『マルコによれば』第2章について書いてきました。ここでちょっとこの章について感想を書いてみます。 本章は時系列からいうと第1章(プロローグ)の前に位置します。第1章はイエスの「 公生涯 」に沿った物語展開でした。本章はその前史で、作者が想像的に描いたものですが、イエスがキリ...
小説『マルコによれば』にはまってます。思ったこと感じたことを、きままにつづってゆきます。
竹内豊の小説『マルコによれば』に魅せられています。おもしろいです。つれづれなるままに感想を書いてみます。
『マルコによれば』第2章について書いてきました。ここでちょっとこの章について感想を書いてみます。 本章は時系列からいうと第1章(プロローグ)の前に位置します。第1章はイエスの「 公生涯 」に沿った物語展開でした。本章はその前史で、作者が想像的に描いたものですが、イエスがキリ...
https://atto25jp.blogspot.com/2023/06/blog-post_85.html
いよいよエッセネの園が解消するときを迎えます。
目覚めたイエスは夢の意味を考えます。三つの誘いを拒否したことは自分が無力であることを自覚したということです。でもその拒否は自分の意思というより「何者か」に押されて発せられたものであることに気づきます。 たしかに言葉は不思議です。いまわたしが言ってることはすべてわたしの意思から...
最終節の15節です。 眠りに落ちたイエスの枕元に師ヨハネが現れます。ヨハネはイエスを荒野へ連れ出します。そしていつの間にかヨハネの姿が消え、霊がイエスを誘って三つの問いを順に投げかけます。 一つ目は石をパンに変える誘い、二つ目は空を飛翔する誘い、そして三つめはこの国を支配...
ヨハネを慕う弟子たちの集まりだったエッセネの園。主を失った園は、いよいよ解体の時を迎えます。 対ヘロデでは武闘派と穏健派に分かれていた園ですが、もともとは残留派と独立派があったようで、前者は首都エルサレムがあるユダ出身者が多く、後者はガリラヤからの「留学生」が多かったと書か...
フィリポとヤコブが園に帰ってみると、そこではヘロデに対して武器をもって戦おうという者たちとそれに反対する者たちの間で分裂が生じていました。 ここでもイエスの発言権は大きいようで、ヘロデに対抗するなら、いまいるユダヤよりもヘロデの領地であるガリラヤのほうがよいと言います。しか...
https://atto25jp.blogspot.com/2023/06/blog-post_10.html
14節です。 12節でフィリポとヤコブのふたりがガリラヤに向かうことが書かれていました。本節はその話から始めります。
https://atto25jp.blogspot.com/2023/06/blog-post_9.html
ヘロデはヨハネの遺骸がエッセネの園に送り付けられたことを突き止めます。さてかれらがどう出てくるかと思案したすえ、ヘロデは園の壊滅を画策します。
https://atto25jp.blogspot.com/2023/06/blog-post.html
13節です。 ヨハネの遺骸がエッセネの園に送り付けられてきた同じころ、ヘロデのもとにネシャートの逃亡という報せが届きます。ネシャートが父アレタス王のもとに逃げたのは明らか。すでにナバテア国とは剣呑な関係にあったうえに今度の事態が発生すれば戦争は必至です。
https://atto25jp.blogspot.com/2023/05/blog-post_31.html
ヨハネの死は結果的にはヘロデにとって好都合であったと思うんですけど、エッセネの園では、ヘロデが園に対して弾圧を加速させるのではないかとれているようです。たしかにヘロデにとって、ヨハネはうるさいハエだったにちがいありません。
https://atto25jp.blogspot.com/2023/05/blog-post_29.html
12節です。 皇帝に送った嘆願書に期待を込めたヨハネたちですが、それもむなしく、園に師ヨハネの遺骸が送り付けられてきます。 師のヨハネが殺害されたことを知らない園の人たち
首を送り付けたのがネシャートだということを直感したヘロデですが、なんとかその場をとりつくろって宴を続行します。でもひそかに従者に命じて、ヨハネの首のゆくえを捜させます。 いっぽうネシャート。ヨハネを生還させることが不可能だとわかっていた彼女は、せめてその証にとヨハネの遺骸をエ...
https://atto25jp.blogspot.com/2023/05/blog-post_23.html
11節です。 この場面はとてもドラマティックに書かれていて臨場感があります。 ヘロデとヘロディアの婚礼の宴が盛り上がったころ、ヘロデの従者がヘロデの耳元に、アレタス王からの祝いの品が届けられたと告げます。ヘロデは怪しいとは思ったものの、成り行きからその贈り物を開けさせます...
