rohen さん プロフィール

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rohenさん: 炉辺一冊
ハンドル名rohen さん
ブログタイトル炉辺一冊
ブログURLhttps://rohenone.net/
サイト紹介文読んだ本を紹介しています。小説、ノンフィクション、紀行、演劇関係の本が中心。現在、約900冊。
自由文個人的な備忘録を兼ねて、読んだ本の感想は全て掲載しています。☆の数で評価し、タグでジャンルごとに検索できるようにしています。読書量は月10冊前後。現在2009年以降の約900冊を掲載しています。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供111回 / 365日(平均2.1回/週) - 参加 2017/02/11 01:23

rohen さんのブログ記事

  • 旅ときどき沈没
  • 蔵前仁一「旅ときどき沈没」 一箇所に長逗留することをバックパッカーの間で沈没というが、かつてはインドや東南アジアの安宿に何ヶ月も滞在して、日がな一日何をするでもなく過ごしているような人が何人もいた。沈没にも程度があって、旅の合間に沈没する人と、沈没の合間に旅(というより移動)をする人がいて、後者は物価の上昇などで最近は絶滅危惧種になりつつあるようだ。本書は1994年刊。80年代後半〜90年代前半の旅を中心 [続きを読む]
  • プレーンソング
  • 保坂和志「プレーンソング」保坂和志のデビュー作。少し広めのアパートに引っ越した「ぼく」のもとに、友人たちが転がり込んできて共同生活が始まる。事件も無ければ、変化も無い。近所に住む猫と競馬の話だけが淡々と綴られる。余計な意味付けをせず、日常描写に徹することで、そこに不思議な感動が生まれている。それを言葉にするのは難しいが、あえて言うなら、平凡な日常や何てことのない会話を後で思い返した時、実は非常に面 [続きを読む]
  • 人間の大地
  • サン=テグジュペリ「人間の大地」飛行士としての経験を綴ったエッセイ集。僚友たちとの友情や、砂漠に不時着し生死の境をさまよった五日間など、「夜間飛行」や「ちいさな王子(星の王子さま)」の原点となった体験が分かる。計器等が未発達だった時代、飛行士は死と隣り合わせの職業だった。同時に、飛行機の翼を得ることで、人類は初めて“人間の土地”を外から見ることが出来た。そこに文学が生まれるのは必然だったのかもしれ [続きを読む]
  • 夕子ちゃんの近道
  • 長嶋有「夕子ちゃんの近道」骨董屋の二階に居候することになった「僕」の目を通して、店長、常連客、大家とその孫姉妹といった人々との日常が綴られる。著者の他の作品と同様、物語に大きな起伏はない。それどころか、「僕」を含めた登場人物の背景さえほとんど説明されず、日々のやりとりだけが描かれる。「僕」の来歴や、なぜ骨董屋に居候することになったのかなどは最後まで分からない。ただ、淡々とそれぞれの人生を生きていく [続きを読む]
  • ぼくは落ち着きがない
  • 長嶋有「ぼくは落ち着きがない」高校の図書部員たちの日常を素朴な筆で綴る。文化系の青春もの。と言っても、大きな事件が起こるわけでもないし、ドラマティックな展開は何も無い。でもそれこそが青春なんだと思わせる魅力がある。登場人物の内面に踏み込むことをあえて控えるような淡々とした描写を浅いと感じる人もいるだろうが、そこにかえってリアリティがある。何かを深くえぐることばかりが小説でない。 [続きを読む]
  • 書きあぐねている人のための小説入門
  • 保坂和志「書きあぐねている人のための小説入門」著者の小説は、悲劇でもなければ喜劇でもない、日常描写のような場面が淡々と続き、それでいて読み終えると日々の風景の見え方が変わったような気がする不思議な手触りがある。本書はタイトルだけを見ればハウツー本のようだが、小説の書き方というより、小説論といった内容。著者は小説とは何かを繰り返し問う。“読んでいる時間の中”にしか小説は存在しないと著者は書く。要約で [続きを読む]
  • ジュライホテルのポーム
  • 吉倉槇一「ジュライホテルのポーム」自分は06年に初めてバンコクを訪れたので、ヤワラー(中華街)が日本人の溜まり場だった時代は知らない。90年代半ばを過ぎると、欧米人が先行して集まっていたカオサン通りに日本人バックパッカーも吸収され、ヤワラーに滞在する日本人は減った。ヤワラーには楽宮大旅社、台北旅社といった有名な安宿が何軒かあったが、その中でも特に日本人旅行者に人気が高かったのがジュライホテルで、ポーム [続きを読む]
