OS さん プロフィール

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OSさん: THE S&R
ハンドル名OS さん
ブログタイトルTHE S&R
ブログURLhttp://snr23.blog.fc2.com/
サイト紹介文超短編、ショートショート、エッセイ、詩
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供134回 / 269日(平均3.5回/週) - 参加 2017/07/15 22:44

OS さんのブログ記事

  • 『救世主となった悪魔』
  •  俺がまだ若かった頃、スマートフォン時代が到来する前の話だ。俺は若く健康でたくましく休日には友人たちとフットボールをすることを楽しみにしていた普通の男だった。ある冬の休暇中、俺はフットボール仲間たちと湖の畔のロッジにきていた。その日は朝から曇天で生暖かい風が吹いていた。遠くの方には黒雲が見え、雨が降ってきそうだった。 俺はガールフレンドに連絡を入れようと、ロッジの外れにある公衆電話に行った。俺は今 [続きを読む]
  • 『時代遅れの酔っぱらい』
  •  今夜の俺はナイトクラブのオーナーだ。ダンスフロアの周囲には多くのテーブルが並んでいる。視線を右に移すと各テーブルには若い男女のグループやカップルが座っていて、つかの間の享楽に耽り寂寥感から目を逸らす。 ダンスフロアではプロのダンサーたちが洗練された技術を披露するが、テーブルにつく客達はそれを無関心に眺める。ある者たちは互いの体を密着させ大蛇のような四本の腕が体中をまさぐり始める。またある者たちは [続きを読む]
  • 『運命の使者』
  •  登場人物  20代後半女性。ユミ      ハンサムな30代男性。トモ      毒蛇 舞台 山の散歩道 あらすじ ユミは久々に取れた長期休暇を使い、とある田舎の山へハイキング。植物の美しさに目を惹かれ夢中になって眺めているところへ、毒蛇の鋭い牙が彼女を襲う。 山の中腹 辺りに人影はなく鳥たちの鳴く声と植物の掠れ合う音だけが鳴り響く。山腹に咲き乱れる綺麗な花々に夢中になるユミ。 モノローグ ユミ [続きを読む]
  • 『悲しみを纏った老人』
  •  俺が数年ぶりに地元に帰ったとき、市の体育館でプロバスケの試合が行われていた。売店で生ビールを買って指定された座席に行くと、ダークスーツに身を包んだ初老の男性が座っていた。「すいません。そこ僕の席なんですが……」「そうかい、そりゃ悪かったね」老人はそう言い別の空いている席へと向かった。 するとすぐに別の客がやってきて、老人はまた別の席に移動し、少しするとまた別の客がやってきて老人は別の席を探した。 [続きを読む]
  • 『若く才能と希望を持った作家』
  •  俺がブリスベンにボクシングの試合を見に行っていたときのことだ。泊まっていたホテルの近くに夜遅くまで開いている中華料理屋を見つけた。その近辺のまともなレストランやスーパーマーケットは店を閉めるのが早く、遅い時間に何か食べたくなってもすべて閉まっていてどうすることもできなかった。その中華料理屋はそういう意味ではかなり貴重なところだった。ホテル周辺を散歩していてたまたま発見した。 店内には出稼ぎの中華 [続きを読む]
  • 『高熱の魔法』
  •  滅多に病気にかからない俺が四十度の高熱にかかったときの話だ。週末に、日本にやってきていた知り合いの中国女と馬鹿騒ぎをやって、疲労感で何も考えられない状態でジムに行きいつものように筋肉を極限まで追い込んで満足気に帰宅すると、突然目眩がし、目の前が真っ白になった。 病気になどかかったことがなかったのでどの病院に行けばいいのかわからなかったが、家の近くにあった小児科に駆け込んだ。看護婦が俺の保険証を見 [続きを読む]
  • 『哀愁を帯びた異国での過去』
  •  学生時代の友人たちと数年ぶりに会い、飯を食い昔の話しで盛り上がりとあるバーに流れ着いた。友人の一人が今もし手元に一千万自由に使える金があったらどうする?と言い出した。みんなは家のローンを払うとか娘の奨学金を払ってやるとか、家族を旅行に連れて行くとか、愛人を囲ってみたいとか言っていたが、俺はフィリピンの田舎に行くと言った。 友人たちは明日も仕事だからと早めに切り上げて行ったが、俺は店に残り一人カウ [続きを読む]
  • 『ジェット機が運んできた夢』