ネシャートは独房のヨハネを訪ねます。 そこでの二人の問答はとても面白いです。 ネシャートは「種の宿らぬ女に命はない」と言います。自分がヘロデから離縁同然に扱われ、もう子供が産めないことを彼女は嘆きます。 でもヨハネは「わたしは神の胎に入ることができるのだ」とこたえてます...
https://atto25jp.blogspot.com/2023/05/blog-post_10.html
10節です。 場所は前節と同じマカイルス要塞。そこでヘロデは本妻のネシャートの居室を訪ねます。 前にも触れたように、ネシャートは隣国ナバテアの国王の娘です。これは史実のようですが、詳しいことは知りません。 物語では不倫の夫と本妻の会話が聞けます。もちろんヘロデが弱い立場であ...
第9節に入ります。 場面は変わってマカイルス城砦。そこは 死海に隣接した絶海の地です。そこに洗者ヨハネが幽閉されています。 ヘロデは、ヨハネが入っている独房で、一対一で向き合います。
前からのつづきです。 ヘロデの攻撃の可能性に対して意見が対立してます。そこでヨハネは二人の意見をまとめてこんなふうに言います。ちょっと失礼して 地上の武器は剣や槍だ。だが、天上の武器は神の言葉だ。それは地上にあっては弱い。……だが天上の勝利はそこにあるのだ。 天上(神)を信...
八節に入ります。 最高法院(サンヘドリン)へ送った訴状ですが、一週間経っても回答なし。 ヨハネたちは焦ります。次の手を考えるために、ヨハネは評議会を招集します。 最終的には皇帝への直訴が決まります。でもそうなると、ヘロデが先手を打って園を攻撃してくる可能性もあって、皇帝...
七節に入ります。 怒りに任せてヨハネを拘束したものの、ヘロデはちょっと反省します。はたしてあれでよかったかって。ヘロデの懸念はヨハネの弟子たちに訴えられることです。裁判となれば、自分に都合の悪い事実があからさまになって、自分が罷免されるかもしれないからです。
ヨハネはさっそく訴状の執筆にとりかかります。 でも心の中に様々なことが思い浮かびます。なかでも師ヨハネとイエスのことが。 やがてかれは預言者イザヤの故事に思いを馳せます。 イザヤとは、旧約聖書の「イザヤ書」を書いたひとです。
https://atto25jp.blogspot.com/2023/04/blog-post_18.html
でもヘロデの不倫はすでに知れ渡っていて、簡単にはヨハネを逮捕するなんてことはできません。しかも総督ピラトの足元で、勝手なことはできないという事情もあります。 そこでヘロデは一計を案じます。ヨハネを反ローマの徒としてピラトの耳に吹き込めば、ヨハネを捕らえることができると考えたのです。
https://atto25jp.blogspot.com/2023/04/blog-post_17.html
でもヘロデの不倫はすでに知れ渡っていて、簡単にはヨハネを逮捕するなんてことはできません。しかも総督ピラトの足元で、勝手なことはできないという事情もあります。 そこでヘロデは一計を案じます。ヨハネを反ローマの徒としてピラトの耳に吹き込めば、ヨハネを捕らえることができると考えたのです。
https://atto25jp.blogspot.com/2023/04/blog-post_13.html
でもヘロデの不倫はすでに知れ渡っていて、簡単にはヨハネを逮捕するなんてことはできません。しかも総督ピラトの足元で、勝手なことはできないという事情もあります。 そこでヘロデは一計を案じます。ヨハネを反ローマの徒としてピラトの耳に吹き込めば、ヨハネを捕らえることができると考え...
