桜部さく さん プロフィール

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桜部さくさん: 時々、だんだん
ハンドル名桜部さく さん
ブログタイトル時々、だんだん
ブログURLhttp://sakusakurabe.blog.fc2.com/
サイト紹介文オリジナルBL小説を載せています。時々R18表現あり。長編がメインです。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供81回 / 365日(平均1.6回/週) - 参加 2016/11/24 09:14

桜部さく さんのブログ記事

  • 近衛の華8
  • 「その衣装は、もう着られないな」 近くの椅子の背に掛けた上着は、よく見ると所々破れていた。そのせいで、もう着られないと言われたのだと思ったが、クラウスの意図は他にあった。「ロエベル帝国の軍服は、お前にはもう着せてやれない」 そう言われ、イヴァンははっとしてクラウスを見た。 ハルバレク軍の支配下に入ったからには、もうロエベル帝国軍の正装は着られない。開戦か否か、不安に駆られた数日から今夜の決闘まで、 [続きを読む]
  • 近衛の華7
  •  ハルバレク軍は非常に合理的だった。ロエベル帝国軍が奪還に現れる可能性を考え、戦力を城と隣の領地との境に素早く配置し、国境にも残した。この領地を、完全にハルバレクとして扱っている。軍の配置変更には、二時間も要さなかった。 イヴァンが心配したのは、城に避難していた女性と子供たちだった。砲撃に備えての避難だったが、小城がハルバレク軍の手に渡ってしまった今、集団になっていてはハルバレク軍に危害を加えられ [続きを読む]
  • 近衛の華6
  •  負けられない。たとえ大きな傷を負っても、自分は領民とこの地を守る。 未だ焦点が定まらず、立ち上がることもままならない。握ったままだったレイピアの柄を握りなおし、膝を地に着きながらも起き上がったとき、背後に大きな影が立った。 クラウスが剣を振り上げるまで、弱って立ち上がれないふりを続けた。実際に立ち上がることはままならなかった。が、剣が振り上げられ、悲鳴が上がったと同時に、クラウスを振り返っ [続きを読む]
  • 近衛の華5
  •  王都からなんの連絡もないまま、約束の三日目がきた。女性と子供たちは城に避難を終えて、男たちはそれぞれの村に残り、周囲に警戒しながら農作業に戻った。 一番近い帝国軍駐屯地からは、王都より開戦の通達があれば援軍を送るとの返事をもらえた。今できることはすべてしたと、イヴァンは小城の自室で万が一に備えた。 日の入りが迫っても、なにも起こらない。もしかすると王都ではハルバレクとの不戦交渉が行われているのか [続きを読む]
  • 近衛の華4
  •  議論は一進一退。議会場は苛立ちに満ちている。二時間の休憩があったのに、結局誰も有益な方針を考えてはこなかった。 イヴァンの頭の中にあるのは、自分の領地のことだ。ハルバレク軍が要求する領地の一つに挙げられていて、この国で唯一ハルバレクとの国境と接している。 このままでは国どころか自分の領地も守れない。開戦が決まれば一番に軍の増援を要請する気でいたが、この様子では三日後の期日までに意見が纏まるかも怪 [続きを読む]
  • 近衛の華3
  •  喧々囂々、重臣たちの声が飛び交う議会場で、イヴァンは不快感を抑えるのに必死だった。 ジャン十五世はなにも発言せず、一向に纏まりを見せない重臣たちに、困惑していた。「今すぐ開戦すべきだ」「どこから攻めてくるかもわからない敵とどうして戦うというのだ」 国交と国防を全員がないがしろにしてきたくせに、いざとなると責任をなすりつけあう。そんな重臣たちに嫌気がさしたのか、若き国王は遂に席を立ってしまった。「 [続きを読む]
  • 近衛の華2
  •  ロエベル帝国と国境を接する軍事国家ハルバレクから、宣戦布告の文が届いた。 文を届けに現れたのは、ハルバレク陸将軍、クラウス・アイド。猛々しい容貌と鍛え上げられた長身が、見る者すべてを圧倒する男だった。「戦争を始めるには、まず宣言から始める。それが我々ハルバレク軍の礼儀だ」 不遜に感じられる口調で言ったクラウスは、数十人で囲める長方形のテーブルの端に座り、その反対側に座るジャン十五世を視線だけで威 [続きを読む]
  • 近衛の華1
  •  ロエベル帝国は、今年で建国二百年を迎えた。大陸一と謳われる帝国は現在、ジャン十五世の治世下にある。王都にはジャン十世の時代に建てられた絢爛豪華な宮殿を構え、広大な城下町は強固な城塞に守られている。 宮廷文化は華々しいの一言に尽きる。贅沢を当然とする宮廷文化を築いたのは、宮殿を建てたジャン十世。そこからジャン十三世まで帝国は栄華を誇り、散財の果ての重税に異議を唱え、堅実な治世を目指したジャン十四世 [続きを読む]
