kichou0720 さん プロフィール

  •  
kichou0720さん: 小さな言い訳 〜After the heirs〜
ハンドル名kichou0720 さん
ブログタイトル小さな言い訳 〜After the heirs〜
ブログURLhttps://theheirs.blog.fc2.com/
サイト紹介文韓国ドラマ「相続者たち」二次小説です。 タンとウンサン二人のその後を私なりに妄想しています。
自由文「相続者たち」が終わった時、終わらせたくないと思いました。
どこかでひっそりとタンとウンサンが生きていて欲しいと、二次小説を探しましたが「信義」ほどはなくて、自分で作るよりほかありませんでした。
私の頭の中で生きるタンとウンサンです。よろしければお付き合い下さい。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供266回 / 365日(平均5.1回/週) - 参加 2016/10/21 13:57

kichou0720 さんのブログ記事

  • 優しい嘘−濁った湖水の後始末 後編
  • 嫌がらせには慣れている。ウンサンには効果がない。タンは最初、そんなふうに高を括っていた。だがあれ以来ウンサンは、浮かない顔でいることが増え、徐々に口数も減った。大丈夫かと問えば大丈夫だと返しニコっと笑ってみせる。その笑顔が疲れて見える。何か、重く湿った滓のようなものを心にため込んでいるようにも見えるが、これと言って愚痴をこぼすわけでもなく、過去を振り返って責めるようなこともしない。明らかにウンサン [続きを読む]
  • 優しい嘘−濁った湖水の後始末 前編
  • お人よしにもほどがある。そう言おうとしてやめた。ユン・ジヘに再就職先を世話してやってほしい。ウンサンから、そう頼まれた時のこと。よく考えれば、騒動の発端となった自分が偉そうに大口を叩くのもお角違いな気がして、ただ「分かった」とだけ答えた。再就職先ならひとつあてがある。ハン・ジヘが元居た職場はBSテレコム。窓口となってくれそうな人をひとり、知っている。「ということで兄さん、申し訳ないけどBSの、上の [続きを読む]
  • 優しい嘘−止まった時計 後編
  • ヒョンジュの叱咤にようやく顔をあげたウンサンが、黄色のマカロンをつまんだ。レモンだろうか。そう考えながらひと口、ふた口とかじる。口の中にはりついたそれは、やっぱりレモンだった。紅茶のカップを持ち上げたところで、ヒョンジュから再び声がかかる。「私たち、もう、生まれ変わることはできないのよ」帝国の子。社会配慮者。生まれ変われない。事実は、変えられない。「生まれ変わったら義姉さん、また義兄さんと結婚した [続きを読む]
  • 優しい嘘−止まった時計 中編
  • 「義姉さん、コレ」帝国学園理事長室にウンサンが持参したのはマカロン。どうしても自分が食べたくなって買ってきた手土産だ。「あら、ありがとう。あなたも食べるでしょ?」「んふっ。お願いします」紅茶と一緒にマカロンがテーブルに並んだ。ウンサンはストロベリーをひとつつまんでかじった。ヒョンジュが手にしたマカロンはチョコレート。ひと口かじるとチョコが口の中で纏わり付き、ヒョンジュは紅茶を啜った。「美味しいわ。 [続きを読む]
  • 優しい嘘−止まった時計 前編
  • 「ウンサン。あれね    」写真の一件がバレて以来、帰宅の早いタンがあれねと言って指差すのは、冷蔵庫で晒されている写真。「    送ってきたの、やっぱりユン・ジヘさんだった」「あ、そうなの?」「うん。ラ・ミラン先生が確認してくれた」「ふーん」興味などないといったふうに返したウンサンは、ベビーチェアで踏ん張っているヨンギがおかゆを自力で口元に運ぶ様子を見つめている。あれからずっと、どことなくウンサン [続きを読む]