  •  夢の中では俺は七歳の男の子になっていた。場所はどこかの運動公園みたいな広いところだった。俺は死んだはずのじいちゃんと一緒に広場に立ち空を眺めていた。「もう少ししたらジェット機が飛んで来るからな。しっかり見てろよ」じいちゃんはそう言い眩しそうに空を眺めていた。 広場には大勢の人たちがいて各々ジェット機の撮影のための準備をしたり、お酒を飲みながら談笑したりしていた。みんなの顔は興奮で火照っていて目は [続きを読む]
  • 『美と一切れの肉』
  •  俺は母校の大学から朗読会の招待を受けた。先月ベストセラー入りした俺の詩集を俺の声で聞きたい学生、教授、一般の人たちが大勢いるらしい。大講堂はあの頃のままで広く寒く、人の気分を滅入らせるために作られたかのようだった。「あの、わたしのこと憶えていますか?」 朗読会を終えた後、三十代前半だと思われる女性が俺に声をかけに来た。綺麗な女だったが、強く印象に残るようなタイプではなかった。申し訳ないが、憶えて [続きを読む]
  • 『元上司の狙い』
  •  東南アジアのある国のマッサージ店で、以前短期間働いていた国家機関の俺の上司にあたる人物にばったり出会った。その店はおそろしく料金が高いが、途上国から出稼ぎに来たいい女ばかり集めた少し特殊なところだった。当然、看板やらなんやらの人目を引くようなものは何もない。そこは秘密の売春宿なのだ。「あ、お久しぶりです」こっちの友人に貰ったある物を吸っていたせいで、俺はハイになっていたので数年ぶりの挨拶はかなり [続きを読む]
  • 『動き出すマクラ』
  •  朝起きると、身体中に殴られたような跡ができていた。アザだ。俺はマクラの仕業ではないかと疑っている。就寝中急に息苦しくなり目を覚ますと、喉のあたりが締め付けられているということがたびたび起こる。俺は年がら年中マクラだけは同じものを使っている。だが俺はそんなことは気にしないようにしていた。ビールを飲み、読み終えられることなく放棄された退屈な小説を2,3ページ読み返してみたり、小学生の通学を眺めたりし [続きを読む]
  • 『強姦の容疑!?』
  •  日曜日の朝、数年ぶりに早起きした俺は散歩に出た。道の向こうのバス停に女が一人立っているのが目に入った。メチャクチャ綺麗な女だった。この世には腐るほどの女がいるが、その女は一生に一度会えるか会えないかほどのいい女だった。スカートから伸びる脚は撫でているだけで折れてしまいそうなくらい細いのだが、ふくらはぎには程よい筋肉がついており臀部はもうただ見事というしかないほどだった。顔にはいたずらっぽい笑みを [続きを読む]
  • 『朝が来る前の繊細さ』
  •  最近、交通違反のチケットを何度も切られる。たいていは明け方の4時か5時だ。以前はウインカーが故障していたので手信号で角を曲がろうとしたところ警察に止められた。きちんと右腕を窓から突き出したのにそれが怪しい行為だとしてチケットを切られたのだ。おもわずその馬鹿馬鹿しさに笑いがこみあげてきた。滑稽だった。外はまだ真っ暗で静まり返っていて、対向車も後続もいなかったというのに腕を窓の外へ突き出し手信号を脇 [続きを読む]
  • 『気に入らなければ飲んじまえ』
  •  俺がビールを飲みながらゆで卵を作っている最中に電話がなった。電話をかけてきた相手はトンネルの中を走る車のような声だった。編集部員が一人欠けているから俺に働いてほしいとのことだった。「本当にいいんだな?」「ああ本当だ」「わかった。とりあえずそこまでの旅費を振り込んでくれ。確認したらすぐ出発するよ」「ああ。楽しみにしてるよ」 相手は電話を切った。そっけない人物だった。出来上がったゆで卵を食べビールを [続きを読む]
  • 『脱却』
  •  もうそろそろ8時間がたつ。最悪の二日酔いの状態で8時間コンピューターを睨み続けた。働いているときは時間がたつのが驚くほど遅い。壊れた時計のように針は同じところでカチカチと音を鳴らし続けた。周囲に目をこらせばそこにはいつもの顔ぶれがあった。何十個の目が執拗にコンピューターを睨みつけていた。奇妙な光景だった。 俺がタイムカードの台があるほうへ歩いていくと、ハゲで髭面のイカツイ男が話しかけてきた。「い [続きを読む]
  • 『真夏の狂人たち』
  •  朝の11時頃に目が覚めた。ビールを3、4本飲んで風呂に浸かった。その辺に転がっていた短編に目を通してみるも、どれもこれもが退屈で眠気を誘うだけだった。昔の本や雑誌が何百冊とあったが俺の本は一冊もなかった。それからまたビールを飲んでベッドに戻り夢の続きを楽しんだ。その頃は昼も夜もなく、日にシックスパックを4,5パックは飲んでいた。 一時間ほどで目が覚めた。エアコンが効きすぎていたせいだ。体には力が [続きを読む]
  • 『綺麗な脚と忘れられた短編』
