岡崎潤 さん プロフィール

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岡崎潤さん: 女の陰影
ハンドル名岡崎潤 さん
ブログタイトル女の陰影
ブログURLhttp://kage-sexual-novels2.blog.jp/
サイト紹介文女の魔性、狂気、愛と性。時代劇から純愛まで大人のための小説書庫です。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供96回 / 365日(平均1.8回/週) - 参加 2017/01/14 13:38

岡崎潤 さんのブログ記事

  • その女、危険性。(十三話)
  • 十三話 散らかる性  行為をともなう奴隷としての陽子。心の部分で支配する明江。そして身も心も、行為のあるなしにかかわらず、捧げ、捧げられる相手としての孝行。私の愛が錯乱している。ああ、まただ、また私は化け物になっていく。  紀代美には、どうしようもないもう一人の自分が蠢きだしている自覚があった。だから私は他人を遠ざけ暗い女と思われていたかった。過去の私と同じ轍は踏みたくない。そうなったときの私は怖い [続きを読む]
  • その女、危険性。(十二話)
  • 十二話 多重する禍根  得体の知れない悪魔的な力に犯されたという確かな記憶が明江の中に残っていた。裸身に何かがからみつく寒気と怖気、そして超常的な快楽の折り重なった性の記憶。股間に太い何かをくわえこんだ感覚が残っているのに、ハッとして目覚めたとき、明江は何事もなかったように黒い下着を着たまま、全裸の浅里、全裸の佳衣子に左右から寄り添われ、ホテルの大きなベッドに眠っていた。時刻は深夜の一時になろうと [続きを読む]
  • その女、危険性。(十一話)
  • 十一話 憑き物  明江と紀代美の関係の中で、明江にとってのSかM、紀代美にとってのSかM、そして女同士の性関係も、それらは行為ではなく心の置き所の問題だった。あるとき責めて心地よく、しかしあるとき責められて心地よく、あるとき同種の性器に安堵する。心のねじれのようなものを解消しようとする切ないまでの愚行。それは誰にでもあるもので良心の呵責と言ったりする。  その夜の二人は互いにSとMを交差させるよう [続きを読む]
  • その女、危険性。(十話)
  • 十話 磨りガラスの夜  妻にとっての夫との性。明江にとってのそれは不満があると言えるほど冷えた夜でもなかった。営みが減ったというのも、付き合って一年、結婚から二年を経た夫婦の落ち着きであり、穏やかに確かめ合う夜とでも言えばよかったのだろう。  妻に対してまっすぐ愛を向けてくれる夫。抱かれていて妻は、この人を捨てていいものかと考える。夫婦としては無難に、もう一人の私として解放されるといった都合のいい [続きを読む]
  • その女、危険性。(九話)
  • 九話 新たな土壌で その同じ金曜日。明江が佳衣子のマンションに乗り込んだ時刻のこと、福地紀代美はふらりとドライブに出ていた。今夜は明江がいなく陽子もまた旦那が家にいて動けない。このところマンション内で女同士の特異な関係ができていたが、それまでの紀代美は孤独を楽しむように生きていた。  呪詛という恐ろしい力を持って人心の裏を知ってしまうと、孤独はむしろ解放される時間となるもの。思い立ってふらりと出る [続きを読む]
  • その女、危険性。(八話)
  • 八話 同性上位  家にいて陽子を紀代美と共有する。オフィスでは浅里を屈服させ、間もなくそれは佳衣子をも巻き込んだ性関係に発展していく。  空狐を知って自らを囲む防御柵が消えた女の欲望は抑制するべきブレーキを失った。そんな明江にとって夫との平板な生活に魅力はないと言ってもよかっただろう。子供は欲しい。しかしただそれだけで、できてしまえばそれから先はありきたりな女の末路が待っているだけ。穏やかでやさしい [続きを読む]
  • その女、危険性。(七話)
  • 七話 白いM性  定刻を過ぎて人の気配が失せたオフィスは、小さいながらも整然としていた。それはまるで、その日の清掃を終えた放課後の教室を思わせる。男性の眸のない女ばかりのオフィスは多少乱れていてもいいはずなのだが、横倉浅里が許さなかった。単なる綺麗好きではなさそうだ。几帳面ゆえそうなるのか、オフィスの中での自己主張だったのか、整然と並ぶデスク、その上のパソコン周り、来客のための応接セットも一応は用 [続きを読む]
  • その女、危険性。(六話)
