神山美夏 さん プロフィール

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神山美夏さん: 腐女子の小説部屋
ハンドル名神山美夏 さん
ブログタイトル腐女子の小説部屋
ブログURLhttps://blogs.yahoo.co.jp/yobikou_kankeisya
サイト紹介文創作BL小説を書いています。諸事情のため『腐女子の小部屋』から引っ越しました。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供574回 / 203日(平均19.8回/週) - 参加 2017/04/05 10:09

神山美夏 さんのブログ記事

  • 気分は下剋上≪震災編≫221
  • 「ああ、待っている。執刀の時に祐樹が不在なのは少し――いや、かなり――寂しいが、それはそれで仕方のないことだし……」 日本に帰国して来て以来ずっと手術の出来映えを祐樹の眼差しで「も」計るようになってしまっていた。自分でも会心の手技だと判断した時には称賛を帯びていたし、そこそこの手技しか出来なかったと自覚した――他の誰にも見破ることは出来ないレベルでの話だが――時には雄弁に「失望」を物語っていてくれ [続きを読む]
  • 「気分は、下剋上」<夏>206
  • 「病院長からの直々の電話なので流石に無視は出来ません」 呉先生に肩を竦めてみせると、一瞬だけ勝気というか負けん気の強さが野のスミレを彷彿とさせる眼差しに混じった強い視線の光りを感じたが――多分「家から叩き出す」と森技官に怒っている時の呉先生はこの光りを更に強めた眼差しで居るのだろう、そして森技官はそのギャップにもより惹かれているのだろう――仕方なさそうに肩を竦めた。「斉藤病院長は言い出したら聞かな [続きを読む]
  • 「気分は、下剋上」<夏>205
  • 「診たところ、教授は深く眠っていらっしゃるようなので――まあ、そうなるような薬をセレクトしたのはオレですが――起きる恐れはありません。 悪夢は見ていらっしゃる感じですが、それだけはどうしようもないですね。ただ、本音を窺うチャンスでもあります。田中先生にはお辛いでしょうが」 野のスミレの可憐な眼差しが祐樹最愛の人を労わるように見つめてから祐樹へと向けられた。 ただ「野のスミレ」は外見から受ける印象な [続きを読む]
  • 気分は下剋上≪震災編≫220
  • 「『ザ・バー』でも祝杯を上げませんか?『香桃』の様子からすると、多分そんなに客が入っている感じでもないですし。混みあっているようなら、部屋に帰って二人きりで『イベントの夜のプレゼント』を戴くということで……」 一歩前に出た祐樹の強い輝きを放つ瞳が悪戯っぽい感じで全身に当てられる。 クラブフロア専用階の客だけに利用が許されるラウンジも有ったし、普段はそちらを主に使っているし気に入ってはいたものの、ブ [続きを読む]
  • 「気分は、下剋上」<夏>204
  •  蒼褪めた唇がお守りのように、そして縋るような響きで自分の名前を呼んでいる。 その唇に触れるだけのキスを落として――呉先生は祐樹の一連の動作から何をしようとしているのか分かったらしく「トイレはどこですか?」さり気なく聞いて席と外してくれていた――絡めた指を更に深く繋いだ。「本当に申し訳ありません。もっと適切な手の打ちようが有ったのに、完全な私の落ち度です。 いくら詫びても取り返しの付くことではない [続きを読む]
  • 気分は下剋上≪震災編≫219
  • 「それはモノの喩えで……ただ、放映時間の長さからすると、凶悪事件の指名手配の容疑者よりもお茶の間のテレビ画面に流れる頻度は多かったのですが、ね」 かなり大きな地震だったので、通常番組が差し替えられてNHKでも放映されていたし、祐樹のお母様の話からすると民間の番組でもNHKの後追い放送を流していたらしいのでそれは祐樹の言う通りだろうが、有名な芸能人でもないのであまり記憶に残らないのかも知れない。 それに「 [続きを読む]
  • 「気分は、下剋上」<夏>203
  • 「40代・50代のメンズナースにとって『若い』という点だけで、教授のように見目麗しくなくとも充分に魅力的な餌食……もとい、虐待……いや、矯正の対象になり得るんですよ。 それに比較するのも勿体ない話なのですが、教授の性格上『そういう暴力』に対してもじっと耐え忍ぶタイプでしょうけれどもアイツは大袈裟なほど反応する――これは同居人が実際確かめたことでも有ります――ので、嗜虐心の有る人間にとっては後者の方 [続きを読む]
  • 気分は下剋上≪震災編≫218
