もうゼーゼー さん プロフィール

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もうゼーゼーさん: 会社がない!
ハンドル名もうゼーゼー さん
ブログタイトル会社がない!
ブログURLhttp://mouzeze.hatenablog.com/
サイト紹介文目が覚めたら、会社も家も何もかも激変していた。コメディ小説を通して、新しい社会を考えていきます。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供45回 / 148日(平均2.1回/週) - 参加 2017/07/16 19:42

もうゼーゼー さんのブログ記事

  • 息子の夢
  • 「そろそろ、ミノルが帰ってくるころね」妻は腕まくりをしながら言った。「そうね」長女も続いて腕まくりをする。そして彼女らは、夕食の支度を再開した。ミノルとは、小学三年生になる長男である。家で読書やゲームをするより、外で遊ぶのが大好きな腕白小僧だ。なのに、将来の夢は小説家だそうだ。理由をたずねたら、「だって、小説家なら会社に行かなくていいじゃん」と答えた。会社に行きたくないわけも訊いてみたら、 [続きを読む]
  • ステーキな夕食
  • 「し、しかし、そんなので本当にやっていかれるのか?」自分でもうるさい質問だとわかりつつも、不安が収まらず、再び確認してしまう。認知症と診断され働けなくなった私と、小学三年生になる長男というお荷物を抱え、妻と高校一年生の長女の労働時間は、ともに4時間だという。どう考えても、その程度の労働時間で、4人家族を養えるわけがない。しかし妻も長女も、生活に追われている様子はない。むしろ、記憶にある彼女らよ [続きを読む]
  • ついに問う
  • 「なに怒っているのよ」ヒートアップする私と随分落差のある少しだけ尖った口調で妻は返した。「4時間労働で何が問題あるっていうの?」「問題大ありだろ!」私の声のボリュームは、抑えきれずあがる。平然と答える妻の態度がふてぶてしく感じられたからだ。「女子供がその程度の労働時間で得られる収入で、家計を賄えるわけがない」「なんでよ」妻は口をがらせる。「だってそうだろ、4時間労働だぞ」妻の尖った口先に、私 [続きを読む]
  • 驚愕の労働時間
  • 「ちょっと訊いてみたいんだけど、アタナの考える楽して稼げる仕事って何?」と妻は言った。「そ、それは…」ストレートに訊かれると、返答に困る質問だ。私が勘ぐるカラダを売って稼ぐ仕事をしていると言えないし、もし妻と長女が真っ当な仕事で労働時間に見合わぬ収入を稼げているとなれば、それは私たちサラリーマンが目指す非常に労働効率のよい仕事を彼女らがしていることになるからだ。窮地に陥った私は、とっさに思いつ [続きを読む]
  • 意味わかんない
  • 「意味わかんない」間髪入れず、長女が横から口を挟んだ。「な、なんだぁ、親にむかってその言い草は!」猛烈に腹が立って、私は長女に咆哮をぶつけた。「もう、いい加減にして!」妻は長女を庇うように、両手を大きく広げて長女の前に立った。「そういうようにオマエが甘やかすから、コイツは親を馬鹿にした態度をとるんだ」私は首を伸ばして、妻の背後に隠れている長女に威嚇の視線を射つづける。「何も、おかしなこと言 [続きを読む]
  • 真面目の逆
  • 「真面目な仕事?」妻は私の顔を食いつくように見てから、鼻で笑った。「なに、よくわからない」「いい歳して、そんなこともわからんのか!」小馬鹿にされた気分になり、私は声を荒げた。「じゃぁ、真面目じゃない仕事って何?」カチンときたのか、妻も荒れた口調で返してきた。「そ、それは…」またもや、妻子の前で自分の想像するいかがわしい職業の名称を言うのをためらわれ、私は口ごもる。どうすればいいんだ…。私は [続きを読む]
  • 言えないよ
  • 「や、やりたい仕事って、お、おまえまさか…」一文字発する度に水分が失われていくように、私の口内は急速に乾いていく。「まさかって、なに?」長女は上唇を、再びアヒルのようにめくりあげる。「そ、それは、つ、つまり、な、なんだ…」娘の前で私の想像するいかがわしい職業の名称は言えず、私の干からびた喉から次の言葉が出ない。「な、なに、どうしたの?」私の動揺が伝染したかのように、長女も動揺した声をあげる。 [続きを読む]
  • どんな仕事だ!
