佐藤清春 さん プロフィール

  •  
佐藤清春さん: 佐藤です、小説書いてます。
ハンドル名佐藤清春 さん
ブログタイトル佐藤です、小説書いてます。
ブログURLhttps://ameblo.jp/kiyoharu-satou/
サイト紹介文小説を書くこと、読むこと??について。 あと、思いついたことなどを、 まあ、そこはかとなく。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供378回 / 365日(平均7.2回/週) - 参加 2016/05/23 00:24

佐藤清春 さんのブログ記事

  • 小説を分割することについて 〜言い訳じみた考察
  • 僕はちょっとばかり悩みつつ反省もしているんです。 それは『?橋慎二』に関することで、これまで掲載していたぶんがあまりにも細切れだったんだじゃないかというものなんですね。 いえ、そうしたのにはきちんとした理由があるんです。この話の中核はクリスマスから大晦日にかけて繰り広げられるものなので、実際の日付近くに掲載したかったんですよ。 ただ、そのために1日あたりの分量が少なくなっていたのも否めませんね。 これ [続きを読む]
  • 『高慢と偏見』をじっくり読みなおす ―20―の③
  • 勘違いをしつづけるコリンズ氏、彼からの求婚を断ったエリザベス、財産のことも絡むためなんとか結婚させたいベネット夫人、この3人がごちゃっと絡みあった結果、問題はベネット氏のもとへと回されます。もとよりコリンズ氏のことを変人と決めつけ(ま、そうなんですけど)、遠くから眺めて楽しんでいたベネット氏のことだから、最愛の娘たるエリザベスを彼と結婚させるわけもないんですよね。それは読者もよくわかっているから書 [続きを読む]
  • 『高慢と偏見』をじっくり読みなおす ―20―の②
  • 不首尾に終わった求婚をそれとは気づけぬままニヤついていた(のでしょうね、たぶん)コリンズ氏でしたが、そこにかのベネット夫人が飛びこんできたことによって、話が違う方に(いえ、正しい方へでしょうが)進んで行きます。前回引用した中のここが注目ポイントですね。『なるほど彼の従妹は頑固に拒絶したけれど、それは彼女がはずかしがりで内気なのと、彼女の性格が純真でつつましいのとのため、自然とそうなったのであろう、 [続きを読む]
  • 『高慢と偏見』をじっくり読みなおす ―20―の①
  • ふたたび『高慢と偏見』について事細かに感想を述べる時間になりました。今回は第20章ですね。 今度もかなり間が空いてしまいましたがこれは継続しています。なにしろ僕は大変しつこい性格なもので。さて、前章ではコリンズ氏がユニーク極まりない求婚をし、それをエリザベスが拒絶したわけですが、この20章はそのつづきです。エリザベスの断り方はかなりきちんとしたものだったと思うのですが、コリンズ氏はへこたれていないんで [続きを読む]
  • 自己責任と自己犠牲。あるいは自己満足や自己欺瞞。
  • 小説を掲載している間はなるべく世間のことに関して口を閉ざしていたいと考えているのですが、なんとはなしにふと思ったことがあったのでちょっとばかり(とはいっても長いので自己責任において読んでください)。 さて、この頃なんだか流行語大賞を狙えるほどな感じに『自己責任』という言葉が飛びかっておりますね(ノミネートはされてなかったようですが)。 まあ、大人であればあらゆる行動は自己責任において成されるべきな [続きを読む]
  • 『?橋慎二』 25
  •  住宅地を歩く頃には二人は押し黙っていた。 彼の方はこれからの計画を練る必要があったし、彼女の方は自らの感情の起伏に疲れきっていた。いろんなことがうまくいかないときに喜びをあらわにする人間を前にするとそれだけでも疲れるものなのだ。 まだ二時にもなっていないというのに冬の曇り空に辺りは暗く、灯りをともしている家も幾つかあった。ミキの家はその中にある。誰もいないので当然だけど彼女の家に灯りはともって [続きを読む]
  • 『?橋慎二』 24
  • 「で、さっきの子があなたをどう思ってるか、私の見たところを教えてあげましょうか?」 ?橋慎二は背後から顔を出して、深くうなずいてみせた。うんともすんとも言わないのは緊張で喉が詰まったからなのかもしれない。 まるで子供、とミキは思った。  おかしくもあるけれど、苛々もした。思ったことの反対を言ってやろうかしらと考えてみた。でも、?橋慎二の顔を見て思いなおした。そんなことを言ったら、この場で死にかねな [続きを読む]
  • 『?橋慎二』 23
