くろろん さん プロフィール

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くろろんさん: Floral Mirror
ハンドル名くろろん さん
ブログタイトルFloral Mirror
ブログURLhttp://doublesmirror.blog.fc2.com/
サイト紹介文ファンタジーにちょこっと恋愛要素の入った、オリジナル小説サイト。ハッピーエンド思考。
自由文人間になりたい女神と旅をしたら魔王の戦いに巻き込まれて勇者になっちゃったり、全く恋をしない王子に何とか恋愛をさせようとがんばるキューピッドが王子に恋をしたり。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供7回 / 365日(平均0.1回/週) - 参加 2016/06/04 12:42

くろろん さんのブログ記事

  • 過去の記事 …
  • 第4章第2話 希望は燃え尽きない
  •  店と工房の再建は保険が下りる事になっていたので、時間さえあれば問題はなかった。 だが、問題はその時間だ。コンクールの予選会まで残り一週間を切っていた。「コンクールまで日にちがない。今から作ってももう間に合わない」 ウィルスが言うのに、リットは食卓に肘をつきながら口を開く。「火をつけたのって、絶対ジョバンニだと思うんだけど」 リットに、ウィルスは肩を下げた。「証拠がない。ジョバンニがやってっていう [続きを読む]
  • 第4章第1話 一瞬で散った夢
  •  テディは眠たげな目を擦りながら身を起こした。 なんだろう……胸騒ぎがする。嫌な予感がする。――――と、その時。 テディの耳におもちゃ達の悲鳴が聞こえた。同時に、焦げた臭いも。 ただ事じゃないと思ったテディは、ウィルスの頬を叩いて起こした。「! これは……」 ウィルスは真剣な顔つきになって瞬時に気配を窺うと、テディを腕の中にいれてからベッドから飛び降りて、一目散に階段を駆け下りた。 そして、自宅の [続きを読む]
  • 第3章第5話 お金の価値
  •  夕食をとって風呂に入ってから、頭をタオルドライしながらウィルスは新聞に目を通した。 普段はあまり新聞をじっくりと読む方ではなかったが、ただなんとなく読む気になったのだ。 テディがその紙面を見ながら呆れたように肩を持ち上げた。「にしても、ジョバンニってほんっっとうにやる事が姑息よね」「あはは……それは数年前から変わらないよ」 新聞の論評欄には早速、アーティクトの製品についていろいろとご自慢の文句が [続きを読む]
  • 第3章第4話 仲間と共に追う夢
  •  体力が落ちていた為、高熱が続いた。 毎日リットが病人食を作ってくれるのだが、食欲が全くない。 ベッドに横たわりながら、ウィルスはぼぉっと考えた。 やらなければならない事はたくさんある。それは全部、自分にしか出来ない事。他の誰にも代わる事は出来ない事。 自分の存在意義を見出せる思いはウィルスの心を満たした。それと同時に、やはり早く復帰したいという願いが強くなる。「心と体は正反対だなぁ……」 こうな [続きを読む]
  • 第3章第3話 体力よりも熱意
  •  そんなウィルスの体力がいつまでも持つわけがなく… ある日、ウィルスが工房で木箱に足を取られ転倒した。 いつもなら機敏に回避出来たであろう身体能力はここ連日の徹夜で見る影もなく衰え、手首を強打。 ついでに風邪をこじらせ高熱を出した。「ほら見なさい! だから言わんこっちゃない!」 リットの呆れ声に、ウィルスはベッドの中で熱にうなされながら、己の包帯が巻かれた右手を天井に突き出す。「僕の右手……治らな [続きを読む]
  • 第3章第2話 情熱は睡眠に勝る
  •   ウィルスの寝不足な毎日が始まった。 いや、今までも十分寝不足で、工房で朝を迎えていたのが、さらに輪をかけて忙しくなった。 昼間は注文を受けている品物の製作、夜はコンクール用のおもちゃの製作。 ウィルスの眼の下が黒ずんでくる。それとは逆に、目の光は日ごとに増した。「ウィルス、つみきの注文3つ!」 リットに応えてから、作業中のぬいぐるみ製作を急ぐ。 だが、どんなに急いでも、ウィルスの辞書に妥協の二 [続きを読む]
  • 第3章第1話 おもちゃ職人の血が騒ぐ
