Van さん プロフィール

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Vanさん: Die Romantische
ハンドル名Van さん
ブログタイトルDie Romantische
ブログURLhttp://dieromantische.blog.fc2.com/
サイト紹介文いろんな意味でマイノリティー。日記。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供31回 / 365日(平均0.6回/週) - 参加 2016/12/03 15:46

Van さんのブログ記事

  • ここにもひとり月の客
  • 涼しい。月を眺めに出歩くと、風はすっかり秋である。昨夜と今夜と、わたしも月の客。("岩鼻やここにもひとり月の客'' 向井去来) あのひとのことを忘れたいものだと思って、月を眺める。とり囲む雲さえ明るい。たとえ月に想いをかけても、月はこれから欠けていくのかと思うと、自分の今後もこの感情も心もとない。ひんやりとして過ぎる風の音。これが秋の初風なのかしら。【行方無き思ひかけゆく月の夜に変はりし音の秋の初風 [続きを読む]
  • 落書き一輪
  •   わたしの話ではないのですが、ある人のお話。 ある日、ふと女性の横を通り過ぎた。あら、同じくらいの歳のひとだわ、と思って振り返ると、その人の立つ背に、たくさんの彼岸花が咲いている。あざやかな花の映える、印象的なひとだった。 中村汀女(ていじょ)さんの句、 "年ごろの似てかへりみて曼珠沙華" です。 恋愛とは異なると思いますが、きっと汀女さんには印象的だったのだと思います。彼岸花の美しさを届けてくれた [続きを読む]
  • 吟風弄月
  •   八月の底、残暑やわらぐ夕涼み。寺の敷地へ一歩足を踏み入れると、茂る樹々の青葉が風に揺れ、何処からか芳しい香がほのかに漂う。石の橋を渡ると、下方では蓮の花の咲き初める池に赤い鯉の背が翻る。 松虫、鈴虫、コオロギの声は儚い現世の様を映す。その奥から鐘が深く響く。過去から未来まで一直線に貫くように。 砂を踏む乾いた足音が離れていく。自ら立ち去ることを選ばない限り、いつも立ち去られる側になる。よかった [続きを読む]
  • 信じているひと
  •  あのひとは言っていた。 「意志と理性と感情が調和のうちにはたらくことが 愛につながる」と。 懐かしいひととお会いしてから、もう何度目にもなる同じジレンマに悩みはじめる。 わたしは苦しかったから歩みを止めたけれど、歩き続けているあのひとのほうが苦しみが少ないなどと どうして言えよう。 ものごとが見えてくるにしたがって、感情の弱さが現れてくる。 わたしは まだ心のなかで あの道を歩むべきだと思ってい [続きを読む]
  • 行けなかった独奏会
  •   とある方のピアノリサイタルを独りで聴きに行く予定を立て、3ヵ月前にチケットをおさえていたのですが、1ヵ月前に事件おきる。職場の上司とボスがその日に宴会を開くことを突然思い立ち、上司から「準備よろしく」とわたしに指令がくだった。泣く泣く、リサイタルを聴きに行くのを諦めた。 その日はささやかながら自分のために過ごしたいと思っていた夜だったので、そんな形で予定が変わったことがいっそう悲しく。自分でも戸 [続きを読む]
  • 星合の空
  •  夢のうちにも花の散るような夜です。 そのひとは、いつも控えめな、いちごの花のような方です。年齢も経験年数もわたしより上なのに、立場上、いつもわたしに気を遣ってくださいます。 ある日、ちょうど一仕事終えて部屋を出たときに、彼女がわたしへ仕事の要件をもってくる雰囲気で、ちらっと目が合いました。が、何も言われなかったので、そのまますれ違いに。数歩すすんだわたしは、気づかなかったふりはできないと思い直し [続きを読む]
  • 発掘された過去
  •  古いデータを整理していたら、発掘した。十年ほど前、大学生くらいのときに書いていた短編小説(小話、エッセー)を。 あの頃は書くことで問い、書くことで答えようとしていた。まだわたしの中に問うべき問いがあり、答えようと模索していた頃。感覚の惰性ではなく、問いと答えを探究する意志をもって絵画や文学と真摯に向き合っていた頃のもの。 いま読み返すと、いくつかの話には同じ方向へ向かう問いがあった。ひとつは苦し [続きを読む]
