oisis さん プロフィール

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oisisさん: 辺見庸 研究
ハンドル名oisis さん
ブログタイトル辺見庸 研究
ブログURLhttp://eger.hatenablog.com/
サイト紹介文辺見庸の世界を旅します。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供38回 / 365日(平均0.7回/週) - 参加 2016/11/13 13:28

oisis さんのブログ記事

  • B−23 止まったままの時計
  •  広島と長崎に「新型爆弾(原爆)」投下の恐れがあることを軍部は事前に察知していた。にも関わらず、投下当日はなぜか警報が解除された状態であったという。警報が発せられていれば少なくとも何万人の命が助かっていたはずだ。 しかも原爆投下予知関連情報などが、日本の敗戦日前後に陸海軍部の命令により急遽焼却処分されてしまったのである。 軍に都合の悪いことはすべてなかったことにするという態度は天皇ヒロヒトに対し [続きを読む]
  • B−22 空費だ、世界なんて
  •   月刊『本の旅人』に連載中の「月」(辺見庸)。 そこにさりげなく組み込まれている至言。「ひとのやることのほとんどは、だれかのまねなんだってさ。(中略)にんげんのやることのほとんどがじぶんだけのオリジナルでなければならないとしたら、大混乱だよな」「戦争においては、現実を覆っていたことばとイメージが、現実によって引き裂かれてしまい [続きを読む]
  • B−21 心ばえ
  •               森友・加計問題の茶番劇がマスコミをしばらく賑わしていたが、肝心のことがほとんど「解明」されないまま終わろうとしている。そのかんひたすら自己保身を図る「北朝鮮の独裁者」が政治的駆け引きに走る。J アラートは鳴りをひそめる。 世情では「人工知能が世界を変える」などという虚言が流布される。 何か変だ。何を喪失してしまったのか。 辺見庸の次の言葉が心に滲みる。「人の心ばえっ [続きを読む]
  • B-20 辺見庸の最新作
  •  雑誌『本の旅人』に掲載中の「月」で、辺見庸は晩年の自らを絞りだすように表現している。2004年3月に新潟で講演中に脳出血で倒れ翌年がんがみつかって以降、心身の疲れと苦痛が次第に厳しくなっているのが読み取れる。後遺症は寛解するどころか悪化しているのである。 小説「月」はそんななか、「身体感覚にかかる想念(幻想)」「世の現実」「箴言」の三つを核にしながら主人公が脈絡もないまま語るという形式で展開されて [続きを読む]
  • B-19 受傷者の表現
  •  「ものを書くということは、俳句であれ詩であれ散文であれ、受傷が前提にあるのだと思います」。辺見庸はそう言っている(『明日なき今日 眩く視界のなかで』2012年)。 辺見が、雑誌『本の旅人』(KADOKAWA)に現在連載中の「月」というタイトルの詩的散文を読んでいるとそのことを痛感する。 この「月」は玄妙な語り口調で書き進められていて、辺見が傷つきながら実際に起きた出来事を創作と主観で昇華しモザイク状に組 [続きを読む]
  • B-18 苦海浄土
  • 石牟礼道子さんが2月10日に亡くなった。「天声人語」の書き手は、水俣病患者と一緒に運動した彼女の言葉の一部を次のように紹介している。(朝日新聞、2018年2月11日朝刊)「患者さんは病状が悪いのは魚の供養が足りないからと考える。岩や洞窟を拝んだりする。」「それを都会から来た知識人は無知で頑迷だと言う。私はそうは思わない。患者さんは知識を超えた野生の英知を身につけています。」 この文章の前には石牟礼さん [続きを読む]
  • B-17 現実が引き裂かれる
  • 辺見庸の作品の中にこんな文章が出てくる。「現実を覆っていたことばとイメージが、現実によって引き裂かれてしまい、現実がその裸形の冷酷さにおいて迫ってくることになる」(これは或る哲学者の言葉から、との文が続いているのだが・・・)うむっ!それにしても、これは「言葉が私たちを見放す」(石原吉郎)よりさらに深刻な事態を指摘している。民主主義社会の矜持をかなぐり捨てた米国のトランプ大統領、北朝鮮金正恩の欺 [続きを読む]
  • B-16 辺見庸の内宇宙ー探究・反逆・創造ー
  • 辺見庸の心的世界を彷徨していて、気づいたことを書き記してきました。その結果を、このたび下記の本にまとめました。https://www.amazon.co.jp/dp/B079KC7GYG/ref=sr_1_1?s=books&ie=UTF8&qid=1517661590&sr=1-1&keywords=宮下淳一部はすでにすでにブログで書き綴ってきたが、全容と精髄はこの「電子書籍」22万字のなかに込められている(と思っている)。章の構成は次のようになっている。///////////////////////////////// [続きを読む]
  • B‐15 憲法九条の制定の舞台裏
  •  元首相で憲法制定に携わった幣原喜重郎の次の言葉が参考になる。かなり思い切った発言なので掲げる。 「非武装宣言ということは、従来の観念からすれば全く狂気の沙汰である。だが今では正気の沙汰とは何か。武装宣言が正気の沙汰か。それこそ狂気の沙汰である」(憲法調査会資料から)。 それに次のフレーズが続く。 要するに世界は今一人の狂人を必要としているということである。何人かが自ら 買って出て狂人とならな [続きを読む]
  • B-13 死刑制度が現存している限り、私たちは「殺人者」である。
