OS さん プロフィール

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OSさん: THE S&R
ハンドル名OS さん
ブログタイトルTHE S&R
ブログURLhttp://snr23.blog.fc2.com/
サイト紹介文超短編、ショートショート、エッセイ、詩
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供78回 / 365日(平均1.5回/週) - 参加 2017/07/15 22:44

OS さんのブログ記事

  • 『彷徨える牙を抜かれた狼たち 』
  •  午後5時のチャイムがなる。新しいシステムが導入されてからコンピューターの電源が午後5時になると自動的に落ちる。若者と女性たちは何がそんなに嬉しいのか少年少女たちのように目を輝かせデスクをあとにする。 俺は仕事を続けたかったが真っ暗になったスクリーンは高校生になった娘のように沈黙して俺を邪剣する。数年前までは終電近くまでこのコンピューターと多くの仕事をこなしてきたが、こいつももう俺の相手をしてくれ [続きを読む]
  • 『セットの中の世界』
  •  朝起きると、泊まっているホテルの従業員の態度が昨日とは驚くほど変わっていた。『ビッグホテル』という名前に惹かれ選んだホテルはオフィスビル街にありそして異様に小さなホテルだった。従業員は俺を囚人のように扱い、部屋の大きさは4畳ほどで窓はなかった。隣の部屋からは女の快楽の声が鳴り響き、絶頂を迎えた男が獣のような声を発していた。 なぜ、授業員の態度が囚人から要人に変わったのかを考えていると、従業員が朝 [続きを読む]
  • 『家出の果てに』
  •  僕は2年前の16歳のとき、2人の友人とともに家出をした。僕たちは3人は空っぽの貨物列車に忍び込み、あてもなく数千kmの旅をした。友人の1人がウイスキーとワインのボトルを持ってきていたので3人で貨物列車の縁に座り、退屈で何の代わり映えもしない死んだ街を眺めながら交互に酒を回した。 別の友人は持ってきていたギターで古いロックバンドの曲を奏でデタラメな英語でその曲を歌っていた。一応僕たちは旅の資金を路 [続きを読む]
  • 『くたびれた街の忘れられた老人』
  •  落ちぶれた短編作家がいた。偉大な作家を真似た黒いアゴヒゲを伸ばした老人だ。新しい短編を書こうと椅子に座りデスクの上のコンピューターに目をやるのだが、年老いた腰がメキメキと悲鳴を上げ10分もするとベッドの上で腰を休めるという生活を送っている。 知人から座って書けないなら立って書けと言われ、悪友の職人に頼み、スタンディングデスクというよくわからないもの作ってもらうことにした。まだワシが若かった頃には [続きを読む]
  • 『ある男の悲劇』
  •  梅雨が始まる少し前、ある男の家に泥棒が入った。彼はすぐに警察に通報した。やって来た警官に被害の状況と犯人に心当たりがあることを伝えた。犯人はおそらくこの前の休暇先で知り合い友人になった男で、その男とはこれまで4回ほど肉体関係をもったと警官に正直に話した。 彼は正直に事実を話しただけのつもりだったのだろう。ところが彼は強制わいせつ罪で起訴され、一年に及ぶ禁固刑と保護観察処分、そして女性ホルモンの大 [続きを読む]
  • 『軍隊ツアー』
  •  ある男が軍への入隊を志願した。彼は入隊書への記入で「この部隊に登録することは、上官の指示には絶対服従をし、責任を持って軍事訓練を遂行するということを理解しているか」という質問に対して「いいえ」と答えた。 単純に銃の扱い方を学びたかっただけの彼は、その質問に「はい」と答えることがけっして自分のためにはならないと判断したのだった。ひとたび銃の使い方を身につけると、軍での生活に関心を失い、日々の訓練に [続きを読む]
  • 『分身に取り憑かれた男』
  •  ある朝、ベランダでパイプをふかしているとベランダの柵に何気なく寄りかかっている男に気づいた。その男は俺より頭ひとつ分くらい背が高く俺そっくりの人物だった。そいつも俺と同じようにパイプをふかし、髪型も同じでアディダスのトレーニングパーカーを着ていた。 そいつは俺のほうを見ることなくただひたすら空を眺めていたので、俺も視線を空に向けた。パイプを吸い終え踵を返すとそいつの姿はどこにもなく消え去っていた [続きを読む]
  • 『幻覚の旅』
  •  俺がまだ20代後半だったころ、友人とふたりでLSDをやったときのことだ。 前に別の薬物を試したことはあったがLSDは今回が初めてだった。気づくと俺たちはお互いに言葉にすることなくテレパシーで話していた。俺が友人に頭のなかで「冷蔵庫からビールを持って来いと」と伝えると友人はきちんと俺にビールを持ってきた。反対に彼が俺に「おまえの聴いている音楽がうるさいからボリュームを下げやがれ」と頭のなかで怒鳴る [続きを読む]