  • 優しい嘘−立つ鳥 後編
  • 私はもともとBSテレコムでお嬢様の秘書をしていたんです。キム・ウォン社長の前の奥様です。その御縁で帝国へ転籍することになって、ウォン社長とお嬢様が離婚されたあともそのまま帝国に勤めることになりました。私は、財団から奨学金をもらって大学まで出た帝国の子ですから、帝国での仕事は恩返しのようなつもりでいたんです。それに秘書の仕事が好きでした。きっと性格的に向いているんだと思います。だから総務へ異動になっ [続きを読む]
  • 優しい嘘−立つ鳥 中編の二
  • 帝国グループが行った事業再編は、チャニョンからの情報通り訴訟に発展した。法務部と何人もの顧問弁護士が対策を練る中、元秘書から脅迫まがいの嫌がらせをされたタンは、兄ウォンともども本格的に、個人的なスキャンダルの火だね探しと消火に乗りださなければならなくなった。「やだぁ、お前ばっかり」ハン・ギエがタンの二の腕をつねる。痛いとも言えずに神妙にしているタンは、隣に座る母よりも、正面の妻が気になる。ここは、 [続きを読む]
  • 優しい嘘−立つ鳥 中編の一
  • 息子が寝静まったあと、真夜中のリビング。床に正座し、テーブルに置かれた写真をチラリと確かめて目を瞑る。そしてタンは、膝に置いた拳を強く握った。向かい側、ソファに座る妻の顔を確かめることは、恐ろしくてできない。でもこういう時どうすべきかは、よく分かっている。言い訳無用。素直に謝る。それに限る。・・・にしてもこれは、妻には死んでも見られたくなかった写真。「寂しかったのは私のせいだもんね。仕方ないよね」 [続きを読む]
  • 問わず語り−祓えない悪夢
  • 一瞬の判断に迷い、やり損ね、結果を間違える。そんなことがたまにある。私も例外ではない。私は、ドリームキャッチャー。悪い夢を祓い、良い夢を運ぶ。でも私は、ひと晩にひとりの夢しか守れない。その日、私の主とその夫が同時に見た夢は悪夢。主の夢の中には夫がいた。主と二人、裸で楽しそうに酒を飲んでいた。なのに夢見る主は辛そうに、眉間に皺を寄せている。だから私は悪夢だと判断した。夫の方は夢の中で小さな骸を抱いて [続きを読む]
  • 優しい嘘−立つ鳥 前編
  • 立つ鳥跡を濁さずというけれど、中には静かに羽ばたけず、濁して飛び立つ鳥もいる。だけど、意思に反してそうせざるを得ないことも、時にはある。澄んで見える湖面のすぐ下。厚い濁りに足を取られて飛ぶことができず、もがき続けてやっと羽ばたき逃れたその瞬間。足掻いた湖水がたちまち濁る。水しぶきをあげたその真下で、濁りは大きく広がり、立つ鳥はようやく知る。湖水はもとより濁っていたのだと。そんなつもりじゃない、わざ [続きを読む]
  • 優しい嘘−救われし者 イ・ヒョシン
  • 先輩イ・ヒョシンが自殺を図ったのは、僕が高校生の頃。夏休み。短期留学で渡米してきた彼がふらりとロスに遊びにやってきて、少し眠ると言い、僕のベッドの上で薬をひと瓶空けた。目の前で大事な人が死に向かおうとしている姿を、僕はその時、初めて見た。怖かった。死にゆく人を見ることが。信じる人が、僕から去っていくことが。彼は果たして連れ戻された。彼が呪う、この世界に。救われたことを後悔する彼を、僕は恐れた。彼が [続きを読む]
  • 優しい嘘−序章
