itti(イッチ) さん プロフィール

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itti(イッチ)さん: ittiのBL創作小部屋
ハンドル名itti(イッチ) さん
ブログタイトルittiのBL創作小部屋
ブログURLhttp://itti57.blog.fc2.com/
サイト紹介文R18有。切ないけど楽しい物語。同級生、リーマン、日常系のお話です。
自由文オリジナル小説・イラスト・漫画など
何でも思うまま創作中
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供325回 / 365日(平均6.2回/週) - 参加 2016/01/12 19:23

itti(イッチ) さんのブログ記事

  • 『迷惑な落とし物。』79
  •  正臣は、ゆっくりとカウンターチェアーに腰掛けると、膝を組んでこちらを見た。その眼差しがとげとげしくて、俺はフイッと視線を逸らせる。今閉めたばかりの玄関の扉を確認するかのようにじっと見つめたまま。キリキリと痛み出した胃の辺りを押さえると、「どうかしたのか?」と正臣が顔を覗き込む。「別に.....」そう云って視線は逸らせたまま、俺は立ち上がるとバッグから薬の袋を出してテーブルに置いた。「病院.....?どこか [続きを読む]
  • 『迷惑な落とし物。』78
  •  「少し寝たらいいんじゃない?今夜チハヤさんが来る予定だから、車で送ってもらえる様に頼んでおくよ。」そう云うと、新しいシーツをベッドに敷いてくれる。「いや、悪いですから、このまま帰りますよ。」俺が恐縮して断ろうとするが、「いいから、先輩の好意には甘えるもんだよ。それにチハヤさんもハルヨシくんが可愛いみたいだしね。兎に角ゆっくり休みなって!」と言って俺をベッドに押しやった。「...........じゃあ、..... [続きを読む]
  • 『迷惑な落とし物。』77
  •  「そういえば武田くんだっけ、カレはその後どうした?気まずいまま?」大原さんに尋ねられて、薬を飲み込もうとした俺は喉に詰まるところだった。ゴホッと咳ばらいをして、ゆっくりと胸を撫でおろす。「...........またぶり返しますか?!大原さん、その話始めると機嫌悪くなるじゃないですか。そもそも、奥さんのいる男をどうにか出来るなんて思ってませんから、俺。」そう云うと大原さんの顔を見上げた。大原さんは、俺の視線 [続きを読む]
  • 『迷惑な落とし物。』76
  •  - - -  暫く忙しい日が続くと、嬉しい事にカットに入らせてもらえる機会も増えて、俺は俄然張り切った。少々の疲れは、日々のスキルアップの賜物と思って頑張る事も出来たが、昼食の時間が本当に不規則になってくると、体調も崩す気がする。朝から胃の辺りがキリキリと痛んで、後でドラッグストアに行って胃薬を買ってこようと思った矢先。シャンプーに入っている途中でまたもや掴まれる様に痛み出し、手で押さえる事も出来 [続きを読む]
  • 『迷惑な落とし物。』75
  •  ぐったりとテーブルに伏せたまま、大原さんが籠った声で俺に話しかける。「ハルヨシくんさあ、僕が言った事覚えてる?.........取っちゃえって云ったのに、まだウジウジ悩んでるんだ?!」「...........大原さん、........そんな事、云われても。」ドキリとする。本気でそんな事思っているんだ?!「無理ですって。俺は大原さんとは違いますから、そんなに自分に自信は持てないし、みんなが不幸になるの分かってて奪うなんて気に [続きを読む]
  • 『迷惑な落とし物。』74
  •   「なぁ〜んか、浮かない顔だねぇ。昨夜はカレと楽しいひと時を過ごしたんじゃないの?寿司まで付けたのに、その顔はいただけないなぁ。」店に着くと、俺の顔を見るなり大原さんに云われる。人前で『カレ』とか云わないで欲しいんだけど............。「おはようございます。浮かない顔ですみません。お寿司は美味しくいただきました。」そう云って奥のロッカーに荷物を入れるが、大原さんが寿司の折詰をふたつ寄越した意味が分 [続きを読む]
  • 『迷惑な落とし物。』73
  •  暫く見つめ合ったが、先に目を逸らしたのは俺の方だった。床に落とした視線は足先を見つめたまま、正臣の言葉を待つ。が、ふぅ、っという重苦しい溜め息しか聞こえては来なかった。その溜め息に俺の目が正臣の顔を捉えると、上目遣いに見る。「行くしかないって...........、そんなのおかしいだろ。本人が行きたくないって云うんなら行かなくてもいいんじゃないのか?!」正臣は俺に云うが、「じゃあ、お前らサラリーマンは地方 [続きを読む]
  • 『迷惑な落とし物。』72
