rohen さん プロフィール

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rohenさん: 炉辺一冊
ハンドル名rohen さん
ブログタイトル炉辺一冊
ブログURLhttps://rohenone.net/
サイト紹介文読んだ本を紹介しています。小説、ノンフィクション、紀行、演劇関係の本が中心。現在、約900冊。
自由文個人的な備忘録を兼ねて、読んだ本の感想は全て掲載しています。☆の数で評価し、タグでジャンルごとに検索できるようにしています。読書量は月10冊前後。現在2009年以降の約900冊を掲載しています。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供120回 / 365日(平均2.3回/週) - 参加 2017/02/11 01:23

rohen さんのブログ記事

  • 退廃姉妹
  • 島田雅彦「退廃姉妹」東京の裕福な家庭に育った姉妹の戦後の物語。母親を早くに亡くし、一緒に暮らしていた父親は戦犯容疑で連れて行かれてしまう。家を守るため、姉妹は自宅を米兵相手の慰安所にして生活費を稼ぐようになる。そこに特攻隊帰りの青年や、姉妹の父によって慰安所で働くことになった少女のエピソードが絡む。好きな男の後を追う姉と、自ら春をひさぐ妹。対照的な生き方をしつつ心を寄せ合う姉妹の姿に女性のしたたか [続きを読む]
  • 獣の奏者
  • 上橋菜穂子「獣の奏者」     久しぶりにファンタジーが読みたくなったので、未読だった人気シリーズを一気読み。「I 闘蛇編」「II 王獣編」「III 探求編」「IV 完結編」「外伝 刹那」の5巻。闘蛇と王獣という兵器になり得る力を持った生物を巡る物語。厳しい戒律で管理され、決して人に馴れぬとされてきた王獣を操る技術を身につけてしまったことで、主人公の少女は運命の奔流に巻き込まれる。闘蛇と王獣を近代兵器のメタファ [続きを読む]
  • 友は野末に―九つの短篇―
  • 色川武大「友は野末に ―九つの短篇―」色川武大の短編集。他の単行本に未収録の作品をまとめたものだが、著者らしいユーモアと哀感に満ちた名篇ぞろい。厳格な軍人だった父の存在と、成長してから患ったナルコレプシーという病が、著者の作品には影を落としている。著者が阿佐田哲也ではなく、本名の色川武大で書いた作品は、どれも自身の抱えた屈託を形を変えつつ綴っているだけとも言えるが、読むといつも救われた気持ちになる [続きを読む]
  • 窓ぎわのトットちゃん
  • 黒柳徹子「窓ぎわのトットちゃん」戦後最大のベストセラー。少女の成長物語や、教訓に満ちた児童文学としても非常に面白いし、教育論としても今なお読まれる価値がある。尋常小学校を退学させられ、トモエ学園に入ったという著者の経歴はよく知られているが、多様な個性をそのまま受け入れ、児童の自主性を尊重する先進的な教育をしていた学校が戦前からあったことにまず驚かされる。同時に、そうした教育が70年以上経った今なお定 [続きを読む]
  • 金色機械
  • 恒川光太郎「金色機械」時代小説×ファンタジー。珍しい組み合わせのようで、実際には漫画や娯楽小説、八犬伝などの古典から様々な民話にまでさかのぼる日本文学においては鉄板のテーマ。危険を察知する天賦の才能に恵まれた遊廓の大旦那と、触れた者の命を奪うことが出来る能力を持った女。二人の半生を、金色様と呼ばれる(C-3POを連想させる)未来から来たアンドロイドの存在が繫ぐ。入り組んだ複数のドラマに、安直な予想を裏 [続きを読む]
  • あの夕陽 牧師館 日野啓三短篇小説集
  • 日野啓三「あの夕陽 牧師館 日野啓三短篇小説集」日野啓三の短編集。表題の二作に加えて、戦地で失踪した記者の行方を追うデビュー作の「向こう側」など全八作を収録。幼年時代を植民地の京城で過ごし、その後に新聞記者としてベトナムやソウルで特派員をしていた自らの経験を下敷きとした私的な作風ながら、そこに戦後日本で都市生活を送る虚無感のようなものが滲んでいる。「あの夕陽」は芥川賞受賞作。主人公の男は張り合いの [続きを読む]
  • 鞄の中身
