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  • 続編

    何だ、これは?ある小説を読み終わり、その終わり方に何とも言えない後味の悪さを覚えた。山本周五郎作、「寒橋」である。周五郎氏(1903~1967年)は、昭和の売れっ子小説家だった。彼の短編集の多くはハッピーエンドで、悪者が成敗されたり、貧しい主人公が幸せを手に入れたりと、読んでスカーっとするものが多いのだが、「寒橋」はどうもいけない。簡単にあらすじを要約すると、時三とお孝と言う若夫婦がいて、お孝の年老いた父親と暮らしていた。夫婦の間に子はいない。時三は入婿で、女中のお民と過ちを犯し孕ませてしまう。お民は二つ身となる為、よその土地へと離れるが、お孝は赤子の父親が誰であるかという事に疑惑を抱く。亭主は保身の為、妻に詰め寄られても否定を続ける。病の床にあるお孝の父親は、娘夫婦の幸せの為と、噓の告白をする。「子供の...続編

  • 日本語の学習

    オタク、イケメン、イケボ、ツーショット、クリパ、チー牛、ラスボス、写メ、ガラケー、セルカ、ビーサン、バチクソ、モチベ、陰キャ、ブッチャケ、男の娘、中二病、あっす、あざす、おずっす、おさぁせん、ポイ活、バズる、ディする、マウントを取る、フェチ...。日本を離れてから、45年ほど経つ。これらは私にとって全く意味の分からない新しい日本語である。本棚の片隅で埃を集めている国語辞典は、年月を経て黄色に変色し、昭和48年に印刷されたもので、役立たずとなった。ありがたいことに、近代社会には「グーグル」と言うものがあり、これをもって新語の学習をすることができる。言っておくが、英語訳を調べるためにグーグルを使うことは、あまりお勧めしない。時と場合によっては、ひどく頓珍漢な訳が出てくるからだ。私は日本語と英語しか解することが...日本語の学習

  • アメリカのサイン

    アメリカでは65歳になると、皆Medicareと呼ばれる健康保険を申請する。私もオンラインで申し込みをしたが、出生地が外国なので、現在米国籍であることを証明するための書類提出を求められた。SocialSecurityAdministration(社会保障局)の事務所へ行かねばならない。DepartmentofMotorVehicles(車両管理局)や、CitizenshipandImmigrationServices(移民業務局)等と同じで、誰も行きたくない場所である。理由は、待ち時間がやたらと長いからだ。2、3時間などは当たり前で、ひどいときにはお尻が痛くなるまで半日座ったまま待たされる事もある。3時間待ち、支持された窓口へ行くと、恐ろしく機嫌の悪そうな兄ちゃんが座っていた。「イヤだな。さんざん待たされ...アメリカのサイン

  • 世界三大美女 (その3 小野小町)

    クレオパトラとヤンは、私を見るなり口をそろえて問う。「フィービー、あの女の人、誰なの?」私は答えた。「あなた達のように、世界三大美女のうちの一人、小野小町よ。知らないの?」「知らない。」「知らないわ。聞いたことない...。」女王は言った。「あんな糸のように細い目をした人が、美人なの?一体、人の話を聞いているのか、目をつむって眠っているのかわからなかったわ。」察するに、小野小町の知名度は日本だけにあり、世界では彼女のことを知る人はまずいないようだ。ここで私は説明をする。「平安時代の日本では、ほっぺたが膨れて目が細い人が美人とされたのよ。」二人が、ふ~んと不思議そうな顔をした時に、私の次男がやって来た。洗面所の蛇口からぽたぽたと漏れるので、新しいものに付け替えてくれるようにと頼んでおいたのだ。やぁ、いらっしゃ...世界三大美女(その3小野小町)

  • 世界三大美女 (その2、楊貴妃)

    楊貴妃が寝室へ消えてしまってから、しばらく居間はし~んとしていた。エジプト女王は欠伸をしながら両手を天井へ伸ばし、ストレッチを繰り返していたが、小野小町はブスッとそっぽを向いていた。私はというと、先ほど入手した情報を逃すまいと、メモの整理に忙しかった。「あなた達、何の話をしていたの?」パッツィーは、むき出しのお腹をポリポリと長い爪で搔きながら言った。それには答えず、コマっちゃんは反対に尋ねる。「あなた、この時期にお腹を丸出しにして、寒くないの?」女王も、質問を返す。「あなたこそ、バスローブの様なモノをそんなに何枚も着込んで、暑くないの?」「日本の宮中では、こういうものを身に着けるのよ。みだりに肌を見せるのは、下賤の者達のすることです。」「何ですって!?」ここで私は、割って入った。「まぁ、まぁ、みんなせっか...世界三大美女(その2、楊貴妃)

  • 世界三大美女 (その1、クレオパトラ)

    さて、エジプトからクレオパトラ、唐の国から楊貴妃、そして日本から小野小町がアメリカの我が家にやって来た。世界三大美女と言われた彼女たちは、我こそが最高の美貌を誇る者なりと言わんばかりに、着席後ハンドバッグからコンパクトなんぞを取り出し、髪を押さえたり化粧パフで鼻の頭をたたいたりしている。私はしばらくの間、それを面白そうに見学していたが、おもむろに口を開いた。「さて、それでは始めましょう。それぞれ自己紹介をしてください。パッツィー(クレオパトラ)からどうぞ。」「クレオパトラ7世です。エジプト、プトレマイオス朝の、えへん、女王です。」パッツィーはどんなもんだ、と言わんばかりに楊貴妃と小野小町のほうへ顎をぐいと突き出した。それをものともせず、ヤングイ(ヤングイフェイ、楊貴妃)は言った。「ヤングイフェィです。唐国...世界三大美女(その1、クレオパトラ)

  • 世界三大美女(序章)

    「退屈だな...。」3歳になった孫娘が保育園へ通うようになってから、半隠居生活の様な日々が続いている。次男夫婦が共働きをしているので、3年間彼女の面倒を見た。ようやく孫の育児から解放された時は、余暇もでき、嬉しかった。今までやりたくても時間がなくて出来なかったキルト作りを始め、クイーンサイズのベッドカバーを数週間で完成させたり、中途半端になっていたショパンのワルツを練習したりと暫く忙しい日々が続いた。しかし、ある日突然熱が引いたように、ぼんやりした。さて、今日は何をしようか?大好きな畑仕事も、この寒さで地面が凍てついてしまったので、出来ない。そろそろクリスマス休暇で、ピアノ教室の生徒たちもレッスンを休んでいる。それではと、客を三人お茶会に招待することにした。手製の大福餅を作り、茶の準備を整えていると、一番...世界三大美女(序章)

  • クリスマス

    「ちょっと、言いたいことがあるんだけど。」今から15年ほど前のクリスマス、私たち家族は、ボルティモアにある義理の母の家へ集まった。私は七面鳥の肉を食べるのを止めて、テーブルの周りにぐるりと座っている全家族を見回した。子供たちも含めて総勢12人。皆の視線が集まった。私がこれから言わんとすることは、昔の日本でなら、「嫁の分際で...。」と非難されるかもしれない事だった。「来年からは、もう今までの様なクリスマスプレゼントは買わないことにします。」案の定彼らは、「えっ?」というような表情をした。ひと呼吸おいて、私は続けた。「sugarcoat(うまく取り繕う事)はしないで、はっきり言うわね。お金がないのよ。毎年この時期に何百ドルもクリスマスプレゼントに使うのはとても苦しいから。」この場に、後ほど熟年離婚をすること...クリスマス

  • 知らなかった事

    アメリカには、「CuriousGeorge」という漫画がある。日本では「おさるのジョージ」と言われ、小さな子供のいる家庭では、結構知名度が高い。ジョージは「おじさん」と一緒に大都会のアパートに住んでいる。このおじさんは、いつも同じ帽子、シャツ、ズボンを着用しているが、これらすべてが黄色なのだ。本当は、テッドという名前がついているらしいが、作中ではいつも「Themanintheyellowhat(黄色い帽子のおじさん)」と呼ばれる。私の2歳の孫娘もジョージのファンで、よくこのアニメを観る。私も忙しくない時は、一緒に彼女の横に座ることがある。何にでも興味を示すジョージは、毎回いらぬことに手を出し、アパート中の下水管におもちゃを詰まらせたり、ドーナツ屋さんで頼まれもしないドーナツを何百個も注文した後トンズラした...知らなかった事

