風みどり さん プロフィール

  •  
風みどりさん: 新・風みどりのブログ
ハンドル名風みどり さん
ブログタイトル新・風みどりのブログ
ブログURLhttp://kazamidori2.cocolog-nifty.com/blog/
サイト紹介文小説書いています。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供31回 / 365日(平均0.6回/週) - 参加 2016/03/10 22:10

風みどり さんのブログ記事

  • 短編小説「諍い」6
  •  自分の思っていたことを吐き出したのでほっとしたのか武夫はカップを洗いながら 「新しいマグカップ、買わんとあかんな」 と、言っている。 私は自分が割ったのに、ちっとも武夫に済まないという気持ちが湧かなくて 「・う、うん」と曖昧に答えた。 だいたい4DKの今のマンションは武夫の書斎が必要だから借りることにしたのだし、 もちろん、それは武夫の印税で賄っているわけだから私には何も言えないし、 新しく借りる [続きを読む]
  • 短編小説「諍い」5
  •  武夫の作る料理はプロ顔負けの味で色彩にも富んでいる。 未だ小説が今みたいに売れていなかった頃には イタリアンレストランでバイトしていたので、得意なのはやっぱりイタリアンやけど。 「さ、食べよか?」 「・・うん、それよりさっき言いかけてたこと・・」 「それは後や、食べる時は食べることに集中せなあかん」 「・・・」 武夫はそう言うたけど、言いかけて止められると それが気になって食べることに集中出来へ [続きを読む]
  • 短編小説「諍い」4
  •  「ただいま」 と、何事もなかったかのように家に入ると、キッチンの方で物音が聞こえた。 廊下をそっと歩いてドアを開ける。 武夫は流しの前にいてニンジンの皮を?いていた。 「あ、お帰り」 武夫もさりげなく私の方をちらりと見てからまた手元のピューラーに目を落とした。 「何、作ってんの?」 気軽に声をかけようとしたけど何か喉に引っかかったみたいに出て来んかった。 「久しぶりに本格的なイタリアン作ってみよ [続きを読む]
  • 閑話休題「電子書籍・墨絵日記」
  •  友人であり、芸術家仲間である墨絵師江島恵さんが 「墨絵日記2」を電子書籍で販売する運びとなりました。  墨絵師の日常を面白おかしく、または時には「わー」となる葛藤や  いろんな思いを詰め込んだ画集になっています。  kindle版はこちらから。 https://magnet.vc/v/kpjw7vgo  ←マグネット版はこちらから 同じようなモノを創る芸術家が仲間にいると 私も頑張らないとあかんな〜〜長いことkindleで出してないし・ [続きを読む]
  • 短編小説「諍い」3
  •  武夫は冷静な人なんやと思う。 元々、性差があるから女は論理的な思考が苦手や。そのくせ現実的なんは女の方やと思う。これは仕方がないことなんかも知れんけど、あまりにも相手がきちんとし過ぎてたら余計にかっか来てしまうのも仕方がないと思う。 いつやったか、夕ご飯食べてる時に、何の拍子か知らん、スープの話になった。私はポタージュスープが好きで、武夫はコンソメスープが好き・・そんな他愛もない話してる時はよか [続きを読む]
  • 閑話休題「Facebook始めました」
  •  どうしようかと迷ってたけど「facebook」始めました。 始めました・・なんて「冷やし中華始めました」みたいやん! と、自分で突っ込みを入れつつ。 ブログの左側に「facebook」をリンクしてあるのでどうぞよろしく。 顔写真は未だやし、一応、書斎の写真をアップしただけで 後は本の宣伝。 ぼちぼち、Facebookの方にも投稿していこうと思ってます。 いや〜、Facebookに登録したらすぐに 「友達を探そう」って出て来てび [続きを読む]
  • 短編小説「諍い」2
  •  誰かが私の名前を呼んだ気がして振り返ったけれど そこには誰の姿もなく、伸び放題に伸びた叢があるだけだった。 もしかしたら武夫が呼びに来てくれたんやないか・・という 淡い期待を打ち砕かれて私はまた川に小石を投げ込んだ。 小石はまたもや音もなく水の中に沈んでいく。 武夫はこの川みたいな人や。 私がいくら感情的になっても冷静沈着で私の怒りはその中に音もなく沈んでいく。 相手も同じように感情的になってく [続きを読む]
  • 短編小説「諍い」