  • 吉行淳之介「鞄の中身」長ければ良い小説というものではないし、凝った文章が豊かであるとも言い切れない。吉行淳之介の短篇は極めて短く、これ以上ないくらい平易な文体で綴られている。それでもそこには複雑な陰影と、長篇小説に劣らぬ広がりがある。300ページほどの文庫本に、19本の短篇が収められている。表題作は、自らの遺体を鞄に詰めて誰かから逃げる夢の話。そのほか、かつての恋人から大量の下着を贈られて戸惑う男の話 [続きを読む]
  • アジア未知動物紀行 ベトナム・奄美・アフガニスタン
  • 高野秀行「アジア未知動物紀行 ベトナム・奄美・アフガニスタン」ベトナムの「フイハイ」、奄美大島の「ケンモン」、アフガニスタンの「ペシャクパラング」。ミャンマーやソマリアのルポで高い評価を受ける著者だが、大学時代のデビュー作「幻獣ムベンベを追え」から一貫して未確認動物=UMAの探求にも力を入れていて、トルコ・ワン湖周辺を舞台とした「怪獣記」など、一連の著作はいずれも面白い。結論が「見つかった」ではない [続きを読む]
  • くるぐる使い
  • 大槻ケンヂ「くるぐる使い」ミュージシャンとして活躍する傍ら、作家としても多数の小説やエッセイを発表している大槻ケンヂの短編集。オカルト、SF風の5編が収められている。表題作と「のの子の復讐ジグジグ」は星雲賞の受賞作。表題作は気が触れてしまった少女=くるぐるを見世物として各地を転々とした男の回想。他の短編も含め、どれも精神的に病んだ登場人物が現れ、グロテスク(外面的な気持ち悪さというより、精神的な) [続きを読む]
  • 不死身の特攻兵 軍神はなぜ上官に反抗したか
  • 鴻上尚史「不死身の特攻兵 軍神はなぜ上官に反抗したか」陸軍の最初の特攻隊「万朶隊」の隊員で、9回出撃し、通常攻撃や機体の故障などで9回とも生きて帰ってきた佐々木友次氏の記録。亡くなる2カ月前までの貴重な証言が収められている。海軍の敷島隊などに続いて陸軍で編成された万朶隊は、1944年11月からレイテ湾に繰り返し出撃した。失敗の許されない第1陣としてベテランが集められたが、プライドを持った操縦士にとって、 [続きを読む]
  • 海と毒薬
  • 遠藤周作「海と毒薬」戦時中に九州帝大で行われた米兵捕虜に対する生体解剖事件を題材とした作品。著者の初期の代表作の一つで、手術に立ち会った医学生や看護師のそれまでの人生を描きながら、日本人における罪の意識のあり方を浮かび上がらせる。太平洋戦争末期、西部軍は処遇に困った捕虜を裁判を経ずに死刑と決め、生体解剖の実験台として医学部に提供した。どこまで肺を切除して生きられるか。どこまで塩水が血液の代わりを務 [続きを読む]
  • 深い河
  • 遠藤周作「深い河」著者の最晩年の作品で、生涯のテーマである宗教と日本人に関する考察の到達点とも言うべき長編。約20年ぶりに再読。亡き妻や戦友への思いを抱えてインドへのツアーに参加した4人の男女と、欧米のキリスト教の教義になじめないまま、各地の修道会を転々とし、最後にインドに辿り着いた1人の男。5人の日本人の物語が、ガンガーのほとりで交錯する。そこで生と死、清と濁、聖と邪の境界はあいまいとなり、著者の [続きを読む]
  • 美しい顔
  • 北条裕子「美しい顔」(群像2018年6月号)震災で母を亡くした少女が、日常に戻ることを拒絶するかのようにカメラの前で“被災者”を演じる。芥川賞候補として発表された後、複数の無断引用箇所が指摘されたが、盗作か参考かという議論に個人的にはそれほど関心が無く、この作品を読んで一番に感じたことは、こうしたフィクションが書かれるようになるだけの時間があの日から経過したんだなぁということ。当事者の内面を第三者が創 [続きを読む]
  • 生家へ
  • 色川武大「生家へ」阿佐田哲也名義の作品には家族の話はあまり出てこないが、色川武大の小説では生家と父親のことが繰り返し語られる。無頼派として知られる作家だが、その根底には孤独と劣等感とともに、自身のルーツに対する深い愛惜がある。「生家へ」は回想に幻想が混じり合った連作短編。77〜79年にかけて発表され、幼い頃に級友たちになじめなかったコンプレックスと、屈託を抱えた高齢の父親との愛憎入り交じった関係がさま [続きを読む]
  • 小林賢太郎戯曲集 home FLAT news
  • 「小林賢太郎戯曲集 home FLAT news」ラーメンズの戯曲集。といっても長いものではなく、ト書きもはほとんどないコント台本。収録作は初期の名作「読書対決」など。かみ合わない、バカバカしい会話の中に、ふと、コミュニケーションや人間の本質的な滑稽さをついたようなやりとりがある。斜め上の発想と鋭いセンスに脱帽。戯曲のみでも十分楽しめるけど、ラーメンズのコントは微妙な間や二人の個性があってこそという側面もある [続きを読む]