  • 『親友が残したプレゼント』
  •  私が老人ホームにいたとき、隣室に住んでいた長年来の親友が亡くなったの。彼はいつもドイツの民謡を歌い、笑うことが大好きな人だったわ。いろんな歌を私に教えてくれたし、何時間も2人で歌を歌い、ジョークを言い合い、それぞれの昔ばなしをしたわ。 彼が突然亡くなったと聞かされたとき、私は打ちひしがれたわ。食べることが大好きだったのに食欲もなくなり、みんなとおしゃべりすることが出来なくなり、一日中部屋に引きこ [続きを読む]
  • 『謎の紳士からの試練』
  •  久々の台湾だ。指定されたホテルにチェックインしコンシェルジュに案内された最上階のスウィートルームに入った。キングサイズのベッドに寝転がりあの白髪の紳士のことを考えた。 あるバーで一人で飲んでいるとき白髪の老人紳士から声をかけられた。シンガポールで超巨大企業を経営し、アジアを中心にホテルとクラブを数十件所有している人物だ。「君のパッションは何だ?」彼は俺の隣に腰を下ろしそう言った。  俺は考えてい [続きを読む]
  • 『彼の残した伝言』
  •  あるパーティー会場で女が話し掛けてきた。友人のDJが主催したパーティーでその女はコンパニオンの1人だった。「テレパシーって信じますか?」 バーマンからダイキリを受け取りグラスに口をつけたとき、女が俺にそう聞いてきた。「私、そういう能力があるんです。相手の情報や考えてることを読み取れるんです」 彼女はロングアイランドアイスティーを飲んでいた。「へえー、そういうのって本当なんだ」と俺はのんきにそう答 [続きを読む]
  • 『屋台がもたらした欲望』
  •  子供の小学校の入学式で懐かしい人物に出会った。俺がまだバックパックを背負って海外をふらふらしていたとき、しばらくの間一緒に過ごした女だった。たしか、名前はエリだった。 俺たちはバンコクで知り合い、観光にも行かずに現地人や白人の遊び人、娼婦、ヒッピー崩れの日本人の男女たちとさまざま快楽に浸り遊び暮らしていた。ある金持ちに紹介してもらったアパートメントに俺たちは3ヶ月ほどいた。これまで1週間ほどはい [続きを読む]
  • 『印象的な笑みとトランク』
  •  出発の10時間前に空港に着いた。最初近くのホテルで仮眠でもとろうかと思ったが、気が変わりただぼんやりとチェックインカウンター近くの椅子に座っていた。早朝便を待つ人達だろうか、周囲の椅子やフロアには眠っている人々がいる。 本を読む気にもまったくなれず、別の階に行けばまだやっているバーがあったがそこへ足を向ける元気さえなく、辺りを覆う静けさに多少イライラしながらもひたすらそこに座り続けた。 長い時計 [続きを読む]
  • 『ブティックの誘惑』
  •  ヨーロッパの某国に行ったときにはいつも裏通りにある小じんまりとしたホテルに泊まる。そこには若くて無名だった頃の芸術家たちの名残が感じられ、従業員たちも客のことをすぐに憶えてくれ友人のように接してくれるところが気に入っている。 その周辺には出版社や新聞社、小洒落たバーやレストランが多く、ジャーナリストや小説家がよく酒を飲んでは何かを大声で議論していた。 そのホテルの数件隣に日本人のデザイナーが手が [続きを読む]
  • 『民衆の狂気と行き場のない思い』
  •  とある国の王は、市民たちの発言力が増してきたの見て大胆にも選挙法を改定して十分な富のあるものにのみ選挙権を与えると明記した。以前から不満をいだいていた改革派の連中にとって、この法令は革命の狼煙となった。翌日、反体制派の新聞数社が王の決断を非難し、市民たちへの反抗心を煽る記事を載せた。 正午には、議事堂のある通りは市民たちで溢れかえった。市民たちを追い返せと派遣された警官たちはひどい暴言を浴びせか [続きを読む]
  • 『落雷がもたらしたギフト』
  •  これは私がむかし出会った患者の話しだ。彼は雷に打たれて私のいる病院に運ばれてきた。彼の体には診察でも心電図でもなんの異常も見られなかった。私は彼に対して落雷による害はないだろうということを伝えた。だが一応念のため知り合いの神経科医に診てもらうよう彼に勧めた。そして彼は去っていった。 本当のヒーローはなんたらかんたらといった不思議な言葉を残して。 彼は神経科医の診察を受け、脳波検査やMRI検査も受 [続きを読む]
  • 『この街のヒーロー』
