落合順平 作品集 さん プロフィール

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落合順平 作品集さん: 落合順平 作品集
ハンドル名落合順平 作品集 さん
ブログタイトル落合順平 作品集
ブログURLhttp://blog.goo.ne.jp/saradakann
サイト紹介文現代小説を中心に、連載で小説を書いています。 時々、画像もアップします。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供60回 / 236日(平均1.8回/週) - 参加 2017/03/26 04:19

落合順平 作品集 さんのブログ記事

  • オヤジ達の白球(34)千佳を守る三銃士
  • オヤジ達の白球(34)千佳を守る三銃士   「ほう。素人じゃないな。グランド整備もなかなかのもんじゃ」 謎の女のうしろを歩いてきた初老の男が、賞賛の声をあげる。試合で使ったあとの球場は、スパイクの跡で穴だらけになる。 スパイクの穴の跡にだけトンボをかけて、あとをハケで表面をなでてしまえば見栄えは綺麗になる。しかしこれではスパイクで踏みつけた部分の土の硬さと、踏んでいない土の部分の硬さに違いがでてしま [続きを読む]
  • オヤジ達の白球(33)いざ決戦
  • オヤジ達の白球(33)いざ決戦  練習試合の当日がやって来た。集合時間は6時だが、午後5時を過ぎた頃から消防団員たちが集まって来た。寅吉が、「悪いなぁ」と若い者たちに声をかけていく。 「先日様子を見に来たら、荒れ放題になっていました。 何か有ってからでは困ります。 グランド整備に時間がかかると思い、5時に来られる奴は全員集まれと 号令を出しておきました」 団長の篠原が、最敬礼で寅吉を出迎える。 「あり [続きを読む]
  • オヤジ達の白球(32)練習試合
  • オヤジ達の白球(32)練習試合  チーム名が決まった。常連客たちで結成されたソフトボールのチーム名は、「ドランカーズ」。ドランカーでは誰が聞いても、あまりにも露骨すぎるだろうという反対の声が出た。 しかし。「どこからどう見ても酒を呑むしか能のない俺たちだ。根っからの飲んべェの集まりだ。いまさら格好をつけてもはじまらねぇだろう。という寅吉の一声で「それもそうだな」と全員が、しぶしぶ手を挙げた。 対戦相 [続きを読む]
  • オヤジ達の白球(31)ミスターX
  • オヤジ達の白球(31)ミスターX 「投げるときは、まっすぐキャッチャーへ向かって足を踏み込む。 大切なことは投球動作の開始から投げ終わるまで、キャッチャーのミットを しっかり見続けることだ」 「えっ。たったそれだけでコントロールが良くなるのか?」 「当たり前だ。これは基本中の基本だ。 この程度のことが出来なければ、今後の上達の見込みはまずない。 つぎに腕の力だけで投げようとしないことだな。 下半身を [続きを読む]
  • オヤジ達の白球(30)ソフトボールの投げ方 
  • オヤジ達の白球(30)ソフトボールの投げ方   練習開始から10分。坂上はすでに、見るからにクタクタ状態になっている。投げるたびに大暴投がつづく。そしてそのたび、ボール拾いに駆け回る。 「なんでぇあの野郎。10分もしないうちにもうクタクタかよ。 あの程度でスタミナが切れているようじゃ、試合じゃ使い物にならねぇな」 土手の上で、熊が毒づく。 「球威はある。だがコントロールが悪い。そのうえスタミナも無い。  [続きを読む]
  • オヤジ達の白球(29)大暴投