  • ここは退屈迎えに来て
  • 山内マリコ「ここは退屈迎えに来て」郊外の国道沿いにチェーンのレストランや衣料品店が並ぶ無個性な地方都市。そんな街に暮らすことの“退屈”を主題とした短編集。主人公のほとんどは10〜20代の女性で、都会に出て行くことに憧れているか、かつて暮らした都会に心を残してきている。地方都市の描き方がステレオタイプすぎる気はするものの、そのステレオタイプがあながち間違いでもないのがまさに地方の閉塞感であり、地方から都 [続きを読む]
  • 宇喜多の捨て嫁
  • 木下昌輝「宇喜多の捨て嫁」戦国時代屈指の悪役で、謀将、梟雄と恐れられた宇喜多直家をめぐる連作短編集。表題作はオール讀物新人賞を受賞した著者のデビュー作だが、短編とは思えない広がりを持ち、作家としての大器を感じさせる。視点と時間が異なる6編の物語を通じて、宇喜多直家がなぜ家族の命をも顧みない冷酷な策謀家になっていったのかが明らかになる。手段を選ばない姿勢の裏にある覚悟と、幼少期の体験にまで遡る深い苦 [続きを読む]
  • 夜を賭けて
  • 梁石日「夜を賭けて」青々と茂った木々の間を、家族連れや観光客、ジョギングで汗を流す男女が行き交う。広大な敷地が緑に覆われ、穏やかな空気の流れる大阪城公園だが、1960年代までそこには見渡す限りの焼け跡が広がっていた。梁石日の「夜を賭けて」は、その焼け跡を舞台とした青春小説。アパッチ族と大村収容所という忘れられた歴史事実に光を当て、時代に翻弄され続けた在日コリアンの戦後史を描き出している。アジア最大の軍 [続きを読む]
  • 奇界紀行
  • 佐藤健寿「奇界紀行」“奇界遺産”の撮影を続けるカメラマンのエッセイ集。タイの地獄寺から、台湾のアウトサイダーアート村、トーゴの呪術市場、南米のUFO目撃スポットまで。さらに、イタリアでは澁澤龍彦の足跡を辿り、諸星大二郎とパプアニューギニアを訪れる。複数の媒体に書かれた長短さまざまな文章が混在しているため、一部やや物足りない章もあるものの、一風変わった旅行記として面白い。人間の想像力が生み出したもの [続きを読む]
  • 奇界紀行
  • 佐藤健寿「奇界紀行」“奇界遺産”の撮影を続けるカメラマンのエッセイ集。タイの地獄寺から、台湾のアウトサイダーアート村、トーゴの呪術市場、南米のUFO目撃スポットまで。さらに、イタリアでは澁澤龍彦の足跡を辿り、諸星大二郎とパプアニューギニアを訪れる。複数の媒体に書かれた長短さまざまな文章が混在しているため、一部やや物足りない章もあるものの、一風変わった旅行記として面白い。人間の想像力が生み出したもの [続きを読む]
  • ソングライン
  • ブルース・チャトウィン「ソングライン」オーストラリアの先住民アボリジナルは、広大な大地の上にソングラインと呼ばれる独自の道を持つという。木や岩、泉、大地の上に存在する無数のもの。それらを歌を通じて記憶し、伝え、旅をする。それは道というよりも地図であり、世界そのものの点描と言えるかもしれない。夭逝した英国の作家、ブルース・チャトウィンは、自身も旅を繰り返し、人はなぜ旅するのかということを問い続けた。 [続きを読む]
  • きなりの雲
  • 石田千「きなりの雲」編み物教室で講師を務める40代の女性を主人公とした恋愛小説。別れた恋人と再び縁がつながっていく日々が柔らかな筆で綴られる。最初から最後まで良い人しか出てこない。恋人に捨てられた主人公の女性は深く悩んでいるが、周囲の人々との関係の中で自然と癒されていく。切実な人生の悩みを小説に託したというよりは、こんなふうに悩んでみたいという願望に近い。編み物に向き合うときのように、ほどよい悩みは [続きを読む]
  • 中島らもエッセイ・コレクション
  • 「中島らもエッセイ・コレクション」(小堀純・編)中島らものエッセイ集。「生い立ち・生と死」「酒・煙草・ドラッグ」「文学・映画・笑い」「不条理と不可思議」「性・そして恋」など、テーマごとにまとめられたベスト盤的な内容。型破りな生き方をして早世したイメージが強い作家だが、丁寧に編まれた本書を通じて浮かび上がるのは、その博覧強記ぶりと、他者に向き合う時の真摯さだ。ニヒリストでありながら、ヒューマニスト。 [続きを読む]