読書の森 さん プロフィール

  •  
読書の森さん: 読書の森
ハンドル名読書の森 さん
ブログタイトル読書の森
ブログURLhttps://blog.goo.ne.jp/airport_2014
サイト紹介文物語を読むのも書くのも大好きです。読書感想、創作、エッセイなど綴ってまいります。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供156回 / 365日(平均3.0回/週) - 参加 2016/06/04 20:36

読書の森 さんのブログ記事

  • 大丈夫だよ
  • 退院が近い日、私は食堂のテレビを眺めていた。次々と変わる画面を、ボウっと眺めているのがとても気楽だった。もう直ぐ決して楽とは言えない現実が迫っている事など忘れ去りたかった。「大丈夫?」小さな声が耳許で聞こえる。ふと見上げると背の高い看護師が、じっと私を見守っていてくれた。 「これから一人で頑張っていける?」バカにしてるのではない。心配してるのだとよく理解出来た。私はまるで幼い子になったような気がし [続きを読む]
  • 何処へ
  • 引っ越し荷物はあらかた片付いたが、どの引き出しの中も好い加減に詰めてある。今日からは綺麗に整理してさっぱりしたいと思う。なのに、以前よりずっと狭い部屋、誰かのお経の声が盛大に聞こえる部屋にいると息苦しい。ずっと以前に買ったよそ行きを羽織るだけ、髪を整え口紅引いただけで外に出る。ありがたい事に無料バスが使えるので、バスに乗り込むと、窓の外には長閑な田園風景が広がる。外の風を思い切り吸い込むと、頭の中 [続きを読む]
  • 町田そのこ 『追放のイブ』
  • 侘しい地方の駅に、際立って垢抜けた男女が降り立った。女はモデルの様に美しい。男はどうも堅気に見えない。彼らはこの地方きっての旧家、今は住む人も無く荒れ果てた家、に向かう。実は女はこの家の娘だった。そして男もこの土地に住んでいた。共に15年前に起きた惨殺事件の真相を知っている。高校生だった女はその為に整形手術をした。子供だった男はその為に辛酸を舐めた。二人は暗い過去と決別出来るのだろうか?この作品は小 [続きを読む]
  • 池上彰編『心をつなぐニュース』
  • もし、東日本日本大震災の悲劇を何度も動画で再生されたら、気持ちが滅入るだけだろう。しかし、この震災の体験、生き抜いた人の思いを活字にして表したらどうだろう。不安な人々を勇気づける支えにならないかと、新聞記事を編集したのがこの一冊である。中身は市井の人々の人間ドラマが一杯詰まっている。荒々しい自然相手の「命がけ」のドキュメントも活字によって心に優しく「命の重さ」を分からせてくれる。激震を耐えて生きた [続きを読む]
  • 申し訳ありません
  • 最近作ったブログ記事を不本意ながら削除しております。もしその記事を気に入ってくださった方がいらしたら、勝手な事をして申し訳ありません。削除記事で述べた様に興味本位でハッキングしてくる方がいます。正体に気づいた時愕然としました。はっきり言って、ただの人をただ面白がってハッキングしても、罪とは言えません。いや、罪になったとしても、誰が悪戯してるか全くの確証はないのです。かなり迷惑してます。お陰様で『意 [続きを読む]
  • やっと分かった
  • 今日ネットで確認して、私は長い事ひどい誤解をしていたのに気付いた。誤解というより妄想に近いですね。ある人がAという所で活躍しているのにも拘らず、Bにいる様に思い込んでいた。それを信じた為の言動でその人にも迷惑かけた。「何ですか?どういう事?」と問われれば普通にSNSをしてれば分かる事だったとしか言えない。ドップリSNSの悪戯で現実と虚構を混同していた。クールに対処すべきなのに信じ込んで失敗してしまったのだ [続きを読む]
  • 板橋春美 『占いの謎』
  • 私はネットで占いの項目をよく検索する。かなり高価な四柱推命の本を買ったりもした。以前には、わざわざ占い師の家を訪ねた事もある。つまりかなり占い好きだが、どうも結果が当たっていない様だ。そこで、確実に分かった事は、人により又占いの方法により結果は異なる、と言う事だ。又好調期には占いを頼ろうとはせず、迷いが多いと占いに走るのも確かだ。そこから考えても占いはそれこそ「当たるも八卦当たらぬも八卦」だと思う [続きを読む]
  • なりすまし 雑感
