星鼠 さん プロフィール

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星鼠さん: 星砂糖
ハンドル名星鼠 さん
ブログタイトル星砂糖
ブログURLhttp://sirukyway.blog.fc2.com/
サイト紹介文BL小説ブログです。長編。新連載はショタ・近親相姦など18禁入りますが、ストーリー重視です。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供96回 / 365日(平均1.8回/週) - 参加 2015/05/18 11:11

星鼠 さんのブログ記事

  • 箱庭 34
  • 「馬鹿を……!」叫んでから、また冗談だと思う。思うがミツルは笑っていなかった。広海を見つめている。「そんな ……そんな お前じゃあるまいし」そこでミツルの表情が少し弛んだ。「うん 僕じゃない。僕は男をプラトニックに愛したりしないもの」思考も舌も凍りついたかのように広海は黙っている。ミツルは微かに同情を浮かべ、言った。「でもまあ ウツホさんも違うよね。ウツホさん 彼女いるしね」「……なんで そんな事 [続きを読む]
  • 箱庭 33
  • 強がっても湯あたりした事は事実だった。首に絞ったタオルを置き、脱衣所の椅子に座り込んでいると、吉峰が厨房で水を貰って来てくれた。氷がほどよく溶けて、気持ちよく冷たい。「ごめん」「ゆっくりでいいから。動けるようになったら部屋に行って寝ろ」「でも」「明日も自習室にいる」「ごめんなさい」昨年の夏から置きっぱなしのうちわで、広海を扇ぐ。風に髪を撫でられ、広海はそれが誰かの指だったらいいのにと、思う。吉峰で [続きを読む]
  • 箱庭 32
  • 吉峰はそれを洗面器に放り、空になった手を差し出した。「え?」「広海の」「ああ」 タオルを渡して吉峰に背を向ける。暫し後、吉峰の手が広海の肩を掴んだ。一方の手が背中を擦り出す。「まだまだ細いな」「ミツルほどじゃ ない」「喰ってるか」「それより」 吉峰の手が脇に入った。「あばらを数えられる」「だから」「ウツホさんの事か」広海にタオルを返すと、自分の椅子に戻った。洗面器から自分のタオルを拾い上げ、首や手 [続きを読む]
  • 箱庭の少年たち 31
  • しなやかな指が広海を捉える。広海の抵抗などものともせず侵攻し、快感を引き出していく。呆気なく、広海は砦を崩す。息を吐きながら、後始末にかかる。他の生理的欲求同様、解消するためだけにしか時間を掛ない。ミツルが言っていた意味は分かる。友人たちがそれぞれにネタを披露していた、あれの事だろう。しかし広海がそのために使うのは、あの指の感触だけだ。それは他ならぬミツルのものであったが、彼を「おかず」にしている [続きを読む]
  • 箱庭 30
  • 「頑張って貯金してるんだ」 ミツルは言った。「貯金?」「今は生活の心配は要らないけれど 卒業したら即 自立だもの。寮のある職場ならともかく 家賃払って光熱費払って 生活は厳しいよ。お金さえあれば下宿先も選べるし 余裕も出来る。吉峰さんの事だから 三年先を見越しているんだよ」そういえば。そんな事も言っていた。あの頃はまだ自分が投げ込まれた世界が見えてなくて、背負わされた先々の人生の重みも知らず、吉峰 [続きを読む]
  • 箱庭 29
  • 新学期が始まると慣れた頃に連休だ。リツのところに母親が面会に来た。気を逸らそうと、広海はツバサを遊びに誘う。意識した事はなかったが、ツバサは弟の大地と同い年だ。まだ不安定な状態が続いているものの、身体は着実に成長している。初めて会った一年前に比べて骨格もしっかりして来た。自分の知らないところで大地も大きくなっているのだろうか。唇を結び無心に遊びに興じている横顔に見入る。心なし凛々しくも感じられる。 [続きを読む]
  • 箱庭 28
  • 大きな紙袋を抱えた女性職員とすれ違った。吉峰が肘で広海を突く。広海は踝を返して紙袋を受け取った。リツへの支給品だ。そのまま一緒に部屋に戻る。彼は、まだ春も浅いというのに半ズボンに、薄いジャンバーだけだった。既に引き出しに納められていた衣類を何枚か調べ、職員は全部を支給品と入れ替えようとした。初めて、リツが反抗的な態度を見せた。女性職員は一枚のシャツを両手で広げてリツに示す。明らかに小さい。だがリツ [続きを読む]
  • 箱庭 27