  • オヤジ達の白球(29)大暴投  準備運動もしないまま、坂上が投球の態勢に入る。身体はまっすぐ伸ばしたまま。棒立ちだ。ポンポンとグローブの中でボールを弾ませたあと、2本の指でボールを握る。 「なんだぁ、あの野郎。2本の指でボ―ルを握ったぞ・・・」 「えっ、2本じゃまずいのか。ソフトボールの場合は?」 「当たり前だ。2本で握るのは野球のボールだ。 ソフトのボールは、野球のボールよりはるかに大きい。 だからソ [続きを読む]
  • オヤジ達の白球(28)準備運動
  • オヤジ達の白球(28)準備運動 「なんでぇ。誰が現れるのかと思えば、三日坊主の坂上じゃねぇか」 面白くネェな。なんでぇ、見る価値なんかゼロだと熊が舌を打つ。 「まぁそう言うな。これからが見どころだ。 やっこさんがあそこでいったい何をはじめるか、その眼でしっかり確かめてくれ」 ただとは言わねぇぜ、ほらと目の前に2本目の山崎12年ものを差し出す。今度はミニボトルではない。180ミリリットルが入っているハーフサ [続きを読む]
  • オヤジ達の白球(27)12年ものの「山崎」
  • オヤジ達の白球(27)12年ものの「山崎」 それから数日後の日曜日。岡崎が渡良瀬川の河川敷へ、北海の熊を呼び出した。時刻は午後の5時。 このあたりの川幅はひろい。しかし水の流れは細い。上流にダムがつくられたためかつての流れが、半減している。 ひろい河川敷に、サッカー場と軟式野球のグランドがある。隣接する駐車場の片隅に、薄汚れたテニスの壁打ちの壁が残っている。待つこと10分。サングラスをかけた熊が自転車に [続きを読む]
  • オヤジ達の白球(26)不謹慎発言
  • オヤジ達の白球(26)不謹慎発言 「好きだねぇ、江戸時代の庶民も池上正太郎も。男女の不義密通が!」 「あんたほどスケベじゃないと思うよ。小説の中の話だもの」 「どう言う意味だ。聞き捨てならねえなぁ、陽子!」 「あら、気に障ったかしら。でも、感じたことを素直に口に出しただけのことよ。 ホントはスケベなんでしょう、あんたって?」 「まぁな。大好きとは言わないが嫌いとも言えねな。 第一よ。この世に生まれた男と [続きを読む]
  • オヤジ達の白球(25)不義密通
  • オヤジ達の白球(25)不義密通 「男女の不倫も、江戸時代じゃ不義密通か。 なんだか、いかにも犯罪という雰囲気が、ムンムンしているなぁ」 「あたりまえよ。 今も昔も不倫は、道に外れた男と女の関係だ。立派な犯罪さ。 でもね。この不義密通を奉行所へ訴え出ると、家の恥を世間にさらすことになる。 士農工商の頂点にたつ武家の場合、とくに不具合がおおい。 『家内不取締り』を理由に、減俸されるなど、上から厳しい処分 [続きを読む]
  • オヤジ達の白球(24)千両役者
  • オヤジ達の白球(24)千両役者 「詳しいねぇ。もと文学少女は。 江戸庶民の暮らしぶりが目に浮かぶようだぜ。実に博学だ」 「食品の値段も書いてあった。お豆腐は1丁12文で、390円。 お味噌は量によってさまざま。12文から〜100文くらいまで差が有る。 いまよりもずいぶん高い。390円から〜3250円もするんだから。 お蕎麦は1杯、16文で520円。 お酒はお銚子1本、12文。390円。 そんな中、鰻丼は、1杯が100文で、なんと3250円 [続きを読む]
  • オヤジ達の白球(23)もと文学少女
  • オヤジ達の白球(23)もと文学少女 湿布薬を貼り終えた祐介が、「さっきの話だが」と陽子の顔を見上げる。 「さっきの話?。ああ、男と出て行ったあの主婦のことかい。 旦那は普通のサラリーマン。子どもはいない。 旦那さんは真面目な人だけど、どういう仕事なのか、とにかく出張がおおい。 ながいときは、2週間も留守になる」 それが不倫に走った原因なのかなぁ、と陽子が声をひそめる。 「そういえば最近、奥さんの生活 [続きを読む]