  • 近衛の華
  • 西洋風ファンタジー長編です。中世の戦記風になってます。敵国の軍人同士で、どちらもツンなクラウス(攻)とイヴァン(受)は、いったいどのようにしてくっつくのでしょうか。ムーンさんで連載していたぶんですが、エンディングが少々異なります。 [続きを読む]
  • あとがき あいしかた − オメガバース
  •  ここまでお付き合いいただき、誠にありがとうございました。 今作はオメガバースを勉強するうちに、義理の親子がアルファとオメガだったら。。。と妄想しはじめて勢いで書いたものでした。 ハピエン&くっつく運命だったというのが自分的必須課題なので、魂の番というのはまさに盛り込むしかない設定です。でも親子という続柄上、番になるのも一苦労。という、オメガバースの義理親子あるある問題(?)は、初めて読んだBL小説 [続きを読む]
  • あいしかた − オメガバース 37 (最終話)
  •  翌朝まで、淫らな獣になった気分になるほど何度も交わった。早朝から寝て昼ごろに起きるという、自堕落な日がはじまり、蜜月にも慣れはじめた。 自分たちが本当に魂の番なのか知りたくなって、オメガの専門医を訪れることにした。夕方に予約がとれたので、すこし早くマンションを出て、クリニックとほどちかいカフェに寄ることになった。 都心から若干離れていることもあって、モダンで洒落たカフェは広々としていた。そこに、 [続きを読む]
  • あいしかた − オメガバース 36
  •  ベッドを出ても、ずっと一緒にいないと気が済まなかった。身を清めるのも、シャワーブースで抱き合いながら。食事も、玲音が健斗の膝に座ってなければ満足できない。 ソファーに座るのもそうだ。玲音が健斗の脚のあいだに座るか、腰を跨いで向かい合わせに座らなければいけなくて、キスがはじまるといつの間にか身体を繋げている。 番ができたといっても、まだ発情期間だから、玲音が健斗の肌に触れたがるのは自然なことだと思 [続きを読む]
  • あいしかた − オメガバース 35
  •  陽が落ちるころに目覚めたとき、視界にあったのは健斗の寝顔。旅行以外で健斗の寝顔を見るのは初めてかもしれない。そんなことを考える余裕があるほど、今は頭の中がすっきりしていた。眠るまでは、発情のせいで目に映るすべてが赤く染まって見えたのに、まるで発情期が終わったみたいだ。 番ができれば、発情が軽度になるというのは聞いたことがある。その現われかと思い、首の付け根に触れると、昨日まではなかった、歪な凹み [続きを読む]
  • あいしかた − オメガバース 34 (R-18)
  •  朝食が終わるや否や、発情の波が押し寄せた。座っていられないほど悶えはじめた玲音を、健斗は横抱きにして二人の寝室に連れていった。「あ……、はっ」 まだどこにも触れられていないのに、後孔が濡れる。発情特有の現象が下着を濡らして、不快感に眉を寄せると、健斗がパジャマのズボンごと下着を脱がせた。そして彼自身がまず裸になって、それから玲音のパジャマのシャツを取り去った。 この部屋で、優しいセックスができる [続きを読む]
  • あいしかた − オメガバース 33
  •  朝起きると、健斗の姿は寝室になかった。発情期特有の気だるさを感じながらも身体を起こし、クローゼットに入って全身鏡で身体を確認したが、首元に噛み痕がなかった。 番になるために、発情抑制剤を飲まずに行為に及んだのに、噛み痕がないなんておかしい。 発情時の行為は未体験だったから、その威力に踊らされて昨夜の記憶は曖昧だ。だがよくよく振り返ってみると、健斗は首元を噛まないようにしていた気がする。 仕事も休 [続きを読む]
  • あいしかた − オメガバース 32 (R-18)
  •  十年近く経験しなかったからか、長いあいだ抑えられていた発情フェロモンが暴れ出したからか、発情初日はまったく記憶が残らないほど、悶え続けることになった。そんな玲音を見て、なんとか助けようとしてくれた健斗だったが、反応抑制剤を服用していても理性が嫌な方向に飛びそうだといって、オメガの専門医を呼んだ。わざと発情抑制剤を服用しなかった旨を伝えると、医師は特効薬を置いていった。発情が過激すぎて奇行に走りそ [続きを読む]
  • あいしかた − オメガバース 31