  •  キッチンに面したカウンターテーブルに二人並ぶと、頂いたお寿司をそれぞれ摘まむ。マグカップにティーパックを入れて、それを口にすると正臣は云った。「ホント、ハルミのインテリアって簡素過ぎるよな。湯呑み茶碗もないだなんてさ。もう少しこう、生活感ある食器だけでも揃えたらいいのに。」俺はその言葉に、「そんな趣味はない。あ、でもコーヒーメーカーは良いヤツだから。」というが、確かに珈琲カップさえ何でもいいとは [続きを読む]
  • 『迷惑な落とし物。』71
  •  バスに乗り込んで15分。手に持った寿司の折詰を膝に乗せてようやくシートに座れば、窓を流れる景色に目をやった。街路樹の奥で、きらびやかに光る電飾の色が眩しくて。ビルに入っている飲食店やカラオケの看板が、ただの走馬灯の様に視界の隅に消えてゆく。顔は外に向けながらも、ポケットに入れたスマフォが鳴らないかと気に掛かると、さっき送った正臣へのメールの返信が来るような気がして、そのまま握り絞めていた。『オー [続きを読む]
  • 『迷惑な落とし物。』70
  • ____________ それは突然の発表だった。『今度出店するのは海外なんだ。』と、オーナーの天野さんは男らしい中にも色気のある笑みを浮べて俺に云った。「.............は?」『実はうちの両親が台湾に住んでいるんだけどね、あそこは案外住みやすいらしくてさ、もう日本に戻る気はないっていうのさ。でね、美容やファッションはまだまだこれから伸びるから、こっちで店を出さないかって。』台湾という国をあまり意識したことのな [続きを読む]
  • 『迷惑な落とし物。』69
  •  今日は、飛び込みで来た高校生の男の子のカットに入る事が出来た。学校帰りにこの店の前を通っていたらしいが、ようやく入る決心がついたとか。そんな事を恥ずかしそうに云うから可愛くなる。店長が他のスタッフに目配せすると、俺にカットを任せると云われて張り切ったが、実際にお客さんの髪に触れると未だに緊張する。小学生じゃないし、自分に似合っているかどうかは自己判断できるから。鏡越しに目が合うと、なんとなく互い [続きを読む]
  • 『迷惑な落とし物。』68
  •  いつもの様に珈琲をセットすると、俺は着ている物を全て脱いで洗濯カゴに放り込んだ。ジャケットはクリーニング用の袋に入れて玄関の隅に置く。(後であそこのクリーニング屋へ行ってこよう)そう思いながら、クローゼットからTシャツとスウェットパンツを取り出して着替えるとカウンターチェアーに腰掛けた。まだ身体に残る正臣の肌の感触と、なぞられた指の痕。自分の身体を包むように腕を回してみれば、さっきまでのむつみ合 [続きを読む]
  • 『迷惑な落とし物。』67
  •  部屋のカーテンを開けて白々と明ける空を見ていると、言いようのない寂しさを覚えた。そこに眠る大好きな男の寝顔を見れば見る程、その寂しさは俺の中に充満してくる。ミキさんと正臣の関係も今一つ理解に苦しむが、それでも、正臣はミキさんと涼くんにとっては大切な家族で、無くてはならない存在だと思う。たとえミキさんが離婚を考えているとしても、それは何を思っての事だったのか..............。「ぁ、ハルミ?!........ [続きを読む]
  • 『迷惑な落とし物。』66
  •  _____声を聞かせろ、って?本気で云っているのか?!こんな男の喘ぎ声を本気で訊きたいだなんて..........「や、..........だ。」正臣と絡めた指を握り締めると俺は囁いた。息があがってしまうと、朦朧とした意識の中でもなんとか自制心を保とうとする。バーで知り合ったナンパ目的の男とは違う。快感を得るだけの相手じゃなくて、本気で恋した男に抱かれているんだ。女を知っている正臣には俺の喘ぎ声なんて耳障りに違いな [続きを読む]
  • 『迷惑な落とし物。』65
  •  正臣の熱い舌が俺の咥内をまさぐる。何度も何度も舌を絡ませて上気する顔が恍惚の色を見せ始めると、互いの身体を貪るように求め合った。セミダブルのホテルのベッドは窮屈で、思う様に動く事は出来ないが、それでも一ミリの隙間も作りたくない程密着するとそれだけで興奮する。正臣の腿が俺の膝を割って入ると、じっと顔を見つめ合った。胸の中のモヤモヤは今ここで消えてしまったかの様に、俺は正臣に抱かれる事だけに喜びを感 [続きを読む]
  • 『迷惑な落とし物。』64
  •  「お前、靴なんか履いてくんなよ!まだ酔ってんのか?」そう云うと俺のジャケットに手を掛けて脱がせようとする。「だ、って...........、つい。お前こそ、どうしてシャワーの湯を掛けるんだよ!着替えなんかないんだぞ?!どうすんだ、これ。」自分で濡れた服を脱いでいくが、ユニットバスの狭い空間で二人、裸になる姿は滑稽だった。裸を見られて恥ずかしいとか、そういう事よりもこのびしょ濡れの衣服をどうしたらいいものか [続きを読む]
  • 『迷惑な落とし物。』63
