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- 2018/03/17 12:00ラピスラズリ 307 砕け散る
- 暴力的なシーンを含みます。苦手な方は読まれないようにお願いします。--------「もう……私は会う事はありません。仕事で顔を合わせることも…」「なぜ?そう言い切れるの」 [続きを読む]
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- 2018/03/15 12:00ラピスラズリ 306 写真
- 田島さんのマンションとは違う。ダイニングに下げられたおしゃれなライトや、キッチンに並ぶ調理機器。どこもかしこも、奥さんの趣味が入っている。今座っているこのテーブ [続きを読む]
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- 2018/03/13 23:00ラピスラズリ 305 くもり空
- 翌日、田島さんは終日外出だった。顔を合わせないで済んでよかった。できれば、転勤まで会わないまま過ごしたい。彼を好きだった気持ちが薄らぐまで。定時を過ぎ、仕事を終 [続きを読む]
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- 2018/03/12 12:00ラピスラズリ 304 最後の夜
- 「好きだよ、瑠璃。俺はずっと、好きでいるから…」震えるような声がして、ぽたりと頬に涙が落ちてきた。はっとして見上げたら、田島さんが、泣いていた。私は、手を伸ばし [続きを読む]
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- 2018/03/11 21:00ラピスラズリ 303 引きちぎれるように
- 「すぐには行かないよ。4月から海外事業部に移って、それからずっとシンガポールだって。12月の終わりに一度帰ってこれるらしいけどね」転勤……海外……ピンとこない……田島さ [続きを読む]
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- 2018/03/10 21:00ラピスラズリ 302 決断
- 「…聞いたの」「何がでしょうか」「俺の異動の話」「……何がでしょうか」もう、会えなくなるかもしれないのに、こんな言葉しか出てこないし、笑顔も見せられない。「田島、 [続きを読む]
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- 2018/03/10 12:00ラピスラズリ 301 体の関係
- 仕事が手につかない。4月からは田島さんと離れる。シンガポールにいつまで行っているのかもわからない。いや、期間が問題なんじゃない。待っていたい気持ちはもちろんある [続きを読む]
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- 2018/03/09 21:00ラピスラズリ 300 内示
- お返しにもらったネックレスはつけられなかった。どんな顔して選んでくれたのかな。想像すると、嬉しくてやっぱり切なくなる。「おはようございます」3月半ばの朝。事務所 [続きを読む]
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- 2018/03/09 13:00ラピスラズリ 299 3月
- 「妻とは別れるつもりだよ」そんな台詞、フィクションの世界や、自分と関係のない場所でしか聞いたことがなかった。友達の友達が、不倫してて…とか、そういう。別れ話して [続きを読む]
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- 2018/03/08 21:00ラピスラズリ 298 私次第
- 「立場?」田島さんの瞳が陰る。こんなところまで来ておいて淫らに抱きあっておきながら、興ざめな発言をして…つくづくどうしようもない私。「別れ話はしてるよ。山下さん [続きを読む]
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- 2018/03/07 21:00ラピスラズリ 297 最後のプライド
- 「瑠璃……」田島さんは、絞り出すように名前を呼んだ。ベッドの軋みが鳴り止み、激しい交わりが終わる。私は、布団で胸元を隠しながら、俯いてティッシュを取る田島さんのつ [続きを読む]
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- 2018/03/05 21:00ラピスラズリ 296 深く
- 深くまで田島さんが来る。全てを開いて、それを受け止めて汗ばんだ肌に触れ、首に腕を回す。何もないこの部屋に、男と女の熱だけが籠って、後ろめたい愛に溺れる。男は、私 [続きを読む]
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- 2018/03/04 21:00ラピスラズリ 295 愛情と欲情
- こんなにも意思が弱い。離れる決意はどこに行ったの。あの決心に、何の意味があったの。お酒の力を借りて、本音なのか、欲情なのかわからない言葉を吐いて、ソファの上で、 [続きを読む]
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- 2018/03/03 21:00ラピスラズリ 294 解される
- クリスマスと同じ席。誰からも見えないこの場所。あの時のぎこちない空気を思い出しながら、お酒を頼み、何杯か飲んだ。少しずつ、アルコールが二人を解してくれる。「……あ [続きを読む]
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- 2018/03/02 21:00ラピスラズリ 293 意思
- 田島さんが手を引いて進む。私も、導かれるように歩いている。自分の足で、進んでいる。田島さんがずるいから、田島さんが手を話してくれないから、と、いろいろ理由をつけ [続きを読む]
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- 2018/03/01 21:00ラピスラズリ 292 忘れたいのに
- 「…また、俺、山下さんのこと困らせてんのかな」田島さんが呟く。「………そんな…ことは……」困らされている部分もあるかもしれないけれど、田島さんだけのせいじゃない。私が [続きを読む]
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- 2018/02/28 21:00ラピスラズリ 291 忘れられない
- 店を出る。2月の夜は寒い。財布をコートのポケットにしまう田島さんに、頭を下げた。「ありがとうございます…。ホットチョコレートまで…」「うん。美味かったね。ハンバー [続きを読む]
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- 2018/02/27 21:00ラピスラズリ 290 お代わり
- 「お代わりどうぞ。サービスです」喫茶店のマスターが、田島さんのカップにコーヒーを注ぐ。手元の白いマグの中を覗くと、まだ半分ホットチョコレートが残っている。少し冷 [続きを読む]
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- 2018/02/26 21:00ラピスラズリ 289 本気
- それがきっかけで、短い会話が繋がっていく。何のことはない話だ。案件がどうとか、梶さんと飲みに行った話とか。もちろん、家庭の話は出てこない。さっき事務所で遮られた [続きを読む]
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- 2018/02/25 21:00ラピスラズリ 288 ホットチョコレート
- 落ち着く珈琲の香りにオレンジの灯り。渋い木目のテーブル。田島さんは煙草に火をつけた。煙草は嫌いなのに、田島さんの仕草はずっと見ていたくなる。「俺ハンバーグ定食に [続きを読む]
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- 2018/02/24 21:00ラピスラズリ 287 わずかな理性
- 久しぶりの田島さんの匂いが私を包む。その腕はすぐに解かれたけれど触れた場所が、熱く感じる。事務所に戻ると、幸い、私と田島さんしかいなかった。泣き顔は田島さんにし [続きを読む]
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- 2018/02/23 21:00ラピスラズリ 286 足元に線を
- 「田島さん、よかったらこれ、もらってください」さっき買ったチョコの大袋。「みんなのじゃないの?」「部のみなさんはもうほとんどいらっしゃらないし…田島さんにも感謝 [続きを読む]
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- 2018/02/23 14:00ラピスラズリ 285 饒舌
- 「はい。いつも仕事ありがと」「いえ、ご迷惑ばかりおかけして…ありがとうございます…」コンビニを出たところでオレンジジュースを渡される。自分の袋にそのパックを入れて [続きを読む]
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- 2018/02/22 21:00ラピスラズリ 284 バレンタイン
- 今日はバレンタイン。2月に入ってからは、残業が当たり前になっていた。実力不足、不慣れな環境。言い訳はいくらでも思い浮かぶが、岡田さんはこれをこなしていたんだから [続きを読む]
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- 2018/02/21 21:00ラピスラズリ 283 安心
- 楠さんから溜息が聞こえてくる。運用が変わったのだから、岡田さんでも、断るはずだ。ただ、私みたいな言い方はしなかっただろう。岡田さんなら、何て言うだろう。田島さん [続きを読む]
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