  •  そして秋の発情期が迫ってきた。気持ちを告白してから、一年が経った夜、ダイニングテーブルを挟んで向かいに座った健斗に、玲音は遠慮がちに訊ねた。「今回も、抑制剤を使ったほうがいいかな」 まだ心の準備が整わないなら、そう言ってくれて構わない。そう視線で語りかけると、健斗は数拍のあいだ考えていた。「休暇の都合はつきそうなの?」 抑制剤を使わなければ、発情のせいで約一週間は家から出られなくなる。それを心配 [続きを読む]
  • あいしかた − オメガバース 30 (R-18)
  •  寝室も玲音の好みどおりだった。白が基調のベッドリネンによって、床材が映える。 自宅と同じように下着姿でベッドに入り、玲音は健斗の肩に頬を寄せた。「ありがとう、パパ」 おやすみのキスをねだると、健斗が顔を寄せた。唇が重なると思ったら、先に頬を指の背で撫でられて、唇を塞がれた。 シンプルなのに、情熱的に感じられた。思わず唇が開いて、誘われるように健斗がまた唇を重ねた。 食むような口づけが続き、二人と [続きを読む]
  • あいしかた − オメガバース 29
  • 「ここは……?」 微笑む健斗に中に通され、新築にしか見えない玄関でサンダルを脱ぐと、見えたのは広々としたLDKだった。 機能性のよさそうな、モダンなキッチンには大きめのアイランドがあって、そこにシンクと輸入物のガスレンジがある。リビングエリアにはコの字型ソファーとシンプル故に洒落たローテーブル。解放感のある全面ガラス張り窓のむこうには、広いバルコニーも見えた。「レオ君は毎年いろんなところに花火を見 [続きを読む]
  • あいしかた − オメガバース 28
  •  この日から、玲音の発情期を除いて、週に二、三度同じベッドで寝るようになった。二人で寝るときは、番になれば二人の寝室にするつもりだった部屋を使う。 安眠することが目的の部屋になったから、クラシックな木製のベッドを選び、暖色系のベッドリネンを敷いて、壁紙もクリームオレンジとシンプルにした。 興奮色の赤や、黒や紺といった暗い色、冷たい気持ちになる青を避けたのは、言うまでもなく二人で落ち着いた夜を過ごし [続きを読む]
  • あいしかた − オメガバース 27
  •  玲音が孝行をする日だったことを忘れていた健斗が、伝票と共に挟まれてきたホテルのルームキーを見て静止した。 レストランからホテルの部屋までスムーズに移動できるようにと、予約時に支払いを済ませてしまった。恋人の夜を過ごすつもりだったことが知られ、慌てて空いていた手を伸ばしたとき、健斗がカードキーを胸ポケットにしまった。「なにをどうすれば、自分の悪癖が治るのかわからない。だから、レオ君に触れる勇気は、 [続きを読む]
  • あいしかた − オメガバース 26
  • 「パパに謝りたかったんだ」 スプーンを置いて玲音を見た健斗は、玲音がなにを謝ろうとしているのか察してか、苦しげに眉を寄せた。「パパは、自分と向き合って、適した相手を選んで、日常のバランスをとってきたのに、僕が無理をさせたせいで自分を責めなきゃいけなくなった。それを謝りたかった」 健斗の顔を見られぬまま、玲音は続けた。「大切に育ててくれたパパは僕の自慢だった。いつも穏やかで、賢くて、かっこよくて。そ [続きを読む]
  • あいしかた − オメガバース 25
  •  クリスマスイブがきた。前もってディナーとホテルの予約をしていることは、伝えられないままだった。 健斗はまるで、クリスマスを忘れてしまっているようだ。祝日だった昨日も会計事務所に行って、一人で仕事を片付けて、平日だった今日も事務所に行った。ディナーだけでも二人で行けたらと思うが、年末にきてどこの会社も忙しいから、予約に間に合う時間に帰ってくる保証はない。 玲音は通常終業時間よりも早く職場を出た。勤 [続きを読む]
  • あいしかた − オメガバース 24
  •  一人取り残され、困惑しながら、玲音はいたるところが痛む身体を清めた。すると、頬だけでなく尻も腫れていることに気づいた。できるかぎり抵抗しないようにしたつもりだったけれど、身体が竦んだときに叩かれたり握りつぶされそうなほどきつくつかまれたりした。 酔った勢いで不安定な人間を誘ったのは自分だ。その後悔から健斗を責めたくないと思っていたけれど、痛みは否応なしに畏怖を感じさせる。温かいシャワーに打たれて [続きを読む]
  • あいしかた − オメガバース 23
  •  目を覚ました玲音は、惨状の爪痕の真ん中で横たわっていた。シーツが乱れ、服は脱いだ場所に転がったまま。サイドボードは斜めに立っていて、その傍には割れたグラスの破片が散らばっていた。 身体を起こそうとすると、全身が異様に痛んだ。四肢には押さえつけられたせいで鬱血痕がいくつも残っていて、何度も張られた頬は熱を持って腫れている。後孔からは裂傷による血液と、健斗の精液が流れ出し、無残な自分に眩暈がした。  [続きを読む]