ぱこぺら さん プロフィール

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ぱこぺらさん: ぱこぺら 映画批評
ハンドル名ぱこぺら さん
ブログタイトルぱこぺら 映画批評
ブログURLhttp://pakopera.blog.fc2.com/
サイト紹介文映画の批評・評論・考察など。できるだけこれまであまり言及されてこなかった美点を持つ映画を取り上げます
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供41回 / 163日(平均1.8回/週) - 参加 2017/07/07 00:20

ぱこぺら さんのブログ記事

  • 『雄呂血』 視点と描写の乖離が美点となった映画
  • 監督 二川 文太郎 1925年 阪東妻三郎プロダクションの第一作目、殺陣の当時における斬新さ、時流に合致しての大ヒット、それらによって時代劇を刷新したこと等が日本映画史上の意義だ。日本映画の発展に寄与したことは間違いないだろう。 この映画が体制に挑む孤独なヒーローを描いていると解釈できる人には面白いはずだ。実際、当時の観客はその趣旨に沿って大いにこの映画を楽しんでいる。ただ、そういう見方のできる人は現代 [続きを読む]
  • 『君と別れて』 成瀬巳喜男サイレント期の代表作
  • 監督 成瀬巳喜男 1933年 生活のため芸者をしている菊江、その息子の義雄、同じく芸者で彼らの幼馴染の照菊、3人の関係を描いた映画。照菊の物語としては悲劇、義雄の物語としては切ない青春の1ページといったところだろうか。 ストーリーは平凡だが、成瀬作品ではそれが欠点にならない。語り口が軽快で、細分化されたカットが同じ場面を多様な角度から次々と映し出して見せてくれるので、視覚的に飽きない。その目まぐるしいカ [続きを読む]
  • トータル・リコール
  • 監督 ポール・バーホーベン 1990年 アメリカ映画 大がかりなSF映画。ちょっと悪趣味なところがあるが、そこさえ気にならなければよくできた面白い娯楽作品だ。原作者は『ブレードランナー』や『マイノリティ・リポート』と同じフィリップ・K・ディックで、この3本の中では現実と虚構を等価にしてしまうような彼の持ち味が一番ストレートに再現されている。原作にあった詩情やユーモアは消えて、かなり直接的、どぎついと言って [続きを読む]
  • 『河内山宗俊』 現代においても新しい映画であり続けている
  • 監督 山中貞雄 1936年 この映画は日本映画の歴史にとって価値があるというだけでなく、おそらく現代の一般的な観客にとっても面白く、色々な意味で驚かせてくれる映画だろう。新人女優の原節子も新鮮だし、斬新な編集、素晴らしいアクションシーンもある。何よりキャラクターが魅力的だ。 山中貞雄の現存作品としては他2本より知名度が低いのはなぜだろう? 明解な悲劇や喜劇にカテゴライズできないせいだろうか? 脚本も描写 [続きを読む]
  • 『ソナチネ』 北野武4本目の監督作 世界の余剰としての生を描く
  • 監督 北野武 1993年 この映画では人間のあらゆる行為…その生や死からも意義が奪われている。生には動機と目的が欠けていて、死は唐突で無意味だ。元々意味や価値といったものは人間が持ち込んだもので世界の属性ではないから、『ソナチネ』は普段我々の目にしない客観的な世界の姿を見せてくれているわけだ。この映画の描く客観的な世界で生は無意味な余剰となり、その自由さが我々観客を魅了する。 ヤクザの抗争と内紛を描い [続きを読む]
  • 勝手にしやがれ
  • 監督 ジャン・リュック・ゴダール 1960年 フランス映画 自由な撮影と編集、単純な物語とそこからズレた描写など、個性的な映画だ。ただ、現在では様々な立場の人によって少し語られ過ぎた映画でもあって、新たな観客が先入観なしに見ることが難しくなっている面もある。しかし勿論、観客は自らの感性で自由にこの映画を楽しんだ方がいいだろう。個性的な手法に新鮮さを感じたり、女優にフォーカスした描写を楽しんでもいいし、 [続きを読む]
  • 俺たちに明日はない
