森田 享 さん プロフィール

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森田 享さん: 物語作家 小説家 森田 享
ハンドル名森田 享 さん
ブログタイトル物語作家 小説家 森田 享
ブログURLhttps://ameblo.jp/torujiro/
サイト紹介文私の書いた物語や小説、映画原作などを、このブログやアマゾンのkindleストアで発表していきます。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供39回 / 365日(平均0.7回/週) - 参加 2016/12/29 11:56

森田 享 さんのブログ記事

  • 自伝連作小説『少年時代(11)』
  •  小学六年生の夏休みは、いつの間にか終わっていた。そして雨が降っていた。台風が近づいていたのかも知れない。 雨の日の登校は、子供ながらに、しっとりとした切ない気持ちがあった。小学校の生徒たちは、みんな彩り鮮やかな傘をさしていて、灰色の靄に煙る通学路には、様々な種類の傘が揺れて学校へ向かっている。校庭には大きな水溜まりができていて、校舎の窓は水滴に曇り、いつもとは違って外からは中が見えない。教室 [続きを読む]
  • 自伝連作小説『少年時代(10)』
  • 夏休みの終わり頃。夜気の中にも暑熱が残っている季節。まだ夕涼みなんて全然できないような宵だった。私たち小学校六年生の仲間たちは誘い合って、口約束か何かの、いつもの不思議な連絡手段で五人くらいが、ちゃんと何処かで待ち合わせしてから、町の夏祭りへ出かけた。私の住む青葉ヶ丘にある白山神社は小さく、山影にひっそり蹲っているような境内で、祭りをやるような広さではないのだが、私が少年の頃には、ほんとに小さ [続きを読む]
  • 自伝連作小説『少年時代(9)』
  •  夏休みの間、小学生の男子は、同級生の自分の好きな女子には、ほとんど会うことができない。小学校プール開放の日とか、学習塾の日にちが、たまたま同じになるとか、余程の偶然がない限り、その子の姿を見ることさえできない。まだ、恋だとは思いも及ばないのに、好きな子の姿を何週間も目にすることができないのは苦しく、居ても立ってもいられないのだった。そんな苦悶の一端でも、男友達に打ち明けて楽になりたいと思った [続きを読む]
  • 私の心に残った名言
  • 『永遠に生きるかのように、学べそして明日、死ぬかのように、生きろ』『苦しいから逃げるのではない逃げるから苦しくなるのだ』『人間にとって、痛みとは死そのものよりも恐ろしい暴君だ』『人間にとって、生と死とどちらが強いかは分からないただ、愛だけは、死を越えられる』『明日のことを思い煩うな明日のことは明日自身が思い煩うであろう』『明日やれることは、今日やるな』『長生きして何をやるのかが大事人生は生き残り [続きを読む]
  • 自伝連作小説『少年時代(8)』
  • 小学校五年生の夏休み前、校庭の一画にある小学校プールでの水泳授業の頃は、少年の私は、もっと子供だった。授業前の休み時間、教室で男子たちは、お互いの下着や水着を無理矢理に脱がせ合ったり、裸になった相手が着てしまう前に、そいつの水着を教室の外の廊下の遠くの方まで投げてしまったり、そんなことをして、ふざけ合いながら着替えていた。男子同士で飽きてきたときには、蜂の巣に悪戯するように、女子の着替えている [続きを読む]
  • 自伝連作小説『少年時代(7)』
  • でも、そのあと、体育館から教室に戻って、私は成田美穂のことを強く意識してはいなかった。男友達と、ふざけ合うことに忙しかったのだ。少年同士で遊ぶことが一番だった。なんか近頃、変なことをしていたり、妙な『しぐさ』を見せたり、目障りな言動をとる女子たちは後回し。男子だけで遊んでいて飽きたときや、余程つまらないと思ったときに、女子にも目を向けて、ちょっかいを出してみる、それくらいに考えていた。男子より [続きを読む]
  • 自伝連作小説『少年時代(6)』
  •  六年生の夏休みの二カ月ほど前、あれは恋を知るのにふさわしい、うららかな或る春の日。忘れもしない、小学校の体育館で行われた映画鑑賞会でのことだった。それは道徳授業の一環だったのか、とにかく私たち生徒はみんな、体育館の床に膝を抱えた体育座りで並んで、文部省が監修しているような、とても清潔な映画を見た。教育テレビ『中学生日記』の小学生版みたいな映画で、上映時間は小一時間。母子家庭の母親と小学生の息 [続きを読む]