  • 孫娘との会話

    私には孫が5人いるが、一番の年下は2歳でサラ、という。通称さっちゃん。「バイリンガルの子供たち」の記事に載せたが、サラの両親は共稼ぎなので、週日私が子守をする。私は彼女と接する時は、できるだけ日本語を話すよう努めている。しかし悲しいかな、アメリカ生活も40年を過ぎると、これがうまくいかなくなる。ぼんやりしていると、つい英語になってしまうからだ。我が家から10分ほど離れた次男宅で日本語を話す者はいないので、サラに日本語習得をさせるのはなかなか難しい。2か国語間で混乱したのか、孫娘は話し始めるまで時間がかかった。最近ようやく言葉を使って、色々な意思表示を始めたが、そのほとんどは英語なのだ。私は日本語で質問する。「お腹すいたね。そろそろ、まんま食べる?」「Yay!(わーい!)」「残さないで全部食べなさい。もっと...孫娘との会話

  • あやめちゃん (その2)

    はてさて、「あやめちゃん(その1)」の記事を書いてからあっという間に3か月以上も経ってしまった。彼女を初めて食事に招待した時に、広島で食べたお好み焼きがとてもおいしかったというので、その数週間後にでもまた、という約束をしてあの日はお開きとなった。それから長いことブログをほったらかしにしておいたので、定めし読者の皆様方は呆れたことだろうが、言い訳をすると実は色々あったのだ。まずあの直後、ロシアがウクライナへ攻撃を始めた。ウクライナ国内にいるネオナチ滅僕の為という大義名分を掲げたプーチン大統領の精神状態を疑う。他国のことだから関係ない、アメリカに住んでいる我々は大丈夫、と言うわけにはいかない。数国を除いた全世界から総スカンを食らったロシアでは、ルーブル貨幣の下落や物資不足など様々な不都合が起こり、国民の生活が...あやめちゃん(その2)

  • あやめちゃん (その1)

    昨晩あやめちゃんが、我が家を訪れた。彼女は、イスラエルと米国の二重国籍を持つ22歳の女性である。生まれと育ちはイスラエル。ロシア系ユダヤ人の父とアメリカ育ちのユダヤ人母の間に生まれた。本名は「アイリス」だが、私はそれを日本語に訳して、「あやめちゃん」と呼んでいる。彼女は日本語を学ぶ為、高校卒業直後、日本へ飛んだ。約一年近く滞在し、イスラエルへ帰国。その後、イスラエル国民の義務である女性2年(男性3年)の徴兵期間を経て、現在はアメリカの大学で日本語を学び続けている。あやめちゃんのお母さん、ハヴィヴァは私の知人で、私がまだ現役の美容師であった30年以上も昔、客となってくれたこともあった。彼女は後ほどイスラエルへ移住、結婚し、二人の子をもうけたという話を風の便りで聞いていた。その頃、ある友人の家でハヴィヴァの子供たち...あやめちゃん(その1)

  • ボディー バッグ

    アメリカ男性の多くは、「ちょっとそこまで」の外出時に、カバンを持つという事はまずない。昨今現金を所持する人たちはかなり減少し、カード一枚あれば買い物ができるので、彼らは折り畳み式の小さな財布にそれを入れ、無造作にズボンの後ろポケットに突っ込む。実は、これが結構危ない。ジーンズのデザインなどによってはポケットが浅く、下手をすると何かの拍子に落としたり、椅子に座って立ち上がった時にポロリ、という事も少なくない。このような事故防止の為か、日本の男性間で最近「ボディーバッグ」というものが流行しているらしい。肩から掛けたりして使うもので、インターネットで見ると、あぁなるほどアメリカでいう、「fannypack」のことか、と納得した。(私は日本を離れて40年以上経つ。インターネットで日本の情報収集を怠ると、即座に何もわから...ボディーバッグ

  • バイリンガルの子供たち

    孫娘、サラは二歳半になるが、言葉を話すようになるまで時間がかかった。小児科医師によると、一才前後で「ママ」「ダダ(ダディ)」などの単語が出てくるようになると言う。しかし彼女は意味不明なことをあれこれと言うのだが、何を言っているのかさっぱりわからなかった。カリフォルニアに、サラと同い年の従兄がいるが、彼は早いうちからいろいろな言葉を覚え、「ボール」ひとつにしても、サッカーボール、ベィスボール、フットボール等と区別ができる。送られてきた動画を見ながら、「可愛いわね。」とほほ笑むサラの母親は、少し暗い表情をして私に聞いた。「うちの子、どこか悪いのかしら?」「大丈夫よ。人それぞれ皆違うからね。ハリー(Harrison、ハリソンの愛称、サラの従兄)と比べてはいけないよ。」嫁をこのように諭したものの、私自身だんだん心配にな...バイリンガルの子供たち

  • さらば、グゥフィー (その2)

    警察署に着き、ごみ袋を手にして建物の中に入った。週末の早朝なので、誰もいない。受付まで行くと、ガラスの向こうに男性の警察官が座っていた。にこりともしない。「おはようございます。先ほど電話をした者ですが。」「おはようございます。それが、例の?」そうです、と言って袋を渡す。彼はビニール袋の中をちら、とだけ見ると、それを机の下に置いた。ひと通り私から情報を得た後、何事もなかったかのように、「Thankyou.Haveagreatday.」(ありがとうございました。よい一日をお過ごしください。)とだけ言い、あちらを向いてしまった。え、何?これだけ?慌てて尋ねる。「ちょっと待ってください。彼らを連行し、尋問などしないのですか?」お巡りさんは、相変わらず不愛想な顔で答えた。「No.」No...って、どういうことだ?私は突如...さらば、グゥフィー(その2)

  • さらば、グゥフィー (その1)

    「肥溜め」の記事に載せたが、我が家の隣には凶暴な犬がいる。グゥフィーという名で、朝から晩までギャンギャン吠える。足は短いが、軽々とフェンスを飛び越え、近所の住民達を脅かす。私は庭仕事をしていた時、2回襲われそうになった。斜め向かいの奥さんは、子供を学校へ連れて行く為、車のドアを開けようとしたところ、すぐ後ろでこいつが構えていて、もう少しで危ないところだった。我々が通報したので、飼い主は200ドルの罰金を科せられたが、事は少しも改善されなかった。ここに引っ越してきてから、近所中の嫌われ者となってしまったが、当の本人達はどこ吹く風である。彼等が疎まれる様になったのは、グゥフィーだけが原因ではない。その理由を並べると、ゴミのポイ捨て。風に吹かれて近所中の庭を汚す。夜中過ぎまで、大音響で音楽をかける。庭中に壊れた家具、...さらば、グゥフィー(その1)

  • 裏返しのパンツ

    以前、「ゴムのパンツ」という記事を載せた。ここで書いた「パンツ」は、アメリカで、pantsイギリスで、trousers日本では、ズボンと言われるもので、下着のことではない。だが今回の「パンツ」は日本でいう下着のことで、私が子供の頃、田舎の祖母はこれを「ズロース」と言った。父の転勤に伴い、東京へ6歳の時に転校をしたが、甲州弁丸出しで、このズロースという言葉をクラスメートの前で使い、大笑いされた記憶がある。「東京のボコ(子供)は、意地が悪いダ。」と傷ついた。あれから60年近く経つが、現在はアメリカのヴァージニアで暮らしている。年を取ると、若かった頃にはどうでもよかった様な事が気に入らなくなる。そのうちの一つは、下着の縫い目、縫い代。それが直接肌にあたると、どうも嫌だ。であるから、私は裏返して着用する。パンツと言えば...裏返しのパンツ