  •  「もうええわ、好きにして!」 そう叫ぶように言いながらマンションのドアを思い切り音を立てて閉めた。 スニーカーをつっかけるようにしてエレベーターに向かう。 エレベーターの階数表示は一階で、私はイライラとボタンを連打した。 付き合って五年、同棲を始めてから三年の武夫とこんな風に諍いを起こすのは 今回が初めてではない。 「ごめんなさい」そういえば丸く収まることも十分に承知している。 けど、武夫は私が [続きを読む]
  • 超短編小説「小説家」
  •  夫とは二人暮らしで最近引っ越しをした。 中学生の頃から通っていたラーメン屋のすぐ傍である。 元々商家だった古民家を改装したのだろう、 玄関がやたらと広く、廊下の奥には階段、その手前にドアがある。 ドアを開ければそこはマンションの内装と変わらない近代的なもので、 家の外装と内装では大きな差がある。 引っ越したその日には、友人とその友人が遊びに来た。 友人の友人は若い頃バンドを組んでいてギタリストだ [続きを読む]
  • 超短編小説「陽だまり」
  •  その絵を見た瞬間、私は思わず懐かしいと思った。 「放課後」と名付けられたその絵には女子高校生が描かれていた。  澄んだ眼差し、ふっくらとした頬、肩まであるさらさらした黒髪、 昔、私がなりたくてもなれなかった女の子そのものだった。 女の子は今にも微笑みそうだ。 白と黒の絵の世界にいるのに、 私にはその薄いピンク色のリップクリームを塗った唇も 着ている制服の色もくっきりと思い浮かべることが出来た。  [続きを読む]
  • 超短編小説「唇」
  •  私は今、総合病院の内科の待合室にいて前に座った女の唇を見ている。 よく動く唇。 女の話は息子の嫁の悪口から孫の自慢に移り、 まったく興味の持てない私は心の中で「知らんがな」と毒づきながら 女の唇を眺めている。 還暦過ぎの女、私とは同世代だろう。 パーマのかかった短めの髪はぱさぱさしていて艶がなく 着ているものは派手な色遣いのチュニックとスパッツ。 上着がチェック模様なのだからスパッツは無地にした [続きを読む]
  • 超短編小説「背中」
  •  未だ幼稚園に入るか入らんかの頃にひいじいちゃんの書を読んだことがあるねん。 襖に墨で徳川家康の「人生とは重き荷物を背負いて遠き道を行くが如し」 が、書いてあった。 ひいじいちゃんはもうその頃亡くなってたけど、襖に書かれた墨跡は仰山残ってた。 子供やから意味が分からんかったけど、じいちゃんに訊いたら 何となくわかった気がした。 そうやな、誰もがみんな何かしらの荷物背負ってる。 死んでしまった友達の [続きを読む]
  • 閑話休題「未だ見ぬ友へ」
  •  この間、仙台に住むMさんと電話で話したんや。 「死ぬまでに一回は会おうな・・」って。 徳島と仙台は遠いから東京あたりで落ち合おう・・って話した。 私はなかなか面倒くさい性格やから、 知り合いにはなってもすぐに仲たがいしてしまったりする。 とっつきはええねんで。人見知りしたことないし、 こんな仕事してるせいか話は面白いって言われる。 けど、だんだん仲良くなってるうちに 我が強いし、常に書くことばっ [続きを読む]
  • 超短編小説「砂上楼閣」
  •  季節は夏の盛り、徳島の街は阿波踊り一色に染められる頃、 それまで入院していた総合病院から転院したばかりの個人の病院で 私は一人の男子高校生と知り合った。 夏休みだというのに足にギブスを巻いた少年は五階の歓談室で  熱心にスマホをいじっていた。  同室のおばさんやおばあさんとは話が合わない私は歓談室のある五階の窓から いつも外を眺めていた。 窓からは自分が住むアパートの赤い屋根が見えた。  [続きを読む]
  • 超短編小説「彷徨う人」
  •  その人を初めて見たのは神社の境内だった。 野球帽を被り体をやや斜めにして歩いていた。 そして、おもむろに帽子を取り私に向かって 「こんにちは」と勢いよく頭を下げた。 「・・こんにちは」 たじろぎながら挨拶を返す。 年齢は五十過ぎといったところか。 少し障害があるような印象を受けた。 きっと近所に住んでいるのだろう。何日かして、今度はスーパーの中で見かけた。 やっぱり私に気づくと「こんにちは」と挨 [続きを読む]
  • 閑話休題「好奇心」
  •  先日、墨絵師の江島さんとメールしていて、 私たちが見ているものと他の人が見ているものは違うものじゃないか? と、いう話になった。 彼女は時々、ブログに街で見かけた人を描いたりもしている。 例えば、道幅いっぱい→http://sumieshi.blog.shinobi.jp/Entry/2853/ 私も街で見かける人のことを小説に登場させたりする。 名前も知らないし何処に住んでるかもわからないが、 人物描写として使わせてもらってる。もちろ [続きを読む]
  • 閑話休題「慰霊塔」