  • 「直ぐにでも……と申し上げたいところなのですが、マンションの状況は不明ですし車がどうなっているのかとか、道路の状況が不明なので……」 被害甚大だった京都からヘリで移動して普段と変わりない大阪の中心地に来たためにイマイチ実感がなかったが、祐樹の言う通り――今朝未明に地震に見舞われた時にはマンションの様子も断片的にしか分からなかったし、第一停電中だったので祐樹の愛車がどうなっているかなどを確認する余裕 [続きを読む]
  • 「気分は、下剋上」<夏>202
  • 「ここに居ますよ……」 寝言だとは分かっているものの、答えずにはいられなかった。薬の力を借りてでも熟睡している最愛の人に「悪夢」を見て欲しくはなかったので。「心配させて……そして助けに来てくれて…… 私の手……震えが止まらなかったら……どうしよう。祐樹の賞賛の……眼差しが……心の支えなのに……。 それすらなくなってしまったら……」 点滴のラインを繋いだ左手とか、バスローブから露出した蒼褪めた肌や、 [続きを読む]
  • 気分は下剋上≪震災編≫217
  • 「シェフからのサービスで御座います。特別なゲスト様でいらっしゃいますから」 北京ダックを食べ終わったタイミングを見計らっていたように個室のドアが開かれて純白のリネンを掛けた移動式のテーブル――正式名称はあいにく知らないが――を押しながら入って来たスタッフに二人の視線がいぶかしそうに絡み合うのも何だか可笑しい。「ここだけの話しなのですが、シェフもNHKのニュースはずっと拝見しておりまして」 納得したよ [続きを読む]
  • 「気分は、下剋上」<夏>201
  • 「……そうですね。起こってしまったことは仕方ないので、後は心のケアをしっかりとしなければなりませんね……」 精神科医としても優秀だし、普段の祐樹のことも熟知している呉先生にも悟られないように――熟睡している最愛の人を起こさないようにという配慮も当然有ったが点滴と注射で薬剤を入れているのでそうそう起きないことも職業柄知っている――囁くような声で話しても変には思われないだろうし、声の調子が何時もと異な [続きを読む]
  • 気分は下剋上≪震災編≫216
  • 「祐樹……。心の中で思っていたことを上手く言葉に出来なくて……随分と悩ませてしまったようだし、その上『何事もなかったかのように振る舞う』祐樹を見ていて――あれは呉先生の専門的見地からの正しいアプローチだが――ずっと言い出せなかった。 あの件では祐樹が随分苦悩してくれていたことも察していて、それに……つい弾みというか勝手に口から出た言葉というか……で配慮してくれていたのだろう? そういうことも含めて [続きを読む]
  • 「気分は、下剋上」<夏>200
  • 「お疲れのようですね。 私と違って田中先生はアイツに対峙した人ですし――外科医の皆さんには、ああいう精神疾患患者が苦手なことも経験上良く分かっているので――少し休みがてら教授の様子を窺いに行きましょうか?」 内心では、気息奄々といった心情で最愛の人の外傷を、なるべく淡々かつ呉先生といつも接している態度を崩さずにいるというのも、今の祐樹には努力が必要だった。 最愛の人の滑らかな素肌に――傷自体はミリ [続きを読む]
  • 下剋上シリーズを読む順番。
  • 旧ブログでちまちま更新していた分は全部お引越しは出来ないので(スミマセン)新しい読者様で、興味を持たれた方は、リンク先でお楽しみ頂ければ嬉しいです。 色々書き散らかしてしまいまして、管理人すら書庫の管理もままならないのを見かねて下さった、読者様が、リンクを作って下さいましたー――――――PC用です。スマホ等でお読みになる場合は、ディスプレイを〔PC版〕にして下さい。 『気分は、下克上』http://blogs [続きを読む]
  • 気分は下剋上≪震災編≫215
  •  今朝未明には祐樹の身を案じて心配の余り死にそうな気分に追い込まれてしまった――地震は自然現象だから誰を責めるわけでもないが――後のことだけに、何気ない愛の言葉を交わしながら瞳を合わせて語り合って、しかもこんなにも美味しい料理を食べて笑いあえる幸福感が掛け替えのない宝石よりも貴重な時間と心の底から思った。「せっかくだから……ココでしか食べられないものをオーダーするのも良いかも知れないな」 フレンチ [続きを読む]
  • 「気分は、下剋上」<夏>199
