ウイルソン 金井の小説 さん プロフィール

  •  
ウイルソン 金井の小説さん: ウイルソン 金井の小説
ハンドル名ウイルソン 金井の小説 さん
ブログタイトルウイルソン 金井の小説
ブログURLhttps://wilson-t-kanai.muragon.com/
サイト紹介文創作小説を紹介
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供383回 / 365日(平均7.3回/週) - 参加 2017/07/04 16:28

ウイルソン 金井の小説 さんのブログ記事

  •    湖畔  (大河内晋介シリーズ第五弾)Ⅷ 
  •  夕食を終え、中央の大型テーブルに集まる。それぞれが収集した情報を発表。しかし、予想外に少なかった。 「この内容では、解明ができない」  福沢が首を傾げ、困惑する。 「そうですね。これでは、現地に行っても意味が無い」  私も納得できない。咄嗟に、御堂の顔が浮かぶ。 「御堂さんの情報を待つしかないね」  突然に、研究室のドアがノックされた。全員がドアに目を向ける。 「ごめんください・・」  静まり返 [続きを読む]
  •    湖畔  (大河内晋介シリーズ第五弾)Ⅶ 
  •  私たちが東都大学の研究室へ行くと、全員が揃って待っていた。テーブルにはピザが用意されて、到着と同時に食べ始める。賑やかな食事会となった。兄貴分の若月を中心に、話が盛り上がる。私は福沢准教授と、その様子を眺めていた。 「ところで、大河内さん。あの件はどうでしたか?」  福沢が心配顔で聞く。私は直ぐに察し、にこやかに答えた。 「先生が、是非会いたいと伝えたら、喜んでいました」 「本当ですか? あぁ、 [続きを読む]
  •    湖畔  (大河内晋介シリーズ第五弾)Ⅵ 
  •  若月は急ぎ夏帆の所へ行き、幾度も頭を下げ手を合わせた。その様子に、私は独りほくそ笑む。  一日中仕事に追われ、あっという間に退社時間となった。帰り際に、夏帆が近寄り私を睨んだ。 「大河内主任、邪魔しないでね。今日の夕食は、楽しみにしていたんだから・・」 「あ〜、ごめん。分かった・・」  一瞬癪に障るが、反面羨ましくもあった。 「主任、行きましょう」 「ほんの前に、お前の所為で睨まれたぞ。殺される [続きを読む]
  •    湖畔  (大河内晋介シリーズ第五弾)Ⅴ 
  • 「えっ、なぜかしら?」 「はい、あなたにとても会いたがっています」 「まあ、そんな・・」  あの世の人とは思えぬ仕草で、顔を赤らめた。 「一度、会ってください」  御堂は俯き、しばらく考える。その様子を眺め、自分でも素敵な女性だと思った。 「会うことは・・、問題無いでしょうけど・・、心を通わせることは、とても危険な行為なの」 「・・・」 「私は下位の世界へ送られ、この世に二度と戻れない。そして、福 [続きを読む]
  •    湖畔  (大河内晋介シリーズ第五弾)Ⅳ 
  •  料理に堪能し、互いに意見を交換する。しばらくして別れた。 《今からでも、遅くは無いだろう。よし、道祖神へ寄ってみるか》  駅前に出ると、家とは反対方向へ向かう。半時ほど歩くと、例の道祖神を見つける。 《これかな?》  後ろ側を覗くが、痕跡は見当たらない。 《おかしいな・・。この道祖神で間違いないと思うが・・》  人通りが少なく、気持ちが落ち着けない。考え倦んだ末に、帰宅することにした。 「晋介さ [続きを読む]
  •    湖畔  (大河内晋介シリーズ第五弾)Ⅲ
