業式の日。ツバサは学校を休んだ。モトジのバスタオルを頭から被って、ドアに背を向け座っている。それぞれに声を掛けたが、応えない。職員が諭しても無駄だった。「今日は まあ 授業もないし」夕方になってもツバサの位置は変わらなかった。同級生の女児がプリントを持って来る。新しいクラスと担任を告げ、同じ組の子どもを思いつくだけ並べた。バスタオルは動かない。女児は「じゃあね」と出て行った。大層しっかり [続きを読む]
  • 箱庭 9
  • 「気持ちよくしてくれるなら いいよ」両脚をしっかりと閉じ、だが媚びるような上目で、言った。「気持ちよくしてくれるなら 触らせてあげる」「気持ちいいの意味 分かってんのか」「まず大きくなるんでしょ それから白いのが出るんでしょ」「出るまでいくかは 知らないぞ」「気持ちよくなるように するね?」「努力する」「努力って頑張るってこと?」「まあ そうだ。それで いいか。なら 脚 開けよ」少年の目の前で、彼 [続きを読む]
  • 箱庭 8
  • 皿と湯呑を厨房に返しに行く。「食べたね」 広海が言った。泣きながら皿の上の握り飯をほぼ全部、一個だけはモトジが食べたけれど後は全部、ツバサが食べた。「モトジも喜んでいたけど 吉峰のおにぎりは旨いの?」「特別旨いわけじゃない」だがツバサはともかくモトジは夕食直後である。だが飛びついて頬張った。変哲ない握り飯に、なぜはしゃぐのか。「握り飯って一個ずつ 手で作らなきゃ だろ。簡単だけど 手が掛かる。ここ [続きを読む]
  • 箱庭 7
  • 前の小学校から送付されてきたという卒業証書を、施設の講堂で受け取った。おめでとうと吉峰は言ってくれたが、どうせなら同級生と祝いたかった。誰とも連絡はとれないままだ。家族がどうしているかも、分からない。春休みに入り、ツバサが外泊する日が来た。前日から服を選び当日も鏡の前で何度も確認し、モトジに対しては気が引けるのか、あまり喋らなかったが、吉峰には母親の得意料理や生意気な妹の事など思いつくまま話してい [続きを読む]
  • 箱庭 6
  • その日の入浴は遅くなった。一時保護所のように細かく仕切られていないので、問題はない。広海はさして慌てもしなかったが、吉峰はやたら時計を気にしていた。身体を洗っていると、見慣れない少年が入って来た。部屋もテーブルも違うと、なかなか顔も覚えられない。奥の洗い場を占領していた高校生の一人が、年下のその少年に場所を譲った。そういう事もあるんだなと、広海は感心する。高校生は怖かったが、意外と優しいのだと。だ [続きを読む]
  • 箱庭 5
  • 「しー 静かに」男は言って、布団の端を捲った。するりと身を滑り込ませ、少年の背にぴたりを腹を押しつける。「寂しいだろう。お父さんが慰めてあげる。でも」耳に口を寄せ、舌先で耳孔を擽る。「お母さんには内緒だよ」少年の髪に頬ずりをし、両手でその身体を弄る。鼻息が、荒い。興奮のやり場が見つけられないのか、身体中を無闇やたらと撫で回す。少年は息を顰め、身体を丸めて出来るだけ小さくなろうとしている。「可愛い  [続きを読む]
  • 箱庭 4
  • 食事は、一時保護所よりよかった。味も量も。テーブルの席の配置もよく、落ち着いて食べる事が出来た。吉峰が適度に風よけになってくれていた。食後改めて同室の少年たちと話をした。この春、モトジが四年生でツバサが三年生になる。ツバサは春休みを利用して、自宅で宿泊するらしい。そのために学校の勉強も頑張ったから、成績表を見せて褒めて貰うんだと、目を輝かせて語った。だが広海は彼よりも、その横で話を聞いているモトジ [続きを読む]
  • 箱庭 3
  • 二度目の一時保護は長かった。前回同様そのうち自宅に戻されると思っていた。だが迎えは来ない。児童福祉士との面談もない。広海に出来るのはただ待つ事だけだった。卒業式が近づいていた。まさか卒業式にも出ないまま、下手をすれば入学式にも出ないまま、中学生になってしまうのだろうか、と危惧し始めた頃、「お迎え」が来た。預けておいた、というよりは取り上げられていた私物の確認が済むと、挨拶もそこそこに一時保護所を追 [続きを読む]
  • 箱庭 2
