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地底の声 https://amanekouko.hatenablog.jp/

世の中からズレてる人の書いたもの。詩、エッセイ、日記、小説など。

甚だ異形なる感受 異端の言葉難解と 我も違和感抱きたり 暗い暗いはリアリズム それゆえ望み見えぬとて どうやら我が詩不評なり 然れどままよ筆を執り 刻む足跡いしぶみに 誰ぞ一人と解き放つ

amanekouko
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2017/06/18

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  • ためらいながら、書いている…。

    私は、「〈自己愛〉と〈他者愛〉のはざまで」を、ためらいながら、書いている。 「渦中」で言語化するのは、難しい。 私は、自己表現は得意な方だが、肝心なことは、相当の時間を経なければ、言葉になって出てこない。 そして、強烈な罪悪感がある。 私が父を非難すれば、「親」一般、「男性」一般を排撃することにもなりかねない。そう受け取られているかもしれない。 母親に傷つけられた人、女性に傷つけられた人、子どもに傷つけられた人、障碍者に傷つけられた人もいるだろう。立場が違えば、この記事は、読者のトラウマを刺激するかもしれない。 とりわけ、ASDという超絶「むつかしい」人を抱え、家事の負担が集中する母親の心を傷…

  • 詩:なんやねん

    なんやねん だれやねん そういうわれは なんやねん わいのこと なんやおもてんねん わいのこと なにしっとんねん いっこ?じっこ?ひゃっこ? もっとあるわい わってもわってもわっても わいおるさかい おもいきや おらんかもしれへんさかい じしんなくなってきたわい なにわろてんねん そもそもわれは なんやおもてんねん なまえなんやねん そもそもわいは なんやってん なまえなんやってん だれやねんほんま なんやねんほんま だからほんまなんやねん ほんならわい そろそろいくわ おいおいそっちはぬまやで ええねん わいのはたけは わってもわってもわっても そこなしぬまの なんやねん (2022.3.1…

  • 〈自己愛〉と〈他者愛〉のはざまで(6) 詩:〈敵〉と〈味方〉

    E氏と対決した。 偉そうなことをまくしたててしまったかもしれないが、懸命に意思表示した。 E氏の立場として、そういうふうにしか生きられなかった、と判明した。 和解した。誇りを感じた。 こうして私は、クリニックを辞めた。 〈敵〉と〈味方〉 ありのままのじぶんであることを許さない 〈敵〉の砲弾に追われ 匿われた〈味方〉のアジトで わたしたちは出会った 〈味方〉の毛布に包みこまれたとき 〈敵〉のにおいがした 〈敵〉か〈味方〉か 〈外〉か〈内〉か 〈彼方〉か〈此方〉か ――ばかばかしい わかっていた わたしたちが対立する勢力であることは わたしたちが存在の基底に根をおろし 魂の向かう地平へこころざすほ…

  • 詩:生の杣道

    〈争いによって 生 を望む者もいれば 死 を望む者がいてもおかしくない この杣道は 通った人にしか わからない〉 岡本太郎の遺伝子 命かけてうたう artの革命家よ 宇宙に迸る あなたの息吹が わたしを覚醒させた けれども誘爆する魂よ、 もし パンドラの箱を開いたとき 終わりが待っていたら? 開かれるように閉じられれば? どうすればいいのか? それでわたしは この杣道に入れないのだ 番人が告げる ここからは立ち入り禁止だ、と わたしの炸裂が あなたの呼吸に合わなければ きっとあなたを失望させるだろう 〈ある詩人はいった すべての中絶には意味がある(※)、と〉 番人を押しのけ 禁令を破って進めば…

  • 〈自己愛〉と〈他者愛〉のはざまで(5) ゾンビの影たちとの闘い

    A氏に相談した。詳しくは書かないが、暴力について「あること」を言われ、胸が張り裂けるような思いをした。 衝突した。その人は、浅薄な解釈で、「あること」を言ったにすぎなかった、と判明した。和解した。 A氏にも、E氏にも、悪気はまったくなかった。 私は繊細に、複雑に、深遠に感じ、考えてしまう。一方、A氏らには、明晰な意図がない、意識がない、自覚がない、らしい……。 このことが、私と世の中がズレ、自分が病んでいく原因だと思った。 夢の中で、彼ら――「無意識の殴打」をするゾンビたちの影が、がやがやと迫ってきた。音に襲われ、叫んで起きることが増えた。 意識は過覚醒し、休めなかった(この時、詩「ゾンビ」を…

  • 詩:異化の結実

    異化には理由がある ひとりひとりに理由がある―― 何年前だったか、の 遠い昔 あれは違う、これは違うと、 会う人会う人に アナフィラキシーショック の電流を受けて 竦み上がっていた 違和感の看守が わたしを牢獄に 連れ戻し もう一歩も出られなくなった 会う人会う人に 衝突したものだった (じつは今でも そうなのだが――) 「同じ」を叫ぶ人々のなかで わたしは「違う」の核心を 思春期の頃から知っていた 生涯かけて これを解明すると 決意するまでに 「同じ」に馴染みきった人は知らない 「違う」がどれほど迫害され 剥奪されるかを 生を血で染め上げられるかを 病気、障害、不名誉なスティグマ わたしの戦…

  • 〈自己愛〉と〈他者愛〉のはざまで(4) 『女ぎらい』の印象的な記述「権力のエロス化」と感想

    【注意】 私が家の問題を書くと、刺激の強い記事になってしまい、申しわけありません。 気が弱っている時は、あまり読まないよう、注意してください。 1年前、攻撃を快楽にしているサディスティックな父、そしてE氏の「それはあなたのため」という言葉のおかしさを分析するために、上野千鶴子著『女ぎらい』を読んだ。 以下は、もっとも印象的だった箇所の復習メモである。 「権力のエロス化」の章の記述 近代は、「神」に代わって「自然」を代入した。そして性を「自然化」したという。 近代婚姻法以降、夫婦関係の性はエロス化された。夫婦間に性行為の義務が発生したと推定されるからだ。夫婦関係の性関係が特権化されただけでなく、…

  • 詩:沼

    贔屓が グループに入っていたから みんなが好きになった けれども ひとりが異様にまばゆく みんなも 贔屓すらも 背景になり 搔き消された そのひとりだけが 目に 耳に 浮き出るように 飛び込んでくる どうやら墜ちてしまったらしい 意図するでもなく 手足は沼に絡めとられている 〝熱狂的ファン〟という汚名が 耳に痛い そんなつもりはなかった のに 果てしなく底無しで…… 彼の言葉を読んだ 彼は否定しているけれども ある文士に似ていると囁かれていた 昔、その文士を近親のように慕っていたわたしの 足元はぐらついた 〈この人は、ヤバイ〉 気づけば根っこを探る 指は止まらなかった それがはじまりだったと思…

  • 〈自己愛〉と〈他者愛〉のはざまで(3)世間の「愛」の認識

    加害がなぜ「愛」とみなされるのか? という素朴な疑問 他人の生理的な、自然な反応を、攻撃して抑えつける。他人の思考や行動を強引に決めつける。やってもいないことを「やった」とか、やったことを「やっていない」とか。冤罪をつくる検察官まがいに、恫喝して、罪の自白を強要しようとする。ヤクザまがいに脅迫する。 無理やり押し倒す。引きずり回す。体内(口)に侵入する。痣をつける。逃げ道を絶ち、望まぬコミュニケーションを強制する。何時間も拘束する。弱点のある体の部位(耳元)を狙って、「おまえなんで生きてるんや!」と怒鳴る。 私が事実を指摘すると、否認する。「自分の対処は正しい」と正当化する。あげくの果てに、病…

