ネタバレ注意 映画や小説の感想は、ネタバレを気にせずに書いてあります。 ネタバレやオチを知ってしまうのが嫌な方はご遠慮ください。
『キングダム』 『甲鉄城のカバネリ 海門決戦』 『友罪』 『ブリグズビー・ベア』 『アベンジャーズ エンドゲーム』 『ガール・オン・ザ・トレイン』 『50回目のファースト・キス 2018』 『バイス』 『スマホを落としただけなのに』 「ハン・ソロ」 『三尺魂』 『ゆれる人魚』 『50回目のファースト・キス 2004』 『恋は雨上がりのように』 『スイスアーミーマン』 『娼年』 『斉木楠雄のΨ難』 『坂道のアポロン』 『グリーンブック』 『エヴォリーション』 『Search』 『blank13』 『いぬやしき』 『ファースト・マン』 『ミスター・ガラス』 『シンクロナイズドモンスター』 『RAW…
暗殺者グレイマン (ハヤカワ文庫 NV) 作者: マーク・グリーニー,伏見威蕃 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2012/09/21 メディア: 文庫 クリック: 13回 この商品を含むブログ (24件) を見る かって男たちの胸を熱くした冒険小説が、今時の装いできら星のごとく登場した。痛みを感じさせる痛烈なアクションが休むことなく展開し、主人公が次々と窮地に立たされるのは、最近のハリウッド産アクション映画化を彷彿させるが、ただの今時スリラーじゃないかと読まずにいるのは勿体無い。「冒険小説」の核、俺たちの胸を直撃する、譲れない男の生き方が、しっかりとここにある。ほんの一時関わった双子の…
大家さんと僕 作者: 矢部太郎 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2017/10/31 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログ (13件) を見る こんな風に人と繋がれたら素敵だ。恋でも友情でも家族愛どもなく、関係を表す言葉はないけれど、間違いなく大家さんと矢部さんは繋がっている。都会のファンタジーのようだ。読み終わった後に残る、微かに暖かくて柔かな手応えの感触もまた、都会のファンタジーのような幸せな贈り物だ。昭和を生きた素敵な女性、素直で教養と矜持があって凛とした芯と親切で優しい心根を持つキュートな彼女だからこそ私たちに幸せを運んでくれたのだろう。
『聖なる侵入 (1982年) (サンリオSF文庫) 』 フィリップ・K・ディック 本 読書メーター
聖なる侵入 (1982年) (サンリオSF文庫) 作者: フィリップ・K・ディック,大滝啓裕 出版社/メーカー: サンリオ 発売日: 1982/07 メディア: 文庫 購入: 1人 クリック: 2回 この商品を含むブログ (6件) を見る ディックの真髄を堪能。目の前にある現実が虚構なのではないか?人らしさとは?人工物と自然物を分ける何かがあるのか?等を経て、同時にドラッグと悪女によって狂い多くの友を失っていった人生の先にたどり着いた神学。満身創痍ながら真摯に書き続け得た物は、単なる俗なる宗教ではなく、神と呼ばれ崇められる者への燃えるような問いだ。混沌としたヴァリスも良いが、物語として纏めあげ…
出版禁止 死刑囚の歌 作者: 長江俊和 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2018/08/22 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (3件) を見る 前作から数年、格段と小説としてのレベルが上がっていた。表の話だけでも、終盤の彼の行いと言葉に、一条の希望を感じ余韻を残す良いエンディングだった。ネタバレ解禁日までは詳細には触れないが、隠された真実の忍ばせ方が憎いくらいに巧妙だ。気づいたつもりの真実の、さらにもう1つ裏側がある事にたどり着いた時の驚きも強烈だった。あなたのそれは、本当に隠された真実か?
