落合順平 作品集 さん プロフィール

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落合順平 作品集さん: 落合順平 作品集
ハンドル名落合順平 作品集 さん
ブログタイトル落合順平 作品集
ブログURLhttps://blog.goo.ne.jp/saradakann
サイト紹介文現代小説を中心に、連載で小説を書いています。 時々、画像もアップします。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供73回 / 365日(平均1.4回/週) - 参加 2017/03/26 04:19

落合順平 作品集 さんのブログ記事

  • オヤジ達の白球(68)カーポート倒壊
  • オヤジ達の白球(68)カーポート倒壊 ドサリ。雪の落ちる音が聞こえてきた。かたまりが、どこかでまとめて落ちたような音だ。 祐介が、おもわず足をとめる。すぐ前方。洒落た2階建ての庭から、雪煙があがっている。音はそこから響いてきたようだ。垣根越しに祐介が、中の様子を覗き込む。信じられない光景が目に飛び込んできた。 「えっ・・・」 カーポートの支柱が、ぐにゃりと折れ曲がっている。アルミの屋根が落ち、停めて [続きを読む]
  • オヤジ達の白球(67)大型重機
  • オヤジ達の白球(67)大型重機 前方から重機がやってきた。前面にアームとブレードを備えている。ホイルローダと呼ばれる重機だ。キャタピラではなく、タイヤを履いている。 工事現場で土砂の積み込みや、骨材の積み込みなどの作業を中心にこなす重機だ。雪の多い地域では、除雪作業に使われることもある。鋼鉄製の排土板が降り積もった雪を、歩道側へ押しのけていく。ゆっくり前進してきたホイルローダーが、祐介のとなりでピタ [続きを読む]
  • オヤジ達の白球(66)70mのジャンプ台
  • オヤジ達の白球(66)70mのジャンプ台 2階から陽子が降りてきた。眠そうな目だ。物音で目が覚めたのだろう。髪はベッドで乱れたまま。ピンクのパジャマの胸に愛犬のユウスケを抱いている。  「あらぁ・・・たいへんな事態です・・・」 赤い目がボンネットの凹みと、毛布にくるまれた祐介を交互に見つめる。何が発生したのか、ようやく理解したようだ。   「4時頃だったかしらねぇ、雨が降り始めたのは。 風も強くなってき [続きを読む]
  • オヤジ達の白球(65)屋根から落ちる雪
  • オヤジ達の白球(65)屋根から落ちる雪  ドサッ。物音で祐介が目を覚ます。(なんの音だ。いまの音は・・・)こたつの中で身体の向きをかえる。 横になった瞬間、そのまま眠りに落ちていたようだ。陽子がかけてくれたのだろう。動いた瞬間、ピンクの毛布がずれ落ちていく。部屋の中はあたたかい。ストーブは赤々と燃えているし、電気も点いたままだ。 ドサッ。また表から重たい物音が響いてきた。 こたつから出た祐介が膝で、 [続きを読む]
  • オヤジ達の白球(64)ホワイト・バレンタイン
  • オヤジ達の白球(64)ホワイト・バレンタイン  2月14日。時計は午前3時をまわった。雪のやむ気配はみえない。時間とともにしんしんと降り積もっていく。 陽子が猫間障子に手をかける。猫間障子の下半分に、ガラスがはめこまれている。そのうえに開閉できる小障子がついている。もともとは猫が出入出来るよう、小窓があいていた。 雪見障子というものがある。こちらは最初から下半分がガラスになっている。部屋に居ながらにして [続きを読む]
  • オヤジ達の白球(63)遣らずの雪?
