kichou0720 さん プロフィール

  •  
kichou0720さん: 小さな言い訳 〜After the heirs〜
ハンドル名kichou0720 さん
ブログタイトル小さな言い訳 〜After the heirs〜
ブログURLhttps://theheirs.blog.fc2.com/
サイト紹介文韓国ドラマ「相続者たち」二次小説です。 タンとウンサン二人のその後を私なりに妄想しています。
自由文「相続者たち」が終わった時、終わらせたくないと思いました。
どこかでひっそりとタンとウンサンが生きていて欲しいと、二次小説を探しましたが「信義」ほどはなくて、自分で作るよりほかありませんでした。
私の頭の中で生きるタンとウンサンです。よろしければお付き合い下さい。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供268回 / 365日(平均5.1回/週) - 参加 2016/10/21 13:57

kichou0720 さんのブログ記事

  • 問わず語り−夏の香り あの日の彼女
  • 朝、会った時から彼は、私を睨んだままだった。どうしてだろうって授業中ずっと考えてた。ポニーテール、そんなに嫌だったのかなって思ったけど、聞いても何も答えない。体の具合が悪いのかと思って、勉強はやめて帰ろうよって言ったのに、勉強はしなきゃって呟いたから家に連れてきた。でも、広げた参考書を一頁もめくらないし、それどころか、参考書を見つめているその目が虚ろで、耳まで赤かった。だからやっぱり熱でもあるんだ [続きを読む]
  • 問わず語り−夏の香り 限定公開予告
  • みなさんこんばんは。キム・タンです。僕は今、夢の途中。うちのドリームキャッチャーが、良い仕事、しています。さてここで、みなさんにお願いです。今から僕は、まだ妻になる前の、あの日のウンサンのことを夢に見ます。でも妻は、あの時のことを誰にも知られたくないそうです。母にも、親友にも言えないようなことを、わざわざ知らせる必要はないって。だから僕ひとりだけで、夢を見たいんです。でももし妻の思いを受け止めてく [続きを読む]
  • 問わず語り−夏の香り あの日の彼
  • 私の主、チャ・ウンサン。そしてその夫、キム・タン。あれは二人が、高校三年の初夏のこと。あの日、部屋に帰ってきた彼は、いつもより口数が少なかった。制服のままベッドの上に転がると、いつまでも考え事をしていたようだ。主と喧嘩でもしたのだろうか。また父親に叱られたのだろうか。兄に嫌味のひとつでも言われたか、学校で何かしでかしたのか。私も理由をあれこれと考えてみたけれど、何もわからなかった。わかるはずもない [続きを読む]
  • 慈愛−妻の匂い
  • 北向きの窓、ドリームキャッチャーの向こう側。暁がもたらす明かりが届くことはなく、夫婦の寝室はいまだ翳りの中にある。それでも真夏の空は、母となった妻の、美しい稜線をはっきり描いて見せた。「ヨンギの匂いがする」腕の中に収めた妻の体。その首元に顔を埋め、夫がこぼす。「やだぁ、こんな時に」うふふと、朗らかな妻。「前は、花の匂いがしてたのに」「あら、そうなの?」「うん。俺の一番好きな匂い」「なんか引く」「な [続きを読む]
  • 慈愛−免罪符
  • 息子ヨンギとの生活が始まって三か月が過ぎた。タンは、俺が全部やると言ったものの、なかなかそうもいかなかった。経営者の一人として忙しく、帰りは遅い。土日は張り切って世話をするが、月曜の朝になると恨めしそうな顔を残し出勤していった。平日の昼間ウンサンは、ギエと家政婦の世話になりながら、夜になればヨンギと二人でタンの帰りを待つ日が続いていた。ウンサンは、ヨンギを母乳だけで育てていた。六月の終わり。ヨンギ [続きを読む]