リレキショ (河出文庫) 作者: 中村航 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2005/10/05 メディア: 文庫 購入: 3人 クリック: 27回 この商品を含むブログ (76件) を見る 意思と勇気をもった生き方についてのお伽噺。だから、主人公の来歴や物語の綺麗な決着は大きな問題じゃない。切り取られたシーン、シーンに登場する人々の心の動きや関係を慈しみながら感じる事が心地よい一冊だった。こんな物語も時にはありだな。山崎さんの涙。ウルシバラの手紙や行動。良の決意。それぞれが愛しい。意思と勇気をもった行動や言葉が作る関係が、人そのもので、それを記して行くのがリレキショなんだな。過去の…
コンビニ人間 (文春文庫) 作者: 村田沙耶香 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2018/09/04 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (3件) を見る 村田クレイジー沙耶香が、日常にまで侵食してきやがった。彼女は、性や性器、生殖や欲望に真っ向から向き合い、「常識」と言う心地の良い幻想を根底から揺さぶって読者に凶的で恐的な真実を突きつけてきた。今回は、コンビニと言う日常とは切り離せない世界を背景に、ごく当たり前の「普通」の薄気味悪い本来の姿を淡々と描いている。マニュアル通りに店員を全うする主人公と、「常識」通りに反応する登場人物や私たちとの間には差異はない、もちろん貴賤も上下も。…
『累 -かさね-』 映画 魅せられて見せ付ける、それが女優よ
www.youtube.com 絶叫台詞と過剰な説明は、邦画の宿命として目をつぶっても余りある、役者が演じる事を演じるスリリングな映画だ。 舞台の魔力に魅せられた女優をテーマにした傑作映画『ブラック・スワン』に負けない、女優の美と狂気を描ききっている。 醜悪な顔へのコンプレックスから他者を演じる事で存在を肯定されると感じる女と、綺麗な顔を人に賞賛され崇められる事で存在を肯定されると感じる女が、舞台と言う狭く広い板の上での存在をかけて、お互いの存在を必要としながら憎しみを深めていくストーリーの展開も、怒涛のラストに向かっていくにつれ緊張感を増していく完璧な構成だ。 開幕早々の土屋太凰が演じる舞台…
朽ちないサクラ (徳間文庫) 作者: 柚月裕子 出版社/メーカー: 徳間書店 発売日: 2018/03/07 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (1件) を見る 不祥事に関するスクープ記事による警察署の騒動から始まる出だしは、非常に魅力的だった。警察の総務系職員の視点と言う王道とはすこしずらした構成に、期待は高まった。 しかし残念ながら、その期待には充分に答えてくれる読書体験ではなかった。三人称多数視点の構成の悪い部分が、物語や登場人物への共感を薄めさせていると感じた。泉の決意が最終的に希望を表すものであるならば、物語の中心は常に泉の視点であるべきで、解決の中心が他の人間の視点になるので…
『汝、コンピューターの夢 (〈八世界〉全短編1)』 ジョン・ヴァーリイ 本 読書メーター
汝、コンピューターの夢 (〈八世界〉全短編1) (創元SF文庫) 作者: ジョン・ヴァーリイ,山岸真,大野万紀 出版社/メーカー: 東京創元社 発売日: 2015/10/11 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (9件) を見る 想像の矢の射程の長さに驚く。70年代に放たれた著者の想いとイマジネーションは充分に現代にも鋭さと優しさを失わず、読者である私の胸に届いた。表題作のVRと意識の関係は今だからこそ尚更意味を深めているし、「歌えや踊れ」のフィジカルとメンタルの脈動と融合が織り成す音楽の豊かさは永遠に人の心に響き、美しさと隠微な快楽を感じさせる。一編いっぺんが、豊かな想像力とセクシャルで…
ガラパゴス 上 (上) (小学館文庫) 作者: 相場英雄 出版社/メーカー: 小学館 発売日: 2018/07/06 メディア: 文庫 この商品を含むブログを見る ガラパゴス 下 (下) (小学館文庫) 作者: 相場英雄 出版社/メーカー: 小学館 発売日: 2018/07/06 メディア: 文庫 この商品を含むブログを見る 『震える牛』に痺れたのは、食肉業界と言う禁忌に正面から向き合い物語を構築していたからだ。今作もタイトル『ガラパゴス』から製造業のタブーに斬り込んでいく物語を期待していたが、良い意味で想像を裏切られた。企業の利益追順が生んだ悲劇の話だった。事件を追う中で浮かび上がってくる日…
『宇宙ヴァンパイアー』 コリン ウィルソン 本 読書メーター