  • 布団の中にくすくすと声がこもる。幼児用の部屋は一室で、収監されている幼児は二人きりだった。ふたつ並べられた布団のうちの、その一方は空だ。抜け出た穴が、黒く空いている。「ここ?」また笑い声。「ママの恋人は こうしてた」「こっち」「ああ そっちもね」「僕のパパはそこが好きなんだ。いつも そこばかり舐める」「おいしい」「ほんと?」「って あの男は言っていた」「なぁんだ」「ご飯 おいしくなかったね」「量も [続きを読む]
  • 箱庭の少年たち 1
  • 口から言葉が出るより早く、唇は重なっていた。そしてそうなる事は最初から決まっていたかのように、吉峰が主導を握った。広海は彼の操るゴムボールだ。宙に投げ上げられ、その手に戻る。気づいたら、吉峰に向けて身体を開いていた。吉峰が問う。「いいのか」広海は請う。「来て」初めてだったが、躊躇はなかった。これもまた、最初から決まっていた事に思える。とはいえ無自覚の緊張が筋肉を強張らせる。吉峰は広海の肌を優しく擦 [続きを読む]
  • 合わせ鏡 最終話
  • 「んもう」 握った拳で柊の胸を叩いた。呆気なく陥落した自分と、陥落させた柊に腹を立てているようだった。「でも仕方ないよね」「何が? 経験不足?」「じゃなく! ……そうだけど。それだけじゃなく。……だってずっと ……我慢していたんだもの」柊の胸を打っていた拳に口を押し当てて、ちひろは言った。若い性の激しさは、柊にも経験がある。ちひろにとって初めての、劣情を伴う恋だったかも知れない。だとしたら、耐え忍 [続きを読む]
  • 合わせ鏡 49
  • 「カケルさんとふたりで あなたを愛していく」「ちひろ」「柊がどうでも」 ちひろは言い、はにかんだように、幸福に、微笑んだ。そしてもう一度その音を、唇に愉しむ。「シュウ がどうであろうと」「ちひろ……」「ああ」 熱く嘆息し、胸に手を当てる。「ずっと呼びたかった。そう呼びたかった。心の中でずっとそう呼んでいた。もう いいね? そう呼んでも いいよね?僕を留めるものはもう 何もない。この心臓があなたを求 [続きを読む]
  • 合わせ鏡 48
  • 柊に出来る事は叫ぶ事だけだった。「違う 違う! 有り得ない 断じて!」「菅島さ……」 ちひろが柊に触れる。柊は「部屋に戻れと言っただろう!」と怒鳴った。「どうして言う事を聞かない。俺の言葉より 見も知らぬこいつの声を聞くのか。誰の心臓かなんて知る必要はない。知らない方がいいんだ。だから協会は教えない。さあ! これが最後だ。部屋に戻れ!」八つ当たりに近かった。「でも」中から人が出てきて、ドアが開いた [続きを読む]
  • 合わせ鏡 47
  • 背後でちひろが息を吸うのが分かった。柊は血が全部引き、直後に脳内一杯に広がるのを感じた。顔が熱い。こめかみを打つ脈の音がうるさい。「奴は ドナーカードを持っていた。ドナーカード ご存知ですよね 当然」脳死、もしくは心臓死の後、臓器を提供する意思があるかないか。提供するとしてどの臓器かを記したカードだ。翔琉はその全部にチェックを入れていたらしい。「……それ ……で」「ご家族も 本人の意思を尊重なさっ [続きを読む]
  • 合わせ鏡 46
  • その姿を目にした時、柊は人間違いだと思った。だが思わず足を止めたのは、本能ではそうではないと判じていたからだろう。ちひろとの買い物の帰りの事だった。マンション前に八重樫猛を見つけたのだ。突然立ち止まった柊を、ちひろは訝しげに振り返る。柊は咄嗟に、自分とちひろが一緒のところを見られない方がいいと判断した。「忘れ物 ……買い忘れた。先に戻っていてくれるかな」「それはいいけど。急ぎなの?」「まあ そうだ [続きを読む]
  • 合わせ鏡 45
  • それから、眠れない夜を何度も経験する事になる。ちひろも同じだったのだろう。夜半、柊はドアの前に気配を覚える。息を潜めて、ちひろが立っているのを、感じる。柊もまた、ベッドの中で息を潜めている。ちひろが立ち去るのを、待つ。すん、と小さく鼻を啜りあげる音が聞こえる。ちひろの手が、ドアから、そっと離れる。前髪が擦れる音さえ、聞こえる気がした。ちひろの部屋のドアが閉じる音を聞き、柊はベッドから降りる。ドアの [続きを読む]
  • 合わせ鏡 44