  • 此処の憂愁
  •  とても悲しいことがあった。 5月にもあった。翌朝ひとり、ナヴォーナ 広場を歩いた。噴水、散歩する犬たち、鐘の音。サン タンジェロ橋をわたり、朝のテヴェレ川に沿って歩いた。サン・ ピエトロ広場の前まで来て、人込みに紛れて座った。特に用はなかったし、そこにいる誰もわたしに用はなかった。 底へ落ちた。 「幸福な家庭はみな一様に幸福だが、不幸な家庭はそれぞれに不幸である。(トルストイ 『アンナ・ カレーニナ』 [続きを読む]
  • 共感と思いやりの差
  •   感情労働で疲弊する人々をみてきて、感情や共感について考えていた。共感は、いい仕事の条件と思われがち。でも、実際に共感して働く人たちは疲弊していく。 『反 共感論』 ポール ・ブルーム著。おもしろかった。 まず、共感の在り方の再考。共感を2つに分けてとらえる考え方。相手と同じように感じる情動的共感と、同じようには感じないけれど相手の感情を察する認知的共感。 たとえば、雷におびえている小さな子を、大 [続きを読む]
  • ロベリアとバーベナ
  •   土曜日の午前中に旬の魚や野菜を買える幸せ。土日はほぼずっと家にこもって、持ち帰った仕事にかかった。持ち帰ったおかげで、久しぶりに料理して食べる時間もとれた。アジにニジマス、きびなごも旬。アジは塩焼き。ニジマスはバター焼き。きびなごは生姜煮。 昨日の雨はあがった。青天だったので、夕方に少し散歩。気温はやや高いけれど、風がある。公園は一角だけ、寄せ植えられた小さな花が咲いていた。落ち着いたロベリア [続きを読む]
  • 相手は覚えている
  • The Tellers - Memory (youtube) 出張先から帰る直前、わたしに向かって手を挙げている小手毬ちゃんに気づく。高校時代の友人で、数年ごとにどこかでばったり会う。今はここで働いているんだね。 「この前もVan ちゃん、来てたでしょ。案内にVan ちゃんの名前みて、花梨たちと盛り上がってた」 そっか。花梨もここで働いているんだ〜会いたい〜。 「あと、立葵さん(女性)て覚えてる? 同じ部署で働いてるよー」 たちあお [続きを読む]
  • Compassion
  •  日が傾きはじめた頃、やわらかな陽射しの中、ローズガーデンの花の香りが立ち昇る。アーチを彩る色とりどりのつるばらには、ロザリオの祈りほど小さな花が群れ咲く。希望のように幾重にも花弁を重ねるあざやかな黄色。ほころぶのは、まだ、今はまだ。夕涼みの風に揺れる白ばら。うつむきがちな、淡い青みを帯びた薄紫の花たち。 鐘が鳴っている。誰かが鳴らしている。恋人と一緒に鳴らすと添い遂げられるような象徴を与えられた [続きを読む]
  • 額の花の御方
  •  仕事のメールを交わすたびに、心の距離が少し縮まる(とても目上の)御方へ、時候の挨拶に "雨に佇むガクアジサイの美しい今日この頃、" と書きかけて、 (感じてほしい美しさを、直接「美しい」と表現するの? 奥行きがもったいないわ)と、かつての和歌の先生の御言葉が頭をよぎり、 "佇むガクアジサイに雨の降る今日この頃、……" と改め、用件を添えて送りました。 わたしは美しさを感じても、人は情景に他のものを感じる [続きを読む]
  • 沁みる雨音と鶯の声(後)
  •   今日は所要で、大学の教養科目をとっていた頃のキャンパスへ行った。銀杏の葉が青く茂る。秋になると、あざやかな黄色に染まるこの通りが好きだった。その友人のことを考えていると、土砂降りの中、一緒に帰った夜をいつも思い出す。何の話をしていたのか、今は忘れているけれど、あの子と心の距離が近づいた日だった。あまりに大降りで、彼女をアパート前まで送った後に自分の家へ着いたとき、かばんの中の万葉集がずぶ濡れだ [続きを読む]
  • 葉桜の頃に
  • 霞草さんは花のような人だと思っていたけれど花を育てる自然のような人だったんですね(と、いつか本人へ言って リアクションを見てみたい)時間が無為に流れてゆくのをどうすることもできないような地でほんの一瞬交わされる笑顔が心のなかで枯れそうになる芽を生かす。会えないから夢みるのではなく会ったそのときから夢をみはじめるのです霞草さんが落ち込むときはどんな自然や音楽があのひとを支えるのかそれは到底思いも寄ら [続きを読む]
  • 沁みる雨音と鶯の声(前)
