chevron_left

メインカテゴリーを選択しなおす

cancel
習慣新書 https://www.shuukansinsho.com/

新書を次々と紹介するブログです。

新書に特化した紹介ブログです。基本的にお勧めの本しか書かないつもりです。

森口朗
フォロー
住所
杉並区
出身
東住吉区
ブログ村参加

2016/06/03

arrow_drop_down
  • 対中強硬姿勢こそが平和への道。中国の戦略分析には必読の書。 『中国4.0』(文春新書)エドワード・ルトワック

    中国という困った隣人は一体何を考えて行動しているのだろう。それを分析した元シンクタンク上級顧問の書である。 ルトワック氏によると20世紀末から21世紀初頭にかけて、中国は世界の市場に平和的な形で参入した。氏はこの戦略を「中国1.0」(チュウゴクではなくチャイナと読みます)と呼ぶ。そして、それは極めて優れた戦略であり成功するかに見えた。 ところが、2009年にリーマンショックが起き、西側諸国のダメージを見てとった中国は、対外強硬路線に国家戦略を切り替える(これが「中国2.0」だ)。その直接的理由はゴールドマンサックスが予想した「今後(2009年)10年で中国の経済規模は米国を抜く」という予測だっ…

  • 科学は真理に近づけるが真理に到達できない 『99.9%は仮説』(光文社新書)竹内薫著

    科学において通説は常にくつがえる可能性を持っている。それゆえ、今日真実だと思っていたものが、明日は真っ赤なウソになる可能性があるし、その逆だってありうる。本書では遠慮がちに99.9%と書いているが、それは限りなく100%に近い。もちろん100%と書いてしまうと「科学における学説は全て仮説である」という理論のくつがえる可能性を否定していることになる。それゆえの99.9%なのだ。 本書では、ある時代に真理だと考えられていた学説がいかにして覆っていったかを具体例を挙げながら丁寧に説明している。科学的な知識がなくても十分に読めるはずだ。 私は、冒頭に紹介される「飛行機が何故飛ぶかが分かっていない」とい…

  • 何ともお買い得。美術通でなくても美術館に行きたくなる本 『印象派で「近代」を読む』(NHK出版新書)中野京子

    何ともお買い得な本である。オールカラーの印象派の名画が見開きで26作品掲載され、さらに40点以上も小さな枠で印象派やそれ以外の絵が載っている。さほど絵に詳しくなくても、どの絵もどこかで見た事のあるものばかりだ。 本書は単なる名画の解説ではなく、なにゆえ印象派が「近代」とともに登場したかを明確に語っている。近代社会は資本主義と国民国家を特徴とする。そこでの主役は、アンシャンレジーム時代の王侯貴族と異なり、金はあっても古典的教養に劣るブルジョアジーだ。彼らには、当時一流とされていた「サロン」に飾られる絵画を鑑賞するだけの素養がない。 例えば、と言って本書ではジェロームの『ピグマリオンとガラテア』を…

  • 自己啓発本を買うのが恥ずかしい人に 『人間を磨く』 田坂広志 光文社新書

    自己啓発本を買うのは中々勇気がいるものだ。 どこの職場にも仕事のできない「自己啓発本オタク」がいるので、彼らと同類と思われたくない。そもそもインテリが読む本ではない。何か悩んでいるみたいに思われそう等々。手に取れない理由は色々あると思う。 かく言う私も、若い頃は所謂「自己啓発本」は内容が薄い気がして、ほとんど買うことがなかった。明日をも知れぬ世の中で常に自己啓発を心掛けるのは良いことだが、本当に必要なのは資格取得や語学やPC操作などの具体的なスキルアップではないかと思っていた。だが、近年、そういった目に見えるスキル=認知能力よりも、忍耐力やコミュニケーション能力、論理的思考力といった目に見えな…

