tk さん プロフィール

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tkさん: tkの読書日記
ハンドル名tk さん
ブログタイトルtkの読書日記
ブログURLhttp://tkbk.seesaa.net/
サイト紹介文読んだ本の中から、よかったものを紹介しています。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供15回 / 365日(平均0.3回/週) - 参加 2016/01/25 10:33

tk さんのブログ記事

  • 『南海トラフ地震』山岡耕春 岩波新書
  • 南海トラフ地震のメカニズム、今後の発生確率の根拠、誘発される断層型地震、被害想定が丁寧にまとめられていて読みやすい。南海トラフ沿いの深さ40km以上の場所は温度が300℃以上で、ずれの速さが大きくなっても摩擦力が小さくならないため、境界面は常に一定の速度でずれ動いている。地震を発生させる温度の低い場所と常に動いている場所との間は両者の中間的な性質のため、プレート境界のスロースリップに伴う深部低周波地震が [続きを読む]
  • 『「自分メディア」はこう作る!』ちきりん
  • ブログ運営の舞台裏と本人が選んだブログ記事で構成されているが、どちらも読み応えあった。小学5年生の時に「ニ十歳の原点」を読んで、日記を書き始めた。著者にとっての日記は「今日はこんなことを考えた」という思考の記録で、高校時代には、その一部を友人に見せたりもしていた。Chikirinの日記は、ブログサービスを使って日記を書くつもりで2005年に始めた。2008年の半ばに、はてなブックマークが大量に付けられるようになり [続きを読む]
  • 『富士山大噴火と阿蘇山大爆発』巽好幸 幻冬舎新書
  • マグマや火山の形成、噴火の要因、富士山や巨大カルデラ噴火について、わかりやすくまとめられている。マグマは、海洋プレートが沈み込んだ100km以上の深さでプレートから絞り出された水とマントルが反応して生まれる。玄武岩質マグマは、比重が重いマントルの中を上昇した後、ほぼ同じ比重の地殻の底で止まる。そこで冷えて結晶化したものが沈み、液体部分に軽い二酸化ケイ素が増えた安山岩質マグマが残ると、地殻より比重が軽く [続きを読む]
  • 『世界像革命』エマニュエル・トッド
  • 社会ごとの家族構造と政治制度の関連を分析したトッドの講演、討論会、対談を集めたもの。2001年発行なのでやや古いが、石崎氏の解説が要領よくまとめられていて、トッドの学説を手軽に学ぶにはいい。伝統的な農民社会が近代化する際に関わるモデルを提供するもの。システム間の統計的な関係を示唆するもので、個人レベルでの拘束力を意味しない。近代化による工業社会への移行に伴って、長子相続を維持する必然性が薄れるなど、家 [続きを読む]
  • 『国家はなぜ衰退するのか』ダロン・アセモグル, ジェイムズ・A.ロビンソン
  • 世界に裕福な国と貧しい国が生まれた理由を歴史的に解き明かす。緯度や気候などの地理的条件、宗教や民族ごとの価値観などの文化的側面は、世界的な不平等の説明にはならず、経済と政治の制度が重要であると説く。ヨーロッパの植民地としての歴史を持つ南北アメリカ大陸に相違が生まれた理由がおもしろい。スペインが支配するアメリカ大陸の植民地では、金銀の略奪段階が過ぎると、労働力としての先住民を分け与える制度であるエン [続きを読む]
  • 『寄生虫なき病』モイセズ・ベラスケス=マノフ
  • アレルギーは衛生状態が改善したことによる副作用のようなものと言われているが、寄生虫や細菌の刺激を受けなくなったために免疫系が正常に機能できなくなったものであると説明する。2000年代の初め、白血球の一種で腸内の共生細菌との平和を維持するレギュラトリーT細胞が存在することが確認された。アレルギーは、免疫反応が誤作動することではなく、免疫を制御する抑制細胞の欠如によって起こる。アレルギーを引き起こすタンパ [続きを読む]
  • 『オリエント世界はなぜ崩壊したか』宮田律 新潮選書
  • 中東・イスラム地域の通史だが、特にオスマン帝国の末期以降は詳しく書かれている。ゾロアスター教は、紀元前1000年頃、イラン高原東北部(あるいはカザフスタン)で生まれた。最初に天と水が、そして世界は水の上に創造された。創造主であり全能の神アフラ・マズダーと、それと対立する破壊霊アンラ・マンユが存在する善悪二元論。善悪の判断は各自に委ねられるが、最終的には神によって裁かれる。背景にはメソポタミアの混乱があ [続きを読む]
  • 『人類進化の謎を解き明かす』ロビン・ダンバー