  •   うぐいすの声を聴きながら、机に向かって返事を書いている。友人から届いたハガキには、夫の転勤に伴う転居の連絡、新しい住所、そして初めてお腹に赤ちゃんを授かった旨が書かれていた。 ふたりとも大学の同期で、一緒に国家試験の勉強をした仲間。わたしは入学したばかりの頃から彼女と仲が良かった。その人の善意を心から信じられる、大切な友人。本が好きで、絵が好きな彼女は、年賀や転居のたびにハガキを送ってくれる。 [続きを読む]
  • フェンスに腰かけて
  •   感情を自分のなかから抽出することと、伝書鳩に結わえること。そこには意識の向け方のちがいがあり、たとえるなら朝と夜のようなもの。 それは言葉の巧拙というより、むしろ言葉の限界にある。ひとの感情や考えは深遠なものだから、表層的な言葉では時に汲みこぼす。それは知るより先に、予感のように感じる。そこで静かに考える。心をのぞいて、自分の中の得体のしれない何かをとらえて表現するには。手に負えないものを、言 [続きを読む]
  • 春雨と桜
  •   街灯に浮かび上がる夜桜を見上げる。いつしか春はわたしのもとへ、こんな風に訪れるようになった。雨はあがり、散った花びらが道に敷きつめられている。涙のあとに浮かべた、あのひとの笑みを思い出す。 花屋にはサクラソウの鉢植え一つ。淡い紅紫の小さな花。訪れないものを、ずっと待つような姿。お祝いやお見舞いに花を贈るのも好きですが、自分のためにもけっこう買います(贈ってくれるひと、いませんので笑)。待つこと [続きを読む]
  • 裏口
  •   思考は、裏口から世界と和解するようなものです。 思索がわたしをとらえると、わたしはひとつ手放し、自由に一歩近づく。 たとえば、かつて真理は口伝で受け継がれました(ソクラテスの頃の議論や、ヒポクラテスの医術をイメージされたし)。真理は、特定の集団「自分たち」の中にあったのです。それが文字として書かれるようになると、外に開かれます。地域や国、時代さえ異なる多くの人の目に留まり、吟味されます。そして [続きを読む]
  • 海岸と航跡(後)
  •  「波はあまりに早く背景になろうとする。風景のなかに、見失った自分を再び見出すようなことに、興味はなかったのにね」 ひとを変えることはできなくて、いつも自分を見出すしかない。わたしの興味はむしろ、あなたが過去の思い出に変えられてしまっても、あなたはあの人の存在を思い出に変えずに生きていけるのか。…どうやって? そんな好奇心に、挑戦的な目が答えた。 「優しさの存在を信じられないひとは、優しさに触れて [続きを読む]
  • 海岸と航跡(前)
  •  秋の終わりか冬の初めの頃、その海岸で、海霧が幽霊のように海上を漂うのを眺めていたことがある。幻想的で陰鬱なエドガー・アラン・ポーの詩境のようだった。 二月の海岸。先日までの雪は跡形もなく淡い青空に消え、白い月は雲に隠れていた。一人と一人が会話をしていても、降りた沈黙に波の音が重なると、わたしはシュペルヴィエルの物語を思い浮かべてしまう。海に住む少女と波のことを考えていた。"波はもう長いこと、その [続きを読む]
  • 落椿
  •  一月の夜道。ふと懐かしい香りがして立ち止まった。辺りに目を下ろすと、生垣に紅椿が群れ咲いている。甘くなく、艶やかで濃密な匂い。咲くより落ちる姿がいっそう魅力的なその花は、香りを詠まれることはほとんどない。椿油を愛用していた人と出会わなければ、覚えるはずのなかった香り。  [続きを読む]
  • 弾き初め
  •  心の中には、月の澄む夜がある。  静かな湖面に降りる光が あえない残像を結ぶように あのひとの音楽は 触れられないところから届く わたしは 冬すみれを見つけるような思いがする。  心の中には、太陽を沈める海がある。 涙を包容して 過ごしてきたひとなら 夜明けを待つ静寂に どんな余韻を添えるのか。 いつか あのひとの沈黙を聴いていたい。 listening to The Umbrellas of Cherbourg (youtube) シェルブ [続きを読む]
  • 年の暮れ
  • 当ブログへお越しくださり、拍手やコメント、あるいは興味深く読んでくださった皆さま、ありがとうございました。来年も細々と続けていく予定です。何が起きたか よりどう起きたように見えたか を書きたい。何をしているか よりそのとき何を感じて思ったか を見たい。何が好きか よりどんな風にそれを好きなのか を知りたい。そんな感じです。  [続きを読む]