長内那由多のMovie Note さん プロフィール

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長内那由多のMovie Noteさん: 長内那由多のMovie Note
ハンドル名長内那由多のMovie Note さん
ブログタイトル長内那由多のMovie Note
ブログURLhttps://blog.goo.ne.jp/nayutagp01fb-zephyranthes
サイト紹介文映画レビュー、俳優論など映画のことを中心としたブログ
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供148回 / 365日(平均2.8回/週) - 参加 2017/03/20 22:59

長内那由多のMovie Note さんのブログ記事

  • 『心と体と』
  • なんて繊細な映画なんだろう。しんしんと雪が降りしきる森の中で牡鹿と雌鹿が出会う。この世ならざる静謐な空間。度々、挿入されるこの場面はやがて主人公2人の見る夢とわかる。ハンガリーはブタペスト。食肉処理工場で管理職を務めるエンドレは人に心を閉ざした孤独な中年だ。バツイチ。右手はいつからなのか、障害を抱え動かす事ができない。おそらくそれも彼を卑屈にした原因の1つだろう。そこへ代理職員としてマーリアという [続きを読む]
  • 『トップ・ファイブ』
  • 日本劇場未公開がもったいない痛快ラブコメディだ。かねてよりエリック・ロメールをブラックムービーにアレンジするなど隠れシネフィルとしてのセンスを持ち合わせていたクリス・ロックだが、『ニューヨーク、恋人たちの2日間』で共演したジュリー・デルピーからの影響か、NYという借景も相まって“ウディ・アレン風ブラックムービー”とも言うべき粋な映画に仕上がった。もちろん、名匠をフォローしたからってオレ達のブラザー [続きを読む]
  • 『チャッピー』
  • ニール・ブロムカンプ監督の才気と若さが漲る快作だ。2016年、南アフリカはヨハネスブルグ。エビ型エイリアンはまだ飛来していないが、治安が悪化の一途を辿っていた街はロボット警官の導入を決定。圧倒的な戦闘力で犯罪撲滅に乗り出した。開発者のディオンはその1体にかねてから研究してきた人工知能(=AI)を搭載しようとするのだが、ニンジャとヨーランディのギャング夫婦にAIごと誘拐されてしまう。ギャング達は現金強奪の [続きを読む]
  • 『息子のまなざし』
  • 1999年『ロゼッタ』でカンヌ映画祭パルムドールを受賞し、頭角を現したダルデンヌ兄弟の2002年作。本作では主演のオリヴィエ・グルメがカンヌ映画祭男優賞を受賞した。ダルデンヌ兄弟は再びカメラを主人公の肩越に据えて撮り続ける。舞台は少年院を出所した子供達が通う職業訓練校だ。前半は主人公オリヴィエの行動が一体何を示すのか、動機のわからない不気味さが一種のサスペンスのような緊張感を生み出している。一見、無造作の [続きを読む]
  • 『レディ・プレイヤー1』
  • こんなデタラメなスピルバーグ映画は初めてじゃないだろうか?冒頭『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のデロリアンと『AKIRA』の金田バイクがカーチェイスを繰り広げ、その行く手に『ジュラシック・パーク』のT-REXとキングコングが立ちはだかる。何だそりゃ?全編この調子でポップカルチャーネタの絨毯爆撃だ。本筋に絡む重要キャラもいれば、セリフで言及されるネタ有り、そして画面の隅々にまさにイースターエッグの [続きを読む]
  • 『さよなら、僕のマンハッタン』
  • 巻頭早々、ジェフ・ブリッジスのダイアログを聞いて僕はポール・オースターや村上春樹、もちろんサリンジャーを思い出した。舞台はNY。人生に迷った青年、もちろん眼鏡をかけた文学青年が主人公だ。脚本を手掛けた新鋭アラン・ローブが彼らに影響を受けているのは間違いないだろう。だが、名匠たちの諸作を読んだ方がもっと建設的かも知れない。僕は歳を取り過ぎてしまったのだろうか?主人公トーマス・ウェブは20代後半、特に [続きを読む]
  • 『スプリット』
  • M・ナイト・シャマラン完全復活を世に知らしめた大ヒット作。『シックス・センス』のあの大どんでん返し以後、観客にサプライズを期待され、自らも半ばそれを課すようなキャリアを形成したためかやがて“過去の人”となってしまった異才だが、本作を見ると“交流”をテーマにした丁寧なストーリーテリングこそ本位としてきた人である事を思い出した。『シックス・センス』で僕たちが最も心動かされたのはブルース・ウィリスに訪れ [続きを読む]
  • 『インモータルズ 神々の戦い』
  • 版権料のいらないギリシャ神話に『グラディエーター』や『300』などの戦記モノを掛け合わせ、アメコミ風に仕上げる…そんなハリウッドの企画書が目に浮かぶような1本だが、飽きずに見る事ができるのは監督ターセム・シンによる独自の美意識の御陰である。名コンビとなっていた故石岡瑛子の衣装とターセムのシュールレアリスムが合致すれば、禍々しくも妖しいオーラが立ち上がり、目が離せない。このクセになるような中毒性は長 [続きを読む]
  • 『アンコール!!』
  • 予告編の印象から1ミリのズレもないが、節度を持って感傷を避けるのがイギリス映画である。人生の黄昏時を迎えた頑固な老人テレンス・スタンプが亡き妻ヴァネッサ・レッドグレーヴの遺志に応えようとする物語は夫婦愛と反抗がテーマだ。1950年代に“怒れる若者たち”と呼ばれたのが彼らであり、人生のエピローグを描く本作で彼らの最後の闘いが描かれる。老人合唱団“年金ズ”の選曲がロックばかりというのも清々しく、コンサート [続きを読む]
