佐藤清春 さん プロフィール

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佐藤清春さん: 佐藤です、小説書いてます。
ハンドル名佐藤清春 さん
ブログタイトル佐藤です、小説書いてます。
ブログURLhttps://ameblo.jp/kiyoharu-satou/
サイト紹介文小説を書くこと、読むこと??について。 あと、思いついたことなどを、 まあ、そこはかとなく。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供375回 / 365日(平均7.2回/週) - 参加 2016/05/23 00:24

佐藤清春 さんのブログ記事

  • 『清水ミカ』 5
  •  すぐに出ればよかったのだ。そうしていればキッチンから顔を出した母親がこう言うのを聞くことはなかった。それを聞いたとき、ミカはちょっと泣きたい気分になった。「あら、ミカ、今日はお茶淹(い)れてくれないの?」  ミカは一瞬立ちどまって家族の顔を順に見た。 みんな驚いたような表情をしていた。なんだか嫌な雰囲気だった。そして、自分がそれをもたらしたのだと思うと、いたたまれない気分にもなった。 誰かが悪いと [続きを読む]
  • 『清水ミカ』 4
  •  ミカはイランイランとベルガモットのエッセンシャルオイル(ともに苛々解消に役立つ)を焚(た)き、フラワーエッセンスなるものの中からインパチェンス(これも苛々にいい)を選び、ハーブティ(セントジョンズワートとレモンバームで、当然ながらこれらの効用も苛々解消だ)に垂らして飲むのが習慣になっていた。 部屋の中でそうやっている間だけが憩(いこ)いの我が家で唯一おちつける時間だった。 彼女の部屋には電気ポット [続きを読む]
  • 『清水ミカ』 3
  •  二人は姉妹だったから当然似た部分を持っていたし、背格好も同じくらいだったので遠くから見ると見分けがつかないことがあった。 なおかつ、ユキは男友達と出かけるとき(彼女はそれを「デート」と決して言わなかった)、勝手にミカの服を借りていったりした。そうなると、後ろ姿ではこの姉妹を見分けることはほぼ不可能になった。 ミカはファッション誌を精(せい)読(どく)し、気になるものがあると付箋を貼り、店に出向いて [続きを読む]
  • 『清水ミカ』 2
  •  彼女には姉がいる。ふたつ年上で、マンション管理会社の営業事務をしている。とはいっても派遣社員で、短大を出てからずっと職場を転々としていた。 姉の方はユキといって、とても美人だ。それは子供の頃からそうだったし、今もってそうだ。ミカは自分を磨くために努力してきたし、勉強もした。そうやって自らをまあまあ美しいといえる状態に定着させようとしてきたミカにとって姉の天性からなる美しさは羨(うらや)ましいもの [続きを読む]
  • 『清水ミカ』 1
  •   清水ミカというのが彼女の名前だ。 彼女は二十六歳で、ショップの販売員で、つねに明るく振る舞っている。服装にも気をつかってるし、長い髪はいつもつややかで、爪だってきれいに整えている。彼女が扱うのは化粧品や自然療法系のもの(エッセンシャルオイルとかハーブとか)だったから、清潔感と健康そうにみえることを第一と考えていた。 控えめで謙虚――をモットーにしてもいる。 しかし、目立つ存在ではあった。背が [続きを読む]
  • 明日から 〜『清水ミカ』について
  • 年頭のご挨拶で宣言したように明日から『清水ミカ』を掲載したいと考えております(ま、これを書いてるのも 2018年10月31日ですが)。この『清水ミカ』はごく簡単にいうと美しい姉にコンプレックスを持つ26歳のちょっとばかり小煩い女である清水ミカの物語って感じでしょうかね。ミカはとにかくしゃべってますね。口に出してもいるし、心の中でもずっと愚痴やら不満やら批判がましいことをしゃべりまくっています。僕はそういうと [続きを読む]
  • 『われは我が愆を知る。我が罪は常に我が前にあり』③ 〜『三四郎』について
