関戸秀春 さん プロフィール

  •  
関戸秀春さん: Sekiの本と詩とエッセイのブログ
ハンドル名関戸秀春 さん
ブログタイトルSekiの本と詩とエッセイのブログ
ブログURLhttps://toshi0078.muragon.com/
サイト紹介文おすすめ本を中心に、自作詩やエッセイなどを載せたいと思っています。
自由文おすすめ本や詩やエッセイなどを織り交ぜながら、書いていこうと思います。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供225回 / 200日(平均7.9回/週) - 参加 2017/04/02 22:45

関戸秀春 さんのブログ記事

  • 「量子力学入門 ー現代科学のミステリー」並木美喜雄 岩波新書
  • 量子力学は、相対性理論と並ぶ現代物理学の知的金字塔です。ミクロの世界における科学及び技術への貢献度は、相対性理論よりも上まわっています。プランク定数h、トンネル効果等、量子論における不思議な現象を懇切に解説してくれます。特に、光の波動性と粒子性の二重性の性質から、物質そのものの波動・粒子の二重性までに拡大されていく理論展開は、目まいを覚えるような知的興奮を感じさせます。意外性と非日常性が交錯する「 [続きを読む]
  • 「相対性理論入門」内山龍雄 岩波新書
  • 難解な相対性理論を厳密に、しかし誰にでも分かり易く説くために、著者は、ニュートン力学から筆を起こします。その次に、動いている船からボールを落とすと、船上の人にはまっすぐ下に落ちるように見え、岸から見る人は、ボールは弧を描いて落ちるように見えます。この二様の見方を説明したのが、ガリレオ・ガレリーの相対性原理です。この原理を元にして、物が光速で動いていく場合どのような物理現象が起こるのかを物理学に不案 [続きを読む]
  • 「パンセ」パスカル 中公文庫
  • フランスの科学者であり、哲学者であったパスカルのパンセ「瞑想録」です。「人間は考える葦である」という有名な言葉が見えます。この書は不抜のカトリックの信仰を持つパスカルが、人々を信仰にいざなうために書かれた書物です。信仰を持つ方に賭けることがどれほど大きな得であるかをパスカルは力説します。けれども、どれだけ自分がそのことを説こうが、賭けない人間は賭けないことをパスカルはまたよく知っています。省察は人 [続きを読む]
  • エッセイ 冬の景色 <信という火>
  • 今、現代人で心の中に、荒涼とした冬の景色を感じていない人はいないだろう。これは、子どもでさえそうである。胸にポッカリと空いた穴と言っても、いずれ文学的表現なので、同じことだが。 ともかく、一種、異様な光景であることは間違いない。誰もが、不安で孤独な心を持て余してしまっている。 現代人の心は病んでいると言われるが、本当に病んでいるのなら、自分が病んでいるということさえ分からなくなった状態だろう。自分 [続きを読む]
  • 自作詩 卵
  • それはぼくがよそ見をしているいつのまにかの間に 出来あがっていた 驚きもしたが また それはそうであるべきものだろうとも思った けぶった靄のかかった高原にコトンと生み落とされた もののように それは空恐ろしくもあり また新鮮な可能性に満ちていた ぼくはいつのまにか卵を一つ 所有していた ちょうど両手ですっぽり包み込めるくらいの大きさの 生温かく さらりとした手触りのそれを ぼくはふるえる手で おず [続きを読む]
  • 「怒りについて」セネカ 岩波文庫
  • セネカは暴君ネロの時代に生きたストア派の哲学者です。どのように荒れ狂い、自分を圧倒するような怒りであれ、その怒りは自分ではない。お前はわたしとは別ものだと、男らしい意志を持って、その怒りを自分から截然と切り離すことを知恵とした哲人です。セネカはこの書で、怒りがどれほどの害悪をもたらすものであるかを精細に吟味しました。誇り高い超然とした賢者の書と言っていいでしょう。 [続きを読む]
  • 「メノン」プラトン 岩波文庫
  • 知がテーマのプラトンの対話篇です。無知の知とは違い、人間が普通に兼ね備えている悟性の働きに注目します。篇中、傍らに侍っている奴隷の知性を試す場面が見られますが、現実の法廷で、真実である信憑性が極めて高いと裁断されるような、リアル感のある場面です。ソクラテスは、実際にその奴隷の知性を、どのような人間にもこうした悟性は備わっているという例として、試したのでしょう。試されている奴隷の嫌がっている顔まで見 [続きを読む]
  • 「国家篇」プラトン 岩波文庫
