wabi さん プロフィール

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wabiさん: 〜しっぽを持った天使〜
ハンドル名wabi さん
ブログタイトル〜しっぽを持った天使〜
ブログURLhttp://straycatstory.blog.fc2.com/
サイト紹介文明日をも知れぬ身の野良猫たちの哀切物語
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供25回 / 365日(平均0.5回/週) - 参加 2015/05/19 22:58

wabi さんのブログ記事

  • 侵入者 (後編 1)
  • ブログランキングに参加していますにほんブログ村☆それからの数ヵ月間、私は何度かリンエリアへ赴いたが、キジトラに会うことはなかった。雌猫にくらべて雄猫は広範なテリトリーを持っているので、必然的に行動範囲も広くなる。そしてキジトラのように去勢していない雄の野良猫は発情期がおとずれると雌猫を探しもとめてテリトリーを越えてさまよい歩くため、ひとつのエリアに定住しない雄猫も多い。だからキジトラは避妊手術を受 [続きを読む]
  • 侵入者 (中編)
  • ブログランキングに参加していますにほんブログ村☆私が3度目にキジトラと会ったのは、夏がすぎ秋が日毎に深まっていく時節だった。場所は以前とおなじリンエリアのエサ場。ただし、キジトラの印象は前回と少しちがっていた‥‥。キジトラはエサ場のすぐそばで香箱をつくっている。そして前回とおなじように私の顔をまっこうから見つめ返してくる。キジトラと私との隔たりは前回より更にちぢまり、3メートルほど。しかしその表情 [続きを読む]
  • 侵入者 (前編)
  • ブログランキングに参加していますにほんブログ村☆私がそのキジトラとリンエリアのエサ場で初めて会ったのは2017年の夏だった。ただし当日はカメラを持たない本来の散歩のために海岸へ行ったので撮影はしていない。そしてそれ以後は姿を見かけなかったから、たまたま通りかかっただけなのだろうと思っていた。ところがそれから1ヵ月後、そのキジトラとまた同じ場所で再会した。キジトラは木の根元で香箱をつくり、私の顔をま [続きを読む]
  • 好奇心 (後編 3)
  • ブログランキングに参加していますにほんブログ村☆ホイールローダーのエンジンルームにもぐり込んだサキ。リンは散歩中の小型犬に恐れをなして防砂林のなかへ逃げ去ってしまったので、私はその場にとどまることにした。サキがホイールローダーのエンジンルームにもぐり込んでから数分が経った。ここに至って私はサキのことを本気で心配しはじめていた。入ったはいいが、そこから外に出られなくなったのではと思って。床部分のわず [続きを読む]
  • 好奇心 (後編 2)
  • ブログランキングに参加していますにほんブログ村☆私はすぐさまリンのあとを追った。だが私はリンのように柵を乗り越えられないので、大きく迂回しなければならない。そうして足早に迂回路を進みながら私は考えていた、どうしてこの日に限ってリンは人目につく行動をするのだろう、と。さきほどのエリアの境界線越えを先導したのは娘のサキだったが、今回はリンが先陣をきった。やはり猫も我々ニンゲンと同じように退屈していて、 [続きを読む]
  • 好奇心 (後編 1)
  • ブログランキングに参加していますにほんブログ村☆リンとサキは勝手知ったる自分たちのエリアに戻ってきた。サキがエリアの境界線を越えてからここまでおおよそ15分が経っている。たいした時間ではないけれど、ふたりにとっては日頃は経験できない貴重で意義あるひとときだったのかもしれない。ふたりの行動を見ていた私自身はいささか気をもまされたが。防砂林の奥にある、いまはもう誰も利用しなくなったベンチにリンとサキは [続きを読む]
  • 好奇心 (中編)
  • ブログランキングに参加していますにほんブログ村☆前回猫は好奇心の強い動物だと述べたが、彼らはまた、自分のおかれた環境の変化をきらう保守的な動物でもある。家猫でいえば、それまで見たこともない物が部屋の中へあらわれる、いままでに聞いたことのない音がする、これまで会ったこともない生き物(自分と同じ猫やニンゲンも含めて)が目の前に出現する、などの事象が起こると警戒し度合いによっては恐れおののく。それらの胡 [続きを読む]
  • 好奇心 (前編)