  • あっちにいったりこっちにいったりで、なかなか本題が進まないわけですが、まあ、ゆるゆると考えていきましょう。 うん、そうしよう。 さて、美禰子が放つ謎の言葉群は聖書由来ではあるもののその原義を離れた意味合いを持たされてるんじゃないか――というのが昨日までのお話でした。 では、その意味ってなんなの? が問題になるわけです(っていうか、もともとそういう話なんですけどね)。 まずは『迷羊(ストレイ シープ)』か [続きを読む]
  • 『われは我が愆を知る。我が罪は常に我が前にあり』② 〜『三四郎』について
  • さて、僕は昨日から美禰子の放った謎の言葉――『われは我が愆を知る。我が罪は常に我が前にあり』について考えているのですが、なかなかうまくまとまりません。 ま、100年以上前の小説に出てくる言葉にそこまでこだわる必要があるのかという問題もあるのだろうから、時間と興味のある方だけお読みくださいね。 で、昨日はこの謎の言葉以前にも美禰子は聖書っぽい言葉を使っていたと書きました。 それは、まあ、なんとなくわかる [続きを読む]
  • 『言葉と映像』より 『最期の瞬間』
  • これはほんとうに『最期の言葉』のつもりです。 ま、いつどのように僕が死んだとしても、それはなにかの途中でありつづけるんですね、たぶん。 ↓押していただけると、非常に、嬉しいです。にほんブログ村 エッセイ・随筆 現代小説ランキング 〈BCCKS〉にて、小説を公開しております。 《詩のようなものと幾つかの短文集です。 画像があるので重たいとは思いますが、 どうぞ(いえ、どうか)お読みください》 [続きを読む]
  • 『言葉と映像』より 『父親に会う』
  • これは半分ばかりが経験であり、半分ばかりは想像ですね。ま、どの部分が経験かは言いたくありませんが。 ↓押していただけると、非常に、嬉しいです。にほんブログ村 エッセイ・随筆 現代小説ランキング 〈BCCKS〉にて、小説を公開しております。 《詩のようなものと幾つかの短文集です。 画像があるので重たいとは思いますが、 どうぞ(いえ、どうか)お読みください》 [続きを読む]
  • 『言葉と映像』より 『ビリージャクスン』
  • これはO,ヘンリの小説を読んで書いたものです。実際のところ僕もどういったストーリーか忘れてますけど。 ↓押していただけると、非常に、嬉しいです。にほんブログ村 エッセイ・随筆 現代小説ランキング 〈BCCKS〉にて、小説を公開しております。 《詩のようなものと幾つかの短文集です。 画像があるので重たいとは思いますが、 どうぞ(いえ、どうか)お読みください》 [続きを読む]
  • 《詩》について 〜漱石先生のお言葉 その2
  • 元日にもちょろっと書きましたが僕はいま『三四郎』からの引用がふんだんに出てくる小説を書いているんですね。高校の文芸部が舞台で、そこに故あってあらわれた外部講師が『三四郎』をテキストに書くことについての講義をする。そうこうしてるうちにいろいろなことが起こる――といったふうに書きたいわけです(ま、いまもって悩み中ですけどね)。で、その主人公(女の子です)は詩を書いているんですよ。いえ、とくにそうしよう [続きを読む]
  • 『?橋慎二』について③ 〜すこしばかり歪な三角関係
  • で、状況に流されるかのように展開していった『?橋慎二』ですが(いえ、その状況をつくったのも僕ですけど)、僕としては当初の目論見通りに一目惚れの話として書きたかったんです。だから、そっち(白石さんとの話)はそのまま進ませることにしました。不器用な42歳の男がいかにして恋を実らせるか――という話ですね。あくまでもメインテーマはそっちなんです。ただ、ミキの存在感はサブテーマとするにはちょっと強すぎたかもし [続きを読む]
  • 『?橋慎二』について② 〜不器用な人々
  • という感じになんとなく一目惚れからはじまる物語を書こうかなと考えたわけですが、小説って思いつきだけで書き出すと破綻しやすいものなんですよね。しかしながら、僕はだいたいにおいてきっちりとしたプロットを持たずに漫然と書き出すことが多いので、「ま、なんとかなるだろう」と考えつつ次なる文章をカタカタと打ちました。『とはいっても、それは彼だけに向けられたものでなく、不特定多数の人々に等しく見せているものだっ [続きを読む]
  • 『?橋慎二』について① 〜恋愛小説ってどういうの?