  • ソクラテスの口から哲人政治が語られる雄篇です。じつに激しい議論のやりとりがあります。政治を担うのは哲人こそふさわしい。それも、進んでではなく嫌々ながらするのだというプラトンの政治思想が語られます。この対話篇には「エルの物語」という挿話が入っています。死後の世界を見たエルの話が語られるのですが、良い行いをした者は天国へ、悪い行いをした者は地獄へここまではよくある話ですが、その天国から出てきた者の多く [続きを読む]
  • 「饗宴」プラトン 新潮文庫
  • 愛をテーマとして語られた対話篇です。愛の達人であったソクラテスが、酒を飲み、ご馳走を食べながら、名だたる人物たちと語り合います。悲劇詩人のアガトーンがいます。喜劇詩人のアリストパネースもいます。いずれも歴史的人物ですが、対話を主導するのは、もちろんソクラテスです。アリストパネースはしゃっくりを起こし、対話の途中から参加するというユーモラスな扱いを受けています。対話の内容は、愛の神の性質から、愛の奥 [続きを読む]
  • 「パイドン」プラトン 新潮文庫
  • たましいの不死をテーマとした対話篇です。ソクラテスの対話相手が、人間の心の仕組みを、見事な比喩によって解き明かそうとします。死を直前にしても、平静な語り口で語られるソクラテスの言葉には、どんな人間の心さえやわらげるようなただならぬ力を内に秘めているようです。対話が終わり、獄卒に呼ばれ、ソクラテスは、当たり前のように毒杯を煽ります。なんの劇的な美化も装飾もありません。自然死のように静かに逝ってしまい [続きを読む]
  • 「クリトン」プラトン 新潮文庫
  • ソクラテスが裁かれた後の獄中での対話篇です。法と正義がテーマです。ソクラテスは、自分がこの牢獄から出ないのは、足が悪いからではなく、出ようとする意志がないからだと、脱獄を勧めるクリトンに言います。アテネの法に従うことが、なぜ正義であるのか。ソクラテスの心情は計り知れませんが、その穏やかに平静に語られる言葉には確固たる必然性が宿っています。思想のダイモーンとしてのソクラテスの面目が躍如とした対話篇で [続きを読む]
  • 「ソクラテスの弁明」プラトン 新潮文庫
  • プラトン初期の傑作です。アテネの法廷に立ったソクラテスが不当に断罪され、死罪を言い渡される有名な話ですが、ソクラテスは判決を言い渡された後、親しい人々に不思議なことを語ります。「諸君、驚くべきことが起こった。私のダイモーンがまったく沈黙してしまったのだ。」ソクラテスのダイモーンは、ソクラテスが子供の頃から、その行動の些細なことまで介入し、禁止の鈴のような音を鳴らすのですが、そのダイモーンの音がまっ [続きを読む]
  • 「臨済録」慧然 岩波文庫
  • 語録の王と呼ばれる、臨済宗の開祖、臨済の言行録です。一読、本から爽快な風が吹いてくるような自在極まりない精神を感じさせます。「仏を殺し、祖を殺し、父を殺し、母を殺し、眷属を殺し、親族を殺し、知音を殺し等々」臨済の言葉は奔放そのものです。「赤肉壇上一無位<しゃくにくだんじょういちむい>の真人、これなんの乾屎橛<かんしけつ>ぞ」最高位に値する真人は、干からびた糞のように何の用もなさぬと言うのです。臨済 [続きを読む]
  • 「十牛図」上田閑照 岩波現代文庫
  • 著者は、禅に深い造詣を持った学者です。本書は禅を修する者の便宜のために書かれた十牛図という絵図をユング心理学を参考にしながら、精細に分析した書物です。牛は、ユング心理学でいう無意識に他なりません。この無意識とどう向き合い人格の上で、調和させるのか。禅修行の発展段階が、錬金術の過程に不思議なほど近似していることに驚きを禁じ得ませんが、修行を成就し終えた禅者が、酒を買いに行くという行為だけで、人々に安 [続きを読む]
  • 「日本の弓術」オイゲン・ヘリゲル 岩波文庫
  • ドイツの哲学者ヘリゲルが日本に来日し、折角だから日本文化を学ぼうと弓術を習うことにします。そこで、論理思考によって武装した西洋の知性と心技体を体得した日本の弓術の師匠との激しいぶつかり合いが生じます。お互いに一歩も譲らないまま弓道の練習は佳境を迎えます。どうしても納得できないヘリゲルに、師は、的に一本の矢を放ちます。共時性が見事に時と場所を得て、放った矢が、先に的に刺さっていた矢そのものを貫きます [続きを読む]
  • 「天風先生座談」宇野千代 廣済堂文庫
  • 日本第一級の女流作家宇野千代が、人生の師と仰いだ中村天風の座談です。天風は日本軍の工作員として活動している最中に、難病の奔馬性結核に罹ります。病気を治すために世界各地を転々としますが、どうにもならず、諦めて日本に帰ろうとしたとき、偶然、ヨガの行者と出会いその弟子になります。インドでの修行の末、自然治癒力によってその難病を治してしまいました。天風は、修行から得た知見を元に、自ら生の活力を取り戻す思想 [続きを読む]
  • 閑話休題 御器かぶり(ゴキ〇リ)考 <前知識人たちの最大の害虫>