https://atto25jp.blogspot.com/2023/04/blog-post_12.html
でもヘロデの不倫はすでに知れ渡っていて、簡単にはヨハネを逮捕するなんてことはできません。しかも総督ピラトの足元で、勝手なことはできないという事情もあります。 そこでヘロデは一計を案じます。ヨハネを反ローマの徒としてピラトの耳に吹き込めば、ヨハネを捕らえることができると考え...
https://atto25jp.blogspot.com/2023/04/blog-post_10.html
でもヘロデの不倫はすでに知れ渡っていて、簡単にはヨハネを逮捕するなんてことはできません。しかも総督ピラトの足元で、勝手なことはできないという事情もあります。 そこでヘロデは一計を案じます。ヨハネを反ローマの徒としてピラトの耳に吹き込めば、ヨハネを捕らえることができると考え...
第四節ではヨハネの弟子のヤコブとフィリポ(二人とも後にイエスの仲間になります)が、エルサレムの町で、師ヨハネの逮捕が計画されているという噂を得るところから始まります。 でもヘロデの不倫はすでに知れ渡っていて、簡単にはヨハネを逮捕するなんてことはできません。しかも総督ピラトの...
第三節。場面はがらりと変わって、この小説のもうひとりの重要人物ヘロデ・アンティパスが登場します。
第二節はイエスの受洗だけではなく、先生のヨハネとイエスの会話(問答)がつづいていてとても面白いし、イエスが「人の子」という特別な人格に気づいていくうえで、重要な契機となるような記述がみられます。 小説ではヨハネは占星術の専門家みたいで、そこも興味深いけど(小説読んでね)、な...
第二節に入ります。 場所はヨルダン川のほとり。有名なイエスの受洗の場面です。 朝から大勢の人たちがヨハネから洗礼を受けようとして集まってきます。 イエスもその手伝いで、朝から大忙し。そして最後にイエスも洗礼を受けます。 この有名な場面は、どの福音書でも(マルコを含めて)ヨハネの...
ヨハネが戻ってきました。 イエスはヨハネに受洗を申し出ます。ここの二人の会話もおもしろいです。 形式を嫌うはずのイエスがなんでまた洗礼なんていう形式にこだわるのって感じ。 わたしも高校生になったとき周囲のすすめで洗礼(バプテスマ)を受けました。教会の講壇の前の床が小さな...
「定規で測る」ことそのものを疑ったイエスですが、その対象はずばりユダヤの「律法」です。イエスはそこで律法を批判します。 律法がそれだ。律法こそ、あなたのいう「よくできた定規」だ。ところがその精確さを追求した結果が、ひとの生活を縛ってしまったのではないか。……だからいっそ定規な...
イエスは先生のヨハネを尊敬しながらも、「不足」も感じてます。それはヨハネに「民衆に馴染まないところ」がみられるから。それにクムラン僧院の独善性に批判的でも、いぜん世界を光と闇とか善と悪とかにわけてみてるところ。イエスはヨハネに言います。「師よ、あなたの見る世界はおれには拵え物...
先生のヨハネが帰ってくるまでの間、筆者はヨハネの紹介をします。 ヨハネはクムラン僧院の出身。そこは「極めて厳格な修行場」だったそう。クムラン(クムラン教団)についてはネットにけっこう出てますから、興味のあるかたはどうぞ調べてみてください。 さてヨハネですが、かれがクム...
「師は何処にいる?」イエスがヨハネに訊いた。 1節の冒頭です。このヨハネは先生のほうではなく、イエスと同郷(小説では従兄です)のゼベダイの息子のヨハネです。いまイエスは先生のヨハネを探しているみたいです。でも先生のヨハネは「荒野」にいったようで不在。瞑想しに行った...
さていよ 15 節まである二章の 1 節です。 イエスはここでは洗者ヨハネが創設した学園の学生(エッセネの園)です。説明文ではそこは「エフライムの高地一帯に広がる砂漠」にあって、そこに点在している洞窟を利用した学園があります。そこにいるひとたちの多くは、もとクムラン僧...
きょうは本の作者竹内さんの「ブログ『マルコによれば』」(リンクをクリックしてください)を紹介してみたいと思います。(なかなか本文に入れなくてごめんなさい) このブログ、イエスや聖書に関心がある人なら、読めばけっこうおもしろいはずです。わたしは小説的な関心で読んでるんですけ...