  • 冒険王
  • 平田オリザ「冒険王」著者は16歳だった1979年、高校を休学(後に中退)して自転車で世界一周の旅に出た。イスタンブールの安宿でだらだらと喋り続けるバックパッカーたちの姿を描くこの作品には、その時の体験が反映されており、著者が自身の経験を直接題材とした唯一の戯曲でもある。1996年に初演された。イランを通ってインドを目指す旅行者と、ヨーロッパへ向かう旅行者が交錯する街、イスタンブール。著者の戯曲の特徴でもある [続きを読む]
  • 国境の南、太陽の西
  • 村上春樹「国境の南、太陽の西」かなり久しぶりに再読。村上春樹の長篇小説は要約が不可能か、要約すると意味を成さなくなるものが多いが、この作品は比較的あらすじが説明しやすい。高校で初めて付き合った彼女を別れ際にひどく傷付けた「ぼく」は、むなしく孤独な二十代を送った後に理想的な家庭を得て事業でも成功する。そんなある日、小学生時代の初恋の人と再会して苦悩する。こう書くと男目線の安っぽいドラマという印象だが [続きを読む]
  • 世界音痴
  • 穂村弘「世界音痴」歌人、穂村弘のエッセイ集。タイトル通り、世界と自分の間にちょっとしたずれがあって、対人関係において“自然に”振る舞うということができない自分の姿を面白おかしく綴っている。自分が一番大事で、駄目な人間と自己嫌悪しながらも、そんな自分を愛でてしまう。爆笑とまではいかなくても、くすりと笑わされ、身につまされる。うまく生きることができない。誰もが多かれ少なかれ感じていることだろうけど、そ [続きを読む]
  • 海炭市叙景
  • 佐藤泰志「海炭市叙景」不遇のまま夭逝した作家、佐藤泰志の遺作。函館市をモデルとした架空の海炭市を舞台に、人々の日常を綴る連作短編集。炭鉱が閉鎖され、旧市街地が寂れ、郊外が開発され、変貌してゆく街が主人公。文章は粗削りで、決して洗練された小説とは言えないが、これを書かずにはいられなかった、これを書くために作家になったという切実な思いが感じられる。佐藤は芥川賞候補に5回、三島賞候補に1回なりながら、41 [続きを読む]
  • SAVE THE CATの法則
  • ブレイク・スナイダー「SAVE THE CATの法則」ハリウッドの脚本家による脚本術の本だが、優れた物語の構造分析としても読むことができ、脚本や小説だけでなく、プレゼンテーションや講演、論文執筆まで、幅広い分野のヒントになりそう。何より文章がユーモアに満ちていて、読み物としても非常に面白い。著者はまず「どんな映画?」という問いに対する答えを徹底的に詰めてから執筆に取りかかることの大切さを説く。1行の紹介文(ロ [続きを読む]
  • 「ふたりの証拠」「第三の嘘」
  • アゴタ・クリストフ「ふたりの証拠」 「第三の嘘」 「悪童日記」(原題“Le grand cahier”=大きなノート)の続編。巻が進むに連れ、文体とともに物語の見え方も大きく変わる。第二次世界大戦下のハンガリーと思しき国で、魔女と呼ばれるひねくれた性格の祖母に育てられた双子。「悪童日記」の最後で、一人は国境を越え、一人は町に残り、双子は初めて離れ離れになった。第二作の「ふたりの証拠」では、町に残ったリュカの戦後 [続きを読む]
  • ウォッチメイカー
  • ジェフリー・ディーヴァー「ウォッチメイカー」 久しぶりの海外ミステリー。「ボーン・コレクター」から始まるリンカーン・ライムシリーズの第7弾。“ウォッチメイカー”と名乗る犯罪者が、様々な拷問手法に想を得た残虐な手段で犯行を重ねていく。それに立ち向かうのは、科学捜査のプロフェッショナルで、四肢麻痺の天才――いわゆる安楽椅子探偵――のリンカーン・ライム。相棒で恋人のアメリア・サックス、キネシクスを用いた [続きを読む]
  • てふてふ荘へようこそ
  • 乾ルカ「てふてふ荘へようこそ」古びたアパート。破格の家賃につられて入居すると、それぞれの部屋に地縛霊が取り憑いていて、幽霊との共同生活が始まる。ホラーというよりも、ファンタジータッチの人情喜劇。著者の作品はデビュー作の「夏光」しか読んだことがなかったので、作風の違いに驚いた。それぞれの幽霊に物語があり、入居者にもそれぞれの悩みがある。幽霊が相手とはいえ、他者との関係で人は変わっていくという普遍的な [続きを読む]
