山から下りてきたら、ゆっくりと湯に浸かりたい。そして何より、悲鳴を上げている筋肉をほぐそう。何しろここは、湯の町湯布院のすぐそばなのだ。ひとつ問題がある。長崎の義兄が提案するその温泉は、「混浴よ。」「ぬっ!」私はその手の肝の据わり方を、皆目持っていない。出来たら、普通の温泉がいいのだが。「面白かよ。話のネタにはなるたいね。」(長崎義兄)「金鱗湖のところやろ。」(博多義兄)「俺、普通の温泉が・・・」(私)結局のところ、私は湯布院の町を、金鱗湖に向かって歩く事になる。コロナ禍以前に戻ったかのような雑踏を進むと、ここか。この藁葺き屋根こそが、長兄お勧めの温泉だ。「雰囲気あるやろ。」「雰囲気はね。」下ん湯無人の温泉である。300円を入口の筒に入れたら、勝手に扉を開けて入るシステムらしい。種も仕掛けもないただの筒だ...湯布院下ん湯