宇宙ヴァンパイアー (新潮文庫) 作者: コリンウィルソン,Colin Wilson,中村保男 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2016/06/26 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (2件) を見る 非Aのヴォークトや初期のディックを読んでいるかのような感触。ガジェットやSF的設定や展開は両者の方が強いけれど、肌触りがなんとも似ている。語りたい何かがあるようでなくて、ないようであって、理論的なようでいてどこか大雑把な所などだろうか。思想的、哲学的な何かを深く共有や共鳴するわけではないけれど、エンターテイメントとして最後まで飽きさせない、B級の勢いが面白い。精神のヴァンパイアーが暗…
キッド (講談社文庫) 作者: 木内一裕 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2012/08/10 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (1件) を見る 「まったく敵わねぇやあの野郎には‥」とクールでプロフェッショナルな敵役がニヤリと笑いながら呟く様に、最高にタフで飄々とした軽快な主人公の活躍が楽しい。リアルでシリアスな重い物語ではなく、軽妙なエンタメ噺として、ワクワクする時間を愉しめた。主人公の麒一、ヒロインのドド子(圭子)や、敵役の山田ジローのキャラクターが魅力的で最後まで頁を捲る手を止めさせない。逆境になればなるほど、軽口を叩き最後まで諦めない、一見軽薄そうに見えながら柳のような強…
機巧のイヴ: 新世界覚醒篇 (新潮文庫) 作者: 乾緑郎 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2018/05/27 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (2件) を見る 日の本スチームパンクの世界観が、独特の魅力だった前作と、つい比較してしまい独自性が薄れた様に感じるが、それでも伊武の美しさとちょっと天然な魅力は変わらず、読み終えれば伊武の世界だった。覚醒篇とある様に、これから広がっていくだろう物語の展開が楽しみ。鯨さんがどうなるのか、天帝と伊武がどう対立していくのか。 それにしても、巨大観覧車の登場にもしかしたらと思ったが、まさかの映画『1945』で来たか!!スペクタクルだよね。それだ…
キッド (講談社文庫) 作者: 木内一裕 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2012/08/10 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (1件) を見る 「まったく敵わねぇやあの野郎には‥」とクールでプロフェッショナルな敵役がニヤリと笑いながら呟く様に、最高にタフで飄々とした軽快な主人公の活躍が楽しい。リアルでシリアスな重い物語ではなく、軽妙なエンタメ噺として、ワクワクする時間を愉しめた。主人公の麒一、ヒロインのドド子(圭子)や、敵役の山田ジローのキャラクターが魅力的で最後まで頁を捲る手を止めさせない。逆境になればなるほど、軽口を叩き最後まで諦めない、一見軽薄そうに見えながら柳のような強…
臣女 (徳間文庫) 作者: 吉村萬壱 出版社/メーカー: 徳間書店 発売日: 2016/09/02 メディア: 文庫 この商品を含むブログを見る 全うな愛の物語だ。キラキラして綺麗で何の濁りもない「愛」なんて、思い込みと薄っぺらい常識に囚われた薄ら寒い幻想だって事を改めて突きつけてくる。臭い、下品、汚い。当たり前だ、介護なんだから。巨大化と痴呆の何が違うのか。追い詰められた状況の理由を自分自身に求めざるを得ない主人公の真摯さ。性愛に逃げてしまう弱さ。濁りきって混乱しきった心情の先に形作られていく感情は、愛としか呼べない。「純愛」よりこの愛を私は心の底から信じたいし求めたい。例えそれが地に落ちた…
『1ミリの後悔もない、はずがない』 一木 けい 本 読書メーター
1ミリの後悔もない、はずがない 作者: 一木けい 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2018/01/31 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログ (3件) を見る 少女や女性にはどうやってもなれないので、彼女たちの繊細さや鈍感さ、柔らかく痛い所を芯までは共有はできないけれど、愛しい存在として想像し想いを巡らし共振する事はできる。できると思っている。どんなに精一杯、その時できる限りの事をしたとしても、失ってしまっ事へ1ミリの後悔も残さない事なんてない。だからこそ、勇気をもって踏み出していく由井の姿と最後の手紙に共感するし、桐原の電車の色当てゲームの提案に胸が熱くなる。逆に、…
破滅の王 作者: 上田早夕里 出版社/メーカー: 双葉社 発売日: 2017/11/21 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (3件) を見る 科学や成果物そのものは善でも悪でもない。どう扱うかを決める人間が、意味を産むだけだ。科学者は倫理だけではなく、人としての心情や想いまでも問われる。戦時下と言う特殊な時間にだけでなく、今ここでも常に突き付けられている。程度の差こそあれそれは我々にも突き付けられている刃だ。その行いは、真摯に物事に向き合った結果なのか、「常識」に阿っただけではないのか‥。宮本や灰塚に共感できるのは、そうした問いへの夫々の応えか真摯な物だからだ。同じ様に真須木の想いを否…