  • 監督 アーサー・ペン 1967年 アメリカ映画 アメリカン・ニューシネマの先駆とされている映画。単なる犯罪者を「反・体制」と捉えるのは飛躍しているが、当時はそういう時代の空気だったのだろう。アメリカン・ニューシネマは70年代に終わったが、この映画は今も生きている。 凶悪な犯罪者を描いているのに、彼らの生き方とその視点から眺める世界が予想外に魅力的だ。客観的には破滅的な人生を、彼らの立場から肯定的に描く作 [続きを読む]
  • レザボア・ドッグス
  • 監督 クエンティン・タランティーノ 1992年 アメリカ映画 初監督作でいきなり才能が爆発している。優れた映画監督にはキャリア初期に傑作を作ってしまうタイプと徐々に才能を発揮してやがて傑作を撮るタイプがあるとしたら、タランティーノは明かに前者だ。 様々な引用で構成されつつ出来上がった映画はしかし見事に個性的だ。数々の影響や引用がタランティーノ本人をはじめとする多くの人によって語られている映画でもあるが [続きを読む]
  • 現金に体を張れ
  • 監督 スタンリー・キューブリック 1956年 アメリカ映画 50年代の犯罪映画でストーリーテリングに面白さがある。『2001年宇宙の旅』と同じ監督とは思えないほど物語の比重が大きい。映像はコントラストがはっきりしている。被写体の輪郭が明確で、背景の暗い部分は真黒だ。編集においても物語に不要な描写は徹底的に刈り取られ、個々のカットは機能的で無駄がない。キビキビとしていて明快かつ客観的な映画だ。 ストーリーは現 [続きを読む]
  • エリミネーターズ
  • 1986年 アメリカ映画 低予算で作られているSF映画で、びっくりするほど出来が悪い。しかし、つまらないかというとそうとも限らない。あからさまに不適切な処理が逆に面白く、ツボに嵌れば爆笑できる。 まず主人公のビジュアルが面白い。サイボーグなのだが安っぽくて素人のコスプレにしか見えない。なのに俳優がその格好でシリアスに演じようとするのが可笑しい。さらに「起動ユニット」をつけて下半身戦車のようになると増々不 [続きを読む]
  • キッズ・リターン
  • 監督 北野武 1996年 細やかな人物描写と時間表現が美しい。常に省略を含んだ描写が観客の想像力によって絶えず曖昧に補完され続ける。それが映画的な魅力に満ちた素晴らしい表現になっている。 社会の片隅に生きる人々を描いた映画だが、その人物描写には実感が伴っていて、時間とともに変遷するキャラクターとその行末を丁寧に拾っていくのが作り手の愛情を感じさせる。 映画は冒頭満員の劇場で漫才をする二人の若者から描き [続きを読む]
  • 父ありき
  • 監督 小津安二郎 1942年 時間表現が優れている。 小津の作品としては前年の『戸田家の姉妹』で父親が倒れた後、一気にその葬式の場面にとぶ編集があったが、『父ありき』ではその手法がすでに自家薬籠中の物となっている。笠智衆が生徒に修学旅行の話をすると次のカットではすでに鎌倉大仏の前での記念撮影になり、芦ノ湖で生徒に事故が起こったらしいという場面からその生徒の葬儀の場面に跳ぶなど省略を含んだ編集が、観客の [続きを読む]
  • 淑女は何を忘れたか
  • 監督 小津安二郎 1937年 喜劇風味の軽い作品。節子のキャラクターが楽しい。洋装が決まっていてカッコいいし、社会的な抑圧をまったく感じさせない傍若無人な言動がいい。おそらく当時の日本には存在し得ないパーソナリティだ。だからこそ観客にとっては痛快で、憧憬の対象たり得るキャラになっている。かわいい外見に似合わず酒もタバコもやるし、自動車免許も持っているらしい。女だてらに芸者を見に行って酔っぱらうとここで [続きを読む]
  • 姿三四郎
  • 監督 黒澤明 1943年 この映画は何よりもまず動きがいい。また、全編表現への意欲に満ちている。現実の物理法則をはみ出してしまうのは流石にやり過ぎに見えるが、実に元気のいい新人監督だ。観念的な内容もその単純さも、若さと健全さを感じさせる。悪を描こうとしているのも特徴的だ。表現の面での動き、内容面での悪はそれまでの日本映画の流れからは出て来ない突然変異的な登場だ。 まず、動きという極めて映画的な魅力を日 [続きを読む]
  • 隣の八重ちゃん
  • 監督 島津保次郎 1934年 かわいい小品といった感じの映画。小さな日常の出来事を描いていて、ドラマという程の内容もないのに最後まで楽しく見させてしまう。人物描写にそれだけの魅力が備わっているのだ。 境界を無効にしていく構成も面白い。 この映画は物語がない反面、通常の物語性豊かな映画が置き忘れてきたような何気ない日常の魅力が満載だ。そのいかにも現実にありそうな言動はしかし映画では滅多に見ない種類のもの [続きを読む]