  •  それからほどなくして、国をあげてのおもちゃコンクールが開催される事となった。 チラシを見たウィルスとリットは顔を見合わせ、頷きあう。「優勝しかないね」「当然、優勝でしょ! だって、金額すごいもん」 優勝者には普通の暮らしだったら、一生食うに困らないほどの金額が提示されている。 準優勝の三倍近い金額だ。「でもウィルス、普段の注文を受けながらコンクール用のおもちゃ作ってる暇あるの?」 リットが予約待 [続きを読む]
  • 第2章第5話 かつての本職
  •  夜も更けてきた時分、ウィルスは普段とは違い、驚きの俊敏さで建物間の屋根を疾走していた。 目指すはハスク家。一度侵入した家だ、どこに衛兵がいるか把握している。 街路樹の陰から衛兵がいないのを見計らって、鉄柵に楔がついた縄を放ると一気に上り詰め、敷地内に降り立つ。 屋敷に近づき、ウィルスは黒のマスク越しに建物を見上げた。 フィリアの寝室はおそらく日当たりのいい南側……そして二階だろう。 雨樋を伝い上 [続きを読む]
  • 第2章第4話 願い叶わず
  •  翌日、ウィルスは王都の地図を見ながら貴族屋敷が並ぶ通りに向かっていた。 一生縁がなさそうな、高級馬車が往来している。 日傘を広げた貴婦人たちがウィルスの姿を見てくすくすと笑った。 だが、ウィルスにとってそんなことはどうでもいいことであった。 地図を片手に、ようやく目的のハスク家の屋敷に辿り着く。 門構えからして相当立派なもので、一般庶民のウィルスには門の向こう側など夢の世界のようだった。 とりあ [続きを読む]
  • 第2章第3話 失って気付く宝物
  •  その日の一日が終わって、ウィルスは肩をならした。 まだまだ予約待ちの商品は山ほどあり、少しずつでも消化しないと次から次へと注文が降ってくる。 立ち上がって思いっきり伸びをしたウィルスは、リットが工房にこないので、自ら店の方に顔を出した。「リット、今日はどうだった?」「……」「リット?」 リットはウィルスに振り向きざま、黒鞄を渡した。「何だい?これは」 リットが何も言わないので、ウィルスは訝しがっ [続きを読む]
  • 第2章第2話 お嬢様の求品
  •   レジ前にテディが置かれるようになって、ショーウィンドウからそれを覗いた子供たちが店内に遊びに来るようになった。 商品は全てサンプルだった為、買う事は出来ないけれども、店内で遊ぶだけで子供たちは満足しているようだ。 テディにもそれが十分伝わってくるから、子供たちに放り投げられようが黙って微笑んでいた。 そんな時。 一台の馬車が店の前に停車する。 リットがなんだろうと思っていると、馬車の扉が開いて [続きを読む]
  • 第2章第1話 おもちゃの宿命
  •  それからしばらくは嵐の前の静けさのように何事もなく過ぎて行った。 ジョバンニが必死に裏工作としてノイスラックの商品の悪評や酷評を並べ立てていたが、焼け石に水とはこのことで、ノイスラックの商品の人気が落ちる事はなかった。 街中で在りもしない事を書かれた悪口のオンパレードチラシを撒かれても、ウィルスは気にすることなくおもちゃを作り続けた。「ちょっとウィルス!」 チラシを片手に、リットが工房にやってく [続きを読む]
  • 第1章第7話 不幸中の幸い
  •  おもちゃ達の言葉は、現実のものとなった。 アーティクトから帰ってきたウィルスは、通りがやけに騒がしい事に気付く。しかも、自分の店の前で。「なんだろう……」「嫌な予感しかしないわね」 走るウィルスのカバンの中で近づいてくる人ごみを見たテディは、人々をすり抜けようとするウィルスの腰付近で押し潰された。 痛かったがそうも言ってられない状況だと言う事は分かった。 ウィルスが人垣をようやく抜けて前に出てみ [続きを読む]
  • 第1章第6話 見せかけは嘆きしか生まない
  •  翌日、店を閉めて再びアーティクトを訪れたウィルスは、カバンの中から顔だけ出しているテディに声をかけた。「あまり長居は出来ないよ。僕の顔、もう店長にバレてるから」「うん、分かってる」 テディの言葉を聞いて、とりあえずウィルスは店内をぶらつく。そして、気付いた事がある。前に来た時より格段にお客が減っていたのだ。前は店内をうろつくのすら子供に阻まれて自由が利かなかったのに、今では向こうの陳列棚まで見え [続きを読む]
  • 第1章第5話 本気の宣戦布告
  •  ドアベルが鳴る。リットは笑顔で「いらっしゃいませ」と出迎えた。 だが、やってきたのは大の大人二人で子供の姿はない。片方はまだ若年と言えるべき年齢の男で、ステッキを持ち高尚な衣装で身を包んでいる。一括りにした茶髪と、どことなく氷河を思わせる水色の双眸。もう片方の男は帽子を手に持ち、辺りを落ち着きなくキョロキョロと見渡していた。 そんな二人の珍客にリットの顔が曇る。嫌な予感がしたのだ。「ここの店主は [続きを読む]
