仮名吹(かなぶき) さん プロフィール

  •  
仮名吹(かなぶき)さん: みんなの夜
ハンドル名仮名吹(かなぶき) さん
ブログタイトルみんなの夜
ブログURLhttp://masa-toshi-bros.seesaa.net/
サイト紹介文仮名吹(かなぶき)です。夜、一人で詩を読んでいる方へ。あなたは一人ではないですよ。みんなもそうです。
自由文自作の詩をお届けいたします。よかったらご覧になってください。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供89回 / 188日(平均3.3回/週) - 参加 2017/04/15 08:06

仮名吹(かなぶき) さんのブログ記事

  • 秘密の言葉なんて
  • 道端に落ちていた秘密の言葉を拾ってアパートに帰ったら僕は自分の言葉を失くしてしまったその日以後誰とも会話することができなくなり仕事も辞めなければならなくなった職場仲間だった女の子が心配して訪ねてきてくれた僕が秘密の言葉ですべてを打ち明けると彼女は僕の手を握ってただ何も言わないでいてくれた二人で暮らすようになったある日僕が秘密の言葉を切り取ってゴミ収集所に捨てに行くと誰かのものだったはずの言葉たちが [続きを読む]
  • 全校集会
  • クラスで目立たない奴がいた「お前、いたっけ?」ある日、英語の教師がそいつに言い放った教室内にはクスクス笑う声も聞こえたその夜、そいつは自ら命を絶った次の朝、授業はすべて中止になり全校集会が開かれた校長が「遺書が残されていないため、彼の死の理由はわからないのですが…」あんな説明ならわざわざ聞く価値もなかった「お前いたっけ」の教師は粘土のような顔色で集会の間中まるで陶器のように固まっていたあんたならあ [続きを読む]
  • すりおろしリンゴ
  • おたふく風邪をひいた僕に幼稚園を休んでお医者さんに行って家で寝ていなさいと言った母は僕に○○レンジャーのテレビ絵本を買って来てくれた○○レンジャー大好きだったから夢中になって読んでいたらまた母が部屋に来て今度はすりおろしリンゴを作って来てくれた脇目も振らずに食べた、すりおろしリンゴあんまり冷えてなかった僕がおなかを壊すといけないから冷やしていないリンゴを擦ったのだろう世間では幼児虐待、幼児殺害のニ [続きを読む]
  • 見守ってるから
  • 日課の朝の散歩道の向うにみんながいる気がしたそこに私が近づくと朝の風がサーッと私をただ包んだだけで風だけでしょうか誰かが守ってくれたとしか思えないほど危ないところを免れたことがあったその時、何かに感謝せずにいられなかったきっと誰かに守られて今こうして生かされているということ朝の風に包まれたあと私は一人また歩き出す [続きを読む]
  • どうせいつもの逃避行
  • 日曜日、部屋にいても何もすることがない友だちなんか一人もいないこんなに暇なら仕事してるほうがましだ月曜日、その仕事に追いまくられまるで業務用ロボットになったみたいだこんなに辛いことはない、部屋で休みたい火曜日、結局判ったことといえば貧しいこころを抱えて離さぬ自分人形が毎週、右往左往しているということだけで…  逃げ場なんてどこにもないんだぞという声が後ろから聞こえて驚いて振り返ったら老犬が一匹、近 [続きを読む]
  • 光の微粒子
  • 窓ガラスの朝露が流れ落ちないで極小の景色を無数に映して溜まっている私は泣いたことがない、と他のみんなは思っている私は神さまの前でしか泣かない私が今までにいっぱい泣いてきたことを神さま以外、人は誰も知らないそしてこれからも私は人の前では泣かないだろうそしてこのことも私はあの人にさえ告げないだろうあの人の前で泣けたらうまくいくこともあるかもしれないけれどこれからの暮らしでたとえ光の微粒子がそよ風に乗っ [続きを読む]
  • 観光名所
  • この街は観光名所だから人は記念にお金を落としていくこの街は観光名所だけど住む人はみな伝統と慣習に押し潰されてやさしさを落としていくそうやって一人また一人といのちを閉じていく溢れんばかりの観光客の輝く瞳に彩られて今日も賑わう観光都市 [続きを読む]
  • 不自由なテレビ、自由な本