  • 「それに」の先を続けようとしていた職員は口を噤む。言う必要がなくなったからだ。「恒……くん」 青年が微笑んだ。旧知に向ける笑顔だ。「久しぶりです」 吉峰も笑い返した。広海は微かに違和感を覚える。先刻垣間見た表情と違う。「元気だった?」「相変わらずです。宇津保さんこそ ……ああ 児童心理士ですか」「そうだよ。保護司と一緒に来た。中で リツくんと待ってる」「リツ」「浅田律。小学6年になる。痩せて小柄だ [続きを読む]
  • 箱庭 26
  • 3月に入る。高校を卒業する者は施設を出なくてはならない。卒業より前に自活支援を受けて外に出ていく者もいる。横暴な高校生が減って落ち着くところだが、なんとなく寂しいのも事実だ。吉峰の受験が終わった。高校からは、二人部屋、運がよければ個室になる。私物を段ボールに詰める吉峰を、広海はぼんやりと眺めた。「……は どうする」「えっ」「学生服。お前が着るなら残しておいて貰うけど」言いながら広げて見ている。もと [続きを読む]
  • 箱庭 25
  • 年が明け、新学期が始まる。1月は慌ただしく過ぎた。2月に入ると、教室内に小さなあぶくが立つ。それはまず女子の間から。ぶつかりあって大きく膨らみ、やがて男子に伝染する。バレンタインだ。一年前の冬から一年分しか成長していない筈なのに、「中学生」になったというだけで大人の階段を飛ばして上がった気になっている。冗談に差し挟んでいた男子たちも段々に真顔になっていく。気になる女子の動静も、だが、自分が勝者とな [続きを読む]
  • 箱庭 24
  • 「何で読んだかな。なぜサンタクロースの存在が必要なのか。子どもはいつまでもサンタを信じているわけじゃない。けれど親は一生懸命にサンタを演じる。子どもの夢を守る。サンタは子どもの中から消えてしまうけれど サンタを住まわせた部屋は残る」流れるように言うと、ミツルは隅のテーブルに残る高校生らに、広海の注意を向けた。その中にはミツルを犯していた者もいる。大半が、そうかも知れない。「君が意外に感じているのは [続きを読む]
  • 箱庭 23
  • クリスマスには図書カードを貰った。同じ包みを手にした吉峰が、広海に言った。「一年 だな」広海は驚く。「終業式の日 って言っただろ。一時保護されたの」そうだ。言った。訊かれたから答えた。あれはいつだっただろう。吉峰に向き合わなくなってからよりも、当然、家族と会えなくなってからの方が長いのに、吉峰との会話が遠く感じられるのは何故だろう。同じ時間軸に置くならば、親と話していないのは吉峰と出逢う前だ。広海 [続きを読む]
  • 箱庭 22
  • 夏休みが終わると、高校受験も本格化する。吉峰は受験生である。楽勝、と言いつつも最後まで気は抜けない。志望校に落ちたら後はないのだ。自習室で過ごす事が増えた。消灯は中学生以下は10時であるが、受験生はその限りではない。入浴の時間もずれ、広海と吉峰の生活はすれ違う。広海も自習室に行くなど吉峰に合わせれば、一緒にいる時間は確保できる。だが広海は、邪魔をしてはいけないという遠慮を隠れ蓑に、吉峰を避けた。広 [続きを読む]
  • 箱庭の少年たち 21
  • 広海は意思に反して目を逸らす。大股に洗い場に行くと、乱暴にミツルの横に椅子を置いた。「ひとり?」 ミツルが問う。「それはこっちの台詞だ」「見れば分かるでしょ」 ミツルは脱衣所の方を広海の頭越しに見やる。吉峰が遅れて入って来る事を期待したのだろう。「ひとりだよ」 広海は言った。残念とでも言うのかと思ったが、違った。「喧嘩 したの」「してない」「だろうね。吉峰さんとじゃ ね」「そっちは」「僕が?」「ど [続きを読む]
  • 箱庭 20
  • 「吉峰は誰かを恨んだりしないの」「誰かって?」「親だよ。吉峰を育ててくれなかった親だよ」酷い事を訊いているという事は分かっていた。だが吉峰は笑っている。目を細めて広海を見ている。広海はいたたまれなくなる。こんなに優しい吉峰を傷つけたくなってしまうのも、親に捨てられたせいだ。耐えられなくなって広海は吉峰から顔を背けた。「でも死なせはしなかった」 吉峰は言った。思わず広海は吉峰を振り返った。吉峰は淡々 [続きを読む]
  • 箱庭 19
  • 夏休みに入った。7月に集中させた施設内の行事を終えると、何人かの親たちが子どもを迎えに来る。週末里親に連れられていく子もいたが、広海の部屋は誰も欠けなかった。吉峰は勿論モトジもツバサも夏休みを施設で過ごすようだった。中学生は、門限さえ守れば外出は自由だ。広海は時々、学校の友人と遊びに出た。施設にいる事も、支給される小遣いの額も全部話してあったので、友人たちもそれに合わせて行動してくれた。無邪気な好 [続きを読む]
  • 箱庭 18