  • 慈愛−微睡みの約束
  • 「ただいまぁ」と元気な声で玄関を開けるタン。母子ともに無事退院し、家族揃っての帰宅だ。「ヨンギ、おうちだよ」と腕の中で眠る息子にウンサンが話しかける。「ヨンギ、ただいまって言え」「またそんな無茶を言って」「ほら言ってみ?」タンがヨンギの頬を軽くつついた。「ちょっと。手、洗ってよ」「あぁ、ごめん」バタバタと足音をたてて手を洗いに向かうタン。戻ってくると、ウンサンからヨンギを奪うようにして抱きあげた。 [続きを読む]
  • 慈愛−ライバル
  • お願いしますと拝み倒し、タンは母に実家から通ってもらうことにした。ギエは納得せぬまま了解して、ぶつくさとタレながら帰っていった。そんな退院前夜、金曜の夜。産科の個室には父と母と子の三人、念願の家族水入らず。「すごいね、お前。どんだけ吸うの?」ベッドに座るウンサンの横に陣取り、タンは真上から覗き込んで息子に話しかけた。妻の乳房からいっこうに離れない我が子に、呆れている。「あなたは、ご飯食べたの?」ウ [続きを読む]
  • 問わず語り−私はそう・・・。
  • 彼女との出会いは夏。突然雨が降り出した夜のこと。まだ高校生だった彼女は、店先で揺れる私と目が合い、どういうわけか私を選んでくれた。あれからもうすぐ十六年になろうとしている。彼女はあれから私の主となり、私はいつも主の寝室の、北の窓辺で主の夢を見守っている。そして今、私は主のすぐそばにいる。それはいつもの窓辺とは違うベッドの枕元。主がようやく眠りにつく。私の出番がやってきた。私はそう、悪夢を祓い、良い [続きを読む]
  • 慈愛−祓いの儀式
  • 産科病棟の個室に、むせ返るほどの花の香り。仕事から帰ったタンは、抱えきれない花束を秘書二人と運転手に持たせ、自分も花束に埋もれるようにしてやってきた。「オモっ!」たくさんの花に、派手好きなハン・ギエさえ目を丸くする。それは赤いカーネーション。ユン・ジヘ秘書だけが、地味な花束をひとつ抱えていた。「あら、菖蒲じゃない」ハン・ギエの言葉にユン秘書が答える。「これは私からです。菖蒲は邪気を祓ってくれますか [続きを読む]
  • 慈愛−ヨンギ
  • 揺すり起こされ目が覚めた。「授乳の時間ですよ」迎えにきた看護師について新生児室まで歩く。夜が明ける前に、夫は自宅へと帰っていった。窓の外が白々と明るみ始めた頃、義母がやってきた。産んで三日目。月曜の朝。義母に付き添われ歩いた先で待つのは愛しい息子。「ヨンギ」呼びかけて抱き上げると、乳房にむしゃぶりついてきた。遅いよ母ちゃん。そう言わんばかりの勢いで。どんな困難にも立ち向かい、戦う勇気(ヨンギ)があ [続きを読む]
  • 慈愛−謎解き
  • 「怖かったんだ」尋ねられ、思い出す。ハヌルを抱いた日のこと。     壊れちゃうと思ったんだ。小さすぎて落としちゃうって。せっかくお前が産んでくれたのに。落としそうですっごく怖くて、だから抱っこなんてしてられなくて。でももうお前のお腹に戻せないし、ああすれば、どうにかなるかなとか思って・・・。結局俺ってやっぱりバカで、ただのクソガキだったんだよ。ああしてれば、どうにかなるって、マジで、息、吹き返す [続きを読む]
  • 息子の誕生に寄せて
  • みなさん、こんばんは。キム・タンです。だいぶご無沙汰ですね。お元気でしたか?みなさんご存知の通り本日夜八時公開の記事において、僕たち夫婦に二人目の子、長男が生まれました。誕生日は5月12日。この日付について書き手から、ほんの少し言い訳があるというので、僕からお伝えしますね。「慈愛−3670gの、重み。」と題した作品は、ずいぶん前に書き上げたものだそうです。2016年12月17日 17:26これがその書き始めた [続きを読む]