  • 〈自己愛〉と〈他者愛〉のはざまで(2) 詩:ゾンビ

    私は国際情勢に詳しくないので、ウクライナ侵攻に関して、マクロな面で意見する知識は十分に持っていない。が、関係の記事を読む限りは、私の体験した問題に通じる部分はあると感じている。 ロシアの精神的な大地。アイデンティティ。つまり〈わたし〉のアイデンティティに自信を喪った者が、過去の栄光である〈わたし〉を取り戻すために、隣人を〈わたしのもの〉にしようとする精神を、ミクロなレベルでは感じる(詩「隣人」に書いた)。 〈わたし〉のトランスパーソナル。自己の拡張。「何の疑いもない。安全保障のための正当な攻撃(解放)。責任は相手にある」私を攻撃する人も、プーチンと同じことを主張する。〈わたし〉を無意識に「ウチ…

  • 日記:転院(4/23まで期間限定記事)

    (※非常に再現率が高く、個人を特定される可能性があるので、期間限定記事とします。) 昨日、×××医院に転院の意思を伝えた。 「前回、怒濤のように一方的に話してしまいましたが、大丈夫でしたか? 何か伝えたいことはありましたか?」 「ううん。話、良かった。天寧さんの感じていること話してくれて」 E先生は爽やかに言った。私の話を聞くばかりでなく、自分の本音も吐き出せたことが「良かった」という口吻だった。「そう捉えたことなかった。ハッとしたって言うと、他のスタッフもそうだわ…って」 私は先生の仕事ぶりを評価するために、Evernoteの原稿を読み上げていった。 「自分の欲望が動機にありながら、外形的に…

  • 〈自己愛〉と〈他者愛〉のはざまで(1)愛と暴力

    半年ほど前、身近な人(父)から暴力を受け、心を支えるために、手記(100頁ほど)を書いていた。感覚過敏でパニックを起こしたのが発端にある。 身近な人 E氏(医者)に相談したが、それは「愛」と言われ、いよいよ追い込まれた。(検索されたくないので、あとで曖昧な表現にする予定。) あまり外に出られない事情があり、逃げ場所がなかった。家の中で四六時中、臨戦態勢。どんなに疲労困憊していても休むことができず、音に襲われる悪夢、幻聴、金縛り、夜驚が頻発し、泣きながら寝る日が増えた。交通事故を起こしかけた。薬は2倍に。最近やっと落ち着いてきたが、睡眠障害と闘う日々は続いている。 信田さよ子氏はいう。家族には暴…

  • 詩:時の陽光

    (おまえが悪い んじゃない こんがらがった糸が 悪いんだ) 長い 長い争いは 鎧に覆われた 懐の内側に 深手を負わせた 血の滴る 鉄錆の心臓を みずからの手で 切り裂きながら (いつか 縫い合わせるのだ) (深手を負ったのは おまえだけではない) 色めく 春の暖光も 鉄錆の谷間に 届きはしない 春も夏も秋も冬も 時を失った心に 躰に降る 時だけが 春を運ぶ 砂時計の流砂 の零れるような 時の陽光が ひと砂ひと砂 鉄錆の谷間に さらさら 降る 降る 降る 氷層を ひとひらずつ 淡い日差しに 融かして

  • 日記:家庭内暴力

    私は家族に暴力を振るったことがある。それは悪だった。暴力を肯定しているわけでは決してない。 ただ、密室で暴君化した人々の行動原理を想像してみてほしい。「暴れる」には、「そうならざるを得なかった経緯」「そういう衝動に至った背景」が必ずある。 その人の怒りをかき立てるようなことを、まわりの人がしてきた。その怒りを無視した。だから復讐している場合がほとんどなのだ。私のような立場に置かれている人には、たいていこの図式が隠れていると思う。 何もないところでは、絶対に、絶対に発生しない。 「行動」だけに焦点を当てても問題は解決しない。そういう「行動」に至った、全人格的な「背景」「歴史」「心理」に目を向けな…

  • 詩:囲う家

    代々結び目をつくる 根の先端のある家で 私は私を組織する 傷の修復 武器の研磨 空腹の解消 ――でも 包み込む布団が 絞め上げたら―― 育んだ土が 生き埋めにしたら―― 緑の源泉が 毒を流し込んだら―― 組織する栄養が 牙を剝いたら―― ――風雪から守る 屋根が あぁ、重い、重い、 ――盗人の侵入を防ぐ 壁が あぁ、きつい、きつい、 地縛霊のように 床板に縫いつけられて 金縛りの夜驚が 厚い壁を震わす あの軽やかな空気を 自在に運んでくる 窓があったら―― 錠の外れた 敷居の跨ぐことのできる 扉があったら――

  • 日記:社会的に作り上げられた「家庭とはこうあるべき」は解体したほうがよいのでは?

    何十年も前から言われてきたことだが、発達障害の子どもを持つ親、とくに母親の苦しみは、想像を絶する凄惨さである。森口奈緒美さんの『自閉女の冒険』を読めば、明らかである。私の母は、知的な困難があるので、そのような葛藤はたまたま免れたものの、父は苦労した。 ひきこもる子どもを持つ親の話を聞くと、誰もが深く傷ついている。子どもの傷はもっと深い。私の見聞によると、死を考えていない人はほとんどいなかった。 個人の特性、学校、会社、病院に至るまで、社会の広範な範囲にわたって、問題は複雑に絡み合っている。こうした社会の矛盾を、家庭は一心に引き受けて、消尽していく。 家庭はあたかも傷口を封印された密室である。社…

  • 詩:考えることが好き

    考えると詩が書けないよ、と 詩を書くひとがいった なるほど考えていると 詩が書けない わたしは欲張りだから 感じたい 考えたい どっちもやりたい どうしよう? 考える 割り切れない 答えは出ない 時間も気力も体力も 消耗する でも巨きな鉱山の 洞窟で 先人の手真似で 誰も見たことのない 金塊が 芋づる式に たくさん採れる ざくざく採れる 結局どういうこと? 黄金長方形にならないけど 輪切りにした断片が つぎつぎに まぶしい産声を上げて きらりと姿を見せる ああ ユリイカ! その燭光 目を見張る財宝 わたしだけの! すべての人の ゴチャマゼはゴチャマゼのまま 仕分けていくと 色や形が顔を出す 滓…

  • 詩:枯れ尾花

    夜がひらき 落下する 瞑目 憩いの黄泉に横たえる 肢体の門に 引転する 幽かな知らせに 識る 探照灯が 浮き、沈み、 沈み、浮き、 浮いて、浮いて、 浮いて、いく 唯識の明滅が 闇夜の溶けた 黎明へ―― 閾の水面から 面を上げれば 地上の墓地 閂の落ちた 霊廟に 屋根の下を 夜毎、夜毎、徘徊する 枯れ尾花の ゆらめく影が―― いる、いない、 いない、いる、 いる、いる、 あぁ、いる、 朧な輪郭で 彷徨している 夜にひらく 昏い朝の 来訪を告げる 識らせが 唯識を 己の座へ 墓地へ 連れ戻していく あぁ、来ないで、 こっちへ、来ないで、 来ないで、来ないで、 あっちへ、行って、 見ないで、見ない…