  • 第1章第4話 出る杭は打たれる
  •  ウィルスの小さな店は今や王都中に噂が流れるようになっていた。数に限りがあるウィルスの商品は予約待ちでいっぱいになった。リットも暇があればウィルスの手伝いをしているが、とても追いつかない。ウィルスはそれでもおもちゃを作り続けた。 額の汗を拭ったウィルスは、天井を仰いでふぅと息を吐き出す。疲れているけれど、気持ちのいい疲れだ。自分の好きなことをやっている、この充実感。それを求めて来てくれる子供たち、 [続きを読む]
  • 第1章第3話 パラレルドリーム
  •  翌日、ウィルスの店を訪れたリットは驚いていた。ウィルスが昨日店をたたむと言っていたのに店はオープンしていた。それもあるが、店に子供の姿があったからだ。リットがウィルスの店で子供の姿を見た事などこれまでに一度もない。 リットは店内にいた親子と入れ違い様に店に入る。店のカウンターにはウィルスが笑顔で待っていた。「やぁリット」「やぁ……って。昨日店やめるって言ってなかった?」「うん、それ止めたんだ」「 [続きを読む]
  • 第1章第2話 おもちゃの息吹
  •  リットが帰った後も、中断していた作業を続行した。晩飯を食べる事すら忘れて一心不乱に作り続けた。切って、縫って……縫って…… これがおそらく、最後の作品。 丁寧に丁寧に布と布を縫い込んでいく。 綿を詰めて閉じ合わせて……目を縫い付けて、鼻と口を縫い上げたら。 作業机の前にある小窓から月光が降りる中、それは完成した。「出来た……」 ウィルスは満足したと同時に、それまでの緊張感がぷつりと切れて机に突っ [続きを読む]
  • 第1章第1話 夢は夢でしかなかった
  •  翌日、ウィルスは店を閉めて久しぶりの外出をした。 王都であるこの街、チェリッシュには元々数軒のおもちゃ屋があったのだが、ジョバンニ=リー=ミスティという貴族の実業家が経営するおもちゃ屋、アーティクトが台頭し、ウィルスの店を除いて次々と他店は閉まっていった。ジョバンニの経営手腕は確かに認めるものはあったのだけれども、利益の為ならば手段を選ばないものだったが故に他店はあっという間に潰れて行ったのだ。 [続きを読む]
  • 序章 生きがいとして
  •  工房でやすりをかけながら、ウィルスは額の汗を甲で拭った。今日は特別天気がよく、柔らかな夕日が窓ガラスの透度を限りなくゼロにしている。開け放ったドアからは緑の匂いを乗せた風が汗を涼やかにしてくれた。「よしっと……あとはニスを塗るだけかな」 湾曲する足で床を転がす木馬の握り手に、ウィルスはそっと指を添えた。 おもちゃに命を吹き込む事……こんなに楽しい事なんてない。それを生業としていけるのなら、自分の [続きを読む]
  • 終章(完結) 2人の弓は永遠を射る
  •  老夫婦の元へ、一通の手紙が届いた。「お爺さん、お婆さん、時間がなかったとはいえ、挨拶もしないで突然出て行ってしまってごめんなさい。近々そちらに伺わせていただきます」 その手紙の数日後、馬車が老夫婦の元に駆けてきた。 ノックの後、ゆったりとした間で、ドアが開かれる。「お婆さん、ただいま!」「おや、シルベリア!」 シルベリアに抱きつかれたお婆さんは、久しぶりの“孫”の帰宅に顔をほころばせた。「あんた [続きを読む]
  • 第10章第2話 喜びの色が幸せになる
  •  エルロードがディアルナを迎えに行ったのに、その馬車には王城を出た時と同じくエルロード一人しか乗っていなかった。結婚式を執り行う司祭達がどうしたものかと慌てふためく。 王城の、階段下に乗り付けた馬車からエルロードが降り、父王が城から出てくる。「エルロード! どういうつもりだ?!」「どうもこうも、私はディアルナとは結婚しません」「何だと?! お前、事の重大性が分かっているのか!」 父王はステッキを折 [続きを読む]
  • 第10章第1話 迷いも後悔もない
  •  シルベリアを伴い城に帰還したエルロードは、召使達に厳重に言い聞かせ急ぎ手配させていた物がある部屋に入る。 目を見開くシルベリアはエルロードを見上げ、彼は口端に微笑を湛える。「試着してみてくれ」「わたし…が…?」「母には許可を貰っている。背丈が同じだから大丈夫だろうとの事だ。もし合わなかったらまた考えているから、早く着ろ」 シルベリアは頷き、エルロードは部屋を出る。 隣室で待機していると、しばしの [続きを読む]
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