  •  私のブログや小説によく登場するアパートの隣の慰霊塔。 その慰霊塔の敷地内の桜がすべて伐採されることになった。 春には満開の桜が部屋の窓から見え、 もう何年も花見に出かけたことのない私の心を慰めてくれた。 桜の花のトンネルを潜り私は近所のスーパーに買い物に行っていた。 桜の花はあまり好きではない私だが、 アパートに越して来た秋には気づかなかった桜に 翌年の春に「これでもか」と咲き誇るところを見せつ [続きを読む]
  • 超短編小説「バッカス」
  •  いつも行く全国チェーンのドラッグストアの前には吸い殻入れがぽつんと置いてある。 以前はその横に赤いペンキで塗られたベンチもあったのだが、 今はステンレスで出来た筒状の吸い殻入れだけがある。 そのベンチがなぜ撤去されることになったのか ドラッグストアの店員さんに訊いたわけではないが 私には心当たりがある。 一昨年の冬だっただろうか。 私は店の前のベンチで二人の男性を見た。  一人は相撲取りのような [続きを読む]
  • 超短編小説「震える指」
  •  どう考えても魔女にしか見えないその人を初めて見たのは1年以上前のことになる。 白髪のロングヘア―、ぞろりとした黒のロングスカート、 フリルとリボンをふんだんにあしらったブラウス。 そして手にはカート。 未だ若い女の子ならば「ああ、ゴスロリが好きなんだな」と思うが その真黒な塊のような衣装を纏っているのは ゆうに80歳は超えているであろう老婆なのだ。 最初、目撃したのは幹線道路から一本入った場所に [続きを読む]
  • 閑話休題「人を照らすもの」
  •  私はちょっと変な子供やった。 未だ小学生やのに一人暮らしがしたくてしょうがなかったんや。 両親は実の父母やったし弟もいたけど なんか、そこが窮屈というか、居場所がない気がしてたんや。 ロビンソン・クルーソーみたいに船が難破して無人島にたどり着くみたいな そんなサバイバル生活は嫌やったけど 自分一人の為のベッドと自分一人だけが観られるテレビと自分一人だけの冷蔵庫 それから読み切れない量の本、 そん [続きを読む]
  • 閑話休題「賢者の贈り物」
  •  昔、読んだ「賢者の贈り物」っていうお話。 あるところに貧乏な夫婦がいて、お互いのことをとても愛していたけれど 赤貧を洗うような暮らしなので 相手に贈り物をしたくても何も買えない。 それで、夫は大切にしていた懐中時計を手放して妻に髪留めを買い、 妻は自分の髪の毛を切って売ったお金で夫の時計に合う金の鎖を買う。 お互いを思いやる気持ちが清く貧しく美しく描かれた物語だった。 先日、帯状疱疹になった後、 [続きを読む]
  • 閑話休題「帯状疱疹」
  •  今日は朝から雨で肌寒いくらいや。 もう夏も行ってしまったなあ。 今年の夏は乗り切られへんのかと思うほどきつかった。 ようやく暑さも遠のいて秋の風が吹き始めたと思ったら、 「帯状疱疹」になった。生まれて初めてのことや。 この病気になったことのある人の話は聞いたことあるけど 最初は虫に刺されたような感じやった。 左の太ももとふくらはぎにチクっとした痛みが出たんや。 そうやなあ、子供の頃に大きい蟻に刺 [続きを読む]
  • 閑話休題「紙芝居」
  • 世の中は広いようで狭い。 祖父の描いた紙芝居を見たことのある人と会う機会があった。 私が生まれる前、実に60年以上前に見ていたそうだ。 祖父の描いた紙芝居が孫である私以外の人の思い出に残っていることが 私には嬉しかった。 私も頑張らないとな、と思った。  誰かの心に残る作品を書きたいものだと心から思う。 祖父は人から見れば偏屈でちょっと変わり者だったと思うが、 私が小学生の頃から作文や標語で [続きを読む]
  • 閑話休題「もう一つの怪」
  •  このところなぜか同じ時間に目が覚める。夜が明ける前の四時過ぎ。 覚める前の夢の中の私は車椅子に乗っていて、  立ち上がろうとすると足首が変な方向にねじれ立つことさえままならない。 車椅子に乗ったまま医師の話を聞く。 車椅子に乗ったままトイレに行く。 車椅子に乗ったまま自販機にジュースを買いに行く。 医師の話では機能的には何の問題もなく心因性のものだろうと繰り返す。 カウンセリングを受けると春先に [続きを読む]
  • 閑話休題「出会い」
  •  昼間はまだ夏の暑さが残ってるけど 夜になると秋の風が吹いてきてどこかで虫の音が聞こえる。 こういう季節には大概と言っていいほど私は風邪をひく。 この間もなんか急に睡魔が襲ってきた・・と思ったら熱が八度超えてた。 普段は眠る時間も惜しくて何やかやしてないと落ち着かん貧乏性やのに さすがに熱には勝たれへん。おまけに喉が痛いから咳が止まらなくて困った。 あくる日は案の定腹筋が痛かった。 運動不足やのに [続きを読む]