  • アメリカの嘘つき商品

    「これがSサイズ?嘘でしょ!」私は婦人服売り場でシャツを手にし、憤慨していた。アメリカに来てから40年以上経つが、昔はこれほど酷くなかった。「肥満国、アメリカ」という記事を以前書いたが、2021年現在、この国の成人36.5%はobese(肥満)で、32.5%はoverweight(太りすぎ)という統計が出ている。であるから、アメリカ成人人口の2億5834万人の3分の2が太りすぎなのだ。日本語の「肥満」と「太りすぎ」という言葉の間に大した差はないように感じるが、英語のobeseとoverweightの間には、大きな違いがある。overweightというと「一般的な肥満」を表し、こんなにおなかが出てきてしまった、少しダイエットしなければ...程度のものである。obeseは「病的肥満」を表す。糖尿病、心臓病などの問題...アメリカの嘘つき商品

  • グゥフィー と キヨちゃん

    うぅぅ、ワンギャン、ガウガウ!「肥溜め」の記事に載せたが、お隣さんの犬はよく吠える。雑種の雄犬で、名前はグゥフィーという。ちなみに英語でgoof(グゥフ)というと、アホとかトンマな奴という意味である。その名通りのグゥフィーは、毎日私が裏庭の畑に出ると、チェーンリンクのフェンスに飛びついてくる。ドッグフードの食べかすがついた歯をむき出しにして、フェンスをがりがりかじる。これはお隣の家主さんのフェンスなのでどうでもいいが、とにかくうるさい。飼い主のマルガリータは、犬の糞をいつもほったらかしにするので、向こう隣りの「デッキの旦那」に苦情を言われた。(「肥溜め」その2記事参照)その後しばらくの間は掃除をしていたが、また最近さぼっている。黙っていれば結構かわいい顔をしているのに、うるさいことうるさいこと。畑の胡瓜を台無し...グゥフィーとキヨちゃん

  • 肥溜め (その2)

    隣人が飼っているムク犬のグゥフィーは、よほど私のことが嫌いなようで、こちらが畑仕事をしている間中吠えるのを止めない。ある日、向こう隣りの旦那が耐え切れなくなったのだろう、デッキの上から大声で怒鳴ってきた。「SHUTUP!!!」(黙れ!!!)もちろん彼は、犬に向かって怒鳴ったのだが、なんだか私も責められているような気がした。私がそこにいなければこのアホ犬も静かなのだから。だからと言って、畑仕事を放り出すわけにはいかない。ところで春先に、胡瓜の種をまく前、フェンスに蔓を絡ませてもよいかどうか、この家の家主に聞いてみた。意地悪ばあさんから家を買った彼は、改築をし、賃貸住宅としてマーケットへ出したのだ。フェンスは彼の地所に属していたので、一応許可をもらった。「あぁ、もちろんかまいませんよ。たくさん胡瓜が採れるといいです...肥溜め(その2)

  • 肥溜め (その1)

    「ひと袋5ドル27セントか...。高いな。」畑の肥料が必要になったので、牛糞を買うため園芸店に赴いた。我が家の家庭菜園は裏庭が広いので、かなり大きい。すべての畝に与えるためには、大量の肥料が必要だ。計算すると結構な額となる。スーパーマーケットで、有機野菜を買ったほうが安上がりかもしれない。しかし、野菜作りの楽しさと、新鮮な野菜を裏庭から台所へ直行という利点は捨てがたい。昔、別れた亭主からはドケチ呼ばわりされたが、節約は我が美徳でもあるので、何とか安く肥料を手に入れることはできないものか、と思案した。インターネットを調べると、雑草を利用した「タダの堆肥作り」を発見。作り方はいとも簡単で、バケツに水を張り、庭から引っこ抜いた雑草を浸しておくだけ。草が腐って発酵し、2,3週間ほどでこの水を液体肥料として使えるそうだ。...肥溜め(その1)

  • ごはん泥棒

    畑の隅にはびこる青じそを眺めて、ため息をついた。数年前に友人から苗を譲ってもらい植えたが、毎年秋になると種がこぼれ落ち、翌年の春には雑草のように芽がたくさん出てくる。「そうめんの薬味に、ほんの少しだけ欲しかったんだけどな...。」こんなに増えるとは思わなかった。今年の春は忙しかったので、ほとんどそのままにしておいたら、グラウンドホッグ(ウッドチャックともいわれる野生動物、猫ほどの大きさで、毎日のようにわが家の畑を荒らしに来る。)の隠れ家になりそうなほど、ぼさぼさになってしまった。やれやれ、どうしよう。いっそのこと熊手でかき回し、みんな根っこから抜いてしまおうか。だが、それをしなくて本当に良かったと、今日思った。話は少しそれるが、私はあまり料理好きではない。けして、下手くそなのではない。ただ煩わしくて、好きになれ...ごはん泥棒

  • 野鳥撃退法

    私は園芸を趣味とするので、春夏になるとブログをサボる。ピアノ教室の生徒たちには練習をしろとうるさく言うが、自分はしなくなる。最後にピアノを弾いたのは先週、2歳にならんとする孫娘を膝に乗せ、「ネコふんじゃった」を弾いた時だ。6歳の時から東京で育ったが、人混みが大の苦手で、田舎を好む。4年ほど前に現在地に引っ越しをしたが、本当は誰もいない森の中に住みたかった。しかし次男と嫁のごうごうたる反対にあい、仕方なくこの家を買ったのだ。我が家の裏庭は、幼稚園の運動場くらいある。花だけではなく、いろいろな野菜を植えた。昨年は狸とスカンクに荒らされ、薩摩芋に甚大なる被害を受けた。今年はそれを防ぐため、孫娘の老犬、「キヨちゃん」(「乾物屋のキヨちゃん」の記事参照)を借りてきて、裏庭中におしっこをばらまいてもらったが、雨が降った後は...野鳥撃退法

  • アメリカの現実 (最終編)

    アメリカの首都ワシントンでの暴動後、我々国民は考えた。なぜ連邦議事堂になだれ込み、犯罪を犯した連中の多くは、逮捕されることなく帰ることが出来たのか?答えは簡単だ。彼らが皆、白人だったからだ。あれだけの人数が暴動を起こしたのに、お縄になったのは、たったの13人である。このシリーズ、(その1)に書いたが、白人の警察官が暴徒たちと写真を撮って悦に入っていることがバレた。どこか狂っている。バイデン次期大統領が彼らのことを「テロリスト」である、と言った。これは過言ではない。ピストル、猟銃、ナイフ、催涙ガスなどの武器を持った者たちも少なくなかったからだ。暴徒たちの手により、一人の警察官が殉職している。数時間後、これだけの騒ぎを起こした後で、驚いたことに、彼らは警察官に開けてもらったドアから、(ポリスは彼らが通れるようにと、...アメリカの現実(最終編)

  • アメリカの現実 (その3)

    連邦議事堂での暴動後、上院下院議員たちは焦った。どうやらトランプのアタマがまともではなさそうだという事に、共和党員たちもやっと気づいたのだ。国民を扇動して、国会を攻撃させるなどという事をする国のリーダーが、いったい何処にいる?アメリカにいた。わが国には、憲法修正第25条(the25thamendment)という法律がある。これは、もし大統領が何らかの理由で、職務を続けることが不可能となった場合の対処法である。ペロシ下院議長を筆頭に、政治家たちはこの第25条を持って、トランプを取り除く計画について話し始めた。二度目の弾劾要求である。専門家に言わせると、彼をホワイトハウスから取り除くためには、少なくとも3分の2の議員たちの同意を必要とする為、これは現実的ではない、と言う。このニュースを聞いた時、私は、「あと2週間で...アメリカの現実(その3)

  • アメリカの現実 (その2)