  • テレビの政治討論番組を見ていたら「あなたの結論がなぜそうなるのか、その根拠を教えてください」「それは今テレビですので、放送法とか名誉棄損とかいろいろありますので、今ここで申し上げることはできません」本屋でたまたま見つけた、そのテレビ論客が書いた本立ち読みすると「テレビで言えないこと」ばかり書いてあるそんな本が普通に本屋で売っているたぶん日本中で売られているテレビよりも本のほうがメディアとして自由な [続きを読む]
  • ついに
  • 私はついに隣部屋の大学生のような人に朝の風のなかで挨拶を返すというよりも、私はついに外国人の主婦のような人からお箸の使い方をけなされてしまった後、私はついに  先生、今日もネクタイ派手やわ〜あえて反論しないアプローチやら何やら、私はついに今夜こそ本当にあなた宛ての手紙などではなく今、ありのままの自分のこころを人に笑われてもいいから私は 私はついにあなたのためにするでしょう [続きを読む]
  • わが家の政治学
  • 誰だ、そこにいるのはなんだ、おっちゃんか――お前の政治の話みたいなもん聞きたくもない。  お前、何や?  政治学かなんか知らんけど  字ばっかりの本読んでても一銭にもならんぞ。それからしばらく経ってからだった自民党の選挙事務所から出てきた、おっちゃんを見たのは――おう、お前か。なぁおっちゃん、政治家って何する人なん?――政治家っちゅうのんはな、  こんなことしたりあんなことしたり  それで金儲けて [続きを読む]
  • 行政なんかの
  • 「私は行政なんかの世話になるのは嫌いです」と言う中年男がいたその人に、ここにはどうやって来ましたかと聞いた「車で来ました」その車は何の上を走ってきましたか「道路の上です」その道路を作ったのは行政じゃないんですか?反権力主義者なのかな社会に対して突っ張る態度だけは超一流ですね [続きを読む]
  • 通訳案内士試験対策セミナー
  • ひと気のないオフィス街今日は日曜日だ三十代になったばかりという感じのまだ可愛らしさの残るお姉さんが歩いていたどこへ行くのだろう彼女が入っていった貸会議室ビル僕もその玄関に吸い込まれてしまったロビーの掲示板には「9F 通訳案内士2次試験セミナー」そうだった、そうだった、僕もこのセミナーを受けるために新大阪まで来たのだったエレベータで9階に上がると三十人ほどの無言の衆が会場外の廊下でみんな温泉猿のよう [続きを読む]
  • 父と母と子
  • 父は僕が普通のスポーツ選手になるように育てたがっていた悪く言えば型にはめ込みたがっていた母は僕がどこまでも自由に遊びたいように遊ばせてくれた悪く言えば甘やかしていたそういうなかで僕は嬉しい言葉 悲しい言葉なぜか忘れられない言葉いろんなものを心にため込むばかりで何者にもなれず年だけ取っていった今、たまりにたまった言葉たちが詩というかたちを装って戯れているだけなのかもしれない [続きを読む]
  • 家族
  • すずという名前の犬がいましたすずがあんまり可愛らしいから守ってあげようとポチは思いましたでもポチは言葉を話せないからすずを守ることをおにいちゃんに言いませんでしたでもおにいちゃんもおかあさんもそのことをよく知っていましたなぜなら家の中でも外でも晴れの日も雨の日もどんなときでもポチがあんまりすずに優しかったからですたとえおとうさんと散歩した山で出くわした二匹の猟犬に噛まれながら命がけで闘ってもすずを [続きを読む]
  • 一片のメモリー
  • さよなら 本当にさよなら一片の記憶だけが僕に謎をかける白い地図片手に遠い旅を生きれば生きるほどになぜこの街に舞い戻ってしまうなぜあなたを傷つけるだけになるさよなら 本当にさよなら一片の謎だけを僕は抱きしめる気づいたら薄れてく夏の陽射し全然違うこと考えていた思えば親のない子どうしというだけで思えばだから愛に理由などいらなかったのかさよなら 飛べない鳥たちにさよなら 本当にさよなら [続きを読む]
  • 長い夏休み
  • とうとう夏休み最後の朝になってしまった僕は今日一日で夏の思い出すべてを作らなければならない八月三十一日野菜(やさい)の日だ夏休み日記帳の一ページ目に今日は野菜(やさい)の日ですと書いたでもその後がおそろしいほど続かないまるで小さな悪魔に呪われたかのようにあまりに何も起こらない夏だった女は今年の夏もリア充だったぜと一ヶ月ぶりにLINEしてきたこのメッセージだけが今のところ僕の夏のすべてだ独占欲心のノート [続きを読む]