  •  その後、一週間が過ぎた。助手たちは、資料集めや情報収集に奔走している。 「あっ、先生。ご無沙汰です」  私が帰宅の準備をしていると、福沢准教授から電話が掛かって来た。会って話がしたいと言う。 「じゃぁ、これからでも・・」  新宿で待ち合わせをする。福沢が推奨する中華飯店へ行く。食事をしながら、福沢の話を聞いた。 「今、畠山君たちが情報を集めています」  しばらく何もなかったので、私も興味が湧いて [続きを読む]
  •    湖畔  (大河内晋介シリーズ第五弾)Ⅱ 
  • 「それで、どんな内容なんだね」  畠山が首を傾げ、説明に窮している。 「教授、私が聞いた噂では、夜になると湖面が光るらしいの。それも、ただ光るのではなく、湖底が割れてマグマが噴き出す明るさ」 「それなら、ガスが噴き出すだろう?」  明菜の説明に、福沢が疑問を投げかける。 「ええ、そうなのよねぇ・・」 「僕が聞いた話は、朝になると奇妙な足跡が残っていた。それも、何か所にですよ・・」  福沢が目を閉じ [続きを読む]
  •    湖畔  (大河内晋介シリーズ第五弾)Ⅰ 
  •  今年の夏は、台風、地震、大洪水、火山の噴火など、自然の変事が猛威を振るう。特に、厳しい酷暑が、日本国内の記録を更新している。  東都大学の研究室内も、エアコンがフル回転。 「教授、この暑さに耐えきれないですよ」  邪鬼対策に窓も無く、密閉状態の室内だ。二年の渡瀬が、不満を言う。 「慣れるしかないだろう。上の五階へ行ってみれば・・」  リーダーの畠山が眉をしかめ、不満の渡瀬をたしなめる。 「えっ、 [続きを読む]
  •  微雨のささめき(大河内晋介シリーズ第四弾)ⅡⅩⅨ 
  •  瞬く間もなく光が消え、静かな洞窟観音に戻った。私たちは、全ての観音像を拝顔し、表に出る。受付けで、ご朱印札を多めに購入し、駐車場の車へ引き上げた。 「皆さん、お疲れ様でした。事が楽に済み、無事で良かった。今日のことは、他言無用です。お願いしますね」  自販機で買った飲み物を配り、飲みながら私が挨拶した。助手たちは安堵の面持ちで、私の話を聞く。次に、福沢准教授が今回のあらましを説明する。 「それで [続きを読む]
  •  微雨のささめき(大河内晋介シリーズ第四弾)ⅡⅩⅧ 
  •  千代と御堂が別れの挨拶をした。 「若月さん、これであなたも平穏に暮らせるでしょう」 「はい、ありがとうございます」  若月は丁寧に礼を言った。 「それで、この若者たちの記憶を消しますが、宜しいですね?」  御堂が、私と福沢に念を押す。 「その件ですが、今後の活動を継続させるために、許される範囲で残せませんでしょうか?」  福沢准教授が、御堂に請願する。 「はい、わたくしの一存では、決め兼ねます。 [続きを読む]
  •  微雨のささめき(大河内晋介シリーズ第四弾)ⅡⅩⅦ 
  •  守護や防人たちが洞窟観音を出ると、邪鬼たちが林の方へ逃げ始めた。駐車場の周囲が戦場となる。罵声と呻き声が錯綜。半時ほどで、邪鬼の屍が山積みになった。 「こちらへ・・」  徳明園の門まで許され、私たちは駐車場の周辺を見渡す。その光景は、目を覆うほどの荒ぶ世界であった。 「今から、あの屍を始末します」  一瞬、空が紫色に包まれ、駐車場に闇の穴が開く。 「あれは、・・・」  私の質問に、御堂が答えた。 [続きを読む]
  •  微雨のささめき(大河内晋介シリーズ第四弾)ⅡⅩⅥ 