  • 「個体知」「民主意識度」は死刑制度を考えることで高まる。ひとり一人の民主主義の意識と具現。死刑制度を熟慮し、自らの「個体知」を磨くことが当面必要であると思う。 訳のわからないまま選挙が行われ、訳のわからないまま選挙が終わる。誰が死刑廃止論者であるか、死刑存置論者であるか、誰が傍観者で、誰が逃亡者なのかも知らないままに。「民主意識度」が問われている。 辺見庸は死刑制度について次のように述べてい [続きを読む]
  • B-11 内宇宙の時空間
  •  辺見庸が、精神世界を深遠かつ広大な宇宙に類比するのは、消費資本主義のもと、マスメディアなどによって人びとの意識の価値が知らずしらずのうちに奪われていることへの「反逆」のあらわれであると思われる。 宇宙(外宇宙)の深遠かつ広大さを思うとき、彼の思念の赴くところは「一念三千世界」であると言ってもよい。本来、内宇宙は外宇宙と同じく無限に近い自由な想念の世界である。現実によって生起する意識世界も内宇宙に [続きを読む]
  • B−10 過去は完了したか?
  •  今さらながら日本による1910年から1945年までの朝鮮半島統治(植民地化)のことを思う。政治・経済・文化のすべての面での統治は、統治される側からすれば多少近代化の恩恵があったとしても、ましてや誇り高き朝鮮民族にとっては屈辱であった。 朝鮮戦争によって分断された国家になったあとも「過去」は完了せず、二つの国は休戦中のまま米国主導の軍事・経済の世界戦略に翻弄されている。日本政府はそのはざまで狡猾にも政権 [続きを読む]
  • B−9 個へのこだわり:世間への溶解と「個」の死
  •  辺見庸は「個人という言葉が日本では1884(明治17)年までなかった」との阿部謹也(西洋社会史の研究家)の言葉を紹介している。 日本には世間はあっても社会がない。「世間」は、人がつねに集団の価値観や意見を優先する。何よりも個として生きてこそ生きるということなのに、自分で考えることをせずに、自身で「変だな」と思っても異を唱えない。いちいち異説を持ち出して周囲と衝突していては神経が疲れる。周囲との関 [続きを読む]
  • B―8 新刊『沖縄と国家』について
  •  辺見庸と目取真俊の両氏の対談、印象深かったのは目取真氏の次の発言である。 実際に毎日300人以上の人がゲート前に座り込めば、機動隊も簡単に強制排除できないし、資材搬入ができなくて工事は止まるわけです。本気でやるということは、効果を出すということですよ。ヤマトゥの偉い知識人としてではなく、一市民として体を張って座り込んで、機動隊に殴られて痛い目にあえば、観念論も吹っ飛びますよ。(目取真66ページ) [続きを読む]
  • B-7 社会的義(正義・大義)の危さ
  •   明治維新では「義人」と呼ぶにふさわしい人物が世に多く出た。司馬遼太郎は坂本龍馬以外にも、たとえば維新に反対の立場で生きた、日本の典型的・代表的な「義人」として河井継乃助をモデルにして『峠』を書き、人気を博した。 目を世界に転じてみると、数えきれないほどの英雄物語や義人伝がある。歴史上の最大のベストセラーである『新訳聖書』は、イエスという「義人」が語ったとされる言葉を書き綴った「フィクション」 [続きを読む]
  • B-6 消費資本主義時代をいかに生きるか
  •  この世界では資本という「虚」が、道義や公正、誠実といった「実」の価値をせせら笑い、泥足で踏みにじっている。そのような倒錯的世界にまっとうな情理などそだつわけがないだろう。なかんずく、実需がないのにただ金もうけのためにのみ各国の実体経済を食いあらし、結果、億万の貧者と破産者を生んでいる投機ファンドの暴力。それこそが世界規模の通り魔ではないのか」。(辺見庸『水の透視画法』2013年、49ページ) 蜘蛛 [続きを読む]
  • B-5 もの食う人びと
  •                         子どもたちが 戦争や失政に巻き込まれ飢餓に陥り、やがて飢え死にする。当該国家の犯罪(クライム)であることは明らかである。 だが辺見庸は、原因は戦争等の当該国のクライム(罪)のみならず、それらに直接・間接にかかわる国家のクライム、さらには国家そのもののスィン(罪業:ざいごう)にあるという。しかもそれを支えているのは普通にものを食い、または飽食 [続きを読む]
  • B-3 “生と死“:辺見庸の潜思
  • 「死」について。 辺見庸は「死」について、深くかつ多角的に考えた作家である。死はどのみち遠からずやってくるとはいえ不条理な死が多く、「普通の死」がいかにかけがえのないかを思い知らされる。辺見は著作の中で国家の「殺人」である死刑について反対の立場から多く言及しているが、それ以外にも次のような死について述べている。  戦死 拷問死 安楽死 憤死 慙死 慚死 狂死 横死 熱死 大量死 被爆死 賭した死 孤独死  [続きを読む]
  • B- 4   米日の「思惑」
  • 基本、スケジュールに沿って北朝鮮はミサイルを撃つ。官房長官がショックドクトリンよろしくそれを発表する。内心、ほくそ笑んでいるかのように。「脅威」の効果を最大限利用しようという下心。「オオカミおじさん」は見抜かれてしまっている。ミサイルを撃たせないようにするのが政府の責務ではないのか? 辺見庸は述べる。 私は本 [続きを読む]
  • 100.辺見庸の「置き文」
  •  生き苦しさが増している。むしろ「息苦しい」といった方がよいかもしれない。右傾化なんて言葉では片づけられないほど、価値観の底が抜けてしまっている。この苦しさの理由は根深いところにありそうだ。 宮城県石巻に生まれ、太平洋沿いの海岸近くで育った辺見庸は、少年期、いつも潮騒と海鳴りを聞きながら、なにか「妖しい」気配を感じていた。だからなのか、長じてからも「根はとてつもなく明るいけれども、世界観というか未 [続きを読む]