toikimi さん プロフィール

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toikimiさん: かきがら掌編帖
ハンドル名toikimi さん
ブログタイトルかきがら掌編帖
ブログURLhttp://toikimi.hateblo.jp/
サイト紹介文10年あまり通っていた童話教室で「宿題」として書いたものに加筆修正して載せています。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供82回 / 276日(平均2.1回/週) - 参加 2017/07/25 13:38

toikimi さんのブログ記事

  • 血圧計を買いました。
  • 先日、春の定期健康診断を受診したところ、血圧で引っかかってしまいました。若い頃は献血をことわられるくらい低血圧だったのが、加齢と共に徐々に上がってきて「普通」になった、と思っていたら──。そういえば、1月に火事で救急搬送されたときも、「血圧が高いですが、こんな場合だから仕方ないでしょう」と、言われたのでした。再検査の呼び出し状が配られているのを、他人事のように見ていたのに、ついに自分のところに [続きを読む]
  • サイレン
  • 職場も住んでいる所も交通量の多い町中にあるので、緊急車両のサイレンの音を聞かない日はありません。「ピーポーピーポー(時々、ウーー!)」だったら救急車だし、「ウー!ウー!ウー!(帰りは、カン、カン、カン)」は消防車、「ウーー!」の繰り返しならパトカーと、自動的に聞き分けています。その上で、サイレンが近くで止まるとか、あるいは、たくさんの緊急車両が集まってくるようであれば、耳をそばだて、窓から外の様 [続きを読む]
  • 俳句はことばの娯楽『寝る前に読む 一句、二句。』
  • 遠くない将来、定年退職して働かなくてもよくなったら、俳句を趣味としたいです。あまり縁のなかった世界なので、少しずつ情報を集め始めました。インターネット俳句会(ネット句会)というのもあり、扉はいろいろなところに存在しているようです。そのうち、ちょうどいい入り口を見つけられるかもしれません。寝る前に読む 一句、二句。 - クスリと笑える、17音の物語 -作者: 夏井いつき,ローゼン千津出版社/メーカー: ワニブ [続きを読む]
  • 常夜灯(創作掌編)
  •  幼い頃、星葉の部屋には小さなフクロウ型の常夜灯があった。 ドアの脇近く、コンセントに取りつけられたほのかな灯りは、暗闇の中で頼もしい見張り番だった。 夜中に目が覚めてしまったときは、フクロウにそっと話しかける。「さみしい」「こわい」「いやだなぁ」 すると、いつも返ってくるのは、「ホーホー、ホーホー、ここで守っているからだいじょうぶ」 という、やさしくユーモラスな声だ。 枕から頭をあげて見つめる [続きを読む]
  • 葉桜の公園(創作掌編)
  •  麻紀が勤務する会社は、4月で期が改まる。 所属している部署では、決算期前後の事務処理のため、3月半ばからの1ヶ月が年間を通して最も忙しかった。 連日の残業と休日出勤は当たり前。大量の伝票入力から専門的なデータ解析まで、業務を手分けして処理し続け、ようやく今年も無事に決算を済ませることができた。 共に乗りきった事務スタッフ同士で労をねぎらい、紙コップのビールでひそかに乾杯してから会社を出た。  [続きを読む]
  • ユニコーンの角 〜「普通がいい」という病〜
  • 「普通」とは、使い勝手の良い言葉だと思います。平常であることの安心感や、主流派の心強さを表せます。どこか謙虚だけれど、卑下しているというほどではなく、時代や環境によって変わる幅広さも持っています。その反面、否定的に使われると、急に表情が変わる言葉でもあります。「普通は、そうしない」「普通なら、こうすべき」「普通ではない」圧迫感を感じます。書いた文字を見ているだけで、落ち着かない気分になってきま [続きを読む]
  • 5番目のポケット(創作掌編)
  •  ぼくの持ち主、明のウッドクラフト工房は、小さな工場や作業所が寄り集まっている町なかにあった。 ドアを入ってすぐわきの椅子の背に、仕事用のエプロンが掛かっている。 エプロンは丈夫な布地で出来ていて、寸法も、5つあるポケットの位置も、すべて明の注文どおりに作ってあった。 大きな前ポケット2つには、それぞれノートと定規が収まり、その上の小さめのポケットには、色と種類別に分けたペンが差してある。そうし [続きを読む]
  • ゲシュタルト療法「Why」より「How」
