rohen さん プロフィール

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rohenさん: 炉辺一冊
ハンドル名rohen さん
ブログタイトル炉辺一冊
ブログURLhttps://rohenone.net/
サイト紹介文読んだ本を紹介しています。小説、ノンフィクション、紀行、演劇関係の本が中心。現在、約900冊。
自由文個人的な備忘録を兼ねて、読んだ本の感想は全て掲載しています。☆の数で評価し、タグでジャンルごとに検索できるようにしています。読書量は月10冊前後。現在2009年以降の約900冊を掲載しています。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供106回 / 365日(平均2.0回/週) - 参加 2017/02/11 01:23

rohen さんのブログ記事

  • 平成くん、さようなら
  • 古市憲寿「平成くん、さようなら」気鋭の若手学者として脚光を浴び、平成を象徴する人物としてメディアで活躍する平成(ひとなり)くん。平成の終わりと共に安楽死を考える彼の姿を、恋人の目を通して描く。商品名など時代を表す固有名詞が大量に出てくるが、安楽死が認められるようになっているという点で、作中の日本社会は現実とは異なるパラレルワールドになっている。平成くんは恋人との会話や取材を通じて死の意味を考え直し [続きを読む]
  • 国宝
  • 吉田修一「国宝」 任俠の世界に生まれ、父を失って歌舞伎役者の弟子となった男の一代記。故郷の長崎を離れ、上方歌舞伎の名門、丹波屋の花井半二郎に入門した主人公の喜久雄は、半二郎の一人息子、俊介とともに女形の才能を開花させる。跡継ぎと目された俊介が失踪したことで、喜久雄が半二郎の名跡を継ぐことになり、家と血と芸が複雑に絡み合った世界の中で運命は思わぬ方向に転び始める。芸に打ち込めば打ち込むほど、光を浴び [続きを読む]
  • 哀愁の町に霧が降るのだ
  • 椎名誠「哀愁の町に霧が降るのだ」 自伝的長編エッセイ。安アパートの薄暗い六畳間で男四人の共同生活。当時の回想と、それを執筆する現在の著者の身辺雑記のような内容が交互に綴られる。酒を飲んで、バカをして、くすぶっているうちに、ある日、停滞しているように見えた時間が確実に進んでいたことを知る。どんな日常もいつか必ず終わり、誰かと時間を共有するということが奇跡のようなものだったと気付く。ドラマティックな展 [続きを読む]
  • 2018年まとめ
  • 2018年に読んだ本は114冊(前年比10↓)、3万5779ページ(同6737↓)と2年連続減。あまり読まなかった上に再読も多い年だった。  小説で印象に残ったのは、ジョン・ウィリアムズ「ストーナー」、石牟礼道子「西南役伝説」、保坂和志「プレーンソング」、色川武大「生家へ」「友は野末に」、高橋源一郎「日本文学盛衰史」、古川日出男「アラビアの夜の種族」、東山彰良「流」。新刊・近刊では、平野啓一郎「ある男」、陳浩基「13・67 [続きを読む]
  • ある男
  • 平野啓一郎「ある男」ミステリータッチの物語に、アイデンティティーを巡る問いかけや、さまざまな社会問題に対する考察を盛り込んだ意欲作。人間関係において――特に愛において――過去はどういった意味を持つのだろうか。再婚して幸せな家庭を築いた相手が事故で急死し、彼の語っていた過去と身許が別人のものであったことが分かる。残された妻から依頼を受けた弁護士、城戸は、調査を進めるうちに彼が戸籍を別の人物と交換して [続きを読む]
  • て/夫婦
  • 岩井秀人「て/夫婦」ハイバイの「て」を初めて観た時は衝撃を受けた。家族の複雑な感情も、過去のトラウマも、何気ない会話も、一旦舞台に上げてしまえば全てひっくるめて喜劇になるのだと知り、その視点はある種の救いにもなった。もちろん小説でも映画でも「家族」は定番の主題だが、生身の人間の演じる舞台で日常の中の愛憎を見せつけられることほど生々しいものはない。「て」は祖母の死を巡る物語で、次男の視点と母の視点で [続きを読む]
  • ギッちょん
  • 山下澄人「ギッちょん」初期の短編集。木訥とした文章だが、独特のリズムと視点を持って書かれており、丁寧に読み解こうとすると途端に行き詰まる。語り手の見ているもの、意識に浮かんだもの以外を読み手は知ることができない。時系列も視点も混濁した文章に身を任せた時、不思議な情景が浮かび上がる。幼なじみの記憶を軸にさまざまな場面を意識が行き来する「ギッちょん」、父や母らの思い出を巡って死と生の曖昧な領域が浮かび [続きを読む]
  • 日本を降りる若者たち