  • 「先の事なんて分からない。それは誰だって同じだ。ちひろだけじゃない。俺だって いつ死ぬか分からない。先にどんな出会いがあるか 分からない。今 目の前に好きな人がいる。今 その手をとらなくて どうする?」ちひろはゆっくりと首を振った。「同じ じゃない。僕には 許されない」ちひろは言い切った。そして尚も目にものを語らせようと見つめて来る。柊は懸命に読み取ろうとするが、否定が先に走ってしまう。「同じだろ [続きを読む]
  • 合わせ鏡 43
  • ガーベラが映えた。部屋が少し明るくなった気がした。ちひろの笑顔が更に光を呼び込む。「お母さんから」「うん?」「お母さんは」「……うん」「ちひろには なんて言った」「……」「ふたりで話した だろう」「菅島さんとも 話した んなら 同じような事を だよ」「それで ちひろは」「……」「お母さんは 思い過ごしかも知れないと言ったけど俺の場合に限っては 違う。全然思い過ごしなんかじゃ ない。ちひろは どうだ [続きを読む]
  • 合わせ鏡 42
  • 瞬く間の一ヶ月だった。初日のような揉め事は、それきりなかった。だが近い事は何度かあった。少なくとも、柊は感じた。ちひろが纏う鎧は、ずっと存在し続けた。薄い膜一枚越しに触れ合いながら日常は続いた。病院の定期検診も難なく通過し、大学生活が始まっても、ちひろが大きく体調を崩す事はなかった。母親が部屋を引き払う日が来た。引越は業者任せにするからと柊の手伝いを断ったが、少しだけ時間を作って欲しいと頼んで来た [続きを読む]
  • 合わせ鏡の中に見る 41
  • 風呂の用意が整うと、柊はちひろに声を掛けた。「後でいいです」「もう 遅いよ。先に入って寝なさい」ちひろの態度が固いのが気になったが、初日の緊張だろう。柊は、自分はもう少し酔いを醒ましてから入りたいと付け足した。ちひろは着替えを抱えて浴室に消えた。母親から受け取ったケースの置き場所を作り、据える。感慨深く表面を撫でた。緊急の場合の処置や連絡先もその中に入っていると言っていた。柊は蓋を開け、目を通して [続きを読む]
  • 合わせ鏡 40
  • 合格通知が届く。柊はそれをネットで確認した。「就業中ですよ!」 いつかの女性社員が、柊の机に湯呑を置いて言った。「彼女 じゃないよ」 柊は言う。大学のサイトを閉じて、ちひろにメッセージを送る。今日は祝杯だなと言うと、お母さんがごちそうを作ってくれるって と返って来た。「菅島さんも是非 だそうです」喜んでと打ちながら、その言葉ほどに心は歓迎していない。ちひろの母を疎ましく感じた事はないが、ふたりきり [続きを読む]
  • 合わせ鏡 39
  • 柊の中に確信が育っていく。冬が深まるにつれ、想いは熱く燃え滾る。ちひろの「好き」の変容が、抑えてきた柊の感情を煽る。あの恥じらいも戸惑いも揺れ動く情緒も、すべては恋の兆し。ちひろ自身がまだ気づいてないだけで、受け容れていないだけで、柊がその手を取り引き寄せれば、もう妄想でもなんでもなく、ちひろは柊の胸に身を投げ入れるだろう。何度も打消し冷まそうとしたが、日ごとに危うくなるちひろの風情に、柊は戻れな [続きを読む]
  • 合わせ鏡 38
  • 季節は移る。模試のたびに判定を上げ、秋にはBにAが混じるようになる。「やっぱり予備校は違う」 ちひろは言う。講師の熱意もそうだが、教室の雰囲気が違う。通っていた定時制は学力強化よりも「学校に通う」事が第一目的だった。だが予備校では生徒が目標に向かって邁進している。その空気が心地よい緊張を持続させてくれる。「知らない間に身体を庇うくせがついていたんだよね。心拍数を上げないよう 熱中する事を身体が忘れて [続きを読む]
  • 合わせ鏡 37
  • 帰るというちひろと一緒に立ち、玄関の扉を開けてやる。「今日は……」ありがとうと言うか、ごめんなさいと言うかで迷っている顔だった。柊は「ありがとう」と言う。「言わなきゃ分からない事って あるんだ。ちひろが機会を作ってくれて助かった」外に出そうと肩に手を掛け、だが必要以上に力を込めてしまう。自分の想いを押しつける事は出来ない。けれど。ちひろの中にある、その芽に水を注ぐほどの事は、してもいいのではないか [続きを読む]