  • ゲシュタルト療法という心理療法を習っていました。一緒にトレーニングコースを受講していたメンバーは、セラピストやカウンセラー、医療関連の仕事をしている人などが多かったです。私の場合は個人的な興味だけだったので、専門的なアドバンスコースに進む予定はなく、今後は単発のレギュラーワークショップに参加しながら、メンテナンスを続けていくつもりです。「ゲシュタルト療法は、セラピーというより生き方だと思ってい [続きを読む]
  • 右近の桜(創作掌編)
  • 『右近の桜』は、ソメイヨシノより少し遅れて咲きはじめる。八重咲きの花びらは、かすかに緑がかったクリーム色で、芯のところだけ、ほんのりとした薄紅だった。 渉が見つけた桜は、公園の目立たない片隅に植わっていた。 社会人となり、引っ越してきて間もない日曜日、春風にさそわれるように歩き続けて、満開の花と出合ったのだ。 樹名板に記された雅やかな名称は、渉に古文の授業を思い出させた。「忘れ去られる自分より、 [続きを読む]
  • 桜つながり
  • 桜の記事に画像を添えたいと思い、写真を撮りに行きました。慣れない撮影を済ませて振り返ると、ちょっとした人だかりが出来ていたのでびっくり。あわててその場を離れました。ちょうど、お昼の12時になるところです。後から知ったのですが、桜の手前にあるのは「 江戸火消しからくり櫓」というからくり時計で、午前11時から午後7時までの間、毎時0分に動き出し、スピーカーから流れる木遣り歌に合わせて、中から出てき [続きを読む]
  • 冬に逆もどり(創作掌編)
  •  春分の日も過ぎて、もう大丈夫と思っていた矢先だった。「真冬のような寒さです。ところによっては雪が舞うかもしれません」とか、「昨日との気温差は10度以上」など、気象情報の声がテレビからあふれてくる。 千佳は、冬のコートをクローゼットの奥から引っぱりだした。 冷えきった朝の空気に首をすくめ、歩きながらコートのポケットに手を差し入れる。 すると、何かひんやりとした小さなものが、指先に触れた。 取り [続きを読む]
  • お彼岸 遠回りした思い出
  • 母方の祖父は、私がものごころ付く前に他界しました。記憶に残っている面影は写真のものだけですが、母からよく話を聞いていたので近しく感じます。祖父は石屋職人でした。近所の悪戯小僧を大声で叱り飛ばす一方、母にはとても優しかったそうです。骨太で小柄な祖父と、すらりと背の高い祖母が並ぶと「蚤の夫婦」(蚤は雄より雌が大きいところから、夫より妻のほうが身体の大きい夫婦)そのもので、学校の友だちにからかわれて [続きを読む]
  • 雲と遊ぶ(創作掌編)
  •  晴天の日曜日、香澄は午後になってから、近くの河川敷へ出かけた。 都会の端を横切って流れる川は、再開発が進んで遊歩道も完備されている。けれど香澄は、少しだけ残った土手のほうが好きだった。 立ち枯れしている葦(ヨシ)の陰に座ると、日々のわずらわしさから身を隠せたような気分になれるのだ。 今日も、小さな先客がいた。 近所のベーカリーの男の子で、たしか名前は「大地」君。以前はよく、遊歩道や公園で、犬 [続きを読む]
  • 蛇口をさがしてみよう
  • 春の嵐で降り続いた雨が、明け方になってあがりはじめた、金曜日の朝のことです。ベランダに面した窓を開けると、排水用の溝いっぱいに雨水が溜まっていました。コンパクトなベランダなので、隅にある排水口はエアコン室外機の陰になってほとんど見えません。排水口がつまってしまうと、ベランダ全体が水浸しになり、下の階にも迷惑をかけそうです。気になりながら出勤し、職場で対処法をネット検索しました。自分と同じ問題 [続きを読む]
  • スロウメール(創作掌編)
  •  年末は忙しすぎて、部屋の大掃除もままならなかった。 星葉が「一時的な書類保管箱」の整理に手をつけたのは、1月も半ばを過ぎてからのことだ。 この1年間に溜まった箱いっぱいの紙片や印刷物を、内容を確かめながら分類していく。ほとんどの書類は、必要だからではなく、すぐに捨てるかどうか決めかねて取っておいたものばかりだった。時間を置いた今なら、あっさりゴミ箱行きにできる。 仕分けを終えたとき、絵はがき [続きを読む]
  • 5軒めで見つけた「ぬ」
  • ふとしたことから「午前(ごぜん)様」という言葉を思い出しました。昔、父の帰宅が宴会などで夜中の12時過ぎになったとき、母が使っていた言葉です。「心配していた。もう少し早く帰ってきてほしい」という気持ちを、やんわりと伝える言い方でした。「午前様」は、日付が変わって帰りが午前になったこと(あるいは人)を指しているだけだと思っていたのですが、ついこの間、実は「御前様」のもじりでもあることに、初めて気 [続きを読む]
  • 庭木戸の音(創作掌編)
