kichou0720 さん プロフィール

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kichou0720さん: 小さな言い訳
ハンドル名kichou0720 さん
ブログタイトル小さな言い訳
ブログURLhttps://theheirs.blog.fc2.com/
サイト紹介文韓国ドラマ「相続者たち」二次小説です。 タンとウンサン二人のその後を私なりに妄想しています。
自由文「相続者たち」が終わった時、終わらせたくないと思いました。
どこかでひっそりとタンとウンサンが生きていて欲しいと、二次小説を探しましたが「信義」ほどはなくて、自分で作るよりほかありませんでした。
私の頭の中で生きるタンとウンサンです。よろしければお付き合い下さい。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供253回 / 365日(平均4.9回/週) - 参加 2016/10/21 13:57

kichou0720 さんのブログ記事

  • 行く先も決めぬまま−すべては君のため 前編
  • チェックアウトの宿泊客が列をなすフロント。朝八時。団体の集合時間が過ぎればロビーの喧騒も静まり落ち着くはずだ。チェ・ヨンドは当直明けの勢いでひとり、写真展の受付ブースを設営していた。仮眠を取れたから頭は冴えている。だが、聞こえてくる異国の言葉につい耳をそばだててしまい、作業は滞りがちだ。覚えている英語がさびつかないようにとフロントに立つよう努力しているが、近頃聞こえてくるのはざっくり言えば中国語ば [続きを読む]
  • 行く先も決めぬまま−頼れる男 後編
  • (私が書いた配置図、全然役に立たなかったんだよ)「そうか」(笑えるでしょ)「だな」(今度からタンに書いてもらおうかな)「おー、任せろ」(じゃあ。また連絡するね)「慌てなくて良いぞ」(うん。お迎えよろしくね)「おー」スマホに映ったウンサンはまだジャージ姿。画面に見切れて、ミョンスがウンサンの頭の上に指を二本立てていた。人の嫁、鬼扱いか。少し疲れた顔。残業になりそうだと電話を寄越したのは午後六時。そう [続きを読む]
  • 行き先も決めぬまま−頼れる男 前編
  • 『祝 写真展 チョ・ミョンス先生』会場入り口に並べられた花環。翌日からの写真展開催を祝うものだ。フリーカメラマン、チョ・ミョンスの個展は今、準備の大詰め。会場となるホテルゼウスの大広間には、準備に追われたスタッフがひっきりなしに出入りする。帝国財団主催、帝国グループ各社協賛及び帝国学園保護者会後援によるこの催しは、これまで学園の講堂を借りて開催されていた。だが今回は、フリー転身後初の開催となること [続きを読む]
  • 行き先も決めぬまま−俺は、頑張ってるか。後編
  • スリープモードになっていたノートパソコンをいったん起こしてシャットダウンし、ロッカーにしまい込んでカギをかける。その様子を見ていたミョンスが「いつもいつも厳重だな」と揶揄った。「あー、最重要機密事項だからな」「ウンサンは、まだ知らないのか?」「おー、まだ言ってない。お前も言うなよ」近頃ミョンスは、写真展の打ち合わせでウンサンと二人きりで会っている。釘をさしておかないと、ノリで口が滑って、ということ [続きを読む]
  • 行く先も決めぬまま−俺は、頑張ってるか。前編
  • 「どうだ?ママ」「うん。素敵」「ハヌルや、お前はどうだ?」「うん。とっても素敵よパパ。私、気に入った」「だろう?」設計に、何年もかけた家。妻のために建てた一軒家。娘も気に入ってくれたようだ。その娘もやっと、やっと、やっと・・・。「ハヌルや」「なぁにパパ」「あのさ」「うん」「ハヌルは今、何歳だっけ?」「やぁねパパ」娘に問い掛けたのに、答えたのは妻だった。「ハヌルは三十一週目よ」「あー、そうだった。そ [続きを読む]
  • 行く先も決めぬまま−新館建設計画
  • ホテルゼウスの出入り禁止を解かれたのは、もうずいぶん前。タンはヨンドに呼びつけられ、ホテルへ打ち合わせに来ていた。「先週帰ってきたんだって?」「あぁ、三週間かけてツアーだよ、ツアー。疲れたぞさすがに」「おっさんばっかりでか?」「あぁ」お姉ちゃんがいたら、大変だ。思わず二人で同じ想像をする。「よせよせ」「だな。うん、よそう」秘書が運んできたアイスコーヒーに口をつけると、タンは一気に飲み干した。厳しい [続きを読む]
  • 行く先も決めぬまま−お土産 番外編
  • 「ねえ、私、新婚旅行、行ってない」「あ?俺も行ってない」「そういうことじゃなくて、旅行したいの」「あぁ、そういうことね」シャワールームで再び励んでリビングに戻ると、エアコンは充分すぎるほど効いていた。「どこ行きたい?」「そうだなぁ」タンに訊かれ考えてみても、ウンサンの頭には浮かばない。「どこ?」「んー、どこだろ」「なんだそれ」旅行したくても、なかなか実現しない。実現しないせいで、行きたい場所すら考 [続きを読む]