  • コッポラの胡蝶の夢
  • 監督 フランシス・フォード・コッポラ 2007年 アメリカ・ドイツ・イタリア・フランス・ルーマニア映画 日本語タイトルのセンスが悪いのは残念だが、内容は実に個性的で面白い。この映画の魅力は「格調高い」「深遠な」「重厚な」などといった種類のものではない。節操がない程の多様さと非現実のリアリティとでもいったものだ。様々な異なる顔を持った映画で、見る人によってその印象はまるで違ってくる。SF以前の幻想文学的な [続きを読む]
  • 2001年宇宙の旅
  • 監督 スタンリー・キューブリック 1968年 イギリス・アメリカ映画 感情移入できないと辛いという人には悪夢のような映画だ。冒頭から20分間、猿しか出てこない。1匹偉大な個体がいるのでそれに感情移入するのがいいかもしれない。ただ見分けるのがちょっと難しい。 この映画、特にこのシークエンスは登場人物らしい登場人物が存在しないことで、描写のリアリティが映画の最も重要な基礎を成しているということを改めて教えてく [続きを読む]
  • 地獄の黙示録
  • 監督 フランシス・フォード・コッポラ 1979年 アメリカ映画 偉大な失敗作という言葉がこれほどしっくりくる映画もない。構成に失敗しているのは誰の目にも明らかで、濃密に醸成されてきた意味が肝心のクライマックスで拡散していく。しかしそれでも観客を魅了するという意味ではこの映画は決して失敗ではない。作品の完成度と魅力は正比例しないという見本のような映画だ。 冒頭、ウィラードが原始人のように踊り、鏡を割る。 [続きを読む]
  • 赤西蠣太
  • 監督 伊丹万作 1936年 欠落している部分があり、保存状態もあまりよくない。ソフト化はVHS、LDのみのようだ。随分と不当な扱いのようにも思われるが、商品として成立しないのだろう。我々観客の鑑賞眼や文化に対する態度にも問題があるのかもしれない。しかしそうは言ってもフィルムは当然劣化していくだろうし、現在の保存状況が気になってしまう。文化庁は何かしているんだろうか? 映画は冒頭、2人の武士が主人公の噂話をし [続きを読む]
  • 祇園の姉妹
  • 監督 溝口 健二 1936年 カットの繋ぎが所々ぎこちないのは元々90分以上あったオリジナル版が69分に短縮されてしまっているせいだろう。カメラは人物に合わせてスムーズに動いて気持ちいい。役者の演技とその演出は、主要人物は勿論のこと画面の隅に映る人、通りがかりの人々にまで気が配られているようで安心して楽しむことができる。構図も常に手前と奥を作り出していて、特に屋内シーンでその空間が表現されているのがいい。  [続きを読む]
  • 一人息子
  • 監督 小津安二郎 1936年 1936年の作品。様々な出来事が描かれつつ物語としての展開がないという、一般的な意味で言う特殊さと小津の特徴がとてもよく出ている映画だ。そして最後に醸し出される時の流れも。 冒頭、製糸工場で働くおつねが貧しく苦しい生活の中、将来のために息子良助の中学進学を許し、良助と先生が喜ぶという場面から映画は始まる。 しかしこの映画の構成は変則的だ。冒頭で登場人物の動機を描いた後、彼らの [続きを読む]
  • 非常線の女
  • 監督 小津 安二郎 1933年 アメリカのギャング映画のパロディのような作品。1933年当時の日本にアメリカ映画の風景、文化、キャラクターを移植している。人物表現は薄っぺらく、作品世界はでたらめに設定され、ストーリーも荒唐無稽にできている。B級映画を楽しめる人にとっては面白い映画だ。小津安二郎が作っているというのも楽しい。 作品世界は作られた部分と1933年の日本が混在していて面白い仮構世界を形成している。壁の [続きを読む]
  • ノスタルジア
  • 監督 アンドレイ・タルコフスキー 1983年 イタリア・ソ連合作映画 描写が素晴らしい。しかし冗長さも伴っている。そして物語は特異だ。ロシアの詩人アンドレイが取材のためにイタリアを巡り、少し俗っぽい通訳の女性や狂信的キリスト教徒のドメニコとの交流が主に描かれるのだが、ドメニコはローマで意味不明な演説をした後焼身自殺し、アンドレイは世界を救うために温泉を蝋燭を持って渡る。不可解であり独創的だ。 この映画 [続きを読む]