  • 摂食と移動、社交、休息に必要な時間収支モデルを使って、人類の進化を考察する。霊長類では、社交時間と集団規模は正比例する。生息地の豊かさ(降雨量に依存する)と集団の規模によって移動時間が決まり、それが大型霊長類の生物地理学的分布の制限要因となる。人差し指の長さの薬指に対する比率(2D:4D)は、胎児が子宮内でさらされたテストステロン濃度の影響を受ける。オスどうしがメスを争う多婚種では2D:4D比が小さく、単婚種 [続きを読む]
  • 講演会「人工知能が大学入試を突破する時代、人は何をすべきか?」
  • 地元で講演会「人工知能が大学入試を突破する時代、人は何をすべきか?」があったので聞きに行きました。今回は、その報告です。講演者は、人工知能(AI)が東大合格を目指す「東ロボプロジェクト」を率いてきた新井紀子さん。2010年の段階で、様々なAIの研究プロジェクトの審査をした経験から、2025〜30年にはホワイトカラーの半分が機械に取って代わると予測したという。それを本「コンピュータが仕事を奪う」に書いて出したら、本 [続きを読む]
  • 『政府はもう嘘をつけない』堤未果 角川新書
  • 1%の超富裕層と利益をむさぼる企業が政治を牛耳り、結果として国民から主権を奪っているディストピア世界のような現状が描かれている。特に、ISDS裁判やTPPなどの国際協定を説明する第3章、IMFの緊縮財政案を拒否して経済を回復させたアイスランドの事例を紹介した第4章は読みごたえがあった。クリントン政権が締結したNAFTAは、アメリカで年間20万人の雇用を生み出すと宣伝されたが、実際には100万件の雇用を失った。メキシコでは [続きを読む]
  • 『あざむかれる知性』村上宣寛 ちくま新書
  • 複数の論文を統合するメタ分析の手法を用いた研究を紹介している。諸説が入り乱れる食事や健康の分野についても、結論が出ているものが多いようだ。scienceの語源は、ラテン語のscientia(知識)、その起源はギリシャ語のskhizein(分割する)。現象を分割すると数量化が可能になり、伝達が可能になる。すなわち、科学の特徴は、検証可能性と言える。アーチポルド・コクランは、1972年に根拠に基づく医療(EBM)を提案し、1993年には [続きを読む]
  • ブックガイドの積極的な利用のすすめ
  • 自分の読書歴があまりにも貧しいことに気づいて愕然とし、奮起して読み始めたのは2010年。しかし、書店の膨大な数の本の中から読むべき本を自分で探すのは簡単なことではないし、効率的でない可能性が高い。ネットのレビューも積極的に利用したが、最も役に立ったのはブックガイドだった。紹介されている本の中から関心を持ったものを読むことができるだけでなく、不案内な分野のトピックを知ることもできるし、関心の幅を広げるこ [続きを読む]
  • 『親切な進化生物学者』オレン・ハーマン
  • 奇数章は利他行動や群淘汰を、偶数章はジョージ・プライスの人生を追う。ダーウィンは、アリの社会性の謎に対して「誰が利益を得るのか」という視点から、その答えを共同体だと考え、人間の社会的本能は共同体の幸福のために獲得されたものであると書いた(人間の由来)。ピョートル・クロポトキン(1842〜1921)は、ポーランドで起こった反乱が反動を受けて改革とその精神が忘れられたことに幻滅すると、満州の地理学的調査に向かい [続きを読む]
  • 『人工知能は人間を超えるか』松尾豊
  • 時代毎の人工知能の開発の歴史を追った上で、現在の状況を説明しているのがわかりやすい。ディープラーニングと機械学習との違いもよくわかった。1960年代の第1次ブームでは、推論と探索によって問題を解く研究が進んだ。チェスや将棋などのゲームでは、盤面を評価するスコアをつくり、そのスコアがよくなる次の差し手を探索した。こちらは点数を最大に、相手はこちらの点数を最小にする手を指すミニマックス法を用いる。局面が最 [続きを読む]
  • 『文科系のための暦読本』上田雄
  • グレゴリオ暦に至る歴史、太陰暦、二十四節気と暦に関する疑問をほとんどカバーしている。とても充実した内容だった。タイトルに「文科系のための」と付いているのがもったいないと思うほど。古代ローマのロムルス暦は、春を1年の始まりとした10か月だけで、残りは冬ごもりの時期とした。1〜4月はローマの神の名をとり、5月以降は数詞を月名とした。BC710年に改訂されたヌマ暦で11月と12月が加えられ、神の名が付けられた。ヌマ暦 [続きを読む]
  • 『宗教を生みだす本能』ニコラス・ウェイド
  • 読み終えるのに時間はかかったが、内容は意外と単純だった。宗教は社会をルールに従わせるためと、戦争のために結束させるために発達したと説明する。ドゥ・ヴァールは道徳について、共通の価値に基づいて争いを処理する集団全体のシステムから生まれる善悪についての感覚と定義する。道徳はサルや類人猿にも見られる(対立後の和解、共感、社会ルールの学習、互恵の観念)。人間が言語を獲得すると、他人が何を知り、何をしたいか [続きを読む]
  • 『日本文明と近代西洋』川勝平太 NHKブックス