  • 行く先も決めぬまま−お土産 後編
  • 「はい、ただいま」玄関先で家の中に向かい、ウンサンが挨拶する。「ただいま」タンもつられる。三週間ぶりの自宅。タンがその場にへたり込んだ。「ウンサン。俺、胃が痛い」「えっ?うそ」「うそじゃない」タンがそのまま突っ伏した。いやいや、困る。こんなに大きいの、寝室まで運べないし。「タン、歩ける?」「んーーーーーー、考えてみる」いやいや、考えるって何?「ウンサン」「何?」「お土産、忘れた」「しょうがない、し [続きを読む]
  • 行く先も決めぬまま−お土産 前編
  • 土曜の夜八時、仁川空港。ウンサンは、空港で適当に夕食を済ませるとデザートのパフェも平らげた。真夏のせいか行き交う人々の装いは軽く、空港の風景が閑散として見える。アイスコーヒー片手に到着フロアのイスに座り、タンが出てくるのを待つ。海外か。なんとなく、ただなんとなく、ウンサンは思った。ロスに行ったきり、海外には行ってない。新婚旅行も、行ってない。やっぱりついて行けば良かった?いや、ないわ。そう思った時 [続きを読む]
  • 行く先も決めぬまま−帰国の途
  • (で、どうなった?)「交渉は打ち切ります」(そうか)「明日、とりあえず表敬訪問だけして帰国します」(わかった。気を付けて帰れ)「はい」帝国建設社長ユン・ジェホとの電話を終え、ひと息つくタン。社運をかけたと言っても良い、中東中国周遊ツアー。遊び半分の旅行ではなく、業務提携の合意をもぎ取る旅。五か国のうち三か国の法人と業務提携に向けた覚書へのサインを果たした。ある国では、政情不安によりこの事案を一度持 [続きを読む]
  • 行く先も決めぬまま−親孝行
  • 金曜のレイトショー。観に行きたいと言い出したのは、義母ハン・ギエ。「あのね、ふるーい映画なんだけど、見逃しちゃってたのよ」ウンサンへの口説き文句は、次のひと言。「主演の俳優さんが、タンに似てるのよぉ」戦後の江南を舞台にしたノワール作品のリバイバル上映。もう十年以上も前の映画だ。主役の二人は、今もバリバリの主演クラス。「金曜で終わっちゃうのよぉ」と言って電話を寄越したのが、金曜の朝だった。夫が長い出 [続きを読む]
  • 行く先も決めぬまま−フィクサー
  • 「ウンサンごめん」(はいはーい。わかりましたぁ)ぷつっ、ツーツーツー・・・早っ。二週間の出張が、三週間に延びると報告するためにかけた電話。スマホの小さな画面に、最後は気のない表情のウンサン。もう少し話がしたかったタンは、画面に向かって「イーッシ」と呟いた。인생 여정×인생 여정×인생 여정×인생 여정×인생 여정ドバイを皮切りにインドを経由し東南アジアから中国へと、まるでツアー旅行のように駆け巡った。 [続きを読む]
  • 行き先も決めぬまま−優先事項
  • 帝国建設 株式会社 は建設業を主たる事業としている。創業当時は土木事業者として漢江の河川工事を請け負ったが、河川流域の都市化に伴い建築・建設業へと事業をシフトしていった。経済の急速な発展とともに、全国各地の近代建築物の建設に携わり、近年では大規模開発工事を請け負うゼネコンとして名を馳せている。しかし国内経済の冷え込みから、済州開発工事の完成引き渡し以後、世間に向けて社名を大きくアピールできるような派 [続きを読む]
  • 行く先も決めぬまま−ラザニアのように
  • 趣味は料理。そう言った覚えはないけれど、職場の上司、同僚や部下にもそう思われている。それはある日、スーパーで食材を買い込む姿を目撃されてからのこと。ユン・チャニョンは料理上手らしい。そんな話が広まって、職場での僕の趣味は料理ということになった。否定はしない。他にこれといって公言できるような趣味もないし、キッチンに立つことも苦ではない。それに、気分転換にはもってこいだ。だから、早く帰れる日は可能な限 [続きを読む]
  • 行き先も決めぬまま−可愛い子だから旅はさせられない
  • 「言ってくだされば良かったのに。水臭い」営業会議が終わった帝国建設会議室。常務のタンが社長のユン・ジェホを呼び止め声をかけた。彼に、二人目の孫が誕生して八か月。そのあいだ何の報告もなかったことをなじる。「まぁ、あえて言いふらすことでもないからね」ユン・ジェホが、ロマンスグレーの髪を撫でつけながら言った。「またまた。秘密主義は兄さんだけかと思ってたのに、残念だな」ユン・ジェホに避けられていると気付い [続きを読む]
  • 行き先も決めぬまま−大人の流儀 監督イ・ヒョシンの場合 後編