  • 慈愛−3670gの、重み。
  • 2029年5月12日、土曜日。身長52cm、体重3670g。とりあげた主治医が「こりゃ大物だ」と言った。その大物にもちろんまだ名はなく、小さなプレートに書かれたのは『キム・タン様 第一子・長男』の文字。ウンサンが産んだ二人目の子は男の子だった。分娩室から回復室へと移ったウンサンのそばにはタン。丸いパイプ椅子に腰かけウンサンの指を擦っている。「第一子になるのか」「みたいだね」ハヌルを家族としては認め [続きを読む]
  • 慈愛−そばにいて
  • 「常務、急いでっ!」秘書のイ・ムンシクに急かされて、タンは久しぶりに全力疾走していた。秘書がわざわざ出張先まで迎えに来てくれたのは、もう産まれそうだからだ。木曜の夕方、現地に着いてすぐに交渉に入ったが難航。金曜も朝、昼、夕方と三度も詣でて、やっぱり無駄足。これまでかと諦めかけた時、情に訴えたのは支社長だ。    子どもが産まれそうなのに、こうしてソウルから頭を下げに来ているんですよ。そう言った。タ [続きを読む]
  • 慈愛−ツケ
  • (ちょっとウォン!どうしてタンが出張なんか行ってるのよっ!!)「お義母さん、落ち着いて下さい」(落ち着いてったって産まれちゃうんだから、落ち着いてられないわよっ!!!)「今、全力で呼び戻してますから」(もうっ、早くしてちょうだいっ!!!!!)「あなた?お義母さん、何ておっしゃってました?」ヒョンジュの呼びかけに、ウォンが我に返る。「あ、あぁ」電話の向こう、タンの母ハン・ギエのあまりの剣幕に押され、 [続きを読む]
  • 慈愛−序章
  • じゃあ、お前が真ん中ね。だめか。これじゃあ、お前を取り合ってるな。やっぱ俺が真ん中だな。これで決まり。ねぇ。私はあなたと二人で眠りたい。いいや。俺はみんな一緒に眠りたい。お前とこいつと、そしてあいつも。みんなで良い夢見たいんだ。子どもが産まれたら、戸籍に載る。産まれた子が亡くなれば、戸籍に残る。産まれる前に亡くなった子は、戸籍すら残らない。わかっているのに、辛かった。ほんの一瞬、辛かった。だからそ [続きを読む]
  • 積み重ねる日々−終章
  • 幸せかと訊かれ、幸せだと答えるのは、私には難しい。だって、毎日を積み重ねたその先に、幸せはあると思うから。目を覚まし、身支度を調え、顔を洗い歯を磨いて化粧をしたら、朝食を摂り、仕事に行き、仕事をして帰れば夕食を作り、食べたらシャワーを浴びて歯を磨き、そして眠る。流れるように繰り返される毎日。だけど。楽しいと笑って、嬉しいとはしゃいで喜ぶこともある。悲しければ泣き、辛く苦しければ弱音のひとつも吐く。 [続きを読む]
  • 積み重ねる日々−カウントダウン
  • 帝国財団を退職したウンサンは、毎日のようにサンルームで昼寝をむさぼった。そして思う。人間が、堕落する。仕事はなく、家事は家政婦任せ。お腹が大きいから、習い事にもいけやしない。夜のおつとめは夫が自粛。することと言えば、マンション横にある公園の散歩だけ。私、堕落してる。「あのさぁ、堕落とか、そんなことないと思うわよ?」遊びに来ていたボナが言う。「そうかなぁ」「そうよ。堕落してるんじゃなくて休憩よ、休憩 [続きを読む]
  • 積み重ねる日々−アルバム 後編