  •  それから二人はふたたび荷物を運びはじめた。?橋慎二は黙っていた。今のやりとりからなにかを学びとろうとしていたのだ――白石さんに恋人はいない/彼女の方から声をかけてくれた/自分も未婚だというアピールができた、等々。「慎二くん、もういいから、あの子についていったら?」 ミキは立ちどまって?橋慎二の顔を覗き見た。だらしない顔。いつまでそんな顔してるつもりなのかしら――と思いながらだ。「どうして?」 「 [続きを読む]
  • 『?橋慎二』 22
  • 「ね、こっちこそ馬鹿なことで引き止めちゃったんじゃない? ちょっとした知り合いにご挨拶しただけなのにね」 「いえ、そんな」 白石さんは両手を前に出して振ってみせた。こういう仕草もかわいらしい――と?橋慎二は見ていた。ミキは若干疑わしそうな視線を向けていた。だけど、そうしていてはいけないと考えて、また首を弱く振った。「私の方こそすみません。仲が良さそうだったので、?橋さんってご結婚されてたのかと思っ [続きを読む]
  • 『?橋慎二』 21
  • 「あら、」と言った白石さんの表情はスーパーマーケットでみせているのと変わらぬものだった。「この辺にお住まいだったんですか?」 「いや、」と?橋慎二は言ったものの、その後をどうつづければいいかわからなくなった。 自分の家はこの辺りではなく、今日はたまたま二十年前の彼女に出(で)会(くわ)して、その大荷物を運ばされつつ愚痴を聞くことになって――と、まあ、そういうことではあるのだけど、そんなのを聞かされても [続きを読む]
  • 『?橋慎二』 20
  •  ふたたび荷物を持つと、ミキは足早に歩きはじめた。大きな本屋の横を右に折れ、人のあまりいないところへ抜けた。「ほんと腹がたつわ。なんで私が彼の妹の結婚祝いをひとりで買いにいかなきゃならないわけ? そりゃ、まったく関係無いってわけじゃないけど。それも、よりによってこんな重たいものを――」  ミキは怒りを原動力としているかのように突き進んでいった。しゃべるのもやめない。なんだか悪いスイッチを押してしま [続きを読む]
  • 『?橋慎二』 19
  • 「おい、これを持つのか? 俺が」 「だって、持ってくれるんじゃなかったの?」 そう言われれば彼は従うしかなかった。まあ、はじめからそのつもりだったのだし、自己発信のことには責任を持つというのが彼の信条でもある。ただ、想像以上にその荷物は重かった。 「なあ、どこまで運ぶんだよ」「家よ」「家? どの辺にあるんだ?」  ミキはずんずんと進んでいった。腹をたてているようだけど、それは自分とは関係無いことなのだ [続きを読む]
  • 『?橋慎二』 18
  •  十二月の半ば頃、?橋慎二はこれまた偶然にミキと出(で)会(くわ)した。 彼女はひとりで非常に重たそうな荷物を両手に持っていた。彼としては見て見ぬ振りもできたのだけど(ミキの方は気づいていないようだった)、持ち前の義(ぎ)侠(きょう)心(しん)がそうはさせなかった。ミキを追うと肩に手をかけ、こう言った。 「奥さま、大変重たそうなお荷物ですね。ひとつ私がお持ち致しましょうか?」  ミキはびっくりしたような顔で振 [続きを読む]
  • 『?橋慎二』 17
  •  それから、?橋慎二は白石さんとすこしだけ会話といってもさしつかえのないものを交わすようになった。 はじめの一段を上がるのには時間がかかったけれど、それをクリアした今となってはその苦労さえ懐かしく感じる――ほどだった。  ただ、作戦の実行中であることに変わりはなく、日に五つから七つの『ニャンミー マグロ味』を買うことはやめなかった。それをやめてしまうと、せっかく築きあげた関係(まあ、これは関係とい [続きを読む]
  • 『?橋慎二』 16
  •  そのときに終業を知らせる音楽が流れだした。 二人はちょっと天井の方へ顔を向け、それからまた目を合わせた。  白石さんは笑顔を強くさせた。それだけでも彼は参ってしまいそうになった。しかし、その直後に彼女が放った言葉はさらに?橋慎二を失神させるほど参らせた。 「いつもあれを買ってましたものね。すみません。すこし時間をいただければ次にいつ入ってくるか調べられますけど――」  白石さんが自分のことを『キャ [続きを読む]
  • 『?橋慎二』 15
  •  しかし、あまりにも意識しすぎたせいか彼の声は激しくうわずったものになった。「す、すみません」と言ったのだけど、それはまるでファルセットみたいになった。  白石さんは品出しの手をとめ、驚いたような表情を浮かべていた。 「ああ、いや、」と?橋慎二は言って、声を調節し、気合いで顔の赤くなってるのをおさめようとした(成功したかはわからない)。 「このキャットフード、『マグロ味』の方はないんですか?」 「ど [続きを読む]
  • 『清水ミカ』 20