  • 詩:空孔

    ――空孔ヨ、私ヲ呼ベ 魂鳴りの奥の 重心に居座る カルデラは巨きく 火口を開き 肉厚の ヒタヒタ震える 深淵、爆発の呼気の 発炎筒に 空隙の椅子は 背を待っていた ――空孔ヨ、私ヲ満タセ ある時 君が座ると 日溜まりは注がれ カルデラの口を埋めた 背凭れの形はそのまま 君を嵌め込んだ 糸巻きのような 長い長い日常 ふいと立ち去った君は 手綱を失って浮き上がる 隠匿された空孔を 再び突き出した―― ――空孔ヨ、 ――コレコソ我ガ座 ――君デ満タスナ ――己ヲ乾カシ ――塑像ヲ創レ―― (2022.3.15) * 【ひとこと】 十代の頃から感じていた、根源的な存在不安を書きたかった。 そのイメージ…

  • 詩:祈り

    神よ たとえあなたが見えなくなっても この祈りを許してください 神よ たとえあなたの声が聞こえなくとも この祈りを聞いてください 神よ たとえあなたがいなくなっても この祈りを残してください 神よ たとえあなたがまぼろしであっても この祈りを届けてください (2016.7.15)

  • 詩:回帰

    硬く鋭く 己を掘り出す鑿の刃先は 絶つことによってしか 永遠に 我が骨に到達できないであろう (2016.11.28)

  • 詩:記憶(Voice of the trauma)

    かすかなひび割れの底から地獄が這い出してきた。 平静の裏に押し込めた記憶が悲鳴とともに躍り出て。 塔から見つめる暗闇は彼方まで続いていた。 声にならない唸りを上げて、ぞろぞろと列をなしていたのだ。 ここまできてはいけないよ、時々見張っているけれど、 胸底で燃え、焼け、渦巻き、ヘドロのように沈下して血潮を鈍らせるお前は、 毒に満たされた浅い呼吸を吐くのだから。 ――かつて、わたしはそこを見ていた。 平生は素知らぬ顔で揺られていた。 そこ、ここ、あそこに花畑。 麗しいうたをひらひら降らし、きれいな蝶々を追いかけて。 もはやとどまるまいと一目散に駆け抜けてきたわざわいは、 その輪郭を薄めたかに見えた…

  • 詩:放送禁止用語

    〈ピー〉のなにがわかる? 〈ピー〉のなにを知っている? 〈ピー〉を聞いただけで耳を塞ぐ きみは 〈ピー〉だ 〈ピー〉を書いたひとは 何十年も 〈ピー〉のなかで 〈ピー〉にひっぱり回され 〈ピー〉にひっかき回され 〈ピー〉にひきずり下ろされ 〈ピー〉にひっからまって つまり 〈ピー〉の血まるけになって 〈ピー〉ともみあってきたのだ もはや 〈ピー〉が生活であり 〈ピー〉が人生であり 〈ピー〉がつまり 大地なのだ 〈ピー〉に立つ わたしの足跡! 〈ピー〉よ! 気高く卑猥な! 〈ピー〉を知らない者だけが 〈ピー〉を禁じる それが 〈ピー〉だ とうぜん 〈ピー〉を知っている者など そうそういない 〈ピ…

  • 詩:幻の風船

    壮大な 幻の風船が弾けた 中身は見事に塵芥 残るがらんに赤面の体 そうだ、そうだ、それでいい 流れ着いた終末の明日に弾けていたのでは とっても耐えられるまい、さ…… それでも昏い感傷は 懲りずに夢をみるようにできているらしい とどまるところを知らない狂騒 忘れたのか ありもしないものは だんだんだんだん潰えゆく もう二度と砂塵の塔を描くまいと むしろ息あるうちに 瞼の上の白濁を 取り払わねばならないと…… 壮大な 幻の風船は弾ける そうだ、そうだ、それでいい 流れ着いた終末の明日に弾けていたのでは とっても耐えられるまい、さ…… (2017.6.9)

  • 詩:ゆううつのみち

    くるひもくるひも めらんこりいのかげが のべつまくなし うってゆく このみちのさきにのみ こたえにいたるもんはある わたしはそれを しっている ゆこう ゆこう ゆううつを ときどきは ささえるものが あるまいか ゆううつのうみは とてもしょうもうするから ほんのすこしでも たてるあいだに みのまわりのせいかつを ととのえておこう そうしてふたたび うみにのまれたら しずめるからだを やりすごしながら そのときがくるのを まつがいい あゆみは きざまれている たしかに こころは つむがれている たしかに だから きょうのちいさいりずむを ひとつひとつ ひろいあげながら みえないもんを かなたにみ…

  • 批評:「サミュエルを庵に閉じこめたとき+スティグマ」に寄せて

    橋本正秀「サミュエルを庵に閉じこめたとき+スティグマ」 これはもう一夜の夢のようなお話。竹林の中に忘れ物のように佇んでいる小さな物置でのお話。奔放な竹に囲まれた一隅での物語。 サミュエルを庵に閉じこめたとき 僕に向かって咆哮するだろうか? サミュエルは僕にとって何なのだろうか? 赤色発光し、青色散乱? 喧噪のロウンド、ルフランとク―プレの狂躁の中で死を迎え狂騒の中で蘇る小テーマ? サミュエルと僕との関係は、彷徨える形式のラウンド? その証拠に、サミュエルは、いつもいつもいつも、いつものように? 何かというと僕の顔色をうかがってそう覗きこんだ瞳の奥にどこよりも深い眼差しがあることを忘却させる手練…

  • 「地底の声」へようこそ【ブログ概要】

    「地底の声」へようこそ このサイトは、天寧煌子(あまねこうこ)の書いたもの(詩、エッセイ、日記、批評などの文章)を発表する場です。 「全生命が瞬間にひらききること。それが爆発だ」「その生き方こそが芸術だ」 岡本太郎の言葉に背中を押され、存在の基底に横たわる、深い自己を介さずしては現れない〈自己表現〉を目指したいです。 ただし、ドナ・ウィリアムズのいう〈暴露不安〉もあるので、葛藤の中で、表現の仕方を模索しています。 コミュニケーションとしてのブログでは、〈対応者〉として、コミュニケーションのための自己開示がなされます。 けれども私が〈対応者〉になれば、創造の刃先が鈍ります。 〈自己表現〉したい、…

  • 詩「隣人」

    足音たかく 雪崩れる嵐に乗って 賊の頭巾をかぶった隣人が 柵をまたぐ 花壇の若芽を 踏み荒らし 扉を蹴破りざま きみの鼓膜の奥にするどく 怒号する 〈俺の家のものになれ!〉 〈俺の家になれ!〉 〈俺になれ!〉 散乱する家具 きみは背後のない壁を後じさり 鞄からこっそり 鉛筆を取り出して 見下ろす隣人を捉えた 震える手でかれの姿を 紙切れに刻みつけた 〈俺になれ!〉 怒号は筆跡のなかに きみの家を建てた 〈おまえの家のものにならない!〉 〈おまえの家にならない!〉 〈おまえにならない!〉 柵のない柵の 境界に やわらかく かたい 流れる不動の 礎石の上に おまえは おまえ きみは きみ 俺は 俺…