  • 主役が寝室にこもってしまったあと、勝手に食事を始めた招待客たち。だが女性陣は、寝室に消えた二人の様子が気になって仕方ない。「やめなさい」と、チャニョンがボナを引き留める。「お前はゲスか」と、ヨンドも嫁を引き留める。誰にも止められなかったイエソルが立ち上がると、女性陣は雪崩を打って寝室のドア前に集合した。そこへ、ミョンスがパネルをもって現れた。「ほい、これ」そこには、サンルームの陽射しを受けて佇むウ [続きを読む]
  • 積み重ねる日々−アルバム 中編
  • 「久しぶりぃ」と恥ずかし気に、それでも腰に手を当て片足を前に出し、モデル立ちのイエソル。そんなイエソル目掛け、「ひゃぁぁぁ」と狂ったように叫びながらボナが駆け寄ると、その騒ぎに子どもらがびっくりしたように目を丸くした。ウンサンがゆっくり立ち上がり、出迎える。四年ぶりに会うイエソルは少しも変わらず、スマートな体型を維持していた。「今、女優さんやってるの?」と訊ねると、ボナが「そうよ」と答えた。イエソ [続きを読む]
  • 積み重ねる日々−アルバム 前編
  • 妊娠も九か月になったある日。タンの自宅で開かれたベビーシャワーパーティー。「うわっ、もうこんなっ!!」ボナが来るなりウンサンの大きなお腹に感激している。「ホントにこんなになるまで黙ってるなんて!」自分のことは棚に上げ、お腹をさすりまくった。「くすぐったいってば」「うそばっか言って」「恥ずかしいからやめてよ」「少しぐらい良いじゃない」そんな二人のやりとりを、タンとチャニョンが遠目に眺めている。そして [続きを読む]
  • 積み重ねる日々−ベストな選択 後編
  • 「痛ーい」両手に包んでいたウンサンのつま先を、ギエがついぎゅっと握ってしまった。うたた寝していたウンサンが痛みに叫んで飛び起きた。そして苦痛に眉根を寄せながらソファに腰掛け、腹がつかえて手の届かないつま先を、それでも触ろうと体をくねらせた。タンが「母さん!」と怒鳴ると、ギエは「オモっ、ミアネよ」と首を竦め、ウンサンに向かって猫なで声で「さあさあ横になって。今度はちゃんとマッサージしてあげる」と言っ [続きを読む]
  • 積み重ねる日々−ベストな選択 前編
  • 初めまして。そんな挨拶を、僕たちは一生のうちに何度経験するのだろう。これからもよろしく。そう言って握手した日から、それまで見知らぬ他人だった人との縁が結ばれる。良縁か悪縁か。会ってみただけでは判らない。だから慎重に。新車を買った時、僕は運転手をすぐさま雇い入れた。なのに、そのあと雇うと決めたはずの家政婦をなかなか雇えなかった。慎重を期して身元調査に時間をかけたからだ。誰が相手でも、せっかく結ぶなら [続きを読む]
  • 積み重ねる日々−変わる生活 変える意識 後編
  • 「チャ理事」理事長との会話を楽しんでいると、ふいに職員に呼びかけられた。今が盛りの花のような笑顔を振り向け「ん?」と答えるウンサン。その目の前に、リボンが結ばれた瓶。「なに?ワイン?」「ノンアルの、スパークリングワインです」「ありがとぉ」「職員のみんなからのお祝いです。お子様が生まれても、しばらく本物は飲めないでしょうから」「んふっ。よく分かってる」いつも気さくなウンサンが飲み会の誘いを断るように [続きを読む]
  • 積み重ねる日々−変わる生活 変える意識 前編
  • ウンサンが、六年勤めた財団を去る日がやって来た。ランチタイムの会議室で別れの会が催され、この日のために用意された豪華な弁当をみんなで広げている。そんな中、職員たちとの雑談に興じるウンサンの横に理事長カク・テグンが座り、「寂しくなるよ」と別れを惜しんだ。ウンサンが箸を置き、その声に応える。「本当にお世話になりました。ありがとうございました」「何事もなくこの日を迎えられて本当に良かった」と理事長は、改 [続きを読む]