  • 退廃姉妹
  • 島田雅彦「退廃姉妹」東京の裕福な家庭に育った姉妹の戦後の物語。母親を早くに亡くし、一緒に暮らしていた父親は戦犯容疑で連れて行かれてしまう。家を守るため、姉妹は自宅を米兵相手の慰安所にして生活費を稼ぐようになる。そこに特攻隊帰りの青年や、姉妹の父によって慰安所で働くことになった少女のエピソードが絡む。好きな男の後を追う姉と、自ら春をひさぐ妹。対照的な生き方をしつつ心を寄せ合う姉妹の姿に女性のしたたか [続きを読む]
  • 獣の奏者
  • 上橋菜穂子「獣の奏者」     久しぶりにファンタジーが読みたくなったので、未読だった人気シリーズを一気読み。「I 闘蛇編」「II 王獣編」「III 探求編」「IV 完結編」「外伝 刹那」の5巻。闘蛇と王獣という兵器になり得る力を持った生物を巡る物語。厳しい戒律で管理され、決して人に馴れぬとされてきた王獣を操る技術を身につけてしまったことで、主人公の少女は運命の奔流に巻き込まれる。闘蛇と王獣を近代兵器のメタファ [続きを読む]
  • 友は野末に―九つの短篇―
  • 色川武大「友は野末に ―九つの短篇―」色川武大の短編集。他の単行本に未収録の作品をまとめたものだが、著者らしいユーモアと哀感に満ちた名篇ぞろい。厳格な軍人だった父の存在と、成長してから患ったナルコレプシーという病が、著者の作品には影を落としている。著者が阿佐田哲也ではなく、本名の色川武大で書いた作品は、どれも自身の抱えた屈託を形を変えつつ綴っているだけとも言えるが、読むといつも救われた気持ちになる [続きを読む]
  • 窓ぎわのトットちゃん
  • 黒柳徹子「窓ぎわのトットちゃん」戦後最大のベストセラー。少女の成長物語や、教訓に満ちた児童文学としても非常に面白いし、教育論としても今なお読まれる価値がある。尋常小学校を退学させられ、トモエ学園に入ったという著者の経歴はよく知られているが、多様な個性をそのまま受け入れ、児童の自主性を尊重する先進的な教育をしていた学校が戦前からあったことにまず驚かされる。同時に、そうした教育が70年以上経った今なお定 [続きを読む]
  • 金色機械
  • 恒川光太郎「金色機械」時代小説×ファンタジー。珍しい組み合わせのようで、実際には漫画や娯楽小説、八犬伝などの古典から様々な民話にまでさかのぼる日本文学においては鉄板のテーマ。危険を察知する天賦の才能に恵まれた遊廓の大旦那と、触れた者の命を奪うことが出来る能力を持った女。二人の半生を、金色様と呼ばれる(C-3POを連想させる)未来から来たアンドロイドの存在が繫ぐ。入り組んだ複数のドラマに、安直な予想を裏 [続きを読む]
  • あの夕陽 牧師館 日野啓三短篇小説集
  • 日野啓三「あの夕陽 牧師館 日野啓三短篇小説集」日野啓三の短編集。表題の二作に加えて、戦地で失踪した記者の行方を追うデビュー作の「向こう側」など全八作を収録。幼年時代を植民地の京城で過ごし、その後に新聞記者としてベトナムやソウルで特派員をしていた自らの経験を下敷きとした私的な作風ながら、そこに戦後日本で都市生活を送る虚無感のようなものが滲んでいる。「あの夕陽」は芥川賞受賞作。主人公の男は張り合いの [続きを読む]
  • 鞄の中身
  • 吉行淳之介「鞄の中身」長ければ良い小説というものではないし、凝った文章が豊かであるとも言い切れない。吉行淳之介の短篇は極めて短く、これ以上ないくらい平易な文体で綴られている。それでもそこには複雑な陰影と、長篇小説に劣らぬ広がりがある。300ページほどの文庫本に、19本の短篇が収められている。表題作は、自らの遺体を鞄に詰めて誰かから逃げる夢の話。そのほか、かつての恋人から大量の下着を贈られて戸惑う男の話 [続きを読む]
  • アジア未知動物紀行 ベトナム・奄美・アフガニスタン
  • 高野秀行「アジア未知動物紀行 ベトナム・奄美・アフガニスタン」ベトナムの「フイハイ」、奄美大島の「ケンモン」、アフガニスタンの「ペシャクパラング」。ミャンマーやソマリアのルポで高い評価を受ける著者だが、大学時代のデビュー作「幻獣ムベンベを追え」から一貫して未確認動物=UMAの探求にも力を入れていて、トルコ・ワン湖周辺を舞台とした「怪獣記」など、一連の著作はいずれも面白い。結論が「見つかった」ではない [続きを読む]