  • 「仕事が楽しい…」嘘でも強がりでもなく、妻は本当に仕事を苦にしていない様子である。記憶のなかの妻は、長時間の立ち仕事の辛さや、自分を活かせない職種への不満、職場の人間関係の悩み、家事との両立の大変さなど、夫婦ふたりになったときに愚痴をこぼすことがよくあった。仕事のストレスがたまっているのは私も同じであったので、苦しいのはお前だけじゃないと、その度に言い返したものだ。そして仕事とは楽しいものでは [続きを読む]
  • いたしません
  • 選挙には、ほぼ毎回いく私ですが、今回の選挙はパスです。なぜか?だって、私にとって「くさや」か「ふなずし」のどちらを選べという究極みたいな選挙なので。選ぶ価値のあるものが並んでいない日本の政治マーケット、貧困ですね(その貧困さは、お隣の国の市場に負けないでしょう)。与党の圧勝に終わるかと思いますが、それは彼らの政治理念や戦略が優れているわけではありません。野党が弱すぎるからです。ヘボ将棋の [続きを読む]
  • 仕事が楽しい?
  • 「いや、オレがこんな感じで働けなくなったから、お前らに迷惑をかけているなって…」家族に対する申し訳なさと、自分に対する情けなさで胸がいっぱいになり、私の声はつまる。といっても、働く場を失ったのは、自分のせいではないが…。「だから、何が迷惑だか、わからないし…」妻は戸惑った表情を崩さず、首を傾げる。私に心配をかけないように強がりを言っているのかと思ったが、違うのか…。「ひょっとして…」長女が妻の [続きを読む]
  • 夜のお仕事?
  • 妻は、近所の食品工場でパート勤務(週5日、1日6時間労働)をしている。長女は、洗濯物ひとつ干すのすら重労働だと抵抗するほどの仕事嫌いなので(なぜか今日は様子が違うが)、アルバイトの経験は一度もない。その二人が仕事で明朝の朝食をつくれないから、夕飯時の今、つくっているという。それにしても、朝食をつくる余裕もないほど早朝勤務の仕事って何だ?新聞配達?コンビニ?それとも、いま勤めている食品工場で早朝勤 [続きを読む]
  • 蟹化する妻
  • 「それは明日の朝、朝食をつくれないからよ」夕食間近の時刻に朝食をつくる理由を私に訊かれた妻は答えた。朝食をつくる暇がないってことは、朝早く出かける用事があるってことか?私は直感的にそう解釈し、腑に落ちる記憶を思い出した。妻は、旅行が趣味のママ友と、年に二、三回、バスツアーに出かける。大抵は日帰りなので、出発時刻は早朝だ。なので、バスツアーの前の晩に家族が食べる朝食をつくる(本人たちは、バスのな [続きを読む]
  • 晩メシの記憶
  • 認知症であることを演じるために、意図的に「晩メシ」を「朝メシ」と言い間違えてみせたにも関わらず、驚いたことに、妻は夕食の時刻に朝食を作っているという。そんな馬鹿な話があるかと思い、私は長女にも同じ質問をふった。すると、長女までもが、妻と同じ返答をするではないか。もしや、思いっきり寝過ごして、翌朝になってしまったのか…。私は動転し、台所の壁に掛かっている時計に目をやる。時計の針は、5時20分を指 [続きを読む]
  • 朝メシは今?
  • どこにあるんだ、台所は…。各部屋のドアを開け、台所か否かを確認しながら、私は一階に下りていく。今朝目覚めたら、世の中が一変してしまった境遇の私には、自分の家すらも冒険地だ。しかし一階に近づくに従い、まな板の上で何かが刻まれていることが想像される音と食欲をそそる香りが強まってきた。それを頼りにすれば台所にたどり着けると確信した私は、もう各部屋の確認をする必要がなくなったので、夕餉をつくる気配が漂 [続きを読む]
  • 最初の演技
  • 夕食の時刻まで恐らくあと30分。グル〜スピー!食欲旺盛な青春時代以来、聞いた記憶がない高らかな腹の虫が鳴った。昨夜から何も口にしていない私は、そのわずかな時間も待てないほどの激しい空腹感に襲われたのだ。しかし病人を装っている身である。「腹が減って死にそうだから、早く飯にしろ」などという催促ができるはずもない。いや、待てよ、と私は思った。病人は病人でも、私のかかっている(と、されている)病気 [続きを読む]
  • 演技の厳しさ
  • 白い天井を見つめ、5分ほど、思いついたふたつの戦略のどちらがいいか迷う。が、結局どちらを選んでも妻から私がおかしくなっていると思われるのは免れないだろう。ならば、頭がおかしくなったふりをして、いま置かれた社会のことを学び、社会復帰を目指すのが近道に違いない。そう結論するに至る。覚悟が決まると、急に腹が減ってきた。枕元の時計は、午後4時53分を指している。驚天動地の出来事のせいで、今朝から何も食べ [続きを読む]