  • 子どもの頃、母はいつも僕を褒めてくれた。運動会で勝ったと言えば褒め、マラソンで一等賞をとったと言えば褒めた。見てもいないのに褒めるから、僕はつい調子に乗って嘘をつくようになった。母はそれでも褒めてくれた。母に褒められると、とても気分が良かった。大人になって母から褒められることはなくなった。そのかわり妻に褒められたいと思うようになった。しかしその妻は最近、僕を褒めてはくれなくなった。対象が息子に移っ [続きを読む]
  • 慈愛−番外編 Borderless
  • 父さん、母さん、姉ちゃんたちへ。元気にしていますか。僕は元気です。無事にシリアを出ることができました。退去命令が出たあと、ひとかたまりになって向かった先はヨルダンのザータリ難民キャンプです。今はそこから動かずに、子どもだけじゃなく、大人の難民たちの写真も撮っています。報せるのが遅くなって、ごめんなさい。いつも寄付をありがとう。父さんがいつもたくさん寄付をしてくれるって、ウンサンから聞いています。本 [続きを読む]
  • 慈愛−終章
  • 「ヨンギやぁ。ヨンギ。こっちだよ、こっち」振り向いてにっこりと笑い、レンズに向かって突進してくる息子。マンション横の公園。散歩は日課になっている。陽の光が溢れ汗ばむ日も。雲が垂れ込め蒸し暑い日も。風が強くて寒い日も。時には雨の降る日さえも、合羽に長靴の出で立ちで出掛けることがある。遊具はなく、周囲をぐるっと囲む木々の合間にベンチがいつくかあるだけの公園を、息子はいつからか真っすぐ突っ切るようになっ [続きを読む]
  • 慈愛−日記 後編
  • 通訳はいない。いつも。でたらめ英語と、自分の勘。それだけ頼りに紛争地を駆けまわり、撮りまくる。逃げ足には自信がある。捕まったら死んだふり。それぐらいの気持ちでなきゃ、危なくって撮れやしない。ある日知り合ったのは同胞の女医。うっかり怪我をして運び込まれた病院で、医師団の一人として働いていた。美人じゃない。ノリも悪い。どちらかと言うと、どんくさい。だけど、命を助けるために命を張ってる姿をどうしても撮り [続きを読む]
  • 慈愛−日記 前編
  • 普通に暮らしていて、とりたてて何かがおこることは、たいていない。若かりし頃、タンと出会って辛い経験をした。義父に脅迫されて、夜逃げ同然に屋敷を出た。階段から突き飛ばされ、大怪我をしたことも。ラヘルには頬をぶたれ、ヨンドは私をわざとプールに落とした。・・・ヨンドに会ったら、謝らせなきゃ。それはさておき、その頃のことを日記に残しておけば、映画の脚本のひとつも書けただろうにと思うのに、残っているのはせい [続きを読む]
  • 慈愛−穏やかで和やかな
  • 「おぉぉ、食う気まんまんだな」タンの膝に座ったヨンギが、握ったスプーンをぶんぶん振って、早くご飯を乗せろと「っんま、っんま」と吠えている。母乳しか受け付けなかったヨンギも離乳食を経て、今は少し歯ごたえのあるものを食べられるようになっていた。さらには箸やスプーンを持ちたがり、大人のマネをして自分で食べようとすることも。「朝ご飯、全然食べなかったんだもん」「全然?」「私が口に入れた分だけよ。よそ見ばっ [続きを読む]
  • 慈愛−あの星よりも
  • 彼女に恋をして間もない頃のことだった。キャンプ場で星をとってとねだられた。彼女は冗談めかしていたし、僕もとる真似をしてふざけたけれど本当は、とってあげられないことが心苦しく切なかった。彼女にしてみればあの星たちは、生まれついての家柄や地位や立場のように、願ったとして容易に手に入るものではなく、もちろん金で買えるものでもなく、そこに近づくことすら不可能なものの象徴だったのだろう。だからこそ、解ってい [続きを読む]
  • 慈愛−温かい心