  • ブログランキングに参加していますにほんブログ村☆『怖いもの見たさ』という慣用句が表しているように、我々ニンゲンはある事象の危険性を予想しつつも自ら近づいていくという矛盾した行動をとることがままある。こういうように、恐怖心と好奇心という相容れない心理を胸の裡に共存させているのは何も我々ばかりではない。猫とかかわりを持ったひとならご存知だろうが、猫はきわめて警戒心がつよく用心深い動物だ。ところが一方、 [続きを読む]
  • 心もよう (後編)
  • ブログランキングに参加していますにほんブログ村☆サキは再びリンに押えこまれてしまった。それもリンの眼前にみずから寝ころがってそういった状況をつくるという、私には理解できない行為の結果として。動機はなんだろう、何かの意図があってのことなのだろうか、まさかサキに被虐趣味があるとは思えないのだが。何はともあれ、私は事の成りゆきを見届けることにした。私からはふたりの頭の部分が死角になっていて、リンがサキに [続きを読む]
  • 心もよう (中編)
  • ブログランキングに参加していますにほんブログ村☆リンが本気で娘のサキをやり込めようとしていないのは明らかだ。猫の “犬歯” は鋭く、その気になればサキの喉笛などいとも簡単に食い破れる。そしてよく見ると、猫のもうひとつの強力な武器である爪をリンは出していない。とはいえサキの必死の形相からすると、リンにツボを押さえた効果的な部位を攻められているのだろう。とりわけリンが噛みついている首はあらゆる生き物にと [続きを読む]
  • 心もよう (前編)
  • ブログランキングに参加していますにほんブログ村☆リンの病はほぼ全快した。だが私の “リンエリア詣で” はその後もつづいた。それは私の心に一抹の不安が居座っていたからだ。まるで喉に刺さった魚の小骨のように。結局私はリンエリアに8日間連続で足を運ぶことになる。旧ブログを始めて2年間くらいは同じエリアに日参していたこともあったが、それ以後は一度もない。おそらくこれから先もないだろう。ただし同じような状況が [続きを読む]
  • 病魔 (後編 3)
  • ブログランキングに参加していますにほんブログ村☆リンの体調不良を知らされて5日目、そしてリンに抗生剤を服用させはじめて4日目‥‥。前日にリンが木に登る姿を目の当たりにし、彼女のやまいが確実に快方へ向かっているのを実感した私の心はいくぶん軽かった。エリアに到着してすぐにエサ場をのぞいてみたのだが、リンとサキの姿はない。そこで私は隣接する区画の防砂林の中へ足を踏み入れ、ふたりを捜すことにした。*まず最 [続きを読む]
  • 病魔 (後編 2)
  • ブログランキングに参加していますにほんブログ村☆リンとサキがくぐり抜けたネットの裂け目は、腹ばいになれば私でも通れる。しかしその区画は灌木が密集し、おまけにいたるところに蜘蛛の巣が張られていてふたりを追跡するのは困難をきわめる。あえてそんな苦難をなめなくても、先にのべたようにふたりは縄張りの境界線を越えないし、巡回コースはほぼ決まっているので先まわりして待っていればすむこと。レンガ道をつかって迂回 [続きを読む]
  • 病魔 (後編 1)
  • ブログランキングに参加していますにほんブログ村☆ボランティアの松田さんからリンの変調を知らされて4日目、リンに抗生剤を服用させはじめて3日目、私はこの日も海岸へ足を運んだ。おなじエリアを4日連続でおとずれるのは実に久しぶりである。はっきりした記憶はないが、おそらくここ5年のあいだでは経験していないと思われる。*リンはエサ場に隣接する砂地に横たわっていた。おそらくほんにんは日光浴をしているつもりなの [続きを読む]
  • 病魔 (中編)
  • ブログランキングに参加していますにほんブログ村☆私には今以上の猫を飼えない事情がいくつかある。親しくないひとには表向きの理由として、住居が狭いからとか赤貧にあえいでいるからだと答えている。たしかにそれらも事実なのだが、最大の原因は数年前に旧ブログでカミングアウトしたように私が厄介な持病をかかえているからだ。9年前、心療内科の医師に「あなたはうつ病です」と診断をくだされ、じっさいに酷い副作用をひき起 [続きを読む]
  • 病魔 (前編)
  • ブログランキングに参加していますにほんブログ村☆午後10時、私は海岸沿いを走る国道の脇にいた。その国道の向こう側に広がる防砂林は今、深い夜の闇に溶けこんでいる。こんな遅い時刻に海岸へ来たのには、もちろんそれなりの理由があってのこと。実はこれより15分ほど前に一本の電話が私のもとにかかってきた。相手はリンエリアのボランティアである松田(仮名)さん。松田さんとはたまに海岸で会うことはあっても電話で話し [続きを読む]
  • ロンリーキャット (後編 2)