  • 小説「袋」

    男の顔に袋が被(かぶ)さっている。首まですっぽり嵌(は)まっている。袋の口は中途半端に開放され、風に揺れてビラビラしている。 ビニール袋のようだが、もっと透明で、景色がよく見える。音もクリアに聞こえる。このままテレビや映画や音楽を楽しむこともできる。もちろん人と話すことも。 飲み食いする時は袋の隙間からスプーン、箸を差し込む。手で直接口に運ぶこともある。 何不自由ない。 今日は花粉が多いようだ。くしゃみをすると袋の内側に点々と唾がつく。汚いが、これくらいは仕方ない。袋の隙間からニュッと手を入れ、ティッシュで鼻をかんでしまう。 しかし、少し息が苦しい。吐き出した二酸化炭素が袋の中に滞留している。…

  • 〈特殊〉と〈一般〉のはざまで ―文芸社の講評に寄せて―(7)

    まなざしとまなざしの交錯 精神保健福祉センターで話を聞いてもらっている人がいた。もはや味方は、その人しかいなかった。 精神科のシンラツ先生は、こう教えてくれた。ふんぞり返って、声のシャワーを浴びせかけるように、奔放にしゃべるが、すこしも傲慢を感じさせない口調で。 「こういう状況を理解できる人は限られている。受け取るには勇気と力が要る。もっている人はごく一部。みんな嫌がる。重い? 暗い? そりゃそうだよ。ただ一般の人でも、心開かれる人はいる」 「私、誰も読まないかと……」 「一般の人は反応がないのが当たり前。理解できるわけない。できるもんならしてみろ! 詩集で一部でもわかってくれた人がいた、って…

  • 〈特殊〉と〈一般〉のはざまで ―文芸社の講評に寄せて―(6)

    私に大通りは似合わない ところが今度は、「マジョリティに向けて広く、わかりやすく!」という理想を目指すミカンさんと、決裂していくことになる。 ミカンさんには、発達障害の家族がいる。その人のことが「わからない」という。だからこそ、同じ事情を抱えている私の〈特殊〉事情を、〈一般〉に「わからせる」ことに、こだわるのだ。 ミカンさんが「わからない」のは、〈特殊〉事情のある人の問題ばかりではなく、彼女の問題であると、私は思った。ミカンさんのアイデンティティは、〈特殊〉な感覚を失い、〈一般〉の感覚に同化しているように思われた。そんな自分の心を、自分で見ることができないと。 そのような人が、〈特殊〉な人を理…

  • 〈特殊〉と〈一般〉のはざまで ―文芸社の講評に寄せて―(5)詩「ゆるして」

    ゆるして 私の命は許されていない。社会からも。自分からも。 「もう、許してほしい」と、神に祈った――。 【ゆるして】 ゝ ひとひらの風が 窓枠に触れる ゝ 部屋を撫で さらう波が ゝ 沈殿する波と 絡まり合い ゝ 揺蕩いひらく ありのままに ゝ 巻き上がり 生まれる灯の ゝ 零れ光り 渦巻く流れを ゝ ゆるして ゆるして 偶然、加藤諦三の本を読んで、気づいた。「理解してほしい(するべき)」という願望や必要性を、私はマジョリティに押し広げ、外化していた。そうすることは非現実的であると。 マジョリティは、私にとってマフィアだ。だからこそ「マフィアの権力をやり過ごす」「マフィアを避けて生きる」のが大…

  • 〈特殊〉と〈一般〉のはざまで ―文芸社の講評に寄せて―(4)詩「打ち下ろす槌に」

    燃え尽きて 命を賭けていた。森口さんが命を賭けて書いたように。失われた人間の尊厳を取り戻し、社会で生きる権利を確立するために。 人間の尊厳、命の尊厳とは何か? 社会的に抹殺された人の存在が、私には支えだった。裁判をする人の気持ちがわかった。ハンセン病や、いじめでPTSDになった人の記事をよく読んでいた。 〈特殊〉の魂を持った私が、〈特殊〉のまま――自分のまま、〈一般〉に通じる。それは、険しいいばらの道だった。 逆流性胃食道炎になった。膠原病になった。ストレスが内臓を攻撃して、身体中にできものができたのだ。 どんなに命をかけて『マイノリティ・センス』を書いても、社会に訴えても、無視されるのではな…

  • 〈特殊〉と〈一般〉のはざまで ―文芸社の講評に寄せて―(3)

    〈自分の部屋〉を〈通路〉の一部にしたくない 『マイノリティ・センス』がおおかたできあがった時、下読みした人の評価はさんざんだった。重い。暗い。わかりにくいと。読んでもらえない人が半数いた。そもそも「読めない」というのだ。 本の内容自体に関しては、それなりの自負はあった。なにせ、聴覚過敏に関して、世の中にはない秘密を、自分で解き明かした。世の中にないメソッドを、自分で築いた。世の中にない思想を、自分で編み上げた。世の中にない治療法を、自分で確立した。 しかし、とにかく〈一般〉向きではないことを、私は思い知った。 本の重要人物として登場する、一緒に推敲してくれた人(仮にミカンさんとする)がいた。ミ…

  • 〈特殊〉と〈一般〉のはざまで ―文芸社の講評に寄せて―(2)

    オーダー・メイド 私が直面している発達障害の問題もそうである。 私の問題と需要を解決できる情報が、世の中にはない。世の中の問題と需要を解決できる情報が、私の中にはない。私の問題と需要は、世の中の問題と需要とは重なり合わない。“ちょっと”はあるかもしれないが、微々たるものである。 だから私は、何を書いても「所詮、自分のオーダーメイドにしかならない」という虚しさを、たびたび感じる。自分の問題とその解決策が〈特殊〉すぎて、ほかの人に「使えない」。ほかの人の問題とその解決策が、私の〈特殊〉な問題に合わず、「使えない」。 社会のあらゆる場所で、私はそう言われてきた。「〈特殊〉なあなたに合った場所は、情報…

  • 〈特殊〉と〈一般〉のはざまで ―文芸社の講評に寄せて―(1)

    〈特殊〉vs〈一般〉 文芸社の講評を読んで、まず目に飛び込んできたのは、「全国流通を目指していただける内容」という文字だった。 「無理」だと思っていた。「それを目指しては私が潰れてしまう」と思っていた。 その理由を整理してみる。 〈特殊〉vs〈一般〉。この構図に引きずり回されてきた。 ざっくり書くと、私は〈特殊〉な感覚〈マイノリティ・センス〉のために、社会の中で生きる場所を失った。重い後遺症に苦しめられた。だから命の尊厳を賭けて、〈マイノリティ・センス〉を社会的に認めてほしいと訴えたのが、自家製本『マイノリティ・センス』である。 自閉症者の森口さんは、最初の著書を半年かけて書き、半年かけて推敲…