  • オヤジ達の白球(22)深夜のネズミ
  • オヤジ達の白球(22)深夜のネズミ 女の肩を抱き寄せた柊が、闇の中へ消えていく。 「ふん。なんでぇ。見せつけやがってあの野郎。どういうつもりだ一体全体。めずらしく顔を見せたと思ったら、密会の場を堂々と俺に見せつけるなんて・・・どういう神経をしているんだ、あいつは。不倫のせいで家庭が崩壊したって知るもんか。好きにしやがれ!」 毒づいている祐介に耳へ、ガタンと路地から物音が響いてきた。 (なんだ、いまの [続きを読む]
  • オヤジ達の白球(21)薄化粧の女
  • オヤジ達の白球(21)薄化粧の女 それから10分が経過した。人がやって来た気配がする。柊の約束の人だろう。遠慮気味に、カラカラとガラス戸が開く。30代半ばと思われる女性が、不安そうな顔で店の中を覗き込む。  「よう。来たな。こっちだ。 悪かったな。こんな汚い居酒屋なんかへ呼び出して。 心配するな。遠慮することはねぇ。無理を言って閉店間際に入れてもらった。 誰もいないから安心して入ってこい」 女の顔を見た [続きを読む]
  • オヤジ達の白球(20)総合木土職
  • オヤジ達の白球(20)総合木土職  閉店間際、珍しい男が姿を見せた。アイロンの効いたYシャツに、青いストライプのネクタイを締めている。ただし上着は、背広ではない。見るからにアイロンの効いた土木の作業着を着ている。「よう。すこしいいか?」 祐介の返事も待たず、男は勝手に椅子を引きカウンターへ腰を下ろす。 「待ち合わせの約束をした。 そういうわけだ。邪険な顔をしないで、たまには飲ませてくれ」 男は祐介の [続きを読む]
  • オヤジ達の白球(19)背番号
  • オヤジ達の白球(19)背番号 背後が急に静かになった。さきほどまでの喧騒が、嘘のように静かになった。入部希望の男たちが岡崎がひろげた紙を、食い入るように見つめている。 「あら。急に静かになりましたねぇ。 どうしたんでしょう。今度はいったい、何が始まったんでしょう・・・」 女が不思議そうに振り返る。真剣な顔をした男たちが、指名の順番を食い入るように待っている。 「いいか。公平に行くからな。 じゃまず、 [続きを読む]
  • オヤジ達の白球(18)国際審判員
  • オヤジ達の白球(18)国際審判員 「私がソフトボールと出会ったのは、中学の時です。 すぐ競技の魅力に取りつかれました。 白球を追いかける毎日がはじまりました。 でも進学先の高校に、ソフトボール部はありませんでした。 そのため、一時、競技から離れました。 私をたくましく育ててくれたのは、ソフトボールという競技のおかげです。 競技者でなくてもいいから、長く、この世界に携わっていきたいと思いました。 恩返 [続きを読む]
  • オヤジ達の白球(17)チームを作る
  • オヤジ達の白球(17)チームを作る  その数日後。いつもの時間に謎の美女がやってきた。女がいつものようにカウンターへ座る。その瞬間。男たちが腰をあげる。ぞろぞろと女の周りへ集まってきた。 「あら・・・珍しいですねぇ今日は。 でも、あたし、そんなに飲めません。 みなさんに一度に来られても、あたし、日本酒は、2杯が限度ですので」  ごめんなさい、期待に応えられなくて、と頭を下げる。最初に寄って来た岡崎が、 [続きを読む]
  • ご無沙汰しました