  • 自伝連作小説『少年時代(5)』
  • これは、おそらく少年の私が、その頃の夜に見た夢である。 ――私は水辺で足を止めた。水辺は、その夏、何度も足を運んだ瀬神ノ沼の水辺であるような気がするが、夢のことだから、何かもっと幻想的な、いつか訪れた湖の畔だったかも知れない。乳白色の朝靄の中に、同級生女子の成田美穂がいて、水浴びか何かをしている。たぶん彼女は裸なのだろうが、女の裸体の全てを見たことのない少年の私自身が、その裸を、ぼやかしている [続きを読む]
  • 自伝連作小説『少年時代(4)』
  • しかし、それぞれの虫籠に思いのままの昆虫を何匹も入れたのに、少年たちの遊び心は、まだ満たされてはいなかったのだ。私は昆虫狩りをしながらも実は、瀬上ノ沼で溺死した生徒のことを考えていた。誰かが一度そのことに触れたら、もう少年たちは、小学生溺死事件と瀬神ノ沼の『主』に夢中になった。夏休みが冒険心を掻き立てたのだろう。そのまま私たちは夜の瀬神ノ沼へ向かった。夜の森の闇は本当に恐ろしかった。夜に懐中電 [続きを読む]
  • 自伝連作小説『少年時代(3)』
  •  夏休みは、その始まりも終わりも遠くに感じ、永久に続くかと思われるほどに長かった。ある午後、私は、佐藤卓也、石神、横山、中野、神戸たちと待ち合わせて瀬神ノ森へ入って行った。 あの頃の少年たちの待ち合わせは不思議だ。はたして少年たちは、どのように互いの連絡を取っていたのだろうか。とにかく何らかの方法で示し合わせて、四人五人が必ず集まって遊んでいた。少年たちだけが持つ何か特殊な信号があって、ある [続きを読む]
  • 自伝連作小説『少年時代(2)』
  • 一学期の最後の日だから、全校生徒が整列し終わった朝の校庭で、終業式が行われていた。壇上から校長先生が、「夏休みの間は、とくに交通事故と水の事故に注意するように」と言うようなことを生徒たちに向かって講話した。そして、私たちの学校の、すぐ隣の地区にある小学校の生徒の事件について触れた。その少年は先日、円海山の麓に広がる森の奥に、ひっそりとある『瀬神ノ沼』に落ちて溺死した。校長先生は、その事件を引 [続きを読む]
  • 自伝連作小説『少年時代(1)』
  •    少年時代 あれは、私が十二歳の夏だった。少年の私は、毎年決まってやって来る、いつもの熱い夏の中にいた。情け容赦なく照り付ける太陽。大地には陽炎が揺らめき、熱波は体の中心まで刺激しながら全身にまとわり付いてくる。子供の頃に繰り返された夏は、ひたすらに暑かった。私の少年時代には、冷夏なんてものは無かったような気がする。私たち小学六年生の仲間は、いつものように緑ヶ丘公園に集まっていた。ドッチボ [続きを読む]
  • 自伝短編小説『幼年時代「戸田少年(下)」』
  •  戸田少年は、港南台の大型商店で、私にジュースや菓子パンを買ってくれた。そして、亀にパン屑などを与えていたが、亀は食べてはいなかったように思う。まだ私は、お金の感覚なんて無かったが、彼も子供だから、そんなにお金を持っていたはずがない。たしか彼自身も、「もうお金がないや」、と言っていた。しかし、ふいに彼は目を光らせて、商店の中へ入って行った。 そうして、彼は、何回か万引きをして見せて、私を驚か [続きを読む]
  • 自伝短編小説『幼年時代「戸田少年(中)」』
  •  まだ朝の七時か八時だったと思う。私は母に、兄の友達の戸田くんと鼬川から山の方まで亀を捕まえに行って来る、と言った。母は、なぜ戸田くんと二人でなのか、なんで兄は一緒に行かないのか、などと尋ねたかも知れない。私は、とにかく大きな亀を捕まえに行きたいことを言い張ったと思う。あまり遠くまで行かないこと、昼過ぎくらいまでには帰って来ること、そのようなことを、母は私に注意しただろう。でも私はまだ、そん [続きを読む]
  • 自伝短編小説『幼年時代「戸田少年(上)」』
  •    戸田少年  あれは、私が六歳の夏の頃であった。来年の春には、私も小学校へ通い始めるということを何となく意識していたためなのか、近所の同い年の友達や自分が通う幼稚園の友達に飽きていたためなのか、はっきりとは記憶していないが、その頃の私は、四歳年上の兄が、ときどき家へ連れて来る友達に興味津々であった。小学校というのが、どういうところなのか、そこにはどんな友達が集まって来るのか。その情報を得よ [続きを読む]