    この大騒動の前後で、トランプ政権高官たちの辞任が相次いだが、黙って静かに去って行く者があれば、辞職したとたんにテレビに顔を出して、元ボスの事を悪し様に言う連中もいた。名前は忘れたが、ある女性は、トランプがいかに嘘つきで、自分勝手で、無責任で、とこき下ろしたが、その最中に、彼女にインタビューをしているアナウンサーから質問をされた。「あなたはつい最近までトランプの指示に従い、その嘘つきをサポートする為に働いてきたのですよね。なぜ今、この時期に辞職し、彼の批判をするのですか?これから新しい仕事を探すためですか?」彼女は一瞬ぐっと詰まり、苦笑いをしたが、質問されたことには全く答えず、自分の言いたい事を勝手に喋っただけだった。ワシントンDCで政治を司る人たちは、ほどんど法律家であるが、なるほど、と思った。彼らは自分の都合...アメリカの現実(その2)

  • アメリカの現実 (その1)

    昨年は世界中の人々にとって辛い年だったが、新しい希望と共に2021年のスタートを切った途端、とんでもないことが起こった。トランプ支持者たちが、連邦議会議事堂へ暴徒としてなだれ込んだのだ。最後に議事堂が攻撃されたのは1814年、イギリスとの戦時中、敵軍によって放火された時である。今回は、よりにもよってアメリカ国民の手によって、首都が汚されたのだ。数日前ホワイトハウスの老人が、彼の支持者たちを集めて演説をした時にいやな予感がしたが、的中した。あと就任期間が2週間しか残されていないのに、どうしても諦める事が出来ないらしい。烏合の衆はほとんど白人たちで、プラウドボーイズ(ProudBoys)、キュウアノン(QAnon)、やクークラックスクラン(KKK)といった白人至上主義の人種差別者の集まりである。南部連合の旗を掲げた...アメリカの現実(その1)

  • 強情と頑固

    「強情」と「頑固」の英訳を調べると、まず一番初めに出てくるのが、「stubborn」である。しかし、これらの単語を二つ一緒にして、全く同じ意味かというと、それは違うような気がする。「頑固」には、これという固い信念をもって、自分を信ずる自信と勇気が含まれているような気がする。頑固な職人、頑固おやじ等。だが「強情」には、人に嫌われたり、根拠のないあきれ果てた信念を捨てずに、他の者に迷惑をかける、といったイメージがある。私はこのブログを、自分の不満やイライラのごみ捨て場にするつもりはないが、再び「モイラ」のことを書く。モイラは、私のピアノ教室の生徒の一人である。裕福な家庭の4人姉妹の末っ子で、現在8歳の彼女は、私にとって頭の痛い生徒だ。初めてこの子に会ったのは、母親のランスキー夫人が娘たちを連れてピアノ教室に顔を出し...強情と頑固

  • Life Coach (最終編)

    世界中に、思いがけない事態が蔓延した。パンデミックとなり、仕事を失った家庭も少なからず、ピアノ教室の生徒たちのおよそ70%がやめていった。元通りの生活になったら、またレッスンを再開させます、と親たちは言ったが、保証はない。私自身も、経済的に相当切り詰めねばならない事態となった。ほんの数人の生徒たちが残ったが、わが国アメリカが世界で感染者、死亡者数が最多となったころ、ある保護者が提案をしてきた。「携帯電話のFaceTimeを使ってレッスンを続けませんか?」それは良いアイディアだと、喜んだ。しかし実際初めて見ると、電波の接続が悪く難儀をしたり、私が手の届かないところにいる為、それを利用して悪さをする生徒も出てきたりと、楽ではなかった。マコーネル家は最悪だった。案の定、時間になっても電話をかけてこない。彼らを紹介して...LifeCoach(最終編)

  • Life Coach (その3)

    したたか体を打ったので、床の上で仰向けに倒れたまま、腰をさすろうと手を当てた。すると、ねちゃっ、と何かがへばりついてきた。ひぇっ、何だ!?見ると、床一面に液状ソープが垂れ流してある。そして便座にまで、ご丁寧にそれがなすり付けてあった。用を足そうと便器に腰を下ろした途端に、つるりとお尻がすべり、床へどたーんと行く寸法なのだ。子供というのは、悪戯をするものだ。私も子供時代にいろいろやって、叱られた思い出がある。腰が痛かったので、少しいまいましかったが、仕方がない。そろそろと起き上がって、掃除を始めた。それが終わり、さてどうしよう、と考えた。過去、生徒たちがわが家でいろいろなことをするたびに、親との話し合いがもたれたが、激昂して電話越しに怒鳴ってくる人もいた(全て母親たち)。さて、電話を掛けよう。「...と言う訳です...LifeCoach(その3)

  • Life Coach(その2)

    マコーネル家の子供たちがわが家のピアノ教室に通い始めたのは、パンデミックの始まる一年ほど前であった。ある日、お兄ちゃんのイアンを教えていると、ピアノに向かっている私たちの後ろで突然、「ズズズー!」という音がした。続いて、「ごわぁっ!」。驚いたことに、母親のティルダが発した音だった。後程分かったのだが、彼女はどうやら蓄膿症らしく、痰を切るため、しょっちゅうこの雑音をレッスン中に出すのだった。これを始めてやられた時、「うっそでしょー!」と心の中で叫んだ。こんなに若くて、きれいな奥さんが...。私は高校生の時に八百屋でアルバイトをしたが、そこの大将がよくこれをやっていた。「はいっ、奥さんっ、今日はカボチャが安いよっ!ごわぁぁぁっ!ペッ!」中年男性がこういうことをしたら、「きったなー!」とまゆをひそめることで終わるだろ...LifeCoach(その2)

  • Life Coach (その1)

    アメリカには、LifeCoachという職種がある。6か月ほどのオンラインコースを受講すると、資格が取れるそうだ。どのような仕事かと言うと、実生活や精神面で人にアドヴァイスをし、肯定的な方向へ導く、というものである。私が41年前にこの国に来た頃、まだ二十歳を少し過ぎたばかりであり、習慣、物の考え方の違いなどから多くの失敗をした。経験豊かな「人生コーチ」がいてくれたら、大いに助かっただろうと思う。さて、私はピアノ講師であるが、ある時息子のシェインがラインを送ってきた。「オフクロ、俺の友人夫婦が、ピアノの先生を捜しているんだけど。子供たちは、8歳の男の子と6歳の女の子。教えてみるかい?」新しい生徒はいつでも大歓迎だが、我が息子の友人という事に少々引っかかった。なんとなれば、もし何かがうまく行かず、私と生徒の親たちの間...LifeCoach(その1)

  • Jerk

    jerk(ジャークと発音する。)とは俗語で、「嫌なヤツ」という意味である。概して、男性に対して使われることが多い。嫌なヤツらは男女の区別なく存在するが、私が最も忌々しく思う男のタイプ、というのがある。女を女であるがゆえに、バカにする連中だ。以前のブログにも書いたが(「金物屋での出来事」の記事参照)、あの店のマネジャーと、横からいらぬ口をはさんできた見知らぬ男の二人は、明らかに私が女であることで(おそらくそれだけではなく、年寄りの東洋人である、という事もその要因であろう。)、あのような態度で接したのだ。私は熟年離婚をするかなり前から、一般的な「夫の仕事」をやった。亭主は、年がら年中不在であったので、草刈り、薪割り、ペンキ塗り、トイレのタンクの水漏れ修理、電気のスイッチとコンセントの付け替え、息子たちが喧嘩で開けた...Jerk

  • 赤っ恥

    あわゎゎ...、どうしよう!焦って弁解したが、わかってくれただろうか...?渡米後40年以上経つが、いまだにあちらこちらで英語の間違いをやらかす時がある。昨日電話でブラウンさんと話をしていた。彼は30代の青年で、奥さんと二人のお子さんがいる。保険のブローカーで、毎年11月になると新年の健康保険を更新する為、電話をかける。インターネットで彼を見つけて、初めて電話をかけたのは今から6年前だ。年に一度の会話であるが、最近はビジネスのみならず、互いの近況報告をしあうようになった。「やぁフィービー、どうしてる?元気?」「ええ、おかげさまで。パンデミックのせいで、ピアノ教室の生徒たちが大勢やめたから、ぴぃぴぃしてるけどね。」「そうか...みんなどこも大変だよね。え~っと、うちは赤ん坊がもう一人産まれたんだ。また男の子だった...赤っ恥

