rohen さん プロフィール

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rohenさん: 炉辺一冊
ハンドル名rohen さん
ブログタイトル炉辺一冊
ブログURLhttps://rohenone.net/
サイト紹介文読んだ本を紹介しています。小説、ノンフィクション、紀行、演劇関係の本が中心。もうすぐ900冊。
自由文備忘録としてつけてきた読書メモが増えたので公開することにしました。タグでジャンルごとに検索できるようにしています。読書量は月10冊前後。現在2009年以降の約850冊を掲載しています。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供118回 / 287日(平均2.9回/週) - 参加 2017/02/11 01:23

rohen さんのブログ記事

  • とんでも春画 妖怪・幽霊・けものたち
  • 鈴木堅弘「とんでも春画 妖怪・幽霊・けものたち」江戸時代、春画は決して異端の芸術ではなく、大衆的な広がりを持った文化だった。2015、16年に東京・京都で春画展が開かれ、春画に対する注目が高まったが、メディアで紹介される春画は“常識的”なものが多い。しかし、性的なタブーの少なかった近世以前の日本において、人々の想像力が現代の常識の枠内に収まっているはずがない。少しでも目立とうとする芸術家と版元の世界にお [続きを読む]
  • 息子と狩猟に
  • 服部文祥「息子と狩猟に」登山家で猟師でもある著者の初の小説。命を巡る普遍的な問いを突きつけてくる表題作と、高峰での極限状態を描いた「K2」の2編を収録。小学6年生の息子を連れて鹿狩りに来た週末ハンターが、死体を埋めに来た詐欺グループの男と遭遇する。男は息子を人質に取り、自分の手元には猟銃がある。獣の命を奪うのが許されるなら、なぜ殺人犯の命を取ることは許されないのか。個人的にハンターの最後の選択には [続きを読む]
  • しあわせの理由
  • グレッグ・イーガン「しあわせの理由」「ディアスポラ」に続いて、グレッグ・イーガンをもう一冊。表題作を含む9編を収録した日本オリジナルの短編集。「ディアスポラ」は物理学や宇宙論の知識が無いと理解できない描写も多かったが、こちらは特定のアイデアや疑問をもとに発展させた作品が中心で、SFになじみのない読者でも取っつきやすい一冊となっている。なかでも表題作は大傑作。脳の手術で幸せを感じる回路を自由に操作で [続きを読む]
  • ディアスポラ
  • グレッグ・イーガン「ディアスポラ」ちょっと何言ってるか分からないという小説はいろいろあるけれど、グレッグ・イーガンの代表作とも言えるこの「ディアスポラ」もなかなか。といっても文学的な表現が意味不明というのではなく、文章は明解だが、膨大な物理学的、宇宙論的考察に自分のような文系人間は全くついていけない。ハードSFの極北。肉体を捨てて自らをソフトウェア化し、ポリスと呼ばれるネットワーク上で生きる人々が [続きを読む]
  • 夜想曲集 音楽と夕暮れをめぐる五つの物語
  • カズオ・イシグロ「夜想曲集 音楽と夕暮れをめぐる五つの物語」カズオ・イシグロの短編集。音楽をめぐる五つの物語。「わたしを離さないで」などを読むと長編の作家という気がするし、実際に発表されている作品もほとんどが長編だが、この作品集を読むと、その魅力は作の長短には関係ないということが分かる。珠玉の一冊。「老歌手」「降っても晴れても」「モールバンヒルズ」「夜想曲」「チェリスト」。どれも英国小説らしい喜劇 [続きを読む]
  • 花のさかりは地下道で
  • 色川武大「花のさかりは地下道で」文章に触れ、この人のようなまなざしを持ちたいと感じる人が何人かいる。ここ数年、色川武大の作品に強く惹かれる。雀聖・阿佐田哲也としての顔が有名だが、本名の色川で発表した作品群には、人生や社会に対する諦観が冷たさではなく、どこか温かなまなざしで綴られている。「花のさかりは地下道で」は幼年期や戦後まもない頃の思い出を中心とした12本の短編集。表題作には、地下道で寝起きしてい [続きを読む]
  • 魂でもいいから、そばにいて ―3・11後の霊体験を聞く
  • 奥野修司「魂でもいいから、そばにいて―3・11後の霊体験を聞く」「霊体験」と聞くとオカルトか特別な現象のようだが、ここに記録されているのは、人が大切な誰かを失った時にそれをどう受け入れて生きていくかという、紛れもない現実だ。亡くなった妻や子供が夢に出てきたり、足音が聞こえたり、子供のおもちゃが突然動き出したのを見た人もいれば、遺体が見つかる直前に“お知らせ”があったという人もいる。死者の口寄せをする [続きを読む]
  • 私の旧約聖書
