月白貉 さん プロフィール

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月白貉さん: ぼくと、むじなと、ラフカディオ。
ハンドル名月白貉 さん
ブログタイトルぼくと、むじなと、ラフカディオ。
ブログURLhttp://mujina.hatenablog.com/
サイト紹介文かの小泉八雲のように、故郷を離れて旅を続けるぼくが、ぼくの感覚でその土地を歩き回って綴る見聞録です。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供615回 / 365日(平均11.8回/週) - 参加 2016/04/01 16:30

月白貉 さんのブログ記事

  • 短いあとがき - 『南にある黒い町』
  • 2017年9月26日火曜日、物語の始まりであり終わりとして描かれているこの日と同じ、現実世界のこの日に、ふと思い立って書き始めた『南にある黒い町』という物語。『南にある黒い町』:第十五章(終章)- 黒い町当初はぼんやりとした塵ほどのプロットしかなく、ほぼ行き当たりばったりで書き始め、一週間で、つまり序章を含めて全七章で終りを迎える断片的な話の集合体として考えていたこの物語は、結局蓋を開けてみればその [続きを読む]
  • 第十五章(終章)- 黒い町
  • 前回の話:第十四章 - 肉食「あるいは、婆様も人を喰らっているのかもしれん。」「人を・・・って・・・、その、中身をってことですか?」猿神はその問いに対してしばらくの間何も答えず黙り込んでいた。「おまえが自分で聞いてみればよかろう。先ほどの揺れの後の気配からして、大方ことは済んでいるはずだ。いまは深追いはせんということ、かも知れんが、程なくして、ここに戻ってくる。」「爺ちゃんもっ!?ふたりと [続きを読む]
  • 第十四章 - 肉食
  • 前回の話:第十三章 - 闇の中 -『南にある黒い町』体をこわばらせて床に胡座をかくぼくを、猿神は随分長い間、物珍しそうにしながら、しかしじっと睨みつけている。時折、猿神の背後に座っている三つの人影が、それぞれに身を捩らせながら何か小さな言葉を囁き話し合っているような空気の揺らぎが感じられたが、目に映るその姿はもう何百年もそこに置かれた岩石のように不動のまま一切動いてはいなかった。「おまえ、名を持 [続きを読む]
  • 第十三章 - 闇の中 -『南にある黒い町』
  • 前回の話:第十二章 - 眠り猿神はおもむろにぼくのスニーカーから足を下ろし、一瞬だけぼくの顔をチラリと見上げると、鳥居の下をゆっくりとくぐり抜け、真っ白い尻尾を揺らしながらピョンピョンと暗がりに続く神社の石段をのぼり始める。そして、鳥居脇にある防犯灯の光が及ばない闇の中に石段が溶け込むようにして見えなくなる所までのぼった猿神は、ぼくの方に首だけを振り返り「ついてこい。」とでも言わんばかりに歯をむ [続きを読む]
  • 短編小説『南にある黒い町』プロットと単行本表紙デザインなど
  • しばらく書き続けているラフ的な物語が案外と長くなってきたので、小説のタイトルとプロット再考、そして単行本を想定した表紙デザインなどを掲載してみようと思う。タイトルはまだ暫定ではあるが『南にある黒い町』(Black Town in the South)。もし物語を読み進めてくれている奇特な方がいるとすればおわかりだと思うが、このタイトルは物語の舞台となっている「南黒町」という架空の町の名前を指し示している。もしかし [続きを読む]
  • 第十二章 - 眠り
  • 前回の話:第十一章 - 豪腕切通しの緩やかな坂道を一気に滑り降りるようにして走り続けるぼくの背後から、佳子ちゃんの激しく泣き叫ぶような声と、真夜中にどこからともなく聞こえてくる怪しげな鳥の鳴き声のようなギャーギャーという奇声とが入り混じった、耳を劈くような空気の震えがぼくの背中を掻きむしるようにして響き渡り、いま坂の頂上でどんなことが巻き起こっているのかが容易に想像がついた。ぼくの背後の闇の中で [続きを読む]
  • 第十一章 - 豪腕
  • 前回の話:第十章 - 新たな悪夢『このまま走り続けろ。』地面から湧き上がるような猿神の声が頭にこだまし、背中から一陣の冷たい風が立ち昇る。するとぼくの頭上から弧を描くようにして、何か淡く白い光の塊のようなものがぼくの駆け上がっている坂道の目の前に降り立ったかと思うと、その先に続く道の上に道標のような光の筋を描いて、まさに白色をした突風さながらの速さで、一直線に坂の上に立つ者を目掛けて向かっていっ [続きを読む]
  • 第十章 - 新たな悪夢
  • 前回の話:第九章 - 猫の爪曲がりくねった坂を下り終え、その先の住宅街の中にまっすぐと伸びる薄暗闇に包まれた道に弾丸のような速さで突入したぼくは、刹那ほどの時間だけ目を閉じて改めて静かに呼吸を整えなおし、無心に足を駆りたて、手を振り続ける。背後からは依然として、凄まじい殺気を放つ視線と息遣いが、黒く凍てついた空気を纏って荒れ狂う小さな竜巻のようにして、誰かの血の混じったドロつく唾液と、古から漂い [続きを読む]
  • 第九章 - 猫の爪
  • 前回の話:第八章 - 合図ラゴはぼくの頭の中に合図を放つやいなや、ぼくの方には一切顔を向けずにバックパックをブンと振り回して背中に背負い直し、しかしぼくに背を向けたまま大きく右腕を振り上げ、ぼくの方に掌の甲を掲げて手を振った。それがぼくへのエールだったのか、あるいは最後の挨拶だったのか、その時のぼくにはまったく考える余裕などなかった。ただ彼女のその一挙一動が、何故か永遠の時間の中で繰り返される懐 [続きを読む]
  • 第八章 - 合図
  • 前回の話:第七章 - 黒い恐怖団地の周囲を取り囲む鉄柵も、そして外灯ポールも生い茂る草木も、まるで竜巻の只中にでもあるかのように縦横無尽に、今にもすべてが吹き飛ばされんばかりに激しく揺れ動いていた。外灯の明かりは切れかかる寸前のようにビカビカと不規則な点滅を繰り返しながら悲鳴のような光を放っている。しかしぼくの目の前で仁王のようにジッと立つラゴにも、そしてぼくの体にも、その狂ったような空気の混乱は [続きを読む]
  • 第七章 - 黒い恐怖
  • 前回の話:第六章 - 孤独な蛙かつてこの場所にあった黒木山を一部切り崩して建設された南黒町団地は、その背後に幾つもの低い山々が連なる町の外れの高台にあった。団地のある高台の上へと続く大蛇のようにうねった坂をあがりきると、もう誰一人住むものがいなくなった団地にある三棟の建物たちが、それぞれに異様な威圧感を放ちながら無言で目を閉じたままこちらに顔を向けて座っていた。あるいはこの瞬間、建物たちは座って眠 [続きを読む]
  • 第六章 - 孤独な蛙
  • 前回の話:第五章 - 尼僧と猿神廃神社から団地までの道は、塩田とぼくが何度も何度も飽きるくらいに往復した、ある意味ではぼくと塩田を結んでいた道だった。ぼくは中学の三年間、いじめにあっていた。厳密に言うとそれは、ぼくが複数の誰かに直接的な危害を加えられていたわけではない。暴力を振るわれたり、お金を巻き上げられたり、嘲笑の的にされていたわけでもない。ただ他の生徒から完全に無視されて孤立状態になって [続きを読む]