  • 「それって、教授の現金や不動産とかその他金融資産など、教授がアメリカ時代に稼ぎ出したお金を田中先生が『その気』になれば持ち出すことが出来ますよね? 教授の全幅の信頼を受けているのですね、田中先生は。 オレの場合、同居人に全ての資産――と言っても家と敷地くらいしか有りませんが――その権利書を自由になんてさせていません。 愛情だけではなくて、田中先生全てを丸ごと信頼なさっているのですね、教授は……」  [続きを読む]
  • 気分は下剋上≪震災編≫214
  • 「有難う御座います。招待状の件は全て貴方のお蔭です。心の底から感謝しています。 貴方と同じステージに立てる日を夢見て頑張ります。ベルリンでの公開手術の後に仰って下さった言葉を胸に仕舞って――あの時は夢のようで現実感が全くわきませんでしたが、貴方は本気だったのですね――ひたすら手技を磨いた成果が出たようでとても嬉しいです。 執刀医として『も』貴方の隣に並べるように努力します。 海よりも深く、天よりも [続きを読む]
  • 「気分は、下剋上」<夏>198
  •  血を見るのが生理的に受け付けない呉先生だったが、精神科医としては優れている上に――そうでなければ真殿教授と大喧嘩した時点で病院長は大学病院から切り捨てただろう――対人関係能力にも自信のない上に友人を積極的に作る積もりもなさそうな祐樹最愛の人も呉先生のことは気に入っている、お互いの恋人の惚気話をする程度には――つまりは信頼関係が予め構築されているので精神科の真殿教授直々だか、そのお墨付きを貰った「 [続きを読む]
  • 気分は下剋上≪震災編≫213
  • 「ああ、あれは確かに驚いたな……。テンプレ通りの簡略かつ丁重な返信が来たら上出来だと思っていたが」 医師の中には作家を兼業している人間も存在する――祐樹が兼任しているAiセンター長だって、もともとは「死亡時画像診断」を世間に認知させるために論文ではなく娯楽性の高い推理小説で世に問うた人の作戦勝ちといった感じだったし、その後テレビや映画にまでなったので、元来は腰の重い厚労省も世論に迎合してAiセンタ [続きを読む]
  • 「気分は、下剋上」<夏>197
  • 「あの点滴スタンドとか薬剤の調達はウチの病院からでは有りませんよね? いえ、咎める積もりは毛頭有りませんが、良く準備出来たなと感心しまして」 砕けた魂の欠片を何とか修復しようと、普段は入れない砂糖とミルクをかき混ぜながら呉先生の手回しの良さに感嘆の眼差しを向けた。「その話は――薬剤が効いて眠っていらっしゃるとはいえ――香川教授の容態を診ながらでも大丈夫でしょう。聞かれても問題のない話題だと思います [続きを読む]
  • 気分は下剋上≪震災編≫212
  • 「理想的なのは、貴方の執刀予定が早く終わりそうな患者さんの手術に合わせて私の手術開始時間を二時間ほどずらすことでしょうかね。貴方の卓越した手技レベルでは『簡単』なレベルの患者さんを選んで手術室からモニタールームに駆けつけるという流れでしょうか?それだと私も心強いですし。 もちろん成功させる自信は有ります、有りますが手術に絶対など有り得ないことも分かっているので、何か有れば貴方が即座に駆けつけて下さ [続きを読む]
  • 「気分は、下剋上」<夏>196
  •  呉先生対真殿教授という、精神科の白熱した――専門用語が多々混じっていたので祐樹は聞いてもほとんど意味が取れなかったが――バトルは呉先生の方が優勢な感じだったのでそちらは任せておくことにして斉藤病院長との会話を続けた。 スマホはスピーカー機能が付いているので呉先生と真殿教授の声も斉藤病院長のスマホからも聞こえるという状況把握にぴったりだったが。「黒木准教授からのレポートですか……?」 医局が――脳 [続きを読む]
  • 「気分は、下剋上」<夏>195
  •  ただ、内田教授の権限を一部委譲されていた長岡先生だったので、沈黙の怒りを湛えた内田教授が「妹さんを勝手に殺した設定にした」という――祐樹が把握していたのは「心筋梗塞で岩松氏の病院に運ばれた」ということ自体がウソだったという件のみだったが、それを立証するために彼女も呼んだのかも知れない。 最愛の人も――仕事面では全幅の信頼を、プライベートでは困った妹的な扱いをしている人だし――内田教授は仕事面の彼 [続きを読む]
  • 「気分は、下剋上」<夏>194
  • 『田中先生、電話を待ちかねていたよ。どうだね?香川教授の容態は?』 斉藤病院長は先程の電話とは異なって猫撫で声に近い感じだった。まあ、内心を押し隠すことには慣れきっている人なので電話越しではなく直接対面しても祐樹などに本心を悟られるような人ではないだろうが。「右手の外傷の件ですが、井藤は精神に異常をきたしたせいで腱や神経を切り裂くのが目的だったようで……救出した時にメスが数本転がっていましたし。  [続きを読む]