  • 妻からの宿題に気を取られ、上の空で臨んだ会議の席で決まったことがある。上の空だったばっかりに反対もできなかった。二人いる秘書のうち、どちらかを業務から外さなければならなくなった。さほど迷わなかった。妻が陰でクールビューティーと呼ぶその人に決めた。ただ申し訳なさが募って、君を秘書から外すと言い出すのは忍びなかった。なのにその人は異動を告げた瞬間さえも冷静で、最後まで乱れることはなかった。「ユン・ジヘ [続きを読む]
  • 慈愛−宿題
  • 「ねえ。宿題が出てないんだけど」「は?何の話だ」「もうずいぶん前に、宿題出したでしょ?」「だから何の話だって」慌ただしい朝食の最中に妻が始めた謎かけ。宿題が出たのは、もう半年以上も前のこと。「やっぱいいや。帰ってからまた訊くね」「だから何がだ」「いい、いい。もういい。早く行って。遅刻しちゃう」「お前が遅らせるようなこと言ってんだろうが」夫はネクタイを締め上着を羽織ると、息子の頬にだけぶちゅっと口付 [続きを読む]
  • 慈愛−妹よ 後編
  • 妹が欲しい。どうしても欲しい。そんなジホの執念が、おそらくジウを引き寄せた。ウンサンの言葉に頷くミナ。「ホント。あの調子なら、そのうち盗んでこいって駄々こねたかも」「ヨンドもこれでひと安心?」「多分ね。だいいち、娘が俺に似てたらどうしようって、妊娠してもないのにビビってたし」「そーなんだ。うけるぅ」「ミナさんは女の子を産み分ける自信、あったんですか?」「ないない。ないわよ。だから色々調べて試したけ [続きを読む]
  • 慈愛−妹よ 前編
  • 産み分けなんてできないと言ったのは夫。そして妊娠なんてもう無理だと思ったのは私。でも私は、どうしても欲しかった。女の子が。チェ・ヨンドの娘が。ヨンドは良い父親だ。妻の私がそう言うのだから間違いない。でも、どんどん大きくなる二人の息子を相手に、時に理詰めで話すヨンドには物足りなさも感じる。接し方がいつもぎこちなく、どこか身構えて見えるのは、おそらくヨンドがあの父親の元で育ったからだろう。息子に自分を [続きを読む]
  • 慈愛−男の勲章 後編
  • せっかくの水族館をほんの入り口辺りで引き帰すことになった。ヒョナもチョルも巻き添えにして。本当は楽しみにしていただろうにと思い、タンが「ごめんな」と二人に詫びると、幼稚園生のチョルは「うん。いいよ。今度また連れてって、おじちゃん」と言い、ヒョナは「ヨンギ君、大丈夫かなぁ」と呟いた。水槽に激突する瞬間を目撃した小学一年生のヒョナはショックを受け、顔が青ざめていた。父親のウォンに似てどこか冷めたところ [続きを読む]
  • 慈愛−男の勲章 前編
  • 「あんな映画見せるからだ」「そーかなぁ」「人魚なんてものはどこにもいないし、サメだってフレンドリーなわけがないだろう」「またそんな夢のないこと言ってぇ。ねぇヨンギやぁ。パパって意地悪だねぇ」「魚とは友だちになれないの!解ったか?ヨンギ」「でもさ、ヨンギはお友だちになりたかったんだよ」ねぇ、とヨンギの顔をのぞきこむと、グスングスンと鼻をならしてコクリと頷いた。「ほら」「『ほら』じゃないっつうの。あの [続きを読む]
  • 慈愛−虹の、それはうんと手前の出来事。
  • 私には日課がある。出勤するタンを玄関先で見送って、次はサンルームに行き窓の下をのぞき見る。タンを乗せて遠ざかる車を見つけ「アンニョーン」と手を振り声をかけると、息子も「ニョ〜」と言ってバイバイする。車が公道に出て他の車に紛れると見送り終了。そしてヨンギと二人で散歩に出かける。それがここのところの日課。でもさすがに雨模様の日には行きたくない。なのに息子は日課を欠かそうとしない。無理だと言って聞く相手 [続きを読む]