  • ???なインターネット英訳

    本棚に、百科事典が並んでいる。息子たちがまだ小学生だった頃、1,500ドルもした痛い買い物であった。あれから30年経つが、インターネットという便利なものができてから、さっぱりこれらの本は開けなくなった。おそらく百科事典などは、もう販売されてはいないだろうと調べてみたら、まだあった。さすがに需要が少なくなったからだろう、値段は昔の半額である。41年前に日本を離れる時に、亡くなった父が使っていた英和辞典をスーツケースの中に入れた。父は貧しさの為、大学を中退せねばならなかったが、勉強は好きで、この辞書もよく使っていたようだ。アメリカへ嫁ぎ、育児も一段落した頃、私は美容師の免許を取るため、ノースカロライナの田舎で美容学校に入学した。そして、受講中に必要であろうと、毎日この小さな辞書を鞄に入れて通学した。卒業し、免許を習...???なインターネット英訳

  • ハロウィン

    昨日はハロウィンであった。毎年のことだが、お菓子は買わない。配らない。玄関の明かりは消しておく。要するにウチに来てくれるな、ということだ。元々、アイルランドやスコットランドあたりから世界に広まった行事だが、迷惑千万である。日本へは1990年代の後半に入っていったようだが、毎年ろくでもないニュースが続く。いい大人が酒を飲み酩酊し、迷惑行為を働いたりする。私は独身時代ある観光会社でバスガイドをしていたことがあるが、たまにバス一台を貸し切りにして、団体客を受け持つことがあった。まだ二十歳の頃の話だ。我々若いガイドたちは、課長からくぎを刺された。「あなたたちは皆、夜コースのガイドです。昼コースでもたまにありますが、乗車前にお酒を召し上がり、すでにデキ上がっている状態でお越しになるお客様が少なくありません。団体様を受け持...ハロウィン

  • Indigenous Peoples' Day

    アメリカでは、10月の第2月曜日が国民祝祭日となっている。IndigenousPeoples'Day(先住民族の日)と言われ、彼らの歴史と文化を記念し、祝う。しかし、米国50州の中では未だにこの日をColumbusDayと呼ぶところもある。私の住んでいるヴァージニアでは、ようやく2020年10月12日の今日、州知事ラルフノーダム氏によって宣言された。「皆さん、今日はヴァージニアで初めてIndigenousPeoples'Dayをお祝いする日です。先住民の方々は今まで多くの苦難や差別を潜り抜けてきましたが、我々はそれに対して手をこまねいていただけで、何もしてきませんでした。この記念すべき日をもって、和解、癒しと先住民の方々との友情を祝おうではありませんか...。」この日がコロンブスデイとされたのは、1934年だが...IndigenousPeoples'Day

  • 郵便ポスト

    「恐れ入りますが、先月の授業料がまだ届いていません。お忘れになっておられるのでは、と思い連絡をさせていただきます。」ピアノの生徒のお母さんへ、ラインを送った。彼女は過去10年、レッスン料の支払いを滞らせたことはない。パンデミックの為今年3月から、月謝は小切手を郵便で送ってもらう事にした。「それは妙ですね。3週間前に郵便で出しましたが...。いつものように、先生から受け取ったというラインがないので、心配をしていました。」やはり、トランプのせいだ...。数日前に「歴史に名を遺す最高司令官」の記事を載せたが、今回も彼の事を書いている。しつこいとお思いになる方には、読み飛ばすことをお勧めする。私は、ドナルドトランプを支持しない。尊敬もしない。もっとはっきり言うと、大嫌いなのだ。いったいどのようにすれば、こんな人間が出来...郵便ポスト

  • コロナ禍のピアノ教室 「モイラ」

    「ちょっと待って!そこはAマイナーじゃなくてぇ、Aメイジャーですぅぅぅ!Cはシャープだからぁ、黒いキーよ!」「え?先生、今なんて言ったのぉ?」おそらく、わが家の前を散歩で通った人達は、私の大声を耳にしただろう。パンデミックが始まり、ピアノ教室の生徒たちは半分以上、止めた。携帯電話のFaceTimeを使ってレッスンを続けさせませんか、と保護者達に勧めたが、仕事を失った人たちも少なからずいたようで、断られた。皆、子供たちにピアノを習わせるより、食べていくほうが先なのだ。往々にして、物事は望み通りには進まない。素直な生徒たち、呑み込みが早く教えやすい生徒たち、よく練習をする生徒たちが大勢、止めた。残ったのはほんの数人で、彼らは週に一度のレッスンを携帯電話を使って続けている。2年前、「ピアノ教室の生徒たち(Defian...コロナ禍のピアノ教室「モイラ」

  • 歴史に名を遺す最高司令官

    アメリカ大統領には「president」の他に、もう一つの名がある。「commanderofchief(最高司令官)」だ。世界最大の防衛システムを持つアメリカでは、軍関係のニュースが語られる時、頻繁にこの言葉が使われる。大統領は言うなれば、アメリカ軍の最高峰に立つ者なのだ。ドナルドトランプは、ホワイトハウスに引っ越しをしてから、ありとあらゆる暴言を繰り返してきたので、もう彼が何を言っても我々国民はびっくりしなくなった。が、......今度ばかりは、彼の精神状態がまともではないかもしれないと、疑う者も多い。トランプは数日前、国防長官を筆頭とした軍の指導者達を槍玉に挙げて、再びとんでもない発言をした。彼は、今まで何回も盗聴され、人種差別や女性蔑視に関する恥ずべき意見を録音されてきた。だがこれは、ホワイトハウスの中で...歴史に名を遺す最高司令官

  • 愚者と権力

    11月の大統領選挙まで、あと数週間。現在、民主党のバイデンがかすかにリードしているが、楽観はできない。2016年の選挙結果後、私自身を含めた多くのアメリカ国民たちは驚愕した。確かにヒラリークリントンには怪しげな曇がかかっていたが、まさかトランプのような人物が当選するとは思っていなかったのだ。彼は傲慢、野卑である。トランプが演説をする度に思うが、彼の言葉のレベルは小学生並みで、聞いていると痛々しい。時々日本のニュースを読むが、あまり細かいことは伝わっていないようだ。「細かいこと」とはトランプの失言、暴言、失態の数々である。あまりにも沢山あるので、ここにはその幾つかを載せる。2005年、10月テレビタレント、ビリーブッシュ(第43代大統領、ジョージブッシュの従弟)との対談を録音されたもの。「女の.....(女性性器...愚者と権力

  • フィービーおばさんの、意地悪な英語教室

    buffoon,moron,nincompoop,idiot,halfwitこれらは全て差別語である。意味はほとんど同じで、「愚か者」。コロナ禍で外出ができない。携帯電話を使ってのピアノ教室、孫の世話と畑仕事くらいしかやることがない。生徒たちにはもっと練習をしろと言うくせに、最近は面倒くさくなり、自分自身は少しも練習をしない。読書が好きだが、図書館へ行って誰が手にしたかわからない本を借りるのも怖い。であるから、気が付くと私は携帯電話をいじっている。11月の大統領選挙まで、あと3か月ほどだが、このところ共和党の旗色が悪い。トランプの支持率は下がる一方で、現在37パーセント。バイデンとの間にかなりの差をつけられた。だからホワイトハウスの老人は、おそろしく機嫌が悪い。側近たちに当たり散らし、選挙管理委員会のマネジャー...フィービーおばさんの、意地悪な英語教室

  • 喜び

    おや、これは?携帯を使って自分のブログをチェックしようと開けてみた。すると「アブダラ先生」の横に、「1」の数字がある。2016年から始めたブログで、これは124回目の記事だが、この数字は何だろう?それはなんと、「いいね!」の一票であった!誰かが初めてクリックしてくれたのだ。最初は日本の姉であろうと思い、メールをした。「お姉ちゃんがクリックしてくれたの?」「いいえ、私じゃない。」私の読者が、家族友人を含めて2020年2月現在、何人いるのかよくわからないが、いまだかつて一度も「いいね!」をいただいたことはない。家族と幼馴染以外からはコメントもいただいたことはない、淋しいブログなのである。やはり有名人でもない、ただのおばさんが書いたものには、皆興味がないのだろう、と思ったが自己満足でもいいと書き続けた。福引で特賞を当...喜び

  • アブダラ先生

    アブダラ先生は、歯医者さんである。彼のクリニックへ通い始めてから、6,7年も経つだろうか。それ以前は、別の医院で世話になっていた。なぜ歯科医を変えたかと言うと、離婚をしたからである。昔は夫が勤める会社が歯科保険料を払ってくれていたので、瀟洒な医院へ通い続けた。私の歯には、特にこれといった問題もない。ただの歯石クリーニングと検診だけならば、離婚後は保険料を自腹で払うより、その都度、診察料を現金で払ったほうが安上がりであることが分かった。しかしドクタールウィンスキーのところは診察料が高い。そこで、アブダラ先生のお世話になることにしたのだ。先生は、おそらく60代半ばで、どこの国出身かわからないが、アラブ人独特の訛りのある英語を話す。おそらく、サウジアラビアかエジプトあたりの方だろう。回教徒の男性によく見られるが、長い...アブダラ先生

  • バキッ!