  • 自伝短編小説『幼年時代「迷子」』
  •    迷子(まいご)  ここに、これから私の最初の記憶と呼べるものを書き記そうと思う。 あれは私が四歳になる前くらいの、ある夏の日の午後だった。 まだ物心が不完全であった私にとって、川崎市武蔵小杉の社宅団地の敷地内が、私の世界の、すべてであった。社宅団地の敷地内には必要なものが何でもあり、なんの不足もないようだったから、私の目には、敷地外の世界のことは無用で、空に続いているただの風景のようだっ [続きを読む]
  • さようなら
  • 『   あの人はもう  思い出だけど  君を遠くで 見つめてる   あの人の目が  うなづいていたよ  別れも愛の ひとつだと                   』                                          (「銀河鉄道999」より) [続きを読む]
  • 私の心に残った名言
  • 『12歳の時のような友達を持つことは二度とできない。 誰でも、そうなのではないだろうか?』                                    (映画『スタンド・バイ・ミー』より) 『子供の頃、一日は永遠に続くような気がした。 大人となった今は、あの頃が、ほんの一瞬に思える』                                    (映画『アトランティスの [続きを読む]
  • 連作短編小説『夢物語「洞穴(後編)」』
  •  私は平静を取り戻して、彼の体を、よく監察してみた。彼の左足は明らかに変形していた。おそらく、狩猟の時に、ひどく骨折して歩行も困難になったのだろう。この石器時代では、走るどころか食物採集のために普通に歩くこともできない彼が、自力で生き抜いていく道はない。 私は好奇心から彼に訊いてみた。「その足の怪我は狩りのときに負ったのか。それとも、まさか戦争か何かで?」「戦争だって?」「獲物を奪い合ったり、 [続きを読む]
  • 連作短編小説『夢物語「洞穴(前編)」』
  •    洞穴  小さな川の向こう岸へ渡って、森の中に小道を見つけた私は、その暗い上り坂を進んで行った。 川沿いの道をずっと歩いて、ここまで来たので、下流の町の音はもう聞こえないし、何時間も人に行き会っていなかった。その内に、もう何日も人と接触したことがなく、たった一人で文明から遠く離れた場所にいるという気がしてきた。 暖かな春の木洩れ日を感じながら私は、獣道のような坂を上っていて、木々の向こう [続きを読む]
  • 連作短編小説『夢物語「鯨」』
  •    鯨  夜明け前の渚を、私は一人で歩いていた。 薄暗い空の下の黒い海に、微かに白い波頭が立っては砕け散り、暗い砂浜に、黒い生き物のような波が広がる。滑るように寄せては返す波を見ていると、意識が海に引き込まれていくように感じた。 歩き続けていると、やがて辺りは乳白色に明るみ、東の水平線の太陽が昇ろうとしているあたりが、薄紫色から徐々に薄桃色に染まってゆく。 まだ薄闇に暗く沈んでいる足下の砂 [続きを読む]
  • 連作短編小説『夢物語「卵(後編)」』
  • 鯨の卵にしては小さ過ぎるのか、いやいや鯨の卵であるはずはないので、質問を変えてみた。「まあ、何の卵であるとしても、今まで話してみて、お前は孵化したら、すぐに全力で走り出したり、泳ぎ出したりしそうな感じだな」「まあ、すぐに自分の身を守るために、全力で走り出せる自信があるな。哺乳類でも、すぐに歩き出したり泳ぎ出したりするのが多いけど、それでも親に手厚く守られているから、羨ましいよな [続きを読む]
  • 連作短編小説『夢物語「卵(前編)」』
  •    卵 「そろそろ出て来たらどうなんだ?」 私は、今までに見たこともないくらいに大きな白い卵に向かって、そう言った。その卵は、いわゆる私が、まず思い浮かべる卵の色かたち、つまり鶏の卵のようなのだが、ただそれは駝鳥(だちょう)の卵の十倍以上はあるだろうか。とにかく両手でも抱え切れないほどに巨大な卵なのだ。卵は、のっぺりと表情もなく、およそ話し相手にはなりそうもな [続きを読む]