  • ブログランキングに参加していますにほんブログ村☆前にも述べたが、シンゲンは2014年春に突然このエリアに姿をあらわし、そのまま居着いてしまった。そのためこの強面猫の出自や年齢は、いっさい分かっていない。分かっているのは、耳カットと去勢手術のあとがあることくらい。これらの事実から、シンゲンはどこかでひとの世話を受けていた 『地域猫』 だと推測されている。だがどういういきさつがあってその地を離れ、どうい [続きを読む]
  • ロンリーキャット (後編 1)
  • ブログランキングに参加していますにほんブログ村☆私はほかの海岸猫の姿を求めてエリア内を捜索する。しかし過去に出現頻度の高かった場所を重点的に調べていったけれど、文字どおり “猫の子一匹” いなかった。たくさんの海岸猫がいたころなら、こちらが捜すまでもなく彼らのほうから姿を現してくれたのだが、今ではエリアをたずねても誰にも会えないことすらある。私は彼らを捜すのをあきらめて元の駐車場へもどることにした。 [続きを読む]
  • ロンリーキャット (中編)
  • ブログランキングに参加していますにほんブログ村☆この日は古参のシロベエや、2016年夏からこのエリアに居着いた黒猫の姿がどこにも見あたらない。ここでの地歩をまだ固めていないと思われる新参の黒猫が気兼ねして離れたところこにいるのはわからないではないが、駐車場を縄張りにしているシロベエの姿が見えないのはいささか奇妙だ。外で暮らす野良猫の身には何が起こるかまったく予測ができない。だからいつも顔を見せる海 [続きを読む]
  • ロンリーキャット (前編)
  • ブログランキングに参加していますにほんブログ村☆里親募集の告知ページに記載しておきながら、『シシマルエリア』のアメショ柄のキジ白をしばらく登場させていない。その理由としては、シシマルエリアへ赴く機会が減ったうえに、訪れても彼が姿を見せてくれなかったり、姿を見せてもすぐにどこかへ隠れてしまったりで、まともに撮影できなかったからだ。そこで、キジ白を家族として迎えたいという申し出が1日でも早く寄せられる [続きを読む]
  • 死線上の猫 (後編)
  • ブログランキングに参加していますにほんブログ村☆野良猫の主な死因を以下に挙げておく。◯ 怪我や交通事故◯ ニンゲンによる虐待◯ 野生動物などの外敵による攻撃◯ 暑さや寒さ◯ 栄養不良による抵抗力や免疫力の低下◯ 猫エイズや猫白血病などの疾病家猫なら怪我をしたり罹患したりしても治療を受けられる。が、野良猫はそうはいかない。世話をするひとがいたとしても、まず体調の変化に気づくのが遅れるし、十分な治療を受けさ [続きを読む]
  • 死線上の猫 (中編)
  • ブログランキングに参加していますにほんブログ村☆海岸猫が暮らす防砂林は国道に隣接している。けれどよほどのことがない限り、海岸猫たちは国道に近づかない。彼らは大きな音を嫌うし、自動車のおそろしさを本能的に知っているのだろう。だからキジ白がなぜ引き寄せられるように国道へ近づくのか、私はどうしても得心がいかない。私は地面に寝転がったキジ白をしばらく撫でたあと、ふたたび抱きかかえて、さっきよりさらに遠くへ [続きを読む]
  • 死線上の猫 (前編)
  • ブログランキングに参加していますにほんブログ村☆リンエリアからの帰途、私はにわかに信じがたい光景を目にする。いつもなら海岸沿いの道から帰るのだが、この日はとくだんの理由もなく防砂林をはさんだ反対側の国道をつかって家路についた。日没がせまる国道、その脇のせまい歩道を私は西へむかって自転車のペダルを漕いでいた。歩道の端に転がっている “その白っぽいもの” は、ずいぶん前から私の視界に入っていたはず。だけ [続きを読む]
  • 灰シロ猫後日譚 (後編 2)
  • ブログランキングに参加していますにほんブログ村☆地面からテルがいるところまでは3メートル半ほどの高さがある。リンから逃れるためにしゃにむに登ったとはいえ、ずいぶんと上まで登ったものだ。垂直に立っている防砂ネットを膂力だけで登ったリンだから、その気になればテルがいるところまで苦もなく登っていけるはず。だがそうしないところをみると、やはり今回も本気でテルを追いかけた訳ではないようだ。リンがテルに対して [続きを読む]
  • 灰シロ猫後日譚 (後編 1)
  • Ranking site ☆生後2、3ヵ月のときに家族と引き離されて、海岸へ捨てられたテル。猫の生後2、3ヵ月といえば、ニンゲンの年齢に換算すると母親の愛情をもっとも欲する3歳から5歳にあたる。それがそのまま仔猫の場合にあてはまるかどうかは分からないけれど、不安と寂しさで心許ない思いをしていることは間違いないだろう。そしていきなりこんな境遇におとしいれられたテルが同じエリアに住むリンに思慕を寄せるのは、リンの [続きを読む]