  • 『?橋慎二』について思いついたことなどを幾つか。 (↑画像 で読みにいけますからね)これは今からたぶん5、6年ほど前に書いたものなんですね。奥さんから「恋愛小説っぽいの書いてよ」と言われ、「うん、そういうのもいいかもね」などと考えて書きはじめたのです。ただ、まことに理屈っぽい僕は「ふむ、ところで恋愛小説って どういうものなんだろう?」なんてふうに考え、しばし悩みました。なんとなくおぼろげに「 [続きを読む]
  • 同じ一日
  • 別に今日から仕事が始まるので書いてるのではなく、ただ、ふと思ったことなんですけど――お正月とかいったところでけっきょくそれぞれの一日は一日に過ぎず、なにか特別な時間が流れているわけじゃないんですよね。大晦日といい、元日といってはいるものの、それらは五月十日とも八月二十九日とも変わらぬ一日なわけだし、まあ、日の出や日没の時刻は変わってもとりたててどうってことのない日なわけです。そう僕たちは自分にとっ [続きを読む]
  • 明けましておめでとうございます 〜漱石先生のお言葉
  • 明けましておめでとうございます。などと書いといてなんですけど、現在は2018年10月25日の18時30分です。いえ、後で差し替えるかもしれませんが、『?橋慎二』の予約アップをすべて終え次なる小説のブログ記事化を進めておりますので元日の記事をそのタイミングで書いちゃってるんですね。ま、新たに書いている小説も後半にさしかかってるから(年内に終わってるといいな)、隙間時間にいろいろしてるんですよ。というわけで、僕は [続きを読む]
  • 『?橋慎二』 62
  • 「気にしてるの? 私が言ったこと」「すこしはね」 ?橋慎二はホール係を呼んで二杯目のビールを頼んだ。「君が言ったことは、なぜかここに――」 彼は自分の胸を軽く何度か叩いてみせた。「残ってるんだよ」 ミキは彼の顔を見つめていた。?橋慎二はニヤけていなかった。彼女は溜息をついた。 こういうのよ――と思った。こういうのが私に残ってしまう言葉。だけど、この人も一緒なんだ。私の言葉もきちんとこの人に残ってる [続きを読む]
  • 『?橋慎二』 61
  • 「ねえ、運命ってあるものだと思う?」 彼らはこの前と同じ店に入った。 どうしてそんなことをしなくちゃならないのか?橋慎二にはわからなかった。ミキもなぜこうなってしまうのかわからない。 二人はビールを頼み、よく冷えたそれを飲んだ。 まるで昔と一緒――と彼らは思った。 憶えていられないくらい前の大晦日にもこんなふうに二人で店に入りビールを飲んだ気がしていた。ただ、ほんとうにそんなことがあったのかはやは [続きを読む]
  • 『?橋慎二』 60
  •  ミキの顔は削り落としたあとのようにみえた。頬は自然な膨らみをなくし切り立っていて、そのぶん目だけが強調されてみえた。?橋慎二はしばらく黙った。ミキの視線は定まらず、彼の全体を見まわしていた。「どうしたんだよ。なにがあったんだ?」「どうもしてないわ。なにもない」「そんなことはないだろ」 ミキはじっと強く彼の目を見つめた。瞳は大きく広がっていった。?橋慎二はその中に取り込まれていくような気分になっ [続きを読む]
  • 『?橋慎二』 59
  •  信号が変わった。ミキはまた足早に歩きだした。彼は追いついてからこう言った。「どうしたんだよ」「なにが?」 「そっちはえらく不機嫌そうじゃないか。違うか?」「違わないわ」 ミキは駅の方へ向かっていった。?橋慎二はそこから地下鉄に乗ることもできた。歩いて帰るつもりだったけれど、まあ、どっちでもよかった。ただ、ミキの家は方向が違う。「私が不機嫌なのはいつものことでしょ。違う?」 早口でミキは言った。違 [続きを読む]
  • 『?橋慎二』 58
  • ◆◆◆◆◆◆◆  大晦日の夕方、?橋慎二とミキはまたもや偶然に出(で)会(くわ)すことになった。彼らはそれぞれひとりで本屋に来ていて、そこで顔を合わせた。「あら、」とミキは言った。「おっ、」と?橋慎二は言った。「偶然ね」「まただな」 ?橋慎二は会計を済まして出口へ向かった。そこにミキは立っていた。黒いダウンコートを着ていて、これも黒い細身のパンツにブーツを履いていた。ポケットに手を突っこみ、ビルの外 [続きを読む]
  • 『?橋慎二』 57
  • 「嘘なんです」と白石さんは言った。「え?」「娘はいません。離婚はしたけど」 彼女の声はいつもの高く張りのあるものではなかった。静かで、震えるようなものだった。「私、子供が産めないんです」 そう言うと、彼女は笑顔をつくった。しかし、瞳には涙が溢れていた。それはある一定量をこえると目尻から流れていった。?橋慎二は彼女の両腕に手を添え、笑顔をつくってみた。様々な言葉が渦(うず)巻(ま)いていた。しかし、感情 [続きを読む]