  •  俺は二日酔いで気分がすこぶる悪かった。昨日も一昨日もそうだった。おそらく明日もそうだろう。それでも作業着に着替え働きに行かなければならなかった。くだらない仕事なのだがいかなきゃならない。なんとかしてベッドから這い出した。そしてなんとかして仕事場から100メートルのところまで来た。だがそこで変なおばさんに絡まれた。デブでブスな半分ゾンビ化しているようなおばさんだった。「おはようございます!!!」  [続きを読む]
  • 『ろくでもない賭け』
  •  遠い昔のことだ。ボクシングの試合会場での夜だ。観客のほとんどはメインの試合が始まる前にはずいぶん酔っ払っていた。それに彼らは髪を茶色に染めた女や異常なくらい艶やかな黒髪を持つ女といっしょにいた。俺だってそんな女といっしょだった。 前座でつまらない試合があると(たいていはそんな試合ばかりだが)よく観客同士での闘いがかわされた。俺も何度かはそんな闘いに挑んだがすべて誰かに完全なKO負けを喫した。そんな [続きを読む]
  • 『訪問者と試合と女たち』
  •  俺の日曜の午後は、とんでもない訪問者のせいでメチャクチャにされた。俺はベッドから這い出しその訪問者を家の中に入れた。くだらないやつだった。そいつは夕方まで俺のお気に入りのソファに座って人生についてペチャクチャとまくし立てていた。しょうもないやつが人生について何を語れると言うんだろうか。こういうやつらは偉そうなことは言うが、生きていくうえでまだ何も厄介な問題に突き当たっていないのだ。 その退屈な訪 [続きを読む]
  • 『出所後の悲劇』
  •  背中に陽光を感じながら玄関の前でしばらく佇んでいた。ドアを開け中に入った。「だれ?」ガールフレンドの声が聞こえてきた。 俺は何も答えず廊下を真っ直ぐ突き進んだ。退院明けの俺は皮と骨だけのバケモノのように弱っていて青白かった。「ねえ、だれなのよ?」「久しぶりだな。俺だよ」 彼女はいつものように黒のスポーツタイツを履きベッドに横になっていた。手に持っていたスマートフォンを放り出し彼女はベッドから飛び [続きを読む]
  • 『結婚式の夜に』
  •  俺はピンク色のネクタイを締めていた。ネクタイを締めるのなんか成人式以来だ。俺は後部座席に花嫁の衣装道具とともに押し込まれている。運転席には新郎が、助手席には新婦が座っている。車は俺の中古のクーパーだ。車検も保険もとっくに切れているし、俺は飲酒運転で捕まってもいたので運転することもできなかった。そしていつものように酔っ払ってもいる。 前の二人は四年間ともに暮らした。その間の生活を支えていたのは新婦 [続きを読む]
  • 『空港での愉快な出会い』
  •  今日の俺は客としてバーにいた。そういうこともある。窓の外には滑走路が広がっていた。俺はカウンターに腰掛けバーマンに話し掛けた。バーマンは俺の存在を認めないことにしているようだ。空港のバーのバーマンは、列車の売り子と同じでどいつもこいつも俺を嫌っているようだ。こういうやつにはタテつくより(向こうだって望んでいることだ)テーブル席に移動するほうが懸命だと思いそちらに移動した。 高級スーツに身を包んだ [続きを読む]
  • 『友人の来訪』
  •  誰かが執拗に部屋のドアをノックし続けるので時計を確認すると時刻はまだ昼の一時だった。こんな早くに誰だと思いながら傍にあった水着をとりあえず履きドアを開けた。「泳いでたのか?」友人は言った。「まあな。おまえもか?」「いいや、オレはドアをノックしてたんだよ」「で、なんのようだ?」 彼は口に煙草を咥え、右手にも煙草を持っていた。右手に持った煙草を玄関に落とすと化石のような靴で煙草をすり潰しノシノシとリ [続きを読む]
  • 『所長の悩み』
  •  この刑務所には地下の穴ぐらと呼ばれている特別監禁室がある。そこに一人の男が入っていた。そいつは刑務所長にとって悩みの種でどんな刑罰にも屈しなかった。やつさえ征服できればこの先どんな囚人がやってきてもそいつらをうまく操ることができただろう。 ある日、刑務所長はやつをからかいに部下数人とともに地下の穴ぐらへ行った。扉を開け大声でやつに呼びかけた。「おい!まだ生きてるか!生きてるならここから出たくない [続きを読む]
  • 『新入りの運命』
  •  俺が大人数部屋に入れられたとき、風変わりな奴と親しくなった。そいつはいつも髪をジェルでニワトリみたいにまっすぐ立て、目は紫色に濁り、両方の頬にはナイフで切られた跡があった。そいつは他の囚人に対していつも高圧的だった。群れてる奴らを見かけるとその中で一番強そうなやつと喧嘩した。どこかから手に入れたヤスリを床で研ぎ相手の脇腹にズバズバと何度も刺した。ほかの連中はただ見ているだけしかできなかった。 あ [続きを読む]