  • 郊外に住む人の心臓に悪い本 『東京どこに住む?』朝日新書 速水健朗

    戦後第3回目の人口東京一極集中が始まっている。第1回が高度成長期だ。この時期の人口東京一極集中は、日本社会にとって好ましい高度成長だった。重化学工業を発達させ経済大国へと発展するためには、工業に携わる都市住民の増加は不可欠である。第2回目はバブル期である。都会の地価と喧騒に引き寄せられるように人々は東京を目指した。そして、現在はアベノミクスによる景気回復によって3回目の東京一極集中が起きている。筆者の見立てによれば不景気の時には地方から東京に行くパワーが奪われるらしい。 だが、今次の東京一極集中は人口減少時代における一極集中だ。したがって前2回とは趣が異なる。その違いこそが本書のメインテーマと…

  • メディアのアンフェアさを理解するのに最適の書 『護憲派メディアの何が気持ち悪いのか』(PHP新書) 潮匡人

    この本は平和安全法案が成立する直前に書かれ、成立直後に出版された。 それゆえ、デタラメな報道を繰り広げる潮氏の怒りがよく表れている。 私は、他人を「気持ち悪い」と誹謗することを良しとはしないが、自称平和主義の護憲派に差別され続けてきた元自衛官ならそれも許されよう。 昨年の夏は、頭の悪い若者達が大騒ぎし、それをTVメディアが取り上げて、「集団的自衛権」が認められれば、すぐにでも戦争が始まるかのごとき報道がなされていた。 だが、集団的自衛権が問題になったのは安倍政権が誕生して以降ではない。「政府見解としては、集団的自衛権は保持しているけれども、憲法上、それは行使できないということになっています。こ…

  • 「科学」と「信仰」と「神秘主義」、この深遠な関係に挑む 『ダ・ヴィンチの謎、ニュートンの奇跡』(祥伝社新書) 三田 雅広

    無邪気に「科学的結論」を信じることが如何に愚かしいかについては枚挙に暇がない。 例えば、精神医療の世界では1935年に「ロボトミー手術」という前頭葉の一部を切除する手術が当時の「科学」の最先端だった。この手術をご存知の方は、統合失調症の治療と思っているかも知れないが、当初は「うつ病」を治す画期的な手術として受け入れられたのである。その後、これが単なる人格破壊に過ぎない判り日本で行われなくなったのは、なんと40年後の1975年である。 血友病患者へのエイズ蔓延も、当時の「科学」が引き起こした。「科学」概念をさらに広げれば、ナチスのユダヤ人虐殺を正当化したのも第一次世界大戦後の「社会ダーウィニズム…

  • 左翼系学者の挑戦と限界 『「安倍一強」の謎』(朝日新書) 牧原 出

    民主党政権が終焉し、政治の世界では「安倍一強」時代が続いている。本書は左翼系の大学教授がその謎の解明に挑戦した著作である。 第1章では、与党しか知らなかった自民党が、3年間の民主党政権を経験して「政権交代を知る」より逞しい政党に変化したと分析する。筆者が言うまでもなく、日本以外の国では政権交代は日常行われる事であり、自民党は与党、野党、与党という経験によりグローバルスタンダードにおける「普通の政党」になった。これが自民党の強みだ。しかも、安倍総理は第一次安倍内閣時代に参院選挙で手痛い敗北も経験しているので、世論の気まぐれさも熟知している。これに対して民進党(旧民主党)は、万年野党から3年間の与…

  • 家康が三河守(みかわのかみ)で信長が上総介(かずさのすけ)なのは何故? 『格差と序列の日本史』(新潮新書) 山本博文

    山本氏は東京大学資料編纂所の教授である。おそらくは教育よりも圧倒的に研究を主体とする学者だと思われる。そして、如何にも学者らしく「格差」と「序列」を別物として考える。 会社に社長、部長、課長、係長、主任、ヒラが存在するように、どんな組織にも序列は存在する。しかし、我々はそれを格差と感じずに生きてきた。それは、ほとんどの組織が努力や業績により昇進可能だからだ。もちろん、昇進がフェアとは限らないし、それに対する怒りを持つ人は多いだろうが、それは今の地位より高いポストに就けた証でもある。ところが近年、何年勤めても昇進の可能性のない「非常勤」というポストで一生を過ごす人が出てきた。山本氏はそれこそが「…