    バキバキッ!これはわが家の床の音である。この築60年以上の家を買った時に、一応改築工事がされていて、みてくれは悪くなかった。しかし、暮らし始めて気が付いたのだが、床は古いままで、板張りのそれを踏むと、ところどころいろいろな音をたてる。ギュウッ!バキボキ!独身の一人暮らしなので、さほど気にはならなかった。去年の夏、孫娘が産まれるまでは。「三平ちゃん」の記事に載せたが、私は週5日息子夫婦が仕事へ出ている間、孫の面倒をみている。朝8時から夕方6時まで。新生児の頃はただひたすら眠るので、問題はなかった。だが現在、生後5か月となり、だんだん昼寝の時間が短縮されてきた。「サっちゃん」が寝ている間に、できるだけ家事、仕事(ピアノ教室を経営しているので、その雑事など)を済ませたい。孫娘のサラは、あまり手のかからない子で、大いに...バキッ!

  • フィービーおばさんの、ちょっとした英語教室

    「ダメ!ダメ!」生後5か月の孫娘は、最近いたずらをするようになった。お腹がいっぱいになると、口の中の離乳食をぷぅーっと勢いつけて吐き出すのだ。「ダメでしょ!ばあちゃんのエプロンが、ばっちくなったじゃないの。」すぐそばで私のラップトップを掃除していた嫁のダイアナが、驚いて私の顔をまじまじと見た。そしてポツリ。「ママ...。」彼女はそれだけしか言わなかったが、ダイアナの衝撃を受けた表情を見て、あ、しまった、と気付く。実は、孫娘に日本語を習得させようと、毎日私は日本語で話しかけるが、この時もそうだった。この「ダメ」は、英語の「畜生!」という意味の悪しき言葉に発音がそっくりなのだ。ダイアナは、ばあさんが孫に向かって、罵りの言葉を浴びせていると思ったのだ。慌てて弁解をした。「そ、そうじゃない。ダメというのは日本語で、No...フィービーおばさんの、ちょっとした英語教室

  • チョコレートの罰

    今頃日本では多くの女性たちがチョコレートを買ったり、作ったりして、バレンタインデーの準備をしていることだろう。「義理チョコ」という言葉を聞いたのは、40年前私が日本を離れた後、しばらくしてからである。この言葉に、何とも言えないおかしみと哀しみを覚える。おそらく、義理チョコさえ貰うことのない男たちもいるだろう。誰かに聞いたが、彼らは帰宅前にこっそりとコンビニなどでチョコレートを買うという。自分も、もらったのだという事を、家族に見せるためらしい。それは、あまり甘くないチョコに違いない。さて、なぜ日本では、女性が男性にチョコを送る、という事になったのか知らないが、わが国アメリカでは誰が誰にカードを送ったり、贈り物をしてもよろしい。息子たちが幼かった頃、毎年2月になると、学校で工作の時間に作ったカードを持って帰宅した。...チョコレートの罰

  • フィービーおばさんの、適当な英語教室 (その1)

    バターをべったりと塗って焼いたクロワッサンは、とてもおいしそうだった。いつも買い物をする店で、また買おうか、買うまいかと思案していたところ、南米からの移民らしい婦人が声をかけてきた。「おいしそうですね。」私は答えた。「ええ、でも、また太るかも...。え~い、太ってもいいや!Idon'tcare!(気にしない!)」彼女はそれを聞いて、自分のお腹をさすりながら、にこやかに言った。「Iamcare.Toofat.(私は気にします。すでに太っているので。)」もし意地の悪いアメリカ人がこれを聞いたら、「下手くそな英語」と蔑んだかもしれないが、私は、「偉い!」と思った。正しくは、「Idocare.」であるが、彼女が言わんとすることは何の問題もなく理解できた。英語を学び始めてあまり時間がたっていない様子だが、おじけづく事なく...フィービーおばさんの、適当な英語教室(その1)

  • 三平ちゃん

    誰かに似ている。いったい誰だろう?どこかで見た顔なのだが...。次男のシェインと嫁のダイアナが2016年の秋に結婚してから、早くも3年が過ぎた。ダイアナの娘、ジュリーをシェインの養子とする為の法律手続きがようやく終わった頃、嫁が言った。「ママ、いい知らせがあるの。」にこにこしているダイアナを見て、ピンときた。「いつ産まれるの!?」帝王切開で産まれた孫娘を抱いた時、赤子時代の息子にそっくりで、嬉しかった。2か月の産休後、ダイアナはフルタイムの仕事へ戻る。さて、子守を誰に頼むか、という問題が生じた。ジュリーが幼かった頃、面倒をみてくれた女性は、長年続けたベビーシッターの仕事を止め、どこかの事務所で働き始めたという。近所の託児所を探すか、どうしようか、と息子夫婦が相談をしていた頃、いやな話を聞いた。私の知人が生後6か...三平ちゃん

  • 侯爵夫人 (最終編)

    わがままなお嬢さんの懇願を足蹴にした後、これで彼女との縁は切れたと思ったが、それから数週間後にもう一人の友人、モーリーから連絡があった。この年90歳となった彼女は、さすがにスローテンポになってきたが、相変わらず口だけは達者だ。「フィー、ちょっと大変なことになったわよ。」「何?」「ネッサが...」「待って、ネッサのことはもう聞きたくないから、勘弁して。」「いや、本当に大変なのよ。」彼女はお構いなしで、べらべらとしゃべり始めた。「お姫様が鼻血を出して、前歯を折っちまったのよ!」「モーリー、あなたの言っていること全然わからない。どういうこと?」「あのアホ犬を連れて散歩に行ったらしいんだけど、リスを追っかけようとダッチェスが走り出したんだとさ。」「それで転んだの?」「そう。だからあたしゃ言ったんだよ。あんなでかい犬を飼...侯爵夫人(最終編)

  • 侯爵夫人 (その3)

    一人暮らしのご隠居であるネッサの朝は遅い。たいてい10時過ぎに、犬のダッチェスと共に起きてくる。珍しいことに、この日の朝は7時に電話をかけてきた。金切り声で、呼吸困難を伴ったような話し方だ。「ねぇ、お願い!他に誰もいないのよ!」「あなたしかいないのよ節」がまた始まった。彼女は誰にでも同じことを言う。哀れっぽい声で。私も最初はそれに騙され、真夜中に駆けつけたりしたこともある。足が痛いと言うので、朝の2時に救急クリニックへ連れて行った。その後、彼女の家から車で数分のところに長男夫婦が住んでいるという事を他の友人から知らされ、ネッサに質問した。「あなたの長男と嫁さん、すぐ近くに住んでいるそうね。私が駆け付けるより、彼に電話をしたほうが早かったのと違う?」これに答えた彼女の言い分を聞いて、耳を疑った。「ええ。でも息子は...侯爵夫人(その3)

  • 侯爵夫人 (その2)