  • 日記「『マイノリティ・センス』の講評に”言葉を失う”ほど震撼した」 詩「ただ一人の観客へ」

    東京オリンピックが閉幕し、新型コロナウイルス第5波が落ち着き始めた2021年初秋。一通のレターパックがポストに入っていた。文芸社から届いた、聴覚過敏手記『マイノリティ・センス』の講評だった。 この春、文芸社主催の自分史大賞「人生十人十色大賞」に応募し、先月、落選した。理由と講評が知りたいと電話したところ、担当者が送ってくれたのだ。 講評には、作品を評価する言葉が連ねられていた。 その時受けた私の衝撃を、どう表現すればよいだろう? いつも無視ばかりされる私にふさわしくない、過分なる現実。これは夢か? 心のあまりに深い部分が震撼した。言葉にならない歓喜が爆発した。講評に「読み進めながら言葉を失う」…

  • 詩「花吹雪」

    遠い故郷を浮かべ 群青を帯び輝く細面が 水中に揺らぐように 潤む月は 夜闇に光沢を湛え ぴんと張ったしずかな冷気が 月の無言を呑んでいる しやめかな夜空に 散る 散る 熟れてゆく樹幹から離れ 透き通る白い花弁が 裸体のままひらき 無数の歌になって Good bye Good bye 一生分の準備を乗せ 旅立つ花吹雪 樹幹を搾りきるように 夜空をいっせいに昇ってゆく 遠い月に向かって Under the same sky If you are happy… 満ちる 樹幹から千切れて―― (2021.初春 蒼炎浪漫 Vol.19 収録)

  • 詩「アポロンの眼」

    ディオニソスに魅入られ 葡萄の蔓の絡まる酒杯を享(う)けた 昏い眼光を滾(たぎ)らせ 無形の岩漿*を地に撒いた ピンセットで標本台に載せる 一分の狂いなき手つきでつがえた アポロンの銀の矢が 杯を貫き 絶対零度の衝撃が またたく間に岩漿をかためた 射手を仰ぎみれば その瞳は日輪のようにまばゆく 世界を統べている 畏れおののいて わたしはひれ伏した…… 一切を留める 精緻な指捌きに口づけて 授かった天秤を掲げると 岩漿に言葉があてがわれる代わりに 凍りついた かれの輝く瞳が わたしを射! その片割れはわたしに嵌め込まれた ――音は鎮まった ――音は斃(たお)れた 砕かれた空の杯を拾い集めたが 鳴…

  • エッセイ「書く葛藤2 アポロンとディオニソス」

    書けない。しかし、せめて、書けないことを、書いてみたい。 私には、自閉症の特性に由来する、特殊な感覚がある。これを書きたいと思いついたのは、25年前になる。 はじめに「書け」と言ったのは、哲学を好む、ある文学の先生だった。当時私は、キルケゴールの本を翻訳したものを読んでいた。だから私の言葉も、思想も、いわゆる翻訳調であった。カクカク、ゴテゴテとしていた。岩盤のように。「それだけ考えていることがあるなら、書くべきだね」と先生は言った。 それから20年、「書きたい」「でも書けない」と苦しい葛藤をした。葛藤しすぎて病気(身体表現性障害。心の葛藤が身体機能を損なわせる病気)にまでなった。 ある人は、自…

  • 詩「ひきこもり四字熟語」

    以下は、最近できた自家製本を、あるひきこもり支援者に見せた時のやりとりです。 アゴウさんと6年ぶりに再会 ひきこもりサポーター養成講座に出るため、××センターに向かう途中、堤防沿いの道路で工事をしていて迂回させられた。早めに到着してアゴウさんに声をかけ、あらかじめ緊張をなくそうと思っていたのに、予想外の事態に出鼻を挫かれてしまった。 会議室に入ると、早速アゴウさんを発見。気まずく別れたのは2014年だったか。じつに6、7年ぶりの再会である。互いにすぐ相手を見定めた。 「出席簿の名前見て天寧さんだと思った」 とアゴウさんは私に声をかけた。相変わらず、鋭く人を見ている。 「A型事業所の件ではお世話…

  • 詩は、文学は、すべてウンコだというのか…!【詩】私の詩なぞ

    詩を書いているFさんから電話がかかってきた。 「ウンコの詩、××誌に載せていい?」 「えぇ!?」 ウンコの詩とは、私が自分の詩をクソみたいに厭う感情から生まれた「私の詩なぞ」という作品。 あまりにもひどいので、とても人様にお見せできないお蔵入りの詩である(でもこっそり出版した)。 「あんなクソみたいな詩をですか!? よりにもよってあんなんをですか!?」 「なにクソっていうエネルギーは大事」 「そりゃまあ、そうですけど…」 「谷川にもウンコの詩がある。岩波文庫で」 「あの谷川俊太郎が、クソを、ですか?」 「ウンコは希望。文学的エネルギー」 「希望!? 文学!?」 なんと詩は、文学はすべて、森羅万…

  • 白紙

    なぜこんな自分になったのか。 なぜ行き詰ってしまったのか。 「白紙」の中で、自分と語り合いました。 【白紙】 まっさらな紙のうえに まったく我が意思にまかせられている 流れるリズムのないままに しいんとひとりで 居場所ある者はさいわいと 君は言った、ソウダネ 望んで引き受けた軛じゃないけれど 誰もが耐えられるわけじゃない おかしくならないほうがおかしいね と思えば たまたま耐えざるを得ない毎日を 来る日も来る日もしのんでいる こんなちっぽけな日常も やりがいがある と思えるような気がした (『声・まっくら森』収録)

  • 自分の世界を描いた詩「大いなるものへ」

    このブログはほとんど見ている人がいないので、気が乗らず放置していたのですが、半年ぶりに更新します。 私の世界 このエピソードはいずれ私のもう一つのブログで書きたいですが、中学1、2年生の時、突然強烈な自我が芽生え、「自分の世界」をもったことがありました。 私はその世界のために生き、死ぬと、その時思いました。 そしてその世界が見えなくなった時から、何十年にもわたる鬱が始まりました。 中学2年生の時のエピソード 心の中の何かが欠け落ちてしまったことを私は知った――それは「故郷」だった。故郷の色鮮やかな懐かしい景色を。 社宅アパートの窓に掛かったブラインドから夕暮れを眺めていた時だった。自分の中から…

  • 鍵を知る者 ―ドナ・ウィリアムズに贈る―

    鍵を知る者よ 教えてほしい わたしがなぜここに 繋ぎ止められているのか 母なる器 痩せ果てた大地の封印に 縛めを解く 型はどこに 秘匿されているのか ――組み敷かれた魔方陣 ――解けない鍵穴 ふたつでひとつのからくり 片割れを抱えている あの雲に 差し伸べる大地の稲穂が なぜ届かないのか わたしはひとりで 硬い土に水をやり 稲穂を鍵の凹凸に変えようとする けれども鍵は ふたつでひとつ 雲は 持ち去ったまま 鍵を知る者よ あなたはあなたの頭上へ あなたの長身よりも遙かに 振り解いていった 縛めを解く 型となって 母なる器はあなたを飲み尽くしたあと 久遠の沈黙にばら撒いて ふたつでひとつのからくり…