  •  二人の美しさに、助手たちが危険な現状を忘れ、見惚れてしまった。 「あらあら、しっかりしてちょうだい。危険が迫っているわ」  御堂が、たしなめる。 「そうだよ、これからが本番だ。気を引き締めていかないと・・」  若月も声を掛ける。 「それで、この後は何をすれば良いのですか?」  私が、千代に尋ねた。 「今から、守護や防人たちが、出てまいります。ただし、決して話し掛けないで下さい」 「え、何故ですか [続きを読む]
  •  微雨のささめき(大河内晋介シリーズ第四弾)ⅡⅩⅤ 
  •  数え切れない邪鬼の大群。権助に新たな力が備わったようだ。私は恐れ、今回の戦いで権助を完全に潰さねばと思った。  庭園の池を過ぎる。ようやく、洞窟の入り口に辿り着いた。 「大河内さん、権助は内臓に目もくれず、真っ直ぐに向かってきましたよ」 「ええ、私も見ました。彼の執念を、改めて確認しましたね」 「うわぁ〜」 「きゃあ〜」  洞窟の中へ入る寸前に、助手の叫び声が上がる。 「どうした?」  後ろに振 [続きを読む]
  •  微雨のささめき(大河内晋介シリーズ第四弾)ⅡⅩⅣ
  •  邪鬼の姿が見える私と若月が、揺れる木々の周辺を凝視する。 「やはり、隠れているな。ただ、権助の姿が無い」 「いえ、あの大木の後ろにいますよ。主任・・」 「そうか、指で示すなよ。ヤツは、こっちが気付いていないと思っているようだ」  残念なことに、渡瀬と明菜が若月の言葉を聞いて、大木の方を眺め助手たちに知らせてしまった。彼らは、方向を指しながら騒いだ。 「ダメだ。見るんじゃない! 早く中に入れ!」 [続きを読む]
  •  微雨のささめき(大河内晋介シリーズ第四弾)ⅡⅩⅢ 
  •  関越高速道の高崎インターを下り、市内へ向かう。環状線から、国道17号の烏川沿いを走る。聖石橋を渡り、目の前の観音山を目指した。 「さあ、直ぐ近くだ。心構えはいいかな」  福沢が、助手たちに告げた。彼らは前方に目を向け、ただ頷く。車内が緊張感に包まれる。 「そ、そんなにぃ、固くなったら〜、素早く、う、動けないよ。リラックス、リラックス・・」  上っ調子の声で、若月が緊張を和らげようとした。 「ふふ [続きを読む]
  •  微雨のささめき(大河内晋介シリーズ第四弾)ⅡⅩⅡ 
  •  その時、若月の携帯が鳴った。 「あ、夏帆さん。うん、家には行かないで欲しい。ちょっと待ってね」  様子を聞いていた私に代わる。 「大河内だけど、若月の話は本当だ。君に危険が及ぶ、だから絶対に近寄らないで・・」  彼女は半信半疑だが、ようやく納得してくれた。その後、若月はブツブツと話し続ける。 「さあ、出発しよう。詳しいことは、車の中で説明する」  助手の五人は不安そうな面持ちで、私と福沢の説明を [続きを読む]
  •  微雨のささめき(大河内晋介シリーズ第四弾)ⅡⅩⅠ 
  •  私と福沢が、非常に危険な戦いとなるので、参加を止めるよう助手たちに説明した。 「いいえ、僕たちも行きます。先生のお役に立ち、僕たちの経験にもなる」  リーダーの畠山が、代表で答える。他のメンバーも頷く。 「でも、女の子は危ない。ヤツらは、弱い人間から襲う」 「あら、私が弱い人間と思っているの? 冗談じゃないわ」  若月の言葉に、二人の女子が頬を膨らませ、彼を睨め付ける。 「いや、それだけじゃない [続きを読む]
  •  微雨のささめき(大河内晋介シリーズ第四弾)ⅡⅩ 
  •  案の定、権助は血眼になって、私たちを探していた。御堂の行方も気にしている。御堂が雑木林で姿を消したことも、仲間から情報を得た。数匹の邪鬼を雑木林へ行かせ、状況を窺っている。  翌日の朝、私と若月は会社に連絡して、有休を得る。電話には、若月と交際を始めた女子事務員が応対。彼が言葉巧みに、彼女に伝えた。 「分かったわ。課長に説明します。でも、体が心配よ。帰りに、あなたの家へ行くわ」 「いや、いいよ来 [続きを読む]