  • オヤジ達の白球(63)遣らずの雪? 高台の道に、車が走った跡は残っていない。住民たちは、早い時間からそれぞれの家にこもっているようだ。点々と連なる外灯の下。白い布団をひろげたような雪道がどこまでもつづいている。 縁石の部分だけわずかに、こんもり段差がある。段差の間を慎重に通過しながら祐介の車が、陽子の家の庭へ入っていく。玄関へ正対する形で停車する。 「遠慮しないでなるべく近くへ停めて。 短いブーツを [続きを読む]
  • オヤジ達の白球(62)中華まん
  • オヤジ達の白球(62)中華まん 祐介がアクセルを踏む足に、すこしだけ力を込める。雪道にあせりは禁物。ましてここは高台へむかう心臓破りの急坂の途中。 空転したタイヤは、雪に溝を掘る。そうなると、雪用のタイヤでも雪にはまることがある。頂上まであとすこしというところで祐介が「あ・・・」と急ブレーキを踏む。 ロックされたタイヤが、ガツガツと車体を揺らす。しかし新品のスノータイヤの効き目は抜群だ。左右にふられ [続きを読む]
  • オヤジ達の白球(61)おくりオオカミ
  • オヤジ達の白球(61)おくりオオカミ 午後6時。薄墨色の空から舞い降りてくる雪が、激しさを増してきた。闇が濃くなってきた。雪の粒がさらにおおきくなる。居酒屋から駆けだした男たちがたちまちの雪だるまになりながら、八方へ散っていく。 「祐介。みんな帰っちまったよ。 臆病風に吹かれて全員、急いでわが家へ戻って行っちまったねぇ」 戸口に立った陽子が、祐介を振り返る。 「しかたねぇさ。この雪の、この降り様だ。  [続きを読む]
  • オヤジ達の白球(60)車の立ち往生
  • オヤジ達の白球(60)車の立ち往生 「愛人と国道17号で立ち往生?。 もう、そんなに降っているのか、水上方面も」 事務室で談笑していたはずの柊が2人の背後へ、携帯を片手に戻ってきた。 「えっ。ということはほかにもまだ、立ち往生が発生している道路があるのですか?」 慎吾の問いかけに、「まぁな」と柊が苦笑を見せる。 「県庁から緊急の呼び出しが来た。 県内の国道と県道の通行の安全を確保するのが、俺の仕事だか [続きを読む]
  • オヤジ達の白球(59)雪の接近
  • オヤジ達の白球(59)雪の接近  2月13日午後3時。空が灰色の雲におおわれてきた。雪雲の接近が朝の天気予報よりも、はるかに速い。チラチラと、綿毛のような白いかたまりが空から舞い降りてきた。 午後4時。駐車場の全体が白くなる。 「積もりそうだ。駐車場が白くなってきた」 「地面が乾いているからな。それで白くなるのが早いのさ」 車の屋根が白くなってきた。表の様子を心配そうに見つめている慎吾の背後へ、北海の熊 [続きを読む]
  • オヤジ達の白球(58)バレンタインデー前日
  • オヤジ達の白球(58)バレンタインデー前日  朝の天気予報が、南岸低気圧が接近していることをつげた。 日本列島の南岸を発達しながら東に進んでいく低気圧を、南岸低気圧と呼ぶ。冬から春にかけて発生することがおおい。発達すると太平洋側に、大雪や大雨を降らせる。特に東京を含む関東地方南部に降る大雪は、この南岸低気圧によるものがおおい。 しかし、2月13日の朝はしずかにあけた。大荒れの天候がやってくるとは思えな [続きを読む]
  • オヤジ達の白球(57)バッティング・センター
  • オヤジ達の白球(57)バッティング・センター   12月になるとソフトボールはオフシーズンはいる。寒い中。重い球を無理に投げると肩を痛める。身体も硬くなり怪我をしやすくなる。野球部は練習をひかえ、サッカーボルを追いかけてひたすら体を鍛える。それほど真冬の群馬はとにかく寒い。 群馬の真冬は強風が吹く。空っ風とよばれる季節風だ。風速は平均で10メートル以上を記録する。「上州のからっ風」として知られ、赤城おろ [続きを読む]