  • くだらない話で、申し訳ないが、御器かぶり、ゴキブリの話である。ゴキブリが、なぜまた、これほど多くの人に、異常なほど嫌われているのはどうしてだろうかと気に掛かるのである。 わたし自身、もちろんゴキブリは嫌いで、見つかると身の毛がよだち、やっつけるのだが、あるとき、ふと「ゴキブリと言えども、生き物には違いない。それに虫としてはノーマルな形をしているし、何かの伝染病を介したという話も聞かない。人体を傷つ [続きを読む]
  • 「名画入門」赤瀬川源平 光文社
  • 名画をよく鑑賞したいのだが、何をどう見ていいのかよく分からない。そういう人のために、赤瀬川は懇切な入門書を書きました。それがこの「名画入門」です。著者自身が、まったく自分の目で名画を鑑定しようと、先入観を一切取り払って名画と対峙します。そうすると、名画と言われて来た絵画には、やはり立派な価値があることを再確認できますが、中には、名画と呼ぶにはどうかと思われるような絵もあり、自分の目の確かさを確認し [続きを読む]
  • 「千利休 ー無言の前衛ー」赤瀬川源平 岩波新書
  • 現代の美の達人、赤瀬川源平による卓抜な千利休論です。「茶の本」のような緊張感はありませんが、著者が無意識に求めていたものと、利休がすでに極めていたものとが、著者の心の中ではげしくぶつかり合いこの本が生まれました。著者は、現代でもそのまま通用する利休の芸術性の高さに目を見はります。この時代にすでに現代の最先端の芸術があったことに驚き、それを「無言の前衛」と名付けました。著者の言う通り、日本の芸術は寡 [続きを読む]
  • 「茶の本」岡倉天心
  • 原文は非常に美しい英文で書かれているそうです。新渡戸稲造の「武士道」といい、内村鑑三の「代表的日本人」といい、この時期、日本人による英文の名著が多く出ました。明治人の心意気の高さを感じさせるものがあります。「茶の本」は日本の茶の湯を世界に紹介した高名な本です。狭い茶室の中で、苦い茶を喫し、宇宙を感得しようではないかと呼びかけたこの本は、日本の精神文化を世界に発信し注目を集めました。茶の湯の大成者利 [続きを読む]
  • 「吉田松陰」徳富蘇峰
  • 近世日本国民史という膨大な著作を書いた徳富蘇峰の中でも、一番の傑作とされているのが、この「吉田松陰」です。松陰は行動家でしたが、ほとんどの行動は無惨な失敗に終わっています。鎖国の世にアメリカ渡航を企てますが、乗船を断られ、牢獄に入れられます。幕府の重臣に手をかけようとしてやはり失敗し、そのために安政の大獄で命を落とします。松陰の本領はどうしても教育家としてのそれです。松下村塾を作り、自分の熱情を弟 [続きを読む]
  • 「ジャンヌ・ダルク」ジュール・ミシュレ 中公文庫
  • フランス救国の少女ジャンヌ・ダルクの伝記です。二十歳にも満たない少女が一国を救ったという世界史上、奇跡的な出来事なのですが、フランスの正史にも英雄として正しくジャンヌ・ダルクの名が刻まれています。軍の司令官としても政治家としてもずば抜けた行動力を示したこの少女は、王の裏切りによって、最後には火刑に処されてしまいます。フランスは救われますが、少女は火刑台の上でイエス・キリストの名を叫び続け、その口か [続きを読む]
  • 「じゃじゃ馬ならし」シェイクスピア
  • 性悪で、手の付けられないような気の強い女が、劇の最後には、素直でどこに出しても恥ずかしくないような立派な女性に変貌するというちょっと有り得ないと思えるような喜劇です。主人公の女は、まさにじゃじゃ馬を絵に描いたような女で、思いつく限りの性悪な悪事をしでかします。この女の教育係を買って出た男は、また、あらゆる手段尽くして馬を調教するようにこの女を教育します。そのとき、彼は、女性本来の自尊心を傷つけるよ [続きを読む]
  • 「あらし」シェイクスピア
  • シェイクスピアの書いた最後の傑作と言われています。ミラノ公で魔術師プロスペローは、娘ミランダとともに、とある島で隠遁生活を送っています。島には様々な妖精たち、中にはキャラバンという性悪な怪物もいます。プロスペローは魔術を使い、ある船を難破させ、乗組員たちを全員島に漂着させます。ミランダの夫に相応しい男を見つけるためでした。全編に、すべてを見通したような抒情性が漂い、こう言って良ければ、安息で静謐な [続きを読む]
  • 「ヘンリー四世」シェイクスピア
  • 劇中、最も魅力のある喜劇人、太ったフォルスタッフの登場する史劇です。フォルスタッフの登場する場面は、どこでも空気が緩みます。フォルスタッフにはおよそ徳というものがありません。悪徳さえ身につけなかった男といっていいでしょう。生きていること自体が、愉快でしょうがないような人間です。何をやらかすにしても真っ当なことはできませんが、人を笑わせるツボだけは誰よりもよく心得ています。登場するたびに今度は何をし [続きを読む]