作者は本文に入るまえに「はじめに」という短い文をのせています。そっくり書き写してみます。失礼して…… ここに記された話は、ヘロデ・アンティパスに纏わる記事のほかは、ペトロがゼベダイの息子ヤコブとヨハネから聞いた話がもとになっている。だがそこには伝承、噂の類いから、ヤコブ...
いよいよ第二章です。 まえにも 書きましたが、この章は第一章のつづきではありません。時間が前にさかのぼっていて、イエスがまだ先生のヨハネのところにいたころの話になっています。場所はヨハネ(あのバプテスマのヨハネです)が創設した「エッセネの園」やヨハネが逮捕されて閉じ込...
澄みきった秋空の下、漣がガリラヤの湖岸を洗っていた。湖上には幾艘もの舟が立ち、漁師らが漁労に精を出しているのが見える。湖水は陽の光を浴びてきらきらと輝いていた。マルコが手を翳して見上げると、眩しいほどに光が零れてきた。かれは湖水を渡って吹いてくる湖風(うみかぜ)を胸一杯に...
「……あゝ、ガリラヤに帰りたいね」 そう言いのこして去ってゆく男の背にむかって、ペトロは「あの門を何と言うのかね?」ってききます。男は「糞の門だ」って言って、振り返りもせずに去ってゆきます。 それにしても糞の門なんて、ずいぶんひどい名前。そんな門が実際にあった...
途方にくれるペトロ。 かれは頭を抱えた。 すると「おい、どうした」という声がした。見上げると、浮浪者とおぼしき男が立っていた。 このひといったいだれ? 本文には「 男は更けて見えるが、意外に若いのかも知れぬ …… 年齢はよくわからなかった 」とあります。復活した...
ペトロが目を覚ますと、辺りはすでに明るくなっていた。 ペトロは寝過してしまったようです。暗闇の中では見えなかった周りのようすが、いまははっきり見えます。でもそこはスルーして……なんとイエスの遺体が入った麻袋がありません。 (たしかにあったのだ、四人の兵隊に担がれてき...
さて兵隊たちはイエスの遺体を共同墓地に遺棄したあと、すぐに立ち去っていきます。 と…… だがこの光景のいっさいを見届けていた者がいた。 だれだと思います? ペトロです。かれはイエスのそばにいようと、墓で一夜を明かすつもりでいたのです。そこへ兵隊たちが突然現れたので...
さてピラトの命令を受けた四人の兵隊たちは、イエスの遺体を麻袋にいれて「共同墓地」まで運んでゆきます。そこは「 城壁の南、ヒンノムの谷にある塵芥(ごみ)の集積地 」で、「 身元の不確かな処刑者はそこに遺棄されるのが常であった 」と書かれています。途中は雨後のぬかるみ道で、兵隊た...
さて第1章の最終節 14 節です。この節は小説としてとても面白いし、これが契機になってつぎに大きな意味をもってくるので、その意味でも重要な節です。 こんなふうに始まります…… その夜、アントニア城塞にいる総督ピラトの前に四人の兵隊が招集されていた。それはピラトが案じた...
ヨセフは内心ではもうイエスの側にいました。いまもむかしもお役人や肩書のあるひとって、立場上自分の本心を打ち明けることがむずかしいんですね。でもヨセフがえらいのは、イエスの遺体の引き取りを申し出たことです。こんなこと上司に見られたりだれかに告げ口されたらヤバいでしょ。自分でもそ...
ヨセフは告白します。自分が体制側にあっても、 「この人のことは他人事には思えなかったのだ」って。だからイエスの説教を聴きに行ったというんです。マルコがイエスの追っかけだったのと似てます。ちょっと失礼して…… じつはわたしは一度、この人に訊ねてみたことがある。『貴方が神殿を...
「わたしはヨセフという者。いまはサンヘドリンの議員をしておるが、もとはアリマタヤの者だ。アリマタヤをご存知か?」 ヨセフはこう言って自己紹介をはじめます。小説に書かれてますが、アリマタヤはサマリアに属したところで、小説には「高名な預言者が生まれたところ」とあります。高名な...