  • 「さあ、もう帰ろう」店を出ようと腰を上げたヒョシンの腕を、ユジョンがつかんで止める。「監督」「なんだい?」再び腰を下ろすと、ユジョンは真っすぐな視線をヒョシンに向けて言った。「監督には、私がまだ子役に見えてるの?」デートはいつもマネージャー付き。今日みたいに、二人っきりにはさせてもらえない。だから、こんな日でなければ言えない気持ちがある。女優の問い掛けに監督は、ふっと笑って答えた。「子役とお酒は、 [続きを読む]
  • 行き先も決めぬまま−大人の流儀 監督イ・ヒョシンの場合 中編
  • 「ごちそうさまでした」「いやいや、こちらこそ。楽しかったよ」とお世辞じゃない証拠に目尻を下げているヒョシン。ほぼニラ。そんなモツ鍋をゲラゲラと笑ってくれた美人女優の、飾らない人柄を知ることができた。「意外だった」「そうですか?」何度か一緒に食事をしたが、いつもレストランの個室。ユジョンのマネージャー、ワン氏が同席する。マネージャー付きの、ナイフとフォークを手にした堅苦しい席での会話に、大爆笑はおき [続きを読む]
  • 行き先も決めぬまま−我が家の叱り方
  •      毎日毎日、どうしてこうなる?チェ・ヨンドは広げた新聞の向こうで繰り広げられている、息子同士の小競り合いに聞き耳を立てていた。     夏休み前で、浮かれてやがんな。普段は大人しくしている長男ジノまでもが、ゲーム機から離れない。当然次男のジホが黙っているわけもなく、もうすぐ道場へ行く時間だというのにゲーム機の奪い合いをしていた。「にいちゃん、ずるいぃぃ」ウソ泣きで気を引こうとしつつ、ゲーム [続きを読む]
  • 行き先も決めぬまま−小さなことからコツコツと 後編
  • 「いつから?」トースターにクロワッサンを四つ放り込み、教わった位置に水を入れ、クロワッサンモードに設定してからダイヤルを三分に合わせたタンに、背後から声がかかる。「いや、それはまだ分からない」と、明るくなった庫内をのぞき込みながら答えるタン。「ふーん」と反応の薄いウンサンが、刻んでいた玉ねぎを、合わせた調味液にパラパラと入れ、混ぜた。「決まったら、契約書を持ってくるね」トースターの観察に飽きたタン [続きを読む]
  • 行き先も決めぬまま−小さなことからコツコツと 前編
  • 「こちらと、こちら。それからここにもお願いします」説明を受けた書類の指定位置に『김 탄(キムタン) 』と書く。企業名と役職はあらかじめ印字されているから、サインすればあとは提出するだけだ。書類は嘆願書と申請書の二種類。これを同時に出せば良いのだと営業部長が言う。役所のほうとはすでにそれで話はついていると。妻名義の土地がある。その周辺道路を整備したい。市道へ出る林道整備は私費でもかまわない。ついては市 [続きを読む]
  • 行き先も決めぬまま−序章
  • 肩の荷が下りたと言ったら、がっかりする?欲しいと願ってあんなに努力していたのに、休もうと決めただけでこんなに気持ちが楽になるなんて。あの子はビギナーズラックのようなもの。だから同じ幸運が訪れることは二度とない。でも望みを捨ててはいない。ただその可能性が低いことも学んだ。努力しても無駄ならもう努力しない。気楽に、気持ちよく過ごしていたい。タンのことをいつも好きでいたいしずっと愛していたい。こんな気持 [続きを読む]
  • 神の領域−終章
  • 赤ちゃんは、この親が良いと決めて生まれてくる。そんなことを聞いたことがある。ただひとり、私を母と決めてくれた子がいた。育てることは叶わなかった。それでも私は、母になれた。夫に娘を抱かせてやることができた。満足かと訊かれれば、そんなことはないと私は答える。神には逆らえない。いくら祈りを捧げても、神の領域を超え、子を授かることなどできないのだから。うちの子が欲しい。できれば。あきらめはしない。そのかわ [続きを読む]
  • 神の領域−空っぽの蕾
  • マンション横の公園に、トラックが停まっていた。なんだろう。出勤前。そう思いながら作業している人たちを横目に通り過ぎた。荷台に、小さな木が見えていた。「あー、あれ?桜」帰宅した時にはもうトラックは無かった。荷台にあった木がどうなったか気になり公園を眺めていると、奥側に植わっているのを見つけた。何の木だろうと思い見に行ったが、樹木札も何もなくて分からなかった。そんなことがあったと、遅く帰ってひとり夕食 [続きを読む]
  • 神の領域−あきらめたわけじゃない
  • 「じゃあもう、子作りしないの?」「母さん、もうちょっとオブラートに包んでよ」射し込む陽が、互いに顰めた眉の陰影を深く見せる。冬のあいだリビングの床を温めた陽射しも、三月の終わりにはもう届かず、オンドルがスリッパの底だけ温める。晴れた日に広がる窓越しの青は同じに見えても、季節は春が巡ったのだと実感する。タンの自宅。母ハン・ギエと二人きり、親子の会話。一緒に。そう言ってくれたウンサンを、食材の買い出し [続きを読む]