  • 幕末の開国当時、国際的に取引されていた主要商品は、すべて国内で自給できていたことが、自由貿易でも日本がアジア中枢部との競争に勝つことができたという内容。銀の流出を止めるために商品の国産化を推進して成功し、鎖国をしていたにも関わらず国内の経済は活性だったことがわかる。中世末から近世初期にかけて、日本とヨーロッパは多くの物産を、それ以前からアラビアから中国まで広がっていたアジア貿易圏から輸入した。ヨー [続きを読む]
  • 『日本の土』山野井徹
  • クロボク土の正体を明らかにすることがこの本のテーマだが、土壌の形成過程から丁寧に説明しているのでわかりやすいし、様々な観点から考察していく様は謎解きをするようでおもしろい。土の正体を解明することによって過去の生活を垣間見ることができるとは驚きであった。土壌は、岩石が風化して粒子となったものが集まって母材となり、ここに有機物の分解や集積、無機物の溶脱や集積が進行して形成される。土壌の形成過程は気象条 [続きを読む]
  • 『多数決を疑う』坂井豊貴 岩波新書
  • これはおもしろかった。選挙などの社会や組織の意思をどのように決定するかがテーマ。少数意見が反映されない問題を論じているものかと予想していたが、ペア敗者・ペア勝者、二項独立性などといった様々な観点があるという奥の深い内容だった。他のすべての候補に対して優る「ペア勝者」を選択できる方法がベストのように思うが、それを満たすのは数理統計学を用いる方法しかないらしい。著者も指摘している通り、多くの人にとって [続きを読む]
  • 『(日本人)』橘玲
  • 前半は日本人論。武士道や和の精神は日本人に特有なものではなく、日本は最も世俗的な社会であるとの分析には目から鱗が落ちる。後半は民主制などの社会制度やグローバリゼーションがテーマ。世界価値観調査の中で、日本人が他の国々と大きく異なっている項目は、「進んで国のために戦う」(15%、先進国で最低)、「自分の国の国民であることに誇りを持つ」(57%、香港に次いで2番目に低い)、「権威や権力は尊重されるべき」(3% [続きを読む]
  • 『【図説】「資源大国」東南アジア』加納 啓良 歴史新書y
  • 東南アジアのコーヒー、サトウキビ、天然ゴム、ココヤシ、アブラヤシを取り上げる。ヨーロッパの海洋進出以降、これらのプランテーションが次々に開発されていき、モノカルチャーによる商品経済に組み込まれていった歴史がコンパクトにまとめられている。1619年にバタビアに根拠地を築いたオランダ東インド会社は、18世紀にはジャワを中心に領土支配を広げたが、そのための出費がかさむなどして経営が悪化し、18世紀末には解散に追 [続きを読む]
  • 『右傾化する日本政治』中野晃一 岩波新書
  • 日本の政治の歴史を政治的立ち位置を切り口にしてたどる。かつて主流を占めた開発主義と恩顧主義の旧右派が、世界的な流れを受けた新自由主義と、アジア・歴史問題への対応をめぐって台頭した国家主義に代わっていく経緯がわかりやすい。西洋の近代化の歴史では、絶対王政や封建主義から個人を解放しようとする中産階級(ブルジョワジー)が自由主義を担った。このうち、アダム・スミスは政府の介入を拒絶する自由放任の経済的自由 [続きを読む]
  • 『ニッポン沈没』斎藤美奈子
  • 「ちくま」誌に連載された「世の中ラボ」の2010年8月号から2015年6月号までをまとめたもの。当時旬の社会問題について、斎藤が選んだ3冊程度の本をベースに論じている。いくつか読みごたえのある記事もあった。「『大きな政府』で何が悪い」では、自民も民主も新自由主義経済の推進者、小さな政府論者が主流であることを嘆く。榊原英資「フレンチ・パラドックス」や、神野直彦『「分かち合い」の経済』は、日本がすでに小さな国で [続きを読む]
  • 『「読まなくてもいい本」の読書案内』橘玲
  • 著者が「知のパラダイム転換が起きた」とする4分野(複雑系・進化論・ゲーム理論・脳科学)と功利主義に絞って読書案内をする。各分野についての解説もその歴史を追う形で読みやすくまとめられている。複雑系については、マンデルブロを軸にその歴史を追っている。マンデルブロがプリンストン高等研究所の博士研究員となった時、ノイマン、オッペンハイマー、アインシュタイン、ゲーデルなどの知性が集まっており、のちに「この時 [続きを読む]
  • 「日本史の謎は「地形」で解ける【文明・文化篇】」竹村公太郎 PHP文庫
  • 著者は建設省で主にダム・河川事業を担当した方。インフラが地形や気象に立脚し、文明を支えているという視点で論じているのが面白い。後藤新平は岩手県水沢市に生まれ、自費でドイツに留学してコッホ研究所で博士号を取得した。台湾総督府民政長官、満鉄初代総裁、逓信大臣、内務大臣、外務大臣を務めた後、東京市長に就任し、シベリア出兵時に毒ガスとして開発された液体塩素を転用して、大正10年に水道水の塩素殺菌を始めた。こ [続きを読む]