  • 普遍プレッシャーで詩が書けない

    詩が書けないいぃぃぃぃーーーーッ 書けないのは、前の記事「ほんとうのこと」で書いた身元が割れるという理由と、 普遍プレッシャーです。 谷川俊太郎の ↓ のことばは、私の中で、仏教者・小池龍之介の口調を借りると 「詩は人類の宇宙的普遍を書くべきであーッる!! by詩の大家」 という反論を許さぬプレッシャーとしてのしかかることになりました。 万人の無意識に共通する感覚を書かなければ。 たしかにそうだなあと思う。一理あります。 詩を学ぶようになって、自分でもそう思うようなりました。 吉本隆明だって、「おう きみの喪失の感覚は/全世界的なものだ」と言っているではないか(「分裂病者」より)。 ――しかし…

  • 『踏まないで!』第11章 高木さんとの対話

    ※この原稿は、現在執筆中の手記『踏まないで!』の一部分です。 新ブログ ↓ にも投稿しました。 roots-amanekouko.hatenablog.jp 1 梅雨の季節真っ最中で、雨が降り続き、蒸し暑い空気が肌にまとわりついていた。二〇××年六月末日。毎月、石津宅で行われている恒例の文学会へ出向いたあと、メンバーにお披露目したこの聴覚過敏手記『踏まないで!』の感想を頂戴するべく、喫茶コメダへ向かった。 夜七時。休日の夜にもかかわらず、店内はさほど混雑していなかった。和食亭さとで一緒に夜食をとった文学会の主催者・石津さんと、禁煙席の出窓あるテーブルで待っていると、まもなく高木さんがその長身を…

  • 『踏まないで!』序章から 「落日」

    ※この原稿は、現在執筆中の手記『踏まないで!』の一部分です。 新ブログ ↓ にも投稿しました。 roots-amanekouko.hatenablog.jp 二〇××年一〇月のある日、Jワークスの機械室で、私は何度目かのパニック発作にのみ込まれていた。 そこは、無機質なコンクリートの壁と床がむきだしになっている、薄ねずみ色の暗い一室だった。ボイラーなのかなんなのか、用途のわからない銀色の円筒容器が部屋の奥に密集していた。 その硬い容器に次から次へ頭をぶつけて、コンクリートか何かの白い粉が散乱する冷たい床を転げ回った。容器からのびる管に行く手を阻まれつつも、右に左にゴロゴロ回転しながら、壁へ、天…

  • かなしい蟻

    かなしい蟻よ どこまで登る 山の頂 いよいよそびえ 足下の土 ぽろぽろ落ちる かなしい蟻よ それでも行くか はためくしるし いよいよ遠く 地は天のもと 引き離される かなしい蟻よ しりもちついて よいこらしょっと 立ち上がるなり 再び細い 足を差し出す かなしい蟻よ 歩くしかない 千里の道に 眼注げば 日当たりまばら 刻む足あと (2016.7.6) 『声・まっくら森』に収録

  • 終わりの始まり ―ドナ・ウィリアムズに贈る―

    あなたを知ったときわたしと思ったあなたはわたし それからあなたの示したわたしを探しに旅立っていった遠くへ 遠くへ…… わたしがわたしになる大地を見つけたときわたしを知らないあなたに橋をかける明日がくるかもしれないと道を急いだ けわしく終わりのない風雪は歩む足をとどめた休息の天幕であなたを呼び寄せなかった色彩が染みるから 旅はどうにか道半ばまできたとき何かが光ったあなたの至高の結晶が姿を顕したのをわたしは見たついにわたしは知ったあなたはわたしではない違うということがわたしの現し身だった ちょうどそのとき一陣の知らせが吹いたあなたを呼び寄せなかった日あなたはいなくなっていたすでに 橋をかける前に永…

  • 記憶の塔

    怒濤の保存が行く手をさえぎり執念の塔となってそびえ立った (日記四九冊) (素描三四冊) (生活二一冊) (会話一七冊) (研究八冊) 記憶×××冊オドロオドロシイグチャグチャのシドロモドロシイメチャクチャがわたしを救い出してと絡みついて覚え違いがあってはならぬただひとさじのもれも許さぬすべてすべてを刻みつけてと足もとにむらがりまとう (コレヲドウスレバ) 振り向く背後に高殿がうなりを上げて積み上がる歩を進めるほどあわれな我執の頂が再生の映像を載せて新記録を更新する (積載重量突破) 天を衝く建設壊れた脳髄は保存を手放さない明日は到来を尻込みする (忘レラレナイ) 電脳空間に撒き散らして回収赤…

  • 修羅の祈り

    わたくしは争いに明け暮れました十字架の重みにひしがれて遂にひらたい原生動物となり地べたを這いずっております見下ろすことのない一つの目は固定された視界で 局限された風景を眺めるしかございません灯台よ あなたはその明晰な眼光で空からわたくしのうごめく全容をあきらかに象ります灯台よ あなたの視線は世界をくまなく網羅するほど高いのですしかし修羅の道は地を這うしかないものでありますわたくしは登りましょう 這いながら偽足をあなたの壁に伝わせながら灯台よ あなたの見開いた目をわたくしの淀んだ半眼にはめこみましょうけれども もし失敗した暁には灯台よ わたくしは修羅の祈りをあなたの頭上に掲げましょう (2018…

  • 手紙

    こんなひとりごとをかいてるひまがあったらきみに つたえることばをさがさなければならないのにみつからないからばこにてをつっこんだままみつからないみつからない とてがみのうらにかいている (2018.1.29) ------------------------------------------------------------------------------------------- 【ひとこと】 どうしてもこう、こじんまりと、小さくまとまってしまうところが、私の詩の特徴であり、欠点でもあります。スケール感がほしい。むずかしい。

  • 野暮楽士

    出馬遅れて詩学の徒学び舎なき身独善のイロハも知らぬ野暮楽士我流きわまる作詩法奇計無策の赤っ恥根源なるは苦悩なり読者方には恐れ入る癒しも喰わぬ排泄歌 (2018.9.19) ------------------------------------------------------------------------------------------- 【ひとこと】 七、五と韻を踏んでいます。

  • ほんとうのこと

    美しい夢や、幻想や、願望や、一瞬のイメージを書くことにあまり興味はない(自分の作品の中にはそういうものがなくはないが)。私にとって、それは絵筆の役割だ。 文章には、「本当のこと」を求める。真実を見たいし、書きたい。 私は脚色が苦手で、「本当のこと」から遠く離れた空想はあまり書けない。アホみたいに「本当のこと」をいうバカと言われる。だから小説や戯曲などで発想を遊ばせるのが難しい。つまるところ、自分の体験しか書けないのだと思う。詩ではいろいろ喩えを用いたり、イメージを膨らませた言葉を駆使したりするが、結局「本当のこと」に向かってしまう。 だが困ったことに、無意識に「本当のこと」を書こうとすると、身…

  • 別れ

    一人の客が主人の店を訪れた 往来に面したショーウインドウには 色とりどりの商品が着飾って 見目うるわしい愛想を振りまく 客人は百花の陳列に目を奪われ はずんだ歓声を上げて ウインドウの端から端を行ったり来たり ここにあるのは主人の生き写しと思い その人に語りかけるように 無邪気に微笑む ショーウインドウの終わるところ 往来に面した店の入り口は 狭くひっそりと目立たないが たしかに店内に通じている その奥に控えている店の主人は 鍵穴から外を見ていた そして客人に向かって ひそかに心につぶやいた「さようなら」 ショーウインドウに入り口はない 客人はおしろいにまみれた品物を抱えて 歩み去る幾多の見物…