    「しつけをきちんとする。」とネッサは言ったが、私は「どうだか...。」と思った。その思惑通り、ダッチェスは甘やかされ、猫可愛がりされたので、とんでもない犬となった。たまにネットの動画で見るが、日本では犬と遊ぶ時に飼い主が胸をとんとんと手で叩き促すと、犬は後足で立ち上がり前足を人の胸にかけて、愛想を振りまく。ところ変われば、というが、これはアメリカでは「しつけをされていない犬」と見なされ、人々は眉をひそめる。ある日ネッサ宅を訪問したが、ドアを開けたとたんに70パウンドを超える大型犬が私の胸をめがけて飛び込んで来た。不意を突かれ無様にひっくり返った私の顔を、彼女は遠慮なしにべろべろと舐めた。「乾物屋のキヨちゃん」の記事に載せたが、私は犬好きで、昔、何匹も犬を飼った。しかし、舐められるのはいやだ。人間がトイレットペー...侯爵夫人(その2)

  • 侯爵夫人 (その1)

    「ねぇ、お願い!他に誰もいないのよ。!」またか...。ネッサ(アグネスの愛称)の名が電話のCallerID(誰が電話をかけてきたか、という事がわかる表示)に現れた時、電話に出ようかとためらったが、やはり無視をしたほうがよかった。以前、「年をとったお嬢さん」の記事に彼女のことを書いたので、説明は簡単に済ますが、この老女は私の友人である。70代後半になったネッサはご主人亡き後、一人暮らしを続けている。典型的な「わがままばあさん」で、友人、知人たちから敬遠されることも多い。近頃、「老害」という新しい日本語(40年前に日本を離れ、アメリカで生活を続けてきたので、いろいろと知らない単語が増えた。)を知ったが、この言葉を聞いた時、彼女の顔が浮かんできた。結婚をするまでは親から大切にされ、結婚後はご亭主から守られ、女王様のよ...侯爵夫人(その1)

  • ゴムのパンツ

    また冬がやってきた。私の住むヴァージニアは緯度でいうと、日本の仙台あたりなので、冬は寒い。一人暮らしで、自分だけのために家中をセントラルヒーティングで暖めるのは、気が引ける。一階と地下室があるが、地下には客用の寝室、デン(den、居間とは別に、家族がくつろぐ部屋)と洗濯部屋がある。感謝祭とクリスマスには毎年七面鳥をローストするが、オーヴンに入れる前、スパイスや塩を溶かした水を大きな鍋に入れ、鳥をその中に一晩漬けておく。これをブライニング(brining)という。暖房の入った場所に一晩放置するのは危険なので、地下室の洗濯部屋に鍋を置く。この部屋の壁はレンガを積んだだけのもので、断熱材が入っていない。洗濯部屋の水道管が凍ることはないが、真冬は冷蔵庫のように寒い。秋に裏庭の畑で収穫した野菜を新聞紙で包み、ここに置いて...ゴムのパンツ

  • 言葉

    若者たちよ、「アッパッパ」とは何かご存知か?これは大東亜戦争後、昭和の時代にお母さん、おばあちゃんたちが着用した夏服のことである。カーブのついていない、ストーンとした直線裁ちの簡単服だ。中学生だった頃、歴史担当の先生にかわいがっていただき、友人たちと一緒に昼食のお招きを受けた。当時、定年退職を目前にしておられた先生は、「暑いから、みんなアッパッパでも着ていらっしゃいね。」とおっしゃった。これを聞いた我々は後程、「ダッさーい!」と笑ったが、この「ダサい」という言葉は、2019年現在でも生きているだろうか?ネットで調べてみたが、死語のリストには載っていなかった。なにぶん、日本を離れてから40年近く経つので、わからない日本語が増えた。つい最近まで、パソコン、ググる、ドットコム等々、何のことやら皆目見当がつかなかった。...言葉

  • 偉大な音楽家たちの悪口 「ドビュッシー」

    ClaudeDebussy,(1862-1918)は女たらしであった。ティーンエイジャーの頃から55歳で病没するまで、不倫、二股交際、浮気、駆け落ちなどを性懲りもなく、何回も繰り返した。ある評論家が、肖像画、写真を見て彼のことを美男である、と言ったが、一体ドビュッシーのどこがイケメンであるのか、私には全く理解できない。人の意見は様々であるが、彼の青年期の肖像画を見た時に、何となく、「売れない上方のお笑い芸人」という印象を受けた。まっすぐに切った前髪を、小さな男の子の様におろしている。「ボケ担当」のイメージだ。晩年の写真からは、「満員電車で、女子高校生に痴漢行為をするおっさん」を連想する。クロードドビュッシーはフランスの、印象主義音楽家である。本人は「印象主義」と呼ばれることを嫌った。陶器店を経営する父と、裁縫師...偉大な音楽家たちの悪口「ドビュッシー」

  • ピーチロードの隣人たち 「シェインとカタリーナ」

    ロニー一家が追い出された後、斜め向かいのぼろ屋敷は改築され、きれいになった。これでピーチロードも少しはマシになるであろうと安堵したところに、パトカーがやって来た。空き家狙いの泥棒か?住む人がいない無人の家に、盗人は入るまいと思うかもしれぬが、アメリカではこれがよくある。なにを狙ってくるかというと、家電である。家を売る時も、借家として貸す時も、家の持ち主が洗濯機、乾燥機、オーヴンとストーヴ(調理用コンロ)、冷蔵庫、電子レンジなどをとりつける。悪い奴らは、日中住宅地を運転しながらぐるぐると回り、どの家が改築中で、新しい家電を運び込んでいる様子か、ということを調べる。持ち主は、それを防止する為、外から丸見えとなるように、ブラインドやカーテンを開け、真夜中でも家中の電気をつけたままにしておくのだ。警察の車を見て、何事か...ピーチロードの隣人たち「シェインとカタリーナ」

  • ピーチロードの隣人たち 「Couch People」

    バンザイ!彼らは引越しをしていった。我が家から斜め向かいの家には、大人6人、子供5人が暮らしていた。皆無愛想で、こちらが挨拶をしてもたいてい無視された。彼らの前庭には壊れたカウチ(couch、ソファのこと)が放り出されていて、たまにそれに腰かけ、大声のスペイン語で話をする。私は彼らに「couchpeople」とあだ名をつけた。お隣のオスカーとブランカは、この家の人たちを嫌った。「みっともない。あんなに大声で笑ったり、下品な言葉をたくさん使って。同じ南米出身ってことで、俺たちまで軽蔑される。」私はスペイン語は全く分からないので、そう気にはならなかったが、彼は眉をひそめた。「第一、フロントヤードの、あの家具は何だ?早く捨てればいいのに。雨で布がぐちゃぐちゃになっているはずなのに、よくあんなものに腰掛けるな。連中のお...ピーチロードの隣人たち「CouchPeople」

  • フィービーおばさんのロクでもない英語教室、 「Licence Plates」

    「ちょっと聞いてよ、笑っちゃうじゃないの。」友人が電話をかけてきた。ハイウェイで運転をしていたところ、人目を惹くconvertible(オープンカーのこと)が颯爽と彼女の車を追い越していったそうな。その車のlicencePlate(ナンバープレート)が目に留まったと言う。「なんて書いてあったの?」「HEYBABY」(よう、かわい子ちゃん)「ふう~ん、運転していたのはいい男だったわけ?」「とんでもない、太ったおっちゃんだったわよ!おまけにcombover(頭頂部のハゲを隠すため、側頭部の髪を伸ばし、てっぺんに貼り付けるヘアスタイルのこと)の長い髪が風に吹かれて、無残にもひらひらと泳いでいたわ。」「そりゃ、残念だったわね。」アメリカでは、車の登録時に追加料金を払うと、PersonalizedPlateを注文すること...フィービーおばさんのロクでもない英語教室、「LicencePlates」