  • 広海は知らなかった。吉峰に訊いてみる。「カインと……? ああ 聞いた事ぐらいはある」あるが詳しくは知らないと言うので、一緒に図書室に行く。アダムとイヴの話ならば聖書だろうと書棚を探す。子ども向けに編まれた本を見つけた。「しかしまた渋いね」 吉峰が言う。「いきなりどうした」ミツルとの会話をどう伝えたらいいのか要約できず口ごもっていると、吉峰は離れていった。決して詮索して来ない。広海はひとり本を開いた [続きを読む]
  • 箱庭 17
  • 吉峰に言えないでいた。ミツルのためではなく、ミツルが伝えたがっているような気がしたからだ。以降、吉峰から問われない限り、彼を話題に出す事はしなくなった。吉峰が訊いて来る事は滅多になく、浴室でミツルと一緒になる事は巧みに避けられた。ミツルの方から、その事を言い出した。「たまには来たらいいのに」「馬鹿言え」「どうして」 微かに語尾を上げて伸ばす。嫌味にならないぎりぎりのところ。「どうして? 普通 見ら [続きを読む]
  • 箱庭 16
  • ミツルも部活には入らなかったようで、下校時に一緒になる事もあった。広海は女子にあれこれ訊かれた事を告げ、「どうなんだ」と言った。「どうって?」「お前でも女の子に興味 湧くのか」うふふと笑う。気持ち悪いと思いながら、くすぐられる部分もある。「ひとり つきあってるよ」「え?」「女の子 嫌いじゃない。別に僕 男が好きなわけじゃないから」「なん……だ?」「身体が反応しちゃうだけの事だよ。男とするのは好きだ [続きを読む]
  • 箱庭 15
  • 施設から小遣いが支給される。広海はその金で、公衆電話から自宅に掛けてみた。呼び出し音が鳴るだけだった。ミチルとは違うクラスになった。だがすぐに彼の名前が耳に入るようになった。意外や女子からである。ミチルは養護施設にいる事を隠していない。広海もまた「今だけ」という但し書きつきで認めていた。ミチルの事が気になる女生徒が、広海から彼の情報を引き出そうとする。「俺 入ったばっかだし」 強調して、言う。「部 [続きを読む]
  • 箱庭 14
  • 一線を越えたのはいつだろう。どこが一線だったのだろう。添い寝は、いい。髪を撫でるのも、時に背中を撫でるのも。背後から抱き締めるのはどうだろう。それも親としては当たり前の行為なのかも知れない。だがその時に硬いものを押しつけて来るのは、やはり違う。それは彼にも分かった。しかしそれだけならば、声を上げる程でもなかった。どんなに触られても服の上からなら耐えられる。相手がこれはあくまでも「父親」としての接触 [続きを読む]
  • 箱庭 13
  • 吉峰に、ミツルの事を話した。ミツルと広海が同学年である事を失念していたようだった。旧知である筈の吉峰ですら、その童顔に騙されるのだ。「同室の時もあったんだってね」数秒おいて吉峰は口を開いた。「同室 といっても8人部屋だよ。ここは小学二年までは園児と一緒だから」ミツルが一時保護所から移されて来た頃だと言う。保護所で仲良くなった相手がいたらしく、その子どもと引き離された事を寂しがっていた。ひとりで寝れ [続きを読む]
  • 箱庭 12
  • 中学校の入学式当日。制服に着替えて、指示通り中央玄関に降りていく。そこで他の新入生と登校する事になっている。背を向けてひとりが立っていた。中学生にしては小柄であったが、制服を着ている。歩み寄りながら「中一だよね? 俺も」と話し掛けた。振り向く。一瞬、声に詰まった。彼だ。浴室の、あの少年。「よろしくね。君がいなけりゃ僕ひとりのところだった」「え ……あ 新入生が」こっくりと頷く。前髪が目に掛かる。長 [続きを読む]
  • 箱庭の少年たち 11
  • 廊下がざわつく。夕食の時刻だった。モトジがそう口に出して言った。誰も促さなかったが、ツバサは立ち上がった。ずっと蹲っていたのだろう、一歩よろめく。しかしその後はしっかりした足取りで廊下を行き、食堂に入った。テーブルに着き、周囲と会話を始めるのを見て、「よかったね」と広海は吉峰に囁いた。「吉峰の説得のおかげだ」吉峰は苦い顔をして「そんな簡単にはいかない」と言った。「俺の説教の内容が奴を動かしたんじゃ [続きを読む]
  • 箱庭 10
  • 小学校の始業式の日。ツバサは学校を休んだ。モトジのバスタオルを頭から被って、ドアに背を向け座っている。それぞれに声を掛けたが、応えない。職員が諭しても無駄だった。「今日は まあ 授業もないし」夕方になってもツバサの位置は変わらなかった。同級生の女児がプリントを持って来る。新しいクラスと担任を告げ、同じ組の子どもを思いつくだけ並べた。バスタオルは動かない。女児は「じゃあね」と出て行った。大層しっかり [続きを読む]