星鼠 さん プロフィール

  •  
星鼠さん: 星砂糖
ハンドル名星鼠 さん
ブログタイトル星砂糖
ブログURLhttp://sirukyway.blog.fc2.com/
サイト紹介文BL小説ブログです。長編。新連載はショタから始まり高校生ぐらいまで。甘かったりイタかったり。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供198回 / 365日(平均3.8回/週) - 参加 2015/05/18 11:11

星鼠 さんのブログ記事

  • 緑陰の底 30
  • 出来る事ならば関わらず近寄らず、高校生活を送りたかった。だが侑李が教室で孤立していくのを傍観する事も出来なかった。 蓮治が捉えていたよりずっと、侑李という存在は特異であったらしい。 女子ですらも遠巻きに眺めているだけだ。きれい過ぎるのだ。そしてまた女同士の牽制もあるのだろう。 迂闊には近づけない。 男子も同様だった。 容姿端麗もさることながら、学業の優秀さもすぐに知れ渡った。 知的という表現だけに納まり [続きを読む]
  • 緑陰の底 29
  • 通う中学からその高校に進んだのは、蓮治一人だった。 他に女子が一名受けたが、落ちていた。狭き門なのである。 制服を着ると引き締まる思いだった。 両親は仕事を口実に入学式にも参列しないが、構う事ではない。ひとり家を出た。 乗継なしで通える。慣れてきたら自転車通学もいいかも知れない。 春風に吹かれながら駅からの道を歩き、そう思った。 校門を過ぎたあたりで、生徒のさざめきを聞いた気がした。 同じ中学出身者を見 [続きを読む]
  • 緑陰の底 28
  • 同じ中学に通うようになってからも、 言葉を交わすのはそれまでと同じ邸の中でだけだった。 拓海は同級生と登校したし、校内の移動ですれ違う事もあまりない。その稀な機会もふたりは目を合わせる事を避けていた。 他者に知られたくないという事と、 雑多な現実と、邸内での時間を交差させたくないという思いからだった。 邸外で垣間見る、それぞれの姿は背景に過ぎない。 豪奢な居間で対面した時に色彩を得るのであった。 学校の [続きを読む]
  • 緑陰の底 27
  • 「何を考えてる」 蓮治は顔を上げた。拓海に見つめられていた。 「別に」 蓮治は慌ててカップを口に運んだ。 拓海は何も言わなかったが、その目は蓮治を問い続けている。 蓮治はカップを置いた。「本当に 別に何も なんだ」 「そう」  拓海は恬淡に言い、蓮治が気を抜いた途端に言葉を継いだ。 「今はそうでも ここ最近は そうじゃないよね。 春休みからこっち 蓮治はずっと変だった。それは俺のせい? 俺の ……俺が話し [続きを読む]
  • 緑陰の底 26
  • 薬を与えられないまま、男たちに裸をさらすのは苦痛だった。じきに慣れる。蓮治は口の中で唱えた。 「それが演技ならば咎めないが」 身体を固くする蓮治に男は言う。 「素質に問題はない」 別のひとりが執り成した。「焦る必要はない」 声がどこか上擦っていた。最初の夜の蓮治を思い浮かべているのだ。 少年の肉体の可能性を探る事は、仕事を越えて楽しそうだった。 男たちは蓮治の身体を開拓する。 性感帯をより鋭敏に、身体を [続きを読む]
  • 緑陰の底 25
  • 春休みに入る。 休みが明ければ拓海は中学生だった。 誂えた制服を蓮治に披露する。きりりと似合っていた。 「お母さんには見せに行かないのか」 蓮治は訊く。 八束が義父であるという事実を拓海の口から引き出す魂胆もあった。 拓海の顔が曇る。俯いたまま蓮治の横に来て、座る。 「もうずっと 会っていない」 「どうして。そんなに遠いのか?」 遠くても国内だろう。 八束の財力で行けない場所などある筈がない。 「よくなる [続きを読む]
  • 緑陰の底 24
  • 「そうならばどんなに誇らしかった事だろうね。ふたりとも優秀な子どもだ。特に侑李は天才と言っていい。だから私は彼を後継者に据える事にやぶさかではない。だが。その前に事業を広げる為に役に立って貰うつもりだ。 彼が持てる才は頭脳だけではない。そうだろう?」 薬の効果の残った、それ以前に中学生の脳には八束の言葉は伝わり辛かった。 蓮治は後になってこれらの意味を理解する事となる。 兄弟の母親と結婚した事で義父と [続きを読む]
  • 緑陰の底 23
  • どう合図が送られたのか、蓮治には分からなかった。 男は蓮治の肛門にいきり立った雄を突き立てた。 枕に潜っていた蓮治の頭が上がる。固い塊が肉を分けていくのを感じた。 『犯される』という八束の言葉が頭の中を駆け巡った。 忌むべきその単語が、薬のせいか興奮を掻き立てる。 淫らと称された事が、刺激の針となって神経を刺していく。 「あああっ」 「こ ……こいつ」 思わず男が呻いた。「こいつ」 完全に支配するつもりが [続きを読む]