  • 『マッドマックス』
  • シリーズ第1弾は1979年、映画後進国だったオーストラリアから突然変異のように現れた。近未来、核戦争後の世界は暴力で支配され、主人公である警官マックスは凶悪な暴走族と熾烈な戦いを繰り広げる。既にV8インターセプターや当時、死者が出たと都市伝説化したアクションスタント、ケレン味たっぷりの悪役といったシリーズのアイコンは確立されており、今見ても色褪せない面白さがある。しかし、そのスタイルがより顕著になった [続きを読む]
  • 『マッドマックス2』
  • 前作の大ヒットを受けて10倍もの製作費がかけられたシリーズ第2弾。“マッドマックスと言えば2だろ!”という熱狂的ファンを生み出し、日本では『北斗の拳』を生み出す等、後の近未来SFモノに多大な影響を与えたんだぜヒャッハー!…とテンションがどうかしてしまうくらいこの映画は振り切れている。砂漠のど真ん中にある油田を狙う無法暴走族軍団は政府も地球自然も壊滅したのになぜかロックンロールを信奉しており、このモヒ [続きを読む]
  • 『アリスのままで』
  • 老いは誰にも平等に訪れるが、主人公アリスは人生の充実期である50歳で若年性アルツハイマーを発症してしまう。言語学者としてキャリアを築いてきたアリスにとって言葉を失う事はアイデンティティの喪失と同義だ。自分を自分たらしめるものとは何なのか。still Alice=アリスのままでいる事とは何なのか。センシティヴなモチーフに対してリチャード・グラッツァー、ウォッシュ・ウエストモアランドの演出は時に大仰になり過ぎるき [続きを読む]
  • 『ターナー、光に愛を求めて』
  • 市井の人々を独自の演出手法で描いてきたマイク・リー監督がロマン主義の画家ターナーの伝記映画を撮ったと聞いて驚いたが、当のターナーは庶民的な人であり、自作を全て国へ寄贈するという気取らない人柄であったという。そういう意味ではマイク・リーらしい題材であり、インスピレーションを求めて諸国を放浪し、風景画にこだわり続けた巨匠の作家性と人柄を紐解いている。特異な人ではある。年老いた父と同居し、自分の妻子はと [続きを読む]
  • 『グローリー 明日への行進』
  • 新鋭女流監督エヴァ・デュヴァネイ監督によるこの堂々たる伝記映画は実録モノの域を超え、力強い怒りと主張が胸に迫る高潔な志の1本だ。それは押しつけがましい説教ではなく、実現困難なキング牧師伝記映画を成功させようという確固たる意志に基いており、時代に逆行している暴力的で差別的な昨今だからこそより激しく胸を打つ。しかしながらその姿は眩し過ぎたのか、全米批評家から大絶賛を浴びながらもアカデミー賞では2部門の [続きを読む]
  • 『アナイアレイション-全滅領域-』
  • 油膜のように滑り光るそれを主人公たちは“シマー”と呼ぶ。徐々に拡大を続けるこの膜の中では電波も磁場も遮断され、生命のDNAは分裂し、新たな進化を遂げる。立ち入った人間は誰一人として帰って来れない“全滅領域”だ。ナタリー・ポートマンら女性科学者5人が未知の世界の探検に挑む本作はSFホラーのイントロダクションだが、『エクス・マキナ』で僕らを驚かせたアレックス・ガーランド監督はそんなジャンル映画に収めた [続きを読む]
  • 『ブラックパンサー』
  • 歴史的な大ヒットである。黒人監督、黒人キャストによるスーパーヒーロー映画『ブラックパンサー』製作の報を聞いた時、マーベルならではの時代に即したブラックスプロイテーション映画を作るのだろうなと予想していたが、蓋を開けてみればそんなジャンル映画の域に留まらない奥行と力強さを持った、マーヴェル・シネマティック・ユニバース屈指の傑作になっているではないか!舞台となるブラックパンサーの祖国ワカンダ王国のラン [続きを読む]
  • 『15時17分、パリ行き』
  • 御年87歳、巨匠イーストウッドの最新作はまるで一筆書きの水墨画の如くシンプルを極めた作品だ。ここ10年、実在の人物を扱った実録モノを手掛けてきた御大は本作で評伝としてのドラマ性を捨て、さらにはスターどころか俳優も捨て、事件に遭遇した当事者本人達に演じさせるという実験性で2015年にパリ行きの列車内で起きたテロ事件を描いている。ランニングタイムは前作『ハドソン川の奇跡』同様、わずか90分強。ここには90年代、ベ [続きを読む]
  • 『君はonly one』
  • いわゆる“難病モノ”だが、監督ステファニー・ラング、脚本ベス・ウォールにはユーモアと節度があり時折、ドライにも思えるアプローチで感傷を避けて、他人の不幸で涙する我々を「オマエには関係ない」と突き放しもする。そこに僕らはこの映画の誠実さを見出すのだ。子供の頃から常に一緒のサムとアビー。ついに妊娠かも…と直感して病院に向かったが、身体の中にあったのは特大の腫瘍だった。アビーは“終活”を始める。普通の難 [続きを読む]
  • 『グレイテスト・ショーマン』
  • 1800年代に活躍した伝説的興行師P・T・バーナムを描く本作は彼のとりとめのないコレオグラフィ同様、盛り沢山の映画だ。今や現存する最後のミュージカル映画スターとなったヒュー・ジャックマン扮するバーナムは深窓の令嬢チャリティと恋におち、駆け落ちする。箱庭感あるプロダクションデザインの世界でも血の通った存在感を見せるチャリティ役ミシェル・ウィリアムズの歌声は貴重であり、彼らの夫婦愛が映画の縦軸だ。やがてバ [続きを読む]