  •  ご無沙汰をいたしております。当人はいたって元気です。 昨日の26日、ナス農家の納会をむかえました。4月から取り始めたナスと格闘すること、えんえん、実に4ヶ月。ナスの木は大きく育ち、最大で2メートルをこえました。 急がし過ぎて、6月からは、朝6時からの収穫になました。1日、10時間をこえる農作業が続きました。カミさんと励ましあいながら、この1ヶ月。なんとかピークを無事に乗り越えました。 数日、休暇したあと、8 [続きを読む]
  • オヤジ達の白球(16)飲んべェのチーム
  • オヤジ達の白球(16)飲んべェのチーム 北海の熊が、大きなため息をひとつつく。 「たしかにガラの悪いチームだった。だけど妙に居心地は良かった。 だが親睦ソフトの大会で、ヤンキーやチーマーが大きな顔をしているようじゃ、 町の体協は迷惑だ。 買収事件をきっかけに、永久追放されたって文句は言えねぇさ」 じゃ帰るか俺もと、北海の熊が立ち上がる。「おい。最後まで話を聞いていかねぇのか」岡崎が熊をひきとめる。  [続きを読む]
  • オヤジ達の白球(15)土方(どかた)ヤンキー
  • オヤジ達の白球(15)土方(どかた)ヤンキー 土方とは道路工事や治水工事、建築の現場で働く作業員のことを指す。ただし。土方という表現には、差別意識がつきまとう。 作業員の中で特に資格や技術を必要としない部署で働く人や、日雇い労働者たちをイメージして使われる事が多い。丸山明宏(現:美輪明宏)の代表曲『ヨイトマケの唄』の中に、土方という表現がある。差別用語を使った曲として、放送禁止に指定された。しかし。 [続きを読む]
  • オヤジ達の白球(14)民事再生法
  • オヤジ達の白球(14)民事再生法 熊の勤めていた土木会社も、バブル崩壊の影響をまともに受けた。完工高は40億ちかくにふくれあがっていた。しかし。約束していた銀行からの融資が受けられず、5億の手形が落ちなくなる瀬戸際に追い込まれた。追い打ちをかけるように工事中だった大きな現場が、つぎつぎ完成していく。下請け業者への支払いの期日が切迫してくる。こうなると資金繰りが、ますます厳しい状況になっていく。 さいわ [続きを読む]
  • オヤジ達の白球(13)北海の熊
  • オヤジ達の白球(13)北海の熊  北海の熊は、その名の通り北海道出身。怪童と呼ばれ、野球で知られる某私立高校で甲子園出場を目指した。『プロを目指せる逸材』と一部の人たちから、熱い注目をあつめた。 しかし高校2年の夏。それまでの無理がたたり、ついに肩を壊した。野球選手が肩を壊せば致命傷になる。投手とくればなおさらだ。手術することも考えた。メスを入れれば1年以上、リハビリに専念することになる。それでは甲子 [続きを読む]
  • オヤジ達の白球(12)瓢箪から駒
  • オヤジ達の白球(12)瓢箪から駒  「あのやろう。 謎の女の気をひくため、こんどはソフトボールのピッチャーになるってか。 動機が不純すぎるなぁ。 そんなことでホントに投手になれると思っているのか、あいつは?」 北海の熊が呆れる。グビリと苦そうに酒を呑み込む。「そういうな」岡崎が熱燗徳利を持ち上げる。 「実のところ、俺だって半信半疑だ。 あいつの場合。長く続いた趣味がひとつもねぇ。 確かに熱しやすくて [続きを読む]
  • オヤジ達の白球(11)
  • オヤジ達の白球(11) 飽きっぽい男 居酒屋「十六夜(いざよい)」の閉店時間がちかづいてきた。祐介がいつものように、厨房で洗いものをはじめる。常連客がひとり、ふたりと勘定を済ませて帰っていく。 カウンターに北海の熊。小上がりにゴム職人の岡崎が残る。この2人は、いつも看板間際まで飲む。それもまた、いつものことだ。「どれ」熱燗をもって、北海の熊が立ち上がる。 「おい岡崎。ずいぶん熱心に坂上の話を聞いてい [続きを読む]