  • 友人の助言

    日本人の友人が、押し売りの記事を読んだあと、電話をしてきた。「あなた、あんな面倒な事しなくても、押し売りを撃退する方法があるわよ。教えてあげようか?」彼女も私と同じくらいの歳で、アメリカ人の家族を持つ人だ。教えて欲しいと頼んだ。「簡単よ。日本語で、こう言いなさい。あなった、あめりかじーん!わったし、にっぽんじーん!えーごわっかりませーん!」二人でぎゃはは、と笑った。「それはいい考えね。この次にはそうしよう。」「でも気をつけたほうがいいわよ。これをやるのは、家族のいない時にしなさいね。」「どうして?」「ついこの間、それをやったのよ。でもその日、娘夫婦が映画を見に行くからって、孫を押し付けられてね。子守をしていたの。わっかりませーん!とやったら、二階から孫が降りてきてさ、でっかい声で、Gammie(ギャミー),I'...友人の助言

  • フィービーおばさんの、どうでもいい英会話教室

    先回の記事で押し売りのことを書いたが、セールスマンの無礼な態度に腹を立て、嫁のダイアナに電話をした。一通り辛抱強く私の話を聞くと、彼女は言った。「まぁ、なんて失礼なヤツなのかしら。そんなやり方では、おそらくひとつも契約を取ることは出来ないでしょうね。ママ、ぜひサインを買って、玄関に貼り付けるべきよ!」明日買い物に行くつもりであると言うと、嫁は笑いながら言った。「そんなことをしなくても、ネットで注文したら?すぐに届けてくれるから。」ダイアナは台所の中性洗剤から、ティシューまでネットで購入するそうだ。頻繁に買い物をすると、郵送費は無料になると言う。早速調べてみた。「押し売りお断り」の最も基本的なものは、"NoSoliciting!"とあり、値段は9~12ドルほどである。少し手の込んだものになると、50ドルと値段が張...フィービーおばさんの、どうでもいい英会話教室

  • 押し売り

    「よぉ、奥さん。ゴム紐買ってくんねぇか?俺、ムショから出てきたばっかなんだけどよ。」昭和の時代、ドラマや映画によく出てくるシーンだった。押し売りのことを英語で、hardsellingやhighpressuresalesなどと言うが、今日それが我が家にやって来た。午後、ピアノの生徒達が皆帰ったあと、天気がよいので玄関の戸を開けたままにしておいた。アメリカの家屋には、stormdoorというものがあり、分厚いガラス一枚をフレームに入れて、entrancedoorの外側にこれが取り付けられる。屋外の気温が低くても、天気のよい日にentrancedoorを開け(アメリカの家のドアは建物の内側に向かって開く。)、ガラスのstormdoorを通して太陽の光を取り入れると、暖房費の節約になる。これは防犯にも役立つ。ストームド...押し売り

  • 焼き芋

    スーパーの野菜売り場で、芋を見ていた。一パウンド2ドル45セント?有機野菜なので、値が張ることは承知していたが、高価だ。日本のさつまいも、「金時」をじっと見つめたまま買う決心がつかなかった。アメリカでサツマイモというと、一般的なものは皮も実もオレンジ色をした、sweetpotatoである。パイを焼く時などには、これを使う。不味くはないが、キントキには負ける。小ぶりのものを5つビニール袋にいれ、秤にかけると、4パウンド以上だ。10ドルの芋...。私は昔、経済的に苦しい経験をしたので、いまだにその後遺症を引きずっている。今日この買い物をしたら、その後困窮するわけではないが、イモに10ドルという圧迫感に合点がいかない。「芋」は私の頭の中では、安直な食品として留まっている。高価であるが、焼き芋を作りたかったのだ。かなり...焼き芋

  • 昔の亭主からの贈り物

    ベイトーヴェンの「運命」がジャジャジャ、ジャーンと鳴った。我が家のドアベルを押すと、これが流れる。戸を開けると、次男のシェインと彼の父親が立っていた。数年前に、ブランドンとは熟年離婚をしたが、互いに憎みあってはおらず、友好関係を保っている。「あら、あんたたち。なんか用?」「お袋、オヤジが車をくれるってさ。」「え?」船乗りなので、世界中あちらこちらと旅をする彼の車を、ずっと預かっていたが、それをタダで私にくれるということらしい。まだ買ってから2年しか経っていない。ほとんど走行距離が入っておらず、新品同様だ。「なんで?」「新しいやつを、買ったからだよ。」と、息子。彼の父親は、にこにこしながら、シェインの後ろに立っている。見ると、我が家の前に大きなトラックが、でーんと駐車してあり、ピカピカと光沢を放っていた。日本でト...昔の亭主からの贈り物

  • ボケ

    指を切った。50センチほどもある長いフランスパンを、袋に入れようとがさがさやっていたら、調理台に置いてあったパン切り包丁が、パンの端でぽんと蹴られた。驚いたことに、それは一旦空中へ跳ね上がり床へ落ちた。その途中で、左の薬指に刃が当たったのだ。調理中指を切る、ということを最後にやったのは、かれこれ10年以上も昔のことだったので、いささかびっくりした。小さな切り傷だが、深かったらしく、たらたらと血が流れる。それほど痛みはない。「いつも納豆をしっかりと食べているから、血はさらさらだろうか。」と、しばらくぼんやり眺める。あまり無駄にするといけないので、そろそろ止血をせねばと、手を洗う。ペーパータオルで指を包み、ぎゅっと押さえると、みるみるうちに白いタオルに赤い染みが広がっていく。あわてて消毒クリームを塗り、スヌーピーの...ボケ

  • 若者達よ

    「53歳以上は、ジーンズを着用するべからず。」先日雑誌(Reader'sDigest)を読んでいたら、このような記事を見つけた。53歳と言う年齢を、何処からはじき出したのか知らぬが、とうに還暦を迎えた私はこれを読み、心楽しい気分ではなかった。私はジーンズを3本持っている。如何な理由で、老人はジーンズをはいてはならぬ、というのだ。記事を読み進む前に、もしかしたら健康上よくない事でもあるのかと考えた。ところがその理由とは、「体に合うサイズを見つけるのが、困難になるから。」だと言う。おそらくこの筆者は、20、30代の若者であろう。そうであるのならば、物申したい。あなたもいつか必ず、老人となる。ある日、ピアノのキーに乗っている自分の手が、生徒のすべすべしたものに比べて、非常に醜いことに気がつくのだ。青い血管が何本も痛々...若者達よ

  • Dear Parents

    親愛なる保護者の皆様方へ、カナダからの寒風が勢いを増すこのごろ、いかがお過ごしでしょうか?さて、皆様にお願いしたき事、お聞きいただきたい事あり、手紙をしたためております。今日のレッスンにやってきた生徒達は、5人全員鼻をたらしたり、咳をしていました。ある子は、風邪を引きはじめであったり、また別の子は数日前は熱があったけど、今日は少しよくなったので出てきた、というような様子です。はっきり申し上げます。具合の悪い子供は、ピアノのレッスンを休ませてください。一回、二回の稽古を休ませたからといって、普段からろくに練習もしないお宅の子供達のピアノの腕に、これといった変化は表れないことを断言いたします。どうぞ休ませてください。私はもう還暦です。年寄りは、いったん風邪やインフルエンザをしょい込むと、なかなか治りにくいのです。あ...DearParents

  • パソコンレッスン

    「ミスフィー、ウチの娘は、今日レッスンを受けませんから、こちらに来ていただかなくても結構です。遠出をしたのですが、時間までに帰宅できそうもありませんから。」ピアノの出稽古をするため、生徒の家へ行く途中にラインがきた。毎度のことだが、トランさんは、いつも木で鼻を括った様な文章で連絡をしてくる。それもレッスン時間の30分前にだ。こちらはもう、生徒と生徒の家の間を行き来しているところだ。またか、と思った。彼女は、人の都合などお構いなしで、いつもこうしてキャンセルをしてくる。ごめんなさい、の一言もない。「また、本屋で時間をつぶすか...。」迷惑千万である。ある時などはあまりにも天気がよいので、レッスンをほったらかして、家族みんなで海水浴に行ってしまった。戸を叩けど、返事はなし。このようなことが何回か繰り返された後、私は...パソコンレッスン

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