  • うつわ

    これだけ これがすべて これしかない これでなければ これいがいは ありえない うつわ をほうって かわりの うつわ をさがしながら これしかない うつわ もやっぱり かかえて かわりの うつわ をもとめる (2018.4.20) ------------------------------------------------------------------------------------------- 【ひとこと】 極意はかわりのうつわという言葉がひらめいた。

  • 出現

    魅せられるままの導きは 転がる種に絨毯を敷いて 大地に錨を降ろした 地面に空に 繁茂する 無数の根 のびる枝 ふえる葉 蔦はからまり 苔まで生えた あの木になることも その木になることも できたのに 木はこの地に姿を現し 種の転がる先を果てまで描いて 深々と根を伸ばした (2017.8.17) ------------------------------------------------------------------------------------------- 【ひとこと】 十数年の体験を一言にするなら…。

  • いびつの心臓

    かれがそむけた心臓を ときには頭上に掲げたく ときには握り潰したくもあり その拡声の臭気を前に きみもまた かぎつけられた愛憎の 煙を嗅いだ あわれなる きみがいびつの塊よ 両極揺れる街宣よ 自ら頼もしからぬ玉座よ この血をもはやかざすまい きみは心臓を その体内に戻し かたく糸で縫い合わせた かれの沈黙を遠ざけるために (2017.8.1) ------------------------------------------------------------------------------------------- 【ひとこと】 気に入らない気に入らない気に入らない。 コッソリ書き直す…

  • ひとり相撲

    ――イラッシャイマセ ――話がしたいのですが ――何ヲ話シマショウカ? 君ノ好キナヨウニ話シテクダサイ ――何を話してもいいですか? ――何ヲ話シテモイイデス ――じつは○○は××で、△△しました ――○○ハ××デ、△△シタノデスカ ――それはどういう意味ですか? ――○○ハ××デ、△△シマシタ、トイウ意味デス ――○○と××と△△の背景にある意味はなんですか? ――ツマリ○○ハ××デ、△△シマシタ、トイウ意味デス ――○○は××で、△△しました、という意味だというのですか……? ――○○ハ○○、××ハ××、△△ハ△△、トイウ意味デス ――○○と××と△△とはそもそもなんですか? ――ソモソモ…

  • きみがいなくなったら

    愛する人が死んだときは死なねばならぬと むかし愛した詩人がいった もし きみがぼくを置いて どうしてもぼくのなかから消えるというなら ぼくはぼくをくびるかわりに きみをこの手に生み出しましょう どこにもいないきみのうたを ぼくのうちに咲かせましょう 行ってしまったきみの息吹を 残されたぼくに注ぎましょう 生きるほかはないのですから 生きるほかはないのですから

  • 遠いうた

    世界の片隅から呼びかける虚しい願いはこだまする届いても届かなくても声をかぎりに歌っていた 消え入る祈りに絶望と透明な涙が混じる決して返ってくることのない声決して報われることのない声 人に祈ると黙られるその法則をいつ知った?神様ではないのだから人間に祈りを受け止める器はない それでも声をかぎりに歌っていた私は何を信じていたのだろう世界から景色が消えていくじぶんの歌だけがこだまする 虚しい祈りに透明な涙が混じる押しつぶされた悲しみを無我夢中で虚空へ描いた決して報われることのない声 (2012.4.13) -----------------------------------------------…

  • カンテラ

    岩陰が闇に沈む暗黒の洞窟の奥奥、奥、そのまた奥深く肉厚に膨張した透明の膜を着ぶくれて沈黙に佇立している奇怪な異形の塊――それがわたし 君よ カンテラに灯をともしその手に掲げ持てそうして黒く染まった足下をあきらかに照明しここまで歩みきておくれ カンテラを掲げるな お前はたちまち 狙撃されてしまうだろう 君は知らないのだこの照明なしに洞窟を 闇黒を不可視の着ぶくれをわたしと君を隔絶している障壁を決して視覚できないことを…… カンテラを掲げるな カンテラはなくとも お前はお前でいられる 君は知らないのだお前とわたしの基点を駆動している車輪の型が異なるからくりが透明の厚着を生みだしたはじまりの物語を……

  • 踊る面接シミュレーション

    「いい? あなたは女優。ここは舞台。 女優になって堂々と舞台を演じる!」「なるほど……演じればいいんですね?」「じゃあ今度は僕がやってみるから。君が面接官をやって。 じゃあいくよ? 失礼しまーす。扉しめる。両手そえる」「え? そんなふうにこっち向くんですか?」「ここで左足を出す。そしてクイックターン」「ターン!? そんな半円形に?」「じゃあ今度君やってみて?」「左手でドアノブ持つ、胸をはる。失礼します! 扉閉める。で、ここですね? 足を踏み出してターン……」「とっとっとっ! そっちじゃない!」「え? 違いますか?」「反対反対!」「あ! 右に1周半回ってました。こっちですね?」「そうそう、左左!…

  • ニコン全消去の悲劇

    撮って撮って撮りまくったニコンデジタルカメラの愛蔵データがすべて――消え去った。二千枚近くはあったろうか。 消去したい画像を表示させて機械右下の削除ボタンを押すと、ディスプレイ上に、上段に「表示画像」、中段に「 削除画像選択」、下段に「全画像」を選択するメニュー画面が出る。いつも失敗画像を削除するときは 、上段の「表示画像」を選択する。しかしこの時は、操作する右手のマルチセレクターを回す指が滑って全画像消去を選択してしまい、一枚を消去するつもりで、ぼんやりOKの指示を承諾してしまったのである。 以前愛用していたサービス精神満載のキャノン機種では滅多に触らない階層にあったのに、ニ コンは融通のき…

  • 『拒食症の家』を読んで

    『拒食症の家』吉川宣行著、1998年発行、EPIC 日本自分史センターにて、詩「うめき」と同じ内容を職員に訴えて、閉架書庫から出してもらった自分史。一読してこれは凄い、入手したいと願う大満足の本だった。 家族との葛藤を通して、少女が拒食症になっていった過程、自分、親、きょうだいに課せられた人生の意味を探る一冊。自分に当てはめても、隣人に当てはめても、社会に当てはめても参考になる記述が満載だった。拒食症の心理もよくわかった。---------------------------------------------------------------------------------------…

  • 表出vol.1 声 まっくら森レポート

    2017年7月15日(土)~7月23日(日)、池田町の土川商店「場所かさじゅう」にて表出vol.1 声 まっくら森が開催されました。 以下は、出品者の一人・天寧煌子目線のドキュメントです。ほぼ日記的内容になっています。 ◆7月15日(土)今回、天寧がメインに出す作品の意図とテーマ「まっくら森」の理念にズレがあったという事情もあり、あまり乗り気でないところからスタート。どうせ誰も来ないだろう……と思っていたら、朝から盛況の模様。出ル杭のクマさんの関係者Tさんに詩集もポストカードもたくさん買っていただいた、ありがたい。この日の来場者は、クマさん関係者が多かったようだ。ありがたいが、持ち上げられるの…

