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葦原葭彦
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2016/04/28

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  • 泣いた小説

    とある業界の片隅に、ひとつの小説が生まれました。小説はブンダンという秘密結社に入りたいと切望していました。ブンダンに入るためには、ブンダン婆(バア)という遣り手婆に紹介してもらわなければなりません。 そこで「政治的に正しい小説です。どなたか紹介してください。すてきなSF的趣向や前衛的手法をとりそろえ、必要とあらば政権批判も致します」と書いた看板をサンドイッチマンのように体にとりつけ、ブンダン婆が現れるらしいと噂の街頭に夜な夜な立っておりました。 しかし、彼を見たセンパイ小説やヒヒョーカたちは「おい、見ろよ。あの小説は物語と一緒だぞ。なんと野蛮で反動的なんだろう」とひそひそ声で交わし合うと、まる…

  • 「黄金の驢馬(ロバ)」と「クピードーとプシューケー」

    黄金の驢馬 (岩波文庫) 作者: アープレーイユス,呉茂一,国原吉之助 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2013/07/18 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (6件) を見る 岩波文庫の表紙にある紹介文を全文引用しよう。 唯一完全な形で伝わるローマ時代のラテン語小説。梟に化けるつもりが驢馬になってしまい、おかげで浮世の辛酸をしこたま嘗める主人公。作者の皮肉な視点や批評意識も感じられ、社会の裏面が容赦なく描き出されていて、二世紀の作品ながら読んでいて飽きさせない。挿話「クピードーとプシューケーの物語」はとりわけ名高い。 なんとまあ過不足のない説明だろうか。 物語は冒頭から脱線しつ…

  • 最近読んだギリシア本いろいろ(3冊目、4冊目)

    古代ギリシア人 (叢書・ウニベルシタス) 作者: モーゼス・I.フィンレー,山形和美 出版社/メーカー: 法政大学出版局 発売日: 1989/03/01 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (1件) を見る 3冊目はこれです。ウニベルタスっていうのは「宇宙」(などの)意味をもったラテン語だそうです。ふーん。そんなことよりせっかくリンク貼ったのに、表紙画像なしかよ。まったくこれだからマイナー本はよー。 表紙がこわいね。内容はというと、前回紹介した古代ギリシア人の生活文化と比べると、学術系っぽいというか(叢書シリーズ的に当たり前か)格段に内容に信頼感がある。(別にいちいち事実を確認したわけで…

  • 最近読んだギリシア本いろいろ(2冊目)『古代ギリシア人の生活文化』J.P.マハフィー

    前回脱線してしまって一冊だけになったので、気を取りなおして、最近読んだ古代ギリシア関連本の感想をメモっていく。 古代ギリシア人の生活文化 作者: J.P.マハフィー,遠藤光,遠藤輝代 出版社/メーカー: 八潮出版社 発売日: 1991/12 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る J.P.マハフィー( Sir John Pentland Mahaffy 1839 – 1919)さんは、今から100年前に死んでる昔の人で、だからこの本が1991年の発行だと書いてあっても、古代ギリシアについての最新の研究(知見)とは隔たりがあるだろうということは、あらかじめ頭に入れておかなくてはならない。…

  • 最近読んだギリシア本いろいろ(一冊目) 『ギリシャ神話集(ヒューギヌス)』とアイギストスの息子

    最近読んだ古代ギリシア関連本への感想という名のメモ程度のブログエントリ。 ・ギリシャ神話集(ヒューギヌス) ギリシャ神話集 (講談社学術文庫) 作者: ヒュギーヌス,松田治,青山照男 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2005/02/11 メディア: 文庫 購入: 8人 クリック: 71回 この商品を含むブログ (16件) を見る ヒューギヌスさんが書いたギリシャ神話集です。アポロドロースさんが書いたギリシア神話 (岩波文庫)とはまた別物。 神話集と言われて受けるイメージとはちょっと違って、ギリシア神話ポケット事典といったおもむき。後述するギリシア・ローマ神話辞典にちょっとだけ感じが似てる…

  • 『狂えるオルランド』

    狂えるオルランド 作者: ルドヴィコアリオスト,Ludovico Ariosto,脇功 出版社/メーカー: 名古屋大学出版会 発売日: 2001/08 メディア: 単行本 購入: 1人 クリック: 11回 この商品を含むブログ (9件) を見る 欲しかった資料をうまいこと手に入れた。 安くはないが(絶版している)古本市場から考えればかなり割安に手に入れられたので、まあ満足。 異世界転生系(ハーレムチートで俺TUEEEEE)純文学小説を書こうとしていて、その資料の一つとして『狂えるオルランド』を読んでおきたかった。 まさに、資料というのは持っているだけでは意味がなく、読んでいなくてはいけない。ま…

  • アフォリズム

    【父親が多すぎる】 普通息子は一人の父親をもつ。たいていは、その一人を殺せば満足するのである。けれども彼は業が深くて、もしくは自身を見積もりすぎているために、いくら殺しても殺してもあきたりないのだ。彼には父親が多すぎる。 【確かに非常識】 彼女は個性的だと皆から思われていた。それだけに「あなたは案外普通ですね」と誰かから言われると物足りなく思った。彼女は年増になっても「人とは違った私」を演出しなければいけない少女、をいまだにつづけているという意味で、確かに非常識な女だった。 【才能がもつ特権】 才能がもつ特権の一つは明らかに、自らを浪費することにある。自身の才能に対して冷淡でありえるということ…