マリハムといっしょにお墓を訪れた女たちについては詳しく描かれてません。 ともかく彼女たちはマリハムにうながされて、イエスに「挨拶」します。 「さあみんな、ラボニにあいさつしましょう」 マリハムはそう言って立ち上がると、ひとりひとりにイエスと対面するよう促した。 ヨ...
マリハムはイエスに対面します。 最期の晩餐からまだ一日も経っていません。ひどいスピード裁判のあげく処刑されてしまった夫の変わり果てた姿をまえにして、マリハムは胸が張り裂けそうだったにちがいありません。でもその辛さを抑えて気丈にふるまう彼女の、なんといじらしいことでしょう。...
議員のヨセフ(アリマタヤのヨセフ)がローマの隊長にイエスの遺体の引き取りを申し出ます。どうしてかれはそれを申し出たのでしょう? 理由はあとでわかります。 ともかく遺体の引き取りは許可されます。 ヨセフはさっそく遺体を墓に運ばせます。お墓は「 ゴルゴタの丘に近い窪地にあった...
一粒の種が地に落ちて死んだ ― まさにそのとおりになったのだ。 イエスは死にました。 福音書をみますと、イエスが死んだとき、男の弟子たちの姿はなく(逃げていってしまったのでしょうか)女たちが「遠くから見守っていた」と書いてあります。そのなかにマグダラのマリアもい...
イエスの死が確認されたとき、ひとりの男が遺体の引き取りを申し出ます。 聖書に書かれていますが、このひとはアリマタヤのヨセフという人です。小説でもそれをなぞっています。でもその後がすこし違います。それはまたのちほどにして、まずイエスの遺体が杭からおろされます。 ...
イエスは杭に架けられた状態で、時間が経過してゆきます。 ローマ兵がイエスの足の脛を槍の先でつっついても、もう反応しません。 イエスの命はもう尽きてしまいました。 マタイやルカの福音書ではこのとき神殿の幕が裂け、地震がおこってすごいことになりま...
雨雲が垂れこめていた。その曇天の下、ゴルゴタの丘に一本の杭がぽつねんと立っている。その上空を鳥が舞っていた。…… 13節はこんな書き出しではじまります。引き立てられたイエスの前で罪状が読み上げられます。「 この罪人、ガリラヤのイエスは、ユダヤ王の僭...
いよいよ「王の道」から城門にさしかかったところで、マルコはマリハムとペトロの姿を見つけます。ふたりはそれぞれにイエスのなまえを呼びつづけてます。 マルコは、マリハムが「ラボニ、ラボニ」と呟いているのが、口の動きでわかった。ペトロは顔を引きつらせ「ヨーシュア、ヨー...
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『マルコによれば』第2章について書いてきました。ここでちょっとこの章について感想を書いてみます。 本章は時系列からいうと第1章(プロローグ)の前に位置します。第1章はイエスの「 公生涯 」に沿った物語展開でした。本章はその前史で、作者が想像的に描いたものですが、イエスがキリ...
いよいよエッセネの園が解消するときを迎えます。
目覚めたイエスは夢の意味を考えます。三つの誘いを拒否したことは自分が無力であることを自覚したということです。でもその拒否は自分の意思というより「何者か」に押されて発せられたものであることに気づきます。 たしかに言葉は不思議です。いまわたしが言ってることはすべてわたしの意思から...
最終節の15節です。 眠りに落ちたイエスの枕元に師ヨハネが現れます。ヨハネはイエスを荒野へ連れ出します。そしていつの間にかヨハネの姿が消え、霊がイエスを誘って三つの問いを順に投げかけます。 一つ目は石をパンに変える誘い、二つ目は空を飛翔する誘い、そして三つめはこの国を支配...
ヨハネを慕う弟子たちの集まりだったエッセネの園。主を失った園は、いよいよ解体の時を迎えます。 対ヘロデでは武闘派と穏健派に分かれていた園ですが、もともとは残留派と独立派があったようで、前者は首都エルサレムがあるユダ出身者が多く、後者はガリラヤからの「留学生」が多かったと書か...