未必のマクベス (ハヤカワ文庫JA) 作者: 早瀬耕 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2017/09/21 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (1件) を見る 心に刻み込まれた浅い夢のような恋心は、消えることがない。消え去らない、消え去らしたくない想いを抱いた一人の男、男の子の初恋の物語に涙した。走り去っていく後ろ姿をいつまでも眺め続けていたのは、主人公なのか私なのか。放課後の校庭を走る君をいつまでも眺めていた私には区別がつかなくなる。遂げられないかららこその初恋の物語なのだから、悲劇にしかならないにしても、物語が終わる前に、互いの想いに気づけた事、言葉にできた事は幸せだ。彼の想…
青春と変態 (ちくま文庫) 作者: 会田誠 出版社/メーカー: 筑摩書房 発売日: 2013/10/09 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (2件) を見る 「変態」とはなんて爽やかなものだろう。「青春」なとはなんて残酷なものだろう。芸術家らしい確かな観察眼と緻密な表現力でスリリングに描写される前半の行為のドギツサは、文学すらも軽く超越した芸術的な詩作だ。もちろん一般的には嫌悪を催す内容で誰にも薦められるものではないけれど、その裏側にある繊細で初々しい感性と思考は、まさしく青春以外の何物でもない。後半に至っての青春成分大盛りの展開には、逆に偏執的な変態が横たわるからこそ、爽やかな感動と涙…
図書館の魔女 第四巻 (講談社文庫) 作者: 高田大介 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2016/05/13 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (3件) を見る これほど終わって欲しくない読書は、本当に久しぶりだ。言葉と智恵の力が脳を刺激する知的快楽と、アクションが呼び起こす興奮、主人公二人だけでなく全ての登場人物の人となりが産み出す幸せな爽快感等がない交ぜになった悦びをいつまでも感じ、冒険の世界に遊んでいたかった。マツリカの強くか弱く聡明で無邪気で真剣な有り様だけでもノックアウトなのに、図書館に纏わる人々の生き方が、この世界を他に替えがたい物にしている。なんて気持ちの良い連中だろ…
『まるで天使のような』 マーガレット・ミラー 本 読書メーター
まるで天使のような (創元推理文庫) 作者: マーガレット・ミラー,黒原敏行 出版社/メーカー: 東京創元社 発売日: 2015/08/29 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (21件) を見る スカンピンで女にふられても軽口をたたきながら、飄々と勢いと口八丁で乗り切ろうとする根なし草な主人公。それだけで強く共感する。行き掛かりで調査を始めた事件で、依頼者や被害者と触れあううちに、その軽さを残しながら人の想いに応えるために変わっていく様子が独特で胸に届く。作者の夫を含む多くの先達が残したハードボイルドとは一風異なる感触が非常に心地よい。ラストの展開よりも、主人公にとっての天使との約束を行…
その可能性はすでに考えた (講談社文庫) 作者: 井上真偽 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2018/02/15 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (4件) を見る 「その可能性はすでに考えた」この一言の格好の良さったらない。全ての探偵が憧れる。俺も言ってみたい。キャラクターや謎の設定が、いかにもなのが個人的には好みではないが、ミステリーの新しい可能性や楽しさを広げてくれた事は称賛に値する。いかにも講談社ノベルズっぽいし。
凶犬の眼 作者: 柚月裕子 出版社/メーカー: KADOKAWA 発売日: 2018/03/30 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (1件) を見る 狼の血を引き継いだ若い野犬ともう一匹の気高い狼の話。ひりつく都市と対照的な田園風景の中で始まる物語のギャップに戸惑うが、国光の登場から男の世界が展開されていく。任侠に生きる国光の存在は懐かしい漢の姿で、燻し銀の魅力に溢れている。その分、前作の大上のような強烈さは薄い。凄みを増していくスカーフェイス日岡の変わりようも同じように静かだが、国光と兄弟の杯を交わす日岡は、大上と一ノ瀬の関係を越え新たな狼の誕生を感じさせる。男が男に惚れる。これ以上…