  • 客人

    ここは小さい穴ぐら わたしの家誰も立ち寄らないとついしょぼくれて つい寂しくついふてくされもしてそれなのにきょう あなたはていねいな物腰で穴ぐらに進みきて暖炉の前に手をかざしたりなどして椅子に腰かけてくれるその止まった背中に ほんのりこみあげる口数少ないまなざしに ひっそり漂うおくゆかしさでもそれは家主に会いにきた客で客でない見知らぬひとの多くは やはり穴ぐらを横目でチラとうかがって何事もなかったかのように顔をそむける家主をもとめて来たひとだけが玄関口に足をすすめるただの通行人にはただの暗い洞でしかないそんなさびしい穴ぐらを 覗きこんでひととき正座までしてくれるあなたの背中の たのもしさ止まっ…

  • 穴ぐらと重力

    薄暗い穴ぐらの奥まった 最も深い底の底そこにわたしは置いてきた窮迫したこわもての告訴状かれらとちぎれたたったひとつの千言をどうしてもかれらに届けなければならないいちばんとうとい言伝を だがかれらの歩幅は大きくその歩調は早すぎてものの見事に穴をよける表通りのパレードは上澄みをすくって通り去る舞台の壇上が楽屋の暗部をますます濃く沈めてゆく忙しい現代人はそそくさとおのれの生活にかえっていくばかりだ その戯画が先端でありありと楽屋裏のスクリーンに展開されるこのうらぶれた瞼の裏の映像ああ それこそがかれらとちぎれた世紀の秘密なのだああ それこそが隠された仕掛けの真髄なのだかれらはあきらかにされていく秘密…

  • 晴れ間の急迫

    行かなくてはならないわたしの足どりは重い過去の亡霊が立ち上がってくるその亀裂が生じる瞬間がまるい調和のなかからぎらと顔を突き出すのが見えてしまうから晴れた空が突然かげり雨降る間もなく稲妻が落ちてくるその急迫が光るのを鮮烈に感触するから (2017.7.19) ---------------------------------------------------------------------- 【ひとこと】 来場者とほんの少し接触するだけでいろんなことをいっぺんに感知してしまう、鋭敏すぎるおそろしさ。 また、まるいという言葉を使ってしまった……。

  • 胸騒ぎ

    あまりにもまるい達成が続くのでもしやあなたを押し切ったままひとり得意の終止符を発行してすましているのではないかと疑念がさわいでおります あなたが少しばかり口をひらこうともさらにもの言いたげな峻烈の物語が角張らない笑顔の後ろに匿われているのでしょうね もう少し 幕の撤去を頂戴したかったのですけれど……玄関の前でお暇するべきでしょう難しい調和ですね (2017.7.18) ------------------------------------------------------------------------- 【ひとこと:訳】 今回の展示テーマは「まっくら森」。 来場者と一見円満なやりとり…

  • 屠る歌

    びりびりに引き裂いて散らばった嘆きをゴミ箱に屠る手をためらい胸に抱えてもう一度抱きしめる紙屑の端にはちぎれた無数の文字が名残惜しげに繊維のうえにうごめいた ――いやだめだ お前は片輪だ間引きされる定めの子日陰を歩む斜陽の嘆き見たろう かれの素通りする足を一瞥もくれない乾いた目をだからその紙屑も後生大事に抱えてないで 肥溜めへひといきにぶちこんでしまえ陳列台から一つ残らず薙ぎ払いマッチをつけて燃やしてしまえ大空へ放り投げ太陽にくべろ何ひとつ残すなすべて すべてをだ おお この反転!愛するうたよ お前はいまや価値を失ったおお 愛する嘆きよきみの瞳に映らない お前など無用だ愛するお前を 憎まねばなら…

  • 花壇の物語

    長く重苦しい冬の年月は透明な患いを吹雪にのせぽとりと吐息をこぼしました主は誰かに対して何かの意図をもって嘆息したのではないのですひとりでの出生でございました歓待のまろやかな呼び声拍手にちぎれる艶やかなリボンに騙されてはなりませぬ調和の中に断絶が隠されておりますパトロンが産着を高く持ち上げようともこれは観賞の花壇に埋め込まれた不機嫌な爆弾薄汚れた排泄なのですからあなたが顔をしかめないはずはないのです主の目は既に遠くに去り花壇を冷ややかに眺めておりますそれでも主は撒かれた種の行く末を冬の嘆息が大地に投げかけた疑問を錆びた谷底の隙間から横目でたしかに見渡しているのです (2017.7.16) <訳>…

  • だるまの無言

    手足なく 口のきけないだるまは 地べたをころがりながら からだで詩を吐く だるまの無言は とうといんだ (2017.7.17) ---------------------------------------------------------------------- 【ひとこと】 「地べたを這いずりながら」のほうがいいかなぁ? 「地べたをころがりながら」のほうが自然かなぁ? と迷いながら、今も言葉定まらず。

  • 詩日記:普遍の掌に爆発する特殊

    2000年頃から、苦しくなると詩のような言葉を吐かずにはいられなかった。自分の詩がヘタクソであることは、5、6年前からよく知っていた。2015年に作品をブログにまとめたが、それはいかにも稚拙でヒステリックな叫びだった。2016年冬、「詩」といえるようなものができたと思った。そしてようやく、2017年最近のことだ、詩を書く人間としての自覚が出てきた。今年になってようやく、詩が書けた感があったのである。 詩の展示をする、詩集を出版する。このきっかけのために、私は急に詩の世界に目覚めていった。詩人の自覚ができてから詩集を出版するのではない、詩集の出版をするから詩に向き合わざるを得なかったのだ。そして…

  • 悪の糸

    アンタが悪い んじゃない こんがらがった糸が 悪いんだ (2017.6.29)

  • 蟻の欠落

    蟻は山の巨大を知った 蟻は体の小粒を知った 歌を歌えば歌うほど 歌は足りない 言葉を手繰れば手繰るほど 言葉は足りない 捻りなく ただありのままをかたどるだけが 蟻の仕事だった ときには己の住処さえ うっかり零してしまうこともあった 勢いばかりの野暮天は 堂々たる建築を前に 紅潮していた 我流でなければすくい取れない直截が そこにあった まわりくどい技巧よりも 真理を一散に彫刻する意思が そこにあった 美の手際を見上げながら 然りとしか語れない足跡が 歩み来た隘路のまことを描く筆が そこにあった しかし蟻は 山のあまりに巨大を知った 体のあまりに小粒を知った それでありながら 散乱した芥子の声…

  • こよい本ができる

    こよい手製の 本ができる めんどくさい 階段ひとまたぎの てっぺんを ぐわっと たぐり寄せたい (2017.6.27)

  • うめき

    へたでも しろうとでも これをかかないでは いきていられなかった すごみのあるほんが みたいのです そういうほんは おくにおいやられて うまい りっぱなほんが おもてにのこっているのでは ないのですか せんそうをかたりつぐのは もちろんとてもだいじです が きょうかしょにのらない ひとりのにんげんのうめきを これをかかなければ しんでしまった かくことによって かきてのいのちをすくった すくえた かもしれない そういううめきを よみたいのです (2017.6.22)

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