  • 迷う「彼」の知り方
  • 外の世界を変えようがないのなら、残された道はひとつしかない。その道とは、己を変えることだ。つまり、社会復帰をして家族を養っていくには、すっかり様変わりしてしまった世界に順応すべく、自分を変えるのが、変えられようのない世界に抗うより近道ということである。孫氏も言っているではないか。「彼を知り己を知れば、百戦して危うからず」と。賢く戦うには、これから戦う世界のことを知らなければ始まらないのだ。 [続きを読む]
  • 残された道
  • 残された家族のことを思うと、自死の選択はありえなく、働くしかないという結論に至る。そのためには、早く病気を治して社会復帰せねば!私は両手で頬を叩いて喝を入れる。でも、オレは本当に病気なのか…。私はどうしても自分の頭がおかしくなっていると思えない。「どうすりゃ、いいんだ」私は途方に暮れて、天を仰ぐ。自分が病気であったらいいのに、と初めて思った。病気ならば、治療という努力の方向性が見える。し [続きを読む]
  • 最悪の選択
  • 夢から覚めても、記憶にないショッキングな出来事の数々が揺るぎないものとなった今…。自分の頭がおかしくなったにしろ、そうでないにしろ、私はこの現実に対処する選択を決めなければいけないと思った。まず、思った選択。それは、自死であった。自死の誘惑に駆られたのは、今回が初めてではない。というか、一週間に一度はある。とくにその症状が出るのは、日曜日の夕方から月曜日の朝にかけての時間帯だ。いわゆる「 [続きを読む]
  • 傷の記憶
  • 夢も見ない深い眠りから覚めると、枕元に置かれた時計の針は午後3時22分を指していた。妻からもらった睡眠薬が効いたようだ。3時間の熟睡で、心身の疲れはだいぶとれた。しかし今朝からの出来事を思うと、心にばっと暗雲が覆う。すべてが夢であってくれればいいのに…と、白い天井を見ながら思う。無駄だとわかっていながら、右頬を強くつねってみる。やはり、激痛が厳しい現実をつきつけてくれた。それでは、昨日まで私が [続きを読む]
  • 契約雇用に未来あり?
  • 「なに落ち込んでいるんだよ」弟は、契約雇用の身分に落ちた私を不可解そうな表情で見る。「落ち込むにきまっているだろ」私は吐き捨てるように言う。「明日が保証されない身分になっちまったんだから」「アニキは、とことんマイナス思考だな」弟は笑い飛ばす。「3年毎に契約が切れるから、いいんじゃないか。それを機に、自分の好きな道やステップアップにチャレンジできるんだから」「オマエってやつは、とことん極楽とん [続きを読む]
  • オレまで…
  • 「お、おまえ、いつ結婚を?」そう言いつつ、私は弟の左手に視線を落とす。ヤツの左手の薬指には、結婚指輪がつけられていた。「なに言っているんだよ」弟の表情は、ギョッとしたものになる。「アニキだって、結婚式に出席したじゃないか…」「そ、そうだったな…」ロクデナシな弟には見下されたくないというプライドから、私はつまらない嘘をついてしまった。「しかし、おまえよく結婚できたな」私は空元気をだして言う。 [続きを読む]
  • 弟まで…
  • 「な、なに怒っているんだよ…」弟は私の剣幕が予想外であったらしく、呆気にとられた表情を浮かべる。「43の中年男が自分に合った仕事を就けるなんて、そんな贅沢できるわけないだろ!」世間知らずの弟に私はかみつく。「それはアニキの努力次第だろ」「は?」私はあんぐりと口を開ける。「オマエは馬鹿か」そんな贅沢な選択が許されるのは新卒者までだ。中年男は面接を受けさせてもらえるどころか、門前払いだって珍しくな [続きを読む]
  • 気楽な弟
  • 「無職って、どういうことだよ」弟はめったに見せない真顔になって、私に迫った。いい歳をしてフリーターで地に足がつかない暮らしをしている弟が、まさかこんな反応をするとは思わなかった。金づるを失うことに動揺しているのか…。「働く気、なくなっちまったのか?」弟は両手で、私の肩を揺すった。私は弟の握力に驚いた。その力強さが、なまくらな生活を送ってきた人間のものとは思えなかったからだ。「働く気はあるさ [続きを読む]
  • 賄賂はごめん
  • 妻の声がすると間をおくことなく、弟の脳天気な笑い声が近づいてくる。いくら兄弟でも遠慮というものがないのか。無礼なヤツだ。私は顔を険しくして弟の到着を待つ。じきに弟の四角い顔が現れた(この顔立ちも、寅さんというあだ名がついた所以だ)。「よう、アニキ元気!」私の顔を見ると、弟は満面の笑みで手をあげた。「元気なわけないだろ」私は不機嫌に答える。「ていうか、オマエの顔を見たら、余計に具合悪くなった [続きを読む]