  • オヤジ達の白球(56)全力疾走
  • オヤジ達の白球(56)全力疾走  「昔の坂上がどんなやつかは知らん。 だが敵に背中を見せて逃げ出すのは、卑怯者のすることだ。 坂上は自分で作り出した事態の責任もとれない、意気地なし男だ。 そんなやつは、大嫌いだ!」  北海の熊が舌を鳴らす。見かねた寅吉が寄って来た。 「そんな風に決めつけるな。そんな風に斬り捨てたら坂上が可哀想だ。 やつにだって事情がある。 投げ始めてまだ、3ヶ月だぜ。 その程度で投 [続きを読む]
  • オヤジ達の白球(55)初優勝
  • オヤジ達の白球(55)初優勝 4番にキュウリ農家をくわえたドランカーズの、快進撃がはじまる。20対0で初戦を快勝。つづく2回戦も12対2の楽勝ゲーム。これで2連勝。Aブロックの暫定1位として、1日目の日程をおえる。 ソフトボールには、コールドゲームの規定がある。これまでは、5回以降7点差。今年から新たに3回以降15点差、4回以降10点差という規定が追加された。これらは公式の競技会で適用される。親睦大会において [続きを読む]
  • オヤジ達の白球(54)親睦大会
  • オヤジ達の白球(54)親睦大会  親睦大会の日がやってきた。心配された台風は昨日、予定よりはやく、はやばや通過していった。台風一過の青空が早い時間からひろがる。 午前5時。小山農場のハウスの前へ、メンバーたちが集まって来た。陽子が、まだ寝ぼけ顏の男たちに、収穫用のキュウリ・カッターを配っていく。そのとなりで柊が定規を手渡す。 「カッターは利き手の親指にはめて使う。 まず片手でキュウリをつかむ。つかん [続きを読む]
  • オヤジ達の白球(53)心意気
  • オヤジ達の白球(53)心意気 採りたてのキュウリは鮮度が違う。折った瞬間、透明の水がしたたり落ちる。キュウリは95%が水分といわれている。カリウムが含まれている。しかし栄養はほとんどない。ギネスブックで世界一栄養価の低い野菜として、認定されている。 「栄養はほとんど有りません。しかしそのぶん効能が有ります。 カリウムが余分な水分を外に出してくれます。むくみの解消に効果があります。 イソクエルシトリンと [続きを読む]
  • オヤジ達の白球(52)有機栽培キュウリ
  • オヤジ達の白球(52)有機栽培キュウリ 国道を西へ走った車が10分後、ビニールハウスが密集する一帯へハンドルをきる。群馬県東部のこのあたりに雪は降らない。露地の野菜畑も見られるが、それ以上にビニールハウスを使った野菜生産が盛んだ。  栽培される野菜は多岐にわたる。5〜6月をピークに、7月中旬まで生産される小玉スイカ。トマト本来の糖度5〜6度を超え、スイカに迫る糖度をほこる「高糖度トマト」。ホウレンソウや小 [続きを読む]
  • オヤジ達の白球(51)郊外へ
  • オヤジ達の白球(51)郊外へ 車が橋を渡る。郊外へ出る。運転しているのは柊。助手席に監督の祐介。後部座席に陽子が座っている。 「ひとつ聞く。つきあっているのか、おまえさんたちは?」 前を向いたまま柊が、祐介に語りかける。 「難しいな。どの程度からつきあっていると言うのかな?」 「ハグする。軽く触れる。このあたりまでならセーフだ。 しかしそれ以上の行為になると、付き合っていることになる。 寝たかもう、 [続きを読む]
  • オヤジ達の白球(50)同志愛