『ファントム・スレッド』 映画 幸せと言う名の地獄 平凡な女は愛の名の下に、勝手にミルクシェーキを飲んじまうんだよ
www.youtube.com 第二次世界大戦後のイギリス。フィルムに納められた英国の街並みは気高く美しい。 そうした美しい世界を背景に繰り広げられるのは、優雅な音楽と映像で描かれた愛と言う名の恐怖と幸せと言う名の地獄だった。 観賞後、身体と心が震え続けるほどの大傑作。PTAの映画は他に換えがたい衝撃をいつも私に与えてくれる。 オートクチュールのファッションデザイナーが、理想の体型を持つ田舎街のウェイトレスを見初め、ミューズとして向かい入れる事から物語は始まる。 完璧で美しいドレスを作り続ける天才デザイナーと普通の生活を送っていた平凡な女性が混じり会う事でお互いを敬い尊重し合う美しい愛の物語り…
『孤狼の血』 映画 男臭さ溢れる野蛮な映画 臭いのが良いんだよ
www.youtube.com 『仁義なき戦い』『県警対組織暴力』に強い影響を受けた柚月裕子作『孤狼の血』の映画化。 オープニングの東映のロゴは、今のCG版ではなく昭和の波濤だ。 その後のアバンタイトルも赤字縦書きの役者のテロップで懐かしさ感じさせる。 勢いある手書き文字でなく、綺麗なタイポグラフィなのが今時だ。そして、鑑賞後感じる微妙な違和感を、このディテールの違いが象徴していると感じた。 少し荒れ目の画調や色調も、深作ヤクザ映画を強く意識していて、時折使われる斜に構えた手持ちのカメラの再現まで、この映画の目指す世界は一本筋が通っているし、全てが本気で作れらた映画だと感じるのも間違いない。 …
孤狼の血 (角川文庫) 作者: 柚月裕子 出版社/メーカー: KADOKAWA 発売日: 2017/08/25 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (1件) を見る 男臭い。痺れた。昭和だ。東映ヤクザ映画だが作者にしか書けない、暑苦しい男の話だ。正義とは何かの話でもあるし、仕掛けられたどんでん返しに驚く上質なミステリーでもあった。なんだか最近、正義とは何かとか、男とは何かみたいな話ばかり読んでいたが、血沸き肉踊る濃厚な体験ができた。男なら、と言うと怒られるので、俺だって日岡のように血を継ぎたい。大上のように無頼に己の信念に正直に生きたいと思う。倫理や常識などつまらん足枷にしばられず、孤独を…
鳩の撃退法 上 (小学館文庫) 作者: 佐藤正午 出版社/メーカー: 小学館 発売日: 2018/01/04 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (4件) を見る なんとも不可思議な手触りの物語。信頼できない話者が書き連ねる、時制や口調が入り組んだマトリョーシカのような作品。下巻でどうなる? 鳩の撃退法 下 (小学館文庫) 作者: 佐藤正午 出版社/メーカー: 小学館 発売日: 2018/01/04 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (3件) を見る 最後の最後まで、不可思議な手触りのままの、読む事が愉しい小説だった。鳩の話や、ピーターパン、家族の幸せなどキチンとオチをつけるし伏線も…
『ダ・フォース』上・下 ドン ウィンズロウ 本 読書メーター
ダ・フォース 上 (ハーパーBOOKS) 作者: ドンウィンズロウ,田口俊樹 出版社/メーカー: ハーパーコリンズ・ ジャパン 発売日: 2018/03/26 メディア: 文庫 この商品を含むブログを見る ダ・フォース 下 (ハーパーBOOKS) 作者: ドンウィンズロウ,田口俊樹 出版社/メーカー: ハーパーコリンズ・ ジャパン 発売日: 2018/03/26 メディア: 文庫 この商品を含むブログを見る 悪徳警官であると同時に、誰よりも街を愛し正義を求めるNY市警部長刑事マローンの造形、想いに圧倒された。組織、政治、思想や宗教、欲望と暴力の坩堝大都会で、純粋な初心を貫きながら現実的な「正義…
『「宇宙戦艦ヤマト」をつくった男 西崎義展の狂気』 牧村 康正,山田 哲久 本 読書メーター
「宇宙戦艦ヤマト」をつくった男 西崎義展の狂気 (講談社+α文庫) 作者: 牧村康正,山田哲久 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2017/12/22 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (1件) を見る 読書中ずっと爽快と嫌悪を感じる、生々しい男の話だった。60年代後半産まれの映画、アニメ好きには、西崎、角川、奥山、山本の4人のプロデューサの名前は忘れられない。私的ヤマトFCを作った私には特に西崎の存在は大きかった。いたる所で「愛」と語る胡散臭い山師。ヤマトを創った偉大な男。何よりもプロデューサと言う職業を憧れの仕事にした男だ。彼の偉業と醜悪で横暴な行動・欲望はコインの裏表だ。こんな…
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