はじめての哲学 さん プロフィール

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はじめての哲学さん: はじめての哲学
ハンドル名はじめての哲学 さん
ブログタイトルはじめての哲学
ブログURLhttp://blog.goo.ne.jp/hajimetenotetugaku
サイト紹介文とっかかりは白いワイシャツ、あなたは何でしょう? きっかけ素材をゆら〜りとお楽しみいただきます。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供49回 / 365日(平均0.9回/週) - 参加 2016/04/13 21:50

はじめての哲学 さんのブログ記事

  • 「天空に舞う」五 大山
  •  そう、あれは昨年の夏の終わり頃。キャンパーが引き上げた後のひっそりとした大山南面の山裾のキャンプ場。大山の頂きを背にして視界の開けたなだらかな高原状のところ。白樺が四、五本、目にぶつかるだけで、低い葦が一面に見渡せた。右手の山塊の落下した辺りに米子の街が見え、美保湾が湖のように浮かんでいた。左手には中国山脈が黒々と連なっていた。当時、連想過多症が昂じて身動きできない状態にのめっていて憂鬱な気分で [続きを読む]
  • 「天空に舞う」四 黄金の稲穂の波打ち
  •  広々とした小学校の校庭……ああ、あの松の木、横に延びたその幹によく腕白な少年達が馬乗りになっていた。手足のかかる木肌はそのため百日紅のようだった。記憶の中の松はいつでも下から仰ぎ見ている。松の木に馬乗りになっている少年や立ち上がって両手を広げて飛び降りる少年達を。……校庭には誰も居なかった。憧れの松の木に這い上った私が蛙のように手足を動かすと、ごく自然にすいすいと空中を飛べた。手足を動かすのを止 [続きを読む]
  • 「天空に舞う」三 掩体壕
  •  汽車で通うこと自体がその当時の私にとっては心弾むことだった。又、それが隣町までの一駅間であっても。又、それが算盤を習いにやらされるという商人見習いのためであっても。当時、私は十歳を過ぎたばかり、昭和の二十六、七年のことだろう。その頃、父も他の親たち同様に喰うために悪戦苦闘していて、その貧乏生活は酷いものだった。弁当は梅干しが鎮座しているだけであったり、米が無くて芋であったり、麦だけだったり……時 [続きを読む]
  • 「天空に舞う」二 太平洋に雪込む丘陵崩
  •   四、五歳の頃だったろうか、疎開先の父の生まれ育った農家の村はずれ。なだらかな傾斜というより起伏のある開墾地の右端に、こんもりとした林、関東ローム層の赤土の畑、大きな三本杉の整列! すっかり忘れていた風景……しかも似たような風景に出会った時、いつも非常に引きつけられ、得心のいかないまま何処かで見たような不思議な気分にさせられ、そのまま放心が続く……。定かでない記憶の分散した一片が思い出されて、そ [続きを読む]
  • 「天空に舞う」一 白いワイシャツ
  • 或る事件が十三才の時、校庭で起きた。秋始めのある晴れた日、私は昼食後の満腹感で校庭を歩きはじめた。他の中学生達は既に校庭で遊んでいた。すると急に、風の音と彼らの遊び声が、ボリュームを落とし、あたりが静まり、私は白いワイシャツが風に揺れているさまを見続けていた。それは風の強い日の旗のように、バタバタと音をたてていた。その衣服の白さとバタバタという音だけに、私の意識は集中した。その時、ひどい孤独と共に [続きを読む]
  • 抜粋  佐藤正午 『月の満ち欠け』 岩波書店
  • 「神様がね、この世に誕生した最初の男女に、二種類の死に方を選ばせたの。ひとつは樹木のように、死んで種を残す。自分は死んでも、子孫を残す道。もうひとつは、月のように、死んでも何回も生れ変わる道。そういう伝説がある。死の起源をめぐる有名な伝説。知らない?」 瑠璃も玻璃も照らせば光る「現実から『追放』される体験、というのはこれなんですかね」 だもんで、ひとつの現実の、イメージとうまく調和できない体験は『 [続きを読む]
  • 抜粋 三木成夫 『胎児の世界』人類の生命記憶 中公新書