  • 色川武大「私の旧約聖書」色川武大という信仰からは最も遠いイメージを持つ作家が綴る、旧約聖書についての随想。阿佐田哲也の筆名でも知られる著者は、博奕で生きていた若い頃、偶然に近いきっかけで旧約聖書を手に取り、人間の叡智に恐れを抱いたという。内向的で、コンプレックスを抱え、自身の内面に神を育ててきたという著者は、旧約聖書に描かれた神と人間との契約を、気分屋で嫉妬深い「イェホバさん」に振り回される、ある [続きを読む]
  • 贋作・桜の森の満開の下
  • 野田秀樹「贋作・桜の森の満開の下」 「夢の遊眠社」時代の代表作の一つ。再演を重ね、今年8月には「野田版・桜の森の満開の下」として歌舞伎化もされた。初演は1989年。贋作(がんさく)ではなく「にせさく」と読む。ただの模倣やパロディーではなく、そこからさらにもう一歩ずれた作品であることの表明だろう。坂口安吾の「桜の森の満開の下」と「夜長姫と耳男」を下敷きとした作品だが、野田秀樹らしい言葉遊びとスピード感溢 [続きを読む]
  • 断片的なものの社会学
  • 岸政彦「断片的なものの社会学」読書の喜びは、知らないことを知ることと、それ以上に、自分が感じていること――悲しみや苦しみも含めて――を他の誰かも感じていると知ることの救いの中にある。同じ考えでなくてもいい。自分以外の人も、自分と同じようにいろいろなことを感じ、考えている。それに気付くことが読書の最大の価値だと思う。著者はライフヒストリーの聞き取りを重ねてきた社会学者。といってもここに書かれているの [続きを読む]
  • 邂逅の森
  • 熊谷達也「邂逅の森」誰かの人生を追体験できる小説は少ない。優れた作品であっても、大抵は一歩引いた立場からの鑑賞にとどまる。舞台は大正から昭和にかけての東北。秋田・阿仁のマタギの家に生まれた松橋富治は、身分違いの恋で村を追われ、猟を捨て採鉱夫となる。やがて、そこで知り合った弟分の村に落ち着き、狩猟組の頭領としてマタギの生活に戻る。マタギの文化・風習が丁寧に書き込まれており、骨太な物語と描写を通じて、 [続きを読む]
  • ワンダー Wonder
  • R.J.パラシオ「ワンダー Wonder」「オーガストはふつうの男の子。ただし、顔以外は」遺伝子疾患で“特別”な顔に生まれた少年オーガストを巡る物語。5年生から学校に通い始めたオーガスト、その姉、友人らの視点を通じて一年が語られる。顔を見て驚き、目をそらす子。菌がうつると陰口を叩いたり、直接いやがらせをする子。やがてオーガストとの距離を巡って、クラスは分裂してしまう。平易な文章で綴られながら、本人や周りの大 [続きを読む]
  • 路地の子
  • 上原善広「路地の子」大阪・更池の“路地”に生まれ育った著者が書いた父の一代記。冒頭の「とば」(屠場)の詳細な描写から圧倒される。上原龍造、1949年生まれ。包丁を持ってヤクザ者を追い回し、「コッテ牛」と恐れられた型破りな少年は「金さえあれば差別されへん」という信念のもと、食肉業という天職に巡り会う。当時、同和対策事業は部落解放同盟が窓口を独占し、同盟員にならなくては融資などの恩恵は受けられなかった。龍 [続きを読む]
  • 死体は語る
  • 上野正彦「死体は語る」監察医として30年あまり、さまざまな事件・事故の変死体と向き合ってきた著者によるエッセイ。死者の人権を守る仕事としての監察医の役割についてよく分かる。ハイハイで石油ストーブにぶつかり、やかんの熱湯を被って亡くなった女児。やけどの形を見た監察医の指摘で母親の証言が覆り、熱湯を故意にかけて殺されたことが分かった。著者は「もの言わぬ死体は決して嘘を言わない」と書く。言葉を失った死者に [続きを読む]
  • シラノ・ド・ベルジュラック (光文社古典新訳文庫)
  • ロスタン「シラノ・ド・ベルジュラック」渡辺守章訳 (光文社古典新訳文庫)フランス演劇の代表作の一つで、映画、ミュージカルから翻案まで数多くの派生作品を生んだ傑作。詩人で哲学者、剣士と多才だが、容姿だけに恵まれなかった心優しき主人公シラノ・ド・ベルジュラックのキャラクターがとにかく魅力的。巨大な鼻にコンプレックスを抱えるシラノは、従妹のロクサーヌに恋するが、彼女は美男子のクリスチャンに思いを寄せている [続きを読む]
  • 性・差別・民俗
  • 赤松啓介「性・差別・民俗」赤松啓介は1909年生まれ。左翼運動で投獄された経験を持つ反骨の民俗学者。本書は「非常民の民俗境界」として88年に刊行されたもので、性風俗、祭り、民間信仰を中心としたエッセイ風の論考集。名著「夜這いの民俗学」などでお馴染みの夜這いの話題から、祭りや民間信仰と性の解放の密接な関係など、内容は多岐にわたる。その根底に、既存の民俗学への不満と、学問の名を借りて共同体を体系化、組織化し [続きを読む]
  • 悪童日記