  • 緑陰の底 22
  • だがそこでベッドの侑李の存在を思い出す。 脳裏には全裸の肌が焼きつけられているが、 何をそう見間違えたのかと八束氏の背後を覗き込もうとした。 八束は身体を斜めにして蓮治の意を叶えてやる。どう確かめても、ベッドにあるのは裸の肉体だった。そして侑李だった。 蓮治の乱入に動じない様子に、もしかして人形かと思った時、その人影は瞬きをした。微かに唇も動いた。 「何 ……彼 何」 蓮治は八束の顔を見る。 「口で説明 [続きを読む]
  • 緑陰の底 21
  • 「うちあげ」という言葉を使いたい年頃なのか、 行事があったわけでもなく、ただ二学年が終わるというだけなのに、どこからともなく提案がなされた。さまざまな理由で級友から距離を置いていた蓮治も、 全員参加の声を無視できなかった。 騒いでみれば相応に愉しく、二次会のカラオケにも一緒に流れた。だから、初めて深夜に帰宅する事になった。 寝静まった家に入っていくのは少し緊張した。手前で鍵を確かめた。 視界に軽い違和 [続きを読む]
  • 緑陰の底 20
  • 入浴の際脱衣して、蓮治はペンダントの存在を思い出した。そんな事は初めてだ。 特に意識しているわけではないが、 日に何度か布越しに指先で確かめるのが常だった。 実際には触れていなかったとしても、 突然その存在を思い出すような事はそれまで一度もなかった。 蓮治は暫し鏡の前で立ち尽くし、ペンダントを外して掌に乗せた。 手の上のそれを見つめ、口づけて握り締める。だが浮かぶのは幸彦の抱擁ではなく、拓海の肌の柔らか [続きを読む]
  • 緑陰の底 19
  • 拓海の肌に唇をつけた瞬間に、蓮治は溺れた。 打算も手管も忘れた。 侑李のような陶磁の肌は持たなかったが、 子ども特有の柔らかさと無垢な手触りは蓮治を夢中にさせた。 淡い色の乳首をそっと喰み、舌の先で小さな突起を転がした。 拓海の愚図るような声を聞きながら、段々に吸う力を強くしていった。 指で挟めるほどに引き出した後は両手にそれを摘まみ、 加虐的な気持ちで捏ね回した。 拓海は手の甲で口を押さえて耐えている。 [続きを読む]
  • 緑陰の底 18
  • 年が明けた。蓮治の両親は、とうとうお年玉さえくれなくなった。 互いが相手が出せばいいという態度だった。 蓮治は自分の家庭がとうに崩壊している事を思い知らされる。 両親の目は家の外に向けられており、 仮に離婚するとしてもどちらも自分を引き取りたがらないだろう。 蓮治自身既に親に愛情を求める気も失せていた。ひとりで生きて行けるだけのものを身につければいいのだ。だがそう割り切ろうとしても、 経済的には勿論、精 [続きを読む]
  • 緑陰の底 17
  • 手当の前に一度シャワーを浴びた方がいいと言われた。 断るつもりが、浴室が準備がされ着替えを差し出される。 侑李のために購われたものらしい。新品である。 白い綿シャツに袖を通し、その肌触りに蓮治は幸彦を思い出す。 素肌に触れる箇所に、先刻の夢が蘇った。 消毒を済ませて居間に入るとお茶の支度が整っていた。侑李もいる。 白い頬が青ざめて透き通る程だった。 可愛がっていたようには見えなかったが、懐かれてはいたの [続きを読む]
  • 緑陰の底 16
  • 夏休みに入る。 中学もまだ二年では受験の風もなく、 新聞配達を済ませた後は拓海に誘われるまま邸で過ごした。 涼しく清潔な空間は勉強の効率を引き上げてくれる。 侑李のための教師が来ていた。 英語など拓海も共に習わされているらしく、 蓮治を置いて階上に上がる事がたびたびあった。そんな時蓮治は大抵庭に出た。 刈り込まれた庭木だが、夏にはほどよく生い茂り木陰を作る。 蓮治は適当な木を選んで根元で寝転がるのが好きだ [続きを読む]
  • 緑陰の底 15
  • 当初八束邸での飲食に抵抗を覚えていた蓮治だが、じきにその富を享受する事にも慣れた。 拓海が勧めるまま、休日の昼食なども共にするようになる。 滞在時間が長くなるとゲームで潰すにも限界があり、 幸彦がそうしたように拓海に勉強を教えたりもするのだが、 実際にはその必要はなかった。ふたりの間に怠惰な空気が漂ったある日、 蓮治は居間以外の邸内を見ていない事を思い出し、拓海に言った。 訪問した人間は大抵見たがると拓 [続きを読む]
  • 緑陰の底 14