  • 下川裕治「日本を降りる若者たち」日本社会は必死にその上に載り続けることを個人に強いる。しがみつくのをやめれば外に落ちてしまう。どこの社会にもそうした部分はあるものだろうけど、日本では一度失敗すると元の場所に戻りにくい。人目を気にせずに生きられる場所が少ない、あるいは見つけにくい。バックパック旅行を描いてきた著者が、日本社会から降りて東南アジアで暮らすようになった人々の姿を記録したルポ。日本での短期 [続きを読む]
  • 工学的ストーリー創作入門/物理学的ストーリー創作入門
  • ラリー・ブルックス「工学的ストーリー創作入門」「物理学的ストーリー創作入門」 著者は、考えながら書き、書き直しを重ねる手法(パンツィング)を否定し、物語にも原則があると繰り返し述べる。アウトラインを固めずに書いている作家でも、無意識にその原則に従っているのだと。その上でストーリーを構成するものを「コンセプト」「人物」「テーマ」「構成」「シーンの展開」「文体」の六つのコア要素に分け、それぞれにおける [続きを読む]
  • トム・ソーヤーの冒険
  • マーク・トウェイン「トム・ソーヤーの冒険」米文学を代表する作品の一つで、最も有名なキャラクターとも言えるトム・ソーヤー。子供向けの抄訳には触れたことがあっても、通読したことがある人はそれほど多くないかもしれない。特に最近では「ハックルベリー・フィンの冒険」の方が文学的な評価が高いこともあり、その影に隠れてしまっている印象もある。海賊になろうとしてみたり、宝探しを始めたり。女の子の関心を引こうとして [続きを読む]
  • Songs For Judy
  • Neil Young “Songs For Judy”1976年11月の米国ツアーからの22曲。この年は春に来日公演があり、夏には2017年にやっと日の目を見たアルバム「Hithhiker」を録音するなど、ニールが非常に充実した活動をしていた時期で、名曲揃い、演奏も素晴らしいの一言に尽きる。ブートレッグでは、以前から「Joel Bernstein Tapes」などで広く親しまれてきた音源で、目新しさはないものの、公式の高音質でリリースされることは喜ばしい。公式で [続きを読む]
  • ストーナー
  • ジョン・ウィリアムズ「ストーナー」評判は聞いていたものの、あらすじだけみれば極めて地味な作品で、長く積んだままだった一冊。ある一人の男の一生を淡々と描く。自他共に認める波瀾万丈の人生を送る人もいるだろうが、多くの人にとって人生とは平坦で、しかし予測はつかないものという印象ではないか。妥協し、流され、目の前の些事に追われ、ふと振り返ると、そうであったかもしれない別の人生が道の両側に幾つも転がっている [続きを読む]
  • 南の島でえっへっへ
  • おがわかずよし「南の島でえっへっへ」 インドや東南アジアは多くの紀行本が出版されているし、バックパッカーの体験談を綴ったブログの類も沢山ある。欧米やアフリカも書籍では身近な地域だ。一方で太平洋の島々を扱った読み物は非常に少なく、バックパッカー目線の紀行本は皆無に近い。太平洋は貧乏旅行者にとっては広大な空白地帯であり、ほとんど語られることがなかった。本書は「天下太平洋物語」として1997年に旅行人から刊 [続きを読む]
  • 日本百名山
  • 深田久弥「日本百名山」多くの人に影響を与えながらも、実は読んだことのない人も多いという本の筆頭かもしれない。自分自身も山に登るようになってから百名山を一つの道標としてきたが、本そのものは敬遠し手に取ることはなかった。今回初めて通読し、その充実した内容と文章に感銘を受けた。山の故事来歴の考察、著者自身の登山記までが短い文章の中に過不足なくまとめられ、特に山容の描写については名文と言ってもいい。たとえ [続きを読む]
  • 他人の顔
  • 安部公房「他人の顔」久しぶりに再読。化学事故で顔を失った男が、本物の顔と見紛うような精巧な仮面を作り、他人として妻を誘惑する。人間にとって顔とは何なのかという哲学的な考察をはらんだ長編。妻との関係を巡るドラマは後半にわずかに書かれるばかりで、安部公房は小説の大半を顔を巡る考察に費やしている。人間の価値が、その人格や業績にあるのだとすれば、顔は付随的なものにすぎない。しかし顔を失った人間は社会の中に [続きを読む]
  • 誕生日の子どもたち
  • トルーマン・カポーティ「誕生日の子どもたち」村上春樹訳によるカポーティの短編集。「無頭の鷹」以外は幼年期を描いた作品から選ばれている。カポーティの作品は既存の日本語訳も素晴らしいが、幼年期ものの名品をまとめて読むことができ、「冷血」や「ティファニーで朝食を」では分からない作家の素顔を知ることが出来る。訳文もフラットで読みやすい。優れた作家には、これを書くために作家になったと感じられるような作品や題 [続きを読む]