  • アゴタ・クリストフ「悪童日記」第二次世界大戦下のハンガリーと思しき国で、<大きな町>から<小さな町>の祖母の家に疎開してきた双子の物語。周囲から魔女と呼ばれ、恐るべき吝嗇とひねくれた性格を持った祖母との生活で、双子は何事にも動じないタフな少年たちに育っていく。互いの身体を傷つけ合う鍛錬や断食の訓練を重ね、聖書と辞書で二人きりの自習をし、躊躇無く盗みやゆすりを働く。必要とあれば殺しも厭わない一方、乞 [続きを読む]
  • 悪童日記
  • アゴタ・クリストフ「悪童日記」第二次世界大戦下のハンガリーと思しき国で、<大きな町>から<小さな町>の祖母の家に疎開してきた双子の物語。周囲から魔女と呼ばれ、恐るべき吝嗇とひねくれた性格を持った祖母との生活で、双子は何事にも動じないタフな少年たちに育っていく。互いの身体を傷つけ合う鍛錬や断食の訓練を重ね、聖書と辞書で二人きりの自習をし、躊躇無く盗みやゆすりを働く。必要とあれば殺しも厭わない一方、乞 [続きを読む]
  • 評伝 石牟礼道子―渚に立つひと
  • 米本浩二「評伝 石牟礼道子―渚に立つひと」代表作の「苦海浄土」は言うまでも無く、「椿の海の記」や「十六夜橋」、自伝の「葭の渚」まで、石牟礼道子は常に“近代”を問うてきた。夏目漱石から村上春樹、カズオ・イシグロに至るまで、いずれの作家も“近代”や“現代”と人間との関係を描いてきたと言えるが、石牟礼道子ほど正面から対峙した作家はいない。石牟礼道子は渚に住んだ人だ。海と陸の、夢と現の、近代以前と以後との [続きを読む]
  • 日本人の英語
  • マーク・ピーターセン「日本人の英語」海外を一人旅したと言うと、英語が堪能だと勘違いされることが多い。海外に行ったといってもその多くが英語が通じない土地だし、旅をして何を学んだかといえば、言葉が通じなくてもコミュニケーションは取れるという事実であって、英語を磨こうという努力は早々に放棄してしまった。英語で会話するためには、思考も英語で行わなくてはならない。ところが、残念ながら英語で思考するための仕組 [続きを読む]
  • 旅行人166号(インド、さらにその奥へ、1号だけ復刊号)
  • 「旅行人166号(インド、さらにその奥へ、1号だけ復刊号)」6年前に休刊した「旅行人」がまさかの復刊!1号だけとはいえ、非常に読み応えのある内容でうれしい。特集は「旅行人」の、そして多くのバックパッカーにとっての原点とも言うべきインド。と言っても「旅行人」らしく、取り上げられているのはディープな地域ばかり。先住民族ミーナーの壁画を探すラージャスターンの旅から、タール砂漠に住むトライブの世界、アルナーチ [続きを読む]
  • 日本三文オペラ
  • 開高健「日本三文オペラ」小松左京の「日本アパッチ族」に続いて、開高健がアパッチ族を題材に書いた小説「日本三文オペラ」。小松作品のような架空の日本ではなく、現実のアパッチ族のことが細かく記されている。ルンペンのフクスケがスカウトされ、アパッチ部落を訪れるところから物語は始まる。といっても壮大なドラマが描かれるわけではない。著者の後の作品にもつながるルポルタージュ的な描写で、フクスケの視点を通じて人々 [続きを読む]
  • 日本アパッチ族
  • 小松左京「日本アパッチ族」現在、大阪ビジネスパークとしてビルが立ち並ぶ一帯から大阪城公園にかけては、戦前は大阪砲兵工廠としてアジア最大規模の軍需工場があった土地。終戦前日の空襲で壊滅し、戦後は長く焼け跡のまま放置されていたが、そこから屑鉄を盗む人々が現れた。集落と独自の文化を作り、膨大なスクラップを発掘・転売して生計を立てた人々は「アパッチ族」と呼ばれた。その野放図なエネルギーに想を得た作品。小松 [続きを読む]
  • 梅里雪山 十七人の友を探して
  • 小林尚礼「梅里雪山 十七人の友を探して」1991年、京大学士山岳会と中国登山協会の合同登山隊17人が、未踏峰の梅里雪山で消息を絶つ大規模な遭難事故があった。遭難で仲間を失った著者は、再度日中合同で登頂を目指した96年の登山隊に参加したものの、天候の悪化で断念。その後、98年夏に氷河の下流で遺体が見つかったことを機に麓の村に通い始める。一人で村に住みながら、遺体と遺品を探し歩く日々。聖山を汚した登山隊への地元 [続きを読む]
  • ドキュメント生還 −山岳遭難からの救出
  • 羽根田治「ドキュメント生還 −山岳遭難からの救出」遭難に至る過程と、いかに生き延びたかのドキュメント。とても参考になる内容で、もっと早く読めば良かった。ノンフィクションの読み物としても非常に面白い。海外の高峰に挑むような特別なシチュエーションではなく、国内の山で、ごく普通の登山愛好家が、何がきっかけで引き返せない状況に陥ったのか、そして、そこで生と死を分けたものは何だったのか。当時の状況を、生還者 [続きを読む]