  • 六話 恥辱の密室  女にとって凍るほどの恥辱に満たされたエレベーターが三階を通過した。時刻はまだ夕刻前。休日のマンションには、見た目こそ無人でも人の活動する気配がある。明江は紀代美と眸を合わせてちょっと笑い、通過したエレベーターを追いかけて階段を駆け上がった。階段の開口から覗くとそこがエレベーターホールとなっていて、そのすぐ横が勝呂陽子が住む401号。間取りは4LDK。子供のいない夫婦には無意味な [続きを読む]
  • TIMES UP(終話)
  • 人として死す(終話)  そのとき早苗はダフネと二人で食品プラントを視察していた。  地下にひろがるその場所は、ファームというより、まさしく食の生産工場。食用ワーム、食用ウジ、食用ゴキブリ、カエルやネズミまで繁殖力旺盛な動物性蛋白源を育て、水耕栽培の野菜、茸の類までが整然と並ぶ最先端の育成施設。  そしてそれらの餌や肥料に、処理された者たちの肉体が再利用されている。  今後ますますこうしたプラントは拡 [続きを読む]
  • TIMES UP(二九話)
  • タイムリミット(二九話)  人類のためにという使命感を胸に、ほとんどの者たちは志願して月へと送られてきている。そのとき若かった者たちはまだしも、当時すでに技術者クラスだった者たちは四十代であり、歳月は老いをつきつける。しかもそれは地球上での老いではない。それでなくても衰えていく肉体に重力が追い打ちをかけてくる。地球の六分の一という重力のもとで長く暮らせば、ほどほどトレーニングを重ねていても筋力は落 [続きを読む]
  • TIMES UP(二八話)
  • 存続の掟(二八話)  月面都市に、やがては冷酷で非人間的なルールができていくことは避けられない。いまはまだ地球からの補給もあって維持できているものも、ムーンシップが旅立ち補給が断たれると、より厳格なルールを適用しなければならなくなる。  食料そのほか生命維持に欠かせないもののすべてに限りがあり、無駄が一切許されない。五百万人を乗せて旅立つムーンシップには、ほどなく無数の子孫が誕生し、新しい命を生か [続きを読む]
  • TIMES UP(二七話)
  • ミュータント(二七話) 「人類はいまとは違う姿になる。そんな気がしてならないの。目指す惑星がプロキシマBだとするなら地球よりもやや大きい。質量にもよるけれど重力も相応して大きいとみなければならないでしょう」 「月を出られなくなるってことよね?」 「おそらくそうなる。いまの科学力ではどうにもならない壁があるのよ」  ホスピタルモジュール。  生殖実験によって誕生した新生児たちをガラス越しに見守りながら、 [続きを読む]
  • TIMES UP(二六話)
  • 苦悩する四人(二六話) 「しかし、いったい誰が、何を探らせるのか」  誰にとはなく言った海老沢の言葉に、確かにそうだと皆は思う。スパイを送り込んで探らせたとして、それをどうやって地球へ伝えるのか。いまのところ無線は軍船にしかなく、地球へ向かって飛び立てる船は軍船のみ。往路だけで復路のない月では逃げ道さえなく詳細を報告する手段がないからだ。 「あるいはアジ(=扇動)ということも」  早苗が言った。  何 [続きを読む]
  • TIMES UP(二五話)
  • スパイ(二五話)  宇宙観測の新たな拠点、新しいムーンアイモジュールが完成した。  それまでのムーンアイは、月に最初に送られた宇宙船の船体を改造して利用したものであり、月の地表に置かれた船体に地下都市からのスリーブをつないで行き来していた。  新しいムーンアイは特殊樹脂製の半球形のドームを持ち、月面望遠鏡ムーンアイとそのコントロールルーム、さらにそれと同じドームの中に、はるかに広くなったムーンカフェ [続きを読む]
  • TIMES UP(二四話)
  • 爽やかな堕落(二四話) 「使命感に衝き動かされて月へ送られ、早いもので十一年。もう四十七かと思うとね、いつのまにか回想する歳になってしまったなって思うのよ」 「はい」 「それまでの私の人生は清廉潔白、人として当然のモラルの中に生きていて、それを疑ったことなんてなかったわ。恋をして抱かれ、いつか母となって家族のために生きていく」 「はい」 「それまでの私はつまらない女だったなあって思っちゃうんだ。文明が [続きを読む]
  • TIMES UP(二三話)
  • 生殖実験(二三話)  ホスピタルモジュール。それは、それまでに月へ送られた超大型宇宙船を月面地下に埋めた居住モジュールの一画にあった診療所レベルの施設を、まさに月の病院として独立させたものであったのだが、その主たる目的は産婦人科と言えただろう。  新設された月の病院に居場所を移した早苗のもとにデトレフがやってきたのはホスピタルモジュールが完成したその日のことだった。 「生殖実験ですって?」 「すでに [続きを読む]
  • TIMES UP(二二話)