  • 『世はさだめなき』や『故人ブログ』で狂気に至る恋を書きました。本当は、声高に真実を叫ぶ人間の危うさを恋に狂った人に託して描きたかったのです。後先考えないで不正に対して直接攻撃的言動をする人はいます。疎ましく思う相手が権力を持つ場合、黙っていて欲しいと思うかも知れません。本人が心の病気になれば、全て妄想という事にはなります。そして、狂気の人が真実を言っていたとしても信じては貰えないでしょう。もし、そ [続きを読む]
  • 下村敦史 『故人ブログ』
  • 小説すばるに連載中の『故人ブログ』は失踪して死んだ筈の父親のブログが更新されていたところから始まる。莫大な遺産に目が眩んだ子供たちは、其々の臆測を持ち醜い争いを広げる。彼らの思いを裏切る様に、故人(?)のブログは更新を続ける。かなり面白いシチュエーションで、私は「なりすまし」を直ぐに思い浮かべた。真相はどうだろう?この手の『なりすまし』はネット上だから見えない為に可能だ。そして、ネット上や電話での「 [続きを読む]
  • 本を買う
  • 引っ越し荷物も大分片付いて、すっかり秋めいてきた外に出る。微風とはいかないが、優しい風が吹き渡るベンチに座った。ひどく裏寂れた気分になる。この場所でこの十年の私の不毛な旅が終わるのだろうか。そして、この場所で人生の旅も終わるのだろうか。今まで自分の歳も母の歳も忘れて、築き上げては壊さざるを得なかった暮らしとは何だったのだろう。なんと向こう見ずな事をしてしまったのだろう。繰り返し襲う後悔の念で胸が痛 [続きを読む]
  • A.デュマ『モンテクリスト伯』
  • 最近テレビドラマとなった、アレクサンドルデュマの名作『モンテクリスト伯』の人気は未だ衰えてないようだ。復讐劇と言っても陰湿な印象も受けず、スリリングで豪華な不思議な小説だ。善意の若者エドモンダンテスが、他の者の嫉妬と保身から、有りもしない罪を着せられる。それだけでない。親とも恋人とも引き離され、絶海の孤島の暗い牢獄で獣のように閉じ込められる。不潔で狭く暗い岩牢、僅かで貧弱な食事、薄い寝具、その他に [続きを読む]
  • 移転しました
  • 0時過ぎて私が起きているなんて、本当に珍しい事です。何せ初めての土地に夜の6時に引っ越して来たものです。周りは引っ越し荷物だらけ、明日からの片付けを考えると目がらんらんして困ってます。午後からの引っ越しで、お陰で風も収まった頃でした。可愛いけど怪力のお姉ちゃん二人と男性一人のチーム。この男性が何故か私の好きだった人に見えてしまったのです。胸がドキドキして目を逸らしてしまう。よくよく見ると別人だし、第 [続きを読む]
  • 聖諦
  • いつか本物の花を咲かせたいと昨日のブログで述べた。が、これはあくまでも希望である。本物でなくても私の花を愛でてくださる方々がいる。ブログを読んで下さる方々が嘘みたいに増えた事が、此れまでの人生のご褒美とも思える。大切な人との触れ合いを喪ったら何もならない。高い望みを諦めずに、もっと大切なものを喪う事はある。学生時代「聖諦という言葉を知って、僕は気持ちが楽になった」と言う先輩があった。私は「何と情け [続きを読む]
  • 男どき女どき
  • 『男どき女どき』はあの向田邦子の最後の作品集である。彼女らしく、さらりとしかも味わいは深く市井の男女の泣き笑いを描いている。この作品集を遺して、彼女は台湾に旅立ち、飛行機事故で客死した。向田邦子は作家としての盛りの時期に突然亡くなってしまった、私ショックを受けていた。その時、私は遺作の題名を思い出した。そして彼女が題名通り「時めいた」まま消えてしまったと受け止めたのだ。男どきは男盛り、女どきは女盛 [続きを読む]
  • 宮本輝 『西瓜トラック』
  • 蔵書整理をしている時に、本棚の隅で宮本輝の文庫本を見つけた。忘れていたアルバムの写真に出会った様な懐かしさを感じた。載せられた作品は、昭和55年頃に雑誌に掲載されたものを集めている。以前にも述べたが、宮本輝は幼少期から青年期にかけて不遇だった。父親の事業が失敗を繰り返したからである。その為、彼は住まいを転々とせねばならず、貧しい生活を送った。この作品集の主人公は、皆哀しみを背負った庶民である。ただ悲 [続きを読む]
  • 伊集院静 『悩むが花』
  • 伊集院静の人生相談『悩むが花』が週刊誌に連載されている。辛口ではあるがユーモアたっぷりのアドバイスが面白い。最近の『悩むが花』は伊集院静の人生観が垣間見られた。難病を患い、それを励ましてくれた既婚者の同僚を好きになった女性、自分のイケメン好きを治したい女性、おじさんにモテたい女性。三人の未婚女性が相談者である。伊集院静は質問者が望みの状況になった場合、それに耐えうるか否かを文面から判断して、一見冗 [続きを読む]