  • オレステイア三部作『慈(めぐ)みの女神たち』アイスキュロス──ギリシア悲劇を読む第五回

    登場人物 デルポイなるアポロンの社の巫女 アポロン神 ヘルメス神 オレステース 故アガメムノーン王の息子、母クリュタイメーストラーを殺し、狂って諸国を流浪する。 クリュタイメーストラーの亡霊 復讐の女神エリーニュス(後に「慈(めぐ)みの女神」と変る)の群れ アテナ女神 アテナイ最高法廷アレオパゴスに審判をつとめるアテナイ市民たち アテナイの婦人や娘、数名 テキスト ギリシア悲劇全集 第1巻 アイスキュロス篇 作者: 呉茂一 出版社/メーカー: 人文書院 発売日: 2000 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 訳者は呉茂一氏。 原題『Eumenides』(エウメニデス:慈みの女神たち…

  • オレステイア三部作『供養する女たち』アイスキュロス──ギリシア悲劇を読む第四回

    登場人物 オレステース アルゴス王亡アガメムノーンの息子。 ピュラデース オレステースの従兄で親友。 合唱隊(コロス) 王妃に仕える侍女たちから成る。 エーレクトラー アガメムノーンの娘でオレステースの姉。 従僕 王妃の召使。 クリュタイメーストラー 亡アガメムノーン王の妃。 オレステースの乳母 アイギストス 王妃の愛人、共謀して王を殺した者。 アイギストスの従僕 訳者は呉茂一。テキストはひきつづきこちら。 ギリシア悲劇全集 第1巻 アイスキュロス篇 作者: 呉茂一 出版社/メーカー: 人文書院 発売日: 2000 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 原題のchoephoroiは、…

  • オレステイア三部作『アガメムノーン』アイスキュロス──ギリシア悲劇を読む第三回

    テキストは引き続き人文書院ギリシア悲劇全集 第1巻 アイスキュロス篇より。訳者は呉茂一。 登場人物と前置き 物見の男 コロス アルゴスの長老(おとな)たちより成る。 報せの使い クリュタイメーストラー アルゴスの王妃。 タルテュビオス 伝令使。 アガメムノーン アルゴスの王。 カサンドラー トロイアの王女。いまは俘虜(ふりょ)としてアガメムノーンに侍する。 アイギストス 王の従弟で王妃の情人。 場所 アルゴス城王宮の前、奥の扉口にはいくつかの神像、その前に祭壇をしつらえ、下って会議の場席。時は晩秋の夜明け前。 オレステイア三部作を読むためには、タンタロスの呪われた家系について基本知識を仕入れて…

  • 「オレステイア三部作」のための、まとまらないまとめ「呪われた一族」──ギリシア悲劇を読む予習編

    オレステイア三部作を、乱暴でおおざっぱに簡約してしまうと、このようなまとめになりかねない。第一部では、悪妻による不倫と夫殺し、第二部では、息子による母殺しという復讐、第三部では、母殺しという罪の赦し。しかし、ギリシア悲劇はギリシア神話から題材を得ており、オレステイア三部作という長編もまた、その一部を成している。アイスキュロスが想定したギリシアの観客は、神話を知っていたはずであり、われわれもまた、この三部作を読むためには、三部作の前日談をある程度は知っておく必要がある。 オレステイア三部作が単なる「罪→復讐→赦し」という一回性の物語でなく、第一部から罪と呪いと復讐が一式となって繰り返されていると…

  • Youtubeでギリシア悲劇を観る──ギリシア悲劇を読む番外編

    オレステイア三部作の「感想文」を書いてからにしようかと思っていたけど、前のほうがいいかと思い直して、Youtubeで観ることができるギリシア悲劇のご紹介。 現代劇として演出され直したものではなく、なるべく当時のものを再現(シミュラークル)しようとしている劇映像をばみつくろってきた。だから、最低でも仮面をかぶっていないと除外対象。ここに貼ってある動画は全部英語のものだけどね。 『オレステイア三部作』アイスキュロス 『アガメムノーン』 アガメムノーンは、ホメーロスの『イーリアス』でうたわれたトロイア戦争のギリシア側における総大将である。劇にかけられるのは、トロイア戦争後、アガメムノーンが故国に帰っ…

  • 『ペルシアの人々』アイスキュロス──ギリシア悲劇を読む第二回

    登場人物および前置き 訳者は久保正彰氏。 「ギリシア悲劇を読む」と題してブログ記事を書き殴るこのシリーズにおいて、われわれがテキストに選んだ、人文書院のギリシア悲劇全集 第1巻 アイスキュロス篇の二作目におさめされているのは、『ペルシアの人々』だ。 現存するギリシア悲劇のうち最古のもの。ペルシア戦争中のサラミスの海戦をあつかった作品で、神話・伝説世界でなく現実現在に起こった出来事をあつかっている点でギリシア悲劇にはめずらしいと同時に、アイスキュロス自身がこの海戦に参加していたという。(歴史的事実の概略は、Wikipedia大先生の関連項目、ペルシア戦争、サラミスの海戦、アケメネス朝ペルシア な…