フィリポとヤコブが園に帰ってみると、そこではヘロデに対して武器をもって戦おうという者たちとそれに反対する者たちの間で分裂が生じていました。 ここでもイエスの発言権は大きいようで、ヘロデに対抗するなら、いまいるユダヤよりもヘロデの領地であるガリラヤのほうがよいと言います。しか...
14節です。 12節でフィリポとヤコブのふたりがガリラヤに向かうことが書かれていました。本節はその話から始めります。
ヘロデはヨハネの遺骸がエッセネの園に送り付けられたことを突き止めます。さてかれらがどう出てくるかと思案したすえ、ヘロデは園の壊滅を画策します。
13節です。 ヨハネの遺骸がエッセネの園に送り付けられてきた同じころ、ヘロデのもとにネシャートの逃亡という報せが届きます。ネシャートが父アレタス王のもとに逃げたのは明らか。すでにナバテア国とは剣呑な関係にあったうえに今度の事態が発生すれば戦争は必至です。
ヨハネの死は結果的にはヘロデにとって好都合であったと思うんですけど、エッセネの園では、ヘロデが園に対して弾圧を加速させるのではないかとれているようです。たしかにヘロデにとって、ヨハネはうるさいハエだったにちがいありません。
12節です。 皇帝に送った嘆願書に期待を込めたヨハネたちですが、それもむなしく、園に師ヨハネの遺骸が送り付けられてきます。 師のヨハネが殺害されたことを知らない園の人たち
首を送り付けたのがネシャートだということを直感したヘロデですが、なんとかその場をとりつくろって宴を続行します。でもひそかに従者に命じて、ヨハネの首のゆくえを捜させます。 いっぽうネシャート。ヨハネを生還させることが不可能だとわかっていた彼女は、せめてその証にとヨハネの遺骸をエ...
11節です。 この場面はとてもドラマティックに書かれていて臨場感があります。 ヘロデとヘロディアの婚礼の宴が盛り上がったころ、ヘロデの従者がヘロデの耳元に、アレタス王からの祝いの品が届けられたと告げます。ヘロデは怪しいとは思ったものの、成り行きからその贈り物を開けさせます...
ネシャートは独房のヨハネを訪ねます。 そこでの二人の問答はとても面白いです。 ネシャートは「種の宿らぬ女に命はない」と言います。自分がヘロデから離縁同然に扱われ、もう子供が産めないことを彼女は嘆きます。 でもヨハネは「わたしは神の胎に入ることができるのだ」とこたえてます...
10節です。 場所は前節と同じマカイルス要塞。そこでヘロデは本妻のネシャートの居室を訪ねます。 前にも触れたように、ネシャートは隣国ナバテアの国王の娘です。これは史実のようですが、詳しいことは知りません。 物語では不倫の夫と本妻の会話が聞けます。もちろんヘロデが弱い立場であ...
第9節に入ります。 場面は変わってマカイルス城砦。そこは 死海に隣接した絶海の地です。そこに洗者ヨハネが幽閉されています。 ヘロデは、ヨハネが入っている独房で、一対一で向き合います。
前からのつづきです。 ヘロデの攻撃の可能性に対して意見が対立してます。そこでヨハネは二人の意見をまとめてこんなふうに言います。ちょっと失礼して 地上の武器は剣や槍だ。だが、天上の武器は神の言葉だ。それは地上にあっては弱い。……だが天上の勝利はそこにあるのだ。 天上(神)を信...
八節に入ります。 最高法院(サンヘドリン)へ送った訴状ですが、一週間経っても回答なし。 ヨハネたちは焦ります。次の手を考えるために、ヨハネは評議会を招集します。 最終的には皇帝への直訴が決まります。でもそうなると、ヘロデが先手を打って園を攻撃してくる可能性もあって、皇帝...