  •  サトシの母親は、小鳥の声でその日の天気がわかるから、洗濯物を干したまま出かけても平気だった。人間以外のものたちと、少しだけ通じ合えるというのは、それほどめずらしいことではないらしい。 サトシ自身も、庭木戸が語りかけてくることばがわかる。だから、表玄関よりも庭を通って外へ出るのが好きだった。「ギギギーィ」ときしむときは、杉先生。「すすっ」と開くときは、まなみ先生。 通っているピアノスクールのク [続きを読む]
  • ゲシュタルト療法「誕生のワーク」
  • 私は出産予定日を2週間過ぎて生まれた過期産児でした。「明日、陣痛促進剤を使いましょう」と医師に言われたその日、夜になってから自然に陣痛が始まったそうです。真夜中だったにもかかわらず、運よく医療スタッフは充実していて、逆子のため難しいお産ではありましたが、無事にこの世に誕生することができました。母が、生まれたばかりの私と対面したときの第一印象は、「うらめしそうな顔だった。三白眼のような目つきで、私 [続きを読む]
  • クマ画伯(創作掌編)
  •  クマ画伯のことは、何年か前まで、テレビでよく見かけた。 その素朴派の画風よりも、特異な経歴のほうに関心が集まっていたことを覚えている。 仔グマのときから画家をこころざし、絵を学びたい一心で、単身ふるさとの山を下りた。薪割りのアルバイトをしながら、冬眠もせずに人間のことばを習得したという。 薪を売りにいった高原のホテルで、運命的に出会ったのが、スケッチ旅行のため宿泊していた老画家だ。内弟子となっ [続きを読む]
  • 音楽隊の音楽会
  • 私が読者登録をさせていただいている「かぴたん」さん は、海上自衛隊東京音楽隊の歌姫、三宅由佳莉さんの大ファンです。私は、かぴたんさんのブログで、初めて三宅さんのことを知ったのですが、記事を読み、紹介された動画を観るうちに、ぜひライブに行きたいと思うようになりました。東京音楽隊の定期演奏会があると知り、応募したところ、かなり倍率は高いらしいのですが、運よく当選してチケットを手にすることができました [続きを読む]
  • アマノ荘の神さま(創作掌編)
  •  満開の桜の下で、宴を開いている人たちの声がする。 木造2階建てアパートの敷地だった。板塀のすき間から、なごやかな雰囲気が伝わってくる。「おめでとう」「おめでとう」 祝福の声が、通りがかった美弥の耳にも届いた。 ゆっくりと歩き続けながら、美弥は微笑んだ。 春が来て、桜の花が咲く以外にも、何か祝うことがあるようだ。 休日に顧客の店舗まで、大事な書類を届けに行く途中だった。社会人として「はじめての [続きを読む]
  • 母と音楽
  • 近々、演奏会へ行く予定なので、事前に発表されている楽曲を聴いて予習しています。こういうとき、YouTubeはほんとうにありがたいですね。予習曲のひとつ、バーンスタインの「シンフォニック・ダンス」(『ウエスト・サイド・ストーリー』より)を、母の好きそうな曲だと思いながら聴いています。母は10年前に他界しましたが、亡くなる数年前から、認知症とパーキンソン病の症状が現れていました。自力での立ち上がりや歩行 [続きを読む]
  • 薬草園の匂い袋(創作掌編)
  •  礼美のお祖母さんは、薬草園を営んでいる。 昔は薬草だけを育て、煎じ薬や軟膏にして売っていた。土地の人たちは、どこか体の具合が悪いと、まず薬草園にやってきたそうだ。 時代の流れと共に、扱うのは薬草よりハーブが多くなって、今では「薬草園」といっしょに、「ハーブガーデン」という看板もかかげている。 お得意さまはレストランのシェフ、市場で食材を仕入れたあと、新鮮なハーブを買いにくるのだ。 礼美は毎朝 [続きを読む]
  • ゲシュタルト療法 基本のキ「気づき」
  • ここ2年ほど学習中のゲシュタルト療法(「今、ここ」での気づきを重視する実践的な心理療法)において、大切な「気づき(awareness)」ですが、それがどういうものなのか、実はまだわかりません。わかるのを待っていたら、いつまでたっても書けそうにないので、いろいろアプローチしてみようと思います。ゲシュタルト療法の創始者のひとりであるフレデリック・パールズは、気づくということを「自覚の連続体」「知的で意識的な [続きを読む]
  • ぼくの鬼(創作掌編)
  •  一郎にとって、冬は風邪の季節だ。 治ったかと思うとぶり返したり、次の風邪にかかったりするから、学校へ行くより家で寝こんでいる日のほうが多くなった。 一郎の風邪予防のため、毎年、春から秋までのあいだ、家族全員で取り組んでいた。 お父さんは、体質改善できそうな習い事を調べて下見に行き、お母さんは、免疫力を上げる食材を使った料理のレパートリーを増やす。 一郎は、ある年は水泳、別の年はキッズダンスとい [続きを読む]