  •   ……これからお話しします「記憶」とは、臍の緒の切れる以前から、つまり生まれながらにしてそなわったものです。 それは、三十億年もまえの〈原初の生命球〉の誕生した太古のむかしから、そのからだのなかに次から次へとり込まれ蓄えられながら蜿蜒と受け継がれてきたものであります。 生命記憶 たとえば、本の見開きの右のページは活字ばかりで、図などは左のページに載っていることが多い。 わたしたち人間の感覚-運動 [続きを読む]
  • Ⅲ 哲学の時代 一.ソクラテス來迎   出所「年金の行方」
  • (1) ソクラテス コンニチハ! A どうぞ、お座りください。えっ、ことによると、ソクラテスさんですか? 変装じゃないですよね。一段とヒゲが長くなりましたねぇ。 ソクラテス ソオネ。 A ええ、どうしたんですか、こんなところに現れたりして……。 ソクラテス チョット、ヨッテミタノヨ。最近ノ日本ノ様子ヲキキタクテ。 A そうですか……。ここは年金相談所ですけれどいいんですか? ……。何がなんだか分からない [続きを読む]
  • 抜粋 三木成夫 『内臓とこころ』 河出文庫
  •   いずれにしても、そのように非常に鋭い精巧無比の触覚によって、われわれ脊椎動物の祖先は、営々と五億年の間、食物を取り込んできたわけです。 「この精巧無比の内蔵触覚の機能は、正常な哺乳によって日々訓練されてゆく」 やはり赤ん坊の時には、まず哺乳動物であることの最低の条件を満たすためにも、母乳を経験させないといけない。それで育ってきた赤ちゃんと、なんだかモルモットに水をやるようにして育てた赤ちゃんと [続きを読む]
  • 抜粋 恩田陸『蜜蜂と遠雷』 幻冬舎
  •   それよりも、羨ましいのは中国のコンテスタントから受ける揺るぎない自己肯定感である。あれは日本人にはなかなか持ち得ないものだ。日本人が言う「自分らしく」というのは、他者に対するコンプレックスや自信のなさやアイデンティティの不安から逃れようとして口にするものであり、「自分らしさ」はさまざまな葛藤の上に手に入れるものであるのに、彼らは最初から当たり前のように持っているのは中華思想と一党独裁体制のせい [続きを読む]
  • 「黄金の玉座」由来
  • 2011年10月18日インタビュー:尾崎 昌英編集:高野 義博1.故宮博物院(紫禁城)所蔵品の分散? 1924 薄儀、紫禁城宮殿から退去? 1925 故宮博物院(北京)、美術品などを一般公開(所蔵品総数117万件超)? 1933 蒋介石の国民政府は、故宮博物院の所蔵品を戦火や日本軍から守るべく、1万3,472箱と64包を上海経由で南京に移送? 1937 日本軍南進に伴い、南京の所蔵品は再び運び出されて四川省(巴県・峨嵋山・楽山の3カ所 [続きを読む]
  • 「述語は永遠に……」表紙を一部修正しました!
  •  表紙を一部修正しました。著者から一言拙著『述語は永遠に……』(四〇〇字詰原稿用紙六三六枚・昭和五十六年)で探求していたのは、「心の動き、すなわち刹那ごとの消滅のくりかえしによる連続は消滅」しないという、述語探しによる連想過多症のつきなさを書いていたことになります。長いこと、この作品のポジションが分からないままでしたが、七五歳になって、『大乗起信論』第三段・解釈分のこの一文に出逢って、四〇歳の著作時 [続きを読む]
  • 抜粋 福土審『内臓感覚』脳と腸の不思議な関係 NHKブックス
  •   脳腸相関が重要な役割を果たす病気がある。過敏性腸症候群(iritable bowel syndrome:IBS)である。 講演の中で彼(元ザ・フォ-ク・クルセダーズの一員精神科医北山修)は、情動を表現するのに、身体用語を使うこと、特に、消化器の用語を使うことを日本人の特徴として挙げていた。ぬ たしかに、日本では昔から「腹黒い」「腹が立つ」「腹の内を探る」「腹わたが煮えくり返る」「吐き気を催す」「虫酸が走る」「飲めない(話) [続きを読む]
  • 抜粋 ロック『市民政府論』 鵜飼信成訳 岩波文庫 
  •  自然状態には、これを支配する一つの自然法があり、何人もそれに従わねばならぬ。この法たる理性は、それに聞こうとしさえするならば、すべての人類に、一切は平等かつ独立であるから、何人も他人の生命、健康、自由または財産を傷つけるべきではない、ということを教えるのである。人間はすべて、唯一人の全智全能な創造主の作品であり、すべて、唯一人の主なる神の像であって、その命により、またその事業のため、この世に送ら [続きを読む]