  • わくらば日記
  • 朱川湊人「わくらば日記」人や場所の過去をのぞき見ることが出来るという特殊な能力を持つ「姉さま」との思い出を妹の視点で綴った連作短編集。直木賞受賞作「花まんま」などと同様、全編を通してノスタルジックな雰囲気が漂う。能力故に事件に巻き込まれ、相手の過去を知って苦悩する姉妹の姿を通じて人の世の悲哀が描かれる。ミステリータッチの人情ドラマ。 [続きを読む]
  • バンコク楽宮ホテル
  • 谷恒生「バンコク楽宮ホテル」バンコクのヤワラー(チャイナタウン)にかつてあった安宿、楽宮旅社を舞台とした小説。日本社会に居場所を失ったような長期滞在者たちの無為の日々を描く。卑小でありながら、どこか憎めない個性的な人々が登場する。隣のカンボジアでは内戦が続き、国境には難民キャンプができている。山師のような人々が街を跋扈し、日本人旅行者たちはマリファナと酒と女に溺れ、難民と娼婦を見下しつつもその生命 [続きを読む]
  • 旅ときどき沈没
  • 蔵前仁一「旅ときどき沈没」 一箇所に長逗留することをバックパッカーの間で沈没というが、かつてはインドや東南アジアの安宿に何ヶ月も滞在して、日がな一日何をするでもなく過ごしているような人が何人もいた。沈没にも程度があって、旅の合間に沈没する人と、沈没の合間に旅(というより移動)をする人がいて、後者は物価の上昇などで最近は絶滅危惧種になりつつあるようだ。本書は1994年刊。80年代後半〜90年代前半の旅を中心 [続きを読む]
  • プレーンソング
  • 保坂和志「プレーンソング」保坂和志のデビュー作。少し広めのアパートに引っ越した「ぼく」のもとに、友人たちが転がり込んできて共同生活が始まる。事件も無ければ、変化も無い。近所に住む猫と競馬の話だけが淡々と綴られる。余計な意味付けをせず、日常描写に徹することで、そこに不思議な感動が生まれている。それを言葉にするのは難しいが、あえて言うなら、平凡な日常や何てことのない会話を後で思い返した時、実は非常に面 [続きを読む]
  • 人間の大地
  • サン=テグジュペリ「人間の大地」飛行士としての経験を綴ったエッセイ集。僚友たちとの友情や、砂漠に不時着し生死の境をさまよった五日間など、「夜間飛行」や「ちいさな王子(星の王子さま)」の原点となった体験が分かる。計器等が未発達だった時代、飛行士は死と隣り合わせの職業だった。同時に、飛行機の翼を得ることで、人類は初めて“人間の土地”を外から見ることが出来た。そこに文学が生まれるのは必然だったのかもしれ [続きを読む]
  • 夕子ちゃんの近道
  • 長嶋有「夕子ちゃんの近道」骨董屋の二階に居候することになった「僕」の目を通して、店長、常連客、大家とその孫姉妹といった人々との日常が綴られる。著者の他の作品と同様、物語に大きな起伏はない。それどころか、「僕」を含めた登場人物の背景さえほとんど説明されず、日々のやりとりだけが描かれる。「僕」の来歴や、なぜ骨董屋に居候することになったのかなどは最後まで分からない。ただ、淡々とそれぞれの人生を生きていく [続きを読む]
  • ぼくは落ち着きがない
  • 長嶋有「ぼくは落ち着きがない」高校の図書部員たちの日常を素朴な筆で綴る。文化系の青春もの。と言っても、大きな事件が起こるわけでもないし、ドラマティックな展開は何も無い。でもそれこそが青春なんだと思わせる魅力がある。登場人物の内面に踏み込むことをあえて控えるような淡々とした描写を浅いと感じる人もいるだろうが、そこにかえってリアリティがある。何かを深くえぐることばかりが小説でない。 [続きを読む]
  • 書きあぐねている人のための小説入門
  • 保坂和志「書きあぐねている人のための小説入門」著者の小説は、悲劇でもなければ喜劇でもない、日常描写のような場面が淡々と続き、それでいて読み終えると日々の風景の見え方が変わったような気がする不思議な手触りがある。本書はタイトルだけを見ればハウツー本のようだが、小説の書き方というより、小説論といった内容。著者は小説とは何かを繰り返し問う。“読んでいる時間の中”にしか小説は存在しないと著者は書く。要約で [続きを読む]
  • ジュライホテルのポーム
  • 吉倉槇一「ジュライホテルのポーム」自分は06年に初めてバンコクを訪れたので、ヤワラー(中華街)が日本人の溜まり場だった時代は知らない。90年代半ばを過ぎると、欧米人が先行して集まっていたカオサン通りに日本人バックパッカーも吸収され、ヤワラーに滞在する日本人は減った。ヤワラーには楽宮大旅社、台北旅社といった有名な安宿が何軒かあったが、その中でも特に日本人旅行者に人気が高かったのがジュライホテルで、ポーム [続きを読む]