  • 創作は孤独とともにある。 『孤独の価値』(幻冬舎新書) 森 博嗣

    『すべてがFになる』でデビューし、スカイ・クロラシリーズなどヒット作を出し続けた作家の「孤独」という問題を中心にした人生論。 工学博士でもある著者は、まず人はなぜ孤独を恐れるのかを考える。そして、彼は、群れをなす動物である人間の本能として一人になることはすなわち「生存の危機」であり、それゆえ人が孤独を忌避する感情は自然であるという結論に行きつく。しかし、実際には文化・文明を持った人間が一人になったからと言って「生存の危機」に見舞われる訳ではない。それゆえ本能に従って、孤独をむやみに恐れるのは愚かだとさとく。 そのうえで、どういう時に人が孤独を感じるのかについて、著者はいかにも理系らしくサインカ…

  • 我々が品格を取り戻すための処方箋 『日本人の品格』(ベスト新書) 渡部昇一

    渡部昇一氏は私にとって北極星のような方だ。思えば中学生か高校生だった頃、人生で初めて読んだ新書が氏の著した『知的生活の方法』だった。その後、大学時代に、左派的思想に影響されがちな私の目を覚まさせてくれたのも、氏の論壇誌における言論活動だった。 そんな渡部氏の著作を論評するなどそれこそ恐れ多いのだが、やはりこれは紹介しておくべき本だと思う。第1章から第3章は、日本は東アジア圏にあって中国とは独自の文明に属すること、天皇は伊勢神宮や靖国神社など限られた神社にしかお参りしないこと、日本軍の規律正しさが西洋諸国の驚きの対象だったこと、源氏物語が世界初の本格的な小説であること、江戸時代にはリサイクル文化…

  • 格闘ゲームは人をかくもクレバーにするのか 『悩みどころ逃げどころ』(小学館新書) ちきりん&梅原大悟

    ちきりん氏は、ブログをやる人なら誰もが知るアルファブロガーである。そして、何度か彼女のブログを読んだ人ならば、彼女が外資系の金融会社に勤めていたエリートで、今はビジネスの世界をリタイアし、悠々自適のブロガー生活を送っている事もご存じだろう。 一方、梅原大悟氏は、私は全く知らなかったのだが格闘ゲームの世界では「神」と言われた存在らしい。このマイナー世界の王者二人の100時間にわたる対談を一冊にまとめたのが本書である。 当初の企画は、いわゆる「学歴」や「学校で習う知識」が今の世の中で役に立つのかというテーマだったようだが、対談はどんどん発展して「人生論」から「格闘ゲーム」の世界が今、金銭的な意味で…

  • 沖縄問題を除けば参考になる、沖縄独立派の著作 『使える地政学』朝日新書 佐藤優

    地政学とは地理的な環境が政治的、軍事的、経済的な側面で国家や民族に与える影響を、イデオロギーを排して冷静に分析しようとする学問である。 本書は、地政学に基づいて2016年現在の国際情勢を読み解いた書物だ。 日本では、イデオロギーで世の中を捉えようとする前世紀の遺物がまだまだ幅を利かせているが、ソ連崩壊後は地政学で世界を捉えるのが潮流のようである。そして、皮肉なことに世界のリーダーの中で最も地政学に通じているのは、かつて世界にイデオロギーを振り撒いたロシアのプーチンだ。 さすがに鈴木宗雄氏の懐刀といわれた元外交官だけあって、佐藤氏は複雑怪奇な国際情勢を分かりやすく説明してくれる。IS(イスラム・…