七節に入ります。 怒りに任せてヨハネを拘束したものの、ヘロデはちょっと反省します。はたしてあれでよかったかって。ヘロデの懸念はヨハネの弟子たちに訴えられることです。裁判となれば、自分に都合の悪い事実があからさまになって、自分が罷免されるかもしれないからです。
ヨハネはさっそく訴状の執筆にとりかかります。 でも心の中に様々なことが思い浮かびます。なかでも師ヨハネとイエスのことが。 やがてかれは預言者イザヤの故事に思いを馳せます。 イザヤとは、旧約聖書の「イザヤ書」を書いたひとです。
ヨハネはさっそく訴状の執筆にとりかかります。 でも心の中に様々なことが思い浮かびます。なかでも師ヨハネとイエスのことが。 やがてかれは預言者イザヤの故事に思いを馳せます。 イザヤとは、旧約聖書の「イザヤ書」を書いたひとです。
でもヘロデの不倫はすでに知れ渡っていて、簡単にはヨハネを逮捕するなんてことはできません。しかも総督ピラトの足元で、勝手なことはできないという事情もあります。 そこでヘロデは一計を案じます。ヨハネを反ローマの徒としてピラトの耳に吹き込めば、ヨハネを捕らえることができると考えたのです。
でもヘロデの不倫はすでに知れ渡っていて、簡単にはヨハネを逮捕するなんてことはできません。しかも総督ピラトの足元で、勝手なことはできないという事情もあります。 そこでヘロデは一計を案じます。ヨハネを反ローマの徒としてピラトの耳に吹き込めば、ヨハネを捕らえることができると考えたのです。
でもヘロデの不倫はすでに知れ渡っていて、簡単にはヨハネを逮捕するなんてことはできません。しかも総督ピラトの足元で、勝手なことはできないという事情もあります。 そこでヘロデは一計を案じます。ヨハネを反ローマの徒としてピラトの耳に吹き込めば、ヨハネを捕らえることができると考え...
でもヘロデの不倫はすでに知れ渡っていて、簡単にはヨハネを逮捕するなんてことはできません。しかも総督ピラトの足元で、勝手なことはできないという事情もあります。 そこでヘロデは一計を案じます。ヨハネを反ローマの徒としてピラトの耳に吹き込めば、ヨハネを捕らえることができると考え...
でもヘロデの不倫はすでに知れ渡っていて、簡単にはヨハネを逮捕するなんてことはできません。しかも総督ピラトの足元で、勝手なことはできないという事情もあります。 そこでヘロデは一計を案じます。ヨハネを反ローマの徒としてピラトの耳に吹き込めば、ヨハネを捕らえることができると考え...
第四節ではヨハネの弟子のヤコブとフィリポ(二人とも後にイエスの仲間になります)が、エルサレムの町で、師ヨハネの逮捕が計画されているという噂を得るところから始まります。 でもヘロデの不倫はすでに知れ渡っていて、簡単にはヨハネを逮捕するなんてことはできません。しかも総督ピラトの...
第三節。場面はがらりと変わって、この小説のもうひとりの重要人物ヘロデ・アンティパスが登場します。
第二節はイエスの受洗だけではなく、先生のヨハネとイエスの会話(問答)がつづいていてとても面白いし、イエスが「人の子」という特別な人格に気づいていくうえで、重要な契機となるような記述がみられます。 小説ではヨハネは占星術の専門家みたいで、そこも興味深いけど(小説読んでね)、な...
第二節に入ります。 場所はヨルダン川のほとり。有名なイエスの受洗の場面です。 朝から大勢の人たちがヨハネから洗礼を受けようとして集まってきます。 イエスもその手伝いで、朝から大忙し。そして最後にイエスも洗礼を受けます。 この有名な場面は、どの福音書でも(マルコを含めて)ヨハネの...
ヨハネが戻ってきました。 イエスはヨハネに受洗を申し出ます。ここの二人の会話もおもしろいです。 形式を嫌うはずのイエスがなんでまた洗礼なんていう形式にこだわるのって感じ。 わたしも高校生になったとき周囲のすすめで洗礼(バプテスマ)を受けました。教会の講壇の前の床が小さな...
「定規で測る」ことそのものを疑ったイエスですが、その対象はずばりユダヤの「律法」です。イエスはそこで律法を批判します。 律法がそれだ。律法こそ、あなたのいう「よくできた定規」だ。ところがその精確さを追求した結果が、ひとの生活を縛ってしまったのではないか。……だからいっそ定規な...