  • 「そう、それでね、片方は銀行員なんだって。もうひとりは実業家らしいんだけど」「ふうん。いいんじゃない? 両方ともお金持ってそうだし」 ヤングコーンを口に入れ、ユキは薄く微笑んだ。それから、ミカをじっと見つめた。「まあ、それはいいとして、どっちもいい人っぽく見えるのよね」「ねえ、」ミカはピザを囓(かじ)りながら言った。「それを決められないって言うんじゃないでしょうね」「あら、その通りよ」「で、私に決め [続きを読む]
  • 『?橋慎二』 14
  •  しかし、恋をしてる人間というのは同じ感情に長くとらわれていられないものだ。 十一月のある日、?橋慎二はかなり遅い時間にスーパーマーケットへ行った。 非常にめずらしいことに彼は残業を余儀なくされた――妙子が考えられないミスをして、その後始末につきあうはめになったのだ。守くんと三人でいちから帳簿を確認し、修正することになった。  妙子は今にも泣きだしそうな表情で、およそ十分ごとに「すみません、すみま [続きを読む]
  • 『?橋慎二』 13
  • 「子供ができないのも理由のひとつよ」 ?橋慎二は振り返ってミキを見た。 なんだか小さくみえた。この一瞬でミキは急速に萎(しぼ)んだかのようだった。声もか細いものだった。 「子供がいなくたって仲のいい夫婦はいるぜ」  ?橋慎二はそう言った。ミキは彼を見あげた。 「あなたに家庭生活のことでアドバイスできることなんてあるの?」  それから、もう一度彼を上から下まで眺め、立ちあがった。しばらく?橋慎二の顔を見 [続きを読む]
  • 『?橋慎二』 12
  •  ?橋慎二はベンチに両手をつき、首を上へあげた。 青い空に薄く靄(もや)のような雲がかかっていた。それは風に動き、めまぐるしくかたちを変えていった。もとから定まったかたちなどなく、おさまる先もないもの――彼はそう思った。 「なにがあったんだよ」  彼は空を見あげながらそう言った。 「別に」とミキはこたえた。 「ね、キャットフードって、慎二くん、あなた、猫飼ってるの?」 「ああ、」と言ってから、彼はこうつ [続きを読む]
  • 『?橋慎二』 11
  •  税務署に行くとき?橋慎二は自転車を使う。 書類を入れたバッグを肩にかけ、スーツの裾(すそ)にはバンドを巻いて、老先生に出かける旨を伝え、颯(さっ)爽(そう)と事務所を出る。 事務所は駅の東口側にあり、税務署は西口側にあった。彼の自転車は大きなガード下をくぐり抜け、消防署と警察署のあいだの道を走る。広い通りを渡ると、寂(さび)れた感じの公園が見える。税務署はその裏手にあった。  彼は年に何回かミキとここで [続きを読む]
  • 『?橋慎二』 10
  •  税理士事務所の唯一若い事務職員(栗原妙子といった)は、なにかというと?橋慎二に話しかけてくる。 それも、どうでもいいようなことをだ。まあ、すくなくとも?橋慎二にとってはどうでもいいこと――昨日のテレビについて/週末の天気について/ペナントレースのゆくえ――そんなものばかりだった。 「どっちが勝つと思います? やっぱりジャイアンツですかね」などと妙子は言ってくる。  ところで、?橋慎二は野球にあまり [続きを読む]
  • 『?橋慎二』 9
  •  つまりはこうだ。白石さんの印象に残るであろう買い物をする。毎日、大量に。まずはそれで会話のきっかけをつくる。「いつもこちらを買われるんですね」「ええ、まあ」――とかだ。  そうならない場合も考えておいた。  大量に同じ商品を買いつづけていれば、いずれは在庫も底をつくだろう。そうなったら、それについての質問ができる。 「これって、次いつ入ってくるかわかります?」「ええとですねえ、」――とかだ。  一 [続きを読む]
  • 『?橋慎二』 8
  •  スーパーマーケットの素敵な女性は白石さんといった。 ?橋慎二は彼女のいるレジのレーンに並び、名札をしっかりと見ておいた。そして、再度の確認のため左手薬指をじっくりと眺めた。ついでに他のレジ係の左手薬指も見ておいた。指輪をしてる者もいる。ということは、仕事中は外すというルールもないわけだ。彼はそういう部分にも抜かりない人物なのだ。  買い物には頻繁に行っていたけれど、混雑しているときだと白石さんと [続きを読む]
  • 『?橋慎二』 7
  •  そして、結婚式に白のタキシード姿であらわれたのを見たときもその印象のままだった。 キャンドルサービスとやらで?橋慎二の座るテーブルにやって来たその男は、はにかんだ様子のミキを気づかいつつ不(ふ)遜(そん)な笑みを向けてきた(ようにみえた)。  自分とミキの関係を知った上でそのような顔を用意したのだろう――と?橋慎二は思った。そういえば資格学校の頃もミキの近くをうろちょろしながら似たような顔つきをこち [続きを読む]