  • 進化の謎(二二話)  ルッツが愛した小さな町は、背景となる岩山と間近に点在する岩の丘の狭間にひろがる荒野の中に家々の集まるところ。まさに開拓時代のアメリカを思わせる雄大な景色の中にある町だった。三年の間に増えた家はわずかに三軒。もともとあったルッツの店と裏のガレージ。その裏に最初の一軒が建ち、次に、そちらもまたもともとあった町外れの一軒の奥側にさらに一軒、またその横に一軒加えた全部で三軒。どれもが [続きを読む]
  • TIMES UP(二一話)
  • 神の審判(二一話)  五百万人の人々が生存できる月面都市とは、すなわち壮大な地下街を造ろうとするに等しかった。月の外殻を天井とする二重構造なのだが、構造的には地下街というよりも潜水艦の内部を思えばよかっただろう。居住部分を大空間としてしまうと事故や隕石の衝突などで一部がやられてしまうだけで全滅しかねない。そこで小さな空間をいくつもつないで気密ハッチで分断できる構造とするわけだ。  大を救うために小を [続きを読む]
  • TIMES UP(二十話)
  • 月という母星(二十話)  月面の地下に造られた農場とも言うべき食品プラントに、はじめての実りのときがやってきていた。水耕栽培によるホウレンソウやスプラウトなどの野菜類と、タンパク源としてのワーム、つまり食用ミミズやウジ虫、昆虫などの飼育。月面では人の排泄物はすべてがリサイクルされて生まれ変わる。尿は不純物を取り除いて水として再生され、便もまた乾燥過程で蒸散する水分を集めて水となり、乾燥された便その [続きを読む]
  • TIMES UP(十九話)
  • まばゆい月(十九話)  デトレフに会えたというふわふわとした夢のような感覚が留美の中に残っていた。ルッツの兄。それよりずっと、月面にいるはずの彼が突然現れたことに不思議な感動さえも覚えてしまう。無線機を通して話す。相手が月にいると思うだけで導いてくれる神にも似た存在に思えてくる。実際に会えたデトレフは紳士であり、物腰が穏やかで、しかし恐ろしいほどの気迫に満ちた男だった。HIGHLYイコールひ弱という図式 [続きを読む]
  • TIMES UP(十八話)
  • ムーンロード(十八話)  宇宙工学の権威である海老沢が設計を監修し、月面上で製作されたはじめての月面トラック、ムーンカーゴ。そのテストランを兼ねて、デトレフ、海老沢、そしてジョゼットの三人が乗り込んだ。  月面都市では極点に近いところに原子力発電所が整備された都合上、東西よりもまずは北に延びてひろがりつつあった。原発の冷却システムに夜間マイナス170℃にもなる冷えを利用するため、発電所そのものをレ [続きを読む]
  • TIMES UP(十七話)
  • カウンセリング(十七話)  ムーンカフェ。  そのとき月は、およそ半月続く夜の側に入っていて、天文学者であるジョゼットにとっては本来観測についやすタイミングだったのだが、もちろん望遠鏡につきっきりというわけではなかった。  ジョゼットはできる限りカフェにいようと考えている。地球上のように思うままにリフレッシュできる環境は月面にはないと言ってよかっただろう。月面都市の建設は順調に進んでいたが、閉鎖的き [続きを読む]
  • TIMES UP(十六話)
  • 魂のさけび(十六話)  留美はあえて意識して山賊のボスとしての言葉を吐いた。 「わかった、おまえのマゾがどんなものか見せてもらう。口ほどにもなければそのときはわかってるね?」 「はいボス、感謝いたします」  留美はふたたび二人に脱ぐよう命じた。いつまでも囚人にはしておけないし逃れられない運命を突きつけておくべきだろう。  愛称ミーアは自らマゾだと言うだけあって潔かった。監獄で支給される白いパンティが黒 [続きを読む]
  • TIMES UP(十五話)
  • 人間らしさ(十五話)  シャワーを浴びて服を着替える。それだけのことに時間をついやし、ジョアンが戻ったのは小一時間後だった。中途半端に長くバサバサだった黒髪がショートボブに整えられて、化粧まではともかくも見違える娘になっている。そのとき店にいたのはマルグリット、バート、そして留美の三人だった。  ジョアンは気恥ずかしいのかマットに背を押されてはにかみながら現れた。真新しいブルージーンズに子犬がプリン [続きを読む]
  • TIMES UP(十四話)
  • 処断の重圧(十四話)  M-13、つまり十三番目に月面に降りて埋められた超大型貨物宇宙船をそのまま居住区として用いた13号モジュールでの爆発事故の検証と、そのとき死んだ七十名にもおよぶ死体の処理を終えたという部下からの報告を毅然とした面色で受け、軍船を出たデトレフは、宇宙服のヘルメットのスモークガラス越しに青い地球を見上げながら奥歯を噛み締めていたのだった。  月面都市の建設は順調に進んでいたのだが [続きを読む]