  • 『縛られたプロメーテウス』アイスキュロス……ギリシア悲劇を読む第一回

    を踏まえて、いよいよギリシア悲劇を読む。例によって、人文書院のギリシア悲劇全集 第1巻 アイスキュロス篇から、登場人物を書き写してみよう。 ・登場人物 権力(クラトス)と暴力(ビアー) 擬人化された神格、世界の主神たるゼウスの部下(但し後者は無言) ヘーパイストス 火と鍛冶の神、ゼウスの息子。 プロメーテウス 自然神ティターンの一族なる巨人神、人類に火を与えたため、いま罰せられようとする。 合唱隊(コロス) オーケアノスの娘たち、海のニンフで白衣をまとう。 オーケアノス 世界をめぐる大河、また海洋の主。ティターンの一族で、プロメーテウスの叔父に大体当る。 イーオー アルゴス王イナコスの娘、ゼウ…

  • ギリシア悲劇を読む、の序章にして、アイスキュロス篇の序章

    「ぎりしあへ行きたしと思へど ぎりしあはあまりに遠し せめては古い巻をくりて きままなる読書の旅にいでてみん」 というわけで、本当にはギリシアにさほど行きたいとも思っていないけれども、悲劇と喜劇をもう一度読み直して、ブログ更新のかたがた記録を残そうと思いたった私だ。 手元に人文書院発行のギリシア悲劇全集第一巻がある。 ギリシア悲劇全集 第1巻 アイスキュロス篇 作者: 呉茂一 出版社/メーカー: 人文書院 発売日: 2000 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る アイスキュロス篇にはいる前に、ギリシア悲劇についての解説というか紹介をした文章があって、その中に、高津春繁氏が『ギリシア悲…

  • 人類は如何に神々として滅びるか

    神話、とよばれるものは、文明の黎明期に誕生する。神話が語る主なものの一つは、世界の始まりについてである。どうして、どうやって、海は生まれ、山が隆起し、大地は豊かに実り、われわれはここに在ることとなったのか。神話は、万物の誕生を、始原を語る。 始まりがあれば、いつかは終わりがやってくる。世界各地に神話が生み出されていた時期(年代のばらつきはあろうが)を人類の幼年期とするならば、現代を生きるわれわれは、その老年期を生きているのではないか。ともかく、いつかは終わりがやってくる。世界の始まりが神々の物語であったのなら、世界の終わりもまた神々の物語であって不自然なことがあろうか。事実、われわれは神々にな…

  • バカは「難しいことを簡単に教えられるのが頭の良い人間だ」と考える

    われわれ選ばれたる民であるところの大多数のバカは、一般的に、「難問」ということについて、こういうぐあいに考えている。 難しいことを簡単に話せるのが、頭のいい人間だ。 と。 しかし、われわれは頭が悪い、その上教養のないバカなのであるから、本当には彼が頭がいいかどうかは分からない。本当には分からないことは、われわれにとって、本当にはどうでもいいことである。したがって、もっと実状に即して、われわれの心情を表現するならば、 どんな難問でも、われわれにも分かるように話をしろ。それができないのなら、われわれはお前たちを認めない。 となる。 われわれは、自身がバカであることに安住するバカであるから、新書を読…

  • たまごかけご飯の理想的な食べ方

    「B級グルメ」という言葉がいつの頃からか人口に膾炙した。おおよそ、ファース トフード、コンビニ商品、インスタント食品、ファミレス、屋台といったあたりの食べ物を含んで使われているらしい。 比較的安価な現代日本の庶民の食べ物といった定義で大きな違いはないと思 われる。「スローフード」などという言葉が一時期流行ったのは、ファーストフードやインスタント食品を代表とするこの「B級グルメ」の「不健康」で「粗雑な味」というイメージに 対抗する形で発生したものだと予想されるが、結局なんだかんだ言っても、みんな「B級グルメ」を食べている。もしかしたら、雑誌のスローフード特集を読みながら、マクドナルドハンバーガー…

  • 虫嫌い

    虫嫌い 幼い頃自分は虫というものが平気だった。ダンゴ虫という奇妙な多足生物にかなり親しんでいたように思う。岩の陰や茂みの奥のようにじめじめと湿った場所に潜んでいるそれは、手を触れるとくるりと背中を丸めてだんごのようになってしまう。自分はそれを転がして遊ぶのを好いていたけれども、所詮は一方的な片恋でしかなかった。実らぬ恋の代償のつもりであったかは定かではないが、自分はダンゴ虫をアリの巣へ落としたり、水溜りに漬け込んだりと残酷な遊び方も心得ていた。潰して殺してしまったこともあったように思う。 当時、自分には唯一人心の許せる親友がいた。彼の家の前には小さな川が流れていて、春のまだ浅い時分から、秋の深…

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