  •  微雨のささめき(大河内晋介シリーズ第四弾)ⅩⅨ 
  •  御堂は雑木林に逃げ込み、道祖神の穴へ入ることができた。 「さて、これからどうするか。私の家は無理だ。恐らく、ヤツらに囲まれているはずだ」 「これから、タクシーで大学へ行きましょう」  私は、福沢の提案を直感で受け入れる。大学の研究室は、邪鬼の嫌う工夫をしていたからだ。 「先生、研究室はあのままですか?」 「ええ、もう少し改良をしました。邪鬼は近寄れないでしょう」 「えっ、どんな部屋ですか?」   [続きを読む]
  •  微雨のささめき(大河内晋介シリーズ第四弾)ⅩⅧ 
  •  私が若月を庇うように、ファミレスを出る。やはり、私たちを見張っていた邪鬼が、ゴソゴソと動き出した。 「相当数の邪鬼が、暗闇で動いている。若月、注意しろ!」  私が、若月に小声で耳打ちする。 「はい、主任」  私たちは雑木林の反対方向へ歩く。明るい商店街の中を、ゆっくり歩いた。その隙に、御堂が雑木林へ向かう。 「よし、上手く行きそうだ」  三人が同時に後ろへ振り向いた。ヤツラには、商店街の明かりが [続きを読む]
  •  微雨のささめき(大河内晋介シリーズ第四弾)ⅩⅦ 
  •  ただ、私は気になった。高崎の洞窟観音へ行かねば、会えなかったはずの千代さんに会え、この御堂が私たちの前に現れた。 「御堂さん、千代さんにしてもあなたにしても、どこから来られたのですか?」 「ああ、そのことね。前回の雑木林にある冥府の境界線よ」 「えっ、あそこは封鎖されたはず・・」  御堂が、小声で答える。 「だから、小さな道祖神を抜け穴に利用しているの。邪鬼に知られたら大変よ」 「そうか、納得し [続きを読む]
  •  微雨のささめき(大河内晋介シリーズ第四弾)ⅩⅥ 
  • 「大河内さん、あなたは典侍に会われたでしょう? あの方がとても心配して、私をこの世に送り出したの」 「はい、昨晩話すことができました。でも、御堂さんのことは、何も触れませんでした」 「ええ、分かっています。あなたの家の近くに、邪鬼の群れが集まり、情報を手に入れようと必死だったの。だから、敢えて私の名前を伝えなかった・・」 「それでは、あなたは私たちの味方ですね?」  彼女は頷いた。私たち三人も、納 [続きを読む]
  •  微雨のささめき(大河内晋介シリーズ第四弾)ⅩⅤ 
  •  考え倦んだ末、結局駅前のコンビニする。私と若月は、周りに気を配った。特に車内の人の動きを確認し、一駅ごとに車両を変更。  約束の駅前には、福沢が先に来て待っていた。 「早かったですね・・」 「ええ、その女性に興味が湧き、急いで来てしまいました」  福沢は照れながら、早口で答える。 「主任、間違いなく現れますかね?」  若月が落ち着きなく、そわそわと辺りを見回す。その動作に、危険を感じて叱る。 「 [続きを読む]
  •  微雨のささめき(大河内晋介シリーズ第四弾)ⅩⅣ 
  •  昼時間に、若月が迎えに来た。一緒に食事するが、今夜の約束を話すべきか私は迷う。 「主任、箸が動かないですが、お腹が空いていないんですか?」 「ん? いや、考え事をしていたんだ」 「何をですか? 私に話せば、楽になりますよ」  若月らしいと思った。私は決心する。 「実はな、今朝のことだが・・」  有りのままに、説明した。名刺も見せる。 「そんな美しい女性で、千代さんに似ている。本当ですか?」  瞳 [続きを読む]