  •  ある男が交差点上に立ち、大量の紙をちぎり空中に放り投げていた。たいていの通行者は無視したり、スマートフォンで撮影したりしていたが、誰かが警察に通報したのだろう、二人組の警官がやって来て彼に話し掛けた。「あんたはいったいここで何をしてる?」「見ればわかるだろ。紙を投げてみんなを守ってんだよ。俺もあんたらと同じでこの街の治安を守ってるってわけだ。俺は俺で忙しいんだ。あんたらもさっさと自分の仕事に戻っ [続きを読む]
  • 『救世主となった悪魔』
  •  俺がまだ若かった頃、スマートフォン時代が到来する前の話だ。俺は若く健康でたくましく休日には友人たちとフットボールをすることを楽しみにしていた普通の男だった。ある冬の休暇中、俺はフットボール仲間たちと湖の畔のロッジにきていた。その日は朝から曇天で生暖かい風が吹いていた。遠くの方には黒雲が見え、雨が降ってきそうだった。 俺はガールフレンドに連絡を入れようと、ロッジの外れにある公衆電話に行った。俺は今 [続きを読む]
  • 『時代遅れの酔っぱらい』
  •  今夜の俺はナイトクラブのオーナーだ。ダンスフロアの周囲には多くのテーブルが並んでいる。視線を右に移すと各テーブルには若い男女のグループやカップルが座っていて、つかの間の享楽に耽り寂寥感から目を逸らす。 ダンスフロアではプロのダンサーたちが洗練された技術を披露するが、テーブルにつく客達はそれを無関心に眺める。ある者たちは互いの体を密着させ大蛇のような四本の腕が体中をまさぐり始める。またある者たちは [続きを読む]
  • 『運命の使者』
  •  登場人物  20代後半女性。ユミ      ハンサムな30代男性。トモ      毒蛇 舞台 山の散歩道 あらすじ ユミは久々に取れた長期休暇を使い、とある田舎の山へハイキング。植物の美しさに目を惹かれ夢中になって眺めているところへ、毒蛇の鋭い牙が彼女を襲う。 山の中腹 辺りに人影はなく鳥たちの鳴く声と植物の掠れ合う音だけが鳴り響く。山腹に咲き乱れる綺麗な花々に夢中になるユミ。 モノローグ ユミ [続きを読む]
  • 『悲しみを纏った老人』
  •  俺が数年ぶりに地元に帰ったとき、市の体育館でプロバスケの試合が行われていた。売店で生ビールを買って指定された座席に行くと、ダークスーツに身を包んだ初老の男性が座っていた。「すいません。そこ僕の席なんですが……」「そうかい、そりゃ悪かったね」老人はそう言い別の空いている席へと向かった。 するとすぐに別の客がやってきて、老人はまた別の席に移動し、少しするとまた別の客がやってきて老人は別の席を探した。 [続きを読む]
  • 『若く才能と希望を持った作家』
  •  俺がブリスベンにボクシングの試合を見に行っていたときのことだ。泊まっていたホテルの近くに夜遅くまで開いている中華料理屋を見つけた。その近辺のまともなレストランやスーパーマーケットは店を閉めるのが早く、遅い時間に何か食べたくなってもすべて閉まっていてどうすることもできなかった。その中華料理屋はそういう意味ではかなり貴重なところだった。ホテル周辺を散歩していてたまたま発見した。 店内には出稼ぎの中華 [続きを読む]
  • 『高熱の魔法』
  •  滅多に病気にかからない俺が四十度の高熱にかかったときの話だ。週末に、日本にやってきていた知り合いの中国女と馬鹿騒ぎをやって、疲労感で何も考えられない状態でジムに行きいつものように筋肉を極限まで追い込んで満足気に帰宅すると、突然目眩がし、目の前が真っ白になった。 病気になどかかったことがなかったのでどの病院に行けばいいのかわからなかったが、家の近くにあった小児科に駆け込んだ。看護婦が俺の保険証を見 [続きを読む]
  • 『哀愁を帯びた異国での過去』
  •  学生時代の友人たちと数年ぶりに会い、飯を食い昔の話しで盛り上がりとあるバーに流れ着いた。友人の一人が今もし手元に一千万自由に使える金があったらどうする?と言い出した。みんなは家のローンを払うとか娘の奨学金を払ってやるとか、家族を旅行に連れて行くとか、愛人を囲ってみたいとか言っていたが、俺はフィリピンの田舎に行くと言った。 友人たちは明日も仕事だからと早めに切り上げて行ったが、俺は店に残り一人カウ [続きを読む]
  • 『ジェット機が運んできた夢』
  •  夢の中では俺は七歳の男の子になっていた。場所はどこかの運動公園みたいな広いところだった。俺は死んだはずのじいちゃんと一緒に広場に立ち空を眺めていた。「もう少ししたらジェット機が飛んで来るからな。しっかり見てろよ」じいちゃんはそう言い眩しそうに空を眺めていた。 広場には大勢の人たちがいて各々ジェット機の撮影のための準備をしたり、お酒を飲みながら談笑したりしていた。みんなの顔は興奮で火照っていて目は [続きを読む]