  • 認知行動療法の成果を健常者の日常に生かす 『「おめでたい人」の思考は現実化する』(小学館新書) 和田秀樹

    現代では「おめでたい人」というのは、おバカさんのニュアンスを含んだ貶し言葉である。しかし、「おめでたい」は元々寿ぐ言葉なのだから、「おめでたい人」もそうあるべきではないか?本書はそう訴える。 その上で和田氏は「おめでたい人」にも二種類あって「いいタイプのおめでない人」と「悪いタイプのおめでたい人」がいるという。両者は次のような人達だ。(いいタイプのおめでたい人) ・周囲の批判を気にしない。 ・まずは行動してみる。 ・うまく行かなければ、次に行く身軽さ ・正解などない、と思う知的謙虚さ(悪いタイプのおめでたい人) ・自分が正しいと信じて疑わない ・世間で言われていることをうのみにしてしまう ・い…

  • 語彙は教養にとって大きな要素だ。しかし、要素に過ぎない。 『語彙力こそが教養である』(角川新書)斉藤孝

    『声に出して読みたい日本語』(草思社)で一世を風靡した斉藤孝氏ならではの主張が詰まった本である。著者が言いたい事はタイトルでほぼ言い表されているが、こういう「伝わればいいんでしょ」という発想こそ、斉藤氏が忌み嫌うところである。本書の醍醐味は、その主張のシンプルさではなく、紹介されている事例やメソッドの豊富さにあると言えよう。推奨されている本は、シェイクスピア、論語、三国志など教養を重視する人らしいが、テレビやネットでも言葉を磨くことが可能だというのは、いかにもテレビで活躍されている人である。 そんな中、「なるほど!」と膝を打ったのが、アマゾンのレビューは言葉の宝庫だから読むべしというご意見だ。…

  • 表題には異議あり。EUはキリスト教に原点回帰している。 『イスラム化するヨーロッパ』新潮新書 三井美奈

    国内問題とアメリカ大統領選挙の報道で、ここ2、3か月、日本人の関心はヨーロッパから遠ざかっているようだが、ヨーロッパに安定が来る日は遠そうだ。ユーロに加盟している弱小国はギリシアに限らず、どの国が財政破綻してもおかしくない。経済がおかしくなると人々の本音がむき出しになる。これまで多様性への寛容さを売りにし、日本の自称リベラル派たちから見習うべき国の代名詞だった北欧諸国にも、イスラム排除の空気が漂い始めている。それを紹介してくれるのが本書である。 ヨーロッパが移民を受け入れた歴史は古く、今ではイスラム教徒の二世三世が誕生しはじめている。彼らの多くは日本の在日コリアンと異なりヨーロッパの国々の国籍…

  • 学校の今を知るための本 『スクールカーストの正体』(小学館)

    紙媒体で「スクールカースト」という概念を初めて取り上げたのは、拙著『いじめの構造』(2007新潮社)である。それまでネットスラングに過ぎなかったこの言葉を取り上げるにはそれなりの軋轢があったが、ついに現役の中学教員がこういう本を書く時代が来たと思うと感慨深いものがある。 さらに嬉しいのは、著者の堀氏がスクールカーストの決定要因「自己主張力」「同調力」「共感力」を拙著のまま踏襲し、どの力を持つかによってクラス内の大まかな役割(キャラ)分担が決まる点まで採用してくれた事である。現役教師に大きな影響力を有する彼にとって、この分類は腑に落ちるものだったのだろう。 さて、本書ではスクールカーストの存在を…

  • 新書を紹介するブログはじめました

    「はてな」界隈で騒がれていた「スクールカースト」を世に広めた、森口朗です。本日、2016年6月1日でめでたく56歳になりました。 約2か月前に32年間務めた都庁を退職し、晴れて自由の身になり、 様々な事に取り組んできましたが、このブログはどうしてもやりたかった事の一つです。新書を片っ端から紹介する。ただ、それだけのブログです。気に入った記事は長さを調節して、アマゾンや楽天にも載せるつもりです。皆さまが新書を購入する際の一助になれば幸いです。

arrow_drop_down

ブログリーダー」を活用して、森口朗さんをフォローしませんか?

ハンドル名
森口朗さん
ブログタイトル
習慣新書
フォロー
習慣新書

にほんブログ村 カテゴリー一覧

商用