  • あの日の歌い方で
  •   ♪かわいた風に吹かれて人気バンドのボーカルそっくりの歌い方で命を発散させていた若者のその後の消息を誰も知らない当時のカラオケボックスは今日も朝から客を呑み込み続けているこの街の誰も僕を知らないし僕も彼らを知らない社会学の大学院生かなんかが好んで論文に書きそうなネタだ誰もが匿名のつもりで歩いてる僕に詩に書かれているとも知らずにつまらん詩だねとバカにする、その詩に自分が登場してるとも知らずに  ♪ [続きを読む]
  • どしゃ降り女子
  • 梅雨が明ける頃まであんなに辛かったどしゃ降り今日 傘もささずに歩いてもどしゃ降りがむしろ楽しい今ごろあなたもどしゃ降りのなかですか上司の怒鳴り声や客からのクレーム電話どしゃ降りのなかにいますかLINEでもメールでもいいそっと言葉贈りたい「どしゃ降りでもなんでも二人でなら何とかなるじゃない」ってせまいこの部屋ずぶ濡れになった髪をドライヤーで乾かしながらずぶ濡れになったこころをいつものように乾かし合い [続きを読む]
  • 中高年の初心者たち
  • 神の言葉は信じるけれど日本人の言葉に耳を貸さない外国人信徒がいた神の前にはひざまずくけれど日本人の上に立たないと気が済まない外国人がいた牧師は英語ができないことを誤魔化そうと外国人信徒に媚びて彼らの国の言葉を学習し始めた他方僕にはこう言い放った「そんなことではTOEICに落ちますよ?」自宅に戻って笑うしかなかった丘の上の教会今ごろ風に吹かれて消え去ってしまっていても僕は驚かないかもしれないでもそん [続きを読む]
  • 癒されたいの
  • そんなゴリラ顔して四十五歳にもなってまだ私とおかあさんごっこしたいなんてどうしたの会社で何かあったのそれはそうとマンション買ってくれる話はどうなったの私に癒されたいならまずそこをはっきりさせてくれなきゃねぇマ・ン・ショ・ン [続きを読む]
  • 詩人になりたい
  • 彼は言った  詩人になりたいんです僕は尋ねた――どんな詩人になりたいんですか?  有名な詩人です――…。風の便りに、彼は今塾講師のアルバイトをしていると聞いたブラックバイトだけど頑張っていて  作家デビューしたら  このバイトもやめる  仮名吹さんみたいな  素人の詩人で終わりたくないと言っているらしい詩人になる夢、あきらめてないんだねお互いがんばろう [続きを読む]
  • きっと許せる
  • あなたのことをあなたがしてきた傍若無人な行いのすべてをいつかきっと許せると思うあなたのような小悪党よりももっと悪い人たちを見てきたけど彼らにも可哀想なところがあったと今では同情さえしているだからきっといつか許せる日が来ると思うあなたのことをあなたが自分の立場もわきまえず犯した過ちをいつかきっと忘れられると思うそもそもあなたは良くも悪くも長く人の記憶にとどまれるような印象的な人ではない単なる不誠実な [続きを読む]
  • 【お知らせ】詩作品へのコメントのつけ方
  • ご存知の方もおられることでしょうが、改めてご案内いたします。手順①:「最近の作品」欄等の記事タイトル「例)書店のアルバイト」等を して記事個別ページを開いてください。手順②:記事個別ページの下部「この記事へのコメント」の右下に青い文字で「コメントを書く」というリンク文字がありますので、ここに矢印を合わせて してください。手順③:コメント投稿画面が表示されますので、ご記入ください。 [続きを読む]
  • 書店のアルバイト
  • 新規開店前の本屋さん1万冊も並べなきゃいけない5千冊くらい本棚に詰めたところで休憩そのときバイトの男子学生がやってきた  どこの大学ですか?本屋のバイトするのに学歴が何の関係あるんだろうと思いつつ答えた――立命館大学です  どこの学部ですか?――法学部です  僕は同志社です――あ、そうですかそれきり僕が卒業するまで約一年彼に口をきいてもらえなかった他のバイトの子が彼が偏差値がどうのこうの言ってたと [続きを読む]