  • オヤジ達の白球(50)同志愛  「そう言う柊こそ、何してんだ? うろうろ歩き回って大丈夫なのか。足はもういいのか?」 「医療用のインソールを、靴の中へ入れてある。 痛みは残っているがこいつのおかげで、ずいぶん楽になった」 「そいつは何よりだ。おまえさんが欠けるとチームの得点力が落ちるからな」 「そのことなら心配はいらねぇ。 俺よりずっと役に立つ男を見つけ出した。 バッターとしても強力だ。だがそれ以上 [続きを読む]
  • オヤジ達の白球(49)それから二週間
  • オヤジ達の白球(49)それから二週間 練習試合の夜から二週間が経った。赤城山の山頂で紅葉がはじまった、というニュースが今朝のテレビで流れた。 「もうそんな時期か、世間は紅葉の季節か・・・」 岡崎が渡良瀬川の土手から、北にそびえる赤城山を見上げる。紅葉がはじまったという赤城山はここからは、峰が5つ、横につらなって見える。カチャリと音がして背後で、自転車が停まった。 「なにやってんだお前。そんなところへ [続きを読む]
  • オヤジ達の白球(48)足底筋膜炎(そくていきんまくえん)
  • オヤジ達の白球(48)足底筋膜炎(そくていきんまくえん)   「いてて。こんなときに持病の足底筋膜炎が再発しゃがった!」 柊がグランドへ座り込む。あまりの苦痛に顔がゆがむ。足の裏には足底筋膜と呼ばれる薄い膜がある。幅の広いこの腱がかかとの骨から、足指の付け根までをカバーしている。 足は、弓状(アーチ)に体重を支えている。弓の弦のようにピンと張り、足のこの構造を支えているのが足底筋膜。丈夫なはずのこの [続きを読む]
  • オヤジ達の白球(47)特大のホームラン
  • オヤジ達の白球(47)特大のホームラン 投球は、3ボール・2ストライクのフルカウント。投手が勝負の投球へはいる。(最後の球はおそらく、一番自信をもっている渾身のストレート)  柊はそう読んでいた。2球続いたライズボールは、最後にストレートを投げるための伏線に過ぎない。勝負球はライズボールの軌道に似た、高目いっぱいのストレート。打者がつられてもっとも手を出しやすい場所へ、勢いのあるボールを投げ込む。それ [続きを読む]
  • オヤジ達の白球(46)駆け引き
  • オヤジ達の白球(46)駆け引き  ホームランを打った瞬間。打者のテンションは一気に上昇する。どっと溢れてきたアドレナリンが、脳全体を支配する。 とくに魔球のライズボールをホームランしたときは、別格だ。たまらなく気持ちがいい。ライズボールには強い回転がかかっている。そのため、『芯に軽く当たっただけで長打が期待できる変化球』でもある。それがライズボールという変化球の宿命だ。 (だが、下から浮き上がってく [続きを読む]
  • オヤジ達の白球(45)右へ左へ 
  • オヤジ達の白球(45)右へ左へ  1球目。投手が思い切り前へ跳びだす。するどく振られた指先から、回転の効いたボールが飛びだしてくる。(勝負球のライズボールか。臨むところだ) 負けじと柊も右足を大きく踏み込む。外角ぎりぎりのストライクコースへ、ライズボールが浮き上がって来る。(あわてるな。ぎりぎりまでひきつけて、しっかり上から叩くんだ)目の前へボールがぐわりと浮き上がって来る。(いまだ!)渾身の力でバ [続きを読む]
  • オヤジ達の白球(44)千両役者登場 
  • オヤジ達の白球(44)千両役者登場   「ようやく場面が整った。ということは次は俺の出番だな」 岡崎がバントを決めて一塁にゆうゆうセーフになる。それを見届けた柊が「つぎは俺の番だ」と、バットを握りベンチから立ち上がる。 「ベンチの諸君。お前さんたちの出番は、もう来ないぞ。 俺が、ここで代打サヨナラホームランを打つ。 今夜のヒーロはこの俺だ。 岡崎と俺がグランドを一周してくれば、この試合はそれでジ・エ [続きを読む]