  • 拓海が安堵の息を洩らすのを聞いた。だが彼はすぐに弾んだ声で兄にゲーム展開を語り出した。 侑李は「そうか よかったな」と弟に言う。 蓮治が想定したよりも柔らかい声であったが、 台本を読んでいるような抑揚だった。ポットから紅茶が注がれ芳香が漂う。 侑李はソーサーを持ち上げるとカップを口に運んだ。 美しい仕草だった。 拓海はまるで貴重な映像を眺めるように兄を見つめ、それから菓子に手を伸ばす。 沈黙に負けたのは [続きを読む]
  • 緑陰の底 13
  • 「いる」 拓海は言った。そしてすぐ「ここにはいない」と続けた。 蓮治はすぐには訊き返せなかった。そして遅れた事でその機会を失った。 人懐っこく見えた拓海に壁を感じる。だが拓海は自らその壁の存在を否定するように、 母親不在の寂しさを滲ませて言った。 「療養 って言うの? 空気のいい田舎で暮らしている。 俺たちがこっちに来る時に そっちに移った」 「そう」 蓮治は注意深く応えた。「良くなると いいな」うんと [続きを読む]
  • 緑陰の底 12
  • 一学期が終わり、夏休みに入る。バイトを増やしたかったが、中学生に出来るのは新聞配達ぐらいである。 主婦が受け持っていた夕刊の分を、休み中だけ引き受ける。 生きる場所を選ぶ事が出来るのは自立した人間だけだという、 幸彦の言葉が常に蓮治の中にあった。そのためにはまずは金だ。そして次に学歴、或いは知識だ。だから勉学もおろそかには出来ない。塾に通えない分自力で頑張った。 幸彦と過ごした夏休みが陽炎のように揺ら [続きを読む]
  • 緑陰の底 11
  • さようならはなかった。 蓮治は門の前から一台のタクシーが走り去った事で、それを知った。 翌日から見知らぬ人の出入りが激しくなり、 年明けと同時に工事が始まった。 庭の木の一部が切り倒され、 門から車寄せ、車寄せから車庫へと繋がる道が整備されて、 真っ直ぐに玄関に至る緑陰の小路が仕立てられた。 蓮治はその過程を目にするにつれ、 幸彦との時間が暴かれていくようで辛かった。 探検をした密林は伐採されて明るくなり [続きを読む]
  • 緑陰の底 10
  • 放心する蓮治の腰に幸彦はクッションを差し込んだ。 両脚を上げ、大腿部の裏を掌で支える。 我に返って蓮治は声を上げそうになるが、唇を結んだ。 幸彦に間違いはないのだ。全て彼に委ねればいい。 自分はただ、待てばいい。 脚が左右に開かれ、秘所が曝け出される。 幸彦の頭が蓮治の股間に沈もうとするのを見て、さすがに黙ってはいられなかった。しかしその声が響きを得るよりも早く、幸彦の舌は蓮治の蕾を舐めていた。 蓮治の [続きを読む]
  • 緑陰の底 9
  • 躊躇いを見せたのは幸彦の方だった。 退こうとする彼を、蓮治は追い掛ける。 結果も目的とする場所も知らないまま本能に従って追い掛ける。 唇が重なる。赤子のように吸いついた蓮治を、幸彦は受け容れる。そして舌を与え、絡ませる。 初めての、そして突然のキスが、いきなり熱く燃え上がった。 呼吸の仕方も知らないまま蓮治は幸彦を貪り、貪られる。 飽く事を知らず求め続け、酸欠で蓮治は眩暈をおこした。 蓮治の身体を受け止 [続きを読む]
  • 緑陰の底 8
  • 冬の訪れを知らせる、暗い空だった。 夏の終わりから徐々に周囲を染めて来た重い空気が、 頭上を覆い尽くそうとしている。 幸彦はその年初めての火を暖炉に入れた。二人並んで炎を見つめる。 油断すれば両肩に落ちて来る憂鬱を払おうと、 蓮治は快活に「じきにクリスマスだね」と言った。 同意を求めて幸彦を覗う。だが幸彦の目は遠くを見ていた。 蓮治は「ねっ?」と幸彦の袖を引いて揺らす。 幸彦の目線と意識は蓮治の上に戻った [続きを読む]
  • 緑陰の底 7
  • 蓮治は家を出る前に汚れた下着を自分で洗った。そういった現象を知らないわけではなかった。 夢精というのだと級友に聞かされていた。 水道の下で汚れを擦りながら「なんでもない」と唱える。 病気じゃない。特別な事じゃない。 見た夢の内容は覚えていなかった。 蓮治はそれを幼稚園児のおねしょのように、 恥ずかしいけれど仕方のない事で片付けようとした。 洗い終わると母親が干していった洗濯物に紛らわせて家を出た。 玄関前 [続きを読む]
  • 緑陰の底 6
  • 年が暮れ、新しい年が来た。 蓮治と幸彦の新年は5日だった。それ以前にも、たとえば学校の友だちを理由にして家を出る事は可能だったが、 落ち着かない気分で過ごすよりもゆったりと会いたかった。 幸彦はその間、休み明けの試験の勉強をすると言っていた。 蓮治もまた机に向かうのだが、気づくと幸彦から貰ったペンを眺めていた。あまり目立つものを贈って親の目についてもと、ペンならば文房具に紛れ込むだろうと選んだらしい。 [続きを読む]