  • 遠くへ来てしまった
  • 私は、知らず知らずに、随分と遠くへ来たと思う。ほんの短い間、と言ってもここ10年程を、私はただ前を見れば良いと駆けてきてしまった。その結果、大事なものを喪って今居る自分、今居る処は何なのだろうと思ってしまうのだ。この10年間には、大震災があった。自分としては友人との再会が出来た。しかし、故あって移動が目まぐるしかった。ひどく昔懐かしく、そして重なっていく年齢に逆らって妙に行動的になった時期だった。木更 [続きを読む]
  • 恩田睦 『木漏れ日に泳ぐ魚』
  • 何もないガランとしたアパートの一室、若い男女が共に暮らす最後の夜を過ごそうとしている。引っ越し荷物は既にこれからそれぞれが住む部屋に運ばれていた。小さな公園と小川に囲まれた部屋に初夏の心地良い風が入っていた。二人は美味しい酒と好物のつまみを買い、裸電球になった眩しい室内で乾杯をする。この辺りの二人の親しい他愛のない会話は本当に自然で、何故彼らが別れる事になったのか不思議になる程である。二人はある残 [続きを読む]
  • 「あちら側」と「こちら側」
  • いつの世にも「あちら側」の世界と「こちら側」の世界は存在する様だ。戦前の軍部やナチスなども含めて、選ばれた人が率いる多数派と、個人的意見の多い少数派である。今、正しく善を行うとあちら側は見做される。ただ、これが道徳の規範であると統一した時に、酷く歪みを生ずると思えてならない。特にネットのSNSについて、今時の話題を見るまでもなく、人を貶める穴がある気がする。私はどうも「あちら側」が苦手だ。父はとんで [続きを読む]
  • 藤沢周平
  • 私は長く勤めた会社を辞めた後に脚の手術を何度かした。気がついたら50歳を過ぎて、経済的不安は大きく、派遣で働く事になった。丸の内の一流企業で張り切って勤め始めたが、全く冴えなかった。仕事も人間関係もギコギコと歯車が食い違って辛い毎日だった。自分がひどく惨めで、帰途東京駅の構内を暗い顔して歩いてると、当時小じめの書店があった。文庫本を捲ってる内に吸いつけられる様に藤沢周平の著書を手に取った。会社帰りの [続きを読む]
  • 本心
  • オール讀物の『男の分別学』で東海林さだおが、『残念な人たち』について書いている。何が残念かと言えば、謝罪会見などで生の感情を出さない、上辺だけの人ばかりだ、と言う事だ。悪いなんて露ほども思ってないと私にも見える。どれ位の角度で何秒間お辞儀するか打ち合わせて、お辞儀を止めたらスマホを見る。と此処まで書いてはないが、良心の呵責は見られない。逆ギレする人はいるが、顰蹙を買っても、ああこれが本心なんだと思 [続きを読む]
  • 人と人の間
  • 正月に買った『ことばの花束』を時々パラパラ読んでみる。岩波文庫に載った名著の中で選び抜かれた言葉は、それを読むだけで興味深い。文豪、夏目漱石の言葉が私の目を引いた。新鮮な驚きがあった。「私は今よりずっと寂しい未来の私を我慢する代わりに寂しい今の私を我慢したいのです。自由と独立とおのれに充ちた現代に生まれたわれわれは、その犠牲としてみんなこの寂しみを味あわなくてはならないでしょう」これは名作『こころ [続きを読む]
  • アンソロジー『秘密の手紙箱』
  • 1999年、つまり21世紀になる前に出版された『秘密の手紙箱』は、女性推理作家の傑作を集めている。未だ21世紀への漠然とした期待が満ちていた頃、これらの作品はびっくりする程に昔懐かしく感じる。昭和中期の作品も入って、図書館で手に取ったこの文庫はちょっと古典的な印象があった。この中の、乃南アサと宮部みゆき、初期のミステリーの主人公には身につまされた。自分がその立場だったら、よく考えもせずこんな行動してしまう [続きを読む]
  • 世は定めなき 最終章
  • 今実里は以前の部屋に戻っている。奇妙な格好で外へ飛び出した事、どうしようもなく苦しくて道路に突っ伏した事、声を掛けた人を突き飛ばして、病院に連絡された事。そこから運ばれた郊外の精神病院での入院生活は全て夢の様だった。悪夢ではない、夢だったのである。幻覚の襲わない生の人間の会話が出来た、それが実里には夢の様に思えた。寧ろ、小矢部への想いに悩み、家業の不振に苦しんだ日々、見えない男の声に怯えた日々が悪 [続きを読む]