  •  バス停で顔を突き合わせていると、正臣の顔がだんだん不機嫌そうになってくる。口を少し尖らせて、時折左右に動かすと何か言いたげだった。「なに?!」先に尋ねると、グッとくちびるを噛みしめた正臣。眉根がピクリと歪む。「斎藤と二人で随分とご機嫌そうだな。顔、真っ赤だぞ。足元もふらついてるし.....。」「大きなお世話。誰かさんがわけの分かんない事云うから........、酒でも飲んで気を紛らわそうと思ったんだろ。お前 [続きを読む]
  • 『迷惑な落とし物。』62
  •  何度も同じところを行ったり来たりしている俺の頭がまどろっこしくて、今夜は斎藤の誘いに乗って酒を飲みにやって来た。本当に、コイツだけは相変わらずの距離をおいて俺に近寄ってくる。高校からそうで、特別親しいって訳ではなかったが顔を見ればとりとめのない話で時間が過ぎて行った。「営業の方はどう?!忙しいの?」俺が運ばれてきたビールに口を付けると訊いてみる。グラスはしっかり手に持ったまま、目だけを斎藤の方に [続きを読む]
  • 『迷惑な落とし物。』61
  •  独りの部屋で、溜め息をつきながらもう一度自分の気持ちを確認する。正臣の温もりを思い出し、胸の前で腕を交差させた。力強く俺を抱きしめるアイツの腕に、縋りつきたいのを必死で踏みとどまる自分が可哀そうに思えてくる。ゲイだからって、恋が叶わない訳じゃない。大原さんとチハヤさんの様に時間を掛けて成就する恋や愛もある。一旦は諦めた想いをまた呼び起こされて、正臣も俺が好きだと云う。普通なら万々歳のところだ。な [続きを読む]
  • 『迷惑な落とし物。』60
  •  人前で泣いたのなんて小学生の時以来。こんなにも情けない気持ちになった事なんかない。正臣を諦めようとした高校時代だって、泣いたりはしなかった。なのに.................。「.........ハルミ..........」正臣が俺に声を掛けると、グッと肩を引き寄せた。その勢いで思わず胸に顔を埋める格好になると、Yシャツのネクタイが俺の顔に当たって涙を拭う。「ぁ、汚れる....」慌てて顔を離そうとする俺の背中を正臣は力を入れて抱 [続きを読む]
  • 『迷惑な落とし物。』59
  •  水を飲んでいる俺の姿をじっと見つめながら、正臣がイラついているのが分かる。床に着いた踵が小刻みに揺れると、堪らず立ち上がって俺の後ろに来た。「ハルミ、説明しろよ。昨日はオレとお前の気持ちが通じ合って、やっと一緒に居られるって思ったところなのに。今日になってどうして無かった事になるんだ?!家族ってのがイヤなら、どう云えばいい?」後頭部を過ぎるのは、正臣の行き場のない感情を吐露した言葉の数々。俺の頭 [続きを読む]
  • 『迷惑な落とし物。』58
  •  いつもより少しだけ遅くなったが、それでも繁華街が近いこの通りは人で賑わっていた。会社帰りのスーツ姿を見ると、否応でも正臣の姿が脳裏に浮かぶ。さっき云われたチハヤさんの言葉が、また俺の中でグルグル回り出すと、居てもたってもいられなくて正臣の携帯にメールを送る。『話がしたい。時間あったら電話して。』なんともあっさりとした内容のメール。こんなので正臣がメールか電話をよこすだろうか。まあ、来なくてもいい [続きを読む]
  • 『迷惑な落とし物。』57
  •  呆気にとられたまま、手を引かれると奥の洗い場に連れて行かれた俺。「ぁ、の〜........」小さな声で事の意味を訊ねるが、チハヤさんは微笑みを浮べると俺と向かい合った。グッと肩を掴まれて、そのまま見つめ合うと急に照れてしまう。だって近くで見たらやっぱり綺麗な顔立ちで、こんな年上の人になら身を委ねてもいいか、と思ってしまった。「キス、しようか?!」「...........ぇ?」ポワ〜ンとなってしまった俺は、そう言っ [続きを読む]
  • 『迷惑な落とし物。』56
  •  パタン、とドアを開けるなり「チハヤさん、僕、今からリコリス行ってくる!うちで待っててよ?!」と云った大原さんは、片手に持ったサンドウィッチの包みを俺に寄越した。「え?ママ来てんのか?」「うん、今連絡あって、久しぶりに顔見たいって。チハヤさんも行く?」「あ〜、オレはいいや、やめておく。」「そ?!じゃあ、僕だけ行くね。」「ああ、行って来い。」目の前で次々と発せられる会話に、ひとり置いてけぼりを食らう [続きを読む]
  • 『迷惑な落とし物。』55
  •  「これならお金貰ってもいいんじゃない?時間もかからずに、ちゃんとスタイル作れているし。」「ホントですか?!」「うん、充分だろう。今度フリーのお客さん来たら入らせてもらえると思うよ。」「ありがとうございます!」大原さんの言葉で、一気に俺のテンションも上がる。兎に角お客さんに接する事が一番だし、気に入ってもらえたら嬉しい。子供のカットもそれなりに大変だけど、やっぱりスタイルを作るのが好きだから、そこ [続きを読む]